JP4316895B2 - 流体ジェット装置用メンテナンスモジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体ジェット装置に関する。より詳しくは、本発明はインクジェット式印刷装置とインクジェット式印刷装置のプリントヘッドに取りつけるために形成されたメンテナンスモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
流体ジェット装置は広く使用されている。そのような装置に特に使用される一つはインクジェット式プリンタである。多数の基本的なタイプのインクジェット式プリンタがある。一つのタイプのプリンタは作動流体(例えばインク)をプリントヘッドに移動するためにキャピラリ作用を利用するものである。インクはプリントヘッドから一つ以上のオリフィスを介して目的とする基板へ導入される。インクジェット式プリンタはオリフィスを介してインクを導入するためのアクチュエータを含んでいる。アクチュエータはピエゾ要素、熱転写装置及び同様のものを含んでいてもよい。例示的なインクジェット式プリンタヘッドは、De Young等による特許文献1に開示されている。
【0003】
通常、プリントヘッドは供給装置からアクチュエータへオリフィスを介してのインク流れのために形成された流路あるいはチャンバを含んでいる。プリントヘッドの通常運転時、インクは流路あるいはチャンバにアクチュエータの作動がインクを、アクチュエータを介して流路内に吸引し、オリフィスを介して流出する。しかしながら、流体チャンバに(オリフィスを介して)流入する空気又はごみ又はホコリが、オリフィスにたまり、流体ジェット装置の不適切な運転をもたらすことが判明した。空気及びホコリは、流路におけるインク吸引の減少をもたらし、さらにオリフィスを介してのインク噴射の失敗を引きおこす。従って、プリントヘッドの効果的な運転のために、インク流路あるいはチャンバは空気やごみやホコリを回避しなければならず、さらに流路はインク充填状態になければならないことが判明した。
【0004】
インクの空気混入を回避することによるか、又はホコリがオリフィスにたまることを回避することにより、プリントヘッドの不適切な運転を防止するために多くの装置、構造体及び方法が提案され使用されてきた。これらの構造体及び方法のあるものは、空気混入及びホコリのたまりを回避することを意図するものであり、またあるものは空気混入やホコリの影響を緩和することを意図するものである。さらに他のあるものは、すでに装置に混入した空気を除去、あるいはすでにオリフィスにたまったホコリを除去することを意図しているものである。
【0005】
しかしながら、そのような“メンテナンス”用の構造は、プレート、流体(例えば空気)供給装置、真空ライン及び同様なものから構成される装置を、プリントヘッドの周囲に必要とすることが判明した。これらの構造体及び方法の多くは効果のあることが判明したけれど、その複雑さのために装置全体としてのコストの増加をもたらし、かつ構造及び構成部品の複雑さゆえに装置の損傷を招くことが判明した。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4418355号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、簡単で単純な構造の、流体ジェット装置用メンテナンスモジュールが必要である。最も好ましくは、そのようなメンテナンスモジュールは流体ジェット装置にたまるかも知れない混入空気及びホコリのために使用される、流体ジェット装置からのパージ流体を集めることを容易にすることである。最も好ましくは、そのようなメンテナンスモジュールが、パージサイクル時に装置から噴出されたかも知れない流体を取りのぞくために、流体ジェット装置を真空引きするための装置と協働することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
メンテナンスモジュールは、装置の前面を清浄に維持することを容易にするために、流体ジェット装置の前面に取りつけられる。モジュールはお互いに取りつけられた第一及び第二プレートを含んでいる。両プレートは縦軸と縦軸に直交する横軸とを画成している。
【0009】
第一すなわち後方プレートは、流体ジェット装置の流体チャンバに重なるチャンバプレート/オリフィスプレートである。第一プレートはそこに形成された複数のオリフィスを有している。本実施例において、第一プレートはわずかに離間したオリフィスの平行列を有している。オリフィスは、縦軸に平行に第一プレートの縦の縁の内側に延在している。
【0010】
第一プレートは、そこに形成された真空用開口部を、第一プレートの横の縁附近に含んでいる。真空用開口部は好ましくは縦軸に沿って形成され、かつ縦軸と横軸とにより画成された平面に垂直に第一プレートの中へ延在している。本実施例において、真空用開口部は内側に向けてテーパのついた壁面を有している。
【0011】
メンテナンスモジュールを流体ジェット装置に取りつけるために、第一プレートが複数の取りつけ用開口部を含んでいてもよくて、その取りつけ用開口部は第一プレートの対向している縦の縁に沿って縁の内側に延在している。取りつけ用開口部は縦軸に平行に形成され、かつオリフィスの外側に離間している。第一プレートはその外周囲に延在しているフランジを含んでいてもよい。
【0012】
第二プレートは第一プレートに取りつけられ好ましくは接着されている。第二プレートは、第一プレートを覆って延在している、第二プレートに形成された細長いチャンネルを有していて、オリフィスがその細長いチャンネルを通して露出するようになっている。チャンネルは、縦軸に平行に延在し好ましくは縦軸に関して対称的に形成された、対向している縦の縁により画成されている。
【0013】
チャンネルはチャンネルの端部附近においてテーパ付きの縁を有している。テーパ付きの縁は弧状の漏斗領域に集まっている。第二プレートは、漏斗領域が真空用開口部の縁に沿って延在するように第一プレートに重なっている。本実施例において第二プレートは、第一プレートの取りつけ用開口部に対応し上方で整列する、複数の留め金具用開口部を含んでいる。
【0014】
流体ジェット装置へのモジュールの整列を容易にするために、メンテナンスモジュールがお互いに整列する第一プレートと第二プレートとに形成された配向用ノッチを含んでいてもよい。本実施例において、配向用ノッチはフランジを除いて第一プレートにまで貫通して形成されている。
【0015】
メンテナンスモジュールは、ポリマコーティングを有する第二プレートにより形成されてもよい。コーティングはプレートを清浄状態に維持することを容易にしている。
【0016】
本発明における、これらの及び他の特徴と利点とは、以下の詳細な説明及び前述の特許請求の範囲により明瞭になるであろう。
【0017】
本発明における長所及び利点が、当業者において以下の詳細な説明と図面とを検討することにより明瞭になるであろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は種々の形状の実施例が可能である一方で、好適な実施例が図示され後述されているものの、本開示は本発明の例示と考えるべきでありかつ本発明を例示した特定の実施例に限定されるべきものではないことは理解されるべきである。
【0019】
ここで引用しているすべての特許は、本開示の明細書において特定の有無にかかわらず、参考としてここに包含するものです。
【0020】
本開示において、単数で記載の用語は単数及び複数を含んでいて、逆に複数で表示の用語には単数も含まれている。
【0021】
図1において、図示されたプリントヘッドのような、例示の流体ジェット装置12に取りつけたメンテナンスモジュール10が示されている。本発明はプリントヘッドあるいはインクジェット装置を参照して説明されているけれど、当業者においては、本メンテナンスモジュール10は、インクジェット式プリントヘッド、接着剤噴射装置及び他の同様なものを含めて、限定することなくいずれの流体ジェット装置12にも使用可能であることが理解されるであろう。前述したようにプリントヘッド12は、作動時に流体を噴出あるいは押し出す複数のアクチュエータ(図示されてない)を含んでいる。流体は、前面プレートの複数のオリフィス(図示されていない)を通って装置から流出する。
【0022】
メンテナンスモジュール10は流体ジェット装置12の前面に取りつけられる。メンテナンスモジュール10はチャンバプレート/オリフィスプレートと見なされる後方プレート14を含んでいる。後方プレート14は、長軸(縦軸)16及び短軸(横軸)18を形成する、細長い部材である。後方プレート14は複数の取りつけ用穴20を含んでいて、その取りつけ穴20は後方プレート24の長軸16に平行な細長い縁22a、22b各々に、隣接かつ平行に延在している。取りつけ用穴20は、24において示されるように、メンテナンスモジュール10を流体ジェット装置に取りつけることを可能にすべく、座ぐり加工あるいはテーパ加工されていて、モジュール10を取りつけるために使用する留め金具(図示されていない)が、モジュール10に対して同一高さ(あるいは凹部)になるようになっている。
【0023】
プレート14はプレート14に縦方向に沿ってほぼ中央に形成された複数のオリフィス26を含んでいる。本実施例において、オリフィス26a、bの二つの平行な列が、長手軸16に平行にプレート14に形成されている。オリフィス26a、bは、アクチュエータから基板へ噴出される流体用流路を提供している。
【0024】
後方プレート14は、後方プレート14の短軸方向すなわち横方向の一方の縁30の内側に形成された、真空用開口部28を含んでいる。真空用開口部28は主軸方向あるいは縦軸方向の縁22a、bの間で縁30の内側に形成されている(実質的に縦軸16に沿って)。好適な実施例において、真空用開口部28は、32で示すように面取りすなわちテーパ付きの縁を有して形成されている。すなわち、後方プレート表面34と真空用開口部28との間に形成された角度は90°未満である(端部における鋭角を回避している)。
【0025】
後方プレート14はさらに後方すなわち取りつけ用フランジ36を含んでいる。本実施例において、フランジ36は後方プレート14の一部あるいは一体品として形成されている。本実施例において、後方プレート14が、モジュール10に構造的一体性及び強度を提供するために金属のような、剛な材料から作られている。ノッチ38が、一方の長軸方向の縁22aに沿って後方プレート14に形成されていてもよい。ノッチ38はプリントヘッド12におけるモジュール10の正しい配向を容易にしている。現実施例において、ノッチ38は後方プレート14の前面部分を貫通して延在しているけれど、後方フランジ36へは延伸していない。
【0026】
メンテナンスモジュール10は、後方プレート14に取りつけられたメンテナンスプレートすなわち前方プレート40を含んでいる。メンテナンスプレート40は、前方プレート40の縦の縁44a、bに平行に内側に延在している、複数の留め金具用開口部42を含んでいる。メンテナンスプレートの留め金具用開口部42は後方プレートの取りつけ用穴20に対応している。そのメンテナンスプレート40は比較的薄い部材(約0.254mm(約10mil すなわち10/1000in))であり、留め金具用開口部42は座ぐり加工というよりは貫通開口部である。このことが、メンテナンスモジュール10を流体ジェット式ヘッド12へ取りつけるために使用される留め金具(図示されていない)を同一高さ(あるいは低い表面)に取りつけることも可能にしている。メンテナンスプレート40は後方プレート38のノッチ30に対応するノッチ46を含んでいてもよい。このノッチ46はプリントヘッド12におけるモジュール10の正しい配向を保証するために使用される。
【0027】
細長い中央チャンネル48がメンテナンスプレート40に形成されている。中央チャンネル48は留め金具用開口部42の内部に(間に)形成されていて、後方プレートのオリフィス26を完全に露出するためにメンテナンスプレート40に縦に沿って延在している。本実施例においてチャンネル48は、一対のほぼ平行で離間した縁50a、bにより形成されていて、一方の端部(50cにおいて示すような)が半円形の縁52に接続していて、対向している縁(50dにおいて示すような、真空用開口部28に重なっている)はお互いに向けてテーパが付いていて弧状の中央領域50eで終点となっている。弧状の中央領域50eは、後方プレート14において真空用開口部28を覆って終点となっている漏斗領域を画成している。チャンネルの縁のテーパ(50dにおける)オリフィス26から流出されるけれど基板へは噴出されない流体を導入することを容易にしている。例えば注入あるいは充てんサイクルの際、オリフィス26からインクがしたたり落ちる場合又はオリフィス26からインクが流出する場合、例えば、チャンネルの縁50a、bとテーパ50dと漏斗領域50eとは、流体(例えばインク)を真空用開口部28へ導入するようになっている。
【0028】
図6において、種々のテーパ(メンテナンスプレートのチャンネル50d、eとチャンバプレート/オリフィスプレートの真空用開口32とにおける)がX軸、Y軸およびZ軸を引用して説明されるであろう。なお、X軸は後方プレートの横軸すなわち短軸18に平行であって、Y軸は後方プレートの縦軸すなわち長軸16に平行であり、Z軸はプレート14に直交すなわちX軸とY軸で規定される平面に直交している。メンテナンスプレートのチャンネルの50dにおけるような縁はY軸方向内側に向けて(お互いに向けて)テーパがついていて、後方プレートの真空用開口部の32におけるような縁はZ軸方向内側に向けてテーパがついている。この多方向式テーパは、チャンネル48内の流体を、単にチャンネル48の基部のテーパの付いた領域(50dにおけるような)に集めるというよりは、むしろ真空用開口部28に向けてその中へ導入することを容易にしていることが判明した。このことがメンテナンスプレートのチャンネル48内におけるチャンバプレート/オリフィスプレート14の前面を落下するいずれの流体をも除去すなわち真空吸引することを非常に容易なものとしている。
【0029】
前述したように、メンテナンスプレート40は金属好ましくはステンレス鋼から作られている。しかしながら、プレート40は比較的薄い要素である。このため、メンテナンスプレート40は好ましくは、例えば接着剤により後方プレート14に接着されている。接着剤は、いずれのオリフィス26内部あるいは近傍において接着剤の露出を回避するように塗布されるべきである。コーティング(54で示すような)をメンテナンスプレート40外表面に塗布してもよいことが判明している。例えば、TEFLON(登録商標名)のようなフッ素樹脂のコーティング54は、プレート40の洗浄を容易にしかつプレート40にほこりがないように保つために塗布されてもよい。
【0030】
本流体ジェット式装置12及びメンテナンスモジュール10は垂直方向(すなわち縦軸16が垂直)に図示されているけれど、当業者においては、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、本プレート10を水平向きあるいは垂直と水平との間の角度のジェット式装置へ取りつけるために配向してもよいことは理解されるであろう。
【0031】
前述から、本発明における新規な概念の精神及び範囲を逸脱することなく多くの修正及び変更が可能であることは理解されるべきであろう。例示した特定の実施例に限定することを意図したり、意味したりするものではないことが理解されるべきである。本開示は前述の特許請求の範囲により、特許請求の範囲にかかわるようなすべての修正を保護することを意図しているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例であるメンテナンスモジュールを取りつけた例示のプリントヘッドの斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるメンテナンスモジュールの正面図である。
【図3】図3は、メンテナンスモジュールの右側側面図である。
【図4】図4は、メンテナンスモジュールの左側側面図である。
【図5】図5は、メンテナンスモジュールの平面図である。
【図6】図6は、図1における円で囲んだ部分に示す、メンテナンスモジュール下部の部分図である。
【符号の説明】
10…メンテナンスモジュール
12…流体ジェット装置
14…第一プレート、後方プレート
26…オリフィス
28…真空用開口部
40…第二プレート、前方プレート
48…チャンネル

Claims (11)

  1. 流体ジェット装置用メンテナンスモジュールが第一プレートと第二プレートとを具備していて:
    該第一プレートは、縦軸と該縦軸に直交している横軸とを画成しており、縦軸に平行に該第一プレートの縦の縁の内側に延在している、該第一プレートに形成された複数のオリフィスを有していて、さらに該第一プレートの横の縁附近において該第一プレートに形成された真空用開口部を含んでおり、該真空用開口部が該縦軸と該横軸とに画成された平面に直交して形成されていて;
    該第二プレートは、該第一プレートに取りつけられており、縦軸と該縦軸に直交している横軸とを画成していて、該第二プレートは該第一プレートを覆って延在している細長いチャンネルを有し該オリフィスが該細長いチャンネルを通して露出されるようになっており、該細長いチャンネルは、該縦軸に平行に延在している対向した縦の縁により画成されていて、さらに弧状の漏斗領域に集まるテーパ付きの縁を該細長いチャンネルの端部附近に有しており、該第二プレートは、該漏斗領域が該真空用開口部の縁に沿って延在するように該第一プレートに重なっている;
    ところの流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  2. 該第一プレートに形成された該複数のオリフィスが平行な二つの列に配置されている、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  3. 該真空用開口部が該縦軸に形成されているところの、さらに該細長いチャンネルが該縦軸に関して対称的に形成されているところの、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  4. 該第一プレートが、該第一プレートに形成された複数の取りつけ用開口部を含んでいて、該取りつけ用開口部は、該第一プレートの対向している縦の縁に沿って、かつ該縦軸に平行に、さらに該オリフィスから外側に離間して延在しているところの、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  5. 該取りつけ用開口部が座ぐり加工されているところの、請求項4に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  6. 該第二プレートが、該第一プレートの取りつけ用穴に対応し上方で整列している複数の留め金具開口部を含んでいるところの、請求項4に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  7. 該真空用開口部が内側に向けてテーパのついた壁面を有して形成されているところの、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  8. 該第二プレートに形成された配向用ノッチと該第一プレートを部分的に貫通して形成された配向用ノッチとを含んでいて、両方の該ノッチがお互いに整列しているところの、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  9. 該第一プレートが、該第一プレートの外周囲に延在しているフランジを含んでいるところの、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  10. 該第二プレートがポリマーコーティングを有しているところの、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
  11. 該第二プレートが該第一プレートに接着されているところの、請求項1に記載の流体ジェット装置用メンテナンスモジュール。
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