JP4316081B2 - 画像形成装置部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ,プリンタ等の電子写真装置又は静電記録装置等において使用される画像形成装置部材の製造方法、この製造方法により製造された画像形成装置部材及びこの部材を装着した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真技術の進歩に伴い、乾式電子写真装置等の画像形成装置には、帯電用,現像用,転写用,トナー供給用,クリーニング用などに供される部材として、ポリウレタン部材が注目されており、帯電ローラ,現像ローラ,転写ローラ,トナー供給ローラ,クリーニングローラ等の弾性を有するローラやトナー層規制ブレード,クリーニングブレード等の弾性を有するブレードなどの形態で用いられている。ポリウレタン部材が、特に低硬度であることが求められる用途に供される場合、ポリウレタンフォームを充当することが好ましい。
ポリウレタン部材は、液状ポリイソシアネート成分と液状ポリオール成分とを反応硬化させることにより製造される。ポリウレタンをフォーム体とする方法としては、この反応硬化時に窒素ガス等の気体を吹き込みながら機械的攪拌により気体を巻き込む方法(メカニカルフロス法)、ポリオール成分に水を添加し、水とポリイソシアネート成分との反応により炭酸ガスを発生させる方法(水発泡法)、フロン類や低沸点炭化水素類等の低沸点の液体をポリオール成分に添加し、反応硬化時の温度上昇によりこの低沸点の液体を気化させる方法(発泡剤フロス法)等の方法がある。
メカニカルフロス法は、発泡硬化時に体積変化が少ない製造方法であるため、アスカーC硬度が25〜65°で密度が0.3〜0.8g/cm3 程度の中硬度高密度フォームを得るための好適な方法であり、水発泡法は、アスカーF硬度が30〜100°で密度が0.01〜0.3g/cm3 程度の低硬度低密度フォームを得るための好適な方法である。
メカニカルフロス法により、ポリウレタンフォームからなるローラなどの画像形成装置部材を製造するには、あらかじめ金属製のシャフトなどを配置し、予熱した内面が円筒状の金属モールドに、機械的攪拌により発泡させたポリウレタン原料を注型し、反応硬化させればよい。また、金属モールドにポリウレタン原料を注型し、機械的攪拌を加えながら反応硬化させてもよい。水発泡法により、ポリウレタンフォームからなるローラなどの画像形成装置部材を製造するには、まず、例えば内寸が1m×1m×1mの型枠にポリウレタン原料を高さ0.1mほど注ぎ、この原料が発泡すると共に膨張し、硬化することにより、1m×1m×1m程度のポリウレタンフォームブロックが得られる。次に、得られたブロックを所定のサイズに裁断し、穴を開け、シャフトを圧入し、切削又は研磨などの工程を経てローラなどの画像形成装置部材が製造される。
なお、フロン類を用いる発泡剤フロス法は、オゾン層を保護する観点から、また、低沸点炭化水素類を用いる発泡剤フロス法は、製造所における危険物管理の観点から、いずれも画像形成装置部材のポリウレタンフォームの製造には用いられていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
水発泡法により、ポリウレタンフォーム部材と他の部材からなる画像形成装置部材を製造する場合、ポリウレタンフォームブロックの裁断、穴開け、シャフト圧入、切削、研磨等の工程を必要とするため工程が煩雑となり、メカニカルフロス法と比較して生産性が劣るという問題がある。しかし、裁断、穴開け等の工程は各種のサイズの部材に比較的容易に対応可能であるため、水発泡法は多種の部材を少量生産するには好適な製造方法である。
一方、メカニカルフロス法は、あらかじめ発泡させたポリウレタン原料を、金属製シャフトなどの他の部材を配設し、かつ予熱した金属モールドに注型するため、硬化と同時にポリウレタンフォーム部材と他の部材とを接着させることができ、また、仕上がりのローラ形状とほぼ同型同サイズの金属モールドを用いて作製するので、裁断や研磨などの工程が不要であるか又は著しく簡素化することができ、生産性が高いという利点がある。しかしながら、多種の部材の少量生産に対応しようとすると、金属モールドの種類及び数が膨大なものとなり、採算がとれなくなるという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ポリウレタンフォーム部材と他の部材からなる画像形成装置部材の製造において、メカニカルフロス法等の機械的攪拌法によるポリウレタンフォーム部材の製造を、水発泡法よりも生産性が高いという利点を維持しつつ行うことにより、多種の画像形成装置部材の少量生産を経済的に行うことができる製造方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ポリウレタンフォーム部材1個分の大きさを有する型枠、すなわちポリウレタンフォーム部材を作製するのに必要充分な大きさの型枠に、あらかじめ発泡させたポリウレタン原料を注型し、硬化反応を進行させてポリウレタンフォーム部材を製造すれば、多種部材の少量生産に容易に対応できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、ポリウレタンフォーム部材と他の部材とからなる画像形成装置部材の製造方法において、ポリウレタンフォーム部材1個分の大きさを有する型枠にあらかじめ発泡させたポリウレタン原料を注型し、硬化反応を進行させてポリウレタンフォーム部材を作製することを特徴とする画像形成装置部材の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、あらかじめ発泡させたポリウレタン原料とは、メカニカルフロス法における機械的攪拌のように、ポリウレタン原料にあらかじめ気泡を混入させたもので、硬化反応と同時に発泡反応が進行する水発泡ポリウレタンフォームや発泡剤フロスポリウレタンフォームは含まれない。
本発明において、ポリウレタン原料をあらかじめ発泡させる方法としてはメカニカルフロス法が好ましい。メカニカルフロス法によりポリウレタン原料に混入させる不活性ガスは、ポリウレタン反応において不活性なガスであればよく、ヘリウム,アルゴン,キセノン,ラドン,クリプトン等の狭義の不活性ガスの他、窒素や乾燥空気等のポリウレタン原料と反応しない気体が挙げられる。
【0006】
ポリウレタン原料を構成するポリイソシアネートとしては、芳香族イソシアネート又はその誘導体、脂肪族イソシアネート又はその誘導体、脂環族イソシアネート又はその誘導体が用いられる。これらの中で芳香族イソシアネート又はその誘導体が好ましく、特にトリレンジイソシアネート又はその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネート又その誘導体が好適に用いられる。
トリレンジイソシアネート又はその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート,2,4−トリレンジイソシアネート,2,6−トリレンジイソシアネート,2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物,これらのウレア変性物,ビュレット変性物,カルボジイミド変性物,ポリオール等で変性したウレタン変性物等が用いられる。
ジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体としては、例えばジアミノジフェニルメタン又はその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体などがあり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートなどを用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05〜4.00、より好ましくは2.50〜3.50のものが用いられる。またこれらのジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体を変性して得られた誘導体、例えばポリオール等で変性したウレタン変性物,ウレチジオン形成による二量体,イソシアヌレート変性物,カルボジイミド/ウレトンイミン変性物,アロハネート変性物,ウレア変性物,ビュレット変性物なども用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
【0007】
ポリウレタン原料を構成するポリオール成分としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール,ポリテトラメチレンエーテルグリコール,酸成分とグリコール成分を縮合したポリエステルポリオール,カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール,ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールは、例えば、水,プロピレングリコール,エチレングリコール,グリセリン,トリメチロールプロパン,ヘキサントリオール,トリエタノールアミン,ジグリセリン,ペンタエリスリトール,エチレンジアミン,メチルグルコジット,芳香族ジアミン,ソルビトール,ショ糖,リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水,プロピレングリコール,エチレングリコール,グリセリン,トリメチロールプロパン,ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が2〜95重量%が好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。そして末端にエチレンオサイドが付加しているものが好ましく用いられる。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの配列は、ランダムであるのが好ましい。
このポリエーテルポリオールの分子量は、水,プロピレングリコール,エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300〜6000の範囲のものが好ましく、特に400〜3000の範囲のものが好ましい。また、グリセリン,トリメチロールプロパン,ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900〜9000の範囲のものが好ましく、特に1500〜6000の範囲のものが好ましい。また、2官能のポリオールと3官能のポリオールを適宜ブレンドして用いることもできる。
【0008】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えばテトラヒドロフランのカチオン重合によって得られ、重量平均分子量が400〜4000のもの、特に650〜3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。更に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることも好ましく、この場合、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとの比率が重量比で95:5〜20:80の範囲になるように用いるのが好ましく、特に90:10〜50:50の範囲になるように用いるのが好ましい。
また、上記ポリオール成分とともに、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンなどのポリオール類やそれらの誘導体を併用することができる。
【0009】
ポリオールをポリイソシアネートによりあらかじめプレポリマー化してもよく、その方法としては、ポリオールとポリイソシアネートを適当な容器に入れ、充分に攪拌し、30〜90℃、より好ましくは40〜70℃に、6〜240時間、より好ましくは24〜72時間保温する方法が挙げられる。この場合、ポリオールとポリイシソシアナートの分量の比率は、得られるプレポリマーのイソシアネート含有率が4〜30重量%となるように調節することが好ましく、より好ましくは6〜15重量%である。イソシアネートの含有率が4重量%未満であると、プレポリマーの安定性が損なわれ、貯蔵中にプレポリマーが硬化してしまい、使用に供することができなくなるおそれがある。また、イソシアネートの含有率が30重量%を超えると、プレポリマー化されていないポリイソシアネートの含有量が増加し、このポリイソシアネートは、後のポリウレタン硬化反応において用いるポリオール成分と、プレポリマー化反応を経ないワンショット製法に類似の反応機構により硬化するため、プレポリマー法を用いる効果が薄れる。
【0010】
ポリウレタン原料には、電解質等の導電剤、カーボンブラック等の導電材、カーボンブラックや無機炭酸塩等の充填材、フェノールやフェニルアミン等の酸化防止剤、低摩擦化剤、電荷調整剤などを添加することができる。
ポリウレタン原料の硬化反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート,ジブチル錫ジアセテート,ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫マーカプチド,ジブチル錫チオカルボキシレート,ジブチル錫ジマレエート,ジオクチル錫マーカプチド,ジオクチル錫チオカルボキシレート,フェニル水銀プロピオン酸塩,オクテン酸鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明においては、ポリウレタン原料にシリコーン整泡剤や各種界面活性剤を配合することが、フォーム材のセルを安定させるために好ましい。シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分からなるものが特に好ましい。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤,アニオン性界面活性剤,両性等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル,各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリウレタン材料100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜5重量部とすることが更に好ましい。
シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリウレタン原料100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜5重量部とすることが更に好ましい。
【0012】
本発明の製造方法は、部材1個分を作製するのに充分な大きさの型枠にあらかじめ発泡させたポリウレタン原料を注型し、硬化反応を進行させることを特徴とするものである。ここで、部材1個分を作製するのに充分な大きさの型枠とは、例えば帯電用,現像用,転写用,トナー供給用,クリーニング用などに供されるローラを作製する場合、ローラ1本を作製するのに必要充分な大きさの型枠をいう。具体的には、例えば、ローラ外径16.5mm、ローラ長210.0mmのローラを作製する場合、型枠としては、内寸が16.5〜20.0mm×16.5〜20.0mm×210〜250mmの直方体であって凹部を有するもの、このような直方体の底部をU字型としたもの、内径16.5〜20.0mmで長さ210〜250mmの中空円筒状のもの、その円筒の一部を切断したもの等が挙げられる。これら型枠の中で、その底部をU字型としたもの、すなわち型枠の長手方向の垂直断面がU字型のものは、原料を注型しやすく、かつ原料も少量で済むので好ましい。また、このような形状の型枠が複数個連続しているものも本発明で用いる型枠として挙げられる。
本発明で用いる型枠は、従来から用いられている金属モールドとは異なるものであり、アルミニウム等の金属、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリ塩化ビニル等の合成樹脂、木,厚紙等の紙などのいずれで作製されたものも用いることができる。したがって、多種の部材を少量生産する場合も、金属モールドと比較して多数の型枠を安価に作製することができ、多種の部材を少量生産する場合であっても安価に製造することができる。上記型枠の中では合成樹脂製の型枠が、軽量で取り扱いやすく、繰り返し使用できるので好ましい。
一方、例えば内寸が300mm×300mm×20mmの直方体であって凹部を有する型枠は、これを用いて上記ローラを作製する場合、この型枠により作製されたポリウレタンフォームブロックを数個に切断して数個のローラを作製することとなるので、このような型枠は本発明に係る型枠には含まれない。
【0013】
本発明の製造方法において他の部材とは、帯電用,現像用,転写用,トナー供給用,クリーニング用などに供されるローラ等におけるシャフトをいう。本発明において、型枠に他の部材であるシャフトを配置し、ここに発泡ポリウレタン原料を注型すると、硬化後に脱型、穴開け、シャフト圧入等の工程が不要となり、必要に応じてわずかな切削や研磨等の仕上げ加工を施すことにより、画像形成装置部材を得ることができるので、多種の画像形成装置部材を少量生産する場合でも、より安価に製造することができる。型枠にあらかじめ他の部材を配置する具体例として、型枠の中央にシャフトを配置する例が挙げられる。
【0014】
本発明の製造方法は、アスカーC硬度が25〜60°で密度が0.3〜0.8g/cm3 程度の中硬度高密度フォームを得るための好適な方法である。本発明に係る画像形成装置部材としては、帯電ローラ,現像ローラ,転写ローラ,トナー供給ローラ,クリーニングローラなどを挙げることができる。
図1は、本発明の画像形成装置部材を装着した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す説明図であって、現像剤供給部材(トナー供給用ローラ)3と潜電潜像を保持した画像形成体1との間に現像剤担持体(現像ローラ)2がその外周面を画像形成体1の表面に近接させた状態で配設され、かつ画像形成体1に紙などの記録媒体8を介して、転写部材(転写ローラ)5を当接させた構造を示している。現像剤供給部材3,現像剤担持体2および画像形成体1を矢印方向に回転させることにより、現像剤(トナー)が現像剤供給部材3により、現像剤担持体2の表面に供給され、現像剤層形成ブレード4によって均一な薄層に整えられたのち、画像形成体1上の潜像に付着し、該潜像が可視化される。そして画像形成体1と転写部材(転写ローラ)5との間に電界を発生させることにより、画像形成体1上の現像剤(トナー)画像を記録媒体8に転写させる。また、6はクリーニング部材(クリーニングローラ)であり、このクリーニング部材6により、転写後に画像形成体1表面に残留する現像剤が除去される。なお、7は帯電部材(帯電ローラ)である。
画像形成装置として具体的には、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ機、レーザビームプリンタ、トナージェットプリンタなどが例示される。
【0015】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
ジフェニルメタンジイソシアネートとカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートとグリコール変性ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物であり、イソシアネート含有率が26.2重量%であるイソシアネート成分24.6重量部と、グリセリンを出発物質としてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合した重量平均分子量5000のポリエーテルポリオール60重量部、分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール40重量部、水酸基価が56mgKOH/gである反応性シリコーン整泡剤4重量部、黒色顔料2.5重量部、電解質としてエチル硫酸変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム0.4重量部及び触媒としてジブチル錫ジラウレート0.01重量部からなるポリオール成分を混合し、ポリウレタン原料を調製した。このポリウレタン原料にミキサーにより機械的に攪拌して乾燥空気を混入し、発泡させた。この発泡ポリウレタン原料を、U字型の窪みを有し、幅17.0mm、高さ17.0mm、長さ250.0mmの図2に示すポリプロピレン製型枠9の上面まで注型した。型枠9の内部には、硫黄快削鋼に亜鉛メッキを施した外径6.0mm、長さ240mmで接着剤を塗布したシャフトが、ポリウレタンフォーム製のコマ10に開けられた穴部11に支持されて配置されている。穴部11の内径はシャフトの外径に対応した大きさとなっている。
次いで、発泡ポリウレタン原料が注型された型枠を90℃に調整した熱風オーブン中に4時間放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させた。硬化したポリウレタンフォームをコマ10を付けた状態で型枠9から取り外し、外径が16.5mmとなるように砥石で研磨し、次いで両端部を裁断してフォーム部分の全長を210mmとし、ポリウレタンフォーム製の画像形成装置用ローラを製造した。ポリウレタンフォームの密度は0.50g/cm3 、アスカーC硬度は40°、ローラ抵抗は室温23℃、相対湿度50%において、測定電圧1000Vで107.9 Ωであった。なお、ローラ抵抗の測定は、ローラの両端に各500gの荷重を掛けて銅板上に押し付け、抵抗率計R8340A(アドバンテスト社製)を用い、1000Vの電圧を印加することにより行った。
上記ローラを図1に示す画像形成装置に転写ローラとして組み込み、温度23℃、相対湿度50%において48時間放置し、グレースケール、黒ベタ及び白ベタ画像を印刷させたところ、いずれも良好な画像が得られた。
サイズの異なるローラを作製しようとする場合、型枠9においてコマ10を配置する位置を変えることによりローラの長手方向のサイズを変更することができ、型枠9においてU字型の窪みのサイズを変更することによりローラの外径を変更することができる。また、シャフトの外径を変更する場合はコマ10に設けられた穴部11の内径を変更すればよく、多種の部材の製造に対応可能である。
【0016】
比較例1
内径17.0mm、長さ210.0mm、端部にシャフトを貫通させるための穴が設けられ、かつシャフトを支持するための金属製キャップが設置されている金属製円筒状割りモールドに、硫黄快削鋼に亜鉛メッキを施した外径6.0mm、長さ240mmのシャフトに接着剤を塗布して配置し、実施例1と同様の発泡ポリウレタン原料を注型した。次いで、発泡ポリウレタン原料が注型されたモールドを140℃に調整した熱風オーブン中に15分間放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させた。硬化したポリウレタンフォームをモールドから取り外し、外径が16.5mmとなるように砥石で研磨し、次いで両端部を裁断してフォーム部分の全長を210mmとし、ポリウレタンフォーム製の画像形成装置用ローラを製造した。ポリウレタンフォームの密度は0.50g/cm3 、アスカーC硬度は40°、ローラ抵抗は室温23℃、相対湿度50%において、測定電圧1000Vで107.9 Ωであった。
上記ローラを図1に示す画像形成装置に転写ローラとして組み込み、温度23℃、相対湿度50%において48時間放置し、グレースケール、黒ベタ及び白ベタ画像を印刷させたところ、いずれも良好な画像が得られた。
上記実施例及び比較例の結果から、図2に示す型枠を用いて製造されポリウレタンフォーム製ローラは金属製円筒状割りモールドを使用して製造したポリウレタンフォーム製ローラと同様の良好な特性を有するものであることがわかる。したがって、本発明の製造方法によれば、金属モールドを用いた場合と同等の特性を有する画像形成装置部材が得られることが明らかである。
【0017】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、多種の画像形成装置部材を少量生産する場合であっても経済的に製造することができ、したがってこの画像形成装置部材を装着した画像形成装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成装置部材を転写ローラとして装着した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す説明図である。
【図2】 本発明に係る型枠の一例を示す概略図である。
【図3】 図2に示す型枠において用いるコマの形状を示す図である。
【符号の説明】
1:画像形成体
2:現像剤担持体
3:現像剤供給部材
4:現像剤層形成ブレード
5:転写部材
6:クリーニング部材
7:帯電部材
8:記録媒体
9:型枠
10:コマ
11:穴部
Claims (9)
- ポリウレタンフォーム部材とシャフトとからなる画像形成装置部材の製造方法において、ポリウレタンフォーム部材1個分の大きさを有する型枠に、当該型枠の長手方向の垂直断面と同じ形状を有し、当該ポリウレタンフォーム部材の長手方向のサイズを決めるためのポリウレタンフォーム製のコマを配置し、あらかじめ発泡させたポリウレタン原料を注型し、硬化反応を進行させてポリウレタンフォーム部材を作製することを特徴とする画像形成装置部材の製造方法。
- 型枠が、合成樹脂からなるものである請求項1記載の製造方法。
- 型枠が、その長手方向の垂直断面がU字型のものである請求項1又は2記載の製造方法。
- ポリウレタンフォーム部材1個分の大きさを有する型枠が複数個連続して配置されているものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- シャフトが、あらかじめ型枠及びポリウレタンフォーム製のコマに開けられた穴部に支持されて配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- ポリウレタンフォーム部材が、密度0.3〜0.8g/cm 3 のものである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- ポリウレタンフォーム部材が、アスカーC硬度25〜60°のものである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- ポリウレタンフォーム部材が、メカニカルフロス法により発泡されたものである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 硬化したポリウレタンフォームを、ポリウレタンフォーム製のコマを付けた状態で、砥石で研磨する請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34895699A JP4316081B2 (ja) | 1999-12-08 | 1999-12-08 | 画像形成装置部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34895699A JP4316081B2 (ja) | 1999-12-08 | 1999-12-08 | 画像形成装置部材の製造方法 |
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