JP4314445B2 - 1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにその製造法 - Google Patents

1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は1,3,5−トリアジン誘導体塩及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メラミンとリン酸の焼成生成物についてはオルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンなどが知られており、その製造法も数多く報告されている。特開昭61−126091号公報には、縮合リン酸とメラミンとを水性媒体の実質的不存在下に自然発生熱温度〜170℃の温度条件で固相反応せしめることを特徴とする縮合リン酸メラミンの製造法が開示されている。
【0003】
ポリリン酸塩の製造に際して、縮合剤として尿素を採用することは知られている。例えば、特公昭53−2170号公報には、リン酸源としてオルトリン酸アンモニウム、オルトリン酸、縮合リン酸、無水リン酸、リン酸尿素、及びこれらの混合物、窒素源としてメラミン、ジシアンシアナミド、グアニジン、グアニル尿素などのシアナミド化合物、及びこれらの混合物を使用し、縮合剤としての、尿素、リン酸尿素、及びこれらの混合物の存在下に加熱縮合反応を行わせて得られる、アミド態の窒素を含有するポリリン酸アミド(アミドポリホスフェイト)の製造法が開示されている。その製造条件としては、尿素/リン酸(HPOとして)/シアナミド化合物=0.8〜1.5/1/0.05〜1(モル比)でアンモニアガスの雰囲気下150〜350℃で10分〜5時間好ましくは1〜4時間加熱縮合せしめることが記載されている。
【0004】
アメリカン ケミカル ソサエテイ シンポジウム シリーズ 425号「火と高分子」(A.C.S.Symposium Series No.425 "Fire and Polymers")、第15章、211〜238頁〔アメリカン ケミカル ソサエテイ(AmericanChemical Society)、ワシントン特別区(Washington, D.C.)、1990年発行〕には、リン酸メラミン〔メラミン/リン原子=1/1(モル比)〕を330〜410℃で加熱することによりウルトラリン酸メラムが生成することが記載されている。
【0005】
特開平8−231517号公報には耐水性を有するアミノトリアジン硫酸塩組成物として、硫酸とメラミンとをモル比1:0.1〜1で反応させることを特徴とする硫酸メラミン組成物の製造法が記載されている。メラミンと硫酸の焼成生成物については上記アメリカン ケミカル ソサエテイ シンポジウム シリーズ 425号「火と高分子」(A.C.S. Symposium Series No.425 "Fire and Polymers")、第15章、211〜238頁〔アメリカン ケミカル ソサエテイ(AmericanChemical Society)、ワシントン特別区(Washington, D.C.)、1990年発行〕には、硫酸メラミン〔メラミン/イオウ原子=1/1(モル比)〕及びこれを300〜400℃に加熱することによりピロ硫酸ジメラムが生成することが記載されている。
【0006】
メラミンとリン酸及び硫酸の3成分からなる焼成生成物については報告されていない。
リン酸メラミンの難燃剤としての利用については現在までに数多くの提案がなされている。例えば特開昭53−49054号公報には、ポリアミドに無機充填剤とリン酸メラミンとを添加することからなる難燃性の改良されたポリアミド樹脂組成物が開示されている。
【0007】
特開昭61−126091号公報には、縮合リン酸メラミンがポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂、フェノール、ウレタンエポキシなどの熱硬化性樹脂、セルロース材料などの難燃剤として有効であることが記載されている。
硫酸メラミンの難燃剤としての利用については特開昭54−47750号公報に硫酸メラミン〔メラミン/イオウ原子=2/1(モル比)〕をポリアミド用難燃剤として使用することが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術で開示されているポリリン酸メラミン、縮合リン酸メラミンは300℃以上の加熱においてメラミンの脱離が大きく成型温度の高い樹脂の難燃剤としては効果的に使用することが困難である。また、上記硫酸メラミンは300℃以上の加熱において硫酸水素アンモニウムの発生があるため成型温度の高い樹脂の難燃剤としては効果的に使用することが困難である。
【0009】
本発明は上記従来技術の欠点を解消し、難燃剤として幅広い用途に耐えうる、メラミンと、リン酸と、硫酸とを原料とする、1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにその製造法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体塩の製造法について説明する。
本発明の水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜7.0のpHを有する、1,3,5−トリアジン誘導体塩の製造法は、下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなることを特徴とする。
【0011】
そして、その発明は、具体的に五つの実施態様にて説明される。
本発明の第一実施態様は下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなる、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、リン原子1モルに対して1モルのイオウ原子の比率、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、19.0゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物の製造法である。
【0012】
本発明の第二実施態様は、下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなる、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜7.0のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、8.2゜、10.3゜、14.8゜、18.2゜、19.0゜、26.7゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の製造法である。
【0013】
本発明の第三実施態様は、下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.1〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなる、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、10.6゜、19.0゜、19.5゜、21.3゜、27.3゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の製造法である。
【0014】
本発明の第四実施態様は、下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜1.9モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.0〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなる、請求項7記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が10.6゜、19.5゜、21.3゜及び27.3゜の特徴的なX線回折ピークで表されるピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩の製造法。
【0015】
本発明の第五実施態様は、下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜1.9モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなる、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜7.0のpHを有する、ポリリン酸メラミン・メレム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の製造法。
【0016】
そして、本発明の製造法における(a)工程において、リン酸はオルトリン酸濃度50重量%以上のオルトリン酸水溶液であり、硫酸は硫酸濃度50重量%以上の硫酸水溶液であることが好ましい。
ここで、本発明のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物について以下に説明する。
【0017】
リン、イオウ及び酸素からなるポリ酸とは、式(1)
−(OHP−O−SO)− ・・・・・・・・・・・・ (1)
(但し、Oは酸素原子を表し、Hは水素原子を表し、Pはリン原子を表し、そしてSはイオウ原子を表す。)で表されるホスファト硫酸基を有するリン、イオウ及び酸素から形成されるポリ酸、ホスファト硫酸基を有するリン、イオウ及び酸素から形成されるポリ酸とポリリン酸との混合物、ホスファト硫酸基を有するリン、イオウ及び酸素から形成されるポリ酸とピロ硫酸との混合物、ホスファト硫酸基を有するリン、イオウ及び酸素から形成されるポリ酸とポリリン酸とピロ硫酸との混合物、又はポリリン酸とピロ硫酸との混合物である。
【0018】
ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とは、上記のポリ酸類とメラミン、メラム及びメレムを塩基成分とする結晶性の複塩である。
次に、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩は、一般式(2)
α(MmH)O・β(MdH)O・γ(MpH)O・δP
・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)
(但し、Mmはメラミンを表し、Mdはメラムを表し、Mpはメレムを表し、Hは水素原子を表し、Pはリン原子を表し、Oは酸素原子を表す。そして、αとβとγとδとは正数を表し、1≦(α+β+γ)/δ<2の相関にある。)で表される鎖状ポリリン酸のメラミン・メラム・メレム複塩又はメタリン酸のメラミン・メラム・メレム複塩である。
【0019】
また、ピロ硫酸ジメラムは、式(3)
(MdH) ・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)
(但し、Mdはメラムを表し、Hは水素原子を表し、Sはイオウ原子を表し、そしてOは酸素原子を表す。)で表されるピロ硫酸(二硫酸)のメラム塩である。
ここで、メラミン、メラム及びメレムは1,3,5−トリアジン誘導体である。
【0020】
メラミン(Mm)は、式(4)
・・・・・・・・・・・・・・・・ (4)
で表される2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンである。
メラム(Md)は、式(5)
11 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (5)
で表される(N−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンである。これはメラミン2分子からアンモニア1分子が脱離して縮合した1,3,5−トリアジン誘導体である。
【0021】
メレム(Mp)は、式(6)
10 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (6)
で表される2,5,8−トリアミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレンである。これはメラミン2分子からアンモニア2分子が脱離して縮合した1,3,5−トリアジン誘導体である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の(a)工程で使用されるメラミン、硫酸、リン酸などは市販されているものを使用することができる。
リン酸としてはオルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などを使用することができるが、オルトリン酸が好ましい。オルトリン酸水溶液は乾式法、湿式法いずれのものもオルトリン酸濃度50重量%以上のものを使用することができるが、オルトリン酸濃度はできるだけ高いものが好ましく、オルトリン酸濃度75〜89重量%の乾式オルトリン酸水溶液が特に好ましい。オルトリン酸濃度50重量%未満のオルトリン酸水溶液は水が多くなりすぎ混合反応後、乾燥に時間がかかりすぎるため好ましくない。
【0023】
硫酸は硫酸濃度50重量%以上のものを使用することができるが、硫酸濃度が高い方が好ましく、市販の濃硫酸(95%)を水で希釈して用いることができる。硫酸濃度50重量%未満の硫酸水溶液も使用することができるが、水が多くなりすぎ混合反応後、乾燥に時間がかかりすぎるため好ましくない。
また、本発明においてリン酸の代わりにリン酸一水素アンモニウムの水溶液を用いることができるとともに、リン酸アンモニウムをリン酸水溶液に加えた水溶液を用いることもできる。また、硫酸の代わりに硫酸二水素アンモニウムの水溶液を用いることができるとともに、硫酸アンモニムを硫酸水溶液に加えた水溶液を用いることもできる。
【0024】
本発明において、メラミンとリン酸及び硫酸の混合反応のときに、予めリン酸と硫酸との混合水溶液を調製して用いることができる。その際、リン酸と硫酸との混合水溶液の代わりに、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム又はリン酸アンモニウムを硫酸水溶液に加えた水溶液を用いることもできるとともに、硫酸水素アンモニウム又は硫酸アンモニウムをリン酸水溶液にに加えた水溶液を用いることもできる。
【0025】
本発明においてメラミンとリン酸及び硫酸の混合反応において自動乳鉢、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザーなどの混合・攪拌装置を用いることができる。
本発明のメラミンとリン酸及び硫酸の混合により顕著な発熱が起こる。そのため、使用するリン酸及び硫酸の濃度が高いときは混合時の水分蒸発により反応生成物はウェット又はドライパウダーとして得られる。混合・攪拌装置は反応を均一にするためにもせん断力のあるヘンシェルミキサーが好ましい。
【0026】
本発明において、メラミンと、リン酸と、硫酸との混合において、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンのモル比率と、そしてリン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)のモル比率を選択することにより、目的とする1,3,5−トリアジン誘導体塩が得られる。
【0027】
ここで、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンが1.0モル未満の比率となると焼成生成物の酸が過剰になり酸性が強くなりすぎるため好ましくない。一方、リン酸と硫酸とのそれぞれのモルの合計量1モルに対してメラミンが4.0モルの比率を超えると、最終焼成生成物中にメラミン残存量が多くなりすぎたり、焼成時メラミンの揮発が大きくなりすぎるため好ましくない。
【0028】
そして、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンが2.0〜4.0モルの比率であり、かつリン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1モルの比率であると、(b)工程で得られる焼成生成物は、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、19.0゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物である。
【0029】
リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンが2.0〜4.0モルの比率であり、かつリン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率であると、(b)工程で得られる焼成生成物は、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜7.0のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、8.2゜、10.3゜、14.8゜、18.2゜、19.0゜、26.7゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とポリリン酸メラミン・メラム複塩とを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物である。
【0030】
リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンが2.0〜4.0モルの比率であり、かつリン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.1〜2.0モルの比率であると、(b)工程で得られる焼成生成物は、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、10.6゜、19.0゜、19.5゜、21.3゜、27.3゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物である。
【0031】
リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンが1.0〜1.9モルの比率であり、かつリン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.0〜20モルの比率であると、(b)工程で得られる焼成生成物は、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が10.6゜、19.5゜、21.3゜及び27.3゜の特徴的なX線回折ピークで表されるピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩である。
【0032】
リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜1.9モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率であると、(b)工程で得られる焼成生成物は、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜7.0のpHを有する、ポリリン酸メラミン・メレム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物である。
【0033】
本発明において、メラミンとリン酸及び硫酸の混合及び攪拌時の温度は0〜330℃でよいが、水分除去を効率的に行なったり、メラミンの揮散を抑制するためには80〜150℃がよい。混合及び攪拌の総合計時間は混合の強さにもよるが、通常10分〜2時間でよい。リン酸と硫酸は予め所定の比率に混合し、水で濃度調整して加えることもできるし、それぞれ水で濃度調節したリン酸と硫酸を別々に加えることもできる。
【0034】
本発明のメラミンとリン酸及び硫酸の混合によりメラミンとリン酸及び硫酸は反応してリン酸メラミン、硫酸メラミン及び/又は硫酸リン酸メラミン(いずれも含水塩)からなる複塩の反応生成物となる。
本発明のメラミンとリン酸及び硫酸の混合において驚くべきことには反応生成物の装置付着が非常に少なく、メラミンとリン酸の反応では装置付着が大きくなることから硫酸の添加が有効に作用しているものといえる。本発明において必要に応じて付着防止を目的として混合時にコロイダルシリカパウダーを加えることもできる。
【0035】
コロイダルシリカパウダーは、沈降性シリカパウダー、気相法シリカパウダーなど1次粒子径が100nm以下のものが好ましい。そして1次粒子径としては8〜50nmのものが容易に入手できてより好ましい。
本発明においてメラミンとリン酸及び硫酸の混合反応生成物を340〜400℃、好ましくは340〜380℃で、0.1〜30時間焼成することにより目的とする焼成生成物を得ることができる。
【0036】
本発明の(b)工程において反応生成物は脱水により無水化されるとともに、リン酸塩のメラミンは一部のメラミンからアンモニア分子が脱離してメラミン・メラム・メレム複合物となり、硫酸塩のメラミンはアンモニア分子の脱離によりメラムとなる。そして、更にリン酸と硫酸は縮合することにより、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物、ピロ硫酸ジメラム及びポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩など並びにそれらの混合物が生成する。
【0037】
これらの実施例1及び2で得られたピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩と、実施例3で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物〔炭素原子/リン原子/イオウ原子=14/1/1(モル比)〕構造を有する化合物については、詳細な構造は明らかになっていないが、いずれの化合物も示差熱分析の結果、明らかにポリリン酸メラミン等のメラミン塩の熱分解挙動とは明らかに異なっている。加熱によりメラミン塩からメラミン・メラム複塩、メラム塩、及びメラミン・メラム・メレム複塩が生成したものと考えられる。
【0038】
焼成温度が340℃未満ではメラミン・メラム複塩、メラム塩、及びメラミン・メラム・メレム複塩などの生成が不充分のため目的とする焼成生成物を得られないし、400℃を越えると生成した上記ピロ硫酸ジメラムと、ピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩と、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩と、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物〔炭素原子/リン原子/イオウ原子=14/1/1(モル比)〕とが分解し、硫酸水素アンモニウムやアンモニアの発生及びメラミン、メラム及びメレムの揮散などを起こすために好ましくない。
【0039】
本発明において焼成時間は0.1時間未満では目的とする焼成生成物の生成が不充分であり、30時間よりも長くてもよいが、30時間越えると経済的ではない。
本発明の焼成は熱風乾燥機、ロータリーキルン、ダブルシャフト方式連続焼成炉、流動焼成炉などを単独又は組み合わせて用いることができる。焼成時メラミンの分解、昇華などにより気体の発生があることから焼成時に撹拌できるタイプの焼成炉が好ましく、特にダブルシャフト方式連続焼成炉が好ましい。更に、ダブルシャフト方式連続焼成炉で焼成後、流動焼成炉で焼成することがより好ましい。
【0040】
本発明の焼成生成物は必要に応じてミキサー、ピンディスクミル、ボールミル、ジェットオーマイザーなどの乾式粉砕機やカウンタージェットミル、イノマイザーなどの乾式粉砕分級機で粉砕分級することにより、難燃剤用途として好ましい平均粒子径(メジアン径)20μm以下、より好ましくは平均粒子径(メジアン径)10μm以下の微粉末とすることができる。
更に難燃剤としては、上記焼成生成物の粉砕品を使用すると共に、本発明の焼成生成物100重量部に対して、シリカパウダーや無機塩基性物質などの無機物質を25重量%以下添加し調整した粉砕品を使用することができる。その添加は室温から400℃でよい。即ち、その添加は上記焼成終了前に加えてもよいし、焼成終了後冷却したものに加えてもよい。この添加はせん断力を有する混合装置、例えば、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、ホモミキサー、等を用いるのが好ましいが、V型ミキサーや万能ミキサーで混合後、ピンディスクミル、ジェットオーマイザー、ボールミル、カウンタージェットミル、イノマイザーなどの粉砕装置にかける方法でもよい。この場合も、粉砕することにより、平均粒子径20μm以下、好ましくは平均粒子径10μm以下の微粉末とすることができる。また、室温混合後、340〜400℃で再焼成してもよい。
【0041】
ここで上記の無機物質とは水に不溶又は溶解度の低い物質である。例えば、好ましい例として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカパウダー、タルク、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの無機物質は市販されているものを用いることができる。
【0042】
本発明の焼成生成物と上記記載の無機物質とを含む難燃剤は、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜8.0のpHとすることができる。
なお、本発明における試料評価方法は下記の通りである。ここで試料としては、ピンディスクミル粉砕品を採用した。
(1)元素分析
(i)炭素、窒素、及び水素
元素分析装置 2400CHN エレメンタル アナライザー(パーキン エルマー社製)を用いて、測定した。
【0043】
(ii)リン
リンバナドモリブデン酸吸光光度法にて測定した。
(iii)イオウ
酸素フラスコ燃焼法により処理し、イオンクロマトグラフィーにて測定した。
(2)示差熱分析
示差熱分析装置 TG/DTA320U〔セイコー電子工業(株)製〕を用いて、測定した。
【0044】
(測定条件)試料 11mg、リファレンス α−アルミナ11mg、
測定温度範囲 25〜1000℃、又は25〜710℃、
昇温速度 10℃/分。
(3)粉末X線回折
X線回折装置 JEOL JDX−8200T〔日本電子(株)製〕を用いて、測定した。(対陰極:Cu−Kα)
(4)嵩比重(ゆるみ見掛け密度)
パウダーテスタ〔ホソカワミクロン(株)製〕にて測定した。
(5)平均粒子径
50%体積径(メジアン径)を平均粒子径とした。
【0045】
その50%体積径(メジアン径)は遠心沈降法粒子測定装置SA−CP3〔(株)島津製作所製〕にて測定した。
(測定条件) 溶媒 純水(25℃)。
(6)10重量%水性スラリー(25℃)のpH
300mlビーカーに、試料を25gを採取後、次にメスシリンダーで計量した純水225ml(25℃)を添加した。次に、そのビーカーにマグネチック攪拌子を入れてマグネチックスターラーで30分間攪拌して、10重量%水性スラリーを調製した。
【0046】
次に、上記10重量%水性スラリーをpH計 M−8AD〔(株)堀場製作所製〕を用いて、測定した。
(7)水(25℃)に対する溶解度(30分)
300mlビーカーに、試料を5.00g(ag)を精秤後、メスシリンダーで計量した純水250ml(25℃)を添加した。次に、恒温(25℃)下、そのビーカーにマグネチック攪拌子を入れてマグネチックスターラーで30分間攪拌して、スラリーを調製した。予め乾燥し重量を精秤したNo.5A濾紙にて、調整したスラリーを吸引濾過した。その際、一担濾過が終了後、濾液を別容器に採取して、その濾液でスラリーを調製したビーカー内の残存スラリーを先程濾過に使用した未溶解試料が付着しているNo.5A濾紙に洗い流した。よって、未溶解試料をNo.5A濾紙にほぼ全量を回収した。
【0047】
次に重量を精秤したシャーレに未溶解試料を回収したNo.5A濾紙を入れ、予め80℃に加温しておいた熱風乾燥機にそのシャーレを入れて5時間乾燥した。その後、直ちにそのシャーレをデシケーターに入れて、放冷した。
放冷後、総重量を測定し、総重量よりNo.5A濾紙とシャーレの重量を差し引いて、未溶解試料量(bg)を出した。
【0048】
溶解度(g/100ml)は 100・(a−b)/250の計算式にて求めた。
(8)水(25℃)に対する溶解度(24時間)
300mlビーカーに、試料を5.00g(ag)を精秤後、メスシリンダーで計量した純水250ml(25℃)を添加した。次に、恒温(25℃)下、そのビーカーにマグネチック攪拌子を入れてマグネチックスターラーで24時間攪拌して、スラリーを調製した。このスラリーの調製以後は水(25℃)に対する溶解度(30分)と同様に操作して、溶解度(g/100ml)を求めた。
(9)水(25℃)に対する溶解度(36時間)
300mlビーカーに、試料を5.00g(ag)を精秤後、メスシリンダーで計量した純水250ml(25℃)を添加した。次に、恒温(25℃)下、そのビーカーにマグネチック攪拌子を入れてマグネチックスターラーで36時間攪拌して、スラリーを調製した。このスラリーの調製以後は水(25℃)に対する溶解度(30分)と同様に操作して、溶解度(g/100ml)を求めた。
(10)高速液体クロマトグラフィー
試料中の塩基成分であるメラミン、メラム、メレムなどは、高速液体クロマトグラフィー装置Hitachi L−400〔(株)日立製作所製〕にて測定した。カラムは陽イオン交換樹脂系カラムを用いた。
【0049】
(測定条件)
カラム PATISIL 10−SCX(250mm×4.6mmφ)、
キャリヤー溶媒 0.05M pH3.7 リン酸緩衝液、
キャリヤー流量 1.5ml/min、
オーブン温度 40℃、
検出方法 UV検出法(230nm)、
測定試料溶液調製 試料5mgをオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液49gに加熱溶解後、純水にて500mlに希釈して測定試料溶液を調製する。
【0050】
【実施例】
参考例1
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕831.6g(6.6モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕230.6g(オルトリン酸分2.0モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分1モルに対してメラミンは3.3モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1034.5gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として370℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で370℃となり、焼成温度370℃を3時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が370℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、380℃で3時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として322.1gを得た。
【0051】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.6g/ml及び平均粒子径13μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンと、メラムと、メレムとが主成分であった。メラミン/メラム/メレム=2.29/1.00/0.66(モル比)であった。
【0052】
元素分析の結果は、炭素24.25重量%、窒素51.78重量%、水素3.97重量%、リン8.50重量%であった。焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.84モルの窒素原子の比率を有し、高速液体クロマトグラフィーの結果より計算される炭素原子1モルに対して1.86モルの窒素原子の比率と一致した。
【0053】
元素分析における炭素とリンの結果と、高速液体クロマトグラフィーにおける塩基成分のメラミンと、メラムと、メレムとのモル比より計算すると、メラミン/メラム/メレム/リン原子=0.98/0.43/0.29/1.0(モル比)であった。
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、630℃で急激な分解が起こっており、メラム塩、メレム塩などの分解と類似している。これはポリリン酸メラミンの熱分解挙動とは明らかに異なっており、この焼成生成物はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩になっているものと判断される。
【0054】
この焼成生成物の粉末X線回折の結果、ピークの位置はポリリン酸メラミンのピークとほぼ一致しているが、ピークはブロードになっており、明らかにポリリン酸メラミンではない。このポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩は、表1に示す特徴的なX線回折ピークを示した。
【0055】
[表1]
表1
ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の特徴的X線回折ピーク
(対陰極:Cu−Kα)
2θ(゜) 強度比(I/I)
8.2 16
14.8 70
18.3 58
26.7 100
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として6.72のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。同様に水(25℃)に対する溶解度(24時間)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
【0056】
参考例2
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕1386g(11.0モル)を採取し撹拌下に硫酸濃度55重量%の硫酸水溶液890.9g(硫酸分5.0モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。硫酸分1モルに対してメラミンは2.0モルの比率であった。この硫酸水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は2030gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物978.5gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として310℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で310℃となり、焼成温度310℃を2時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が310℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で5時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として758.9gを得た。
【0057】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.6g/ml及び平均粒子径3.2μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラムが主成分であり、メラミンが微量存在した。メラミン/メラム/メレム=0.03/1.00/0(モル比)であった。元素分析の結果は、炭素22.8重量%、窒素41.9重量%、水素3.76重量%、イオウ9.83重量%であった。焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.84モルの窒素原子の比率を有し、明らかにメラム塩の炭素原子1モルに対して1.83モルの窒素原子(理論値)の比率と一致した。またメラム/イオウ原子(モル比)は1.03/1.0であった。
【0058】
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、400℃まで重量減がほとんど認められず、極めて良好な耐熱性を示した。また570℃で急激な分解が起こっており、これはメラム塩の分解によると思われる。従って、この焼成生成物はピロ硫酸ジメラムになっているものと判断される。
この焼成生成物の粉末X線回折の結果、このピロ硫酸ジメラムは、表2に示す特徴的なX線回折ピークを示した。
【0059】
[表2]
表2
ピロ硫酸ジメラムの特徴的X線回折ピーク(対陰極:Cu−Kα)
2θ(゜) 強度比(I/I)
10.6 7
19.6 37
21.3 37
27.4 100
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として3.31のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.02g/100mlと非常に小さい値を示した。同じく、水(25℃)に対する溶解度(24時間)と水(25℃)に対する溶解度(36時間)はそれぞれ0.02g/100mlと非常に小さい値を示した。
【0060】
実施例1
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕623.7g(4.95モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕57.6g(オルトリン酸分0.5モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸206.3g(硫酸分2.0モル)及び純水24.3gを10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは1.98モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は4モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は844gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、380℃で3時間保持した。この焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として314.4gを得た。
【0061】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.40g/ml及び平均粒子径8.5μmの粉体特性を有していた。
得られた焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが微量存在した。メラミン/メラム/メレム=0.86/1.00/0.04(モル比)であった。元素分析の結果、炭素21.46重量%、窒素45.91重量%、水素2.91重量%、リン2.05重量%、イオウ8.31重量%であった。
【0062】
この焼成生成物は、示差熱分析の結果によると、350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
この焼成生成物は、結晶性を示し、粉末X線回折の結果、参考例2のピロ硫酸ジメラムと一致し、ピロ硫酸ジメラム構造を有していた。参考例1のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩構造の存在は確認できなかった。
【0063】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として2.45のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例2
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕623.7g(4.95モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕172.9g(オルトリン酸分1.5モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸154.7g(硫酸分1.5モル)及び純水18.2gを10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは1.65モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は1モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は944gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、380℃で3時間保持した。この焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として359gを得た。
【0064】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.50g/ml及び平均粒子径15μmの粉体特性を有していた。
本実施例に示した混合配合処方が、メラミン/オルトリン酸分/硫酸分(メラミン/リン原子/イオウ原子)=3.3/1.0/1.0(モル比)である焼成生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性を示した。そして、表3に示す特徴的なX線回折ピークは参考例2のピロ硫酸ジメラムのX線回折ピークとほぼ一致し、ピロ硫酸ジメラム構造を有していた。参考例1のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩構造の存在は確認できなかった。
【0065】
[表3]
表3
実施例2の焼成生成物の特徴的X線回折ピーク(対陰極:Cu−Kα)
2θ(゜) 強度比(I/I)
10.6 12
19.5 42
21.3 44
27.3 100
また、焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが微量存在した。メラミン/メラム/メレム=0.58/1.00/0.06(モル比)であった。元素分析の結果は、炭素19.51重量%、窒素43.78重量%、水素3.94重量%であった。この結果から焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.92モルの窒素原子の比率を有した。
【0066】
この焼成生成物を示差熱分析装置にて340℃に加熱して、その加熱処理焼成生成物の元素分析を行った結果、炭素18.45重量%、窒素39.65重量%、水素4.01重量%、リン6.04重量%、イオウ6.07重量%となった。この結果から焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.84モルの窒素原子の比率を有した。このことから焼成生成物にはメラム塩などの他にメラミンの分解時生成するアンモニアが残存しているため焼成生成物中の炭素原子に対する窒素原子のモル比が高くなったものと推定される。この焼成生成物中、炭素原子/リン原子/イオウ原子=8.11/1.03/1.00(モル比)であった。
【0067】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として2.65のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例3
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕693g(5.5モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕115.3g(オルトリン酸分1.0モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸103.2g(硫酸分1.0モル)及び純水12gの混合水溶液を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは2.75モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は1モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は960gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物480gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を5時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として329.7gを得た。この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.50g/ml及び平均粒子径14μmの粉体特性を有していた。
【0068】
本実施例に示した配合組成が、メラミン/オルトリン酸分/硫酸分(メラミン/リン原子/イオウ原子)=5.5/1.0/1.0(モル比)である焼成生成物は、結晶性であり、粉末X線回折の結果、硫酸メラミン、リン酸メラミン、ピロ硫酸ジメラム、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩のX線回折ピークとは一致せず、新しい化合物であることを確認した。この新しい化合物は、表4に示す特徴的なX線回折ピークを示した。
【0069】
[表4]
表4
実施例3の焼成生成物の特徴的X線回折ピーク(対陰極:Cu−Kα)
2θ(゜) 強度比(I/I)
6.1 28
10.3 31
19.0 68
28.6 100
この化合物の高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラムとメラミンが主成分であり、メレムが微量存在した。メラミン/メラム/メレム=0.84/1.00/0.02(モル比)であった。元素分析の結果、炭素23.12重量%、窒素49.52重量%、水素4.08重量%、リン4.40重量%、イオウ4.37重量%であった。焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.84モルの窒素原子の比率を有した。
【0070】
この焼成生成物は、結晶性であり、X線回折の結果と元素分析の結果からこの化合物はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物(炭素原子/リン原子/イオウ原子=14.1/1.04/1.00(モル比))であると判定した。
ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の炭素原子/リン原子(モル比)は参考例1の実測値で7.37/1.00であり、ピロ硫酸ジメラム塩の炭素原子/イオウ原子(モル比)は参考例2の実測値で6.19/1.00である。よって、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物をピロ硫酸ジメラム1分子とポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩1分子との複塩と仮定すると炭素原子/リン原子/イオウ原子(モル比)は13.6/1/1となり、実測値に近い値を示す。この焼成生成物はこのポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムが規則的に結合した化合物であると推定される。
【0071】
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に安定であり、400℃から分解が始まり630℃で急激に発熱分解している。この630℃の急激な分解はメレムの分解と一致している。
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として3.09のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。
【0072】
実施例4
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕623.7g(4.95モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕57.6g(オルトリン酸分0.5モル)と硫酸水素アンモニウム濃度64重量%の硫酸水素アンモニウム水溶液269.8g(硫酸分1.5モル)の混合水溶液を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは2.48モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は3モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は920gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物460gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を5時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で3時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として320.5gを得た。この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.45g/ml及び平均粒子径8.2μmの粉体特性を有していた。
【0073】
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが副成分であった。メラミン/メラム/メレム=1.13/1.00/0.21(モル比)であった。元素分析の結果は、炭素22.48重量%、窒素48.44重量%、水素3.63重量%、リン2.39重量%、イオウ7.12重量%であった。
【0074】
この焼成生成物は、結晶性を示し、粉末X線回折の結果、実施例3記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物構造(炭素原子/リン原子/イオウ原子=14.1/1.04/1.00(モル比))とピロ硫酸ジメラム構造とを有していた。ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とピロ硫酸ジメラムとの混合物と推定される。示差熱分析の結果、得られた焼成生成物は350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
【0075】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として3.21のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例5
(a)工程
10Lのヘンシェルミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕1164.3g(9.24モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液)〔東ソー(株)製〕276.8g(オルトリン酸分2.4モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸61.9g(硫酸分0.6モル)及び純水7.3gの混合水溶液を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは3.08モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.25モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1512gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物907.2gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として611.5gを得た。
【0076】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.50g/ml及び平均粒子径13μmの粉体特性を有していた。
本実施例に示した配合組成が、メラミン/オルトリン酸/硫酸分(メラミン/リン原子/イオウ原子)=15.4/4.0/1.0(モル比)の焼成生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性であり、少量の実施例3記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物と多量のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩との混合物であることを確認した。高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが微量存在した。メラミン/メラム/メレム=1.37/1.00/0.02(モル比)であった。元素分析の結果は、炭素23.67重量%、窒素49.69重量%、水素3.74重量%、リン7.20重量%、イオウ1.77重量%であった。
【0077】
この焼成生成物は炭素原子/リン原子/イオウ原子=35.9/4.22/1.00(モル比)であった。
この焼成生成物の示差熱分析の結果、350℃まで重量減は少なく(微量の吸着水しか存在しないと思われる。)、380℃から分解が始まり630℃で著しく分解することが判った。この急激な分解はメラムとメレムの分解と一致しており、ポリリン酸メラミンの熱分解挙動とは著しく異なっている。
【0078】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として4.10のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例6
10Lのヘンシェルミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕1801.8g(14.3モル)を採取し撹拌下に硫酸濃度95重量%の濃硫酸51.6g(硫酸分0.5モル)及び純水46.4gの混合水溶液を10分間で添加して混合し、30分間攪拌した後、オルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕465.2g(オルトリン酸分4.0モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは3.18モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.125モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1130gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物1130gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として755.2gを得た。
【0079】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.50g/ml及び平均粒子径13.0μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、元素分析の結果、炭素23.64重量%、窒素50.34重量%、水素3.41重量%、リン7.80重量%、イオウ1.00重量%であった。
【0080】
粉末X線回折の結果、少量の実施例3のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物と多量のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩との混合物であることを確認した。
示差熱分析の結果、得られた焼成生成物は350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
【0081】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として5.81のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.02g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例7
(a)工程
10Lのヘンシェルミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕1746.4g(13.86モル)を採取し撹拌下に硫酸濃度95重量%の濃硫酸92.8g(硫酸分0.9モル)及び純水54.1gの混合水溶液を10分間で添加して混合し、30分間攪拌した後、オルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕415.1g(オルトリン酸分3.6モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分とのそれぞれのモルの合計量1モルに対してメラミンは3.08モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.25モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は2204gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物1102gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として750.3gを得た。
【0082】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.42g/ml及び平均粒子径11.0μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、元素分析の結果、炭素23.36重量%、窒素49.77重量%、水素2.64重量%、リン7.20重量%、イオウ1.69重量%であった。
【0083】
粉末X線回折の結果、結晶性であり、少量の実施例3記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物と多量のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩との混合物であることを確認した。示差熱分析の結果、得られた焼成生成物は350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
【0084】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として4.84のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度は0.01g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例8
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕693g(5.5モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕115.3g(オルトリン酸分1.0モル)と硫酸アンモニウム濃度64重量%の硫酸アンモニウム水溶液206.4g(硫酸分1.0モル)の混合水溶液を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分とのそれぞれのモルの合計量1モルに対してメラミンは2.75モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は1.0モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は984gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物492gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を5時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として330gを得た。
【0085】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.50g/ml及び平均粒子径14μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、元素分析の結果、炭素22.60重量%、窒素49.10重量%、水素4.11重量%、リン4.40重量%、イオウ4.37重量%であった。
【0086】
粉末X線回折の結果、結晶性であり、実施例3記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物であることを確認した。
示差熱分析の結果、得られた焼成生成物は350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として2.78のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。
【0087】
実施例9
(b)工程
実施例5で得られたウェットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として320℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で320℃となり、焼成温度320℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が320℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、380℃で3時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として330gを得た。この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.50g/ml及び平均粒子径14.5μmの粉体特性を有していた。
【0088】
この焼成生成物に関して、元素分析の結果、炭素23.4重量%、窒素50.10重量%、水素4.09重量%、リン4.40重量%、イオウ1.77重量%であった。
粉末X線回折の結果、結晶性であり、少量の実施例3記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物と多量のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩との混合物であることを確認した。
【0089】
示差熱分析の結果、得られた焼成生成物は350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として3.87のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。
【0090】
実施例10
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕623.7g(4.95モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕345.9g(オルトリン酸分3.0モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸77.4g(硫酸分0.75モル)及び純水9.1gを10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは1.32モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.25の比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1006gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として340.6gを得た。
【0091】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.60g/ml及び平均粒子径14μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが副成分であった。メラミン/メラム/メレム=2.16/1.00/0.11(モル比)であった。元素分析の結果は、炭素18.68重量%、窒素40.54重量%、水素3.64重量%、リン11.93重量%、イオウ2.62重量%であった。
【0092】
粉末X線回折結果により、この焼成生成物は、表5に示すX線回折ピークを示した。
【0093】
[表5]
表5
実施例10の焼成生成物のX線回折ピーク(対陰極:Cu−Kα)
2θ(゜) 強度比(I/I)
○ 8.2 20
△ 10.6 16
○ 14.8 76
○ 18.2 70
△ 19.4 41
△ 21.3 51
○ 26.7 86
△ 27.3 92
(注記)○:ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、△:ピロ硫酸ジメラム
この焼成生成物は、結晶性を示して、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩構造とピロ硫酸ジメラム構造とを有していた。ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物であった。
【0094】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として2.76のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例11
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕1039.5g(8.25モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕778.2g(オルトリン酸分6.75モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸134.8g(硫酸分0.75モル)の混合水溶液を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは1.1モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.11の比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1851gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、380℃で5時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として308.2を得た。
【0095】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.63g/ml及び平均粒子径13μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが副成分であった。メラミン/メラム/メレム=3.09/1.00/0.24(モル比)であった。元素分析の結果は、炭素16.30重量%、窒素35.37重量%、水素2.04重量%、リン15.60重量%、イオウ1.27重量%であった。
【0096】
この焼成生成物は、結晶性を示して、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩構造とピロ硫酸ジメラム構造とを有していた。ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物であった。
この焼成生成物は示差熱分析の結果、350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
【0097】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として2.34のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例12
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕756g(6.0モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕461.2g(オルトリン酸分4.0モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸103.2g(硫酸分1.0モル)及び純水12.1gの混合水溶液を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは1.2モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.25モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1259.2gであった。
【0098】
更に、この得られたウエットパウダー状反応生成物1259.2g(全量)を10Lヘンシェルミキサーに採取し攪拌下(2600rpm)、メラミン〔日産化学工業(株)製〕213.4g(1.69モル)を添加し10分間攪拌した後、オルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕115.3g(オルトリン酸分1.0モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸25.8g(硫酸分0.25モル)及び純水3.0gの混合水溶液を10分間で添加して混合した。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1800gであった。このウエットパウダー状反応生成物の最終配合組成は、メラミン/オルトリン酸/硫酸分(メラミン/リン原子/イオウ原子)=6.125/4.0/1.0(モル比)であった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、380℃で5時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として342.9gを得た。
【0099】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.60g/ml及び平均粒子径14μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが副成分であった。元素分析の結果は、炭素19.32重量%、窒素41.66重量%、水素3.51重量%、リン10.49重量%、イオウ2.39重量%であった。
【0100】
粉末X線回折の結果、この焼成生成物は、結晶性を示して、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩構造とピロ硫酸ジメラム構造とを有していた。ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物であった。
示差熱分析の結果、得られた焼成生成物は350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
【0101】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として2.78のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例13
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕1663.2g(13.2モル)を採取し撹拌下に硫酸濃度95重量%の濃硫酸206.3g(硫酸分2.0モル)及び純水120.3gの混合水溶液を10分間で添加して混合し、30分間攪拌した後、オルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕922.4g(オルトリン酸分8.0モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは1.32モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.25モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は2700gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物1100gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として767.8gを得た。
【0102】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.45g/ml及び平均粒子径12μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが副成分であった。元素分析の結果は、炭素18.87重量%、窒素40.95重量%、水素3.44重量%、リン11.91重量%、イオウ2.66重量%であった。
【0103】
粉末X線回折の結果、この焼成生成物は、結晶性を示して、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩構造とピロ硫酸ジメラム構造とを有していた。ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物であった。
示差熱分析の結果、得られた焼成生成物は350℃まで重量減がほとんど認められず、非常に良好な耐熱性を示した。
【0104】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として2.85のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。
比較例1
(b)工程
実施例10で得られたウェットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて300℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で300℃となり、焼成温度300℃を5時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が300℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。焼成生成物として350gを得た。
【0105】
この焼成生成物をピンディスクミルで粉砕を行った。粉砕品は平均粒子径12μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、元素分析の結果、炭素18.76重量%、窒素42.92重量%、水素3.86重量%、リン11.89重量%、イオウ2.62重量%であった。焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.96モルの窒素原子の比率を有し、また、この焼成生成物のリン原子/イオウ原子(モル比)が4.68よりポリリン酸メラミンとピロ硫酸ジメラムとの混合物として窒素原子/炭素原子(モル比)を算出すると1.95となりほぼ一致した。
【0106】
示差熱分析の結果、得られた生成物は350℃までの重量減が10重量%認められ、耐熱性が不良であった。
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として3.24のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.05g/100mlであった。
【0107】
比較例2
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕434.7g(3.45モル)を採取し撹拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕345.9g(オルトリン酸分3.0モル)と硫酸濃度95重量%の濃硫酸77.4g(硫酸分0.75モル)及び純水9.1gを10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間撹拌を保持した。オルトリン酸分と硫酸分との合計モル量1モルに対してメラミンは0.92モルの比率であった。オルトリン酸分1モルに対して、硫酸分は0.25モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液、濃硫酸及び水の混合水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1006gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が340℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として370℃に昇温し(昇温時間15分)、370℃で3時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。また焼成により表面は生成したポリリン酸により黒っぽくなっており、焼成生成物が著しくステンレス製バットに付着し、ステンレス製バットに著しい腐食が起きており、この配合組成では製造することができなかった。
【0108】
【発明の効果】
本発明により得られた焼成生成物は、元素分析、粉末X線回折、示差熱分析などにより、1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにそれらの混合物であることを確認した。
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにそれらの混合物は耐熱性、耐水性に優れ、かつ粉砕性、分散性、流動性など粉体特性にも優れている。また、この1,3,5−トリアジン誘導体塩及びそれらの混合物は脱メラム温度が高く、かつリン酸の脱離(揮散)温度がポリリン酸メラミンに比べ低い。これらのことから本発明の焼成生成物は単独又は他のリン系難燃剤と併用することにより非常に高い難燃性を示す。
【0109】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにそれらの混合物はフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリカーボネート、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)、ポリフェニレンエーテル、変成ポリフェニレンエーテル、ゴム変性スチレンアクリルニトリルーブタジエンースチレン(ABS)、ポリエステル、ポリサルホン、ポリブチレンテレフタレート、塩ビなどの熱可塑性樹脂及びこれらのコポリマー、アロイなど幅広い樹脂の難燃剤として有用である。また、これらの樹脂成形品、樹脂含有塗料や接着剤、繊維及び繊維製品などの難燃剤として有用である。
【0110】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにそれらの混合物はガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウムウィスカーのような強化剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、潤滑剤、可塑剤、カップリング剤などのプラスチックス物質の製造の際に通常使用されるものと併用することができる。また、本発明の焼成生成物は他のリン系難燃剤、ブロム系難燃剤や、水酸化アルミ、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤などと併用することができる。
【0111】
更に、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体塩並びにそれらの混合物は難燃剤以外の樹脂安定剤としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の示差熱分析図である。
【図2】 参考例1で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の粉末X線回折図である。
【図3】 参考例2で得られたピロ硫酸ジメラムの示差熱分析図である。
【図4】 参考例2で得られたピロ硫酸ジメラムの粉末X線回折図である。
【図5】 実施例2で得られたピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩の示差熱分析図である。
【図6】 実施例2で得られたピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩の粉末X線回折図である。
【図7】 実施例3で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物〔炭素原子/リン原子/イオウ原子=14.1/1.04/1.00(モル比)〕の示差熱分析図である。
【図8】 実施例3で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物〔炭素原子/リン原子/イオウ原子=14.1/1.04/1.00(モル比)〕の粉末X線回折図である。
【図9】 実施例10で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の示差熱分析図である。
【図10】 実施例10で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の粉末X線回折図である。
【符号の説明】
1・・・示差熱分析(DTA)の結果を示す曲線である。
2・・・熱重量分析(TG)の結果を示す曲線である。
3・・・時間(分)と温度(℃)の結果を示す曲線である。

Claims (14)

  1. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    から得られる、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜7.0のpHを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物、当該化合物とポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩もしくはピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物、ピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩、又は、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロリン酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物
  2. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    から得られる、請求項1記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、リン原子1モルに対して1モルのイオウ原子の比率、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、19.0゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物。
  3. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    から得られる、請求項1記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜7.0のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、8.2゜、10.3゜、14.8゜、18.2゜、19.0゜、26.7゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物。
  4. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.1〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    から得られる、請求項1記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、10.6゜、19.0゜、19.5゜、21.3゜、27.3゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物。
  5. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜1.9モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.0〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    から得られる、請求項1記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が10.6゜、19.5゜、21.3゜及び27.3゜の特徴的なX線回折ピークで表されるピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩。
  6. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜1.9モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    から得られる、請求項1記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜7.0のpHを有する、ポリリン酸メラミン・メレム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物。
  7. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜7.0のpHを有する、1,3,5−トリアジン誘導体塩の製造法。
  8. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、請求項7記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、リン原子1モルに対して1モルのイオウ原子の比率、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、19.0゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物の製造法。
  9. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、請求項7記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜7.0のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、8.2゜、10.3゜、14.8゜、18.2゜、19.0゜、26.7゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の製造法。
  10. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.1〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、請求項7記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が6.1゜、10.3゜、10.6゜、19.0゜、19.5゜、21.3゜、27.3゜及び28.6゜の特徴的なX線回折ピークを有する、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの規則的結合化合物とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の製造法。
  11. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜1.9モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は1.0〜20モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、請求項7記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として2.5〜4.5のpH、並びに粉末X線回折(対陰極:Cu−Kα)において、2θ(±0.2゜)が10.6゜、19.5゜、21.3゜及び27.3゜の特徴的なX線回折ピークで表されるピロ硫酸ジメラム構造を有するメラミン・メラム・メレム複塩の製造法。
  12. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸と、硫酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)と硫酸(硫酸分として)との合計モル量1モルに対してメラミンは1.0〜1.9モルの比率に、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対して硫酸(硫酸分として)は0.05〜0.9モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜400℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、請求項7記載の、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として2.0〜7.0のpHを有する、ポリリン酸メラミン・メレム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとを含む1,3,5−トリアジン誘導体塩混合物の製造法。
  13. (a)工程において、リン酸はオルトリン酸濃度50重量%以上のオルトリン酸水溶液であり、硫酸は硫酸濃度50重量%以上の硫酸水溶液であることを特徴とする請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の製造法。
  14. (a)工程において、80〜150℃の温度で混合することを特徴とする請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の製造法。
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