JP4310953B2 - 浄化槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄化槽、特に、総合生活排水を浄化して浄化液を得るための浄化槽に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
近年、膜モジュールを被処理液に浸漬し、空気泡の浮力を利用しながらろ過するクロスフローろ過方式(例えば、特開昭61−129094号公報参照。このろ過方式を浸漬型膜ろ過法と通称し、これに使用する膜モジュールを浸漬型膜モジュールと通称している)が、高汚濁液の省エネルギー精密ろ過方式として多方面で利用されるようになっている。この分野では、中空糸膜モジュールと平膜モジュールが専ら使用されており(例えば、財団法人日本環境整備教育センター「膜処理方を導入した小型生活排水処理装置の実用化に関する研究報告書、平成4〜平成7年度」参照)、管状のろ過膜を用いた管状ろ過膜モジュールに関しては、貯槽から被処理液を外部に取り出し、特別な構造の配管と膜モジュールを用いて浸漬型膜ろ過を行なう、特殊な利用形態に関する出願(特開平9−47639号公報、特開平9−99223号公報)が見られるものの、中空糸膜モジュールや平膜モジュールとの性能比較に関する記載がないだけでなく、実際に使用された報告例も見られない。
【0003】
なお、浸漬型膜ろ過法は、空気泡の浮力を利用して被処理液を自然循環させながらろ過する方法であり、被処理液をポンプなどの機械的循環手段を用いて膜モジュールに対して供給・循環させる限外ろ過法とは明確に区別されるものである。
【0004】
浸漬型膜ろ過法は、すでに様々な分野へ応用が進められているが、我が国における有力な水質浄化手段、特に、屎尿を含む全ての生活排水(総合生活排水)の有力な浄化手段として、上述の文献にも見られるように、長年に渉って、公的機関が積極的に研究開発を支援している。また、下水道研究発表会講演集、水環境学会年会講演集などの学会発表においても、公的および私的研究機関の積極的な発表が続けられている。そして、これらの成果の一つとして、中空糸膜モジュールや平膜モジュールを用いた浸漬型膜ろ過装置を組み込んだ総合生活排水用の合併浄化槽が開発されるに至っている。
【0005】
ところで、現在では、生活排水を処理するための浄化槽を新設する場合、単独浄化槽の使用は禁止されている。これは、単独浄化槽が屎尿のみの簡易処理を目的としているため屎尿以外の生活排水の垂れ流し状態を助長する可能性があり、また、単独浄化槽で処理した生活排水の水質が悪く、我が国の水質汚染の元凶になっていると指摘されているためである。このため、現在は、生活排水用の浄化槽として、総合生活排水を処理可能な合併浄化槽の使用が義務づけられている。
【0006】
一方、単独浄化槽は、既に約700万個が設置されていると言われており、それを有効活用して総合生活排水を処理可能な合併浄化槽に改良する試みがなされている。例えば、単独浄化槽内に中空糸膜モジュールや平膜モジュールを用いた浸漬型膜ろ過装置を配置し、単独浄化槽による生活排水の処理能力を合併浄化槽レベルに高める試みがなされている。
【0007】
しかし、中空糸膜モジュールや平膜モジュールは、総合生活排水(以下、被処理液という場合がある)中に全体が浸漬された状態でないと被処理液をろ過処理することができない。このため、単独浄化槽内に中空糸膜モジュールや平膜モジュールを用いた浸漬型膜ろ過装置を組み込んだ場合、これらのモジュールが被処理液中に浸漬された状態に維持されるよう、単独浄化槽内における被処理液の貯留量を常に高めておく必要がある。ところが、単独浄化槽は、容量が小さいため、被処理液の貯留量を常に高めておくと、浴槽の水を排水した場合等、一時に大量の被処理液が流入した場合に被処理液が溢れ出す可能性がある。これを防止するため、単独浄化槽に流量調整槽を付加し、一時に大量に流入する被処理液を当該流量調整槽で一時的に貯留することも考えられるが、流量調整槽を設置するためのスペースが必要であり、また、そのための工事費用が高額になるため、実現は困難である。
【0008】
一方、ほとんど未知の状態である管状ろ過膜モジュールについては、単独浄化槽への適用について特別な関心が向けられたことはなく、上述の文献等においても発表事例がなかった。本発明者らの推測になるが、その理由として、従来の膜モジュールに対するろ過性能上の差異が不明瞭であるだけでなく、浸漬型膜ろ過法が適用される多くの用途が夾雑物を大量に含むために管状ろ過膜自身がこれらによって閉塞すると予想されたことが考えられる。
【0009】
しかしながら、科学的に管状ろ過膜モジュールの特徴を推測すると、中空糸膜モジュールや平膜モジュールに対する多くの利点が見出される。例えば、
1.すべての空気の流れを、クロスフローの平行流れを大きくするために利用できる。
2.気泡と被処理液の通路が円筒形であるために、物質移動係数が他のモジュール形態に比べて大きく、原理的にフラックス(単位膜面積当たりのろ過流量)が大きい。
3.膜自身が 気泡と被処理液の通路を構成するので、モジュール構造がコンパクトになる。
などである。
【0010】
このように、管状ろ過膜モジュールは、中空糸膜モジュールや平膜モジュールに比べて原理的に優れているものと考えられるが、他のモジュール形態とは異なり、1つの管状ろ過膜内に供給された(押し込まれた)気泡が他の管状ろ過膜に移動することはできないので、管状ろ過膜内に気泡が押し込まれないか、あるいはその流量が小さい管状ろ過膜では、ろ過性能が低下する。したがって、管状ろ過膜モジュールでは、すべての管状ろ過膜に、可能な限り均等に気泡を供給する必要がある。因みに、上記文献(特開平9−47639号公報および特開平9−99223号公報)には、このような管状ろ過膜モジュールに対して気泡を均等に分配することの重要性や、その実現方法が一切述べられていないだけでなく、描かれた図面には、気泡の通路に障害物さえも存在している。
【0011】
一方、管状ろ過膜モジュールにおいて、1つの管状ろ過膜に押し込まれた気泡が別の管状ろ過膜に移動することができないという短所は、見方を変えると、他のモジュールには見られない長所になり得る。例えば、管状ろ過膜内の被処理液は、管状ろ過膜内に気泡が供給され続けている限り、たとえモジュールの一部が被処理液から露出していても、当該空気泡の浮力により必ず押し出され、ろ過が可能であることを意味している。
【0012】
本発明の目的は、総合生活排水からろ過膜モジュールの一部が露出していても、総合生活排水を浄化処理可能な浄化槽を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の浄化槽は、総合生活排水を浄化して浄化液を得るためのものであり、総合生活排水を貯留するための容器と、総合生活排水のろ過機能を有する管状ろ過膜の複数本を含む管状ろ過膜群が浄化液の排出口を有する筒状の収納容器内に収容されかつその両端部で保持された、管状ろ過膜が上下方向に開口するよう容器内に配置されたろ過膜モジュールと、容器内においてろ過膜モジュールの下方に配置された、ろ過膜モジュールに向けて空気泡を供給するための空気泡供給装置と、上記排出口から延びかつ浄化液を容器の外部に排出するための浄化液排出経路とを備えている。ここで、容器は、総合生活排水の浄化工程において、ろ過膜モジュールの全体が総合生活排水中に浸漬された状態と、ろ過膜モジュールの一部が総合生活排水から露出した状態との間で、総合生活排水の水位を変動させることができる。
【0014】
この浄化槽において、ろ過膜モジュールの下方からろ過膜モジュールに供給される空気泡は、総合生活排水中を上昇し、ろ過膜モジュールの管状ろ過膜内に供給される。この際、総合生活排水は、空気泡の浮力によりろ過膜モジュールに向けて上昇し、空気泡と共に管状ろ過膜内に供給される。管状ろ過膜内に供給された総合生活排水は、続けて空気泡の浮力により管状ろ過膜内を上昇し、その際、一部が管状ろ過膜の内側から外側に通過して管状ろ過膜の内面でろ過される。管状ろ過膜を通過した総合生活排水、すなわち浄化液(ろ過液)は、収納容器の排出口から浄化液排出経路を通じて容器の外部に排出される。
【0015】
上述のような総合生活排水の浄化工程において、管状ろ過膜内に供給された空気泡は、他の管状ろ過膜内に移行することなくそのまま当該管状ろ過膜内を上昇するため、管状ろ過膜内に供給されかつ管状ろ過膜を通過しない残余の総合生活排水は、そのまま空気泡と共に管状ろ過膜内を上昇し、ろ過膜モジュールの上端部から溢れ出る。このため、この浄化槽では、ろ過膜モジュールの全体が総合生活排水中に浸漬された状態と、ろ過膜モジュールの一部が総合生活排水から露出した状態との間で、容器内に貯留する総合生活排水の水位を変動させることができるので、容器内の総合生活排水量の多少に拘わらず、総合生活排水を浄化することができる。
【0016】
なお、この浄化槽において、容器は、例えば、総合生活排水を嫌気性活性汚泥を用いて浄化処理するための予備ろ過槽と、予備ろ過槽で浄化処理された総合生活排水を好気性活性汚泥を用いてさらに浄化処理するための曝気槽とに区画されており、この場合、ろ過膜モジュールは曝気槽内に配置されている。また、ろ過膜モジュールにおいて用いられる管状ろ過膜の内径は、例えば3〜15mmである。さらに、空気泡供給装置は、例えば、管状ろ過膜の内径以上の大きさの空気泡をろ過膜モジュールに向けて供給可能に設定されている。さらに、この浄化槽は、必要に応じて、浄化液排出経路内の浄化液を排出口を通じて収納容器内に加圧しながら逆流させるための逆洗装置をさらに備えている。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の実施の一形態に係る浄化槽の概略構成を示す。図において、浄化槽1は、既設の単独浄化槽を改造したものであり、容器2とろ過装置3とを主に備えている。
【0018】
容器2は、所謂五人槽と呼ばれる、現在では法律によって製造が禁止されている単独浄化槽(家庭用の小型浄化槽)であり、内部が隔壁500により沈殿分離室501(予備ろ過槽の一例)と曝気室502(曝気槽の一例)とに区画されている。沈殿分離室501には、総合生活排水の流入口503とマンホール504とが設けられており、また、総合生活排水を生物学的に浄化処理するための嫌気性活性汚泥が投入されている。このため、総合生活排水は、沈殿分離室501において硝酸性窒素成分が脱窒処理される。また、沈殿分離室501内には、総合生活排水中に含まれる浮遊物を除去するためのろ材層505が配置されている。ろ材層505の近傍には、沈殿分離室501と曝気室502とを連絡する連通孔506が配置されており、沈殿分離室501内で脱窒処理された総合生活排水は、この連通孔506を通じて曝気室502内に供給可能に設定されている。曝気室502内には、好気性活性汚泥が投入されており、総合生活排水は生物学的に脱BOD処理されて好気性活性汚泥処理液となる。また、曝気室502から沈殿分離室501にかけて、エアリフトポンプ507が配置されている。このエアリフトポンプ507は、曝気室502内の嫌気性活性汚泥を沈殿分離室501に返送するためのものであり、その圧力源として後述する空気発生装置509からの空気を利用している。曝気室502には、マンホール508が設けられている。
【0019】
なお、通常の単独浄化槽では、曝気室502部分が仕切りによりさらに2つに区画されており、曝気室502の次に、好気性活性汚泥処理液から上澄み液を分離して放流するための沈殿室が設けられている。しかし、ろ過装置3のろ過液を放流する場合には沈殿室は不要であるから、この容器2では、当該仕切りが取り除かれ、全体として曝気室502を構成している。
【0020】
ろ過装置3は、主として曝気室502内に収容されており、図2に示すように、ろ過膜モジュール4、案内筒5、空気泡供給装置6、ろ過液排出装置7および逆洗装置8を主に備えている。以下、このろ過装置3によりろ過処理される総合生活排水(好気性活性汚泥処理液)を被処理液という場合がある。
【0021】
ろ過膜モジュール4は、図3(ろ過膜モジュール4の縦断面図)に示すように、円筒状の収納容器10と、この収納容器10内に充填された管状ろ過膜群11とを主に備えている。収納容器10は、例えば樹脂製の部材であり、その側面には、被処理液をろ過処理して得られるろ過液(浄化液)を排出するための排出口12が形成されている。また、収納容器10の内周面において、その上部および下部には、管状ろ過膜群11と収納容器10の内周面との間に隙間を設けるためのスペーサー13が中心方向に向けて突出している。
【0022】
スペーサー13は、収納容器10の内周面側が細くかつ収納容器10の中心側が太く設定された、概ね楔状に形成されており、また、図4(ろ過膜モジュール4の、図3のIV−IV断面に相当する図)、図5(図4のV矢視図)および図6(図5のVI−VI断面図)に示すように、収納容器10の円周方向において概ね等間隔に形成された複数のスリット13aを有している。なお、収納容器10の上部および下部にそれぞれ設けられたスペーサー13,13は、収納容器10の内周面からの突出量が同じに設定されている。
【0023】
また、各スペーサー13は、スペーサー13を有する部分における収納容器10の軸線方向に垂直な断面(スペーサー13の上下方向中央部における断面、すなわち図3のiii−iii部分の断面)における収納容器10の内部の断面積(図4に網掛け線で示した部分の面積に相当)に占める、その断面積の割合が3〜10%になるよう設定されているのが好ましい。この割合が3%未満の場合は、収納容器10の内周面、特に排出口12と管状ろ過膜群11との間に隙間が形成されにくくなる結果、収納容器10内において、後述する管状ろ過膜11aを通過してろ過処理された被処理液(ろ過液)の流動性が低下し、ろ過流量が低下するおそれがある。一方、この割合が10%を超える場合は、収納容器10内において管状ろ過膜群11の占める割合が小さくなるため、被処理液のろ過効率が低下するおそれがある。
【0024】
管状ろ過膜群11は、細長な円筒状に形成された管状ろ過膜11aの多数本を含む群であり、各管状ろ過膜11aは、後述する突起22により互いに密着するのを防止されながら(すなわち、互いに間隔を設けながら)、収納容器10の開口方向に沿って互いに平行に密に集合している。このような管状ろ過膜群11の上端部および下端部は、それぞれウレタン樹脂などの樹脂材料を用いて形成された保持部10aにより、各管状ろ過膜11aの開放状態を維持しつつ収納容器10に対して一体的に保持されると共に固定されている。この結果、収納容器10の両端部は、当該保持部10aにより液密に閉鎖されることになる。
【0025】
上述の管状ろ過膜群11を構成する管状ろ過膜11aは、図7に示すような円筒状に形成されており、図8(図7のVIII−VIII断面端面図)に示すように、内周面側から外周面側に向けて順にろ過膜層20および支持膜層21を備えた2層構造を有している。
【0026】
ろ過膜層20の種類は、被処理液から除去すべきろ別成分の種類に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、例えば微生物などの微粒子を除去する必要がある場合は精密ろ過膜が用いられる。精密ろ過膜は、例えばJIS K 3802では「0.01〜数μm程度の微粒子および微生物をろ過によって分離するために用いる膜」と定義されているが、ここでは、20kPa以下の圧力で実用的なろ過が可能な、孔径が0.04μmよりも大きい微孔を多数有する多孔膜を用いるのが好ましい。因みに、このような精密ろ過膜は、種類が特に限定されるものではなく、公知の各種のもの、例えばセルロース膜やポリオレフィン系樹脂膜などの有機高分子膜を用いることができる。
【0027】
支持膜層21は、上述のろ過膜層20に対して形状保持性を付与し、ろ過膜層20を円筒状に設定するためのものである。このような支持膜層21は、通液性を有する多孔質材料であれば各種のものを用いることができるが、通常は、腰の強さ、優れた強度、優れた耐薬品性、高い耐熱性および経済性を備えたポリプロピレン樹脂製あるいはポリエステル樹脂製の不織布を用いるのが好ましく、特にポリエステル樹脂製の不織布を用いるのが好ましい。
【0028】
また、管状ろ過膜11aは、図7に示すように、外周面、即ち、支持膜層21の外周面に、ろ過膜層20の軸線を中心とする螺旋状に連続的に形成された突起22を有している。この突起22は、管状ろ過膜群11において、管状ろ過膜11a同士が密着するのを防止し、収納容器10内において各管状ろ過膜11aを通過してろ過処理された被処理液(ろ過液)の流動性を高めるためのものである。
【0029】
例えば、突起22の高さを0.05mmに設定した場合、管状ろ過膜11aの有効長が例えば70cmならば、隣接し合う2本の管状ろ過膜11aの間には、少なくとも0.005×70=0.35cm2の面積が確保されることになる。したがって、このような間隙が管状ろ過膜群11内に多数存在すれば、収納容器10内においてろ過液の流れに対する抵抗は著しく軽減することになり、ろ過液の流動性が著しく高まることになる。
【0030】
上述のような管状ろ過膜11aは、通常、内径(図8のX)が3〜15mmに設定されているのが好ましく、5〜10mmに設定されているのがより好ましい。内径が3mm未満の場合は、被処理液、特に、高汚濁の被処理液をろ過する際において、被処理液中に含まれる各種のろ別成分や夾雑物により管状ろ過膜11aが閉塞し易くなり、ろ過処理を長期間安定に継続するのが困難になるおそれがある。また、管状ろ過膜11aの中を通過する被処理液の圧力損失が空気泡供給装置6からの空気泡の浮力に対して相対的に大きくなるため、管状ろ過膜11a中を通過する被処理液の流速が小さくなる可能性があり、結果的に被処理液が管状ろ過膜11aによりろ過されにくくなる場合がある。逆に、内径が15mmを超える場合は、容積の限られた収納容器10内に充填可能な管状ろ過膜群11に含まれる管状ろ過膜11aの本数が減少することになるため、ろ過膜モジュール4の単位容積当りのろ過面積(有効膜面積)が小さくなる。その結果、ろ過流量が低下することになるので、ろ過膜モジュール4のコンパクト化を図りながら被処理液の効率的なろ過処理を実施するのが困難になるおそれがある。また、空気泡供給装置6から供給される空気泡の大きさが管状ろ過膜11aの内径に比べて小さくなりやすいため、後述するようなろ過膜モジュール4の一部が被処理液から露出している場合において、空気泡が管状ろ過膜11a内の被処理液を上昇させるのが困難になり、結果的にそのような場合においてろ過処理の継続が困難になる可能性がある。
【0031】
また、管状ろ過膜11aは、肉厚(A)と外径(B)との比(A/B)が0.025〜0.1に設定されているのが好ましく、0.03〜0.1に設定されているのがより好ましい。なお、ここで言う管状ろ過膜11aの肉厚および外径は、上述の突起22の厚さ(高さ)を含んでいる。この比が0.025未満の場合は、管状ろ過膜11aに対して外側から圧力を加えた場合、管状ろ過膜11aが潰れやすくなる。この結果、被処理液のろ過工程において管状ろ過膜11aの内周面に堆積するろ別成分などからなるケーク層を排除するために、管状ろ過膜11aに対して外側から圧力を加えて逆洗操作を実施する場合には、管状ろ過膜11aが潰れてしまい、管状ろ過膜11aを逆洗するのが実質的に困難になる。なお、20kPa以上の耐圧性を達成するためには、この比を0.03以上に設定するのが好ましい。一方、この比が0.1を超える場合は、ろ過膜モジュール4の単位容積当りのろ過面積(有効膜面積)が小さくなる。その結果、ろ過流量が低下することになるため、ろ過膜モジュール4のコンパクト化を図りながら被処理液の効率的なろ過処理を実施するのが困難になるおそれがある。
【0032】
肉厚と外径との比を上述のように規定すれば、管状ろ過膜11aは逆洗に耐えられる潰れ圧に設定できる。特に、この比が0.03以上の場合、管状ろ過膜11aの潰れ圧は、浸漬型膜ろ過方式において通常設定されるろ過圧の上限である20kPa以上、即ち少なくとも20kPaに設定され得る。なお、ここで言う「潰れ圧」とは、管状ろ過膜11aの外側(すなわち、支持膜層21側)から内側に向けて圧力を加えた場合において、管状ろ過膜11aが押し潰され始めるときの圧力をいう。
【0033】
因みに、管状ろ過膜11aの潰れ圧は、肉厚と外径との比の3乗に比例するため(例えば、小栗冨士雄著「機械設計図表便覧」、9−2、共立出版株式会社 参照)、当該比を大きく設定するに従って大きくなることになる。
【0034】
また、突起22の高さは、通常、0.02〜0.2mmに設定されているのが好ましい。突起22の高さが0.02mm未満の場合は、管状ろ過膜群11において管状ろ過膜11a同士が密着し易くなり、結果的にろ過液の流動性を高めるのが困難になるおそれがある。一方、0.2mmを超える場合は、管状ろ過膜群11に含まれる管状ろ過膜11aの本数、すなわち、ろ過膜モジュール4の収納容器10内に充填可能な管状ろ過膜11aの本数が減少することになるため、ろ過膜モジュール4の単位容積当りのろ過面積が小さくなる。その結果、ろ過流量が低下することになるため、ろ過膜モジュール4のコンパクト化を図りながら被処理液の効率的なろ過処理を実施するのが困難になるおそれがある。なお、ここで言う突起22の高さとは、支持膜層21の表面からの突出量をいう。
【0035】
因みに、突起22の高さは、被処理液がろ過流量の比較的小さい好気性活性汚泥処理液であるため、ろ過面積を確保する観点から低めに設定するのが好ましい。なお、突起22の高さが上述の範囲内であれば、ろ過膜モジュール4が100m2程度の膜面積を有する大型の場合であっても、殆どの被処理液について、突起22により管状ろ過膜11a間に形成される隙間はろ過液の流れに対する大きな抵抗になり難い。
【0036】
次に、図9を参照しつつ、上述の管状ろ過膜11aの製造方法の一例を説明する。
先ず、支持膜層21上にろ過膜層20が一体的に積層された、長尺短冊状(テープ状)の複合膜23を用意する。そして、この複合膜23を、図9に示すように、別途用意した円柱状の心棒24に対し、支持膜層21側が表側になるように幅方向の両端部23aを重ね合わせながら螺旋状に巻きつける。この状態で重ね合わされた両端部23a同士を接着剤、あるいは超音波溶着法により接着すると、目的とする管状ろ過膜11aを得ることができる。なお、このような管状ろ過膜11aの製造方法は、例えば特公昭56−35483号において既に公知である。
【0037】
このような管状ろ過膜11aの製造工程において、重ね合わされた複合膜23の両端部23aは、上述の螺旋状の突起22を形成することになる。ここで、複合膜23の重なり具合や接着方法を適宜調節すると、突起22の高さを上述の範囲に設定することができる。
【0038】
次に、図10および図11を参照して、上述のろ過膜モジュール4の製造方法を説明する。このろ過膜モジュール4は、平膜や中空糸膜の取り扱いに細心の注意が要求され、しかも多くの製造工程を要する平膜モジュールや中空糸膜モジュールに比べ、簡単な工程により容易に製造することができる。
先ず、多数本の管状ろ過膜11aを束ね、管状ろ過膜群11を形成する。また、収納容器10を用意し、図10に示すように、この収納容器10内に管状ろ過膜群11を挿入して収納容器10と管状ろ過膜群11との組合せ体30を形成する。この組合せ体30では、管状ろ過膜群11の両端部が収納容器10の両端部から突出するように設定する。また、管状ろ過膜群11を構成する管状ろ過膜11aの両端部は、例えばヒートシールにより閉鎖しておく。
【0039】
次に、図11に示すように、上述の組合せ体30の一端を、未硬化ウレタン樹脂などの未硬化の樹脂31aを入れたモールド31内に浸漬する。ここで、未硬化の樹脂31aは、管状ろ過膜群11を構成する管状ろ過膜11a間に充填されると共に、スペーサー13に設けられたスリット13aを通じて収納容器10の内周面にも均一に到達し、収納容器10の開口部分を完全に閉鎖することになる。この状態で樹脂31aを完全に硬化させた後、モールド31を取り払い、組合せ体30の他端についても同様の操作を実施する。これにより、管状ろ過膜群11は、収納容器10に対して保持、固定されることになる。
【0040】
次に、収納容器10の両端部から突出している硬化樹脂と管状ろ過膜11aとを切り落とすと、残余の樹脂部分が保持部10aを形成し、目的とするろ過膜モジュール4が得られる。このろ過膜モジュール4において、収納容器10の両端部は、各管状ろ過膜11aの両端部を除き、硬化した樹脂、すなわち保持部10aにより液密に閉鎖されることになる。この保持部10aは、収納容器10のスペーサー13が上述のような楔状に形成されているため、収納容器10の内周面に対して強力に固定されやすく、管状ろ過膜群11を収納容器10に対して安定に保持、固定することになる。
【0041】
なお、保持部10aを形成するための材料としては、上述のようなウレタン樹脂の他に、エポキシ樹脂などの他の熱硬化性樹脂やホットメルト接着材を用いることもできる。但し、大型のろ過膜モジュール4を製造する場合、樹脂材料は、使用量を多く設定する必要があるため、過剰な発熱を抑制する理由および硬化収縮を抑制する理由から、反応速度が比較的遅く、弾性率が比較的小さなものを用いるのが好ましい。なお、ホットメルト接着材は、上述の製造工程において切り落としたものから回収して再利用することもできる。この点においても、ホットメルト接着材が比較的高粘度であるがために、ホットメルト接着材の利用が困難な中空糸膜モジュールに比べ、ろ過膜モジュール4は有利である。
【0042】
なお、ろ過膜モジュール4に関する図3等では、理解の便のため、管状ろ過膜11aの太さ、管状ろ過膜11a間の隙間および管状ろ過膜11aと収納容器10の内周面との隙間等を強調している。また、図面を理解し易くするため、図3では、管状ろ過膜11aの本数を少なめに表現し、また、図4においては管状ろ過膜11aの一部のみ表示している。
【0043】
案内筒5は、図1および図2に示すように、管状ろ過膜11aが上下方向に開口するよう起立した状態でろ過膜モジュール4を曝気室502内で支持している。案内筒5は、樹脂製の円筒状の部材であり、その軸方向に垂直な断面における内周形状が、収納容器10の軸方向に垂直な断面における外周部分の内周形状と実質的に同じ大きさの同形状に設定されている。すなわち、案内筒5は、収納容器10と内径および外径が同じに設定されている。
【0044】
案内筒5の下縁には、図12に示すように、脚50が取付けられたフランジ51が設けられている。そして、案内筒5は、脚50により曝気室502の底部に配置されており、その状態で上部にろ過膜モジュール4が配置されている。ここで、案内筒5とろ過膜モジュール4とは、筒状のソケット52(図2)を用いて接続されている。なお、ソケット52は、案内筒5とろ過膜モジュール4とを接続すると共に、空気泡供給装置6からの空気泡の漏れ出しを防止するためのものである。ろ過膜モジュール4は、このような案内筒5を用いて支持されている結果、曝気室502の底部から離れて位置している。
【0045】
空気泡供給装置6は、好気性活性汚泥の活性を高めるための空気を曝気室502内の被処理液に対して供給すると共に、ろ過膜モジュール4に対して空気泡を供給するためのものであり、図1および図2に示すように、曝気室502内において、ろ過膜モジュール4の下方であって案内筒5内に配置されている。
【0046】
図12および図13を参照して、空気泡供給装置6を詳細に説明する。空気泡供給装置6は、第1パイプ61、第2パイプ62および4本の分岐パイプ63、64、65、66を主に有している。第1パイプ61は、案内筒5を貫通しかつ案内筒5の内部においてその中心部を通過するよう水平に配置されている。そして、その一端は、案内筒5の外部において、キャップ67により気密に閉鎖されている。また、第2パイプ62は、第1パイプ61と直交するよう水平に組み合わされており、両端部がそれぞれ案内筒5の壁面を貫通してキャップ67により気密に閉鎖されている。なお、第1パイプ61と第2パイプ62との交点は、案内筒5の中心と一致している。さらに、4本の分岐パイプ63、64、65、66は、第1パイプ61と平行にかつ水平に、第2パイプ62に対して組み合わされており、第1パイプ61の両側に2本づつ配分されている。分岐パイプ64、63は、第1パイプ61から等間隔毎に配置されている。分岐パイプ65、66についても同様である。したがって、第1パイプ61および4本の分岐パイプ63、64、65、66は、等間隔に配列されていることになる。また、各分岐パイプ63、64、65、66は、それぞれ両端部が案内筒5の内周面近傍に向けて延びており、図示しないキャップにより気密に閉鎖されている。
【0047】
上述のようにして組み合わされた第1パイプ61と第2パイプ62とは、交点において連絡しており、また、4本の分岐パイプ63、64、65、66のそれぞれは、第2パイプ62との交点において、当該第2パイプ62と連絡している。これにより、第1パイプ61、第2パイプ62および4本の分岐パイプ63、64、65、66は、一連の空気流路を形成している。
【0048】
また、第1パイプ61、第2パイプ62および4本の分岐パイプ63、64、65、66は、空気を泡状にして噴出するための複数の空気泡噴出孔68を有している(図13では、一例として19個の空気泡噴出孔68を示している)。これらの空気泡噴出孔68は、それぞれ曝気室502の底面に向けて開口しており、また、図13に示すように、案内筒5の軸方向に垂直な断面の内側(案内筒5の内側の水平面)において、ろ過膜モジュール4の各管状ろ過膜11aに対して均等に空気泡を供給することができるよう、最密充填配置パターンで配置されている。すなわち、各空気泡噴出孔68は、図13に一点鎖線で示すような多数の正三角形の各頂点に位置するよう、案内筒5の内側の水平面において、均等な間隔を設けながら分散して配置されている。
【0049】
なお、上述の空気泡供給装置6を形成する各パイプ61〜66の材質は、空気泡噴出孔68から発生する空気泡の上昇流によって生じる被処理液の循環流を妨げないものであれば特に限定されるものではないが、通常は、経済性、加工性および案内筒5に対する装着の容易性などの点において、プラスチック製の円筒状パイプを用いるのが好ましい。
【0050】
この空気泡供給装置6の第1パイプ61には、図1に示すように、容器2の外部に配置されたエアコンプレッサーなどの空気発生装置509から延びる第1空気供給路511が接続している。そして、各空気泡噴出孔68は、第1空気供給路511から空気泡供給装置6に供給される空気を泡状(空気泡)にして被処理液中に噴出可能に設定されている。
【0051】
なお、空気泡供給装置6は、空気泡噴出孔68から発生する空気泡の大きさが、通常、ろ過膜モジュール4において用いられる管状ろ過膜11aの内径以上になるよう設定されているのが好ましい。空気泡の大きさが管状ろ過膜11aの内径より著しく小さい場合は、後述するようなろ過膜モジュール4の一部が被処理液から露出している場合において、空気泡が管状ろ過膜11a内の被処理液を上昇させるのが困難になり、結果的にそのような場合においては被処理液のろ過処理の継続が困難になる可能性がある。
【0052】
ろ過液排出装置7は、ろ過膜モジュール4においてろ過処理された被処理液、すなわちろ過液(浄化液)を容器2の外部に排出するためのものであり、図2に示すように、ろ過膜モジュール4の排出口12から延びるろ過液排出経路70(浄化液排出経路の一例)を有している。ろ過液排出経路70は、ろ過膜モジュール4の排出口12から延びる第1排出経路71と、逆洗装置8の一部を介して第1排出経路71に接続する第2排出経路72とを有している。第2排出経路72は、容器2の外部に延びており、その途中に吸引ポンプ73を有している。吸引ポンプ73は、容器2内に配置されている。この吸引ポンプ73は、自給力がないポンプであり、ろ過膜モジュール4の上端よりも下方に配置されている。因みに、吸引ポンプ73として自給式のものを用いる場合、当該吸水ポンプ73は、ろ過膜モジュール4の上端よりも高い位置に配置することができる。
【0053】
第2排出経路72には、図1に示すように、第1空気供給路511から分岐する第2空気供給路512が接続している。この第2空気供給路512は、第1電磁弁513を有している。また、第2排出経路72は、第2空気供給路512との接続部と吸引ポンプ73との間に、第2電磁弁74を有している(図2)。
【0054】
逆洗装置8は、ろ過液排出経路70の途中、すなわち、第1排出経路71と第2排出経路72との間に設けられた逆流量設定装置、すなわち定量フロート弁80を有している。定量フロート弁80は、図14に示すように、フロート弁部81および液量設定パイプ82を主に備えている。フロート弁部81は、図15に示すように、フロート受け83とフロート84とを備えている。フロート受け83は、軸線方向にろ過液の通路83aが形成された筒状の部材であり、通路83aの上端部に外方向に向けて拡大するテーパー部83bを有している。また、通路83aの下端部は、中心部に開口83cを有するネット状に形成されている。一方、フロート84は、ろ過液中で浮揚可能でありかつ上述のテーパー部83bに当接した場合に通路83aを閉鎖可能な球状に形成されており、下方に延びるポリエステル樹脂製のフィラメント85が装着されている。フィラメント85は、開口83cを通じてフロート受け83の下方に延びており、下端部に浮き止め86を有している。
【0055】
上述のフロート弁部41は、図14に示すように、フロート受け83の下端部がソケット87を用いてろ過液排出経路70の第1排出経路71の先端に接続されている。
液量設定パイプ82は、定量フロート弁80内に存在するろ過液の容量を調節するためのものであり、ソケット88を用いてフロート弁部81に接続されているとともに、ソケット89を用いて第2排出経路72に接続されている。この結果、定量フロート弁80は、第2空気供給路512を通じて空気発生装置509に接続されていることになる。これにより、第2空気供給路512は、空気発生装置509からの空気をろ過液排出経路70に加えるための加圧装置を構成し、定量フロート弁80と共に逆洗装置8を構成している。
【0056】
上述のようなろ過装置3では、図示しないタイマーに従って作動する第1電磁弁513および第2電磁弁74が自動的に開閉するように設定されている。より具体的には、第1電磁弁513が閉鎖状態のとき、第2電磁弁74が開放状態になり、また、第1電磁弁513が開放状態のとき、第2電磁弁74が閉鎖状態になるよう、第1電磁弁513および第2電磁弁74は連動する。
【0057】
また、曝気室502には、ろ過膜モジュール4と案内筒5との連結部分よりも上方において、液面センサー520が配置されている。この液面センサー520は、吸引ポンプ73に連絡しており、曝気室502内の被処理液の液面を検知したときに、吸引ポンプ73を停止するよう設定されている。
【0058】
なお、ろ過膜モジュール4をはじめとする、ろ過装置3を構成する各部材は、最大径がマンホール508の内径よりも小さく設定されており、マンホール508を通じて曝気室502の内部に収容可能に設定されている。
【0059】
次に、図1を参照して、上述の浄化槽1による総合生活排水の処理について説明する。
流入口503より容器2内に流入する総合生活排水は、沈殿分離室501に貯留される。この沈殿分離室501では、総合生活排水が脱窒処理されるとともに、総合生活排水中に含まれる各種の夾雑物を沈殿分離室501の底部に沈殿させる。また、総合生活排水中に含まれる浮遊物は、総合生活排水がろ材層505を通過する際に除去される。このようにして予備ろ過された総合生活排水は、連通孔506を通じて曝気室502内に移動する。
【0060】
ここで、容器2内における水位は、通常、沈殿分離室501と曝気室502とで同じであるが、沈殿分離室501側では図1に示すl1(下限)とl2(上限)との範囲内になるよう設定し、曝気室502側では図1に示すl3(下限)とl4(上限)との範囲内になるよう設定することができる。ここで、沈殿分離室501側の上限水位l2と曝気室502側の上限水位l4とは同一であり、ろ過膜モジュール4の上方に設定されている。一方、曝気室502側の下限水位l3は、液面センサー520が配置されている位置であり、沈殿分離室501側の下限水位l1よりも低い位置に設定することも可能である。これにより、ろ過膜モジュール4は、全体が被処理液中に浸漬された状態と、一部が被処理液から露出した状態との間で使用されることになる。
【0061】
ろ過装置3において、空気発生装置509からの空気は、第1空気供給路511を通じて空気泡供給装置6に供給される。空気泡供給装置6に供給された空気は、空気泡噴出孔68から空気泡となって噴出し、曝気室502内に貯留された総合生活排水を攪拌する。この結果、総合生活排水中の好気性活性汚泥が活性化され、総合生活排水は、当該好気性活性汚泥により脱BOD処理による浄化処理が施される。
【0062】
一方、空気泡供給装置6の空気泡噴出孔68からの空気泡は、案内筒5により案内されながら被処理液中を上昇し、ろ過膜モジュール4に含まれる各管状ろ過膜11aに対して略均等に供給される。
【0063】
このようにしてろ過膜モジュール4に対して供給される空気泡の浮力により、曝気室502内に貯留された被処理液は、図3に矢印で示すように、各管状ろ過膜11a内を下側から上側に向けて押し上げられる。この際、吸引ポンプ73の作動によりろ過液排出経路70が負圧になるため、被処理液の一部は、管状ろ過膜11aを内側から外側に通過してろ過され、また、被処理液中に含まれるろ別成分は、管状ろ過膜11aの内周面を構成するろ過膜層20により捕捉されて被処理液から取り除かれる。ろ別成分が取り除かれた被処理液、すなわちろ過液は、収納容器10内において管状ろ過膜11a間の隙間を通過し、排出口12からろ過液排出経路70内に排出される。ろ過液排出経路70内に排出されたろ過液は、第1排出経路71、逆洗装置8の定量フロート弁80および第2排出経路72を通過して、連続的に容器2の外部に排出される。
【0064】
この際、定量フロート弁80において、フロート84は、浮き止め86と共に通過中のろ過液により浮揚して通路83aを開放状態に設定するが、浮き止め86が通路83aの下端部に当接するため、フロート受け83から一定距離以上に離れるのが防止される。
【0065】
以上の結果、曝気室502内に貯留された被処理液は、図1および図2に矢印で示すように、ろ過膜モジュール4を下側から上側方向に通過して自然に循環し、ろ過膜モジュール4によりろ過されることになる。
【0066】
なお、上述のようなろ過工程において、各管状ろ過膜11aは、上述のように外周面に突起22を有しているため、ろ過膜モジュール4内において、隣接する管状ろ過膜11aと密着しにくく、管状ろ過膜11a間にろ過液を流通させるための効果的な隙間を形成する。したがって、この管状ろ過膜11aを備えたろ過膜モジュール4は、収納容器10内におけるろ過液の流動性を高めることができ、ろ過液を滞りなく排出口12から排出しやすい。
【0067】
また、上述のろ過工程において、空気泡供給装置6からろ過膜モジュール4に供給される空気泡は、案内筒5内を上昇した後に次々と管状ろ過膜11a内に押し込まれる。このため、曝気槽502内の被処理液は、液面がろ過膜モジュール4の下端よりも上にある限り(例えば、液面センサー520により設定される下限水位l3以上である限り)、管状ろ過膜11a内に供給される空気泡の浮力によって管状ろ過膜11a内を上昇し、ろ過膜モジュール4の上端からオーバーフローする。したがって、このろ過工程では、ろ過膜モジュール4の一部が被処理液から露出していても、空気泡によるクロスフローが維持され得る。換言すると、ろ過装置3は、曝気室502内における被処理液の液面が上述のように変動する場合、ろ過膜モジュール4の一部(例えば半分以上)が被処理液から露出していても、空気泡供給装置6からの空気泡がろ過膜モジュール4に向けて供給され続けている限り、被処理液のろ過処理を実施することができる。
【0068】
このため、この浄化槽1では、曝気室502内での被処理液の液面を上述の範囲で変動させながら、被処理液をろ過することができる。この結果、この浄化槽1では、曝気室502内に、ろ過膜モジュール4の全体が被処理液中に浸漬された状態になる程度に被処理液を継続的に貯留しておく必要がなく、総合生活排水の流入量が少ない間は、液面を下限水位l1,l3に設定して、ろ過膜モジュール4を露出した状態にすることができる。したがって、この浄化槽1は、一時的な大量の総合生活排水の流入(例えば、多くの家庭において1日の排水量の6〜7割程度が集中的に排水される夕食時から風呂の水抜き時の時間帯における流入)を、上限水位と下限水位との間で吸収することができる。なお、容器2が上述の所謂五人槽と呼ばれる小型の単独浄化槽の場合、沈殿分離室501および曝気室502における液面を上述の下限水位l1,l3に設定しておくと、一時的に500l程度の総合生活排水が流入した場合も、マンホール504、508から総合生活排水を溢れさせること無く、安定的に総合生活排水の浄化処理を実施することができる。この容量は、全体の容積が単独浄化槽の2〜3倍である合併浄化槽の調整可能容量に匹敵する。
【0069】
因みに、ろ過膜モジュール4の一部が被処理液から露出している場合、ろ過膜モジュール4の全長をL、ろ過膜モジュール4の上端から被処理液の液面lまでの距離(すなわち、ろ過膜モジュール4の露出部分の長さ)をΔLとした場合(図2参照)、液面lからΔLの露出部分にある管状ろ過膜11a中の被処理液の重力は浮力に抗するので、ΔLが大きくなるとともに管状ろ過膜11a内における空気泡と被処理液との上昇速度は小さくなる。例えばΔL/L値が60%になると、当該値が0%のときの約40%まで上昇速度は低下する。しかし、その場合におけるろ過膜モジュール4のろ過流量は、後述するように、上昇速度のおよそ1/3に比例するので、ろ過膜モジュール4が被処理液中に完全に浸漬されている状態でろ過処理を実施している場合の少なくとも70%、通常は約75%に維持され得る。したがって、この浄化槽1は、曝気室502における被処理液の液面を上述の範囲で変動させながら、しかもろ過流量を著しく低下させることなく、ろ過装置3による被処理液のろ過処理を効率的に実施することができる。
【0070】
上述のようなろ過工程において、タイマーが作動して第1電磁弁513が開放状態に設定されると、第2電磁弁74が閉鎖状態に設定される。この結果、空気発生装置509からの空気は、第2空気供給路512および第2排出経路72を通じて定量フロート弁80に到達する。定量フロート弁80に到達した空気は、定量フロート弁80内のろ過液に対して排出口12方向の空気圧を加え、そのろ過液を第1排出経路71方向に押し出す。これにより、第2排出経路72内、定量フロート弁80内および第1排出経路71内のろ過液は、排出口12からろ過膜モジュール4内に逆流し、第2排出経路72内に供給される空気の空気圧に相当する圧力で各管状ろ過膜11aを外側から内側に向けて通過する。これにより、各管状ろ過膜11aは、内周面に堆積したろ別成分による堆積層(ケーク層)が取り除かれ、洗浄されることになる。
【0071】
上述のような逆洗工程において、定量フロート弁80では、液量設定パイプ82内のろ過液が押し出されると、フロート84が自重によりフロート受け83のテーパー部83bに当接し、通路83aを閉鎖する。このため、排出口12からろ過膜モジュール4内に逆流するろ過液の量は、実質的に定量フロート弁80および第1排出経路71の容積により規定された量に限定される。したがって、逆洗用に用いられるろ過液の量は、定量フロート弁80の容積、特にその液量設定パイプ82の容積を調節すると任意に設定することができる。
【0072】
なお、上述の逆洗工程において、第2排出経路72内に供給する空気の空気圧は、吸引ポンプ73の吸引力に基づくろ過圧以上に設定するのが好ましい。この空気圧が当該ろ過圧未満の場合は、管状ろ過膜11aの洗浄が不十分になり、管状ろ過膜11aのろ過性能が回復しにくい場合がある。
【0073】
因みに、管状ろ過膜11aは、上述のように潰れ圧が大きいため(例えば、少なくとも潰れ圧が20kPaに設定されているため)、上述のような逆洗操作時の加圧力により押し潰されてしまうことがなく、逆洗処理後も形状を維持し、引き続き上述のようなろ過工程に適用することができる。したがって、ろ過装置3は、上述のような逆洗工程の後、引き続きろ過処理を継続することができる。
【0074】
上述の逆洗工程の後、タイマーが作動して第1電磁弁513が閉鎖状態に設定されると、第2電磁弁74が開放状態に設定される。これにより、ろ過装置3では、上述のようなろ過処理が再度実施されることになる。このように、浄化槽1では、管状ろ過膜11aを洗浄するための逆洗工程を適宜実施することもできるため、ろ過膜モジュール4を交換しなくても管状ろ過膜11aのろ過性能、特に高フラックス特性を長期間良好に維持することができ、被処理液のろ過処理を長期間に渡って効率的に継続することができる。
【0075】
また、浄化槽1は、空気発生装置509を空気泡供給装置6および逆洗装置8用の空気発生源として共用しているので、全体として小型に構成することができ、しかも経済的にろ過工程および逆洗工程を実施することができる。
【0076】
なお、上述のろ過装置3において用いられるろ過膜モジュール4は、後述するように、これまでの平膜モジュールや中空糸膜モジュールよりもろ過流量、特にフラックスが大きく、平膜モジュールや中空糸膜モジュールに比べて小型に構成することができる。このため、ろ過装置3は、単独浄化槽のような小型浄化槽に対して容易に組み込むことができ、また、既存の単独浄化槽に対して組み込むと、その浄化能力を合併浄化槽レベルに高めることができる。
【0077】
ここで、ろ過膜モジュール4のろ過流量を解析的に説明する。
従来の技術の説明において引用した財団法人日本環境整備教育センター発行の「膜処理法を導入した小型生活排水処理装置の実用化に関する研究報告書:平成4年度〜平成7年度」において見られるように、フラックスは中空糸膜モジュールよりも平膜モジュールの方が大きい。このため、従来のモジュールとして平膜モジュールを解析の比較対象とした。
【0078】
参考のため、図16を参照して、比較対象となる平膜モジュールの概略を説明する。図において、平膜モジュール90は、収納容器91と、この収納容器91内に配置された多数の膜プレート92とを主に備えている。収納容器91は、例えば、上部および下部がそれぞれ開口した角筒状の部材である。一方、膜プレート92は、図17に示すように、矩形状の枠体93と、この枠体93において隙間94を設けて対向し合う1対のろ過膜95,95とを主に備えている。このろ過膜95は、例えば精密ろ過膜である。枠体93の上部には、隙間94に連絡する、ろ過液の排出口96が形成されている。各膜プレート92の排出口96は、通常、図16に示すように、排出管97に接続される。なお、この種の平膜モジュール90の概略は、例えば、日本国建設省建築研究所 膜分離技術等を用いた高度処理浄化槽研究委員会編、「用水と廃水」Vol.40、No.3、45(1998)等において説明されている。
【0079】
このような平膜モジュール90を用いて浸漬型膜ろ過を実施した場合、空気泡と共に膜プレート92間を流れる被処理液は、ろ過膜95の外側から内側に流れてろ過される。そして、その際のろ過液は、隙間94を通過し、排出口96を経由して排出管97内に排出される。
【0080】
表1に、上述の浄化槽1において用いられるろ過膜モジュール4(以下、このろ過膜モジュールを「管状ろ過膜モジュール」と表現する場合がある)と上述のような平膜モジュール90の主な特性をまとめて示す。ここでは、不必要な煩雑さを持ち込まないようにするため、両モジュールについて膜の長さLを共通とした。同じ理由により、モジュールの設置面積については、ろ過膜モジュール4では収納容器10の厚さを、また、平膜モジュール90では枠体93をそれぞれ除いた、膜部分が占める面積を示している。
【0081】
【表1】
【0082】
ここで、ろ過膜モジュール4で用いられる収納容器10の内径をDとすると、ろ過膜モジュール4における収納容器10の断面積あたりの膜面積Mは、次の式(1)で表される。なお、表1および式(1)において、εは管状ろ過膜11aの充填率を示し、この充填率は下記の式で求められる。式中のSは、収納容器10の軸線方向に垂直な断面における収納容器10の内部の断面積(図4に網掛け線で示した部分の面積に相当)を示している。
【0083】
【数1】
【0084】
ろ過膜モジュール4において、管状ろ過膜11aの充填率εはおよそ0.7〜0.8になるので、式(1)から得られるろ過膜モジュール4の膜面積は、同じ長さの中空糸膜モジュールあるいは平膜モジュールの1.5〜2倍の大きさに相当する。すなわち、ろ過膜モジュール4は、平膜モジュールに比べ、設置面積あたりの膜面積が極めて大きい。
【0085】
ところで、浸漬型膜ろ過が適用される大多数の実液(被処理液)の粘度は数mPa・s以上であり、平膜モジュール90、ろ過膜モジュール4共に、モジュール内における被処理液の流れを層流と見なすことができる。
【0086】
平行流れが層流のクロスフローろ過においては、平膜モジュール90に対するろ過膜モジュール4のろ過流量が次式(2)で表される(例えば、中垣、清水、「膜処理技術大系」第1編−第3章、株式会社フジ・テクノシステム(1991) 参照)。
【0087】
【数2】
【0088】
式中、J、Mおよびuは、それぞれろ過流量、膜面積および平行流れの線速であり、下付き記号TおよびPは、それぞれろ過膜モジュール4および平膜モジュール90の値であることを示す。平行流れは気泡と液体の混合物からなるが、同じ速度で移動していると仮定している。dは平膜モジュール90の膜プレート92間の間隔を、また、diはろ過膜モジュール4の管状ろ過膜11aの内径をそれぞれ示している。
ここで、指数a、cは、層流の場合ともに1/3である。したがって、これらの値を代入すると、次の式(3)のようになる。
【0089】
【数3】
【0090】
ここで、ろ過膜モジュール4においては全ての管状ろ過膜11aに、また、平膜モジュール90においては全ての膜プレート92間に気泡が均等に分配されていると仮定すると、各モジュールにおける平行流れの線速について、それぞれ次式(4)および(5)が導かれる。
【0091】
【数4】
【0092】
ここで、qaは、一つの流路あたりに換算した空気流量であり、ろ過膜モジュール4では1本の管状ろ過膜11a当たりの空気の流量を、また、平膜モジュール90では幅wの1つの膜プレート92間隔当たりの空気の流量をそれぞれ意味する。したがって、uaは換算線速である。ρfおよびμfは、それぞれ被処理液の密度および粘度である。σは無次元の圧力損失係数であり、ろ過膜モジュール4では32、平膜モジュール90では12である。gは重力加速度である。
換算線速は、単位膜面積当りの空気流量、またはモジュール当りの全空気流量に、それぞれのモジュールの形状を表す数値を用いて次の表2のように変換することができる。
【0093】
【表2】
【0094】
表1および表2から、ろ過膜モジュール4と平膜モジュール90との線速比が次の式(6)で表される。
【0095】
【数5】
【0096】
式(3)および(6)を用い、ろ過膜モジュール4および平膜モジュール90の能力を様々な視点から比較することができるが、現実性を失わずに単純化するため、ここでは、両モジュールに共通の条件として、被処理液の密度ρfを1,000kg/m3、膜の長さLを1mに設定する。また、平膜モジュール90については膜プレート92の厚さtを5mmに設定し、ろ過膜モジュール4については管状ろ過膜11aの外径(d0)と内径(di)との比(d0/di)を1.2、充填率εを0.8(最密充填状態では約0.9である)にそれぞれ設定する。空気流量については、平膜モジュール90で標準的に用いられている単位膜面積当たり15L/分/m2を比較基準とする。
【0097】
次の表3は、被処理液の粘度μfを10mPa・sに設定した場合において、膜プレート92間隔dと管状ろ過膜11aの内径diとを同じにし、また、両モジュールについて総膜面積と全空気流量とを同じにした場合の計算結果を示している。
【0098】
【表3】
【0099】
また、次の表4は、同じ条件で被処理液の粘度μfのみを100mPa・sに変更した場合の計算結果を示している。
【0100】
【表4】
【0101】
表3および表4が示すように、広い粘度範囲の被処理液に関し、ろ過膜モジュール4は、平膜モジュール90の約1/2の設置面積であるにも拘わらず、ろ過流量が平膜モジュール90よりも大きい。
もう一つの例として、被処理液の粘度μfを10mPa・sに設定した場合において、膜プレート92間隔dと管状ろ過膜11aの内径diとを同じにし、また、両モジュールについて、モジュール設置面積と全空気流量とを同じにした場合の計算結果を表5に示す。
【0102】
【表5】
【0103】
表5は、同じモジュール設置面積、同じ全空気流量の場合、ろ過膜モジュール4が平膜モジュール90の2倍以上のろ過流量を持つことを示している。
さらに、表3〜表5は、ろ過流量を膜面積で割ったフラックスも大きく、ろ過膜モジュール4が平膜モジュール90に比べて原理的にも優れていることを示している。
以上の解析例から明らかなように、ろ過膜モジュール4は、すべての管状ろ過膜11aに対して均等に空気泡が分配されるならば、平膜モジュール90や中空糸膜モジュールに比べ、格段にコンパクトであるにも拘らず、これらのモジュールよりもろ過流量が大きい。
【0104】
なお、ろ過膜モジュール4においては、上述の通り、管状ろ過膜11a中に供給された空気泡は、当該管状ろ過膜11a内を上昇する以外、他に移動することができないので、ろ過膜モジュール4の一部(上部)が被処理液から露出しているとしても、管状ろ過膜11a内の被処理液全体を浮力により押し上げることができる。すなわち、ろ過膜モジュール4は、一部が被処理液から露出しても、全体が被処理液中に浸漬されている場合と同様に、被処理液のろ過処理を実施することができる。これに対し、平膜モジュールや中空糸膜モジュールは、被処理液が膜間の広い流路の中を自由に動くことができるため、モジュールの一部が被処理液から露出すると、空気泡によって押し上げられる被処理液の流量は激減する。したがって、平膜モジュールや中空糸膜モジュールは、被処理液から一部が露出すると被処理液の循環流量が激減するため、被処理液のろ過処理が不可能になる。
【0105】
次に、単独浄化槽を改造した上述の浄化槽1の特性を、実際の総合生活排水に関するデータに基づいてシミュレーションした結果に従って詳細に説明する。なお、総合生活排水の性質は、家庭毎に異なるため、特定の家庭からの総合生活排水に基づくデータは客観的を欠く。このため、以下の説明において引用するろ過流量のデータには、比較的規模の大きい集合住宅からの総合生活排水を上述のろ過装置3を用いてろ過した場合の測定値を用いた。
表6に、このシミュレーションにおいて容器2として用いた平均的な5人用単独浄化槽の仕様を示す。この浄化槽の調整可能容量は480lである。
【0106】
【表6】
【0107】
また、表7に、このシミュレーションにおいて用いたろ過装置3の仕様を示す。但し、このろ過装置3では、ろ過膜モジュール4として、内径154mmの塩化ビニル樹脂製パイプ(JIS規格のVU−150)内に、内径および外径がそれぞれ8mmおよび8.4mmに設定された、平均孔径が約0.4μmのろ過膜層20を用いた管状ろ過膜11aを充填率が0.75になるよう充填し、両端の保持部10aの長さを25mmに設定したものを用いた。また、案内筒5には、外径163mm、長さ22cmのステンレスパイプ(JIS規格の150A)を使用し、その下端から曝気室502底面までの高さが8cmとなるように、ステンレスパイプからなる脚50を溶接した。さらに、空気供給装置6として、外径22mmの3本のステンレスパイプ(JIS規格の15A)を組合せ、それに直径5mmの空気泡噴出孔68を合計で7個穿孔したものを用いた。なお、表7に示したフラックスおよびろ過流量の数値は、空気発生装置509から毎分100lの流量で空気泡供給装置6に空気を供給した場合のものである。また、フラックスの値は、ろ過膜モジュール4が浸漬した状態から40cm露出した状態の平均値である0.5m/dを用いた。
【0108】
【表7】
【0109】
浄化槽1の運転時において、曝気室502から沈殿分離室501への返送流量は、1日当りの総合生活排水量を24で割った平均流量の約3倍とした。また、曝気室502における曝気(すなわち、空気発生装置509から空気泡供給装置6への空気の供給)および曝気室502から沈殿分離室501への返送は24時間継続したが、曝気室502の水位が下限水位l3以下になったときにはろ過が停止する。すなわち、曝気室502の水位が下から60cmになると、液面センサー520が作動して吸引ポンプ73が停止し、ろ過が停止する。なお、沈殿分離室501のそのときの水位は、曝気室502と同じになるように設定されているので、60cmである。ここでのろ過方式は、ろ過膜モジュール4が80%露出した状態におけるろ過流量を85l/hrに設定した定速ろ過とした。
【0110】
浄化槽1内の総合生活排水(被処理液)量Vの変化をシミュレーションするに当り、就寝後は総合生活排水の流入がなく、曝気室502の早朝の水位は下限水位l3にあるものとする。そして、このときの容器2内の被処理液量をV0とする。流入開始後の最初の1時間で容器2内にQ1lの総合生活排水が流入すると、直ちにろ過を開始するので、1時間後にはQ1−J+V0(l)の被処理液が容器2内に残存することになる。ところが、Q1−J=0になると、曝気室502の下限水位l3になるので、ろ過が停止する。したがって、運転開始から1時間後に容器2内に残存する被処理液量(V1とする)は、次のようになる。
【0111】
【数6】
【0112】
その後の容器2内の被処理液量は、Qn−J+Vn-1≦720(l)になるまでの間(nは経過時間を示す)、Vn=Qn−J+Vn-1(l)に従って変化する。そして、Qn−J+Vn-1≦720(l)になると、液面センサー520が作動してろ過が停止するので、被処理液量は720lになる。因みに、曝気室502内の水位は、V≦720(l)のときには60cmになり、V>720(l)になるとV/1.2/10(cm)になる。
【0113】
図18は、5人家族の家庭の平均的な排水パターンの1時間ごとの総合生活排水量に基づいて計算した、当該総合生活排水の1日あたりの積算量並びに上述の計算に従って逐次計算した浄化槽1内の被処理液量と水位の変化を示している。図18によると、上記の平均的な家庭では、午前中に洗濯を終え、夕食時から入浴後の浴槽の排水までの4時間で、1日の総排水量1,250l中の700lを使っている。この間に最高水位は90cmに達したが、上限水位との間に10cm、すなわち、120lの余裕がある。集中的な排水がこの程度の量よりも大きくなると、水位が1mを越えるためにオーバーフローが発生する。逆に、浴槽の残り湯を洗濯等に使用すれば、総排水量も減るし、排水量の変動も平準化されるので、曝気室502内の水位は、図18に示す状態よりもさらに余裕を持った水位内で変動する。
【0114】
次に、ろ過液のBOD濃度の変化をシミュレーションする。但し、総合生活排水のBOD濃度は一定とし、設定値には表8の値を用いる。
【0115】
【表8】
【0116】
BOD消化速度16500mg/hrは、容積負荷1kg/m3/dに相当するが、この値は、MLSS濃度を5000〜7000ppmに保持しながら、BODが200ppmの総合生活排水を連続的に浸漬型膜ろ過する場合にほぼ相当する(例えば、能勢元昭他、第37回下水道研究発表会講演集、7−89、社団法人日本下水道協会、2000参照)。
BODの初期濃度が最低値C0にある曝気室502内に、1時間でQ1lの総合生活排水が流入したとすると、1時間後のBOD濃度(C1)は、およそ次のようになる。
【0117】
【数7】
【0118】
ここで、右辺がC0以下の場合には、C1≒C0であり、正の場合にはC1である。また、次の1時間後のBOD濃度(C2)は、およそ次のようになる。
【0119】
【数8】
【0120】
C0=5ppmとして逐次計算すると、図19が得られる。
図18および図19は、表6の仕様の単独浄化槽に対して表7の仕様のろ過装置3を直接組み込むによって、表8に示す総合生活排水を、オーバーフローを起こすことなく、ろ過液のBOD濃度が10ppmになるまで処理できることを示している。したがって、このシミュレーションによれば、単独浄化槽の改造により実現できる浄化槽1は、合併浄化槽に匹敵する浄化処理が可能である。
【0121】
[他の実施の形態]
(1)上述の実施の形態では、ろ過液排出装置7の先端に吸引ポンプ73を接続し、ろ過膜モジュール4において被処理液を定速ろ過したが、本発明の浄化槽1は定圧ろ過方式で総合生活排水をろ過処理することもできる。この場合は、吸引ポンプ73を第2排出経路72から取り外し、図1に点線で示すように、第2空気供給路512に分岐路514を設けてこれを容器2の外部で開放する。また、分岐路514には、電磁弁515を設けておく。このようにすると、ろ過膜モジュール4におけるろ過圧は、曝気室502内における被処理液の水位にかかわらず、ろ過膜モジュール4の上端と第2排出経路72の先端部との高低差による一定の水頭圧(図1のP)に保たれる。
【0122】
(2)上述の実施の形態では、ろ過液の排出口12が収納容器10の側面に設けられている管状ろ過膜モジュール4を用いた場合について説明したが、本発明の浄化槽において利用可能なろ過膜モジュールはこれに限定されるものではない。
【0123】
図20および図21を参照して、本発明の浄化槽において利用可能な他のろ過膜モジュール200を説明する。このろ過膜モジュール200は、図20(ろ過膜モジュール200の縦断面図)および図21(ろ過膜モジュール200の、図17のXXI−XXI断面に相当する図)に示すように、円筒状の収納容器210と、この収納容器210内に充填された管状ろ過膜群211とを主に備えている。収納容器210は、例えば樹脂製の部材であり、円筒状の集水管212と、当該集水管212の軸を中心としてその外側に間隔(空間)を設けて同心円状に配置された円筒状の外筒213とを主に備えている。集水管212は、図の下端部が閉鎖されており、また、図の上端部が開口して排出口212aを形成している。また、集水管212は、複数の通液孔212bを壁面に備えている。
【0124】
管状ろ過膜群211は、細長な円筒状に形成された管状ろ過膜211aの多数本を含む群であり、各管状ろ過膜211aは、収納容器210の集水管212と外筒213との間に形成された空間内に、集水管212と平行に充填されている。このような管状ろ過膜群211の上端部および下端部は、それぞれウレタン樹脂などの樹脂材料を用いて形成された保持部210aにより、各管状ろ過膜211aの開放状態を維持しつつ収納容器210に対して一体的に保持されると共に固定されている。この結果、収納容器210の両端部は、当該保持部210aにより液密に閉鎖されることになる。なお、管状ろ過膜211aは、上述の実施の形態において説明した管状ろ過膜11aと同様に形成されている。
【0125】
なお、図20等では、理解の便のため、管状ろ過膜211aの太さ、管状ろ過膜211a間の隙間等を強調している。また、図面を理解し易くするため、図20では管状ろ過膜211aの本数を少な目に表現し、また、図21においては管状ろ過膜211aの一部のみ表示している。
【0126】
上述のようなろ過膜モジュール200は、例えば次のような工程を経て製造することができる。
先ず、図22に示すような固定装置230を用い、収納容器210を形成する。ここで用いる固定装置230は、外筒213内に集水管212を同心状態で固定するためのものであり、外筒213を保持するための外筒保持部231と、集水管212を保持するための集水管保持部232とを備えている。
【0127】
外筒保持部231は、外筒213の一端を収納するための受け部233と、受け部233に対して外筒213を固定するための押え板234とを有している。受け部233は、外筒213の端部を収納可能な円形の凹部233aを有しており、その凹部233aの中心部には、孔部233bが形成されている。また、凹部233aは、深さ方向の中程において、開口側の内径が大きくなるよう設定されており、そのような内径の変更部分において段部233cを形成している。さらに、凹部233aの開口部周縁には溝235が形成されており、当該溝235には環状のゴム弾性体235aが配置されている。一方、押え板234は、中心部に外筒213を挿入可能な挿入孔234aを備えた部材であり、平面形状が受け部233と概ね同じに設定されている。
【0128】
一方、集水管保持部232は、シャフト236、位置決め部材237、押え具238およびナット239を備えている。シャフト236は、集水管212内に挿入可能でありかつ受け部233の孔部233bを貫通可能な棒状の部材であり、一端に螺旋部236aを有し、また、他端に頭部236bを有している。位置決め部材237は、集水管212内に挿入可能な挿入部237aと、当該挿入部237aを集水管212内に挿入した状態で集水管212から突出する突出部237bとを一体的に有する概ね円柱状の部材であり、その中心部にはシャフト236を貫通させるための貫通孔237cが形成されている。突出部237bの突出量は、受け部233の凹部233aにおける低部から段部233cまでの距離と同じに設定されている。押え具238は、集水管212の内部に挿入可能な円板状の部材であり、中心にシャフト236を挿入するための挿入孔238aを有している。ナット239は、シャフト236の螺旋部236aに対して装着可能なものである。
【0129】
上述の固定装置230を用いて収納容器210を形成する場合は、先ず、外筒213を外筒保持部231により保持する。ここでは、外筒213の一端を受け部233の凹部233a内に挿入し、段部233cに当接させる。そして、押え板234の挿入孔234a内に外筒213が挿入された状態で、押え板234をゴム弾性体235aに対して押し付けた状態で固定する。これにより、外筒213は、一端が凹部233a内に挿入された状態で保持されることになる。
【0130】
次に、集水管保持部232を用い、集水管212を外筒213の内部に配置する。ここでは、先ず、位置決め部材237の挿入部237aの先端に管状のゴム弾性体237dを装着し、その状態で当該挿入部237aを集水管212内に挿入する。また、集水管212内に、位置決め部材237を挿入した側とは異なる側から押え具238を挿入する。そして、シャフト236を、その頭部236bが押え具238に当接するよう、押え具238の挿入孔238aおよび位置決め部材237の貫通孔237cに挿入する。この状態で、シャフト236の螺旋部236aが受け部233の孔部233bから突出するよう集水管212を外筒213の内部に挿入し、螺旋部236aにナット239を装着する。これにより、固定装置230は、集水管212が外筒213内で同心円状に配置された状態で両者を保持し、収納容器210を形成することになる。
【0131】
次に、上述のようにして形成された収納容器210内に管状ろ過膜群211を充填する。ここでは、図22に示すように、多数本の管状ろ過膜211aを平行に束ねた管状ろ過膜群211を、外筒213と集水管212との間に形成された空間内に挿入する。この際、各管状ろ過膜211aの長さは収納容器210よりも大きく設定しておき、管状ろ過膜群211の両端部が収納容器210から突出するよう設定する。また、各管状ろ過膜211aの両端は、ヒートシールにより閉鎖しておく。
【0132】
次に、樹脂材料を用い、管状ろ過膜群211を収納容器210に対して固定する。ここでは、先ず、図23に示すようなモールド240を用意する。このモールド240は、キャビティ241を備えたものであり、キャビティ240は管状ろ過膜群211を挿入可能な中心部242と、中心部242の周りに連続して形成された、収納容器210の外筒213を挿入可能な外筒挿入部243とを備えている。このモールド240の中心部242には、未硬化状態の樹脂材料244(例えば未硬化ウレタン樹脂)を注入しておく。
【0133】
一方、固定装置230により形成された収納容器210において、集水管212の開口側を、キャップ245を用いて閉鎖する(図22)。そして、図23に示すように、収納容器210から突出している管状ろ過膜群211をキャビティ241の中心部242内に注入された樹脂材料244中に徐々に浸漬し、外筒213の端部を外筒挿入部243内で保持する。この状態を樹脂材料244が硬化するまで維持し、樹脂材料244が完全に硬化してからモールド240を取り外す。これにより、管状ろ過膜群211の一端側は、収納容器210の一端側に対して固定されることになる。その後、収納容器210から突出している、硬化した樹脂材料244および管状ろ過膜群211を切除し、また、キャップ245を取り外す。
【0134】
次に、収納容器210を固定装置230から一旦分離し、収納容器210を逆向きにしてから再度固定装置230により固定する。その状態で、モールド240に対する上述のような操作を繰り返すと、管状ろ過膜群211の他端側も収納容器210の他端側に対して固定され、目的とするろ過膜モジュール200が得られる。この際、集水管212の開口部をキャップ245で閉鎖しなければ、集水管212の内部にも樹脂材料244が流入し、それが集水管212の一端を閉鎖することになる。製造されたろ過膜モジュール200において、収納容器210の両端部は、各管状ろ過膜211aの両端部を除き、硬化した樹脂材料244による保持部210aが形成され、この保持部210aにより液密に閉鎖されることになる。
【0135】
なお、上述の製造工程において用いられる樹脂材料244としては、上述の実施の形態において用いた管状ろ過膜モジュール4の場合と同様、ウレタン樹脂の他に、エポキシ樹脂などの他の熱硬化性樹脂やホットメルト接着材を用いることもできる。また、上述の製造工程においては、収納容器210と樹脂材料244との接着性を高めることを目的として、外筒213の内周面および集水管212の外周面に対し、予め接着助剤の利用による、またはコロナ放電処理による表面処理を施しておいてもよいし、樹脂材料244のアンカー効果を高めるための溝加工を加えておいてもよい。
【0136】
このようなろ過膜モジュール200を用いて上述のろ過装置3を構成する場合、ろ過液排出装置7は、排出口212aに対して接続する。
【0137】
このろ過膜モジュール200を用いた被処理液のろ過処理時において、被処理液は、空気泡供給装置6から噴出する空気泡に伴い、図20に矢印で示すように、ろ過膜モジュール200の各管状ろ過膜211a内を下側から上側に向けて押し上げられる。この際、被処理液の一部は、管状ろ過膜211aを内側から外側に通過してろ過され、また、被処理液中に含まれるろ別成分は、管状ろ過膜211aの内周面のろ過膜層により捕捉され、被処理液から取り除かれる。ろ別成分が取り除かれた被処理液(ろ過液)は、管状ろ過膜211a間の隙間を通過し、通液孔212bから集水管212内に流入する。集水管212内に流入したろ過液は、排出口212aから収納容器210の外部、すなわちろ過液排出装置7内に連続的に排出される。このような一連のろ過処理により、曝気室502内の被処理液は、図1に矢印で示すのと同様に、ろ過膜モジュール200を下側から上側方向に通過して自然に循環することになる。
【0138】
(3)上述のろ過装置3では、ろ過膜モジュール4を円筒状に、すなわち、ろ過膜モジュール4の収納容器10を円筒状に形成したが、収納容器10は、角筒状や多角形(例えば五角形以上の多角形)の筒状等、他の形状の筒状に形成されていてもよい。
【0139】
(4)上述の実施の形態では、管状ろ過膜11aにおいて突起22を連続した螺旋状に設けたが、突起22の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、突起22は、支持膜層21の外周面において部分的に設けられていればよく、例えば、断続的な螺旋状や点状などの各種の形態で設けられていてもよい。
【0140】
(5)上述の実施の形態では、管状ろ過膜11aをろ過膜層20と支持膜層21との2層構造に形成したが、管状ろ過膜11aの潰れ圧を、その肉厚と外径との比を適宜設定することにより上述の所要の値に設定する場合は、図24に示すように、支持膜層21の外周面にさらに通液性を有する補強層25を配置してもよい。
【0141】
ここで用いられる補強層25は、通液性を有するものであれば特に限定されるものではないが、通常は支持膜層21を構成するものと同様の不織布、特にポリエステル樹脂系の不織布が好ましく用いられる。なお、このような補強層25を備えた管状ろ過膜11aは、通常、管状ろ過膜11aを製造するために用いられる上述の複合膜23の支持膜層21側にさらに補強層25が積層された複合膜を用いると製造することができる。このような複合膜を製造する場合において、補強層25は、通常、支持膜層21の表面にホットメルト接着剤や熱硬化性接着剤を点在させて接着するのが好ましい。このようにすると、複合膜は、補強層25によりろ過抵抗が高まるのを抑制することができ、上述の実施の形態の場合と同様のろ過抵抗、すなわち、ろ過液の通過性を達成することができる。
【0142】
なお、管状ろ過膜11aがこのような補強層25を備えている場合、当該管状ろ過膜11aの肉厚および外径は、この補強層25を含めて計算する。また、管状ろ過膜11aの表面に上述のような突起22を形成する場合、当該突起22は補強層25の表面に形成する必要がある。
【0143】
(6)上述の実施の形態では、ろ過膜モジュール4と案内筒5とを接続するためにソケット52を用いたが、両者の接続方法はこれに限定されるものではない。例えば、案内筒5の脚50の上端をろ過膜モジュール4の上端近傍まで延長し、脚50の上端からろ過膜モジュール4に向けて延びる着脱可能なスプリング部材により、ろ過膜モジュール4を案内筒5方向に押圧するようにした場合もろ過膜モジュール4と案内筒5とを接続することができる。
【0144】
(7)上述の実施の形態では、空気泡供給装置6の空気泡噴出孔68から発生する空気泡の大きさを、管状ろ過膜11aの内径以上になるよう設定したが、本発明の浄化槽は、上記空気泡の大きさが管状ろ過膜11aの内径より小さい場合であっても、上述の実施の形態の場合と同じく総合生活排水を浄化処理することができる。
【0145】
(8)上述の実施の形態では、ろ過装置3が逆洗装置8を備えている場合について説明したが、ろ過装置3は、逆洗装置8に代えて、ろ過膜モジュール4を洗浄するための次亜塩素酸ソーダ水のような薬液を供給するための薬液供給装置を備えていてもよい。また、ろ過装置3においては、逆洗装置8を省略することもできる。この場合、定量フロート弁80、第2空気供給路512、第1電磁弁513および第2電磁弁74を省略し、第1排出経路71を吸引ポンプ73に直結する。
【0146】
【発明の効果】
本発明の浄化槽は、上述のようなろ過膜モジュールと、容器内においてろ過膜モジュールの下方からろ過膜モジュールに向けて空気泡を供給するための空気泡供給装置とを備えているため、ろ過膜モジュールの全体が総合生活排水中に浸漬された状態と、ろ過膜モジュールの一部が総合生活排水から露出した状態との間になるよう、総合生活排水の浄化工程において容器内に貯留する総合生活排水の水位を設定すれば、総合生活排水量の多少に拘わらず、容器内に貯留された総合生活排水をろ過することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る浄化槽の概略図。
【図2】前記浄化槽において用いられるろ過装置の概略図。
【図3】前記ろ過装置において用いられるろ過膜モジュールの縦断面図。
【図4】前記ろ過膜モジュールの図3のIV−IV断面に相当する図。
【図5】図4のV矢視図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】前記ろ過膜モジュールにおいて用いられる管状ろ過膜の斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII断面端面図。
【図9】前記管状ろ過膜の製造工程を示す図。
【図10】前記ろ過膜モジュールを製造するための一工程を示す図。
【図11】前記ろ過膜モジュールを製造するための他の工程を示す図。
【図12】前記ろ過装置において用いられる案内筒の縦断面図。
【図13】前記案内筒の、図12のXIII−XIII断面に相当する図。
【図14】前記ろ過装置において用いられる逆洗装置を構成する定量フロート弁の正面図。
【図15】前記定量フロート弁を構成するフロート弁部の断面図。
【図16】前記ろ過膜モジュールのろ過流量特性を解析する際に比較の対象とした平膜モジュールの一部断面正面図。
【図17】前記平膜モジュールに用いられる膜プレートの一部切欠斜視図。
【図18】平均的な家庭から1日に排出される総合生活排水の1時間毎の積算量並びに1時間毎の浄化槽内の被処理液量と水位の変化を示したグラフ。
【図19】前記浄化槽から得られるろ過液のBOD濃度の変化をシミュレーションした結果を示すグラフ。
【図20】前記ろ過装置において利用可能な他の形態のろ過膜モジュールの縦断面図。
【図21】前記他の形態のろ過膜モジュールの、図20のXXI―XXI断面に相当する図。
【図22】前記他の形態のろ過膜モジュールを製造するための一工程を示す図。
【図23】前記他の形態のろ過膜モジュールを製造するための他の工程を示す図。
【図24】前記ろ過膜モジュールに用いられる管状ろ過膜の変形例の図8に相当する図。
【符号の説明】
1 浄化槽
2 容器
4,200 ろ過膜モジュール
6 空気泡供給装置
7 ろ過液排出装置
8 逆洗装置
10,210 収納容器
12,212a 排出口
11,211 管状ろ過膜群
11a,211a 管状ろ過膜
501 沈殿分離室
502 曝気室
Claims (5)
- 総合生活排水を浄化して浄化液を得るための浄化槽であって、
前記総合生活排水を貯留するための容器と、
前記総合生活排水のろ過機能を有する管状ろ過膜の複数本を含む管状ろ過膜群が前記浄化液の排出口を有する筒状の収納容器内に収容されかつその両端部で保持された、前記管状ろ過膜が上下方向に開口するよう前記容器内に配置されたろ過膜モジュールと、
前記容器内において前記ろ過膜モジュールの下方に配置された、前記ろ過膜モジュールに向けて空気泡を供給するための空気泡供給装置と、
前記排出口から延びかつ前記浄化液を前記容器の外部に排出するための浄化液排出経路とを備え、
前記容器は、前記総合生活排水の浄化工程において、前記ろ過膜モジュールの全体が前記総合生活排水中に浸漬された状態と、前記ろ過膜モジュールの一部が前記総合生活排水から露出した状態との間で、前記総合生活排水の水位の変動を可能にした、
浄化槽。 - 前記容器は、前記総合生活排水を嫌気性活性汚泥を用いて浄化処理するための予備ろ過槽と、前記予備ろ過槽で浄化処理された前記総合生活排水を好気性活性汚泥を用いてさらに浄化処理するための曝気槽とに区画されており、前記ろ過膜モジュールは前記曝気槽内に配置されている、請求項1に記載の浄化槽。
- 前記管状ろ過膜の内径が3〜15mmである、請求項1または2に記載の浄化槽。
- 前記空気泡供給装置は、前記管状ろ過膜の内径以上の大きさの前記空気泡を前記ろ過膜モジュールに向けて供給可能に設定されている、請求項1、2または3に記載の浄化槽。
- 前記浄化液排出経路内の前記浄化液を前記排出口を通じて前記収納容器内に加圧しながら逆流させるための逆洗装置をさらに備えている、請求項1、2、3または4に記載の浄化槽。
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