JP4315243B2 - 色の均一性の評価方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー画像を用いた色の均一性の評価方法に関し、特に、不均一部分の検出が可能な、色の均一性の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業製品においては、塗装などの際に、表面の着色の状態が製品の品質に与える影響が大きく、色の均一性の検査は欠かせないものとなっている。また、色情報を伝える装置であるカメラやディスプレイでは、受光素子あるいは表示エリア全体で均一な色の再現性が要求される。そのため、このような装置ではさらに厳しい色の均一性の評価が重要となる。これらの色の均一性の評価は、製品の色むらや輝度むらの評価として、熟練技能者の感性に基づく目視検査に依存しているのが現状であり、これらを自動化する試みも研究されている。これまでの研究では、むらを判別するために、取得画像を適切な領域に分割し、領域内、領域間での色特徴の比較や、分布を調べ、人間の感覚特性を取り込んだ評価を行っている。
【0003】
人間の感覚特性を調べ、統計的に処理し、得られたデータにより色むらを判定するものとして、特許文献1、2に記載されたものがある。
すなわち、特許文献1には、特定の人種集団における色覚による主観評価実験を行い、その結果を判断の基準とするカラーディスプレイの色むら識別方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、むら領域と周辺部との色及び輝度変化の大きさと、面内におけるむら領域の幾何学的な大きさとの両方を用いて解析することが記載されている。
【0005】
むらを判別するために、取得画像を適切な領域に分割し、領域内、領域間での色特徴を比較し、またその分布を調べるものとして、特許文献2〜5に記載されたものがある。
【0006】
すなわち、特許文献2には、7×7の縦方向と横方向のフィルタを使用して、局所領域的な微分値を求めることが記載されている。これは、近傍における微分値の平均値が表示装置に対する人の視覚性と高い相関関係をもつためであるとされている。面内におけるむらの領域は、表示画像上の色の変化具合で調べることが記載されてる。
【0007】
特許文献3には、画面情報を所定の位置、大きさで分割し、その分割領域を基に、空間周波数の異なる色むら、輝度むらを評価し、各評価結果の組み合わせにより画質を評価することと、分割した領域内に存在する画素間の輝度差を算出し、その最大値で画質を評価することと、画面情報を異なった位置、大きさで複数回繰り返し分割し、各分割領域間の色度差もしくは色度勾配により画質を評価することとが記載されている。
【0008】
特許文献4には、画像データを複数の画素に分割し、注目画素とそれを取り囲む画素郡との差を求め、局所的な輝度の変化を調べることが記載されている。
特許文献5には、画素の値が所定の範囲にある領域に画像を分割し、その領域の色と、本来あるべき色である基準色とのずれを検出することが記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−79947号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平10−96681号公報
【0011】
【特許文献3】
特開平10−2800号公報
【0012】
【特許文献4】
特開2002−257679号公報
【0013】
【特許文献5】
特開平6−295168号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
一般に色のむらは、色が連続的に変化することで境界が不鮮明であったり、どこにいくつ存在するかが分からなかったりするため、定量的な評価が難しいという問題点がある。すなわち、分割した領域が客観的に正しいかどうかの判断ができないという問題点がある。また、大きなむらを探すために、探すむらの大きさに合わせて画像を適切な領域に分割して、領域間で色の特徴や分布を較べているため、計算量が多く処理時間がかかるという問題点もある。適切な領域を探すためにも時間がかかる。
【0015】
そこで本発明は、人間がむらと判断するための情報として色の不均一箇所を特定し、また、画像を分割することなく、少ない計算量で、安定して不均一箇所の領域を検出できるようにすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は、カラー画像からこのカラー画像における色の出現頻度情報を持つカラーヒストグラムを作成し、得られたカラーヒストグラムから前記頻度情報を抽出し、この抽出された頻度の低い部分を前記カラー画像における色の不均一部分として検出するとともに、頻度の高い部分を前記カラー画像における色の均一部分として検出し、前記カラー画像における色の不均一部分として検出された部分を、その頻度に応じた濃淡画像で表示することで、この濃淡画像の明るい部分を合計面積の大きい不均一部分として検出するとともに、暗い部分を合計面積の小さい不均一部分として検出するものである。
【0017】
このようにすると、カラー画像における色の出現頻度の低い部分を前記カラー画像における色の不均一部分として検出するとともに、頻度の高い部分を前記カラー画像における色の均一部分として検出するため、人間の目で識別が難しい部分まで色の不均一部分を検出することが可能となる。
【0018】
すなわち本発明は、色の均一性を評価するために、不均一部分の画素数は、均一部分の画素数よりも少ないという知見の基に、不均一部分を検出する。したがって、人間の感覚特性に合わない、すなわち人間では検出できないような不均一部分も、本発明によれば検出することができる。検出部分の色の特徴を、検査対象物に応じてさらに詳しく調べることで、人間の感覚特性に合わせた色むらの判定も可能である。しかも本発明によれば、処理のための計算量が極めて少なく、したがって種々の色むら検査の前処理として利用することができる。
【0022】
さらに本発明によると、合計面積の大きい不均一部分と合計面積の小さい不均一部分とを容易に検出することができる。
また本発明は、複数枚のカラー画像から、それぞれの画像における色の出現頻度を表す頻度画像を作成し、これらの複数枚の頻度画像からそれらの頻度画像の平均である平均頻度画像を得て、この平均頻度画像より、検出したい平均頻度の範囲を指定して、前記カラー画像における色の不均一部分を検出するものである。
【0023】
このようにすると、カラー画像における色の不均一部分を容易に検出することができる。
【0024】
また本発明は、色の均一性を評価するための検査対象よりピントをぼかしてカラーのぼけ画像を取得するか、あるいは前記検査対象についてのピントの合ったカラー画像よりカラーのぼけ画像を作成し、このぼけ画像をカラー画像として処理を行うものである。
【0025】
このようにすると、たとえば検査対象物が繊維製品でその表面に織り模様が存在するような場合にも、その織り模様が目立たないようにして色の不均一部分を検出することができる。
【0026】
また本発明は、カラー画像から出現する色の情報を変えずにカラーのぼけ画像を作成するようにフィルタ処理を行うものである。
このようにすると、検査対象についてのピントの合ったカラー画像より高周波除去フィルタリング処理によってカラーのぼけ画像を作成するときに、本来のカラー画像に無い色が出現することを防止できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
カラーヒストグラムは、カラー画像を構成する各画素の値たとえばRGB値を3つのパラメータとした空間に、プロットを行ったものである。一般的には、前記各画素のRGB値をRGBの直交空間にプロットするものを特にRGBカラーヒストグラムと呼んでいる。本発明で利用するカラーヒストグラムは、前記パラメータ空間にプロットした各点に、画素数の情報すなわち頻度を持たせる。なお、カラーヒストグラムは、RGB以外の表色系たとえばHSI、YIQ、L*a*b*などの表色系を用いることもできるし、カラー画像の画素値の3つのパラメータの内2つのパラメータのみ使用することも可能である。以後、本発明で使用する頻度情報を持つカラーヒストグラム空間のことを、単にカラーヒストグラム空間と言う。
【0031】
カラー画像中の均一な色の領域の中に不均一な色の領域があって、2つの色の色相値もしくはRGB値が異なると、カラーヒストグラム上では、2つのクラスタに分かれてプロットされる。人工的に作られたカラー画像であれば、2つの色しか無いため、2つの点にプロットされる。しかし、何らかの撮像系を通して取得したカラー画像は、たとえばノイズの影響で前記の2つの色の周辺の色を持った画素が多数存在するため、カラーヒストグラム空間では、2つの色を中心にそれぞれの中心点の周りに分布が存在する。通例、不均一な領域の面積は均一な領域の面積よりも小さいはずであるため、カラーヒストグラム空間に現れる2つのクラスタの頻度には差があり、均一な領域のクラスタは頻度の大きな点が多く、不均一な領域のクラスタには頻度の小さな点が多く分布する。
【0032】
たとえば図2は、均一な色の領域Aの中に不均一な色の領域Bが存在する撮像対象を、何らかの撮像系を通して取得した画像の例を示す。これをRGBカラーヒストグラム空間にプロットすると、図3のようになる。図2の均一な領域Aは、図3の領域Aに、図2の不均一な領域Bは、図3の領域Bにプロットされる。図3では領域の表示が明るいほど頻度が高いことを表している。図3では各領域に複数の丸印が記されているが、これはノイズの影響によってヒストグラム空間に分布が生じていることを表している。
【0033】
図2の領域Aと領域Bの識別が難しい場合とは、領域Aと領域Bの色が近い場合であり、図3では領域Aと領域Bの二つのクラスタの距離が近い場合に相当する。なお、このような場合には、ノイズのため、本来均一部分のクラスタ領域Aにプロットされるはずの画素が、誤って不均一部分のクラスタ領域Bにプロットされることがあるが、その頻度は極めて小さく、二つのクラスタの頻度の関係が逆転することは無い。
【0034】
以上のほかにも、均一な色を持つ曲面に不均一な領域があり、2つの色の色相が異なる場合にも、カラーヒストグラム空間上では2つのクラスタに別れる。たとえば図4は、均一な色領域Aを持つ円筒面10に、色相の異なる不均一な領域Bが存在する場合の例を示す。図4のようにカメラ11で撮影した画像を、RGBカラーヒストグラム空間にプロットすると、図5のようになる。図4の領域Aは、図5では原点から直線状に分布する領域Aにプロットされる。これは、円筒面10における色の均一領域をカメラ11で撮影すると、色相は同じで、円筒面10の曲面に影響されて輝度のみが変化する様子が撮影されるためである。一方、図4の領域Bは、図5の領域Bにプロットされる。図5においても、図3と同様に、領域の表示が明るいほど頻度が高いことを表している。図5の頻度情報を調べると、領域Bの不均一部分は、領域Aの均一部分に較べて頻度は小さい。
【0035】
すなわち、図2や図4に示すように均一な色の領域Aの中に不均一な色の領域Bが存在する場合は、カラーヒストグラム空間で、色の不均一部分は、色の均一部分に較べて頻度が小さいため、頻度情報を閾値とすれば、二つの領域を区別することができる。
【0036】
ただし、実シーンでは、画素のカラー値は種々のノイズの影響を受けることが多い。このため、本発明では、複数枚のカラー画像を用いて検出を行うことで、ノイズの影響を小さくする。その手順を以下に示す。
【0037】
カラー画像を、座標を表す2つの独立変数x、yの関数f(x,y)によって表現する。図1(a)において、六角印は青、三角印は緑、菱形印は赤をそれぞれ表すものとする。この図1(a)に示すように、時刻tに取得したカラー画像をf(t)(x,y)とし、f(t)(x,y)を同図(b)のカラーヒストグラム空間上にプロットしたものをh(t)とする。h(t)は、RGBそれぞれの座標値と、その座標における頻度とを持っている。
【0038】
本発明においては、元の画像f(t)(x,y)のカラー値を、h(t)より得られる頻度に置き換える。すると、図1(c)に示すように、f(t)(x,y)は、カラー値の出現頻度を表す濃淡画像に変わる。この画像を頻度画像g(t)(x,y)と呼ぶ。
【0039】
{f(t)(x,y)、t=1、2、…、n}から得られるn枚の頻度画像{g(t)(x,y)、t=1、2、…、n}の合計S(x,y)を、次式により求める。
【0040】
【数1】
以上の手順は図1に示されている。
【0041】
さらに、n枚の頻度画像の平均をgm(x,y)とすると、gm(x,y)は次のように表される。
【0042】
【数2】
ここではgm(x,y)を平均頻度画像と呼び、gm(x,y)の各画素の値は実数値を取るものとする。
【0043】
均一領域と不均一領域とを識別する頻度の閾値をdとし、ここでは、これを検出平均頻度と呼ぶ。不均一領域は、均一領域よりも色の出現頻度が小さいため、gm(x,y)の画素のうち、値が閾値dより小さい部分が不均一領域として検出される。不均一領域が複数ある場合は、dの値により検出される不均一領域の大きさが変わってくる。
【0044】
検出は次式により行う。
【0045】
【数3】
検出されたgb(x,y)は2値画像で、gb(x,y)の0・画素の部分が不均一領域を表し、1・画素の部分が均一領域を表す。
【0046】
不均一領域が複数ある場合には、閾値d以下の画素の値を、2値画像ではなく、濃淡画像で表示した方が分かりやすい。
iビットの画像メモリを用いて、0から閾値すなわち検出平均頻度dまでの頻度を濃淡で表示した画像は、次式のようになる。
【0047】
【数4】
このようにして検出した2i−1段階の濃淡画像gd(x,y)を、ここでは頻度特徴検出画像と呼ぶ。
【0048】
すなわち、上式によれば、閾値dまでの不均一領域がその頻度に応じて濃淡が変化した状態で表示された画像が得られることになり、gd(x,y)の明るい部分は不均一部分の合計面積の大きい箇所を表し、また、暗い部分は不均一部分の面積の小さな箇所を表している。
【0049】
上記の式(4)においては、dより小さいものを不均一領域として検出しているが、かなり小さな不均一領域、すなわちgd(x,y)の画素のうちその濃度が非常に小さく暗いものは、人間の目ではむらと識別できない場合や識別する必要のないものもある。そこで、dについての下限の閾値を設け、これをdminとする。すなわち、dminからdまでの範囲のみを濃淡画像で表すのが実際的である。
【0050】
平均頻度がdmin以上でかつdより小さい範囲を対象として2i−1段階の濃淡画像とした頻度特徴検出画像は、次式のようになる。
【0051】
【数5】
ここで、1≦dmin<dである。
【0052】
ただし、(gm(x,y)−dmin)の計算は、gm(x,y)の各画素の値からdminを減じることを意味する。
【0053】
式(2)の関係を用いると、式(5)は、次のようになる。
【0054】
【数6】
ここで、1≦dmin<dである。
【0055】
なお本発明においては、上記したRGBカラーヒストグラム空間の代わりに、検査する対象物や内容に適した色空間を選択することも可能である。たとえば、色相だけの検査であれば、2次元の色相平面のみを用いることもできる。
【0056】
次に、検査対象物の表面がテクスチャ性を有する場合、たとえば、繊維製品の色むらを検出する場合について説明する。このような場合に、上記の手順をそのまま適用すると、色むら以外に、繊維の織り模様すなわちテクスチャが検出されてしまって、色むらを正確に検出できなくなることがある。そのような場合には、画像を取得する場合に、少しピントをぼかして、繊維のテクスチャが目立たないようにして検出を行う。
【0057】
または、ピントの合った画像を取得した後、画像の高周波成分を除去するフィルタリング処理により画像をぼかすこともできる。この高周波除去フィルタリング処理としては、モノクロ画像処理の場合、移動平均法や2次元ガウスフィルタによるぼかし手法を用いることができる。いずれも、3×3や5×5などのように2次元のフィルタの定義域を設定し、この定義域に係数を設定し、このフィルタと原画像との畳み込み演算を行うことによりぼけ画像を得る。前記フィルタの定義域をフィルタの近傍領域と言う。これらの手法をカラー画像に適用する場合、本発明では、カラー画像の各RGB成分に独立に適用する。適用するフィルタの近傍領域の大きさや係数は、検査対象のテクスチャの周波数に応じて決定する。
【0058】
上記フィルタリング手法では、本来のカラー画像中には無い色が出現する可能性がある。このため、テクスチャに複数の色成分がある場合には、頻度の小さな画素が多数出現し、均一領域を不均一領域として検出する可能性がある。そこで、フィルタリング処理後、本来のカラー画像のカラー値以外の色が出現しない次の方法で、高周波除去フィルタ処理を行う。
【0059】
一つの方法は、上記のRGB成分に独立に適用するフィルタリング処理の後に、フィルタ処理を施した近傍領域内で、処理結果に最も近い距離の色を選択する。色の距離は、たとえばユークリッド距離を使用する。
【0060】
もう一つの方法は、近傍領域内で、画素の3つの色成分であるRGBのうち最も色の変化の大きい成分を選択し、この色成分の中央値を持つRGB値を、前記近傍領域の値として使用する。このRGB値が複数ある場合には、次に色の変化の大きい成分を選択し、この色成分の中央値に近い値を持つRGB値を選択する。さらにこのRGB値が複数ある場合には、最後の色成分の中央値に近い値を持つRGB値を使用する。
【0061】
次に、本発明にもとづきカメラの合焦位置(ピント位置)を検出する方法について説明する。
一様な領域をもつ平面部分では、画像を用いた従来の合焦評価方法では、自動で焦点を合わすことは難しい、たとえば色の変化の少ない撮影画像では、従来のデジタルカメラのオートフォーカスでは焦点が合わない。そこで、このような場合には、本発明にもとづき、画像中の不均一領域を利用して合焦位置を検出することができる。
【0062】
すなわち、本発明にもとづけば、頻度画像の合計S(x,y)と、平均頻度画像gm(x,y)と、同じ検出平均頻度dにより得られた頻度特徴検出画像とのうちのいずれかの画像を用いて、合焦位置を検出することができる。
【0063】
あるいは、本発明にもとづく頻度特徴検出画像に対して従来の様々な合焦評価方法を適用することで、合焦位置を検出することもできる。
すなわち、一様な領域をもつ平面部分の画像においては、合焦位置で頻度特徴検出画像を求めると、ぼけた位置から求めた頻度特徴検出画像よりも全体的に頻度が小さく、高周波成分が多い境界のはっきりした画像となる。
【0064】
そこで、各焦点位置における頻度画像の合計S(x,y)か、平均頻度画像gm(x,y)か、同じ検出平均頻度dにより得られた頻度特徴検出画像gd(x,y)かを求め、それらのいずれかの画像を用いて、各画素値の総合計か、あるいは画像中の一部の領域の合計かを求め、最も合計の小さい焦点位置のものを合焦位置で取得したカラー画像より得られた画像とする。あるいは、前記頻度特徴検出画像gd(x,y)に、画像中の高周波分を検出する従来の合焦評価方法、たとえば、局所領域の微分値の合計やFFTによる高周波成分の検出などの評価手法を適用することにより、合焦位置を検出することができる。
【0065】
具体的には、たとえば頻度特徴検出画像gd(x,y)を用いる場合は、複数の焦点位置で1枚以上のカラー画像を取得し、それぞれの焦点位置で、式(5)または式(6)でdmin=1として検出した頻度特徴検出画像において、頻度特徴検出画像の各画素の合計Vを次式により求め、Vが最も小さいものを合焦位置とする。
【0066】
【数7】
ただし、評価する画像の領域の画素数をI×Jとする。
【0067】
また、頻度画像の合計S(x,y)か、平均頻度画像gm(x,y)を用いる場合は、
【0068】
【数8】
あるいは、
【0069】
【数9】
により評価値Vを求め、Vが最も小さいものを合焦位置とする。
【0070】
頻度特徴検出画像gd(x,y)に対して従来の合焦評価方法を適用する場合は、たとえば、微分オペレータである3×3のSobelオペレータを用いて縦方向と横方向の微分値の絶対値を得て、それらの総合計を合焦の評価値として用い、合計値が最も大きいものを合焦位置より得られた画像とすることができる。
【0071】
あるいは、頻度特徴検出画像gd(x,y)の隣り合う画素の差分値の絶対値の合計を縦方向と横方向について求め、それらを加算した値を下記式のようにSMDとして、SMDが最大のものを合焦位置より得られた画像とすることもできる。
【0072】
【数10】
【0073】
【実施例】
50mm×35mmの平面状の領域に、図6に示すようなパターンを作成し、インクジェットプリンタEPSON PM−770Cにより、スーパーファイン用紙に印刷したサンプルを実験に使用した。このサンプルは、黄色の背景色の中に、色相を微妙に変えた種々の文字などのパターンを配置しており、人間の目ではほとんどそのパターンを検出することができないものであった。画像の取得には、RGB各8ビット、すなわちRGB各256階調の3CCDカメラを用いた。具体的には、画像の背景色は、8ビットのカラーの黄色(R:245、G:245、B:0)である。画像中の文字などのパターンについての()内の値は、上記の黄色からのRGB各々のオフセット値を表し、RGBの順で示されている。
【0074】
室内の自然光による照明で、図6のサンプルをカメラで撮影した画像を図7に示す。ただし、図7では、特許出願の都合上、無彩色で表示している。これを本発明にもとづきn=10、d=250、dmin=1の条件で検出すると、図8のようになった。図8には、本来の検出すべきパターンの他に、カメラのノイズや照明のむらに起因する不均一部分も同時に検出されている。たとえば、図中の縦筋がそれに該当する。
【0075】
同じサンプルをカメラを換えて撮影し、図8と同じ条件で検出した画像を、図9に示す。図9では、図8の画像のような縦筋は見られなかった。これより、図8における縦方向の筋状の検出部分は、CCDカメラに起因するむらであることが分かった。このむらは、ズーム比を変えたり、あるいは被写体を代えたりしても、いつも同じ位置に現れた。しかし、通常の撮影でこのむらに気付くことは難しいことが分かった。
【0076】
次に、同じサンプルを直径92mmの円柱に貼り付け、自然光により撮影した画像を図10において無彩色で示す。また、これを本発明にもとづきn=10、d=200、dmin=1の条件で検出した結果を、図11に示す。これより、円柱に貼り付けることにより場所によってサンプルの明度が変化しても、色相の異なる部分を検出可能なことが分かった。
【0077】
さらに、図12は、千円札のすかしの部分を、透過光を用いずに、正面からの蛍光灯照明により撮影し、n=25、d=120、dmin=1の条件で検出した結果を示す。この時の照明は、被写体の表面ができるだけ均一な明るさになるように調整した。この図より、肖像の目の二重まぶたまで検出できることが分かった。
【0078】
また、中に二千円札の入った封筒を均一な蛍光灯照明により撮影した画像を図13に示し、さらに、これをn=10、d=4000、dmin=1の条件で検出した結果を図14に示す。封筒の表面と内部の二千円札との間にはわずかな隙間があり、封筒の表から内部の状態を肉眼で知ることは困難である。しかし、検出結果を見ると、二千円札の表に印刷されている守禮門の形がぼんやりと浮かび上がって見える。また、図13をn=10、d=4000、dmin=5の条件で検出すると、図15のように、非常に頻度の少ない部分すなわち封筒の表面に印刷された文字の部分は、不均一領域として検出されなかった。
【0079】
次に、検査対象物の表面がテクスチャ性を有する場合の実施例について説明する。図16は、青色の繊維製品の表面を均一な蛍光灯照明により撮影したカラー画像を無彩色で示す。
【0080】
このカラー画像にガウスフィルタを用いてぼけ画像を作成し、検出を行った画像を、図17、図18に示す。図17は、RGBカラーヒストグラム空間を用いて検出した無彩色の検出画像である。ここで、均一領域は中間色である灰色で表示し、不均一領域は、輝度が画像の平均レベルより明るい場合には中間色より明るく、暗い場合には中間色より暗く表示している。これにより、図17の画像は、輝度むら検出画像となっている。また、図18は、2次元のHS色相平面を用いて頻度画像を作成し、検出を行った例である。この図18は、画像の平均の色相を中心として検出した領域の色相が、色相平面において時計回りにずれている画素を中間色より明るく、反時計回りにずれている画素を中間色より暗く表示した色むら検出画像となっている。どちらの検出画像も、テクスチャの影響を受けずにむらが検出できていることが分かる。
【0081】
図19および図20は、図6および図7に示されるサンプルについて、焦点位置以外は同じ撮影条件および検出条件で得られた頻度特徴検出画像を示す。図19はぼけた位置のもの、図20は合焦位置でのものである。
【0082】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、人間の目では識別が難しい部分まで、色の不均一部分を検出することが可能である。この検出された部分の色の特徴を詳しく調べることで、人間の感覚特性に応じた色むらの判定も可能である。また本発明は、凹凸のある表面の色の検査にも適している。このことは、照明の緩やかな変化があっても不均一部分を検出できることを意味しており、このため検査のために厳密な均一照明を必要としない。したがって本発明は、様々な環境の生産現場で利用することができる。
【0083】
また本発明によると、計算量が極めて少なく、このため種々の色むら検査の前処理として利用することができる。さらに、たとえばテクスチャ性を有する検査対象に関しても、ぼけ画像を作成することで、色の不均一部分の検出が可能である。
【0084】
また本発明によると、均一な照明環境の中で均一な対象物を撮影することで、撮像系の不均一部分、たとえば、CCD素子のむらやレンズのむらなどを検出することができる。また、撮像系にむらが少ない場合には、検査対象物の表面の微妙な凹凸を検出することもできる。
【0085】
さらに、従来の画像を用いた合焦手法では明確なエッジ成分が無いと焦点合わせができないという欠点があったが、本発明によれば、エッジのはっきりしない、たとえば、無地の平面(壁)などに焦点を合わすことが可能である。またこのため、焦点位置にもとづきカメラから物体までの距離を算出する距離計測に応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にもとづく頻度情報を持つカラーヒストグラムを利用した頻度画像と頻度画像の合計との作成手順を示す図である。
【図2】色の不均一部分のある検出対象領域の例を示す図である。
【図3】図2の領域をRGBカラーヒストグラム空間にプロットした例を示す図である。
【図4】色の不均一部分が、均一な円筒面上にある例を示す図である。
【図5】図4の撮影画像をRGBカラーヒストグラム空間にプロットした例を示す図である。
【図6】本発明の方法の実施例において使用したサンプルパターンの図である。
【図7】図6のサンプル画像を撮影したカラー画像の例を示す図である。
【図8】図7の画像にもとづく頻度特徴検出画像の例を示す図である。
【図9】図8で検出に使用したカメラとは異なったカメラを撮影に使用したときの、図7の画像にもとづく頻度特徴検出画像の例を示す図である。
【図10】図6のサンプル画像を円柱の表面に貼り付けて撮影した画像の例を示す図である。
【図11】図10の画像にもとづく頻度特徴検出画像の例を示す図である。
【図12】千円札のすかし部分を撮影し検出を行った頻度特徴検出画像の例を示す図である。
【図13】二千円札の入った封筒を撮影したカラー画像の例を示す図である。
【図14】図13の画像にもとづく頻度特徴検出画像の例を示す図である。
【図15】図14とは異なったパラメータで検出した、図13の画像にもとづく頻度特徴検出画像の例を示す図である。
【図16】繊維製品の表面を撮影したカラー画像の例を示す図である。
【図17】図16の輝度むらを検出した例を示す図である。
【図18】図16の色むらを検出した例を示す図である。
【図19】図6のサンプル画像についての焦点の合わない位置での頻度特徴検出画像の例を示す図である。
【図20】図6のサンプル画像についての焦点の合った位置での頻度特徴検出画像の例を示す図である。
Claims (4)
- カラー画像からこのカラー画像における色の出現頻度情報を持つカラーヒストグラムを作成し、得られたカラーヒストグラムから前記頻度情報を抽出し、この抽出された頻度の低い部分を前記カラー画像における色の不均一部分として検出するとともに、頻度の高い部分を前記カラー画像における色の均一部分として検出し、前記カラー画像における色の不均一部分として検出された部分を、その頻度に応じた濃淡画像で表示することで、この濃淡画像の明るい部分を合計面積の大きい不均一部分として検出するとともに、暗い部分を合計面積の小さい不均一部分として検出することを特徴とする色の均一性の評価方法。
- 複数枚のカラー画像から、それぞれの画像における色の出現頻度を表す頻度画像を作成し、これらの複数枚の頻度画像からそれらの頻度画像の平均である平均頻度画像を得て、この平均頻度画像より、検出したい平均頻度の範囲を指定して、前記カラー画像における色の不均一部分を検出することを特徴とする請求項1記載の色の均一性の評価方法。
- 色の均一性を評価するための検査対象よりピントをぼかしてカラーのぼけ画像を取得するか、あるいは前記検査対象についてのピントの合ったカラー画像よりカラーのぼけ画像を作成し、このぼけ画像をカラー画像として処理を行うことを特徴とする請求項1または2記載の色の均一性の評価方法。
- カラー画像から出現する色の情報を変えずにカラーのぼけ画像を作成するようにフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項3記載の色の均一性の評価方法。
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