JP2003329428A - 表面検査装置及び表面検査方法 - Google Patents

表面検査装置及び表面検査方法

Info

Publication number
JP2003329428A
JP2003329428A JP2002141446A JP2002141446A JP2003329428A JP 2003329428 A JP2003329428 A JP 2003329428A JP 2002141446 A JP2002141446 A JP 2002141446A JP 2002141446 A JP2002141446 A JP 2002141446A JP 2003329428 A JP2003329428 A JP 2003329428A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
defect
image
light
subject
distance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002141446A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3871963B2 (ja
Inventor
Osamu Hirose
修 廣瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2002141446A priority Critical patent/JP3871963B2/ja
Publication of JP2003329428A publication Critical patent/JP2003329428A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3871963B2 publication Critical patent/JP3871963B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返し明暗パターンを有する照明手段を用
いて被検体の表面欠陥を検出するにあたり、照明手段と
被検体の距離を最適に設定することのできる表面検査装
置を提供すること。 【解決手段】 所定の繰り返し明暗パターンを被検体に
対して照明する照明装置2と、明暗パターンが照明され
た被検体1を撮像するラインセンサー3と、ラインセン
サー3により撮像された原画像の明暗パターンのゆがみ
と明部と暗部の明るさの変化の度合いを解析することに
より、被検体1の表面欠陥を検出する画像解析手段とを
備えた表面検査装置であって、表面欠陥をモデル化する
欠陥モデル設定手段と、照明手段2と被検体1の距離デ
ータを設定する距離データ設定手段と、欠陥モデルを用
いて、設定された距離データに対応する表面欠陥の検出
感度を演算する感度演算手段とを備え、検出感度が最大
になるように照明距離を設定可能に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の繰り返し明
暗パターンを被検体に対して照明する照明手段と、前記
明暗パターンが照明された前記被検体を撮像する撮像手
段と、前記撮像手段により撮像された原画像の前記明暗
パターンのゆがみと明部と暗部の明るさの変化の度合い
を解析することにより、前記被検体の表面欠陥を検出す
る画像解析手段とを備えた表面検査装置及び表面検査方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる表面検査技術は、フィルム、板状
製品、生産財のボディなど平面や曲面上に存在する微小
な凹凸状の表面欠陥を検査するために用いられている。
このような技術の具体例として、例えば、特開平5−1
8728号公報に開示される技術がある。これは、被検
体(ベルト状物体)の表面に格子パターンを投影する照
明手段と、投影されたパターンを撮像する撮像手段とを
備えており、撮像手段によって得られた原画像を処理し
て歪みのあるパターンを検出することにより被検体の表
面欠陥を検出するものである。
【0003】しかしながら、この公知技術における格子
状パターンの歪みを検出する方法においては、表面の微
小な凹凸を感度良く検出できる可能性はあるものの、被
検体自体が不定であり、かつ、許容されうる凹凸分布を
有する場合に、かかる凹凸分布と表面欠陥との識別が困
難になってしまう。かかる被検体として、例えば反りが
発生しやすいフィルムがあるが、この場合、広範囲に分
布する表面の凹凸は正常であるとし、局所的に発生する
凹凸のみを欠陥として検出しなければならない。また、
別の例として、生産財のボディ(自動車、各種製品の筐
体、ディスプレイ装置の前面板など各種)においては、
表面が平面であることは少なく、三次元曲面などの曲面
により形成されている場合が多い。したがって、被検体
から表面欠陥を検出しようとする場合に、かかる曲面
(凹凸)を欠陥として誤検出するのではなく、局所的に
発生する凹凸のみを表面欠陥として検出することが望ま
れる。
【0004】かかる点に鑑みて、本願出願人は、被検体
に許容されうる曲面(凹凸分布)を表面欠陥として誤検
出することなく、表面欠陥を簡便にかつ確実に検出する
ことのできる新規な表面検査装置及び表面検査方法を出
願した(特開2001−21332号、以下「公知技術
2」という。)。
【0005】上記公知技術2に開示される表面検査装置
は、所定の繰り返し明暗パターン(微細チェッカーパタ
ーン)を被検体に対して照明する照明手段と、前記明暗
パターンが照明された前記被検体を撮像する撮像手段
と、前記撮像手段により撮像された原画像を解析する画
像解析手段とを備え、前記画像解析手段は、前記明暗パ
ターンのゆがみと明部と暗部の明るさの変化の度合いを
解析することにより、前記被検体の表面欠陥を検出する
ように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】この公知技術2に係る表面検査装置の作用
は次の通りである。 (イ) 照明手段により、所定の明暗パターンを被検体
に対して照明する。 (ロ) 撮像手段により、所定の明暗パターンが照明
(投影)された被検体を撮像する。 (ハ) 撮像手段により取り込まれた原画像を画像解析
手段により解析し、原画像のゆがみと明部と暗部の明る
さの度合いを解析する。 (ニ) 解析結果に基づいて被検体の表面欠陥を検出す
る。
【0007】次に原理を図2により説明する。所定の繰
り返し明暗パターンを撮像すると、暗部の明るさのレベ
ル(輝度値あるいは測光値)と明部の明るさレベルには
所定のレベル差があり、表面欠陥がない場合には、図2
(a)に示すように暗部と明部との境界において急激な
レベル変化が見られる。一方、表面欠陥が存在すると、
暗部と明部の境界において、図2(b)に示すようにレ
ベル変化の度合いが緩やかになる。したがって、この明
部から暗部又は、暗部から明部への明るさの変化の度合
いを解析することにより、表面欠陥を検出することがで
きる。
【0008】また、被検体に許容されうる曲面(凹凸分
布)が存在する場合、撮像される所定の明暗パターンの
形状は、曲面の形状に応じて歪んだ状態で撮像される
が、明部から暗部又は暗部から明部への明るさの度合い
として検出される可能性は極めて少なく、あるいは全く
なくなり、表面欠陥として誤検出されることはなく確実
性が高まる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の表面検査装置に
おいては、図1(a)にも示すように、被検体1を挟む
ように明暗パターンを有する照明手段2と、撮像手段3
とが配置されている。ここで、撮像手段3と被検体1と
の距離をL1 とし、照明手段2と被検体1との距離をL
2 (照明距離)とすると、トータルの距離L0 (=L1
+L2 )は、照明手段2の明暗パターンが撮像手段3の
センサー部分に結像するように(合焦するように)設定
される。したがって、距離L0 は理論的には唯一の値が
求められるものであるが、この求められたL0 を満足す
る(L1 ,L2 )の組み合わせは、理論的には無限に存
在する。
【0010】そこで、本願発明者は、L1 ,L2 の組み
合わせに中に最適な解(すなわち照明手段と被検体の
最適な設定距離=照明距離)があるのではないかと考え
てシミュレーションを行ったところ、最適な設定距離が
あることが判明した。本発明は上記実情に鑑みてなされ
たものであり、その課題は、繰り返し明暗パターンを有
する照明手段を用いて被検体の表面欠陥を検出するにあ
たり、照明手段と被検体の距離を最適に設定することの
できる表面検査装置及び表面検査方法を提供することで
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明に係る表面検査装置は,所定の繰り返し明暗パタ
ーンを被検体に対して照明する照明手段と、前記明暗パ
ターンが照明された前記被検体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された原画像の前記明暗パター
ンのゆがみと明部と暗部の明るさの変化の度合いを解析
することにより、前記被検体の表面欠陥を検出する画像
解析手段とを備えた表面検査装置であって、前記表面欠
陥をモデル化する欠陥モデル設定手段と、前記照明手段
と前記被検体との距離データを設定する距離データ設定
手段と、前記欠陥モデルを用いて、設定された距離デー
タに対応する前記表面欠陥の検出感度を演算する感度演
算手段とを備え、前記検出感度が最大になるように前記
照明手段の前記被検体に対する距離を設定可能に構成し
たことを特徴とするものである。
【0012】この構成による表面検査装置の作用・効果
は以下の通りである。表面欠陥を検出するまでの手順
は、すでに説明した(イ)(ロ)(ハ)(ニ)と同じで
あり、表面欠陥を検出する原理についてもすでに説明し
た通りである。ただし、照明手段の明暗パターンは微細
チェッカーパターンに限定されるものではなく、ストラ
イプパターン等でもよく、要は、繰り返しパターンを有
していればよい。
【0013】本発明では、照明手段と被検体との最適な
距離をコンピュータ・シミュレーションにより求めよう
とするものである。そのために、まず表面欠陥を欠陥モ
デル設定手段によりモデル化する。欠陥モデルには、凹
欠陥、凸欠陥、凹凸欠陥等があり、これを関数等を用い
てモデル化することができる。また、照明手段と被検体
との距離データを設定する。これら欠陥モデルや距離デ
ータ等を設定すること撮像光学系が決定し、撮像手段に
よりどのような画像信号が得られるかを演算で求めるこ
とができる。
【0014】次に、設定された距離データに対応する検
出感度を演算により求める。検出感度が高ければ高いほ
ど、表面欠陥の検出精度も高くなる。そこで、距離デー
タを種々設定して検出感度を演算することで、検出感度
が最も高くなるような距離を得ることができる。よっ
て、繰り返し明暗パターンを有する照明手段を用いて被
検体の表面欠陥を検出するにあたり、照明手段と被検体
の距離を最適に設定することができた。
【0015】本発明の好適な実施形態として、前記検出
感度は、前記表面欠陥の存在による画像のぼけの度合い
により求められるものがあげられる。
【0016】表面欠陥を有する被検体を撮像手段により
撮像した場合、表面欠陥は凹部や凸部を有するため、画
像にぼけが生じる。このぼけの度合いが大きくなればな
るほど欠陥として検出がしやすくなる。そこで、ぼけの
度合いに基づいて検出感度を求めることで、照明手段と
被検体の最適な距離を設定することができるようにな
る。
【0017】本発明の別の好適な実施形態として、前記
検出感度は、前記明暗パターンの繰り返しピッチの大き
さと、前記撮影手段により撮像された前記明暗パターン
の画像信号のレベルが、所定レベルよりも小さくなる領
域の大きさとの関係式に基づいて設定されるものがあげ
られる。
【0018】照明手段として繰り返しの明暗パターンを
用いると、撮像手段により明暗パターンの画像が得られ
る。表面欠陥が存在しない場合には、一定レベルの明暗
パターンの画像信号が得られる。表面欠陥が存在する
と、画像がぼけるため画像信号のレベルが低下する。そ
こで、画像信号のレベル(輝度値や濃度値で表わされ
る)が所定レベル以下となる領域の大きさと、明暗パタ
ーンの繰り返しピッチの大きさとの関係式により検出感
度を定量化することができる。定量化することで、最適
な距離を求めやすくなる。
【0019】本発明の課題を解決するため本発明に係る
表面検査方法は、所定の繰り返し明暗パターンを被検体
に対して照明するステップと、前記明暗パターンが照明
された前記被検体を撮像するステップと、前記撮像手段
により撮像された原画像の前記明暗パターンのゆがみと
明部と暗部の明るさの変化の度合いを解析することによ
り、前記被検体の表面欠陥を検出するステップとを備え
た表面検査方法であって、前記表面欠陥をモデル化する
ステップと、前記照明手段と前記被検体との距離データ
を設定するステップと、前記欠陥モデルを用いて、設定
された距離データに対応する前記表面欠陥の検出感度を
演算するステップとを備え、前記検出感度が最大になる
ように前記照明手段の前記被検体に対する距離を設定可
能に構成したことを特徴とするものである。この構成に
よる作用・効果は、既に説明した通りである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係る表面検査装置の好適
な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形
態に係る表面検査装置の構成を示す模式図である。図1
(a)において、この表面検査装置は、被検体1に対し
て微細チェッカーパターン(所定の繰り返し明暗パター
ンの1例である。)の照明を行う照明装置2(照明手段
に相当する。)と、微細チェッカーパターンが照明され
た被検体1を撮像するCCDセンサー3(ラインセンサ
ーやエリアセンサー等であり、撮像手段に相当する。)
と、CCDセンサー3により取り込まれた画像を解析す
る画像解析装置4(画像解析手段に相当する。)と、画
像を映し出すためのTVモニター5とを備えている。も
ちろん、照明装置として、微細チェッカーパターン以外
のものを用いても良い。
【0021】照明装置2の微細チェッカーパターンの詳
細は図1(b)に示される。このチェッカーパターンは
明部2aと暗部2bとが交互に繰り返して配置されてお
り、X方向の寸法比(デューティー比)は、xB:xW
=1:1、Y方向の寸法比は、yB:yW=1:1であ
る。
【0022】さらに、xB=yB,xW=yWである。
つまり、明部2aも暗部2bも同じ大きさの正方形であ
る。本発明の原理はすでに図2を用いて説明したが、表
面欠陥が存在すると明部2aと暗部2bの境界におい
て、明るさのレベルが緩やかになることを検出するもの
であるから、明部2aと暗部2bとができるだけ数多く
存在する方が好ましい。そのためには、明部2aと暗部
2bとの寸法比を1:1に設定するのが合理的である。
また、CCDセンサー3のCCDの素子配列ピッチとの
関係から、明部2aと暗部2bとの繰り返しピッチを細
かくしすぎると分解能が低下する。よって、明部2aと
暗部2bの繰り返しピッチは、少なくとも素子配列ピッ
チよりも大きくする必要がある。また、表面欠陥の大き
さとパターンの繰り返しピッチとの関係については後述
する。
【0023】また、CCDセンサー3の焦点(ピント)
は、被検体1ではなく、照明装置2の微細チェッカーパ
ターンに合焦するように調整されている。これにより微
細チェッカーパターンの画像を明瞭な状態で取り込むこ
とができる。すなわち、本発明では正常部分での明暗変
化が大きいことが望ましいが、そのためには照明装置2
の明暗パターンに焦点を合わせるのが自然である。被検
体1に焦点を合わせると照明装置2の明暗パターンがぼ
けた像として観測されるため充分な検出精度を得ること
ができない。照明装置2の明暗パターンとCCDセンサ
ー3は被検体1を介して等価的に向かいあった位置関係
であり、画面全体に焦点を合わせることができ、明暗変
化の急峻性を損なうことなく画像を取得することができ
る。
【0024】<画像解析の手順>次に、画像解析(画像
処理)の手順について説明する。図3は、画像解析装置
4の機能を説明するブロック図である。画像解析は、公
知の画像処理プログラムを実行することにより行われ
る。まず、図1(a)に示されるように、被検体1、照
明装置2、CCDセンサー3をセッティングする。ここ
で、表面検査をすべき被検体1として選択されるもの
は、例えば、フィルム状の製品があげられるがこれに限
定されるものではなく、ガラス等の透明板状体、金属シ
ート材、表面塗装、生産財(自動車のボディ、各種製品
の筐体、ディスプレイ装置の前面板等各種)、感光体等
の、検査面が平滑なものが被検体1の例としてあげられ
る。
【0025】次に、CCDセンサー3により被検体1の
画像を取り込む。取り込まれた画像は、画像解析装置4
のA/D変換部40においてデジタルデータ化されて、
フレームメモリ41に記憶される。ここで、画像データ
は8ビットの濃淡データとして表わされ、0(最も暗
い)から255(最も明るい)までの256段階の濃度
データ(輝度データ)として得ることができる。このデ
ジタルデータ化された画像データをTVモニター5に表
示させたのが図4に示される。これを説明の便宜上原画
像と称する(Step0)。図4において、微細チェッ
カーパターンが緩やかに曲がっているのが見られるが、
これは被検体1自身が3次元曲面を有するからであり、
これは表面欠陥に該当しない。
【0026】また、図4において微細チェッカーパター
ンの暗部2bに相当する部分は黒く、微細チェッカーパ
ターンの明部2aに相当する部分は白くなっているが、
これは図示の便宜上のためであり、被検体1の種類のよ
っては、明部2aに相当する部分がグレーに写し出され
ることもある。図4の中央部分には、中間調のグレーの
部分が見られるが、この部分が表面欠陥であるものと推
定される。
【0027】次に、図4の原画像に対してSobel変
換(ソーベル変換)と呼ばれる、二次元勾配ベクトルを
求める処理を行う。これは図3の微分処理部44にて行
われる。
【0028】図5は、Sobel変換を行なった後の画
像(Step1:第1変換画像)を示すものである。こ
の画像は、原画像における各画素の勾配値を表わすもの
であり、原画像と同じく8ビットの濃淡画像データとし
て示される。つまり明るい部分ほど勾配が大きいことを
示している。また、Sobel変換の演算において25
5を超える値が演算された場合には、その値は255に
する。
【0029】次に、図3の第1欠陥候補抽出部42にお
ける処理内容を説明する。この第1欠陥候補抽出部42
においては、図2(b)に示すように、第1しきい値と
第2しきい値とを設定しており、第1しきい値よりも暗
い部分と第2しきい値よりも明るい部分を除去する、即
ち、該当する画素を0レベルに変換するものである。こ
れは、表面欠陥が存在すると、暗部2bと明部2aの境
界が緩やかになり中間調のグレーになるため、この中間
調の画素を1レベルに変換して抽出しようとするもので
ある。なお、これら第1、第2しきい値の値は被検体1
の種類に応じて設定変更可能にするのが好ましい。画像
変換をするには、予め画像変換用のテーブル(LUT)
を用意しておくことにより効率よく処理することができ
る。
【0030】次に、第2欠陥抽出部43(図3参照)に
おいて、前述した第1変換画像のうち、勾配の大きい部
分を除去、すなわち、0レベルに変換する。この勾配が
大きいと言うことは、明部2aから暗部2bへの変化、
あるいは、暗部2bから明部2aへの変化が急激である
ことを意味するものであり、即ち、表面欠陥が存在しな
いことを意味するものである。つまり、図2(b)にも
示されるように、表面欠陥が存在すると勾配の値が小さ
くなるので、勾配の大きな部分を除去することで、表面
欠陥の部分を抽出することができる。この第2欠陥抽出
部43における処理も、予め画像変換用のテーブル(L
UT)を用意しておくのが好ましい。
【0031】図4に示される原画像に対して、第1欠陥
候補抽出部42と第2欠陥抽出部43において処理を施
した後の画像(Step2:第2変換画像)を図6に示
す。この画像は、0レベルか1レベルかの2値画像であ
る。画像のほぼ中央部にまとまった1レベルの領域がみ
られるが、この領域が表面欠陥が存在する領域と推定さ
れる。また、この第2変換画像においては、表面欠陥が
存在する領域以外にも、微小な1レベルの領域が点在し
ている。これは、照明装置2のシェーディングの影響が
除去しきれていなかったり、あるいは、正常部のチェッ
カーパターンの輪郭部に生じる中間調領域が本実験で抽
出した輝度勾配の高い領域より1〜2画素程度大きいこ
とにより、正常領域を誤って欠陥候補領域として検出し
たなどの理由によるものであり、これらの微小領域はノ
イズ成分であって表面欠陥ではない。これら微小領域は
適切なシェーディング補正と輪郭領域の除去が行われれ
ば発生しないと考えられる。適切なシェーディング補正
と輪郭領域の除去が行われず、これら微小領域が欠陥候
補領域として抽出された場合には、これら微小領域を処
理するため収縮処理部45(微小領域処理部)にて周知
の4近傍収縮処理を2回行い、微小な孤立点を除去する
ことで誤検知を回避することができる。なお、収縮処理
としては、8近傍収縮処理でも良い。収縮処理後の画像
(Step3:第3変換画像)を図7に示す。図7も、
2値画像であるが、中央部分にまとまった領域の1レベ
ルの画素が見られる。
【0032】欠陥判定部46では、第3変換画像に1レ
ベルの画素が存在するか否かで、表面欠陥の有無を判定
し、本実施形態では、1レベルの画素が1つでもあれば
表面欠陥が存在するものと判定する。表面欠陥が存在す
る場合は、その旨をTVモニター5の画面に表示した
り、別に設けられたランプに表示したり、適宜の手法で
警告する。なお、欠陥判定部46における判定手法は上
記に限定されず、1レベルの画素数が所定数以上のとき
に表面欠陥が存在するものと判定しても良い。
【0033】図7に示される第3変換画像において、被
検体1に表面欠陥が存在しない場合は、すべて0レベル
の画像(真っ黒な画像)に変換されることになる。
【0034】<シミュレーション解析>次に、照明装置
2に用いられる明暗パターンの最適な配置について説明
する。既に説明したように、明暗パターンは撮像手段の
合焦位置に置かれる。ここで、撮像手段と被検体の照明
距離をL1 とし、明暗パターンと被検体1との距離をL
2 とし、トータルの距離L0 =L1 +L2 とする。明暗
パターンの画像の焦点が合うL0 は理論的には1つの解
を有するが、これを満たす(L1 ,L2 )の組み合わせ
は無限に存在する。しかし、無限に存在する組み合わせ
の中にも最適な解が存在するものと推定し、照明光の正
反射解析(光線追跡)によるシミュレーションを行っ
た。
【0035】図8に示すように、ここで検出対象として
いる表面欠陥は、厚さ200μm程度のフィルムFの表
面に生じた微小凹凸欠陥であり、表面欠陥の大きさ(平
面寸法)に比べて高さ寸法が非常に小さい断面構造を有
している。 このシミュレーションを行うにあたり想定
した実験装置は図9に示される表面検査装置である。撮
像手段としてラインセンサー3を用い、照明装置2の明
暗パターンとして微細ストライプパターン2s(所定の
明暗パターンの1例である。)を用いたものである。
ラインセンサー3によりフィルムFの画像全体を取り込
む場合には、フィルムFを搭載しているステージ6をラ
インセンサー3の素子列とは直交する方向(副走査方
向)に沿って駆動すればよい。図10(a)は、ストラ
イプパターンの照明装置2を用いて表面欠陥のあるフィ
ルムを撮影した原画像を示す。 表面欠陥は、画像の中
央部にストライプパターンのぼけとして観測されてい
る。表面欠陥の周辺には、一部ストライプパターンが歪
んだ状態で観測されている部分が見受けられるが、これ
は被検体であるフィルムがもっているわずかな反りの影
響によるものである。 この原画像の輝度プロファイル
を図10(b)に示す。
【0036】表面欠陥のない正常な部分では、暗部から
明部、又は、明部から暗部への明るさの変化は急峻であ
るが(図10(b)(イ)(ロ)参照)、表面欠陥の存
在する部分では、明るさの変化の度合いが緩やかになる
(図10(b)(ハ)参照)。つまり、中間の輝度を有
する画素が多く生じる。また、フィルムの反りによる明
暗パターンの歪みは、原画像においては、明暗の周期の
不均一として現われるが、輝度変化については影響がな
い(図10(b)(ロ)参照)。
【0037】シミュレーション解析を行うにあたり用い
た座標系を図11に示す。 まず、座標原点(O)付近
にCCDラインセンサー3のCCD素子10を光軸(z
軸)に垂直に配置した。CCD素子10の配列方向はx
軸とした。被検体1であるフィルムFは、z=L1 を切
片とする傾き45゜の面上に配置に配置し、パターン照
明はy=L2 の面上に配置している パターン照明か
ら出射した光は、フィルムFの被検査面で正反射し、C
CD素子10の前方に配置されたレンズ12を介してC
CD素子面に結像している。このレンズ12は、開口1
1の有効開口がdで、主点位置がH,H’で示されてい
る。
【0038】CCD素子面から像空間主点H’までの距
離をs2 、物空間主点Hから被検査面を介してパターン
照明面までの距離をs1 、レンズ12の焦点距離をfと
すると、幾何光学の公式から、
【数1】 z=L0 の位置にz軸に直交するように描かれているも
のは被検体が平面である場合のパターン照明の鏡像であ
る。このとき、CCD素子10上の点P(xp,0,
0)から出射し、レンズ12の有効開口内を透過した光
線は、点Pからの出射方向に関わらず同一点S’(x
s ,0,L0 )に結像するはずである。ここで、点S’
の座標はレンズの拡大率M=s1 /s2 を用いて、
【数2】xs =−M・xp ・・・・(2) で与えられる。したがって、CCD素子上の点Pから出
射し、レンズ12の有効開口内の点Q(xQ ,yQ ,z
Q )を通過した後の光線のベクトルvは、点Qと点S’
の座標から容易に求めることができる。
【0039】次に、光線ベクトルvが被検査面に到達す
る点Rを求める。また、被検査面上の欠陥モデルとして
は次式(3)に示すようなガウス型関数を使用した。
【0040】
【数3】 ここで、被検体であるフィルムFはz’面にCCD素子
から距離L1 を隔てて配置されることから、ガウス型関
数の記述には(xy’z’)座標系を使用した。(x
y’z’)座標系とは、(xyz)座標系を45゜回転
し、z軸方向に距離L1 だけ平行移動したものである。
式(3)において、表面欠陥の高さ方向の変位(寸法)
は、その方向(凸か凹か)も含めて振幅Aにより記述
し、表面欠陥の幅方向の大きさはσにより記述してい
る。
【0041】σは、ガウス型関数の値が1/e2 となる
半幅を表し、以後、シミュレーションにおける欠陥幅は
2σで表されるものとする。図12(a)は、凸部のみ
で形成される表面欠陥のモデルを示し、(b)は、凹凸
を有する表面欠陥のモデルを示している。 (b)のモ
デルは、式(3)をx方向に1回微分することで得られ
る。(a)は、σ=1.5mm、A=−5μm、(b)
は、σ=1.5mm、A=5μm(p−p)である。実
際には、さまざまな組み合わせのσ,Aに対してシミュ
レーションを行った。フィルムFの被検査面と光線ベク
トルvとの交点の計算方法には、線形計算の最も基本的
な解法である二分法を用いた。次に、点Rにおける正反
射光の出射方向ベクトルuを、被検査面への入射ベクト
ルvと、点Rにおける被検査面の法線ベクトルnとを用
いて、入射角と反射角が等しいと言う正反射の基本原理
から次式(4)により計算する。 なおこの式で、u,
v,nはいずれも単位ベクトルである。
【数4】 最後に、反射光線uがパターン照明面に到達する点Sを
同様に数値計算により求めることにより、点Sでの照明
強度からCCD素子面へ結像される画像の照明強度が得
られる。
【0042】以上の計算をレンズ12の有効開口範囲内
の全方向について行い、到達点の照明強度を積算し、さ
らにCCD素子面上の各点Pについて同様の積算照明強
度を計算することにより、CCDラインセンサー3によ
り撮影される画像の輝度プロファイルを求めることがで
きる。
【0043】まず最初に、シミュレーション解析を行う
にあたって、各パラメータの数値は次のようなものを使
用した。 (1)CCD(撮像手段)として、5000画素のライ
ンセンサーを用いた。素子寸法は、7μmとした。 (2)レンズは、焦点距離f=55mm,主点間距離=
1mm、絞りF=4とした。
【0044】(3)パターン照明として、ストライプの
幅を0.25mm及び1.0mm明暗の線幅比を1:1
とした。 (4)表面欠陥モデルとして、表面欠陥幅=0.5mm
(σ=0.25mm)、振幅A=0〜10μmのガウス
型関数とした。
【0045】また、レンズ倍率(s2 /s1 )は、パタ
ーン照明の1本のストライプを何画素で撮影するか(以
後これをパターン分解能と呼び、画素数で表すことにす
)によって定まる。例えば、ストライプ幅1mmの
明暗パターンを、パターン分解能10画素で撮影する場
合、レンズ倍率は1/14.3、撮影距離は、s2=5
8.9mm、s1 =840.7mmとなる。
【0046】シミュレーション解析結果の一例を図13
に示す。 この例では、欠陥幅0.5mm、欠陥高さ
(深さ)5.0μmの凹欠陥モデルに対して、異なる照
明条件下で解析を行った。図13(a)は、ストライプ
幅を1mm(黒い部分の幅=白い部分の幅=1mm)と
したときのプロファイル形状である。図13において、
横軸は画素数を示し、縦軸は輝度を示す。図13(a)
の横軸の200画素目あたりに表面欠陥が存在している
が、パターンぼけの程度が小さいため、この場合は、表
面欠陥の検出は困難であると考えられる。一方、図13
(b)は、ストライプ幅(黒い部分の幅=白い部分の
幅)を0.25mm(欠陥幅の1/2)とした場合のプ
ロファイル形状である。(a)とは異なるように、パタ
ーンのぼけが顕著に現われていることが分かる。このよ
うに、検出したい表面欠陥の最小欠陥幅に基づいてパタ
ーン照明の繰り返しピッチを決定すれば良いと理解でき
る。 具体的には、繰り返しピッチを表面欠陥の最小欠
陥幅(平面寸法)よりも小さな寸法に設定するのが良
い。 上記実験結果から、繰り返しピッチは想定される
最小欠陥幅の1/2以下に設定するのが好ましいと考え
られる。次に、シミュレーション結果の評価を定量的に
行うために、検出感度を定義した。表面欠陥が存在する
と画像にぼけを生じる。そこで、このぼけを定量化する
ことを考え、次式(5)のように検出感度Dを定義し
た。
【0047】
【数5】D=Wblurring/Wstripe・・・(5) ただし、Wstripeは明暗パターンのストライプ幅であ
る。また、Wblurringは図14に示すように、表面欠陥
の中央を通る輝度プロファイルにおいて、明暗の振幅の
80%(所定レベルに相当する。)以下に減衰した(す
なわち、 画像がぼける)領域の幅である。この検出感
度Dを用いることで、定量的に評価することができる。
【0048】図14に示すシミュレーションでは、欠陥
モデルとして、σ=0.5mm、A=−5.0μmの凹
欠陥(グラフ中○で示す)、及び、σ=2.0mm、A
=−20.0μmの凹欠陥(グラフ中黒四角で示す)の
2種類のモデルを使用した。また、ストライプ幅W
stripeを3.0mm〜0.1mmまで0.1mm毎に変
化させてシミュレーションを行った。
【0049】なお、シミュレーションを行うためのソフ
トウェアをコンピュータにインストールさせている。こ
のソフトウェアは、表面欠陥をモデル化する欠陥モデル
設定手段と、照明装置と被検体フィルムとの距離データ
を設定する距離データ設定手段と、欠陥モデルを用いて
設定された距離データに対応する表面欠陥の検出感度を
演算する感度演算手段としてコンピュータ(表面検査装
置)を機能させることができる。
【0050】欠陥モデル設定手段は、欠陥の形状を定義
する関数式と、σやA等の具体的な数値に基づいて、欠
陥モデルを設定する。距離データ設定手段は、入力され
た数値(照明距離の最小値、最大値、刻み値に基づいて
距離データを設定する。感度演算手段は、上記で説明し
た考え方に基づいて設定された各距離データについて検
出感度を演算する。演算結果はグラフ化される。
【0051】図14の結果からも分かるように、いずれ
の欠陥モデルにおいても、欠陥寸法(特にσ)の大きさ
に対してストライプ幅が大きいときには、検出感度Dは
小さく(1以下である)画像のぼけは見られない。しか
し、欠陥寸法に対してストライプ幅が同程度になると、
欠陥検出感度Dは急激に増大し、画像のぼけが広範囲に
生じることが分かる。
【0052】本発明による表面検査方法を用いて被検体
の表面欠陥を検出できるか否かは、撮影された画像のぼ
けの領域がノイズに対して十分な面積で抽出されるかど
うかにより決まる。一方、本発明による欠陥検出アルゴ
リズム(表面欠陥の存在によって生じる中間的な輝度の
領域と、緩やかな輝度変化の領域の2つの特徴を併せ持
つ領域を検出する。)から、欠陥のない正常な領域にお
いて抽出されるノイズの大きさは、高々ストライプ幅程
度であると予想できる。したがって、図14において、
検出感度Dが1となるストライプ幅が検出可能な限界幅
であると考えられ、それよりも小さなストライプ幅を有
する明暗パターンの照明装置とすればよい。
【0053】あるいは、実用化の可能性を判断する際に
経験的によく用いられるS/N比が3以上であること、
という目安を適用するのであれば、図14から、いずれ
の欠陥寸法に対してもσ/2以下(欠陥の直径の1/4
以下)のストライプ幅が望ましいと考えられる。
【0054】<光学配置と検出感度との関係>図1,
9,10に示す本発明における表面検査装置において、
CCDラインセンサー3(撮像手段)から照明装置2の
明暗パターンまでの光学系の全長(L0)は、ラインセ
ンサーの分解能とレンズが決まれば、既に述べたとおり
一意に定まるものである。しかしながら、ラインセンサ
ー3と被検体(フィルム)の距離L1 と照明装置2と被
検体の距離L2 の組み合わせは任意である。このこと
は、光学系の全長L0 を一定に保っておけば、各構成要
素の配置を自由に選択できることを意味するものであ
る。逆に言えば、配置によって検出感度Dが異なる可能
性があり、その選択を誤ると十分な検出性能を得られな
い可能性もある。
【0055】そこで、同一の表面欠陥に対して光学配置
の違いが検出感度にどのような影響を与えるのかをシミ
ュレーションと実験により検証した。まず、欠陥モデル
については、図14の場合と同様に、σ=0.5mm
と、σ=2.0mmの2種類の欠陥モデルを用意した。
図15(a)(b)(c)にシミュレーション結果を示
す。
【0056】(a)は欠陥モデルとしてσ=0.5mm
の凹欠陥であり、明暗パターンはストライプ幅0.25
mm(Wstripe=σ/2)である。また、欠陥高さは、
1μm〜10μmまで1μm刻みとした。 (b)は欠陥モデルとしてσ=2.0mmの凹欠陥であ
り、明暗パターンはストライプ幅1.0mm(Wstripe
=σ/2)である。また、欠陥高さは、2μm〜20μ
mまで2μm刻みとした。 (c)は欠陥モデルとしてσ=2.0mmの凹欠陥であ
り、明暗パターンはストライプ幅0.25mm(W
stripe=σ/4)である。また、欠陥高さは、2μm〜
20μmまで2μm刻みとした。
【0057】これら3種類のモデルについて、照明装置
の明暗パターンと被検体フィルムとの照明距離L2 を変
化させてシミュレーションを行い、距離の違いによる検
出感度Dの違いを評価した。もちろん、結像の関係を維
持するため、L0 =L1 +L 2 が一定値となるよう、L
2 を変化させた量と同じだけの距離をL1 についても調
整している。
【0058】図15のシミュレーション結果を見ても分
かるように、照明装置の距離により欠陥検出感度が異な
っており、最適な照明距離が存在することがわかる。さ
らに、表面欠陥の平面寸法(σの値)によって、その適
切な距離が異なっていることも分かる。一方、表面欠陥
の平面寸法が同じであれば、欠陥高さに関係なく、ほぼ
同じ照明距離L2 で高い検出感度が得られている。これ
らのシミュレーション結果から、検出対象の表面欠陥の
平面寸法が決まれば、それに適した明暗のストライプ・
パターン幅と、観測系の光学配置がほぼ一意に決まると
いうことが分かる。
【0059】従来、この種のフィルムの表面欠陥は、欠
陥の有無が分かっていても、その寸法で良否判定をする
ことが困難であった。上記の結果は、欠陥を寸法別(平
面寸法別)に選択的に検出できる可能性を示している。
ここで、上記2種類の欠陥モデルは、打痕(σ=0.5
mm程度の比較的小さな凹欠陥のこと)およびピラミッ
ド(σ>数mmの比較的大きな欠陥であり、形は凹、
凸、凹凸がある)を想定している。
【0060】例えば、ピラミッドのみを検出したい場合
には、明暗パターンのストライプ幅、照明距離L2 の両
方を大きくすれば良い。また、打痕とピラミッドの両方
を検出したい場合には、ストライプ幅、照明距離L2
両方を小さくすればよい。さらに、後者の設定で、検出
感度が設定値よりも大きいものを欠陥とはみなさないよ
うにすれば、ピラミッドを検出せず、打痕のみを検出で
きる可能性がある。
【0061】<実験例>次に、光学配置の違いによる検
出感度の変化を確認するために、実際の欠陥サンプルを
用いて検出実験を行った。欠陥サンプルには、σ=0.
5mm(直径約1mm)の打痕、及び、σ=2.0mm
(直径約4mm)のピラミッドを用いた。照明装置の明
暗パターンは、いずれも、ストライプ幅0.25のスト
ライプパターン照明とした。実験結果を図16〜19に
示す。いずれも、被検体フィルムと明暗パターンとの距
離(照明距離)は、50mmから190mmの間で20
mmピッチで変化させた。また、ラインセンサーとフィ
ルムとの距離も、上記に連動させて結像関係を維持させ
た。
【0062】図16,17は、欠陥サンプルが打痕の場
合の実験結果である。左側は、打痕の観測画像であり、
右側は、欠陥中央部の輝度プロファイルである。画像中
において、一番中央に小さく見えるのが表面欠陥であ
る。それを囲むように描かれている黒い円は、マジック
ペンで付けたマーキングである。
【0063】図16,17から分かるように、照明距離
が50mm(図16(a))の場合は、画像のぼけはそ
れほど見られないが、照明距離を遠ざけるにつれてぼけ
の量が大きくなり、やがて再びぼけがなくなっていく様
子がわかる。ぼけ具合のピークは、照明距離90mm付
近にあると考えられる(図16(c)参照)。
【0064】図18,19は、欠陥サンプルがピラミッ
ドの場合の実験結果である。同じく、観測画像と輝度プ
ロファイルを示している。この結果を見ると、照明距離
が短い場合に画像のぼけが見られないことは、打痕の場
合と同じである。ただし、ぼけが見え始める照明距離
は、打痕の場合とは異なっている。ピラミッドの場合
は、照明距離110mm(図18(d)参照)以上でぼ
け具合が大きくなり、最も遠い190mm(図19
(h)参照)までぼけ具合が低下しなかった。
【0065】これらの実験結果は、シミュレーション結
果(図15)と非常によく一致している。このことか
ら、欠陥サイズに応じた選択的な検出が可能であるとい
う、本発明による表面検査方法の利点を確認することが
できた。
【0066】次に、照明距離と欠陥寸法(σ)との関係
をシミュレーションにより求めた。この結果を図20に
示す。図20(a)は、ストライプ幅が0.25mm
で、深さ6μmの凹欠陥であり、σを0.5mmから
2.0mmまで0.5mm刻みで変化させた。また、
(b)は、ストライプ幅が1.0mmで、同じく深さ6
μmの凹欠陥であり、σを0.5mmから5.0mmま
で図示のように変化させた。
【0067】この実験結果からも分かるように、照明距
離L2 を欠陥寸法(σ)の100倍以上とすることで、
高い検出感度Dが得られる。さらに、照明距離L2 を3
00σ以上にとると、そのσに対する検出感度を抑制す
ることができる。よってL2の適正範囲は、検出すべき
欠陥寸法σの100σ〜300σであるということがで
きる。ただし、L2 の範囲には物理的に上限があり、最
大はL0 (トータルの光路長)である。
【0068】以上のように照明距離には最適値が存在す
るということが分かった。ここで、最適な照明距離の求
め方は、図15に示すシミュレーション結果をモニター
に表示させ、人が判断してもよいし、最適値をコンピュ
ータに演算させることで求めてもよい。コンピュータに
演算させる手法としては種々考えられる。例えば、図1
5において、検出感度の値が所定レベルを超える照明距
離の範囲の、中央値をとる方法があげられる。
【0069】また、求められた照明距離となるように、
照明距離を実際に調整するための調整機構が設けられ
る。調整そのものは、人が手動で行ってもよいし、自動
調整機構により機械的に行うようにしてもよい。機械に
よる場合は、コンピュータにより求められた最適値にな
るように、自動調整することができる。なお、検出対象
となる被検体(製品)のスペックが変更にならない限り
は、調整を変える必要はないので、手動調整でも十分で
ある。
【0070】<別実施形態>明暗パターンについてチェ
ッカーパターンとストライプパターンについて例示した
が、これらに限定されるものではなく、例えば三角形状
の繰り返しパターンを用いても良い。 図3〜図7で説
明した表面欠陥検出手順は、チェッカーパターンのみに
応用できるのではなく、ストライプパターンやその他の
繰り返しパターンの場合にも応用できるものである。ま
た、表面欠陥寸法と繰り返しピッチとの寸法関係、及
び、表面欠陥の高さ寸法の評価については、実施形態で
はストライプパターンの場合について説明したが、チェ
ッカーパターンやその他の繰り返しパターンの場合にも
応用できるものである。検出感度の定義は、本実施形態
で説明したものに限定されるものではない。例えば、本
実施形態では、所定レベルとして振幅の80%としてい
るが、この数値を変更して定義することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面検査装置の構成を示す模式図
【図2】本発明の原理を説明する図
【図3】画像解析装置の構成を示すブロック図
【図4】表面欠陥が存在する原画像を示す図
【図5】Sobel変換後の第1変換画像を示す図
【図6】欠陥候補抽出を行った後の第2変換画像を示す
【図7】収縮処理を行った後の第3変換画像を示す図
【図8】微小凹凸欠陥の断面構造をモデルを示す図
【図9】シミュレーション解析を行うための表面検査装
置の構成を示す模式図
【図10】ストライプパターン照明下における表面欠陥
観測例
【図11】正反射解析による欠陥検出シミュレーション
解析に用いた座標系を示す図
【図12】ガウス関数による欠陥モデルを示す図
【図13】ストライプパターンを変えた場合のシミュレ
ーション解析結果を示す図
【図14】検出感度とストライプ幅の関係を示す図
【図15】照明距離と検出感度の関係をシミュレーショ
ンにより求めた結果を示す図
【図16】照明距離と検出感度の関係を示す実験結果
(打痕の場合)
【図17】照明距離と検出感度の関係を示す実験結果
(打痕の場合)
【図18】照明距離と検出感度の関係を示す実験結果
(ピラミッドの場合)
【図19】照明距離と検出感度の関係を示す実験結果
(ピラミッドの場合)
【図20】照明距離と欠陥寸法の関係をシミュレーショ
ンにより求めた結果を示す図
【符号の説明】
1 被検体 2 照明装置 2s ストライプパターン 3 CCDセンサー(ラインセンサー) 4 画像解析装置 5 TVモニター F フィルム

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の繰り返し明暗パターンを被検体に
    対して照明する照明手段と、 前記明暗パターンが照明された前記被検体を撮像する撮
    像手段と、 前記撮像手段により撮像された原画像の前記明暗パター
    ンのゆがみと明部と暗部の明るさの変化の度合いを解析
    することにより、前記被検体の表面欠陥を検出する画像
    解析手段とを備えた表面検査装置であって、 前記表面欠陥をモデル化する欠陥モデル設定手段と、 前記照明手段と前記被検体との距離データを設定する距
    離データ設定手段と、 前記欠陥モデルを用いて、設定された距離データに対応
    する前記表面欠陥の検出感度を演算する感度演算手段と
    を備え、前記検出感度が最大になるように前記照明手段
    の前記被検体に対する距離を設定可能に構成したことを
    特徴とする表面検査装置。
  2. 【請求項2】 前記検出感度は、前記表面欠陥の存在に
    よる画像のぼけの度合いにより求められるものであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
  3. 【請求項3】 前記検出感度は、前記明暗パターンの繰
    り返しピッチの大きさと、前記撮影手段により撮像され
    た前記明暗パターンの画像信号のレベルが、所定レベル
    よりも小さくなる領域の大きさとの関係式に基づいて設
    定されることを特徴とする請求項2に記載の表面検査装
    置。
  4. 【請求項4】 所定の繰り返し明暗パターンを被検体に
    対して照明するステップと、 前記明暗パターンが照明された前記被検体を撮像するス
    テップと、 前記撮像手段により撮像された原画像の前記明暗パター
    ンのゆがみと明部と暗部の明るさの変化の度合いを解析
    することにより、前記被検体の表面欠陥を検出するステ
    ップとを備えた表面検査方法であって、 前記表面欠陥をモデル化するステップと、 前記照明手段と前記被検体との距離データを設定するス
    テップと、 前記欠陥モデルを用いて、設定された距離データに対応
    する前記表面欠陥の検出感度を演算するステップとを備
    え、前記検出感度が最大になるように前記照明手段の前
    記被検体に対する距離を設定可能に構成したことを特徴
    とする表面検査方法。
JP2002141446A 2002-05-16 2002-05-16 表面検査装置及び表面検査方法 Expired - Fee Related JP3871963B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002141446A JP3871963B2 (ja) 2002-05-16 2002-05-16 表面検査装置及び表面検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002141446A JP3871963B2 (ja) 2002-05-16 2002-05-16 表面検査装置及び表面検査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003329428A true JP2003329428A (ja) 2003-11-19
JP3871963B2 JP3871963B2 (ja) 2007-01-24

Family

ID=29702027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002141446A Expired - Fee Related JP3871963B2 (ja) 2002-05-16 2002-05-16 表面検査装置及び表面検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3871963B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011117793A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Arc Harima Kk 表面性状測定方法および表面性状測定装置
JP2011117795A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Arc Harima Kk 表面性状測定方法および表面性状測定装置
JP2012132727A (ja) * 2010-12-20 2012-07-12 Canon Inc 三次元計測装置及び三次元計測方法
JP2015075483A (ja) * 2013-10-10 2015-04-20 英治 神谷 光透過性フィルムの欠陥検出方法
JP2016003889A (ja) * 2014-06-13 2016-01-12 キヤノン株式会社 計測装置およびその方法
WO2017098071A1 (es) * 2015-12-07 2017-06-15 Universidad De Zaragoza Sistema y método de detección de defectos en superficies especulares o semi-especulares mediante proyección fotogramétrica
CN113884510A (zh) * 2021-12-02 2022-01-04 武汉精立电子技术有限公司 一种3d玻璃盖板外观图像的采集方法
CN117953189A (zh) * 2024-01-31 2024-04-30 北京中科慧灵机器人技术有限公司 视点确定方法、装置、电子设备及存储介质

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011117793A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Arc Harima Kk 表面性状測定方法および表面性状測定装置
JP2011117795A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Arc Harima Kk 表面性状測定方法および表面性状測定装置
JP2012132727A (ja) * 2010-12-20 2012-07-12 Canon Inc 三次元計測装置及び三次元計測方法
JP2015075483A (ja) * 2013-10-10 2015-04-20 英治 神谷 光透過性フィルムの欠陥検出方法
JP2016003889A (ja) * 2014-06-13 2016-01-12 キヤノン株式会社 計測装置およびその方法
WO2017098071A1 (es) * 2015-12-07 2017-06-15 Universidad De Zaragoza Sistema y método de detección de defectos en superficies especulares o semi-especulares mediante proyección fotogramétrica
CN113884510A (zh) * 2021-12-02 2022-01-04 武汉精立电子技术有限公司 一种3d玻璃盖板外观图像的采集方法
CN113884510B (zh) * 2021-12-02 2022-03-11 武汉精立电子技术有限公司 一种3d玻璃盖板外观图像的采集方法
CN117953189A (zh) * 2024-01-31 2024-04-30 北京中科慧灵机器人技术有限公司 视点确定方法、装置、电子设备及存储介质

Also Published As

Publication number Publication date
JP3871963B2 (ja) 2007-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108445007B (zh) 一种基于图像融合的检测方法及其检测装置
JP4150390B2 (ja) 外観検査方法及び外観検査装置
JP4633245B2 (ja) 表面検査装置及び表面検査方法
JP5192547B2 (ja) 半導体基板の欠陥を検出する装置と方法
JP3185559B2 (ja) 表面欠陥検査装置
JP3189588B2 (ja) 表面欠陥検査装置
KR101146081B1 (ko) 마이크로-검사 입력을 이용한 매크로 결함 검출 방법 및시스템
KR20090008185A (ko) 표면 검사 장치
TWI512284B (zh) 玻璃氣泡瑕疵檢測系統
JPH03160349A (ja) ひび検出装置
JP4279833B2 (ja) 外観検査方法及び外観検査装置
JP2017227474A (ja) 照明装置、及び、画像検査装置
JP3871963B2 (ja) 表面検査装置及び表面検査方法
JP3688520B2 (ja) 表面検査装置及び表面検査方法
JP2009036582A (ja) 平面表示パネルの検査方法、検査装置及び検査プログラム
JP2001209798A (ja) 外観検査方法及び検査装置
JP2003167529A (ja) 画面欠陥検出方法及び装置並びに画面欠陥検出のためのプログラム
JP6647903B2 (ja) 画像検査装置、画像検査プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器
JP7003669B2 (ja) 表面検査装置、及び表面検査方法
JPH109836A (ja) 物体の表面性状、ガラスの表面の粗度およびガラス成形型の評価方法
JP6695253B2 (ja) 表面検査装置及び表面検査方法
JPH0283438A (ja) 透明板表面の付着物等評価装置
JP2003156451A (ja) 欠陥検出装置
JP2007057705A (ja) 表示パネルの検査方法および検査装置
JP2004286708A (ja) 欠陥検出装置、方法及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060725

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060922

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061018

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101027

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101027

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111027

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111027

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121027

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131027

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees