JP4316758B2 - 顔料分散液、該分散液を内蔵した筆記具及びプリンター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料分散液に関し、更に詳しくは低粘度で流動性に優れ、筆記又はプリンター用等として有用な顔料分散液及び該分散液を内蔵した筆記具及びプリンターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維束芯やフエルト芯を使用した筆記用具に使用するマーキングインキは、樹脂と色素と溶剤とから作られ、色素としては染料が使用され、溶剤としては芳香族系の溶剤が使用されている。これは芳香族系溶剤が染料の溶解性に優れているためである。しかし、芳香族系溶剤は人の健康にとって特に有害な溶剤であり、更に大気汚染物質でもある。芳香族系溶剤を使用しないマーキングペンの検討もなされているが、筆記した画像の濃度、耐光性、他物品への移行性等で満足できるマーキングインキは得られていない。
【0003】
インキジェット印刷は、コンピューターに制御されたデジタル印刷であり、その印刷情報は、コンピューターよりケーブルを通してインキジェット機器に直接供給されて画像を形成するので、一般の印刷機おける製版は必要ない。そのため印刷部数の少ないディスプレイの印刷には特に適しており、近年のインキジェットプリンターの進歩は高精細で大サイズの印刷を可能にしている。そのためのインキとしては低粘度で安定性の優れたものが必要である。溶剤系で染料を使用したインキジェット印刷用インキは知られているが、顔料を使用した溶剤系のインキジェット印刷用インキは、その製造が技術的に困難なために、顔料を用いたインキジェット印刷用インキとしては水性インキが使われている。
【0004】
しかし、水性インキジェット印刷用インキでは、顔料のバインダー若しくは展色剤として使用する樹脂の量が極めて少なく、そのために良好なインキの接着や発色が得られない。又、プラスチックフィルムに対するインキの接着性の問題もある。従って顔料を使用し、芳香族系溶剤を使用せず、更に望ましくはアルコール系溶剤を使用し、発色性が良いインキジェット印刷用インキの開発が強く望まれている。しかしながら、従来の技術では塗料等でみられる如く、顔料を樹脂溶液に分散するについては、顔料の分散について樹脂の分散力に多くを期待し、顔料の分散が、樹脂のみの分散力で不十分な場合には従来から比較的低分子量の顔料分散剤(界面活性剤等)を併用してきた。そして重合体に顔料の分散力を付与するために、重合体にカルボキシル基を導入する場合には、重合に際し単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の如くカルボキシル基を有する単量体が混合使用されてきた。
【0005】
しかし、筆記具用及びプリンター用顔料インキは、一般的な塗料と比べ、要求される粘度が極端に低く、更に要求される顔料の分散程度も極めて高度である。そのために従来行なわれてきた重合体分散剤を用いる分散方法では、顔料の分散が不十分であったり、顔料と重合体分散剤との親和性不足による顔料からの重合体分散剤の脱着やインキの粘度の経時変化が起こり、要求される性能を有する筆記具用及びプリンター用顔料インキを得ることは極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
筆記具用及びプリンター用顔料インキの溶剤として、エチルアルコールやその他の有機溶剤中毒に対する許容限界の高い溶剤が使用できれば、筆記具や記録機器を使用している人や、同じ部屋又は同一環境の人の健康に及ぼす溶剤による悪影響が少なく、又、芳香族系溶剤を使用しないことで大気汚染の問題も改善でき、更に水性顔料インキの欠点である遅い乾燥性やプラスチックフィルムに対するインキの弾きの問題がない。
【0007】
更にアルコールは自然界からの再生可能な資源であり、インキの溶剤として好ましい。しかしながら、従来公知のアルコールに可溶な樹脂では、顔料の分散に分散剤を併用しても、筆記具用及びプリンター用顔料インキに必要な低粘度・顔料の高分散・液の高安定性を有する上記のインキを得ることが極めて困難である。
従って本発明の目的は、アルコール又は安全性の高いその他の溶剤に可溶な重合体分散剤を顔料に対して十分な量で使用して、低粘度で且つ顔料分散性の良い、筆記具用及びプリンター用顔料インキ等に適した顔料分散液を開発し、筆記具や記録機器を使用している人や、同じ部屋又は同一環境にいる人の健康に及ぼす悪影響が少ない顔料分散液を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意研究した結果、特定のカルボキシル基を側鎖として有する重合体を顔料分散剤兼展色剤として使用することで、本発明の目的を達成できることを見い出した。即ち、本発明は、顔料と重合体と溶剤とからなる顔料分散液において、上記顔料が、カチオン化処理剤によりカチオン化された顔料であり、上記重合体が、環状化合物の二塩基酸無水物と水酸基を有する付加重合性単量体との反応生成物である単量体(A)と、単量体全量中で20〜60重量%の水酸基又はアミド基を有する単量体(B)とを含む単量体の共重合体であり、上記溶剤が、アルコール系溶剤であり、上記カチオン化処理剤が、下記式A又はBで表される化合物であることを特徴とする顔料分散液、該分散液を内蔵した筆記具及びプリンターを提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用する重合体分散剤(以下単に「重合体」という)は、側鎖に二塩基酸に基づくカルボキシル基を有している。更に望ましくは該カルボキシル基は、環状化合物の二塩基酸に起因して生じるカルボキシル基である。このような重合体は以下の方法で得ることができる。該方法は、付加重合性基とカルボキシル基の両方を有する単量体、望ましくは飽和又は不飽和のカルボキシル基含有環状化合物の残基が直接又は連結基により結合している単量体(下記式1参照)と、該単量体と共重合し得る他の単量体とを混合して重合する方法である。
【0010】
【0011】
上記方法で使用するカルボキシル基を有する飽和又は不飽和の環状化合物の残基が直接又は連結基により結合している単量体(上記式1)としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシブチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキルテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸−モノ(メタ)アクリロイルオキシアルキル等が挙げられる。これらの単量体を用いて重合体を合成するについては、共重合可能な他の単量体と混合して重合することができる。上記のカルボキシル基含有単量体は、共重合時に使用する単量体全量中で0.2重量%以上、好ましくは1〜30重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0012】
上記共重合に使用できる他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸べンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸テトラフルフリル等;水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと二塩基酸とのモノエステルとジオールのエステル、例えば、[琥珀酸、フタル酸、又はシクロヘキサンジカルボン酸と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルのモノエステル]と[エチレングリコール又はプロピレングリコール]とのモノエステル等;アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、例えば、(メタ)アクリル酸ブトキシメチルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、Nーアルキルオキシエチル(メタ)アクリルアミド等が使用でき、更に(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系単量体が使用できる。更にスチレン、スチレン誘導体、例えば、α−メチルスチレン等;二塩基酸のモノ又はジエステル、例えば、マレイン酸のジアルキルエステル、フマル酸ジアルキロールエステル、イタコン酸のジシクロアルキルエステル等;更に酢酸ビニル等が使用できる。
【0013】
本発明においては、顔料分散液の溶剤としてアルコール系溶剤又はアルコール系溶剤を含む混合溶剤(以下単に「アルコール系溶剤」という)を使用することが好ましい。アルコール系溶剤を使用する場合には、上記方法で得られる重合体は上記溶剤に可溶性でなければならない。このような重合体を得るためには上記の単量体の中で、水酸基又はアミド基を有する単量体を、使用する単量体全量中で20〜60重量%の範囲で使用することが必要である。
【0014】
本発明で使用する重合体を得る重合方法は、懸濁重合でも溶液重合でもよい。該重合体は数平均分子量が2,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000である。酸価は0.5から200であり、好ましくは2〜60である。本発明では顔料分散液の製造に際しては、上記重合体以外の樹脂を配合して使用することもできる。
【0015】
本発明で使用する顔料としては、従来公知の有機顔料及びカーボンブラックを使用することができる。例えば、アゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン・ペリノン系、インジゴ・チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチン系、アゾメチンアゾ系、キナクリドン系、アニリンブラック系、フタロシアニンブルー・グリーン系、ジオキサジンバイオレット、カーボンブラック等が使用することができる。
【0016】
本発明で使用する顔料の表面は、カチオン性であることが好ましい。該カチオン性は、カチオン系顔料処理剤を顔料に吸着又は付着させたことに由来するものでも、又は顔料表面にカチオン系顔料処理剤が反応し又は造塩したものでもよく、特に限定されない。
【0017】
望ましい顔料処理剤としては、顔料と親和性を有する部分として、使用する顔料に近い構造を有するカチオン系顔料処理剤が優れており、例えば、アントラキノン環を含む化合物に連結基を介してカチオン性基が連結しているカチオン系顔料処理剤が使用できる。カチオン性基については特に限定されないが、第三級アミノ基が一般的である。これらの条件を満たすものとして、下記構造式で表わされるカチオン性顔料処理剤が挙げられる。
【0018】
【0019】
本発明で使用するアルコール系溶剤としては、エチルアルコール、プロピルアルコール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロピルオキシエタノール等があり、単独で又は二種以上を混合して使用することができる。更に本発明の顔料分散液の使用目的、例えば、高度の耐水性・耐候性等が必要な場合又はプラスチックフィルムに対する接着性が要求される場合には、更にエステル系溶剤及び/又はケトン系溶剤を使用し又は配合して使用することができる。
【0020】
使用できるエステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸シクロへキシル、酪酸エチル、乳酸エチル等が使用できる。又、使用できるケトン系溶剤として、例えば、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルブチルケトン等が使用できる。更に筆記又は記録後の乾燥時の画像の白化防止として必要であればイソホロン、ベンジルアルコール等を少量配合することができる。これ以外の溶剤についても本発明の趣旨に反しない範囲で併用することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態として、上記の重合体と顔料と顔料処理剤と溶剤とを使用して本発明の顔料分散液を得るには、顔料を予め顔料処理剤で処理した後、処理顔料を重合体の溶剤溶液に分散する方法と、処理してない顔料と顔料処理剤を重合体液に混合し、分散機で分散処理する方法がある。
【0022】
顔料を予め顔料処理剤で処理した後、処理顔料を重合体の溶剤溶液に分散させる場合には、次の如き方法が挙げられる。
(1)硫酸等に顔料及び顔料処理剤を溶解した後に、該硫酸溶液を水中に析出させ、中和・濾過・水洗・乾燥・粉砕により処理顔料を得る方法。
(2)顔料処理剤を硫酸、塩酸、又は酢酸等の塩とし、水中で顔料と混合し、必要であれば分散機で分散処理して顔料の表面に顔料処理剤を吸着させた後アルカリ析出し、濾過・水洗・乾燥・粉砕により処理顔料を得る方法。
(3)酢酸等の液状の有機酸に顔料処理剤を溶解し、顔料を加え、必要であれば分散機で分散処理をして顔料表面に顔料処理剤を吸着させた後、アルカリを含む水に投入・析出し、濾過・水洗・乾燥・粉砕により処理顔料を得る方法等。
【0023】
分散処理をした顔料を使用して顔料分散液を得る場合は、更に固形の重合体に顔料を分散させ(以下顔料チップと称す)、該顔料チップを溶剤に溶解し、必要であれば更に重合体を追加して顔料分散液を得ることもできる。顔料チップを得る方法としては次の如き方法が挙げられる。
(1)懸濁重合で得た固形の重合体、又は溶液重合を行ない、溶剤を除去した固形の重合体と、処理顔料をニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロール、又は三本ロールを単独で又は組み合わせて使用し、加熱下で顔料を重合体中に分散し、粉砕又は切断してチップを得る方法。
(2)重合体の水溶性溶剤溶液と、処理顔料のプレスケーキをニーダーで混合し、重合体の軟化温度又はそれ以上に加熱して水を除去し、必要であれば更に三本ロールや押し出し機で分散し、粉砕又切断して顔料チップを得る方法。
(3)顔料のプレスケーキと固形の重合体を、重合体の軟化温度以上でフラッシングする方法等。
【0024】
又、処理してない顔料と顔料処理剤を重合体液に混合し、分散機で分散処理する場合は、該重合体の溶剤溶液に顔料と顔料処理剤とを添加し、必要であれば予備混合し、分散機で分散し、顔料分散液とする。本発明において使用できる分散機としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、アトライター、ボールミル、ガラスビーズやジルコンビーズ等を使用したサンドミルや横型メディア分散機、コロイドミル等が使用できる。
【0025】
本発明の顔料分散液の顔料濃度は、顔料の種類にもよるが、分散液中で0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%で、重合体は顔料100重量部当たり5〜600部、好ましくは20〜500重量部である。分散液の粘度は1〜50mPs/sec、好ましくは2〜30mPs/secである。又、分散液中の顔料の平均粒子径は0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下である。特に重要なことは顔料分散液の粘度の経時安定性が優れていることである。
【0026】
本発明においては、顔料分散液に各種の添加剤を加えることができる。例えば、紫外線吸収剤、抗酸化剤等の耐久性向上剤;沈降防止材;剥離剤又は剥離性向上剤;芳香剤、抗菌剤、防黴剤;可塑剤、乾燥防止剤等が使用でき、更に必要であれば染料を添加することもできる。得られた顔料分散液はそのままでもよいが、遠心分離機、超遠心分離機又は濾過機で僅かに存在するかも知れない粗大粒子を除去することが、筆記具又は記録機器の信頼性を高めるうえで好ましい。
【0027】
以上のようにして得られた本発明の顔料分散液を筆記具用インキとして用いる場合には、該顔料分散液を多孔質芯を有する容器に充填することで筆記具とし、該筆記具を用いて筆記することができる。容器は筆記し易い大きさと形状であればよく、特に制限はない。容器の材質は蓋を含めて、溶剤の透過が実質的にないものであれば、金属でもよく、又はプラスチックでもよく、又は複合材料でもよい。
【0028】
多孔質芯は容器の中から筆記に応じてインキ(顔料分散液)が芯の先端まで移動できるものであれば構造や材質は問わないが、筆記性、耐久性、耐溶剤性が必要である。例えば、繊維束の繊維やフエルト状芯の繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ビニロン等の合成繊維やセルロース及びセルロース系再生繊維、更には羊毛や絹や綿等の天然繊維等が使用できる。プラスチックの連続気泡性発泡体としては硬質及び軟質のウレタン樹脂発泡体やポリビニルアルコールのアセタール化物の発泡体や再生繊維の発泡体が使用できる。インキ吸蔵体としては繊維を束にした物、フエルト状にした物、編んだ物等、プラスチックの連続気泡性発泡体等が使用できる。
本発明の分散液は、筆記具用インキ及びプリンター用インキとして有用であるとともに、フレキソ印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、塗料用着色剤、皮革用着色剤、カラーフィルター用着色剤、ガラス又はプラスチックフィルムの表面着色剤都としても有用である。
【0029】
【実施例】
次に重合例及び実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中部又は%とあるのは重量基準である。
又、顔料の表面をカチオン性とするための処理剤として使用した顔料処理剤−1は、2,4−ビス[4−ベンゾイルアミノアントラキノニル(−1’)−アミノ]−6−ビス[(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]イミノ−s−トリアジン(下記式A)である。
顔料処理剤−2は、[CuPc−]−{−NH−トリアジン−(−N[−CH2CH2CH2−N(−CH3)2]2)2}4(下記式B)である。
【0030】
【0031】
【0032】
重合例1
α−メチルスチレン40部、イソボルニルアクリレート360部、ジアセトンアクリルアミド300部、ラウリルメタクリレート150部、メタクリロイルオキシエチルフタレート150部及びアゾビスイソブチロニトリル30部を用い、プロピレングリコールモノメチルエーテル1,500部を重合溶剤として115℃で単量体滴下法により重合した。25℃における粘度は245mPa/secで、分子量は8,600で、酸価は30.2であった。
【0033】
重合例2〜4
重合例1と同様にして下記表1の単量体配合にて表2の重合条件で重合を行ない、下記表2の重合液を得た。尚、重合液1についても表1及び表2に記載した。
【0034】
【0035】
【0036】
実施例1
重合体液−1を30部とエチルアルコール59.58部とエチルシクロヘキサン4部と顔料処理剤−1の0.42部とC.I.ピグメントレッド17の6部とを、横型メディア分散機にて顔料の平均粒径が0.098μm以下になるように分散する。遠心分離機で粗大粒子を除去して顔料インキ(顔料分散液)−1とする。該インキの粘度は3.98mPa/secであった。該インキを50℃で1ヶ月間保存した後粘度を計ったところ、4.06mPa/secであった。該インキをペン体に詰めてポリエチレンフィルムに筆記したところ、良好に筆記できた。又、顔料インキ−1の30部にエチルアルコール10部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加えて撹拌し、インキジェットプリンターにてポリスチレンフィルムに印刷したところ、良好に印刷できた。
【0037】
実施例2
重合体液−2の35部とエチルアルコール58.58部と顔料処理剤−1の0.42部とC.I.ピグメントブラック7の6部を横型メディア分散機にて、顔料の平均粒径が0.095μm以下になるように分散する。遠心分離機で粗大粒子を除去して顔料インキ(顔料分散液)−2とする。粘度は4.06mPa/secであった。該インキを50℃で1ヶ月間保存した後粘度を計ったところ、4.18mPa/secであった。顔料インキ−2をペン体に詰めて筆記したところ、良好に筆記できた。顔料インキ−2の30部に、エチルアルコール10部とプロピレングリコールモノエチルエーテル10部を加えて撹拌し、インキジェットプリンターにて、表面処理したポリプロピレンフィルムに印刷したところ、良好に印刷でき、接着も良好であった。
【0038】
実施例3
粗製銅フタロシアニンブルー10部と顔料処理剤−2の0.5部とを100部の98%硫酸に溶かす。撹拌しながら10,000部の水に注ぐ。苛性曹達にて中和し、70℃で濾過し、70℃の温湯で洗浄し、乾燥して処理顔料を得る。重合体液−1の30部とエタノール64部と該処理顔料6部とを横型メディア分散機にて顔料の平均粒径が0.092μm以下になるように分散し、遠心分離機にて粗大粒子を除去して顔料インキ(顔料分散液)−3とする。粘度は4.12mPa/secであった。該インキを50℃で1ヶ月間保存した後粘度を計ったところ、4.19mPa/secであった。顔料インキ−3をペン体に詰めて筆記したところ、良好に筆記できた。顔料インキ−3の30部に、エタノール10部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加えて撹拌し、インキジェットプリンターにてポリエステルフィルムに印刷したところ、良好に印刷できた。
【0039】
参考例1
重合体液−2の35部と酢酸エチル40部と酢酸ブチル15.6部と顔料処理剤−1の0.4部とC.I.ピグメントレッド 177の6部とを、横型メディア分散機にて顔料の平均粒径が0.105μm以下になるように分散し、遠心分離機にて粗大粒子を除去して顔料インキ(顔料分散液)−4とする。粘度は4.07mPa/secであった。顔料インキ−4を50℃で1ヶ月間保存した後粘度を計ったところ、4.19mPa/secであった。顔料インキ−4をペン体に詰めて筆記したところ、良好に筆記できた。又、顔料インキ−4を30部に酢酸エチル10部と酢酸ブチル10部を加えて撹拌し、インキジェットプリンターにてポリエステルフィルムに印刷したところ、良好に印刷できた。
【0040】
実施例4
C.I.ピグメントレッド48:3の水性プレスケーキ21.2部(顔料換算で6部)と重合液−4の10部と顔料処理剤−1の0.2部と顔料処理剤−3の0.2部とをニーダーに仕込み、80℃に加熱しながら練肉する。分離した水を除去する。均一になったら130℃の三本ロールで溶剤と残留水分を蒸発させながら3回練肉する。重合液−4の25部とエタノール40部と酢酸エチル35部に上記の練肉品10部を加えて撹拌及び溶解する。遠心分離機にて粗大粒子を除去して顔料インキ(顔料分散液)−5とする。粘度は4.18mPa/secであった。顔料インキ−5を50℃で1ヶ月間保存した後粘度を計ったところ、4.22mPa/secであった。顔料インキ−5をペン体に詰めて筆記したところ、良好に筆記できた。又、顔料インキ−5の30部にエタノール10部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加えて撹拌し、インキジェットプリンターにて印刷したところ、良好に印刷できた。
【0041】
比較例1
α−メチルスチレン40部、イソボルニルアクリレート400部、ジアセトンアクリルアミド360部、ラウリルメタクリレート150部、アクリル酸50部及びアゾビスイソブチロニトリル30部を用い、プロピレングリコールモノメチルエーテル1,500部を重合溶剤として115℃で単量体滴下法により重合した。25℃における粘度は310mPa/secで、分子量は10,200で、酸価は35.4であった。上記の重合体液30部とエチルアルコール59.58部とエチルシクロヘキサン4部に顔料処理剤−1の0.42部を加えて撹拌したところ、重合体がゲル化し、顔料インキ(顔料分散液)を作ることができなかった。
【0042】
比較例2
α−メチルスチレン40部、イソボルニルアクリレート400部、ジアセトンアクリルアミド360部、ラウリルメタクリレート150部、メタクリル酸50部及びアゾビスイソブチロニトリル30部を用い、プロピレングリコールモノメチルエーテル1,500部を重合溶剤として115℃で単量体滴下法により重合した。25℃における粘度は305mPa/secで、分子量は9,950で、酸価は32.6であった。上記の重合体液30部とエチルアルコール59.58部とエチルシクロヘキサン4部に顔料処理剤−1の0.42部を加えて撹拌したところ、重合体がゲル化し、顔料インキ(顔料分散液)を作ることができなかった。
【0043】
【発明の効果】
以上の如く、本発明により、低粘度で安定性が良く、筆記具用又はプリンター用として優れた適性を有する顔料分散液が得られた。該分散液は更に低粘度で流動性の優れた顔料分散液が望まれる他の分野、例えば、グラビア印刷やフレキソ印刷、カラーフィルターやステンドグラスの表面着色、皮革の着色等に使用して優れた効果が期待できる。
Claims (12)
- 分散液100重量部中において、顔料が0.5〜50重量部であり、重合体が顔料100重量部当たり5〜600重量部である請求項1に記載の顔料分散液。
- 重合体の酸価が0.5〜200である請求項1に記載の顔料分散液。
- 重合体の分子量が2,000〜100,000である請求項1に記載の顔料分散液。
- 環状化合物の二塩基酸無水物が、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる請求項1に記載の顔料分散液。
- 単量体(A)が、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシブチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキルテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタレート及び2,3−ナフタレンジカルボン酸−モノ(メタ)アクリロイルオキシアルキルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の顔料分散液。
- 顔料分散液が、筆記具用インキである請求項1に記載の顔料分散液。
- 顔料の平均粒径が0.2μm以下であり、重合体の酸価が2〜60であり、粘度が1〜50ミリパスカル(mPs/sec)である請求項7に記載の筆記具用インキ。
- 顔料分散液が、プリンター用インキである請求項1に記載の顔料分散液。
- 顔料の平均粒径が0.2μm以下であり、重合体の酸価が2〜60であり、粘度が1〜50mPs/secである請求項9に記載のプリンター用インキ。
- 顔料分散液が、フレキソ印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、塗料用着色剤、皮革用着色剤、カラーフィルター用着色剤、ガラス又はプラスチックフィルムの表面着色剤である請求項1に記載の顔料分散液。
- 請求項1〜11の何れか1項に記載の顔料分散液を内蔵していることを特徴とする筆記具又はプリンター。
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