JP4312655B2 - 無線ネットワーク通信システム,及びこのシステムに用いられる発信元の無線端末,及び無線通信経路のルーティング方法 - Google Patents

無線ネットワーク通信システム,及びこのシステムに用いられる発信元の無線端末,及び無線通信経路のルーティング方法 Download PDF

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Description

本発明は,複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに適用される無線ネットワーク通信システムに関し,特に,データの発信元の無線端末から送出されたデータを着信先の無線端末に効率よく伝送することのできる無線通信経路を決定する処理(いわゆるルーティング処理)に関するものである。
近年,無線通信技術の発展と,ノート型パソコンや携帯電話等の携帯端末の普及により,無線LANサービス等に必須のアクセスポイントや基地局を要することなく無線接続可能な,パソコン,PDA,携帯電話等の複数の無線端末のみで構成されるアドホックネットワーク(自立分散型の無線ネットワーク)が知られている。
このアドホックネットワークは,上記アクセスポイントや基地局,或いは有線ネットワークにおける通信回線等の固定された通信インフラを利用することができない地域(例えば災害地等)や上記通信インフラが十分整備されていない地域(例えば僻地等)でネットワークを必要とする場合,或いは限定された範囲の小ネットワークを即座に必要とする場合に,安価で簡便に,しかも即席にネットワークを構築することができるという利点があり,近年注目されている。しかしながら,上記アドホックネットワークが注目され始めたのはごく最近のことであり,このネットワークの実用化には未だ多くの技術的課題が残されている。
上述したように,上記アドホックネットワークは複数の無線端末のみで構成されるネットワークである。このネットワークの接続形態(ネットワークトポロジー)は,データの発信元から送出されたデータが,一以上の他の無線端末により中継され,そして上記他の無線端末により順次隣接する他の無線端末に転送されることによって(このようなデータの通信をマルチホップ通信という。),上記データの発信元からデータの着信先までの通信経路が形成される構成となっている。
このようなマルチホップ通信を実現するためには,一般に,所定のルーティングプロトコルに従ってデータの通信経路を決定(又は選択)する処理(ルーティング処理)が行われる。このルーティングプロトコル及びルーティング方法に関する技術手法は,近年,多数提案されており,その技術手法の一例が特許文献1及び特許文献2に記載されている。これらの特許文献に記載の公知のルーティング方法は,GPS(Global Positioning System)を備えた各無線端末が,アドホックネットワーク内にある他の無線端末の暫定的な或いは正確な位置情報を取得して記憶し,この位置情報に基づいて,データ発信元の無線端末からデータ着信先の無線端末までの経路長が物理的に最短となる無線通信経路を選択するものである。
特開2001−268127号公報 特開2002−171283号公報
しかしながら,上述の公知文献(特許文献1,特許文献2)に記載の公知のルーティング方法は,見通しのよい場所(通信阻害要因の無い場所)で構築されたアドホックネットワークに適用されることで比較的通信効率の良い通信経路が決定(又は選択)され得るが,例えば,図5に示すように,ノードn3とノードn8との間に無線通信の妨げとなる障害物10等の通信阻害要因が多数存在する市街地や屋内で構築されたアドホックネットワークXでは,上記障害物10による通信の遮断や,フェージング或いはマルチパス等の影響を受けるため,上記公知のルーティング方法を適用したとしても,通信効率のよい通信経路が選択されるとは必ずしも限らない。即ち,上記GPSにより得られた位置情報に基づき物理的経路長が最短の通信経路(図5で言えば,データ発信元の無線端末をノードn4,着信先の無線端末をノードn8とした場合の通信経路Rb(n4→n3→n8))が選択されたとしても,その経路間に障害物がある場合は,通信の遮断やフェージング等により無線通信の伝送損失が大きくなるため(伝送速度が低下するため),経路長は最短ではないが障害物のない他の通信経路でデータを伝送するよりも,結果的に通信に多くの時間を要するという問題がある。なお,図6に,公知のルーティング方法によりノード間の物理的距離に基づき決定される無線通信経路のトポロジーテーブル60を示す。
一方,上記障害物が介在する経路間の伝送損失を防止するべく,その経路の両端の無線端末(図5で言えば,ノードn3とノードn8)の通信消費電力を上げることにより,伝送速度等の通信品質を所定の水準に保持することは可能であるが,却って膨大な通信電力が消費されるため実用的ではなく,また,無線端末間において電力消費量の不均衡が生じるという問題を招来することになる。特に,アドホックネットワークは,携帯バッテリーで駆動するノート型パソコンやPDA等のモバイル端末により構築されるケースが多いため,消費電力が多くなりバッテリーの蓄電量が激減し,モバイル端末の駆動時間が短縮するという重大な問題に発展しかねない。
また,アドホックネットワークを構成する無線端末の無線通信速度は,各端末において使用される無線アダプタ等の無線通信装置の仕様(例えば,IEEE802.11a,b,g,又は,Bluetooth等の無線規格)により異なる場合もあり得るため,実際上は,各無線端末の位置情報だけに基づいて通信効率のよい通信経路を選択することは極めて困難であると言わざるを得ない。
また,上述の公知のルーティング方法は,通信効率(伝送効率)や接続(中継)の確実性を考慮してアドホックネットワークを構築するものであって,データの種類等を考慮してネットワークを構築するものではない。通常,ネットワークでは,多種多様なデータが伝送される。データの種類によっては,伝送することができる通信経路の通信品質の基準が異なる場合もある。例えば,テキストデータ又は電子メールデータ等を伝送する通信経路であれば,それほど高い通信品質は要求されないが,リアルタイム性が必要な音楽又は動画データ等や重要なデータ等を伝送する通信経路では,受信した上記音声又は動画データ等を受信端末側でリアルタイムで再生したときに途切れが生じないように,或いはデータに符号誤り等が生じないように,比較的高い通信品質が要求される。それにもかかわらず,データの種類等が考慮されずに通信経路が選択されると,上記データ再生時の途切れやデータの誤り等が発生するおそれがあり問題である。
また,上記公知のルーティング方法では,ネットワーク上に,例えば,特に緊急を要しない電子メールデータを伝送する経路が既に形成されている場合は,たとえ緊急を要するデータ(緊急データ)が発信されたとしても,上記緊急データを効率よく最短時間で伝送することができる経路を構成する中継端末(接続点)が上記電子メールデータを伝送する経路に使用されているときは,上記緊急データを伝送する経路として上記最短時間の経路が選択されず,より時間を要する或いは通信効率の劣る他の経路が選択されることになる。即ち,緊急を要するデータが存在するにもかかわらず,最短時間でデータを伝送することができないという問題が生じる。これらの問題はいずれも,上記ネットワークが通信効率(伝送効率)や接続(中継)の確実性のみを考慮して構築されたことに起因する。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その第1の目的とするところは,通信経路中に無線通信を妨げる障害が介在する場合でも,通信能力に関する二以上の情報に基づいて通信性能に関する通信評価値を求め,この通信評価値に基づいて,無線通信に適した通信効率のよい通信経路を選択することにより,通信効率を向上させ,且つ,無線端末で消費される通信電力量を削減すると共に,各端末間における消費電力量の不均衡の発生を防止することのできる無線ネットワーク通信システム,発信元の無線端末及び無線通信経路のルーティング方法を提供することにある。
そして,第2の目的とするところは,データの種類に応じて異なる基準で無線通信経路を選択することにより,音楽データ,動画データ等をリアルタイムで再生した際の途切れやデータの誤り等の問題を解消することのできる無線ネットワーク通信システム,発信元の無線端末及び無線通信経路のルーティング方法を提供することにある。
更に,第3の目的とするところは,緊急データ等を伝送する通信経路を優先的に確保することにより迅速なデータ伝送を可能とする無線ネットワーク通信システム,発信元の無線端末及び無線通信経路のルーティング方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおいて,
上記複数の無線端末それぞれは,該無線端末に直接的に無線接続される他の全ての無線端末との間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得する通信能力情報取得手段と,上記通信能力情報取得手段により取得された上記通信能力に関する情報に基づいて,上記直接無線通信の性能に関する通信評価値を算出する中継側通信評価値算出手段と,上記中継側通信評価値算出手段により算出された上記通信評価値を上記発信元の無線端末に送信する通信評価値送信手段と,を備え,
上記発信元の無線端末は,上記通信評価値送信手段により送信された上記通信評価値を受信する通信評価値受信手段と,上記着信先の無線端末との間で想定される複数の経路について,上記通信評価値受信手段によって受信された上記通信評価値の合計値が高い順に,該経路を構成する上記無線端末間全ての上記通信評価値と上記発信するデータの種類に応じて予め定められた最低限の通信品質を得るための通信評価閾値とを比較する通信評価値比較手段と,上記通信評価値比較手段により初めに上記通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断された経路を上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路として決定する第2の通信経路決定手段と,を備えてなることを特徴とする無線ネットワーク通信システムとして構成されている(請求項1)。
これにより,仮にテキストデータ等のデータを効率よく伝送し得る通信経路であっても,動画等のデータを高品質に伝送することができない場合は,より通信品質の高い他の通信経路が上記動画等のデータの通信経路に決定されるため,伝送されたデータの途切れや符号誤りの発生を効果的に防止することが可能となる。
なお,上記通信評価閾値は,上記発信元の無線端末内の記憶媒体(記憶手段)等に格納されており,この記憶媒体内の通信評価閾値はユーザが所望する値に設定可能であることが望ましい。
ところで,緊急データ等が常に優先されて無線通信経路が決定されると,既存(既定)の無線通信経路を構成する中継端末が上記緊急データを伝送するために強制的に開放されることになる。しかし,上記中継端末が開放されるとなると,上記中継端末の利用者,或いは上記既定の無線通信経路にデータを発信した発信元の端末装置の利用者の利便性が失われる場合が生じ得る。そのため,上記複数の無線端末それぞれは,上記無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかを設定する割込中継許可設定手段と,上記割込中継許可設定手段による設定状態を上記発信元の端末装置に送信する設定状態送信手段と,を更に備え,上記発信元の無線端末は,上記設定状態送信手段により送信された上記設定状態を受信する設定状態受信手段と,を更に備えて構成される無線ネットワーク通信システムであって,上記第2の通信経路決定手段は,上記設定状態受信手段により受信された上記設定状態に応じて,上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定するものであれば(請求項2),上記利用者の利便性が失われることなく,より利用価値の高い無線ネットワーク通信システムを実現することができる。具体的には,緊急を要する緊急データ等を伝送する場合は,仮に既存(既定)の他の無線通信経路を構成するものとして使用されている無線端末(中継端末)であっても,上記緊急データを最短時間で伝送する経路に用いられるものであれば,上記使用中の中継端末を開放して,上記緊急データを中継する無線端末に用いることができる。これにより,上記緊急データを優先的に伝送することが可能となる。
ここで,上記通信能力情報取得手段としては,例えば,上記発信元の無線端末により上記無線ネットワーク内の複数の無線端末に対し送信された無線接続要求信号を上記複数の無線端末が受信した後に,上記通信能力に関する情報を取得するものであることが考えられる(請求項3)。これにより,上記発信元の無線端末では,常に最新の情報に基づいて通信評価値が算出され,この通信評価値に基づいて無線通信経路が決定されるため,データ伝送中に通信経路が切断されるという不安要素を軽減させることができる。
また,上記通信能力情報取得手段は,上記複数の無線端末で予め定められた無線通信条件を満たす他の無線端末との間で行われる上記直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得するものであることが好ましい(請求項4)。ここに,上記無線通信条件としては,例えば,他の無線端末との離間距離が所定の距離以内であるか,又は,他の無線端末までの中継回数(ホップ回数)が所定の回数以内であるか,又は,受信した無線電波の電界強度値が所定の値以上であるか,又は,通信速度が所定の速度以上であるか等が考えられる。一般に,このような無線通信条件を満たさない無線端末と直接に無線通信することは希であるため,言い換えれば,上記無線通信条件を満たす無線端末間(例えば隣接する無線端末間)でのみ頻繁に無線通信が行われると想定されるため,上記無線通信条件を満たす他の無線端末との間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得し,取得された情報に基づいて上記無線通信条件を満たす無線端末との間の通信評価値を算出すれば足りると考えられる。これにより,上記無線通信条件を満たさない無線端末との通信評価値を算出する処理の負担が軽減され,かかる処理に費やされる時間が短縮される。
また,上記中継側通信評価値算出手段若しくは上記発信側通信評価値算出手段は,上記通信能力情報取得手段により定期的に取得された上記通信能力に関する情報に基づいて,定期的に上記通信評価値を算出するものであってもよい(請求項5)。この場合,上記定期的に算出された通信評価値を記憶する記憶手段が上記発信元の端末装置に備えられていることが望ましい。これにより,発信元の無線端末はデータを発信する際に,直ちに上記通信評価値に基づいて無線通信経路を決定して,データを発信することができるので,データ発信指示がなされてから実際にデータが発信されるまでの処理時間が大幅に短縮される。
また,上記通信評価値送信手段は,上記発信元の無線端末により送信された上記無線接続要求信号を上記複数の無線端末が受信した後に,上記受信した無線接続要求信号の応答信号と共に上記通信評価値を上記発信元の無線端末に送信するものであることが望ましい(請求項6)。
更に,上記直接無線通信の通信能力としては,無線端末間の無線通信速度,無線電波の受信電界強度,上記無線端末の残存電力量,或いは上記無線端末の位置情報等が考えられる(請求項7)。
また,本発明は,複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおいて,
上記複数の無線端末それぞれは,上記無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかを設定する割込中継許可設定手段と,上記割込中継許可設定手段による設定状態を上記発信元の端末装置に送信する設定状態送信手段と,を備え,
上記発信元の無線端末それぞれは,上記設定状態送信手段により送信された上記設定状態を受信する設定状態受信手段と,上記発信するデータの種類及び上記設定状態受信手段により受信された上記設定状態に応じて,該発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する第2の通信経路決定手段と,を備えてなり,
上記第2の通信経路決定手段が,上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する際に,上記発信するデータの種類に応じて選択された無線通信経路に既定の無線通信経路を構成する上記無線端末が含まれているとき,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも高く,且つ該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可することを示すものである場合には,該無線通信経路を上記データが伝送される無線通信経路として決定し,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも低い場合,或いは該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可しないことを示すものである場合には,該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであると共に,上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送されている上記既定の無線通信経路を構成する無線端末が該既定の無線通信経路で伝送される所定のデータよりも優先度の高いデータを伝送する無線通信経路を構成することとなった場合には,該既定の無線通信経路に換えて該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択してなることを特徴とする無線ネットワーク通信システムとして構成される(請求項8)。
また,上記発信元の無線端末が,上記第2の通信経路決定手段により決定された無線通信経路を記憶する通信経路記憶手段と,上記通信経路記憶手段に記憶された上記無線通信経路に基づいて上記データを発信するデータ発信手段と,を更に備えてなる無線ネットワーク通信システムとして構成されることにより(請求項9),上記通信経路記憶手段に記憶された無線通信経路によるデータの伝送が実現される。この場合,上記通信経路記憶手段は,複数の無線通信経路を上記通信評価値の合計値に応じた順序にソートして記憶するものであることが好ましく,また,上記データ発信手段は,例えば上記通信評価値の合計値の高い経路順にデータを発信するものであることが好ましい。
また,本発明は,上記自立分散型の無線ネットワークを構成する無線端末であって,データを発信する発信元の無線端末として捉えることもできる。
即ち,複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムにおいてデータを発信する発信元の無線端末であって,直接的に或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより上記無線ネットワークを介して無線通信を行う上記発信元の無線端末において,
上記複数の無線端末それぞれにおいて該無線端末に直接的に無線接続される他の全ての無線端末との間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報に基づいて算出された上記直接無線通信の性能に関する通信評価値を,上記複数の無線端末それぞれから受信する通信評価値受信手段と,
上記着信先の無線端末との間で想定される複数の経路について,上記通信評価値受信手段によって受信された上記通信評価値の合計値が高い順に,該経路を構成する上記無線端末間全ての上記通信評価値と上記発信するデータの種類に応じて予め定められた最低限の通信品質を得るための通信評価閾値とを比較する通信評価値比較手段と,
上記通信評価値比較手段により初めに上記通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断された経路を上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路として決定する第2の通信経路決定手段と,
を備えてなることを特徴とする発信元の無線端末として構成される(請求項10)。
また,本発明は,複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムにおいてデータを発信する発信元の無線端末であって,直接的に或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより上記無線ネットワークを介して無線通信を行う上記発信元の無線端末において,
上記複数の無線端末それぞれについて,該無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかの設定状態を,上記複数の無線端末それぞれから受信する設定状態受信手段と,
上記発信するデータの種類及び上記設定状態受信手段により受信された上記設定状態に応じて,該発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する第2の通信経路決定手段と,を備えてなり,
上記第2の通信経路決定手段が,
上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する際に,上記発信するデータの種類に応じて選択された無線通信経路に既定の無線通信経路を構成する上記無線端末が含まれているとき,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも高く,且つ該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可することを示すものである場合には,該無線通信経路を上記データが伝送される無線通信経路として決定し,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも低い場合,或いは該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可しないことを示すものである場合には,該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであると共に,
上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送されている上記既定の無線通信経路を構成する無線端末が該既定の無線通信経路で伝送される所定のデータよりも優先度の高いデータを伝送する無線通信経路を構成することとなった場合には,該既定の無線通信経路に換えて該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択してなることを特徴とする発信元の無線端末として捉えることも可能である(請求項11)。このように構成された発信元の無線端末であっても,前記課題を解決し得る。
また,本発明は,上記無線ネットワーク通信システムが具備する各手段に相当する処理を行う無線通信経路ルーティング方法として捉えたものであってもよい。
即ち,複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおける無線通信経路のルーティング方法において,
上記無線端末に直接的に無線接続される他の全ての無線端末との間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得する通信能力情報取得ステップと,
上記通信能力情報取得ステップにより取得された上記通信能力に関する情報に基づいて,上記直接無線通信の性能に関する通信評価値を算出する通信評価値算出ステップと,
上記着信先の無線端末との間で想定される複数の経路について,上記通信評価値算出ステップにより算出された上記通信評価値の合計値が高い順に,該経路を構成する上記無線端末間全ての上記通信評価値と上記発信するデータの種類に応じて予め定められた最低限の通信品質を得るための通信評価閾値とを比較する通信評価値比較ステップと,
上記通信評価値比較ステップにより初めに上記通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断された経路を上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路として決定する第2の通信経路決定ステップと,
を具備してなることを特徴とする無線通信経路のルーティング方法として捉えることができる(請求項12)。
また,本発明は,複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおける無線通信経路のルーティング方法において,
上記無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかを設定する割込中継許可設定ステップと,
上記発信するデータの種類及び上記割込中継許可設定ステップにより設定された設定状態に応じて,該発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する第2の通信経路決定ステップと,
を具備してなり,
上記第2の通信経路決定ステップが,
上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する際に,上記発信するデータの種類に応じて選択された無線通信経路に既定の無線通信経路を構成する上記無線端末が含まれているとき,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも高く,且つ該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可することを示すものである場合には,該無線通信経路を上記データが伝送される無線通信経路として決定し,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも低い場合,或いは該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可しないことを示すものである場合には,該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであると共に,
上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送されている上記既定の無線通信経路を構成する無線端末が該既定の無線通信経路で伝送される所定のデータよりも優先度の高いデータを伝送する無線通信経路を構成することとなった場合には,該既定の無線通信経路に換えて該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであることを特徴とする無線通信経路のルーティング方法として捉えることもできる(請求項13)。
以上説明したように,本発明によれば,仮にテキストデータ等のデータを効率よく伝送し得る通信経路であっても,動画等のデータを高品質に伝送することができない場合は,より通信品質の高い他の通信経路が上記動画等のデータの通信経路に決定されるため,伝送された動画データ等を再生した際の途切れやデータの符号誤り等の発生を効果的に防止することが可能となる。また,緊急を要する緊急データ等を伝送する場合は,仮に既存の他の無線通信経路を構成するものとして使用されている無線端末(中継端末)であっても,上記緊急データを最短時間で効率よく伝送する経路に用いられるものであれば,上記使用中の中継端末を開放して,上記緊急データを中継する無線端末に用いることができる。これにより,上記緊急データを優先的に伝送することが可能となる。
また,上記中継端末等の複数の無線端末から送信された割込中継許可等の設定状態に応じて,上記発信元の端末装置と上記着信先の端末装置との間でデータが伝送される無線通信経路が決定されるため,緊急データ等が常に優先されて無線通信経路が決定されることによって,上記中継端末の利用者,或いは発信元の端末装置の利用者等の意思に反して中継端末が強制的に開放されることがなくなり,上記利用者の利便性が失われることなく,より利用価値の高い無線ネットワーク通信システムを実現することができる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。なお,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
《第1の実施の形態》
まず,図1〜図7を用いて,本発明の第1の実施の形態について説明する。ここに,図1は本発明の第1の実施の形態に係るルーティング方法により決定された無線通信経路Raを示すアドホックネットワークX1の模式接続図,図2はノード間の通信評価値に基づき決定される無線通信経路のトポロジー情報を示すテーブル図,図3は発信元のノードで実行されるルーティング処理(第1の通信経路決定処理を含む)の手順の一例を説明するフローチャート,図4は全ノードで実行される通信評価値算出処理の手順の一例を説明するフローチャート,図5は従来のルーティング方法により決定された無線通信経路を示すアドホックネットワークXの模式接続図,図6はノード間の物理的距離に基づき決定される無線通信経路のトポロジー情報を示すテーブル図,図7は各ノード間の物理的直線距離を示すテーブル図である。
ここで,図1の模式接続図を用いて,本発明の第1の実施の形態に係る無線ネットワーク通信システムについて説明する。ここに,図1のX1はノードn1〜n8(複数の無線端末に相当)が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成されるアドホックネットワーク(自立分散型の無線ネットワークの一例。以下,「ネットワーク」と略す。)である。なお,このネットワークX1では,本第1の実施の形態例の説明を簡便にするため,ノードn1〜n6とノードn8との間に建築物等の障害物10(通信阻害要因)が介在しており,この障害物10の影響を受けて上記ノードn1〜n6とノードn8とは直接通信することは可能であるが十分な通信品質が得られない通信環境にあるものとする。また,ノードn7とノードn8との間,及び,ノードn1〜n7の相互間には,通信を阻害する障害物等が存在せず,良好な通信品質が得られる通信環境にあるものとする。
本発明に係る無線ネットワーク通信システムは,上記ネットワークX1を構成する上記各ノードが所定のルーティングプロトコルに従った処理を行うことにより,パケット等のデータを発信する発信元の無線端末(例えばノードn4とする。以下の説明においても同様。)が直接的に,或いは,一以上の他の無線端末を中継して間接的にデータの着信先の無線端末(例えばノードn8。以下の説明においても同様。)と無線接続して無線通信を行うシステムとして構成される。このようにシステム構成されることにより,例えば,上記ノードn4が該ノードn4に隣接するノードn2,n3,n6と直接的に無線接続されることにより,或いは,上記ノードn2,n3,n6を中継して間接的にノードn1,n5,n7,n8と無線接続されることにより,上記ノードn4と上記各ノードとの間におけるデータ通信が実現される。
上記ノードn1〜n8は上記ネットワークX1を構成する無線端末の一例であって,例えば,携帯して移動可能なノート型パソコン,PDA,携帯電話等のモバイル端末である。これらのノードは通信制御プロセッサ(CCP:Communication Control Processing),メモリ,無線アンテナ等を有する周知の無線通信機器を備えて構成されている。なお,上記ノードの各構成要素については従来周知であるためここでは詳細な説明を省略する。
上記各ノードは,上記ネットワークX1内を伝送するデータの通信経路を決定(又は選択)するためのルーティング機能を有する。即ち,上記通信制御プロセッサによって所定のルーティングプロトコルに従った後述のルーティング処理が実行されることにより,上記データを伝送する無線通信経路が決定される。
また,上記各ノードが備える上記メモリには,上記ルーティングプロトコルに従って構成されたルーティングプログラムが格納されている。このルーティングプログラムが上記各ノードの通信制御プロセッサによって実行されることにより,上記ルーティング機能が実現される。かかるルーティング機能により実行されるルーティング処理については,後段においてフローチャートを用いて説明する。
また,上記メモリには,上記各ノードから他のノードへデータを伝送する無線通信経路を示すトポロジーテーブルが格納されている。即ち,上記各ノードのメモリには,当該各ノードを発信元とした場合の他のノードまでの無線通信経路を示すトポロジーテーブルが記憶されている。例えば,データの発信元をノードn4としたときのトポロジーテーブルが図2に示すトポロジーテーブル20であり,このトポロジーテーブル20は上記ノードn4のメモリに記憶されている。従って,上記ノードn4から発信されたデータは,上記トポロジーテーブル20により特定された無線通信経路に従って,該無線通信経路を構成するノードにより中継されて所定の着信先ノードへ伝送される。
ここで,図3及び図4のフローチャートを用いて,上記ネットワークX1に用いられる本無線ネットワーク通信システムを構成する各ノードの通信制御プロセッサにより実行されるルーティング処理の手順の一例について説明する。ただし,以下の説明では,処理の説明を簡易にするために,データの発信元をノードn4,上記ノードn4から発信されたデータの最終着信先をノードn8とした場合のデータの無線通信経路のルーティング処理について説明するが,本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。なお,上記ネットワークX1は,上述したようにノードn1〜n6と上記ノードn8との通信を阻害する障害物10が介在しているものとする。ここに,図3はデータ発信元のノードn4で実行されるルーティング処理(第1の通信経路決定処理を含む)の手順の一例を説明するフローチャート,図4はネットワークX1を構成する全てのノードで実行される通信評価値算出処理の手順の一例を説明するフローチャートである。図中のS10,S20,…は処理手順(ステップ)番号を示す。上記ルーティング処理はステップS10より開始され,上記通信評価値算出処理はステップS110より開始される。
まず,図3のフローチャートを用いて上記ノードn4で実行されるルーティング処理の手順について説明する。上記ノードn4において,上記ノードn8を着信先に指定してデータを送信する指示がなされると,図1に示すネットワークX1内に存在する全てのノードに対して無線接続要求信号が送信(ブロードキャスト)される(図3のS10)。なお,この場合,上記無線接続要求信号を受信したノードにおいて,伝送されるデータやデータ発信元が認識され得るよう,上記ノードn4から発信されるデータの種類情報や発信元のノードがノードn4であることを示す情報等を上記無線接続要求信号に添付(付加)して送信することが望ましい。上記無線接続要求信号が送信された後,上記ノードn4は,上記無線接続要求信号を受信したノードから送信される後述の通信評価値(を示すデータ)を待ち受ける受信待機状態となる。
続いて,図4のフローチャートを用いて上記無線接続要求信号を受信した全ノードで実行される通信評価値算出処理の手順について説明する。上記ノードn4から送信された無線接続要求信号が,上記ネットワークX1内の各ノードで受信されると(図3のS110),その後,上記各ノードでは,以下に説明するステップS120〜S140の手順に従って,上記各ノードと直接的に無線接続される全てのノードとの間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得する処理(通信能力情報取得処理)が行われる。
まず,ステップS120において,ネットワークX1内の全ノードに対してテスト信号が送信(ブロードキャスト)される(S120)。このとき,上記通信能力に関する情報の一例である上記テスト信号の送信側のノードのバッテリー残量(残存電力量)や無線通信速度等に関するデータが,上記テスト信号と共に或いは上記テスト信号に添付されて送信される。
上記テスト信号が上記各ノードで受信されると(S130),上記テスト信号を受信した側のノードでは,その受信時の受信電界強度(通信能力に関する情報に相当)が測定される(S140)。例えば,ノードn2〜n8から送信されたテスト信号を受信したノードn1では,上記テスト信号を受信すると同時に,上記ノードn1と上記ノードn2〜n8それぞれとの間における上記テスト信号の受信電波の強度が測定される(S140)。このとき,ノードn1では,上記受信したテスト信号と共に送信されてきた上記ノードn2〜n8のバッテリー残量,無線通信速度等に関するデータが受信(取得)される。なお,他のノードそれぞれにおいても同様に上記テスト信号の受信電波の強度が測定され,上記バッテリー残量,無線通信速度等に関するデータが受信される。
その後,上記ステップS140で測定された受信電界強度,及び,上記テスト信号を受信した際に取得されたバッテリー残量,無線通信速等の通信能力に関する情報に基づいて,上記各ノードと直接的に無線通信される他の全てのノードとの間で行われる直接無線通信の性能に関する通信評価値を算出する通信評価値処理がステップS150で実行される。即ち,上記ネットワークX1内の全ノード間において総当たり的に上記通信評価値が算出される。この通信評価値は,具体的には,以下の式(1)に基づいて算出される。
即ち,ノードnx及びノードny間のいずれか遅い方の通信速度B(x−y),ノードnx及びノードny間のバッテリー残量の加重平均値をV(x−y),ノードnx及びノードny間の受信電界強度値の加重平均値をE(x−y)とすると,ノードnx及びノードny間の通信評価値D(x−y)は,以下の式(1)で表すことができる。
D(x−y)=α×B(x−y)+β×V(x−y)+γE(x−y)……(1)
ここに,上式(1)中のα,β,γはそれぞれ通信速度,バッテリー残量,受信電界強度値の予め定められた重み計数を表す。また,上記ノードnx及びノードnyは,ネットワークX1内の任意の2つのノードを示す。なお,上記遅い方の通信速度Bを算出要素とした理由は,各ノードで通信速度に差がある場合は,いずれか遅い方の通信速度でしか通信することができないためであるが,特にこれに限定されることはない。例えば,上式(1)中のB(x−y)として,ノードnxからノードnyへの通信速度とノードnyからノードnxへの通信速度との加重通信速度を用いてもかまわない。また,上記ノードに該ノード自身或いは他のノードの位置情報を取得するGPS等の位置情報取得手段が設けられている場合は,通信評価値D(x−y)を算出する要素として上記GPSにより取得された位置情報を用いることが望ましい。なお,上式(1)は上記通信評価値を算出する算出式の一例であり,特にこれに限定されることはない。
上記各ノードにおいて上記通信評価値が算出されると,続いて,ステップS160において,上記算出された通信評価値(を示すデータ)がデータ発信元のノードn4に送信される(通信評価値送信処理)。このとき,上記通信評価値の送信処理方法としては,上記発信元のノードn2から送信された上記無線接続要求信号に対する応答信号と共に上記通信評価値を送信することが考えられる。
なお,本第1の実施の形態例では,上記各ノードにおいて上記通信評価値を算出するものとして説明するが,例えば,上記ステップS130において各ノードで受信されたバッテリー残量,無線通信速度等に関するデータや,ステップS140で測定された受信電界強度等を上記発信元のノードn4に送信し,上記ノードn4で各ノード間の上記通信評価値を算出する実施例であっても,データの通信効率を向上させる無線通信経路を決定することが可能である。
続いて,再び,図3のフローチャートを用いて上記ノードn4で実行されるルーティング処理の手順について説明する。ステップS20では,上記ステップS160で各ノードから送信された上記通信評価値が発信元のノードn4の無線アンテナ等を介して受信されたかどかが判断される(通信評価値受信処理)。ここで,上記通信評価値を受信したと判断されると,続いて,ステップS30において,受信した通信評価値に基づいて,発信元のノードと,データ着信先のノードとの間で上記発信元のノードから発信されたデータが伝送される無線通信経路が決定される(第1の通信経路決定処理)。具体的には,受信した上記通信評価値に基づいて,発信元のノードn4と着信先のノードn8との間で想定される複数の経路,例えば,「n4→n3→n8」,「n4→n3→n7→n8」,「n4→n6→n7→n8」等の複数の経路がまず求められ,この複数の経路の中から上記通信評価値の合計値が最も高い経路Ra「n4→n6→n7→n8」(図1参照)がデータを伝送する無線通信経路として決定される。なお,ここで決定される無線通信経路とは,上記データを中継すると共に,該データを着信先のノードへ転送する一以上の中継ノード(中継無線端末に相当)が互いに無線接続することにより構成されるデータ通信経路のことをいう。
従来のルーティング処理では,単純にノード間の物理的距離のみに基づいてデータの通信経路が決定(又は選択)されていたため,例えば,上記ノードn4とノードn8との間の無線通信経路としては,経路長が最短となる経路Rb[n4→n3→n8](図8参照)が決定(又は選択)されていたが,本発明のルーティング処理によれば,ノード間の通信能力を考慮して算出された上記通信評価値に基づいて,通信評価値の合計値が最も高い通信経路が決定されるため,上記ノードn4とノードn8との間の無線通信経路としては,前記障害物10の影響により通信品質(通信速度,受信電界強度等)が低下した経路[n3→n8]と[n6→n8]を回避して,上記経路Rb[n4→n3→n8]よりも経路長は長くなるが,総合的に通信品質の高い経路,即ち,上記障害物10の影響を受けない図1に示される経路Ra[n4→n6→n7→n8]がデータ伝送経路として決定される。
上記ステップS30において無線通信経路が決定されると,その後,上記発信元のノードn4のメモリに格納されたトポロジーテーブル20の着信先ノードn8までの無線通信経路を示す情報(以下,経路接続情報,又はトポロジー情報という)が,図2に示される上記経路Ra[n4→n6→n7→n8]を示す経路接続情報21に更新(又は記憶)される(S40)。このように,経路接続情報21に更新された上記トポロジーテーブル20が記憶される上記ノードn4内のメモリが通信経路記憶手段に相当する。なお,上記ステップS30の第1の通信経路決定処理は,上記ノードn4から上記着信先のノードn8までの無線通信経路Ra(図1参照)を決定するのみならず,上記ノードn8以外の他のノード(n1〜3,n5〜7)までの無線通信経路を決定し,上記他のノードまでの経路接続情報22(図2参照)を上記経路接続情報21の更新時と同時に更新(又は記憶)して,上記トポロジーテーブル20全体を更新することが望ましい。このように,上記他のノードまでの経路接続情報22(図2参照)も上記経路接続情報21の更新時と同時に更新しておくことで,例えば,ノードn4から発信されたデータをノードn8に伝送した後,すぐにノードn4から上記ノードn8以外の他のノードにデータを伝送する必要が生じた場合は,トポロジーテーブル20の信頼性はまだ高いと考えられるため,上述したように更新されたトポロジーテーブル20に示される無線通信経路に従ってデータを発信することにより,上記第1の通信経路決定処理(S30)に費やされる処理時間を短縮すると共に,処理負担を軽減することができる。
上記ステップS40で上記トポロジーテーブル20が更新されると,その後,着信先ノードn8までの経路[n4→n6→n7→n8]を表す経路接続情報(トポロジー情報)21が添付されたデータが,上記ノードn4から発信される。これにより,まず,上記ノードn4から発信されたデータが,上記経路[n4→n6→n7→n8]に基づいて次ノードのノードn6に送信される。上記経路接続情報21が添付されたデータを受信した中継ノードn6では,上記データを受信すると,上記データに添付された経路接続情報21が参照されて,次にデータを転送するノードn7が選択され,その後,選択されたノードn7に上記データを転送する処理が行われる。また,同様にして,上記経路接続情報21が添付されたデータを受信した中継ノードn7では,上記データを受信した後に,上記経路接続情報21を参照して選択された次のノードn8に上記データを転送する処理が行われる。
このようにして上記ノードn4から発信されたデータが上記着信先のノードn8に着信されると,上記ノードn8から上記データが伝送された経路とは逆の経路[n8→n7→n6→n4]に従って着信応答信号が送信される。データ発信元のノードn4では,上記ノードn8から送信された着信応答信号を検知すると,データの伝送が完了したと判断され,一連の処理が終了する。なお,上述の説明では,発信元のノードn4自身が上記通信評価値を算出する処理については特に述べていないが,例えば,ノードn4からブロードキャストされる無線接続要求信号をノードn4自身が受信することによって,図4の通信評価値算出処理の手順によりノードn4と他のノード間の通信評価値を算出することができる。また,上記無線接続要求信号をブロードキャストした後に,上記ステップS120〜S150の処理を行うことにより上記通信評価値を算出する処理例も考えられる。
このように,ノード間の物理的距離だけではなく,ノード間で直接的に行われる直接無線通信の性能に関する通信評価値に基づいてデータを伝送する無線通信経路が決定されるため,ノード間に障害物が介在する場合でも,上記障害物を回避する無線通信経路,即ち,通信評価値の高い,通信品質の高い無線通信経路が決定される。これにより,伝送効率が良く,通信時間が最も短い通信経路が選択され,その結果,通信効率が向上される。また,従来のように,障害のあるノード間でデータ通信を行う必要がないため,大量の通信電力を消費することがなくなり,消費電力の削減が達成され,更に,各無線端末どうしの電力消費量の不均衡が解消され得る。なお,図3及び図4のフローチャートで説明した処理が実行される手順が本発明の第1の実施の形態の一例である無線通信経路のルーティング方法である。
《第2の実施の形態》
ここでは,図8及び図9を用いて,本発明の第2の実施の形態について説明する。ここに,図8は第2の実施の形態に係るルーティング方法により決定された無線通信経路の一例を示すアドホックネットワークX2の模式接続図,図9は発信元のノードで実行される第2の通信経路決定処理の手順の一例を説明するフローチャートである。なお,以下の説明では,前述の第1の実施の形態における構成要素と同じ構成要素については,同符号を付すことにより上記構成要素の説明を省略する。
ここで,図8の模式接続図を用いて,本発明の第2の実施の形態に係る無線ネットワーク通信システムについて説明する。ここに,図8のX2はノードn1〜n12(複数の無線端末に相当)が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成されるアドホックネットワークである。このネットワークX2の構成と前述した第1の実施の形態におけるネットワークX1の構成との相違点は,ネットワークを構成するノード数が異なる点であり,ネットワーク形態に関しては大きな違いはない。従って,この第2の実施の形態に係る無線ネットワーク通信システムにおいても,前述の第1の実施の形態のシステムと同様に,上記ネットワークX2を構成する上記各ノードが所定のルーティングプロトコルに従った処理を行うことにより,データを発信する発信元の無線端末(例えばノードn4)が直接的に,或いは,一以上の他の無線端末を中継して間接的にデータの着信先の無線端末(例えばノードn11)と無線接続して無線通信を行うシステムとして構成されている。なお,上記ネットワークX2では,本第2の実施の形態例の説明を簡便にするため,ノードn5とn11との間は障害物11(通信阻害要因)が介在することによって,その通信品質が他のノード間よりも若干劣っており,それほど高い通信品質が要求されないデータ(テキストデータ等)を伝送するには十分であるが,比較的高い通信品質が要求されるデータ(音楽或いは動画データや緊急を要する緊急データ等)を伝送するには不十分な程度の通信環境にあるものとする。また,上記ノードn5とn11との間を除く他のノード間は,通信阻害要因等が存在せず,良好な通信品質が得られる通信環境にあるものとする。
ここで,図9のフローチャートを用いて,上記ネットワークX2に用いられる本無線ネットワーク通信システムを構成する各ノードの通信制御プロセッサにより実行されるルーティング処理(第2の通信経路決定処理を含む)の手順の一例について説明する。ただし,以下の説明では,処理の説明を簡易にするために,データの発信元をノードn4,上記ノードn4から発信されたデータの最終着信先をノードn11とし,上記ノードn4から発信された動画データを伝送する無線通信経路のルーティング処理について説明するが,本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
なお,上記ネットワークX2は,上述したようにノードn5とn11との間にノードn5及びn11間の通信を阻害する上述の障害物11が介在しているものとする。また,前述の第1の実施の形態で図3を用いて説明した手順と同様の手順については詳細な説明を省略する。ここに,図9は発信元のノードn4で実行されるルーティング処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
上記ノードn4において,上記ノードn11を着信先に指定してデータを送信する指示がなされると,図8に示すネットワークX2内に存在する全てのノードに対して無線接続要求信号が送信(ブロードキャスト)され(S10),その後,上記無線接続要求信号を受信したノードから送信される通信評価値(図4の通信評価値算出処理により算出されたデータであって,具体的には式(1)に基づいて算出されたデータ)を待ち受ける受信待機状態となる。続いて,ステップS20では,図4のステップS160で各ノードから送信された上記通信評価値を受信したかどうかが判断される(通信評価値受信処理)。
上記ステップS20において上記通信評価値を受信したと判断されると,続いて,発信元のノードn4と着信先のノードn11との間で想定される複数の経路,例えば,経路R1「n4→n3→n5→n11」,R2「n4→n3→n6→n10→n11」,R3「n4→n6→n10→n11」等の複数の経路が定められ,その後,この定められた複数の経路R1,R2,R3が上記通信評価値の合計値の高い順にソートされて,発信元のノードn4のメモリ等の記憶媒体に記憶される(S21)。本第2の実施の形態例では,通信評価値の合計値の高い順に上記3つの経路R1,R2,R3が上記記憶媒体に記憶されるものとして説明するが,特にこれに限られるものではない。
そして,次のステップS22では,まず,上記記憶媒体から上記通信評価値の合計値がk番目に高いRkが抽出される。即ち,現時点では,最も通信評価値の合計値が高い経路R1(k=1)が抽出される。その後,ステップS23において,上記ステップS22で抽出された経路R1を構成する各ノード間全ての上記ステップS20で受信された通信評価値と,上記ノードn4から発信されるデータの種類に応じて予め定められた通信評価閾値とを比較する処理(通信評価値比較処理)が実行される。なお,上記通信評価閾値は,伝送されるデータに要求される最低限の通信品質(通信性能)を示す通信評価値を閾値としたものである。このような通信評価閾値は,発信元となるノード内のメモリ等の記憶媒体に予めデータの種類毎に記憶されており,上記ステップS23では,伝送する動画データに対応する通信評価閾値が上記記憶媒体から読み出され,この読み出された通信評価閾値と上記ステップS20において受信された通信評価値とが比較される。
ここで,上記通信評価値比較処理により,上記ステップS20で受信したノード間の通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断されると(S23のYes側),この判断結果に基づいて処理はステップS30に進み,上記経路R1「n4→n3→n5→n11」(図8参照)が上記ノードn4とn11との間でデータが伝送される無線通信経路として決定され,その後,前述したステップS40〜S70の処理(図3参照)が行われた後,一連のルーティング処理が終了する。また,上記ステップS23において,受信したノード間の通信評価値の少なくとも1つ以上が上記通信評価閾値未満であると判断されると(S23のNo側),処理はステップS27に進む。
ステップS27では,上記ステップS22で抽出された経路Rkが上記記憶媒体に記憶された複数の経路のうち,ソートにより最も降順に順位付けされたいわゆる上記通信評価値の合計値が最も低い経路Rnであるかどうかが判断される。ここで抽出された経路RkがRnであると判断され,即ち,データを伝送し得る経路がないと判断されると,発信元のノードn4にデータの通信が不可能である旨等の通知が出力され(S29),その後,データの通信経路が決定されずに,ルーティング処理が終了する。一方,上記ステップS27で,経路RkがRnではない,即ち,経路Rkよりも次順に通信評価値の合計値の低い経路Rk+1が上記記憶媒体に記憶されていると判断されると,続いてステップS28において,ステップS22で抽出する経路が経路Rkから経路Rk+1にインクリメントされた後(S28),処理はステップS22に戻る。その後,ステップS22から上述した処理が繰り返し実行される。
本第2の実施の形態例では,上記ステップS22で抽出された,最も通信評価値の合計値が高い経路R1「n4→n3→n5→n11」を構成するノードn5とn11との間は,通信阻害要因となる障害物11が介在しているため,比較的高い通信品質が要求される動画データを伝送するには不十分な程度の通信環境にある。即ち,ノードn5とn11との間の通信評価値は伝送するべき動画データに対応する通信評価閾値よりも低い。そのため,上記ステップS23における判断により,処理は上記ステップS27から上記ステップS28へと進み,その後,再度,上記ステップS22からの処理が繰り返し実行される。
このようにステップS22,S23,S27,S28の処理が繰り返し行われることにより,発信元のノードn4から発信されるデータ(本例では動画データ)の種類に応じて,上記ノードn4と着信先のノードn11との間で上記データが伝送される無線通信経路が決定されるため,通信評価値の合計値は最も高いが,或るノード間(本例ではノードn5とn11との間)の通信評価値が低いため,伝送するデータによっては伝送することができないノード間経路を有する経路R1はデータを伝送する無線通信経路として決定されずに,通信評価値の合計値は上記経路R1よりも低いが,すべてのノード間において動画データを伝送し得る経路R2或いはR3がデータを伝送する無線通信経路として決定されるため,比較的高い通信品質が要求される音楽や動画等のデータを,データの途切れや符号誤り等の不具合を生じさせない通信環境で伝送することが可能となる。なお,図9のフローチャートで説明した処理が実行される手順が本発明の第2の実施の形態の一例である無線通信経路のルーティング方法である。
上述の第2の実施の形態例では,発信元のノードn4のメモリ等の記憶媒体に,通信評価値の合計値が高い順にソートされて記憶された複数の経路から,通信評価値の合計値の高い経路が順次抽出されて,動画データを伝送し得るのに最適な無線通信経路を決定する処理例について説明してきた。この場合,例えば,上記ステップS23において,或るノード間(本例ではノードn5とn11との間)の通信評価値が上記通信評価閾値未満であると判断された場合は,上記ノードn5とn11と間を経路の一部に含む通信経路を上記記憶媒体から削除することが望ましい。これにより,例えば,経路R1とは異なる他の経路「n4→n6→n5→n11」に対してステップS22→S23→S27→S28→S22の無駄なループ処理を行う必要がなくなり,ルーティング処理に費やされる処理時間を大幅に短縮させることが可能となる。
《第3の実施の形態》
次に,図10〜図12を用いて,本発明の第3の実施の形態について説明する。ここに,図10は既定の無線通信経路Rcを示すアドホックネットワークX2の模式接続図,図11は本発明の第3の実施の形態に係るルーティング方法により決定された無線通信経路の一例を示すアドホックネットワークX2の模式接続図,図12は発信元のノードで実行される第2の通信経路決定処理の手順の他の例を説明するフローチャート,図13は全ノードで実行される通信評価値算出処理の手順の他の例を説明するフローチャートである。なお,以下の説明では,前述した第1及び第2の実施の形態と同じ構成要素,同じ処理手順には同じ符号,同じステップ番号を付してその説明を省略する。
図10に示すように,ネットワークX2には,発信元のノードn4から発信される動画データを伝送する無線通信経路が確保される前に,他のノードn2からノードn12に向けて所定のデータを伝送する既定の無線通信経路Rc「n2→n3→n6→n8→n12」がネットワークX2に存在している。この場合は,前述の第1及び第2の実施の形態で説明したルーティング処理では,発信元のノードn4から発信された動画データを着信先のノードに伝送する無線通信経路として,上記経路Rcを構成する各ノード(n2,n3,n6,n8,n12)を含む経路(例えば,図8の経路R1,R2等)が決定(選択)されることはない。即ち,たとえ通信評価値の合計値が高い経路であっても,その経路を構成するノードが既に他の無線通信経路Rcを構成するものとして使用されていた場合は,通信評価値の合計値が低い他の経路を再決定してデータを伝送するか,或いは,上記経路Rcにおけるデータの伝送が完了するまで動画データの伝送を待機させ,その後,通信評価値の合計値の高い経路或いは上記動画データに応じた経路を決定する処理が行われる。しかし,これでは,動画データ等のリアルタイム性を要するデータや,緊急を要する緊急データ等が通信品質の劣る経路で伝送されるためデータの途切れや符号誤りが生じたり,或いは,データの伝送に多大な時間を要するなどの種々の不都合が生じ得る。
本第3の実施の形態例では,上記不都合を解消するべく,上記ネットワークX2を構成する各ノードに,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかを設定する割込中継許可設定手段が設けられている。これにより,例えば,ノードn3,n6が所定のデータを伝送する既定の経路Rcを構成するものとして使用されていても,上記各ノードn3,n6が,上記割込中継許可設定手段により,上記経路Rcで伝送するデータより優先度の高いデータの中継を許可する設定がなされている場合は,後述するルーティング処理が実行されることにより,上記各ノードn3,n6で構成された経路がデータを伝送する無線通信経路として決定され得る。なお,上記割込中継許可設定手段とは,ノードにおける周知の設定機能等により達成されるものであり,ルーティング処理の機能設定において上記割込中継の許可/不許可の設定が行われる。
ここで,図11の模式接続図,図12及び図13のフローチャートを用いて,上記ネットワークX2に用いられる本無線ネットワーク通信システムを構成する各ノードの通信制御プロセッサにより実行されるルーティング処理の手順の他の例について説明する。なお,前述の第1及び第2の実施の形態で説明した処理手順と同様の手順については詳細な説明を省略する。ただし,以下の説明では,処理の説明を簡易にするため,発信元のノードn4から最終着信先のノードn11に向けて発信されるデータをリアルタイム性が要求される動画データとし,図10の経路Rcでは,特に危急性,リアルタイム性が要求されないデータ(テキストデータ等)が伝送されるものとする。また,ノードn3では上記割込中継許可の設定はなされておらず(不許可に設定),上記ノードn6では上記割込中継許可が設定されているものとする。
まず,図12のフローチャートを用いて上記ノードn4で実行されるルーティング処理の手順について説明する。上記ノードn4において,上記ノードn11を着信先に指定してデータを送信する指示がなされると,図10に示すネットワークX2内に存在する全てのノードに対して無線接続要求信号が送信(ブロードキャスト)され(S10),その後,上記無線接続要求信号を受信したノードから送信される通信評価値(図4の通信評価値算出処理により算出されたデータであって,具体的には式(1)に基づいて算出されたデータ)を待ち受ける受信待機状態となる。続いて,ステップS20では,図4のステップS160で各ノードから送信された上記通信評価値を受信したかどうかが判断される(通信評価値受信処理)。
続いて,図13のフローチャートを用いて上記無線接続要求信号を受信した全ノードで実行される通信評価値算出処理の手順について説明する。上記ノードn4から送信された無線接続要求信号を上記ネットワークX2内の各ノードで受信するステップS110から通信評価値を算出するステップS150のまでの処理手順は,前述の図3のフローチャートの処理手順と同様である。
上記ステップS150で上記各ノードにおいて上記通信評価値が算出されると,続いて,ステップS151で,上記各ノードが上記経路Rcを構成するものとして使用されているかどうかが判断される。この判断は,例えば,発信元のノードn2から送られてきた経路接続情報(経路Rcを表す情報)等に基づいて,上記経路接続情報内に自身のノードが含まれているかどうかを検知することにより行われる。ここで,ノードが上記経路Rcに使用されていると判断されると,続いて,ステップS152で,上記経路Rcで使用されているノードであることを示す使用中情報が,上記通信評価値算出処理(S150)により算出された通信評価値に添付される。このとき,上記経路Rcで伝送されるデータの種類を示すデータ種別情報も上記通信評価値に添付されることが望ましい。その後,処理はステップS153に進む。また,上記ステップS151でノードが上記経路Rcに使用されていないと判断されると,処理はステップS160に進み,上記算出された通信評価値(を示すデータ)のみが動画データの発信元のノードn4に送信される(通信評価値送信処理)。
処理がステップS153に進むと,ここでは,上記ステップS151で上記経路Rcに使用中のノードにおいてデータの中継割込の許可設定がなされているかどうか判断され(S153),ここで,上記許可設定がなされていると判断されると,その後,ステップS154で,データの中継割込を許可することを示す割込許可情報(設定状態に相当)が上記算出された通信評価値に添付され,上記したステップS160で,上記使用中情報及び上記割込許可情報が添付された上記通信評価値がノードn4に送信される。また,上記ステップS153で上記許可設定がされていないと判断されると,処理はステップS160に進み,上記使用中情報のみが添付された通信評価値がノードn4に送信される。このように,上記使用中情報及び上記割込許可情報が添付された通信評価値を発信元のノードn4に送信することにより,該通信評価値を受信したノードn4において,以下に説明するステップS24〜26の判断処理が可能となる。
上記ノードn4側では,前述の第2の実施の形態と同様に,図13のステップS160で送信された通信評価値を受信したかどうかを判断するステップS20からステップS23の通信評価値比較処理が実行される。上記ステップS23の上記通信評価値比較処理により,上記ステップS20で受信したノード間の通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断されると(S23のYes側),その後,処理はステップS24に進む。
続いてステップS24では,上記ステップS23で通信評価閾値以上と判断された経路(例えば経路R1「n4→n3→n5→n11」)が,前記した既定の経路Rcに使用されているかどうかが判断される。この判断は,上記受信した通信評価値に前記ステップS152で添付された使用中情報が含まれているかどうかにより判断される。ここで,上記使用中情報が含まれていると判断されると処理はステップS25に進む。また,上記使用中情報が含まれていないと判断されると,処理はステップS30に進み,前記した第2の通信経路決定処理がなされる。なお,,上記経路R1には上記経路Rcを構成するノード
n3が含まれているため,上記ステップS24の処理はYes側に進む。
処理がステップS25に進むと,ここでは,ノードn4から発信されるデータと上記ノードn3で伝送されるデータの優先度を比較する処理(データ優先度比較処理)が実行される。上記データの優先度とは,例えば,データの種類に応じて予め優先係数(重み係数)が定義付けられており,この係数の大きさに応じてデータを優先的に中継するかどうかの度合いを指標するものである。具体的には,緊急データや動画データ等の重要度の高いデータの優先係数は大きく,テキストデータ等の重要度の低いデータの優先係数は小さく設定されている。なお,上記発信元となるノードには,データの種類に応じて上記優先度を示すテーブルでデータ等が記憶されており,これが読み出されて参照されることにより,上記データ優先度比較処理が実現される。なお,上記経路Rcで伝送されるデータは,上記ノードn3から送信された通信評価値に含まれるデータの種別情報を参照することにより認定される。いま,上記Rcで伝送されるデータはテキストデータであり,上記ノードn4から発信されるデータは動画データであるため,上記ステップS25における処理はYes側に進む。なお,上記ノードn4から発信されるデータの優先度が低いと判断されると,処理はステップS27に進む。
続いて処理がステップS26に進むと,ここでは,上記ノードn3に割込許可設定がなされているかどうかが判断される。この判断は,上記ノードn3から送信された通信評価値に前記ステップS154で添付された割込許可情報が含まれているかどうかにより判断される。ここで,上記割込許可情報が含まれていると判断されると処理はステップS30に進むが,上記ノードn3には前述したように,割込中継許可が設定されていないため,処理はステップS27に進み,ステップS27,ステップS28の処理が行われた後に,再び上記ステップS22からの処理が繰り返し実行される。
処理が上記ステップS22に戻ると,ここでは,例えば経路R3「n4→n6→n10→n11」が抽出され,その後,ステップS23で上記経路R3の通信評価値の合計値が通信評価閾値以上と判断されると,上記経路Rcを構成するノードn6には割込中継許可が設定されているため,次のステップS24,S25,S26の判断処理は全てYes側に進み,その後,ステップS30〜S70の処理が実行される。このように,各ノードから送信された割込中継許可の設定状態に応じて,上記発信元のノードn4と上記着信先のノードn11との間で上記動画データが伝送される無線通信経路が決定されるため,緊急データ等が常に優先されて無線通信経路が決定されることによる上記中継端末の利用者,或いは発信元の端末装置の利用者等の意思に反して中継端末が強制的に開放されることがなくなり,上記利用者の利便性が失われることなく,より利用価値の高い無線ネットワーク通信システムを実現することができる。
《第4の実施の形態》
また,上述の第1の実施の形態例において図3のフローチャートを用いて説明した上記ステップS30の処理は,受信した通信評価値に基づいて発信元のノードn4と着信先のノードn8との間で想定される複数の経路のうち,最も通信評価値の合計値が高い経路Ra「n4→n6→n7→n8」(図1参照)をデータが伝送される無線通信経路として決定する処理であるが,この処理によって上記経路Raが決定されたとしても,例えば,上記経路Raにおいて,データ伝送中に通信不能や通信切断等の通信エラーが発生した場合は,改めて図3のフローチャートに従ったルーティング処理を行わなければならない。このような不都合を解消するために,ノードn4と着信先のノードn8との間で想定される複数の経路,例えば,「n4→n3→n8」,「n4→n3→n7→n8」,「n4→n6→n7→n8」等の複数の経路を定め,少なくともデータが着信先のノードに正常に伝送されるまで,即ち,データの伝送が完了するまでは,上記発信元のノードn4内のメモリ等の記憶媒体に上記複数の経路を格納し,上記経路Raに通信エラー等の不都合が発生した場合は,上記記憶媒体に格納された上記経路Raを除く他の経路から,上記経路Raの次に通信評価値の合計値が高い経路をデータの伝送に用いる無線通信経路として決定する(抽出)する実施例が考えられる。なお,上記通信エラー等は,データを中継する各ノード或いはデータ発信元のノードにおいて,データ伝送時の無線電波の電界強度値に基づいて検出される。例えば,上記電界強度値が所定の値未満であるかどうかにより通信エラーかどうかを判断することが考えられる。このような実施例であれば,上記第1の通信経路決定処理を改めて実行する必要がなくなり,処理に費やされる時間の短縮,処理負担の軽減が図られ,通信エラー発生時のデータ伝送効率が向上され得る。また,本実実施例においては,上記複数の経路を上記通信評価値の合計値が高い順にソートして記憶することが好ましい。
《第5の実施の形態》
上述の第1〜第3実施の形態例において,図4又は図13のフローチャートを用いて説明した上記ステップS150の処理は,ネットワークX1又はX2に存在する各ノードで予め定めされた無線通信条件を満たすノードとの間で行われる直接無線通信の性能に関する通信評価値を算出するものであってもよい。この無線通信条件としては,例えば,各ノード間の離間距離が所定の離間距離以内であること,或いは各ノード間の受信電波の電界強度値が所定の値以上であること,或いは中継回数(ホップ回数)が所定の回数以内であること,或いはノード間の通信速度が所定の速度以上であること等が考えられる。このような無線通信条件を満たさない無線端末と直接に無線通信することは希であるため,言い換えれば,上記無線通信条件を満たす無線端末(例えば,隣接する無線端末)間でのみ頻繁に無線通信が行われると想定されるため,上記無線通信条件を満たす他の無線端末との間で行われる直接無線通信の上記通信評価値を算出すれば足りると考えられる。このような実施例であれば,上記無線通信条件外の無線端末との通信評価値を算出する処理の負担が軽減され,かかる処理に費やされる時間が飛躍的に短縮される。
《第6の実施の形態》
また,上述の第1〜第3の実施の形態例では,受信電界強度,バッテリー残量,無線通信速度等に関するデータ,即ち,上記通信能力に関する情報は,上記ノードn4から送信された無線接続要求信号が上記ネットワークX1内の各ノードで受信された後に測定或いは受信されるものとして説明したが,特にこれに限られず,例えば,予め定められた時間毎に,定期的に測定或いは受信されるものであってもよい。これにより,上記通信評価値が定期的に算出されるため,データ発信元のノードn4はデータを発信する際に,直ちに上記通信評価値に基づいて無線通信経路を決定することができるため,発信元のノードn4でデータ送信操作が行われた後,比較的早期にデータが発信され得る。
本発明の第1の実施の形態に係るルーティング方法により決定された無線通信経路Raを示すアドホックネットワークX1の模式接続図。 ノード間の通信評価値に基づき決定される無線通信経路のトポロジー情報を示すテーブル図。 発信元のノードで実行される通信経路決定処理の手順の一例を説明するフローチャート。 全ノードで実行される通信評価値算出処理の手順の一例を説明するフローチャート。 従来のルーティング方法により決定された無線通信経路を示すアドホックネットワークXの模式接続図。 ノード間の物理的距離に基づき決定される無線通信経路のトポロジー情報を示すテーブル図。 各ノード間の物理的直線距離を示すテーブル図。 第2の実施の形態に係るルーティング方法により決定された無線通信経路の一例を示すアドホックネットワークX2の模式接続図。 発信元のノードで実行される第2の通信経路決定処理の手順の一例を説明するフローチャート。 既定の無線通信経路Rcを示すアドホックネットワークX2の模式接続図。 本発明の第3の実施の形態に係るルーティング方法により決定された無線通信経路の一例を示すアドホックネットワークX2の模式接続図。 発信元のノードで実行される第2の通信経路決定処理の手順の他の例を説明するフローチャート。 全ノードで実行される通信評価値算出処理の手順の他の例を説明するフローチャート。
X…アドホックネットワーク(自立分散型の無線ネットワーク)
n1〜n12…ノード(無線端末の一例)
Ra,Rb,Rc,R1,R2,R3…無線通信経路
10,11…障害物(通信阻害要因)
20…トポロジーテーブル

Claims (13)

  1. 複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおいて,
    上記複数の無線端末それぞれは,
    該無線端末に直接的に無線接続される他の全ての無線端末との間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得する通信能力情報取得手段と,
    上記通信能力情報取得手段により取得された上記通信能力に関する情報に基づいて,上記直接無線通信の性能に関する通信評価値を算出する中継側通信評価値算出手段と,
    上記中継側通信評価値算出手段により算出された上記通信評価値を上記発信元の無線端末に送信する通信評価値送信手段と,
    を備え,
    上記発信元の無線端末は,
    上記通信評価値送信手段により送信された上記通信評価値を受信する通信評価値受信手段と,
    上記着信先の無線端末との間で想定される複数の経路について,上記通信評価値受信手段によって受信された上記通信評価値の合計値が高い順に,該経路を構成する上記無線端末間全ての上記通信評価値と上記発信するデータの種類に応じて予め定められた最低限の通信品質を得るための通信評価閾値とを比較する通信評価値比較手段と,
    上記通信評価値比較手段により初めに上記通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断された経路を上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路として決定する第2の通信経路決定手段と,
    を備えてなることを特徴とする無線ネットワーク通信システム。
  2. 上記複数の無線端末それぞれは,
    上記無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかを設定する割込中継許可設定手段と,
    上記割込中継許可設定手段による設定状態を上記発信元の端末装置に送信する設定状態送信手段と,を更に備え,
    上記発信元の無線端末は,
    上記設定状態送信手段により送信された上記設定状態を受信する設定状態受信手段と,を更に備え,
    上記第2の通信経路決定手段は,上記設定状態受信手段により受信された上記設定状態に応じて,上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定するものである請求項1に記載の無線ネットワーク通信システム。
  3. 上記通信能力情報取得手段は,上記発信元の無線端末により上記無線ネットワーク内の複数の無線端末に対し送信された無線接続要求信号を上記複数の無線端末が受信した後に,上記通信能力に関する情報を取得するものである請求項1又は2のいずれかに記載の無線ネットワーク通信システム。
  4. 上記通信能力情報取得手段は,上記複数の無線端末で予め定められた無線通信条件を満たす他の無線端末との間で行われる上記直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得するものである請求項1〜のいずれかに記載の無線ネットワーク通信システム。
  5. 上記中継側通信評価値算出手段若しくは上記発信側通信評価値算出手段は,上記通信能力情報取得手段により定期的に取得された上記通信能力に関する情報に基づいて,定期的に上記通信評価値を算出するものである請求項1〜のいずれかに記載の無線ネットワーク通信システム。
  6. 上記通信評価値送信手段は,上記発信元の無線端末により送信された上記無線接続要求信号を上記複数の無線端末が受信した後に,上記受信した無線接続要求信号の応答信号と共に上記通信評価値を上記発信元の無線端末に送信するものである請求項1〜のいずれかに記載の無線ネットワーク通信システム。
  7. 直接無線通信の通信能力が,無線通信速度,無線電波の受信電界強度,上記無線端末の残存電力量,上記無線端末の位置情報である請求項1〜のいずれかに記載の無線ネットワーク通信システム。
  8. 複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおいて,
    上記複数の無線端末それぞれは,
    上記無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかを設定する割込中継許可設定手段と,上記割込中継許可設定手段による設定状態を上記発信元の端末装置に送信する設定状態送信手段と,を備え,
    上記発信元の無線端末それぞれは,
    上記設定状態送信手段により送信された上記設定状態を受信する設定状態受信手段と,上記発信するデータの種類及び上記設定状態受信手段により受信された上記設定状態に応じて,該発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する第2の通信経路決定手段と,を備えてなり,
    上記第2の通信経路決定手段が,
    上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する際に,上記発信するデータの種類に応じて選択された無線通信経路に既定の無線通信経路を構成する上記無線端末が含まれているとき,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも高く,且つ該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可することを示すものである場合には,該無線通信経路を上記データが伝送される無線通信経路として決定し,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも低い場合,或いは該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可しないことを示すものである場合には,該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであると共に,
    上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送されている上記既定の無線通信経路を構成する無線端末が該既定の無線通信経路で伝送される所定のデータよりも優先度の高いデータを伝送する無線通信経路を構成することとなった場合には,該既定の無線通信経路に換えて該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択してなることを特徴とする無線ネットワーク通信システム。
  9. 上記発信元の無線端末が,上記第2の通信経路決定手段により決定された無線通信経路を記憶する通信経路記憶手段と,
    上記通信経路記憶手段に記憶された上記無線通信経路に基づいて上記データを発信するデータ発信手段と,
    を更に備えてなる請求項1〜のいずれかに記載の無線ネットワーク通信システム。
  10. 複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムにおいてデータを発信する発信元の無線端末であって,直接的に或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより上記無線ネットワークを介して無線通信を行う上記発信元の無線端末において,
    上記複数の無線端末それぞれにおいて該無線端末に直接的に無線接続される他の全ての無線端末との間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報に基づいて算出された上記直接無線通信の性能に関する通信評価値を,上記複数の無線端末それぞれから受信する通信評価値受信手段と,
    上記着信先の無線端末との間で想定される複数の経路について,上記通信評価値受信手段によって受信された上記通信評価値の合計値が高い順に,該経路を構成する上記無線端末間全ての上記通信評価値と上記発信するデータの種類に応じて予め定められた最低限の通信品質を得るための通信評価閾値とを比較する通信評価値比較手段と,
    上記通信評価値比較手段により初めに上記通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断された経路を上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路として決定する第2の通信経路決定手段と,
    を備えてなることを特徴とする発信元の無線端末。
  11. 複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムにおいてデータを発信する発信元の無線端末であって,直接的に或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより上記無線ネットワークを介して無線通信を行う上記発信元の無線端末において,
    上記複数の無線端末それぞれについて,該無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかの設定状態を,上記複数の無線端末それぞれから受信する設定状態受信手段と,
    上記発信するデータの種類及び上記設定状態受信手段により受信された上記設定状態に応じて,該発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する第2の通信経路決定手段と,を備えてなり,
    上記第2の通信経路決定手段が,
    上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する際に,上記発信するデータの種類に応じて選択された無線通信経路に既定の無線通信経路を構成する上記無線端末が含まれているとき,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも高く,且つ該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可することを示すものである場合には,該無線通信経路を上記データが伝送される無線通信経路として決定し,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも低い場合,或いは該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可しないことを示すものである場合には,該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであると共に,
    上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送されている上記既定の無線通信経路を構成する無線端末が該既定の無線通信経路で伝送される所定のデータよりも優先度の高いデータを伝送する無線通信経路を構成することとなった場合には,該既定の無線通信経路に換えて該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択してなることを特徴とする発信元の無線端末。
  12. 複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおける無線通信経路のルーティング方法において,
    上記無線端末に直接的に無線接続される他の全ての無線端末との間で行われる直接無線通信の二以上の通信能力に関する情報を取得する通信能力情報取得ステップと,
    上記通信能力情報取得ステップにより取得された上記通信能力に関する情報に基づいて,上記直接無線通信の性能に関する通信評価値を算出する通信評価値算出ステップと,
    上記着信先の無線端末との間で想定される複数の経路について,上記通信評価値算出ステップにより算出された上記通信評価値の合計値が高い順に,該経路を構成する上記無線端末間全ての上記通信評価値と上記発信するデータの種類に応じて予め定められた最低限の通信品質を得るための通信評価閾値とを比較する通信評価値比較ステップと,
    上記通信評価値比較ステップにより初めに上記通信評価値全てが上記通信評価閾値以上であると判断された経路を上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路として決定する第2の通信経路決定ステップと,
    を具備してなることを特徴とする無線通信経路のルーティング方法。
  13. 複数の無線端末が相互に無線通信可能に無線接続されることにより構成される自立分散型の無線ネットワークに用いられる無線ネットワーク通信システムであって,データを発信する発信元の無線端末が直接的に,或いは一以上の他の無線端末を中継して間接的に上記データの着信先の無線端末と無線接続することにより無線通信を行う無線ネットワーク通信システムにおける無線通信経路のルーティング方法において,
    上記無線端末が所定のデータを伝送する既定の無線通信経路を構成する場合に,上記所定のデータより優先度の高いデータの中継を許可するかどうかを設定する割込中継許可設定ステップと,
    上記発信するデータの種類及び上記割込中継許可設定ステップにより設定された設定状態に応じて,該発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する第2の通信経路決定ステップと,
    を具備してなり,
    上記第2の通信経路決定ステップが,
    上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送される無線通信経路を決定する際に,上記発信するデータの種類に応じて選択された無線通信経路に既定の無線通信経路を構成する上記無線端末が含まれているとき,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも高く,且つ該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可することを示すものである場合には,該無線通信経路を上記データが伝送される無線通信経路として決定し,上記発信するデータの優先度が上記既定の無線通信経路で伝送される所定のデータの優先度よりも低い場合,或いは該無線端末から受信された上記設定状態が優先度の高いデータの中継を許可しないことを示すものである場合には,該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであると共に,
    上記発信元の無線端末と上記着信先の無線端末との間で上記データが伝送されている上記既定の無線通信経路を構成する無線端末が該既定の無線通信経路で伝送される所定のデータよりも優先度の高いデータを伝送する無線通信経路を構成することとなった場合には,該既定の無線通信経路に換えて該無線端末を含まない無線端末で構成される他の無線通信経路を再選択するものであることを特徴とする無線通信経路のルーティング方法。
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