JP4314063B2 - メタルウッドクラブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメタルウッドクラブに関し、特にゴルフボールを打ち損じてもグリップを握る手が痺れることがなく、しかもゴルフボールを所望の方向に遠くまで正確に飛ばすことのできるようにしたクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフ競技においてスコアメイクを図る上で、ゴルフクラブによる打球の方向安定性が重要であり、ヘッド形状やヘッド重心の位置を改良したゴルフクラブが種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、等参照)。
【0003】
本件発明者も、ヘッド背面の輪郭形状を工夫し、ゴルフボールを打撃する直前におけるヘッドのトウダウン現象及びかぶり現象を抑制して打球の方向安定性を向上させるようにしたメタルウッドクラブを開発し、出願している(特許文献9、参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−187308号公報
【特許文献2】
特開平10−323411号公報
【特許文献3】
特開2000−107331号公報
【特許文献4】
実開昭57−157373号公報
【特許文献5】
実開昭59−64167号公報
【特許文献6】
実開昭59−68570号公報
【特許文献7】
実開昭60−43356号公報
【特許文献8】
実開昭61−196768号公報
【特許文献9】
特開平06−98954号公報
【0005】
ところで、メタルウッドクラブについてはヘッド重心を低くし、しかも重心深度(打撃フェイスからヘッド重心までの距離)を大きくすることにより、打撃したゴルフボールを遠くまで飛ばすことができる、というのが従来の一般的な考え方であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、本件発明者がダウンスイング時におけるヘッドの挙動について検討したところ次のようなことを知見するに至った。即ち、ダウンスイング中にはシャフト上端部のグリップを握った手によってヘッド姿勢をコントロールするが、重心深度を大きくすると、ヘッドの背面側が重くなるので、ヘッドには打撃フェイスが上を向こうとする力が働き、しかもダウンスイング時における慣性モーメントが大きいので、グリップを握った手でヘッド姿勢をコントロールし難い。
【0007】
本発明はかかる点に鑑み、グリップを握った手でクラブヘッドの姿勢を容易にかつ正確にコントロールでき、ゴルフボールを所望の方向に遠くまで正確に飛ばすことのできるようにしたメタルウッドクラブを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明に係るメタルウッドクラブは、中空状のクラブヘッドを水平面上に自然に置いて打撃フェイスを意図するプレーの線の方向に指向させた時の垂直投影平面におけるヘッド背面の輪郭形状には、ヘッド重心を通って意図するプレーの線の方向に延びる直線を上記垂直投影平面に投影した左右基準線をほぼ中心としてトウとヒールとの間の水平方向の寸法の35%以上75%以下の後方領域が上記垂直投影平面において上記左右基準線に垂直な直線よりもヘッド後方に膨らんだ曲線状をなす輪郭形状が含まれており、上記曲線状の後方領域の曲率は最大で打撃フェイスの中心を含む領域の横方向の曲率と等しい曲率であることを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つはヘッドを水平面上に自然に置いて打撃フェイスを意図するプレーの線の方向に指向させた時(ゴルフ規則上の通常のアドレスポジションをとって置いた時)の垂直投影平面におけるヘッド背面の輪郭形状を、ヒールとトーとの間における後方領域を外方に膨らんだ曲線状とし、その曲線状の後方領域の曲率を最大で打撃フェイスの中心を含む領域の曲率と等しい寸法とした点にある。
【0010】
これにより、広いスイートゾーンが得られるので、ゴルフボールの打ち損ねが発生しても、グリップを握る手が痺れることは少ない。従って、ゴルフの腕前があまり上達していないプレイヤーの場合にもメタルウッドクラブを簡単に使いこなすことができる。
【0011】
ここで、打撃フェイスの中心とはヘッド重心から打撃フェイスに垂線を下ろしたときに打撃フェイスと交わる点をいい、打撃フェイスを下側にしてクラブヘッドを水平面上に静置させたときに打撃フェイスが水平面と接する点として求めることができる。
【0012】
また、本発明ではヘッド投影平面におけるヘッド背面の中央部分を直線に近い凸状とした輪郭形状としているので、ヘッド重心はヘッド背面の輪郭形状がほぼ円弧状をなす従来のメタルウッドクラブに比して打撃フェイス側に位置し、従来のメタルウッドクラブに比してヘッドの背面側が軽く、しかもダウンスイング時における慣性モーメントが小さくなるので、グリップを握った手でヘッド姿勢をコントロールしやすくなる。
【0013】
その結果、クラブに付与された本来のロフト角でもって打撃フェイスをゴルフボールに当てることができ、ヘッドの有する運動量をゴルフボールに効率よく与えることができ、ゴルフボールを遠くまで飛球させることができる。
【0014】
また、打撃の瞬間におけるヘッドの挙動について検討した場合、打撃フェイスでゴルフボールを打撃した瞬間にはヘッドにはゴルフボールから打撃の反力が作用するが、打撃フェイスのスイートスポットから外れた位置で打撃すると、ヘッドはヘッド重心の廻りに回転させようとする反力が作用する。この時、ヘッド重心廻りについてのヘッドの慣性モーメントが大きいと、ヘッドはヘッド重心廻りに回転し難い。
【0015】
一般に慣性モーメントは長方形状の方が丸い形状よりも大きい。従来のメタルウッドクラブはその背面側が丸い形状であり、ヘッド重心廻りの慣性モーメントは小さく、打撃の瞬間においてヘッドの姿勢が安定せず、ゴルフボールの方向が安定しない。
【0016】
これに対し、本発明では従来のメタルウッドクラブの形状に比して長方形状に近い形状となっているので、ヘッド重心廻りの慣性モーメントは大きく、打撃の瞬間においてヘッドの姿勢が安定し、ゴルフボールを意図する方向に正確に飛球させることができる。
【0017】
以上のように、本来のロフト角の打撃フェイスでもって正確にゴルフボールを打撃することができ、打撃の瞬間にはゴルフボールからの反力に抗してヘッドの姿勢が安定するので、ゴルフボールは意図する方向に正確に、しかも遠くまで飛球する。本件発明者らの試験によれば、従来のメタルウッドクラブではゴルフボールの飛距離が200ヤード程度の腕前のプレイヤーが本発明のメタルウッドクラブを用いると、ゴルフボールの飛距離が250〜260ヤードになり、しかもゴルフボールが意図する方向に正確に飛ぶことが確認された。
【0018】
また、ヘッド重心を従来のメタルウッドヘッドに比して打撃フェイス側に移行させ、ダウンスイング時におけるヘッド姿勢のコントロール性及び打撃の瞬間におけるヘッド姿勢の安定性を確保する上で、左右基準線に垂直な方向におけるトウ側外端とヒール側外端との間の距離を、左右基準線に垂直な方向におけるトウとヒールとの間の距離の35%〜75%、好ましくは45%〜65%にするのがよい。
【0019】
また、ヘッド重心を通って意図するプレーの線の方向に延びる直線を上記垂直投影平面に投影した左右基準線をほぼ中心としてトウとヒール間の寸法の35%以上75%以下の後方領域は左右基準線をほぼ中心として決定するが、「ほぼ中心として」とは左右基準線に垂直な方向において後方領域の左右基準線とトウ側外端との間の距離が後方領域の左右基準線とヒール側外端との間の距離に等しいか、10%程度の差があってもよいことを意味している。
【0020】
ヘッドのトーダウン現象やかぶり現象を抑制する上で、ヘッド重心はヘッドを通常のアドレスポジションに置き該ヘッドを垂直に投影したヘッドの外形状におけるトーとヒール間の中央かそれよりもヒール側に位置させ、ヘッド重心とシャフト軸線との間の距離を短くするのが好ましい。そこで、ヘッド背面の輪郭形状のヒールから後方領域のヒール側外端までの間の曲率をトウから後方領域のトウ側外端までの間の曲率に比して大きくするか、又は等しくするのがよい。
【0021】
即ち、後方領域のヒール側外端とヒールとの間の領域の少なくともヒール側外端に近い部分の垂直投影平面における輪郭形状の曲率が、後方領域のトウ側外端とトウとの間の領域の少なくともトウ側外端に近い部分の曲率に比して大きくなっているか又は等しくなっているのが好ましい。
【0022】
特に、後方領域のヒール側外端とヒールとの間の領域の少なくともヒール側外端に近い部分」の輪郭形状の曲率を、後方領域のトウ側外端とトウとの間の領域の少なくともトウ側外端に近い部分」の曲率に比して大きくした場合、ヘッド重心とシャフトとの間の距離が短く、これによりダウンスイング時にトウダウン現象を発生させる力はヘッド重心がトウ側にあるクラブヘッドに比して小さく、ヘッドのトウダウン現象が抑制されるとともに、ヘッド重心とシャフトとの間の距離が短いと、ヘッド重心とシャフトとの間の距離が長い場合に比し、打撃直前及び瞬間においてヒール側が後方に引ける量が少なくなり、その反作用としてトウ側が前方に進む、いわゆるかぶり現象も起きにくくなる。
【0023】
ここで、「通常のアドレスポジション」及び「意図するプレーの線」の意味はゴルフ競技のルールブックに記載されている通りであるので、その詳細な説明は省略するが、「通常のアドレスポジション」とはヘッドを水平面に自然に置き、打撃フェイスを目標に正対させた(ヘッド重心と、打撃フェイスのフェイスセンター(フェイス重心)とを結ぶ直線を水平面に投影した直線を、意図するプレイの線を水平面に投影した直線に一致させた)状態をいう。
【0024】
また、上述のヘッド背面の輪郭形状によって広いスイートゾーンが得られる理由を説明する。スイートゾーンとはヘッドの有する運動量を有効にボールに伝達でき、打撃時にグリップに加わる衝撃力が小さいような打撃ゾーンをいう。図5の(a)に示されるように、トウ側の厚みが薄く、ヒール側の厚みが厚い場合、ヘッド重心CGはヒール側に偏る。ゴルフボールがヘッドのトウ側(先端側)に当たった時、ヘッドの質量をmH、ヘッドの得るマイナスの速度増分をdvHとすると、ヘッドの失う運動量は∫mHdvHとなる。また、ゴルフボールの質量をmB、ゴルフボールが得るプラスの速度増分をdvBとすると、ゴルフボールが得る運動量は∫mBdvBとなる。mBdvBとmHdvHでヘッドが回転するのを防止するために、ヘッドがシャフトに及ぼす力積は力をF、時間の増分をdtとすると、∫Fdtとなる。
【0025】
図5の(a)の場合、力の釣り合いは、
|∫mBdvB|+|∫Fdt|=|∫mHdvH|
である。また、モーメントの釣り合いは、
|∫mBdvB|/|∫Fdt|=x2/x1
であり、x1>x2だと、
|∫Fdt|>|∫mBdvB|
である。従って、
|∫mBdvB|<|∫mHdvH|
であるので、ヘッドの保有していた運動量はその一部しかゴルフボールに伝わらず、ゴルフボールは飛ばない。また、|∫Fdt|≠0であるので、|∫Fdt|の反力が手に伝わって手が痺れる。
【0026】
また、図5の(b)に示されるように、トウ側の厚みが厚く、ヒール側の厚みが薄い場合、ヘッド重心CGはトウ側に偏る。ゴルフボールがヘッドのヒール側(根元側)に当たった時、力の釣り合いは、
|∫mBdvB|=|∫mHdvH|+|∫Fdt|
である。また、モーメントの釣り合いは、
|∫mBdvB|/|∫Fdt|=x2/x1
であり、x1<x2であるので、
|∫Fdt|<|∫mBdvB|
である。従って、ヘッドが失う運動量よりも大きな力積に手が耐える必要がある。これが不可能でクラブを放り投げてしまい、スイングが成り立たないか、あるいはヘッドからは小さな|∫Fdt|よりも更に小さな運動量|∫mBdvB|しかゴルフボールに与えられない。
【0027】
さらに、ヘッドの厚みがトウ側からヒール側にかけてほぼ等しい場合、図5の(c)に示されるように、手に衝撃が加わらず、ヘッドの有する運動量がそのままゴルフボールに伝わる理想的な打撃状態が出現する確率が高い。また、図5の(d)に示されるように、先端側にゴルフボールが当たった場合にも図5の(a)の場合に比して悪影響が少なく、図5の(e)に示されるように、根元側にゴルフボールが当たった場合にも図5の(b)の場合に比して悪影響が少ない。即ち、垂直投影平面におけるヘッドの前後方向の厚みをトウからヒールまで実質的に等しくする、即ち長方形状にすることによって広いスイートゾーンが得られるので、本発明のようにヘッド背面の中央部分に直線状又は曲線状の後方領域を形成することにより垂直投影平面におけるヘッドの形状が長方形状に近づき、広いスイートゾーンが得られることとなる。
【0028】
本発明はドライバーに適用すればその効果が大きいが、いわゆるスプーンやバフィ等のフェアーウェイウッドにも同様に適用できる。
【0029】
ヘッドとシャフトの連結構造については特に限定されず、ホーゼル(短ホーゼルも含む)によってシャフトを連結するタイプでもよく、ヘッドに嵌込み穴を形成してシャフトを連結するタイプであっても同様に適用できる。ヘッド重心とはホーゼルを有する場合にはホーゼルを含むヘッド全体の重心をいう。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係るメタルウッドクラブの好ましい実施形態を示す。図において、ヘッド10はヒール16側にシャフトを連結するほぼ円筒状のホーゼル部14を一体的に形成した中空鋳造品(中空鍛造品でもよい)である。ヘッド10は打撃フェイス11、トップフェイス12及びソール13から構成され、打撃フェイス11のスイートスポットを含む領域SZは球面状をなしている。なお、図示していないが、シャフトの上端部にはグリップが設けられる。
【0031】
ヘッド10を水平面上に静置させかつ打撃フェイス11を意図するプレーの線の方向に指向させた時(通常のアドレスポジションに置いた時)の垂直投影平面におけるヘッド背面の輪郭形状には次のような後方領域20の輪郭形状が含まれている。
【0032】
即ち、後方領域20はヘッド重心CGを通って意図するプレーの線の方向に延びる直線を垂直投影平面に投影した直線を左右基準線Aとしたとき、左右基準線Aに対して垂直な方向において左右基準線Aを中心にしてトウ15とヒール16との間の距離L0のほぼ60%の長さL1を有し、垂直投影平面において左右基準線Aに垂直な直線Bよりもヘッド後方に膨らんだ曲線状をなし、その後方領域20の曲率RCは最大で打撃フェイスの中心を含む領域の横方向の曲率と等しい曲率となっている。
【0033】
例えば、打撃フェイス11のスイートスポットを含む領域SZの横方向の曲率半径が150mmとすると、後方領域20の輪郭形状の曲率半径RCは最大で150mmである。なお、後方領域20は左右基準線Aをほぼ中心にしてトウ15とヒール16との間の距離の35%〜75%、好ましくは45%〜65%の範囲内の寸法とすることもできる。
【0034】
また、後方領域20のヒール側外端21とヒール16との間の領域のヒール側外端21に近い部分23の垂直投影平面における輪郭形状の曲率RHは、後方領域20のトウ側外端22とトウ15との間の領域のトウ側外端22に近い部分24の曲率RTに比して大きいか又は等しくなっている。
【0035】
さらに、ヒール側外端21に近い領域部分23の端部からヒール16、及びトウ側外端22に近い領域部分24の端部からトウ15までは滑らかな曲線によって連続されている。
【0036】
また、ヘッド10の後方領域20の部分の背面はほぼ垂直な縦壁状の平面に形成され、該平面には2つの円形凹部25、26が形成されている。この円形凹部25、26は直径15〜20mm、深さ15〜20mmの大きさをなしている。
【0037】
従って、ヘッド10は図6に示される重量配分となっている。
【0038】
本例のクラブをスイングし、テイクバックからダウンスイングを開始すると、クラブにはダウンスイング時にヘッドのトウダウン現象を発生させる力が働くが、本例のヘッド10は重心CGとシャフトとの間の距離が短いので、トウダウンの程度は小さい。
【0039】
しかも、ヘッド背面の輪郭形状はその後方領域20が直線に近い形状となっているので、ヘッド重心CGはヘッド背面の輪郭形状がほぼ弧状をなす従来のメタルウッドクラブのヘッド重心CG0に比して打撃フェイス11側に位置し、従来のメタルウッドクラブに比してヘッド10の背面側が軽くなっている。その結果、ヘッド背面側が重くなった従来のメタルウッドクラブに比して打撃フェイス11が上向きになりにくく、ヘッド10に与えられた本来のロフト角でもってゴルフボールを打撃することができる。
【0040】
さらに、ヘッド重心CGが従来のメタルウッドクラブのヘッド重心CG0に比して打撃フェイス11側に位置しているので、ダウンスイング時の慣性モーメントは従来のメタルウッドクラブに比して小さくなり、グリップを握った手でヘッド姿勢をコントロールしやすい。
【0041】
即ち、ヘッドにおいて図4に示されるように、シャフト中心軸の位置にX軸を、X軸に垂直にY軸を設定した場合を考える。X軸と本例のヘッド10のヘッド重心CG及び従来のヘッドのヘッド重心CG0との間の水平距離をL、L0、ヘッド重心CG、CG0の廻りの慣性モーメントをIx とすると、X軸廻りの慣性モーメントIX 、IX ’は、
IX =Ix +mL2
IX ’=Ix +mL02
で示され、L<L0であるので、IX <IX ’となる。
【0042】
しかも、打撃フェイス11でゴルフボールを打撃するまでの間にはヒール16側が後方に引ける動きをするおそれがあるが,重心CGとシャフトとの間の距離が短いので、ヒール16側が後方に引ける動きはほとんど示さず、トウ15が前方に進む、いわゆるかぶり現象も発生しない。
【0043】
従って、本例のクラブヘッドではクラブに付与された本来のロフト角でもって打撃フェイス11をゴルフボールに打撃させることができ、ヘッド10の有する運動量をゴルフボールに効率よく与えることができ、ゴルフボールを遠くまで飛球させることができる。
【0044】
また、打撃フェイス11のスイートゾーンSZから外れた位置で打撃すると、打撃フェイス11でゴルフボールを打撃した瞬間にはヘッド10にはゴルフボールからの打撃の反力に起因して、ヘッド重心の廻りに回転させようとする反力が作用するが、本例のヘッド10ではヘッド重心CGの廻りについての慣性モーメントが大きいので、ヘッド10はヘッド重心CG廻りに回転し難い。
【0045】
即ち、本例のヘッド10では背面が略円弧状となった従来のヘッドに比して長方形状に近い形状であるので、ヘッド重心廻りの慣性モーメントは従来のヘッドに比して大きく、打撃の瞬間においてヘッドの姿勢が安定し、ゴルフボールを意図する方向に正確に飛球させることができる。
【0046】
さらに、ヘッド背面の中央に直線に近い後方領域20を形成しているので、既に説明したようにスイートスポットを含む領域SZが広く、シャフトのクリップを握る手に衝撃を受けることなく、ヘッドの有する運動量を効率よくゴルフボールに伝えることができる。
【0047】
その結果、ゴルフボールを所望の方向に正確に飛行させることができるとともに、飛距離を大幅にアップさせることができる。
【0048】
ところで、グリップを握ってゴルフクラブをスイングすると、クラブにはダウンスイング時に、曲面状をなすヘッドのトップフェイス12及びソール13の外表面、トウ15側及びヒール16側の外側面に沿って打撃フェイス側から後方に向けて流れる気流F1、F2、F3が発生する(図9の(a) 参照)。
【0049】
これらの気流F1、F2、F3はヘッドの背面側において相互に他の気流F2、F3、F1の影響を受けて乱気流F4、F5が発生し、気流F1、F2、F3は乱気流F4、F5によって影響を受け、図9の(b)(c)に示されるように流れを大きく乱される。
【0050】
ヘッド速度が遅い場合には上述の気流F1、F2、F3の乱れはヘッド姿勢やヘッド速度に対してあまり悪影響しない。
【0051】
しかし、ヘッド速度が速くなると、気流の乱れによってヘッド姿勢が不安定になり、同時にヘッドを後方に引っ張る力が発生してゴルフボールを正確に打撃し難く、又ヘッド速度が低下し、飛距離が期待した程に延びない。その結果、ゴルフプレイヤーはさらに力をこめてゴルフクラブをスイングしがちとなる。
【0052】
これに対し、本例のヘッド10ではヘッド背面の後方領域20の縦壁面に円形凹部25、26を形成しているので、ダウンスイング時にヘッドのトップフェイス12及びソール13の外表面、トウ15側及びヒール16側の外側面に沿って打撃フェイス11側からヘッド後方に向けて気流F1、F2、F3が発生すると、図7及び図8に示されるように、トップフェイス12及びソール13の外表面に沿って流れる気流の大部分又は一部が円形凹部25、26に流れ込み又は吸い込まれ、その後に乱れの少ない気流F6となってヘッド10の後方に流れる挙動を示すので、トウ15側及びヒール16側の外側面に沿って流れる気流F1、F2は乱れの少ない気流F7のままで後方に流れ、ヘッド姿勢が不安定になったりヘッド速度が低下することはない。
【0053】
その結果、本例のヘッドを有するゴルフクラブを普通の力でスイングすると、安定したヘッド姿勢でゴルフボールを打撃することができ、上述のヘッド背面の輪郭形状と相まってゴルフボールをさらに遠くまで飛球させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るメタルウッドクラブの好ましい実施形態を示す正面からの斜視図である。
【図2】 上記実施形態を示す背面からの斜視図である。
【図3】 上記実施形態におけるヘッド形状を説明するための図である。
【図4】 上記実施形態におけるヘッド形状を説明するための図である。
【図5】 上記実施形態における作用を説明するための図である。
【図6】 上記実施形態におけるヘッド重量配分を示す図である。
【図7】 上記実施形態における気流の流れを模式的に示す平面図である。
【図8】 上記実施形態における気流の流れを模式的に示す側面図である。
【図9】 従来のクラブヘッドにおける気流の流れの変化を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 ヘッド
11 打撃フェイス
12 トップフェイス
13 ソール
15 トウ
16 ヒール
20 後方領域
21 ヒール側外端
22 トウ側外端
23 ヒール側外端に近い部分
24 トウ側外端に近い部分
Claims (2)
- 中空状のクラブヘッドを水平面上に自然に置いて打撃フェイスを意図するプレーの線の方向に指向させた時の垂直投影平面におけるヘッド背面の輪郭形状には、ヘッド重心を通って意図するプレーの線の方向に延びる直線を上記垂直投影平面に投影した左右基準線をほぼ中心としてトウとヒールとの間の水平方向の寸法の35%以上75%以下の後方領域が上記垂直投影平面において上記左右基準線に垂直な直線よりもヘッド後方に膨らんだ曲線状をなす輪郭形状が含まれており、
上記曲線状の後方領域の曲率は最大で打撃フェイスの中心を含む領域の横方向の曲率と等しい曲率であることを特徴とするメタルウッドクラブ。 - 上記後方領域のヒール側外端とヒールとの間の領域の少なくとも上記ヒール側外端に近い部分の上記垂直投影平面における輪郭形状の曲率が、上記後方領域のトウ側外端とトウとの間の領域の少なくとも上記トウ側外端に近い部分の曲率に比して大きくなっているか又は等しくなっている請求項1記載のメタルウッドクラブ。
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