JP4315317B2 - 広口容器用キャップの液こぼれ防止構造 - Google Patents

広口容器用キャップの液こぼれ防止構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、広口容器の口部に螺合状態で冠着される広口容器用のネジ付きキャップに関し、特に、飲料等の液状の内容物が充填される広口容器において、開蓋時に容器内の内容物が容器口部の外面側にこぼれ出ることのないようにするための、広口容器用キャップの液こぼれ防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
内容物を取り出し易いように容器口部の径を比較的大きくして、ネジ付きキャップによりリシール(再密閉)が可能なようにした広口容器については、飲料等の液状の内容物を充填して密封するような缶容器の分野でも、広口タイプのリシール缶として従来から提案されており、そのような広口タイプのリシール缶では、その開口部を密閉するためのネジ付きキャップとして、通常は、従来から知られた不正開封防止の機能を有するネジ付きキャップ、即ち、キャップのスカート部のネジよりも下方に、破断可能な弱化部を介して、ピルファープルーフ(タンパーエビデンス)バンドが形成された、所謂ピルファープルーフ(タンパーエビデンス)キャップを使用している。
【0003】
一方、容器の開口部をリシール可能に密閉するためのネジ付きキャップでは、容器本体の口部とキャップとの間の密封性を確保するために、キャップの天板部内面側に密封用のライナーを形成するということが従来から一般的に行われており、例えば、金属製のキャップでは、実開昭61−80256号公報にも開示されているように、金属製キャップシェルの天板部内面側に樹脂やゴムのような弾性材料からなる別体の密封用ライナーを付設したり、また、樹脂製のキャップでは、特開平8−40447号公報にも開示されているように、樹脂製キャップの天板部内面側に密封用ライナーとなる部分を一体成形したりするということが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、広口タイプのリシール缶のような広口容器に対して、飲料等の液状の内容物を充填して密封する場合には、キャップの内面から内容物の液面までの間に所定容積の空間、所謂ヘッドスペースを設けているが、このヘッドスペースの高さを高くしようとすると、容器が同じ場合には内容物の量を減らす必要があり、内容物の量が同じ場合には容器の高さを高くする必要があって、余分に容器素材を使用することになるため、一般的には、へッドスペース高さをあまり高くしないようにしている。
【0005】
しかしながら、キャップで密閉された容器を一方の手で持ちながら、他方の手でキャップを回して容器を開け始める時に、キャップが動くまでは開蓋トルクが徐々に増加し、キャップが動き始めると開蓋トルクが減少することから、この開蓋トルクの変動による反動で容器本体が不安定な状態となって傾き、それによって、容器内に充填されている内容物の液面が波立つこととなるが、このとき、口部の内径が大きな広口容器では、内容物を充填したときのへッドスペースの高さを低くすると、キャップの天板部と容器口部との間に充分な隙間がある場合に、容器内の内容物が口部の外面側に液こぼれするような虞がある。この点について本発明者が検討したところ、図6に示すような容器の開口面積(D)とへッドスペースの高さ(H)との関係で言えば、(D/2)2 /Hの値が15以上であると、液こぼれが発生し易くなるという知見を得ている。
【0006】
特に、不正開封防止の機能を備えたピルファープルーフキャップを使用する場合には、容器の開封時に、容器本体を保持してキャップを開蓋方向に回転させると、スカート部とピルファープルーフバンドとの間の弱化部(円周方向に形成された複数のスリットの間に形成されている複数の弱化部)が、キャップの回転に連れて円周方向に順に破断されていくが、そのような弱化部の最初の破断が起きるまでは開蓋トルクが徐々に増加し、最初の破断が起きてからは開蓋トルクが一気に減少することから、この開蓋トルクの急激な変動による反動で容器本体が大きく傾くように不安定な状態となって、容器内に充填されている内容物の液面が大きく波立つことで、内容物が容器口部の外面側にこぼれ出るという問題が起き易い。
【0007】
この点に関して、従来のネジ付きキャップでは、例えば、上記の実開昭61−80256号公報や特開平8−40447号公報にも開示されているように、キャップの天板部内面側に形成される密封用ライナーに対して、容器口部の内径よりも大きい外径を有し、容器口部の内面側と加圧接触する内側環状リブ(内側環状凸状,インサイドプラグ)を形成しておくということが行われており、このような密封用ライナーの内側環状リブについて、特開平8−40447号公報には、キャップを開蓋方向に所定の回転角度だけ回すまでは、内側環状リブ(インサイドプラグ)が容器口部(ボトル口)の内面側と加圧接触しているように、内側環状リブ(インサイドプラグ)の立ち上がり(垂下)長さを設定しておくということが開示されていて、そのような構成を広口容器のキャップに転用することにより、上記のような開蓋時における液こぼれの発生を防止することができるものと考えられる。
【0008】
しかしながら、口部の内径が小さな容器の場合はともかくも、口部の内径が大きな広口容器の場合には、容器口部の内面側と加圧接触するような内側環状リブを形成することで、該内側環状リブと容器口部との加圧接触による摩擦抵抗によって、開蓋の際に(閉蓋の際にも)キャップを回すのに大きな力が必要となり、特に、液こぼれ防止のために内側環状リブの立ち上がり長さを長くした場合には、キャップの回すのに非常に大きな力を要することとなって、開蓋(閉蓋)の操作が困難なものになるという問題が生じることとなる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、液体の内容物が充填される広口容器に使用するキャップについて、開蓋時に、内容物の液体がこぼれ出るのを防止できて、しかも、小さな力でキャップを回すことができるようにすることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、天板部の内面側に密封用のライナーが形成され、天板部の周縁から垂下するスカート部の周壁に螺合用のネジが形成されていて、広口容器の口部に螺合状態で冠着される広口容器用のネジ付きキャップにおいて、
キャップの天板部内面側に形成される密封用のライナーを、容器口部の上端付近の頂面部分から外面部分にかけての少なくとも一部分を全周的に密封できる密封部と、容器口部の上端付近の内径と同じかそれより僅かに小さな外径の内側環状リブとを有するものとして、容器口部の上端付近の内径と、内側環状リブの外径との差を、0〜0.05mmの範囲内とすることで、該内側環状リブと容器口部とが加圧接触しないように構成し、且つ、キャップの完全螺合位置で、内側環状リブの外面部分の下端を、容器口部の内面部分の最内端部の上端を基準として、それよりも下方に0.7〜2.0mmの範囲内に位置させることで、該内側環状リブの外面部分の下端を、キャップを完全螺合位置から開蓋方向に少なくとも80°回転させるまでの間は、容器口部の上端付近の内面部分の最内端部よりも上方には位置させないように構成することを特徴とするものである。
【0011】
上記のような構成によれば、ライナーの密封部によって容器口部との間の密封性を確保することができると共に、内側環状リブによって開蓋時に容器内で波立った内容物が容器口部の外面側に液こぼれするのを防止することができて、しかも、内側環状リブが容器口部とは加圧接触していないことで、内側環状リブと容器口部との間で殆ど摩擦抵抗を生じることなく、開蓋(閉蓋)時には小さな力によってキャップを回すことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の広口容器用キャップの液こぼれ防止構造の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の一実施形態に係る広口容器用のキャップについて、図1は、ピルファープルーフキャップが容器の口部に冠着されて未開封の状態を示し、図2は、容器口部にキャップが完全螺合状態で冠着された状態でのライナーの形状を示し、図3は、キャップがロールオン成形前の状態でのライナーの形状を示し、図4は、開蓋時の各段階(A)(B)(C)(D)での容器口部に対するキャップの状態を示すものである。また、図5は、容器口部のカール部の形状が異なる他の実施形態について、開蓋時の各段階(A)(B)(C)(D)での容器口部に対するキャップの状態を示すものであり、図6は、広口容器(広口リシール缶)の容器内のヘッドスペースを示すものである。
【0013】
本実施形態では、広口容器用のキャップは、図1に示すように、金属製のシェル2と樹脂製の密封用ライナー3とからなるもので、天板部11の周縁からコーナー部分12を介してスカート部13を垂下させたシェル2に対し、その天板部11の内面側(下面側)にライナー3が付設されており、容器本体4の口部40にロールオン成形によって装着された状態で、キャップ1(シェル2)のスカート部13には、その周壁にネジ23が形成され、ネジ23よりも下方でスカート部13の裾部に、ピルファープルーフバンド24が、破断可能な弱化部25を介して、スカート部13から切り離し可能に形成されている。
【0014】
キャップ1が装着される広口容器の容器本体4は、アルミニウム系やスチール系の製缶用の金属板(例えば、両面にポリエステル製フィルムの保護被膜を熱融着させたアルミニウム合金板等)から製造される広口(例えば、口部40の外径35mm以上)の缶容器であって、容器本体4の口部40には、その上端開口縁に沿ってリング状に外巻きのカール部41が形成され、該カール部41から下方且つ外方に傾斜壁42が延び、該傾斜壁42の下方の部分にネジ43が形成され、ネジ43の下方に環状の膨出部44が形成されている。
【0015】
そのような容器口部4へのロールオン成形によるキャップ1の装着については、図示していないが、容器口部40にキャップ1を上から被せた状態から、周知の金属製キャップ用の巻締装置(キャッパー)を使用することで、キャップ1の天板部11にトップロードを加えながら、該装置のそれぞれの成形ロールにより、容器口部40のネジ43に合わせるように、キャップ1のスカート部13の周壁を変形させてネジ23を形成すると共に、スカート部13の裾部に形成されたピルファープルーフバンド24の下端部を、容器口部40の環状膨出部44の下端段部に係合させるように巻締めることで、容器口部40に対してキャップ1が螺合状態となるように冠着している。
【0016】
キャップ1のシェル2とライナー3のそれぞれの材質については、特に限定されるものではないが、シェル2については、例えば、内面側にオレフィン系樹脂粉を分散させたエポキシ−フェノール樹脂が塗布されているアルミニウム合金板等の従来から知られたキャップ用の金属材を使用しており、また、ライナー3については、例えば、低密度ポリエチレンとエチレン−プロピレン共重合体合成ゴムのブレンド材やポリプロピレンとスチレン系エラストマーのブレンド材、ポリエステル系エラストマー等の従来から知られたライナー用の樹脂材を使用していて、天板部11の内面側に溶融状態で押出して型押しする周知の型押成形法等によって成形されている。
【0017】
そのように成形されてキャップ1の天板部11の内面側に付設されているライナー3の形状については、その中央部分が円板状の薄肉な平坦部31に形成され、その周辺部分には、下方に長く垂下する2条の環状リブ32,34が所定の間隔を置いて同心的に形成され、下方に短く突出する1条の環状突起33が各環状リブ32,34の間の部分に同心的に形成されていて、内側環状リブ32の外面部分(下端のアール部分を除く外面)は略垂直壁となっており、ライナー3とカール部41は、環状突起33の下端面と、外側環状リブ34の内面部分とで加圧接触している。
【0018】
そのような形状のライナー3が付設されているキャップ1は、ロールオン成形される前の状態では、図3に示すように、シェル2の天板部11とスカート部13を接続するコーナー部分12が、環状の凹状部12bを境とした上下2段12a,12cに形成されており、シェル2の天板部11の内面側に付設されるライナー3は、天板部11からコーナー部分12の凹状部12b付近までシェル2と密着していて、ライナー3の周辺部分に形成された2条の環状リブのうちの外側環状リブ34は、コーナー部分12の凹状部12bよりも下方にまで垂下して、コーナー部分12の下段部12cとの間には間隔が空けられている。
【0019】
そのようなキャップ1を、ライナー3の内側環状リブ32と外側環状リブ34の間にカール部41を挟むように、容器口部40に上方から載置して、ライナー3の環状突起33をカール部41の頂面部分に当接させた状態から、金属製キャップ用の巻締装置(キャッパー)を使用して、キャップ1をロールオン成形しながら容器口部40に装着する際に、図示していないが、装置のプレッシャーパッドによりキャップの天板部11を上方から押し付けると同時に、装置のプレッシャーブロックによりコーナー部分の下段部12cを内方に向かって窄ませるように変形させることにより、図2に示すように、窄まされたコーナー部分の下段部12cにより押圧された状態で、外側環状リブ34はカール部41の外面部分に加圧接触させられる。
【0020】
そのように、ライナー3を、環状突起33の下端面でカール部41の頂面部分と加圧接触させるだけでなく、外側環状リブ34の内面部分でカール部41の外面部分と強く加圧接触させていることから、レトルト処理中に容器内が陽圧となったり、或いは、炭酸飲料等の内容物を充填・密封することで容器内が陽圧となったりして、容器内の内圧によりキャップの天板部11が外方に膨らんだ状態となっても、キャップ1と容器口部40との間での密封性が充分に確保されることとなる。
【0021】
そのようにキャップ1が容器口部40に冠着されて、環状突起33と外側環状リブ34とにより密封性が充分に確保されている状態で、ライナー3の内側環状リブ32の外面部分(下端のアール部を除く略垂直面の外面)と、容器口部4のカール部41の内面部分(内面部分の最小内径部である最内端部)とは、僅かなクリアランスを持って接触していないか、或いは、微か(開蓋トルクの増加が誤差範囲内に入る程度)に接触している状態であって、加圧接触した状態とはなっていない。すなわち、内側環状リブ32の外径は、その差が0〜0.05mmの範囲内となるように、カール部41の内径(カール部41の最内端部41aの径)と同じかそれより僅かに小さいものとなっている。
【0022】
また、内側環状リブ32の高さ(平坦部31から下方に垂下する長さ)については、キャップ1が容器口部40に完全に冠着された状態(完全螺合状態)から、キャップ1を開蓋方向に少なくとも80°回転させるまでの間は(即ち、キャップ1が開蓋方向に80°回転された時点では)、図4(C)に示すように、内側環状リブ32の外面部分(下端のアール部分を除いた略垂直面の外面)の下端32aが、カール部41の内面部分の最内端部(最小内径部)41aよりも上方には位置しないようなものとなっている。すなわち、図4(A)に示すような、キャップ1が容器口部40に完全に冠着された状態では、内側環状リブ32の外面部分の下端32aは、カール部41の内面部分の最内端部41a(なお、カール部41の内面部分の縦断面が円弧状ではなく直線状である場合には、図5(A)に示すように、内面部分の上端41a)を基準として、それよりも下方に0.7〜2.0mmの範囲に位置するようになっている。
【0023】
なお、本実施形態のキャップ1では、図1に示すように、キャップ1のスカート部13の下方に、破断可能な弱化部25を介して、ピルファープルーフバンド24が形成されているが、このようなものでは、容器の開封時にキャップ1を開蓋方向に回転させてピルファープルーフバンド24の弱化部25が破断される(キャップ1を完全螺合状態から開栓方向に80°回転させた時点で弱化部25が破断される)までは、内側環状リブ32の外面部分の下端32aが、カール部41の内面部分の最内端部(最小内径部)41aよりも上方には位置しないようになっている。
【0024】
上記のようなライナー3を備えた本実施形態の広口容器用キャップによれば、ライナー3に形成された環状突起33と外側環状リブ34とにより、容器口部40のカール部41の頂面部分と外面部分とで、キャップ1と容器口部40との間で必要な密封性が充分に確保することができると共に、開蓋時に、容器本体が傾いて容器内で内容物の液面が波立っても、波立った内容物がカール部41の頂面部分とライナー3の環状突起33との隙間から容器口部40の外面側に移動するのを、内側環状リブ32により遮蔽することができて、外側環状リブ34がカール部41から離れた時に、波立った内容物が容器口部40の外面側に液こぼれするようなことはない。しかも、内側環状リブ32の外面部分と容器口部40の内面部分とは加圧接触していないことから、内側環状リブ32と容器口部40との間で殆ど摩擦抵抗を生じることなく、開蓋(閉蓋)時には小さな力によってキャップ1を回すことができる。
【0025】
特に、本実施形態の広口容器用キャップでは、キャップ1をピルファープルーフキャップとしていることで、容器の開封時には、キャップ1の開蓋方向への回転に連れて、ピルファープルーフバンド24を切り離すための弱化部25が破断される際に、破断前には開蓋トルクは徐々に増加し、破断された瞬間から開蓋トルクが一気に減少して、このときの急激な反動により容器内の内容物の液面が大きく波打って、開蓋時に容器口部40の外面側に内容物がこぼれ出る可能性が高いのであるが、弱化部25の破断が終わるまでの間は、内側環状リブ32の外面部分の下端32aが、カール部41の内面部分の最内端部(最小内径部)41aよりも下方に位置しているので、弱化部25の破断により容器内の内容物の液面が大きく波打っても、波打った内容物が容器口部40の外面側に移動するのを内側環状リブ32によって確実に遮断することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、容器口部40のカール部41と内側環状リブ32とを加圧接触させないように、内側環状リブ32の外径をカール部41の内径と同じかそれより僅かに小さくするのに際して、カール部41の内径と内側環状リブ32の外径との差が0〜0.05mmの範囲内となるようにしているが、その理由については、カール部41の内径と内側環状リブ32の外径との差、即ち、カール部41と内側環状リブ32との間の隙間が0.05mmより大きいと、容器内に粘性の低い内容物が充填されている場合に、容器内で波打った内容物がカール部41と内側環状リブ32との間の隙間を通って容器口部40の外面側に移動する可能性があるからである。
【0027】
また、本実施形態では、キャップの完全螺合位置で、内側環状リブ32の外面部分(下端のアール部分を除く略垂直壁の外面)の下端32aが、カール部41の内面部分の最内端部(最小内径部)41aを基準として、それよりも下方に0.7〜2.0mmの範囲内に位置するようにしているが、その理由は、開蓋時の内容物の液こぼれを確実に防止しつつ、且つ、容器口部40に対するキャップ1の開蓋(閉蓋)操作をスムーズに行うことができるようにするためである。
【0028】
すなわち、キャップの完全螺合位置で、カール部41の内面部分の最内端部41a(なお、カール部41の内面部分の縦断面が円弧状ではなく直線状である場合には、図5(A)に示すように、内面部分の上端41a)に対して、内側環状リブ32の外面部分の下端32aの位置を、0.7mmよりも上方にすると、容器の開封時に、ピルファープルーフキャップの弱化部が破断する前に、内側環状リブ32の外面部分の下端32aが、カール部41の内面部分の最内端部41aよりも上方に位置して、カール部41と内側環状リブ32との間に充分な隙間が開くため、内容物の液こぼれが発生し易くなり、一方、2.0mmよりも下方にすると、合成樹脂で所定形状のライナーを成形する際に内側環状リブ32の部分を成形し難くなる上に、容器口部40に対するキャップ1の開蓋(閉蓋)時に内側環状リブ32が長すぎて邪魔になる。
【0029】
以上、本発明の広口容器用キャップの液こぼれ防止構造の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態に限られるものではなく、例えば、樹脂製ライナーについては、中央部分(円板状の薄肉な平坦部31)がないものでも良く、内側環状リブ32の外面部分は、完全な垂直壁ではなく、僅かに傾斜した傾斜壁であっても良く、キャップについては、金属製シェルと樹脂製ライナーによるキャップに限らず、硬質樹脂のシェルと軟質樹脂のライナーによるキャップや、樹脂製キャップの天板部内面側にライナー部分が一体成形されたキャップでも良く、また、ピルファープルーフキャップに限らず、ピルファープルーフ機能のないキャップであっても良い。さらに、容器本体について、金属製の広口リシール缶の場合には、容器口部の上端付近のカール部の形状は、図5に示すような形状であっても良く、さらにまた、容器口部の上端付近がカール部に形成される金属製の広口リシール缶に限らず、樹脂製の広口容器やガラス製の広口壜のような他の容器であっても良い等、適宜設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の広口容器用キャップの液こぼれ防止構造によれば、キャップと容器口部との間の密封性を充分に確保することができると共に、開蓋時には、内容物の液体が容器口部の外面側に液こぼれするのを防止することができて、しかも、容器口部との間で大きな摩擦抵抗を生じることなく、小さな力によってキャップを回すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の広口容器用キャップの液こぼれ防止構造の一実施形態について、ピルファープルーフキャップが容器の口部に冠着されて未開封の状態を示す縦断面図。
【図2】図1に示す実施形態について、キャップが容器口部に完全螺合状態で冠着された状態でのライナーの形状を示す縦断面図。
【図3】図1に示す実施形態について、キャップがロールオン成形前の状態でのライナーの形状を示す縦断面図。
【図4】図1に示す実施形態について、開蓋時の各段階(A)(B)(C)(D)での容器口部に対するキャップの状態を示す断面説明図。
【図5】他の実施形態について、開蓋時の各段階(A)(B)(C)(D)での容器口部に対するキャップの状態を示す断面説明図。
【図6】広口容器(広口リシール缶)の容器内のヘッドスペースを示す断面説明図。
【符号の説明】
1 キャップ
2 シェル
3 ライナー
4 容器本体
11 天板部
13 スカート部
23 (キャップの)ネジ
24 ピルファープルーフバンド
25 弱化部
32 内側環状リブ
32a (内側環状リブの外面部分の)下端
33 環状突起(密封部)
34 外側環状リブ(密封部)
40 容器口部
41 カール部(容器口部の上端付近)
41a (カール部の)最内端部

Claims (2)

  1. 天板部の内面側に密封用のライナーが形成され、天板部の周縁から垂下するスカート部の周壁に螺合用のネジが形成されていて、広口容器の口部に螺合状態で冠着される広口容器用のネジ付きキャップにおいて、
    キャップの天板部内面側に形成される密封用のライナーが、容器口部の上端付近の頂面部分から外面部分にかけての少なくとも一部分を全周的に密封できる密封部と、容器口部の上端付近の内径と同じかそれより僅かに小さな外径の内側環状リブとを有するものであって、容器口部の上端付近の内径と、内側環状リブの外径との差を、0〜0.05mmの範囲内とすることで、該内側環状リブと容器口部とが加圧接触しないように構成されており、且つ、キャップの完全螺合位置で、内側環状リブの外面部分の下端を、容器口部の内面部分の最内端部の上端を基準として、それよりも下方に0.7〜2.0mmの範囲内に位置させることで、該内側環状リブの外面部分の下端が、キャップを完全螺合位置から開蓋方向に少なくとも80°回転させるまでの間は、容器口部の上端付近の内面部分の最内端部よりも上方には位置しないように構成されていることを特徴とする広口容器用キャップの液こぼれ防止構造。
  2. キャップのスカート部の下方に、破断可能な弱化部を介して、ピルファープルーフバンドが形成されており、容器の開封時にキャップを開栓方向に回転させてピルファープルーフバンドの弱化部が破断されるまでは、内側環状リブの外面部分の下端が、容器口部の上端付近の内面部分の最内端部よりも上方には位置しないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の広口容器用キャップの液こぼれ防止構造。
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