JP2722108B2 - 中空糸膜束による汚水処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、汚水を好気的または嫌気的に生物処理する
生物反応処理槽（バイオリアクタ）と、その処理混合液
を中空糸膜束により固液分離する装置とを組み合わせた
汚水処理装置に関するものである。

［従来の技術］ 従来の汚水処理装置における固液分離膜としては、平
膜やチューブラー膜を使用したものが知られている。

しかしながら、上記従来の膜による固液分離は、膜表
面に濃度分極の発生と汚泥のゲル層が付着するのを防止
するために、混合液に乱流を与える必要があり、そのた
めに所要動力が大きくなるという問題点があった。

また、上記従来の膜は膜面に付着したゲル層を剥離除
去するために、ボール洗浄等を必要とし、透過流量の制
御が困難であった。

上記従来の問題点を解決するために、本発明者等は、
生物反応処理をした混合液中に中空糸膜の束を遊動自在
に収容せしめ、該中空糸膜の内部を間欠的に吸引して上
記混合液を透過液と濃縮液とに固液分離すると共に、上
記間欠吸引の吸引・休止の間隔をコントロールして、透
過流量を制御するようにした汚水処理方法および装置を
開発した。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明は、上記開発に係る汚水処理装置の経済的な実
用化を促進するためになされたもので、その目的とする
ところは、全体としてコンパクトに構成することによ
り、実状に応じて処理能力を容易に増減させることがで
き、装置を稼動させながら中空糸膜束を交換したり洗浄
する等のメンテナンスが可能な中空糸膜束による汚水処
理装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明の中空糸膜束による汚水処理装置は、汚水を好
気的または嫌気的に生物処理する生物反応処理槽を斜め
に貫くように多数本の傾斜管を設け、該傾斜管内に中空
糸膜束を収容して該傾斜管の上方端部から下方端部に向
けて上記生物反応処理槽により処理したフロックを含む
混合液を流し、上記中空糸膜の内部を低圧状態にして混
合液から液部分を透過させて固液分離することを特徴と
するものであり、また、上記中空糸膜を上記傾斜管の上
方端部から取り出し自在に収容したことを特徴とし、さ
らに、上記傾斜管の下方端部を開閉自在に構成して、傾
斜管内をクリーニング可能にしたことを特徴とするもの
である。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら
説明する。

第１図において、１は除砂装置、２はスクリーンであ
って、汚水の原液中に混入している土砂等の固形物を除
去するようになっている。

３は可変容量型のバイオリアクタ（生物反応処理槽）
であって、上記原液が流入管４を通して流入するように
なっている。本実施例では、自然流下するようになって
いるが、適宜ポンプ（図示せず）により供給するように
してもよい。尚、原液が厨房排水のような油を含む汚水
の場合には、油分離を行ってからバイオリアクタ３に導
入するようにする。

上記原液の流入量は時間的に変化し、そのために、該
バイオリアクタ３内の生物フロックを含む混合液、即ち
活性汚泥混合液５の水位は上下（HWL,LWL）の間を変動
するようになっている。

該バイオリアクタ３の底部には、散気管６が配設され
ていて、曝気ブロワー７から送気される空気を上記混合
液５中に散気するようになっている。

８は流出管であって、上記バイオリアクタ３内の混合
液５をポンプ９により排出するようになっている。

該流出管８から排出される混合液５は、傾斜管10内に
送られる。

該傾斜管10は、上記バイオリアクタ３内を傾めに横切
るように配設されていて、その両端部はバイオリアクタ
３から外部に露出しており、混合液５の流入口は上方に
位置し、流出口は下方に位置している。尚、傾斜管10を
ハニカムチューブ状に構成してもよい。

傾斜管10の下方流出口には排出管10aが内方に突出し
て取り付けられていて、傾斜管10の下端部内に沈積した
沈澱物を吸い込まないようにしている。排出管10aから
排出される濃縮液はポンプ11によりバイオリアクタ３内
に戻される。

上記傾斜管10内には多数の中空糸膜12が収容されてい
る。該中空糸膜12は、例えば、0.1ミクロン程度の微細
な穴を無数に明けたポリエチレン等の合成樹脂製の直径
0.3mm程度の糸状中空管である。中空糸膜12は、上記の
ものに限定するものではなく、これまで使用または開発
されている中空糸膜であれば、いずれのものでもよい。

該中空糸膜12の束の上端部は、第２図に拡大して示す
ように、吸引管13内に開口した状態で固着されている。
尚、中空糸膜12は傾斜管10内を自由に遊動するようにな
っていて、その下端部は閉塞されている。この中空糸膜
12をループ状に折り返して、その両端部を吸引管13に固
着させてもよい。

14は吸引ポンプ等の吸引装置であって、上記吸引管13
を吸引して中空糸膜12内を低圧状態にすることにより、
傾斜管10内を流れる混合液５のうち、固形分、微生物、
ウイルス等を除いた液部分のみを中空糸膜12の内部に透
過させて固液分離を行う。

15は間欠タイマーであって、上記吸引装置14の稼動時
間および休止時間を適宜設定することにより、その吸引
と休止の時間を変化せしめるようになっている。

次に、上記実施例装置の作用を説明する。

まず、有機性汚水の原液から除砂装置１およびスクリ
ーン２により砂等の固形分を分離して流入管４からバイ
オリアクタ３内に導入する。

バイオリアクタ３内に導入された有機性汚水は活性汚
泥混合液５となる。活性汚泥混合液５の水位WLは、上記
流入管４からの流入量および流出管８からの流出量の変
化に応じて上下変動する。

バイオリアクタ３内には底部の散気管６から空気が供
給されるので、バイオリアクタ３内に流入した汚水中の
有機物は、好気性微生物フロックに吸着され、さらに酸
化分解されて浄化される。

活性汚泥を含んだ処理水はポンプ９により流出管８か
ら傾斜管10に送られる。

傾斜管10内に流入した混合液は、中空糸膜12の微細な
穴を通って吸引管13に吸引され、その透過液は処理水と
して引き抜かれる。

中空糸膜12により吸引されない濃縮液は、ポンプ11に
より排出管10aからバイオリアクタ３に戻される。

上記吸引装置14は間欠タイマー15により断続的に稼動
して、上記透過液流量を制御するようになっている。該
間欠タイマー15はコンピュータによりコントロールする
とよい。

一般に、生活排水等の有機性汚水の処理は、通常連続
運転しているが、長期間に亙って運転していると、上記
中空糸膜12の表面にゲル等が付着して、いわゆる目詰り
が生ずる場合があり、この場合には、傾斜管10の両端部
のバルブ10b,10cを閉じて混合液の流れを停止した上
で、第２図に示すキャップ16を取り外し、中空糸膜12を
交換する。また、下方のキャップ17も取り外すことによ
り、傾斜管10の内部をクリーニングすることができる。
このクリーニングにより排出した液は溜槽18に溜るの
で、これをポンプ19によりバイオリアクタ３内に戻す。

上記実施例は好気性のバイオリアクタでの処理につい
て説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、
嫌気性のバイオリアクタであってもよい。この場合、バ
イオリアクタには蓋をし、ガス捕集と加熱が必要であ
る。

［発明の効果］ 全体としてコンパクトに構成することにより、実状に
応じて処理能力を容易に増減させることができ、装置を
稼動させながら中空糸膜束を交換したり洗浄する等のメ
ンテナンスが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の汚水処理装置の断面図、第２図は部分
拡大断面図である。 １……除砂装置、２……スクリーン、３……バイオリア
クタ、４……流入管、５……混合液、６……散気管、７
……曝気ブロワー、８……排出管、９……ポンプ、10…
…傾斜管、10a……排出管、10b,10c……バルブ、11……
ポンプ、12……中空糸膜、13……吸引管、14……吸引ポ
ンプ、15……間欠タイマー、16,17……キャップ、18…
…溜槽、19……ポンプ。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】汚水を好気的または嫌気的に生物処理する
   生物反応処理槽を斜めに貫くように多数本の傾斜管を設
   け、該傾斜管内に中空糸膜束を収容して該傾斜管の上方
   端部から下方端部に向けて上記生物反応処理槽により処
   理したフロックを含む混合液を流し、上記中空糸膜の内
   部を低圧状態にして混合液から液部分を透過させて固液
   分離することを特徴とする中空糸膜束による汚水処理装
   置。
2. 【請求項２】上記中空糸膜を上記傾斜管の上方端部から
   取り出し自在に収容したことを特徴とする請求項１に記
   載の中空糸膜束による汚水処理装置。
3. 【請求項３】上記傾斜管の下方端部を開閉自在に構成し
   て、傾斜管内をクリーニング可能にしたことを特徴とす
   る請求項１または２に記載の中空糸膜束による汚水処理
   装置。