JP4317516B2 - 電気回路基板用ケース - Google Patents
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Description
これにより、接着剤を合わせ目に塗り付けたときや、その後、上部部材と下部部材とを合わせ目で合わせたときに、接着剤が合わせ目から溢れて接続コネクタに流れ込むことを防止できる。このため、壁は、接続コネクタの端子に接着剤が付着して、導通不良を起きることを防止することができる。
例えば、カムロックを回動操作することによって、端子同士が強固に接続されるZIFコネクタの場合では、前記壁によって、合わせ目から溢れた接着剤が接続コネクタ内の端子に流れて付着することを阻止できる。これにより、壁は、端子の可動部に接着剤が付着して、接続コネクタの可動部が動かなくなることによって導通不良が惹起することを防止できる。
また、接着剤流れ込み防止壁は、カムロックの回動操作によって、端子同士が電気的に接続されるZIFコネクタにおいて、中継端子に接着剤が付着して硬化することより中継端子の可動部が動かなくなって、端子間が導通不良となることを解消して、品質の向上を図ることができる。
なお、本発明の実施形態に係る電気回路基板用ケースは、設置したときの向きによって上下および表裏の方向が変わるが、便宜上、図1に示す上側を「上」、下側を「下」として説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気回路基板用ケースを示す説明図である。図2は、本発明の実施形態に係る電気回路基板用ケースを示す分解斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る電気回路基板用ケースを示す図であり、接着剤を充填したときの状態を示すハウジングの一部部分拡大断面を有する平面図である。
図1に示すように、電気回路基板用ケース1は、接続コネクタCや電気回路基板6などの電気部品を内設して封止した箱体である(図2参照)。電気回路基板用ケース1は、下側に配置されたハウジング5と、このハウジング5の上面に密着されるカバー7とから構成されて、カバー7の周囲およびハウジング5の周囲の合わせ目が接着剤11(図3参照)で接着されている。電気回路基板用ケース1には、後記のように、凸状に伸びるセパレータ接続端子4aが複数配置された電気接続用の端子群4を有する燃料電池FCの端子群4を収容する接続コネクタCを内部に備えている。
以下、電気回路基板用ケース1の一例として、燃料電池FCに使用される制御ユニット2を挙げて本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、燃料電池FCは、燃料ガスと酸化剤ガスとの反応によって発電を行うものである。燃料電池FCは、図示しない膜電極構造体を挟み込むセパレータ3が複数積層されるとともに、これらが枠体Bに収納されて構成されている。また、燃料電池FCには、制御ユニット2(セル電圧ECU(Electronic Control Unit))が設けられている。
なお、燃料電池FCは、特許請求の範囲に記載の「接続対象機器」に相当する。
積層されたセパレータ3には、その上端面からハウジング5の接続コネクタCに向かってそれぞれセパレータ接続端子4aの端子群4が延在している。このセパレータ接続端子4aは、枠体Bに制御ユニット2が取り付けられたとき、下端部がセパレータ3に電気的に接続され、上端部がハウジング5に設けられたシール設置部材8と、このシール設置部材8に内設されたシール材(図示せず)とを挿通して、接続コネクタCの中継端子10d(図2参照)に電気的に接続される。
なお、セパレータ接続端子4aは、特許請求の範囲に記載の「接続端子」に相当する。
制御ユニット2(セル電圧ECU)は、セル電圧検出用の電気機器であり、主に、ハウジング5と電気回路基板6(図2参照)とカバー7と、接続コネクタCと、から構成されている。制御ユニット2は、ハウジング5とカバー7とで電気回路基板用ケース1を形成して、この電気回路基板用ケース1に電気部品を実装した電気回路基板6(図2参照)を収納している。この制御ユニット2には、接続コネクタCと、第1コネクタ部5aと、第2コネクタ部5bと、第3コネクタ部5cとが備えられている。
図1に示すように、シール設置部材8は、セパレータ接続端子4aが挿通されるハウジング5の接続コネクタCを防水するために、シール材(図示せず)を設置するための部材である。このシール設置部材8は、そのシール材(図示せず)を装着し、ハウジング5の接続コネクタCの下部に、ねじ止めされる部材である。
なお、セパレータ接続端子4aは、シール材(図示せず)を装着したシール設置部材8に挿通することにより、そのシール材がセパレータ接続端子4aに密着するため、水がハウジング5の外側からセパレータ接続端子4aを伝わってハウジング5内の中継端子10d(図2参照)側に浸入することを阻止している。
図2に示すように、ハウジング5は、例えば、略長方形に形成されて、一方の短辺側に第1および第2コネクタ部5a,5bが配設され、他方の短辺側に第3コネクタ部5cが配設され、1つの長辺側に接続コネクタCおよび中継部材5dが配設されている。ハウジング5は、前記第1〜3コネクタ部5a〜5cにそれぞれ配設される接続端子10a〜10cを非導電性の合成樹脂でインサート成形されている。ハウジング5には、中継端子10dを有する中継部材5dと、この中継部材5dの下側に設けられて長手方向に移動可能なスライダ12と、電気回路基板6と、が設置されている。このハウジング5は、電気回路基板6のスルーホール(図示せず)に半田付けされた電子素子などからなる電気部品(図示せず)を収納する収納空間5eを中央に有するとともに、その収納空間5eを、電気回路基板6を取り付けることによって閉塞している。
ハウジング5の収納空間5eの周囲には、第1および第2コネクタ部5a,5bの近傍から突出した前記接続端子10a,10bと、この接続端子10a,10bの対向位置の第3コネクタ部5cの近傍から突出した前記接続端子10cと、接続端子10a,10b,10cに対して90度相違する方向の中継部材5dから突出した中継端子10dの雄端子部10gと、がそれぞれ上側に向けて配設されている。また、中継端子10dの近傍には、カバー7に回動自在に設けられたカムロック7cが軸挿されるロックピン5mが設けられている。
なお、ハウジング5は、特許請求の範囲に記載の「下部部材」に相当する。
図3に示すように、接続コネクタCは、中継部材5dに設けた中継端子10dによって、セパレータ接続端子4aと、電気回路基板6のスルーホール6d(図2参照)とを接続するためのものである。この接続コネクタCには、中継端子10dを並設した端子基板からなるとともに、接続コネクタCのカバー部材としての機能も備えた中継部材5dと、前記セパレータ接続端子4aに接続される雌端子部10e、およびスライダ12によって可動する可動部10fを一体形成した中継端子10dと、中継部材5dの下に配設されて長手方向に移動可能に設けられたスライダ12と、このスライダ12を移動するためのカムロック7cが係合されるロックピン5m(図2参照)と、が設置されている。
中継端子10dは、ハウジング5に設けられた中継部材5dに設置された多数の端子を並設してなる。この中継端子10dは、中継部材5dの上面から突出してスルーホール6d(図2参照)に接続される雄端子部10gと、中継部材5dの下面から突出して前記接続コネクタC内でセパレータ接続端子4aに接続される雌端子部10eと、この雌端子部10eから延設されてスライダ12に押圧されることによって反り曲がって、前記雌端子部10eをセパレータ接続端子4aに圧接させる可動部10fと、を一体に成形してなる。なお、雌端子部10eおよび可動部10fは、導電性板ばね金属によって形成されている。
ハウジング5に設置された電気回路基板6、接続コネクタCの上に設けられた中継部材5d、および第1〜3コネクタ部5a〜5cの周部(合わせ目)には、接着剤11と、カバー7の外全部に形成された環状突起7b(図2参照)と挿入されて、接着される接着剤充填溝5hが形成されている。接着剤充填溝5hは、ハウジング5の外周上端(外壁5j)に沿って形成されたU字形状の溝からなる。この接着剤充填溝5hと、接続コネクタCおよびロックピン5mとの間には、接着剤充填溝5hに注入された接着剤11が流れ込んで来るのを防止する接着剤流れ込み防止壁5iが形成されている。なお、接着剤充填溝5hの外側に隣接されている外壁5jは、接着剤流れ込み防止壁5iより低く形成されている(図4および図5参照)。このため、溢れ出た接着剤11は、電気回路基板用ケース1の外側に排出される。
図2に示すように、カバー7とハウジング5との合わせ目と、接続コネクタCとが近接する部分には、接着剤11が接続コネクタC側に流れ込むのを防止する接着剤流れ込み防止壁5iが設けられている。ハウジング5には、中継端子10dの周辺部位(接続コネクタCの周囲部)の少なくとも一部を取り囲んで形成された接着剤流れ込み防止壁5iが一体に設けられている。この接着剤流れ込み防止壁5iは、ハウジング5に設置されている電気回路基板6の高さより、低く形成されている。接着剤流れ込み防止壁5iは、先端部の接着剤充填溝5h側に傾斜面5kを有する(図4〜図6参照)。
傾斜面5kは、この傾斜面5kに付着した接着剤11を接着剤充填溝5hに流れ落ちるように導くためのものである(図4参照)。
電気回路基板6は、セル電圧検出用の制御ユニット2を構成する電子素子などからなる電気部品を設置したプリント基板などからなる。電気回路基板6には、第1〜3コネクタ部5a〜5cおよび接続コネクタCに設けられた接続端子10a〜10cおよび中継端子10dが半田付けされるスルーホール6a〜6dと、電子素子が半田付けされるスルーホール(図示せず)と、ハウジング5の位置決め突起5oに係合する位置決め部6eと、が設けられている。電気回路基板6は、収納空間5eを閉塞するようにして、接着剤流れ込み防止壁5iおよび接着剤充填溝5hの内側に設置されて、ハウジング5にねじ止めされている。
図2に示すように、カバー7は、ハウジング5に載設された電気回路基板6の上側を覆って、電気回路基板6をハウジング5との間に密閉するための合成樹脂製の蓋部材である。カバー7の外周部には、ハウジング5に向かって湾曲形成された外周縁7dと、この外周縁7dの内側近傍に形成されてハウジング5の接着剤充填溝5hに挿入される環状突起7bと、この環状突起7bの外側に形成された弾性係止片7aと、位置決めピン7eと、が一体形成されている。カバー7の上面には、カバー7をハウジング5に取り付けたときにロックピン5mに連結されて、回動することにより、ロックピン5mを締め付けるためのカムロック7cが設けられている。カバー7は、周囲に複数形成された弾性係止片7aが係止爪5gに係止することと、全周の近傍の環状突起7bが接着剤11によってハウジング5の接着剤充填溝5hに封止されることとにより、ハウジング5に密着されている。
カバー7の外周縁7dとハウジング5の外壁5jとの間には、カバー7をハウジング5に組み付けたときに、接着剤充填溝5hに充填された接着剤11の状況を確認できるようにするために、1mm程度の隙間がある(図6参照)。
なお、カバー7は、特許請求の範囲に記載の「上部部材」に相当する。
図6に示す接着剤11は、合わせ目に形成された環状突起7bと接着剤充填溝5hとを接着して密着させるためのものであり、例えば、シリコーン系のゲル剤などの熱硬化型接着剤からなる。接着剤11は、図4に示す接着剤充填溝5hに、図5に示すように所定量流し込まれる。接着剤11が接着剤充填溝5hに流し込まれる量は、図6に示すように、外壁5jより低く、接着剤充填溝5hに環状突起7bが挿入されたときに、接着剤11が外壁5jから溢れ出ない程度の量にする。
次に、図1〜図6を参照して、本発明の実施形態に係る電気回路基板用ケースの作用を組付手順とともに説明する。
まず、図1に示す接続端子10a〜10cを非導電性の合成樹脂でインサート成形してハウジング5を形成する。図2に示すように、このハウジング5の接続コネクタCに、スライダ12を挿入し、このスライダ12の上に中継端子10dを有する中継部材5dを設置してハウジング5を完成する。
なお、組み付け時には、接着剤11が中継端子10dに付着することがないため、中継端子10dとセパレータ接続端子4aとの間に接着剤11が流れ込んで導通不良が起きることも防止される。
また、制御ユニット2を燃料電池FCへ取り付け、取り外しを行うときには、セパレータ接続端子4aが中継端子10dに接着剤11によって接着されることがないため、セパレータ接続端子4aの挿抜が常に容易に行えるようになる。
なお、電気回路基板用ケース1の形状やコネクタの数は、図1に示すように、略四角形で、第1〜3コネクタ部5a〜5cおよび接続コネクタCを備えたものに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、電気回路基板用ケース20の形状は、設置箇所などに合わせて適宜に形成すればよく、また、コネクタ20a,20bの数や端子21,22の数は、電気回路基板用ケース20の使用目的に応じて適宜な数にすればよい。なお、図7に示す電気回路基板用ケース20は、燃料電池FC(図1参照)に設置されるOCV ECU(Open Circuit Voltage Electronic Control Unit)であり、前記制御ユニット2(セル電圧ECU)と同様に、ZIFコネクタからなる接続コネクタC1を備えている。
4 端子群
4a セパレータ接続端子(接続端子)
5 ハウジング(下部部材)
5d 中継部材
5h 接着剤充填溝
5i 接着剤流れ込み防止壁(壁)
5k 傾斜面
6 電気回路基板
7 カバー(上部部材)
7b 環状突起
7c カムロック
10d 中継端子
10e 雌端子部
10f 可動部
11 接着剤
12 スライダ
C 接続コネクタ
FC 燃料電池(接続対象機器)
Claims (5)
- 上部部材と下部部材とを含んでなり、前記上部部材の周囲および前記下部部材の周囲の合わせ目が接着剤で接着される電気回路基板用ケースにおいて、
前記電気回路基板用ケースは、凸状に伸びる接続端子が複数配置された電気接続用の端子群を有する接続対象機器の前記端子群を収容する接続コネクタを内部に備え、
前記合わせ目と前記接続コネクタとが近接する部分には、前記接着剤が前記接続コネクタ側に流れ込むのを防止する壁が設けられていること
を特徴とする電気回路基板用ケース。 - 請求項1に記載の電気回路基板用ケースであって、
前記電気回路基板用ケースには、電気部品を設置した電気回路基板が設けられ、
前記壁は、前記電気回路基板が設置された高さより、低く形成されていること
を特徴とする電気回路基板用ケース。 - 請求項1または請求項2に記載の電気回路基板用ケースであって、
前記壁は、前記接着剤が接着される側の先端部に傾斜面を有すること
を特徴とする電気回路基板用ケース。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気回路基板用ケースであって、
前記下部部材には、周部に前記接着剤を充填するための接着剤充填溝が形成され、
前記上部部材には、前記接着剤充填溝に挿入されて接着される環状突起が設けられていること
を特徴とする電気回路基板用ケース。 - 請求項4に記載の電気回路基板用ケースであって、
前記壁は、前記接着剤充填溝の前記接続コネクタが設置されている側に隣設されていること
を特徴とする電気回路基板用ケース。
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