JP4273532B2 - ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩及びその製造法 - Google Patents

ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩及びその製造法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩及びその製造法に関するものである。また、メラミン含有量が小さく、メレム含有量の大きいポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メラミンとリン酸の焼成生成物についてはオルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンなどが知られており、その製造法も数多く報告されている。例えば、特公昭40−28594号公報には、オルトリン酸メラミンを180〜250℃において焼成することを特徴とする一部のオルトリン酸メラミンが残存する焼成リン酸メラミンの製造法が開示されている。しかし、このリン酸メラミンはオルトリン酸メラミンとピロリン酸メラミンとの複合体であり、充分な耐水性を有していないことが指摘されている。
【0003】
米国特許第3,920,796号明細書には、オルトリン酸メラミンを170〜325℃で焼成することによりピロリン酸メラミンが生成することが開示されている。
また、米国特許第4,950,757号明細書には、ピロリン酸とメラミンとを水性媒体中で0〜60℃で反応せしめることを特徴とするピロリン酸メラミンの製造法が開示されている。
【0004】
特開昭61−126091号公報には、縮合リン酸とメラミンとを水性媒体の実質的不存在下に自然発生熱温度〜170℃の温度条件で固相反応せしめることを特徴とする縮合リン酸メラミンの製造法が開示されている。
ポリリン酸塩の製造に際して、縮合剤として尿素を採用することは知られている。例えば、特公昭53−2170号公報には、リン酸源としてオルトリン酸アンモニウム、オルトリン酸、縮合リン酸、無水リン酸、リン酸尿素、及びこれらの混合物、窒素源としてメラミン、ジシアンシアナミド、グアニジン、グアニル尿素などのシアナミド化合物、及びこれらの混合物を使用し、縮合剤としての、尿素、リン酸尿素、及びこれらの混合物の存在下に加熱縮合反応を行わせて得られる、アミド態の窒素を含有するポリリン酸アミド(アミドポリホスフェイト)の製造法が開示されている。その製造条件としては、尿素/リン酸(H3PO4として)/シアナミド化合物=0.8〜1.5/1/0.05〜1(モル比)でアンモニアガスの雰囲気下150〜350℃で10分〜5時間好ましくは1〜4時間加熱縮合せしめることが記載されている。
【0005】
アメリカン ケミカル ソサエテイ シンポジウム シリーズ 425号「火と高分子」(A.C.S. Symposium Series No.425 "Fire and Polymers")、第15章、211〜238頁〔アメリカン ケミカル ソサエテイ(American Chemical Society)、ワシントン特別区(Washington, D.C.)、1990年発行〕には、リン酸メラミン〔メラミン/リン原子=1/1(モル比)〕を330〜410℃で加熱することによりウルトラリン酸メラムが生成することが記載されている。
【0006】
リン酸メラミンの難燃剤としての利用については現在までに数多くの提案がなされている。例えば特開昭53−49054号公報には、ポリアミドに無機充填剤とリン酸メラミンとを添加することからなる難燃性の改良されたポリアミド樹脂組成物が開示されている。
特開昭61−126091号公報には、縮合リン酸メラミンがポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂、フェノール、ウレタンエポキシなどの熱硬化性樹脂、セルロース材料などの難燃剤として有効であることが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術で開示されているポリリン酸メラミン、縮合リン酸メラミンは300℃以上の加熱においてメラミンの脱離が大きく成型温度の高い樹脂の難燃剤としては効果的に使用することが困難である。
本発明は上記従来技術の欠点を解消し、難燃剤として幅広い用途に耐えうる、メラミンと、リン酸とを原料とする、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩及びその製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法について説明する。
水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として4.0〜7.0のpH、並びにリン原子1モルに対して、0.05〜1.00モルのメラミン、0.30〜0.60モルのメラム及び0.05〜0.80モルのメレムの比率を有することを特徴とするポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法は、下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜450℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなる。
【0009】
また、本発明のメラミン含有量の低く、メレム含有量の高いポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法について説明する。
水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として4.0〜7.0のpH、並びにリン原子1モルに対して、0.05〜0.40モルのメラミン、0.30〜0.60モルのメラム及び0.30〜0.80モルのメレムの比率を有することを特徴とするポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法は、下記の(a)及び(b)の各工程:
(a)メラミンと、リン酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
(b)(a)工程で得られた反応生成物を、メラミンの昇華物を系内に戻すと共に、発生するアンモニアを系外に排出しながら、340〜450℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
からなる。
【0010】
そして、本発明の(a)工程において、リン酸はオルトリン酸濃度50重量%以上のオルトリン酸水溶液であることが好ましい。
次に、本発明のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩は、一般式(1)
α(MmH)2O・β(MdH)2O・γ(MpH)2O・δP25
・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
(但し、Mmはメラミンを表し、Mdはメラムを表し、Mpはメレムを表し、Hは水素原子を表し、Pはリン原子を表し、Oは酸素原子を表す。そして、αとβとγとδとは正数を表し、1≦(α+β+γ)/δ<2の相関にある。)で表される鎖状ポリリン酸のメラミン・メラム・メレム複塩又はメタリン酸のメラミン・メラム・メレム複塩である。
【0011】
メラミン(Mm)は、式(2)
366 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)
で表される2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンである。
メラム(Md)は、式(3)
6911 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)
で表される(N−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンである。これはメラミン2分子からアンモニア1分子が脱離して縮合した1,3,5−トリアジン誘導体である。
【0012】
メレム(Mp)は、式(4)
6610 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (4)
で表される2,5,8−トリアミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレンである。これはメラミン2分子からアンモニア2分子が脱離して縮合した1,3,5−トリアジン誘導体である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の(a)工程で使用されるメラミン、リン酸などは市販されているものを使用することができる。
リン酸としてはオルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などを使用することができるが、オルトリン酸が好ましい。オルトリン酸水溶液は乾式法、湿式法いずれのものもオルトリン酸濃度50重量%以上のものを使用することができるが、オルトリン酸濃度はできるだけ高いものが好ましく、オルトリン酸濃度75〜89重量%の乾式オルトリン酸水溶液が特に好ましい。オルトリン酸濃度50重量%未満のオルトリン酸水溶液は水が多くなりすぎ混合反応後、乾燥に時間がかかりすぎるため好ましくない。
【0014】
また、本発明においてリン酸の代わりにリン酸一水素アンモニウムの水溶液を用いることができるとともに、リン酸アンモニウムをリン酸水溶液に加えた水溶液を用いることもできる。
本発明においてメラミンとリン酸及び硫酸の混合反応において自動乳鉢、万能ミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザーなどの混合・撹拌装置を用いることができる。
【0015】
本発明のメラミンとリン酸の混合により顕著な発熱が起こる。そのため、使用するリン酸及び硫酸の濃度が高いときは混合時の水分蒸発により反応生成物はウェット又はドライパウダーとして得られる。混合・撹拌装置は反応を均一にするためにもせん断力のあるヘンシェルミキサーが好ましい。
本発明において、メラミンと、リン酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に混合する。
【0016】
メラミンと、リン酸との混合において、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対してメラミンが2.0モル未満の比率となると焼成生成物の酸が過剰になり酸性が強くなりすぎるため好ましくない。一方、リン酸1モルに対してメラミンが4.0モルの比率を超えると、最終焼成生成物中にメラミン残存量が多くなりすぎたり、焼成時メラミンの揮発が大きくなりすぎるため好ましくない。
【0017】
本発明において、メラミンとリン酸の混合及び撹拌時の温度は0〜330℃でよいが、水分除去を効率的に行なったり、メラミンの揮散を抑制するためには80〜150℃がよい。混合及び撹拌の総合計時間は混合の強さにもよるが、通常10分〜2時間でよい。
本発明のメラミンとリン酸の混合によりメラミンとリン酸は反応してリン酸メラミン含水塩となる。ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩のより耐湿水性向上を目的として、ポリリン酸の重合度を上げるため、縮合剤として尿素をリン酸メラミン含水塩に添加することができる。
【0018】
本発明のメラミンとリン酸の混合において驚くべきことは反応生成物の装置への付着が少ない。
本発明において必要に応じて付着防止を目的として混合時にコロイダルシリカパウダーを加えることもできる。
コロイダルシリカパウダーは、沈降性シリカパウダー、気相法シリカパウダーなど1次粒子径が100nm以下のものが好ましい。そして1次粒子径としては8〜50nmのものが容易に入手できてより好ましい。
【0019】
本発明においてメラミンとリン酸との混合反応生成物を340〜450℃、好ましくは340〜430℃で、0.1〜30時間焼成することにより目的とする焼成生成物を得ることができる。
本発明の(b)工程において反応生成物は脱水により無水化されるとともに、リン酸塩のメラミンは一部のメラミンからアンモニア分子が脱離してメラミン・メラム・メレム複合物となる。そして、更にリン酸は縮合することにより、焼成生成物としてポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩が生成する。
【0020】
リン酸(オルトリン酸換算分として)のモル量1モルに対してメラミンが1.0モル以下の比率において、(b)工程で得られる焼成生成物中には比較例1で示したように、ポリリン酸メラミン又はウルトラリン酸メラミンが生成して、本発明の目的とするポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩が得られていない。このことは、アメリカン ケミカル ソサエテイ シンポジウム シリーズ 425号「火と高分子」(A.C.S. Symposium Series No.425 "Fire and Polymers")、第15章、211〜238頁〔アメリカン ケミカル ソサエテイ(American Chemical Society)、ワシントン特別区(Washington, D.C.)、1990年発行〕には、リン酸メラミン〔メラミン/リン原子=1/1(モル比)〕を330〜410℃で加熱することによりウルトラリン酸メラムが生成すると記載されていることと異なっている。
【0021】
また、このポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩については、詳細な構造は明らかになっていないが、いずれの化合物も示差熱分析の結果、明らかにポリリン酸メラミン等のメラミン塩の熱分解挙動とは異なっている。加熱によりメラミン塩からメラミン・メラム・メレム複塩が生成したものと考えられる。
焼成温度が340℃未満ではメラミン・メラム・メレム複塩の生成が不充分のため目的とする焼成生成物を得られない。そして、450℃を越えるとポリリン酸のメラミン・メラム・メレム複塩の生成速度より、分解速度が優り、アンモニアの発生並びにメラミン、メラム及びメレムの揮散などを起こすために好ましくない。そして、生成物中に占めるリン酸量が上昇し生成物が酸性となるため好ましくない。
【0022】
本発明において焼成時間は0.1時間未満では目的とする焼成生成物の生成が不充分であり、30時間よりも長くてもよいが、30時間越えると経済的ではない。
本発明の焼成は熱風乾燥機、ロータリーキルン、ダブルシャフト方式連続焼成炉、流動焼成炉などを単独又は組み合わせて用いることができる。焼成時のメラミンの昇華による流出をある程度抑制しながらメラミンの縮合により生成するアンモニアを選択的に除去すると、メラミンのメラム化、メレム化が効率的に進む。そのため、フタ付きの磁製やアルミナ製匣鉢等による焼成が好ましい。さらに均一に焼成するために攪拌できるタイプの焼成炉がより好ましく、特に、雰囲気の制御が可能なロータリーキルンや流動焼成炉では、メラミンの昇華物を系内に戻すと共に、発生するアンモニアを系外に排出しながら焼成することができて、より好ましい。また圧力制御が可能なオートクレーブでも焼成することができる。
【0023】
本発明の焼成生成物は必要に応じてミキサー、ピンディスクミル、ボールミル、ジェットオーマイザーなどの乾式粉砕機やカウンタージェットミル、イノマイザーなどの乾式粉砕分級機で粉砕分級することにより、難燃剤用途として好ましい平均粒子径(メジアン径)20μm以下、より好ましくは平均粒子径(メジアン径)10μm以下の微粉末とすることができる。
【0024】
更に難燃剤としては、上記焼成生成物の粉砕品を使用すると共に、本発明の焼成生成物100重量部に対して、シリカパウダーや無機塩基性物質などの無機物質を25重量%以下添加し調整した粉砕品を使用することができる。その添加は室温から450℃でよい。即ち、その添加は上記焼成終了前に加えてもよいし、焼成終了後冷却したものに加えてもよい。この添加はせん断力を有する混合装置、例えば、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー 、ホモミキサー、等を用いるのが好ましいが、V型ミキサーや万能ミキサーで混合後、ピンディスクミル、ジェットオーマイザー、ボールミル、カウンタージェットミル、イノマイザーなどの粉砕装置にかける方法でもよい。この場合も、粉砕することにより、平均粒子径20μm以下、好ましくは平均粒子径10μm以下の微粉末とすることができる。また、室温混合後、340〜450℃で再焼成してもよい。
【0025】
ここで上記の無機物質とは水に不溶又は溶解度の低い物質である。例えば、好ましい例として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカパウダー、タルク、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの無機物質は市販されているものを用いることができる。
【0026】
本発明の焼成生成物と上記記載の無機物質とを含む難燃剤は、水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、及び10重量%水性スラリー(25℃)として4.0〜8.0のpHとすることができる。
なお、本発明における試料評価方法は下記の通りである。ここで試料としては、ピンディスクミル粉砕品を採用した。
(1)元素分析
(i)炭素、窒素、及び水素
元素分析装置 2400CHN エレメンタル アナライザー(パーキン エルマー社製)を用いて、測定した。
【0027】
(ii)リン
リンバナドモリブデン酸吸光光度法にて測定した。
(2)示差熱分析
示差熱分析装置 TG/DTA320U〔セイコー電子工業(株)製〕を用いて、測定した。
【0028】
(測定条件)試料 11mg、リファレンス α−アルミナ11mg、
測定温度範囲 25〜1000℃、又は25〜710℃、
昇温速度 10℃/分。
(3)粉末X線回折
X線回折装置 JEOL JDX−8200T〔日本電子(株)製〕を用いて、測定した。(対陰極:Cu−Kα)
(4)嵩比重(ゆるみ見掛け密度)
パウダーテスタ〔ホソカワミクロン(株)製〕にて測定した。
(5)平均粒子径
50%体積径(メジアン径)を平均粒子径とした。
【0029】
その50%体積径(メジアン径)は遠心沈降法粒子測定装置SA−CP3〔(株)島津製作所製〕にて測定した。
(測定条件) 溶媒 純水(25℃)。
(6)10重量%水性スラリー(25℃)のpH
300mlビーカーに、試料を25gを採取後、次にメスシリンダーで計量した純水225ml(25℃)を添加した。次に、そのビーカーにマグネチック撹拌子を入れてマグネチックスターラーで30分間撹拌して、10重量%水性スラリーを調製した。
【0030】
次に、上記10重量%水性スラリーをpH計 M−8AD〔(株)堀場製作所製〕を用いて、測定した。
(7)水(25℃)に対する溶解度(30分)
300mlビーカーに、試料を5.00g(ag)を精秤後、メスシリンダーで計量した純水250ml(25℃)を添加した。次に、恒温(25℃)下、そのビーカーにマグネチック撹拌子を入れてマグネチックスターラーで30分間撹拌して、スラリーを調製した。予め乾燥し重量を精秤したNo.5A濾紙にて、調整したスラリーを吸引濾過した。その際、一担濾過が終了後、濾液を別容器に採取して、その濾液でスラリーを調製したビーカー内の残存スラリーを先程濾過に使用した未溶解試料が付着しているNo.5A濾紙に洗い流した。よって、未溶解試料をNo.5A濾紙にほぼ全量を回収した。
【0031】
次に重量を精秤したシャーレに未溶解試料を回収したNo.5A濾紙を入れ、予め80℃に加温しておいた熱風乾燥機にそのシャーレを入れて5時間乾燥した。その後、直ちにそのシャーレをデシケーターに入れて、放冷した。
放冷後、総重量を測定し、総重量よりNo.5A濾紙とシャーレの重量を差し引いて、未溶解試料量(bg)を出した。
【0032】
溶解度(g/100ml)は 100・(a−b)/250の計算式にて求めた。
(8)水(25℃)に対する溶解度(24時間)
300mlビーカーに、試料を5.00g(ag)を精秤後、メスシリンダーで計量した純水250ml(25℃)を添加した。次に、恒温(25℃)下、そのビーカーにマグネチック撹拌子を入れてマグネチックスターラーで24時間撹拌して、スラリーを調製した。このスラリーの調製以後は水(25℃)に対する溶解度(30分)と同様に操作して、溶解度(g/100ml)を求めた。
(9)水(25℃)に対する溶解度(36時間)
300mlビーカーに、試料を5.00g(ag)を精秤後、メスシリンダーで計量した純水250ml(25℃)を添加した。次に、恒温(25℃)下、そのビーカーにマグネチック撹拌子を入れてマグネチックスターラーで36時間撹拌して、スラリーを調製した。このスラリーの調製以後は水(25℃)に対する溶解度(30分)と同様に操作して、溶解度(g/100ml)を求めた。
(10)高速液体クロマトグラフィー
試料中の塩基成分であるメラミン、メラム、メレムなどは、高速液体クロマトグラフィー装置Hitachi L−400〔(株)日立製作所製〕にて測定した。カラムは陽イオン交換樹脂系カラムを用いた。
【0033】
(測定条件)
カラム PATISIL 10−SCX(250mm×4.6mmφ)、
キャリヤー溶媒 0.05M pH3.7 リン酸緩衝液、
キャリヤー流量 1.5ml/min、
オーブン温度 40℃、
検出方法 UV検出法(230nm)、
測定試料溶液調製 試料5mgをオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液49gに加熱溶解後、純水にて500mlに希釈して測定試料溶液を調製する。
【0034】
【実施例】
実施例1
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕831.6g(6.6モル)を採取し攪拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕230.6g(オルトリン酸分2.0モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間攪拌を保持した。オルトリン酸分1モルに対してメラミンは3.3モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1034.5gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをステンレス製バットに入れ、電気炉にて1段目の焼成として370℃で焼成を行った。昇温時間は約1時間で370℃となり、焼成温度370℃を3時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、被焼成物温度が370℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で焼成を続行した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。更に2段目として380℃に昇温し(昇温時間15分)、380℃で3時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として322.1gを得た。
【0035】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.6g/ml及び平均粒子径13μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンと、メラムと、メレムとが主成分であった。メラミン/メラム/メレム=2.29/1.00/0.66(モル比)であった。
【0036】
元素分析の結果は、炭素24.25重量%、窒素51.78重量%、水素3.97重量%、リン8.50重量%であった。焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.84モルの窒素原子の比率を有し、高速液体クロマトグラフィーの結果より計算される炭素原子1モルに対して1.86モルの窒素原子の比率と一致した。
【0037】
元素分析における炭素とリンの結果と、高速液体クロマトグラフィーにおける塩基成分のメラミンと、メラムと、メレムとのモル比より計算すると、メラミン/メラム/メレム/リン原子=0.98/0.43/0.29/1.0(モル比)であった。
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、630℃で急激な分解が起こっており、メラム塩、メレム塩などの分解と類似している。これはポリリン酸メラミンの熱分解挙動とは明らかに異なっており、この焼成生成物はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩になっているものと判断される。
【0038】
この焼成生成物の粉末X線回折の結果、ピークの位置はポリリン酸メラミンのピークとほぼ一致しているが、ピークはブロードになっており、明らかにポリリン酸メラミンではない。このポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩は、表1に示す特徴的なX線回折ピークを示した。
【0039】
【表1】
Figure 0004273532
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として6.72のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。同様に水(25℃)に対する溶解度(24時間)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
【0040】
実施例2
(a)工程
100Lのヘンシェルミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕15.12kg(120モル)を採取し攪拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕4612g(オルトリン酸分40モル)を15分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間攪拌を保持した。オルトリン酸分1モルに対してメラミンは3.0モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は19.14kgであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物19.14kgをダブルシャフト方式連続焼成機にて1段目の焼成として340℃で焼成を行った。昇温時間は約3時間で340℃となり、焼成温度340℃を4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。中間焼成生成物として、15.3kgを得た。
【0041】
更に、2段目として、円筒型流動焼成炉を用いて380℃に昇温し(昇温時間1時間)、380℃で1時間保持することにより、1段目の焼成で得られた中間焼成生成物3.0kgを焼成した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが顕著に認められた。焼成生成物として2.7kgを得た。
【0042】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.6g/ml及び平均粒子径13μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンとメラムが主成分であり、メレムが副成分であった。メラミン/メラム/メレム=1.90/1.00/0.18(モル比)であった。
【0043】
元素分析の結果は、炭素21.77重量%、窒素46.67重量%、水素5.86重量%、リン9.70重量%であった。焼成生成物中の炭素原子1モルに対して1.84モルの窒素原子の比率を有していた。
元素分析における炭素とリンの結果と、高速液体クロマトグラフィーにおける塩基成分のメラミンと、メラムと、メレムとのモル比より計算すると、メラミン/メラム/メレム/リン原子=0.84/0.44/0.08/1.0(モル比)であった。
【0044】
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、600℃付近で急激な分解が起こっており、メラム塩、メレム塩などの分解と類似している。これはポリリン酸メラミンの熱分解挙動とは明らかに異なっており、この焼成生成物はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩になっているものと判断される。
この焼成生成物の粉末X線回折の結果、ピークの位置は実施例1のピークとほぼ一致した。
【0045】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として4.18のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。同様に水(25℃)に対する溶解度(24時間)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例3
(b)工程
実施例2(b)工程の1段目の焼成で得られた中間焼成生成物3.0kgを、更に(b)工程の2段目として円筒型流動焼成炉を用いて390℃に昇温し(昇温時間1時間)、390℃で1時間保持することにより、焼成した。その焼成時、円筒型流動焼成炉上端の保温温度を下げてメラミンの昇華物を炉壁に析出させ、被焼成流動粒子により炉壁に付着したメラミンの昇華物を剥離させて炉内に戻すことにより、メラミンの昇華による流出を抑制した。よって、若干のメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められ、焼成生成物として2.8kgを得た。
【0046】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.6g/ml及び平均粒子径12μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラムとメレムが主成分であり、メラミンが副成分であった。メラミン/メラム/メレム=0.54/1.00/1.02(モル比)であった。
【0047】
元素分析の結果は、炭素22.36重量%、窒素47.56重量%、水素3.11重量%、リン11.2重量%であった。
元素分析における炭素とリンの結果と、高速液体クロマトグラフィーにおける塩基成分のメラミンと、メラムと、メレムとのモル比より計算すると、メラミン/メラム/メレム/リン原子=0.21/0.38/0.39/1.0(モル比)であった。
【0048】
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、600℃付近で急激な分解が起こっており、メラム塩、メレム塩などの分解と類似している。これはポリリン酸メラミンの熱分解挙動とは明らかに異なっており、この焼成生成物はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩になっているものと判断される。
この焼成生成物の粉末X線回折の結果、ピークの位置は実施例1のピークとほぼ一致した。
【0049】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として4.72のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。同様に水(25℃)に対する溶解度(24時間)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例4
(a)工程
10Lのヘンシェルミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕1260g(10モル)を採取し攪拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕461.2g(オルトリン酸分4.0モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間攪拌を保持した。オルトリン酸分1モルに対してメラミンは2.5モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は1670gであった。
(b)工程
(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをアルミナ製フタ付き匣鉢に入れ、電気炉にて390℃で焼成を行った。約1時間の昇温時間で390℃となり、390℃を6時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。焼成生成物として335.6gを得た。
【0050】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.6g/ml及び平均粒子径13μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラムとメレムが主成分であり、メラミンが副成分であった。メラミン/メラム/メレム=0.63/1.00/0.86(モル比)であった。
【0051】
元素分析の結果は、炭素24.97重量%、窒素52.41重量%、水素3.29重量%、リン8.70重量%であった。
元素分析における炭素とリンの結果と、高速液体クロマトグラフィーにおける塩基成分のメラミンと、メラムと、メレムとのモル比より計算すると、メラミン/メラム/メレム/リン原子=0.37/0.57/0.48/1.0(モル比)であった。
【0052】
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、600℃付近で急激な分解が起こっており、メラム塩、メレム塩などの分解と類似している。これはポリリン酸メラミンの熱分解挙動とは明らかに異なっており、この焼成生成物はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩になっているものと判断される。
この焼成生成物の粉末X線回折の結果、ピークの位置は実施例1のピークとほぼ一致した。
【0053】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として6.76のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。同様に水(25℃)に対する溶解度(24時間)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
実施例5
(b)工程
実施例4の(a)工程で得られたウエットパウダー状反応生成物500gをアルミナ製フタ付き匣鉢に入れ、電気炉にて420℃で焼成を行った。約1時間の昇温時間で420℃となり、420℃を6時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。焼成生成物として332.5gを得た。
【0054】
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.6g/ml及び平均粒子径12μmの粉体特性を有していた。
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラムとメレムが主成分であり、メラミンが副成分であった。メラミン/メラム/メレム=0.15/1.00/1.50(モル比)であった。
【0055】
元素分析の結果は、炭素24.64重量%、窒素50.04重量%、水素2.70重量%、リン8.80重量%であった。
元素分析における炭素とリンの結果と、高速液体クロマトグラフィーにおける塩基成分のメラミンと、メラムと、メレムとのモル比より計算すると、メラミン/メラム/メレム/リン原子=0.07/0.47/0.70/1.0(モル比)であった。
【0056】
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、600℃付近で急激な分解が起こっており、メラム塩、メレム塩などの分解と類似している。これはポリリン酸メラミンの熱分解挙動とは明らかに異なっており、この焼成生成物はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩になっているものと判断される。
この焼成生成物の粉末X線回折の結果、ピークの位置は実施例1のピークとほぼ一致した。
【0057】
この焼成生成物は10重量%水性スラリー(25℃)として5.32のpHを有していた。また、水(25℃)に対する溶解度(30分)は0.03g/100mlと非常に小さい値を示した。同様に水(25℃)に対する溶解度(24時間)は0.05g/100mlと非常に小さい値を示した。
比較例1
(a)工程
5Lの万能ミキサー(ステンレス製)にメラミン〔日産化学工業(株)製〕504g(4.0モル)を採取し攪拌下にオルトリン酸濃度85重量%のオルトリン酸水溶液〔東ソー(株)製〕461.2g(オルトリン酸分4.0モル)を10分間で添加して混合した。更に添加終了後30分間攪拌を保持した。オルトリン酸分のモル量1モルに対してメラミンは1.0モルの比率であった。このオルトリン酸水溶液の添加により顕著な発熱が起こり、水蒸気が発生した。得られたウエットパウダー状反応生成物は945gであった。得られたウエットパウダー状反応生成物をステンレス製バットに入れ、電気炉にて更に310℃で加熱混合反応を行った。昇温時間は約1時間で310℃となり、温度310℃を4時間保持した。なお、脱水により若干の固結が起こるため固結防止のため、温度が310℃になったところで取り出し、固結状態のものを崩した上で加熱反応を続行し、パウダー状反応生成物690gを得た。
(b)工程
(a)工程で得られた得られたパウダー状反応生成物500gをフタ付きアルミナ製匣鉢に入れ、380℃に昇温し(昇温時間1時間)、380℃で4時間保持した。焼成によりメラミンの昇華とメラミンの分解によるアンモニアの発生とが認められた。焼成生成物として237gを得た。
この焼成生成物を冷却後ピンディスクミルで粉砕を行った。得られた粉砕品は嵩比重0.60g/ml及び平均粒子径14μmの粉体特性を有していた。
【0058】
この焼成生成物に関して、高速液体クロマトグラフィーの結果、塩基成分はメラミンのみであった。元素分析の結果は、炭素4.40重量%、窒素10.11重量%、水素3.29重量%、リン32.8重量%であった。焼成生成物中の炭素原子1モルに対して2.0モルの窒素原子の比率を有し、明らかにメラミンの窒素原子(理論値)の比率とほぼ一致した。
【0059】
この焼成生成物の示差熱分析の結果は、ポリリン酸メラミンの熱分解挙動と一致した。この焼成生成物は、メラミンの熱分解によりリン酸分が過剰になっているため、10重量%水性スラリー(25℃)として1.56の低いpH値を示した。
【0060】
【発明の効果】
本発明により得られた焼成生成物は、元素分析、粉末X線回折、示差熱分析などにより、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩であることを確認した。
本発明のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩は耐熱性、耐水性に優れ、かつ粉砕性、分散性、流動性など粉体特性にも優れている。また、このポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩は脱メラミン、脱メラム、及び脱メレム温度が高く、かつリン酸の脱離(揮散)温度がポリリン酸メラミンに比べ低い。これらのことから本発明の焼成生成物は単独又は他のリン系難燃剤と併用することにより非常に高い難燃性を示す。
【0061】
本発明のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩はフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリカーボネート、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)、ポリフェニレンエーテル、変成ポリフェニレンエーテル、ゴム変性スチレンアクリルニトリルーブタジエンースチレン(ABS)、ポリエステル、ポリサルホン、ポリブチレンテレフタレート、塩ビなどの熱可塑性樹脂及びこれらのコポリマー、アロイなど幅広い樹脂の難燃剤として有用である。また、これらの樹脂成形品、樹脂含有塗料や接着剤、繊維及び繊維製品などの難燃剤として有用である。
【0062】
本発明のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩はガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウムウィスカーのような強化剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、潤滑剤、可塑剤、カップリング剤などのプラスチックス物質の製造の際に通常使用されるものと併用することができる。また、本発明の焼成生成物は他のリン系難燃剤、ブロム系難燃剤や、水酸化アルミ、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤などと併用することができる。
【0063】
更に、本発明のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩は難燃剤以外の樹脂安定剤としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の示差熱分析図である。
【図2】 実施例1で得られたポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の粉末X線回折図である。
【符号の説明】
1・・・示差熱分析(DTA)の結果を示す曲線である。
2・・・熱重量分析(TG)の結果を示す曲線である。
3・・・時間(分)と温度(℃)の結果を示す曲線である。

Claims (6)

  1. 水(25℃)に対して0.01〜0.10g/100mlの溶解度、10重量%水性スラリー(25℃)として4.0〜7.0のpH、並びにリン原子1モルに対して、0.05〜1.00モルのメラミン、0.30〜0.60モルのメラム及び0.05〜0.80モルのメレムの比率を有することを特徴とする、一般式(1)
    α(MmH) O・β(MdH) O・γ(MpH) O・δP
    ・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
    (但し、Mmはメラミンを表し、Mdはメラムを表し、Mpはメレムを表し、Hは水素原子を表し、Pはリン原子を表し、Oは酸素原子を表す。そして、αとβとγとδとは正数を表し、1≦(α+β+γ)/δ<2の相関にある。)で表される鎖状ポリリン酸のメラミン・メラム・メレム複塩又はメタリン酸のメラミン・メラム・メレム複塩であるポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩。
  2. リン原子1モルに対して、0.05〜0.40モルのメラミン、0.30〜0.60モルのメラム及び0.30〜0.80モルのメレムの比率となる請求項1に記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩。
  3. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、340〜450℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、請求項1に記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法。
  4. 下記の(a)及び(b)の各工程:
    (a)メラミンと、リン酸とを、リン酸(オルトリン酸換算分として)1モルに対してメラミンは2.0〜4.0モルの比率に、0〜330℃の温度で混合することにより反応生成物を得る工程、及び
    (b)(a)工程で得られた反応生成物を、メラミンの昇華物を系内に戻すと共に、発生するアンモニアを系外に排出しながら、340〜450℃の温度で0.1〜30時間焼成する工程、
    からなる、請求項2に記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法。
  5. (a)工程において、リン酸はオルトリン酸濃度50重量%以上のオルトリン酸水溶液であることを特徴とする請求項3又は4に記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法。
  6. (a)工程において、80〜150℃の温度で混合することを特徴とする請求項3又は4に記載のポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩の製造法。
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