JP4310262B2 - 副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン - Google Patents

副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン Download PDF

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Description

本発明は、副室パイロット着火式ガスエンジンに適用され、液体燃料噴射弁から副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射して着火燃焼せしめることにより生成された燃焼火炎を、主燃焼室内に噴出せしめて主燃焼室内の混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンであって、副室内に掃気を供給する副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジンに関する。
図6は、液体燃料噴射弁から副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射して着火燃焼せしめることにより生成された燃焼火炎を、主燃焼室内に噴出せしめて主燃焼室内の混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンの1例を示す燃焼室周りの要部概略構造図である。
図6において、101はピストン、102はシリンダライナ、103はシリンダヘッド、104は前記ピストン101の上部に形成された主燃焼室、106は給気ポート、108は該給気ポート106を開閉する給気弁、107は排気ポート、109は該排気ポート107を開閉する排気弁である。
110は前記シリンダヘッド103に固定された副室口金、105は該副室口金110内に形成された副室、111は該副室105と前記主燃焼室104とを連通する副室噴口
、112は前記副室105内に軽油等の液体燃料を噴射する液体燃料噴射弁、113は該液体燃料噴射弁112に液体燃料を供給するための液体燃料管である。
かかるパイロット着火式ガスエンジンの運転時において、前記液体燃料噴射弁112から副室105の内部に形成された空気流中に軽油等の液体燃料を噴射して(9は液体燃料噴霧)該液体燃料を着火燃焼せしめ、この着火火炎を前記副室噴口111から該主燃焼室104内に噴出せしめる。
該主燃焼室104内には、前記給気弁108の開弁により燃料ガスと空気との希薄混合気が導入されており、前記着火火炎の該主燃焼室104内への噴出により該希薄混合気を燃焼せしめる。
しかるに、前記副室パイロット着火式ガスエンジンにおいては、液体燃料噴射弁112から副室105内に液体燃料を噴射して着火燃焼せしめるが、特にエンジンの低負荷あるいは低回転運転時に、前記液体燃料の未燃分が副室105内に残留し易く、かかる未燃分及び燃焼の残留ガスが次の燃焼を阻害するという事態が発生し易い。
かかる液体燃料の未燃分を除去する手段の1つとして、特許文献1(特開2004−92574号公報)の技術が提供されている。
特許文献1の技術においては、副室の周壁に弁開閉機構により開閉制御される掃気弁を設け、エンジンの運転条件によって該弁開閉機構を介して掃気弁を開閉することにより、掃気通路を通して供給された掃気を副室に供給して、該副室内の液体燃料の未燃分を掃気するように構成されている。
特開2004−92574号公報
しかしながら特許文献1(特開2004−92574号公報)の技術にあっては、副室の周壁に掃気弁を設けるとともに該掃気弁を開閉制御する該弁開閉機構を設け、エンジンの運転条件によって弁開閉機構を介して前記掃気弁を開閉制御するように構成されているため、構造が複雑で部品点数も多くなって装置コストが高くなる。
また、かかる従来技術にあっては、ポペット弁等からなる前記掃気弁が、高温になる副室の周壁に装着されているため、該掃気弁が過熱されて作動不良や熱疲労破壊を起こし易い。
等の問題点を有している。
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、構造が簡単かつ部品点数が低減されて低コスト化されるとともに、副室の熱による作動不良や熱疲労破壊の発生を防止して副室の掃気を確実に行い得る副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジンを提供することを目的とする。
本発明はかかる目的を達成するもので、第1の発明は、エンジンのシリンダヘッドに装着された液体燃料噴射弁から該シリンダヘッドに内設された副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射し、該液体燃料を着火燃焼せしめることにより該副室内に生成された燃焼火炎を、該副室とエンジンの主燃焼室とを連通する副室噴口から該主燃焼室内に噴出せしめて、給気通路を通して該主燃焼室内に供給された燃料ガスと空気との混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンにおいて、前記給気通路から分岐されて前記副室に連通され該給気通路内の給気の一部を該副室内に供給する掃気通路を設けるとともに、該掃気通路に前記給気通路側から副室側に向かう給気の流れを許容し前記副室側から給気通路側に向かうガスを遮断する逆止弁を設け、前記掃気通路を通した前記給気の一部により前記副室内の掃気を行うように構成し、さらに前記掃気通路に、前記エンジンの一定負荷以上の高負荷運転時に該掃気通路を閉じて前記副室への前記給気の供給を遮断する掃気遮断手段を設けたことを特徴とする。
また、第2の発明は、エンジンのシリンダヘッドに装着された液体燃料噴射弁から該シリンダヘッドに内設された副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射し、該液体燃料を着火燃焼せしめることにより該副室内に生成された燃焼火炎を、該副室とエンジンの主燃焼室とを連通する副室噴口から該主燃焼室内に噴出せしめて、給気通路を通して該主燃焼室内に供給された燃料ガスと空気との混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンにおいて、前記給気通路から分岐されて前記副室に連通され該給気通路内の給気の一部を該副室内に供給する掃気通路を設けるとともに、該掃気通路に前記給気通路側から副室側に向かう給気の流れを許容し前記副室側から給気通路側に向かうガスを遮断する逆止弁を設け、前記掃気通路を通した前記給気の一部により前記副室内の掃気を行うように構成し、さらに前記給気通路の分岐部と前記逆止弁との間に該掃気通路の通路面積を絞る絞り機構を設けたことを特徴とする。
かかる第1、第2の発明によれば、特に過給機を備えた過給エンジンにおいて、前記給気通路内の圧力Psが前記副室内の圧力Ppよりも高くなる(Ps>Pp)給気行程中には、給気通路内の給気の一部が掃気通路に導入され、逆止弁を押し開いて副室内に流入し、該副室内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガスを掃除する掃気作用を行う。
これにより、副室内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガス等の残留物を副室内から確実に除去することができて、かかる残留物が次の燃焼を阻害するのを回避でき、安定したパイロット燃焼を実現できる。
また、前記副室内での燃焼時に副室内の圧力Ppが給気通路内の圧力Psよりも高くなる(Pp>Ps)燃焼行程や排気行程の一部においては、副室側の燃焼ガスは逆止弁により遮断されるため、該燃焼ガスが給気通路側に逆流することはない。
また、かかる第1、第2の発明において、具体的には、前記給気の一部として、前記給気通路における燃料ガスと空気との混合気を、前記掃気通路を通して前記副室内に供給するようにしても、あるいは、前記給気通路における燃料ガスと混合前の空気を、前記掃気通路を通して前記副室内に供給するようにしてもよい。
殊に給気通路における燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路を通して前記副室内に供給するように構成すれば、圧縮上死点付近での副室内での空気過剰率が大きくなって該副室内におけるパイロット燃焼の燃焼効率が向上する。
従って、かかる第1、第2の発明によれば、給気行程中において給気通路内の圧力Psが前記副室内の圧力Ppよりも高くなる(Ps>Pp)のを利用し、給気通路内の給気の一部を逆止弁を備えた掃気通路を通して副室内に供給して該副室内の掃気作用を行うこととなるので、給気通路と副室とを接続する掃気通路に簡単な構造の汎用逆止弁を設置するという、従来技術に係る掃気弁に比べて構造が簡単かつ部品点数が低減されて低コスト化された装置で以って、該副室内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガス等の残留物を副室内から確実に除去できる。
また、前記特許文献1の技術のようにポペット弁等からなる掃気弁を高温になる副室の周壁に装着する必要がなく、低温の掃気通路に簡単な構造の汎用逆止弁を設ければよいので、副室掃気装置が過熱されて作動不良や熱疲労破壊を起こすことが無く、作動が安定しかつ耐久性が向上した副室掃気装置が得られる。
また、かかる第1の発明において好ましくは、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器とエンジン負荷を検出する負荷検出器と、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき前記掃気遮断手段を操作するコントローラとを備えるように構成するのがよい。
かかるガスエンジンにおいては、エンジンの起動時、低負荷あるいは低回転運転時に、前記液体燃料噴射弁から噴射された液体燃料の燃焼が不安定となって、該液体燃料の未燃分が副室内に残留し易い。
然るに前記構成によれば、エンジン回転数の検出値あるいはエンジン負荷の検出値に基づき、高負荷運転時に掃気遮断手段により掃気通路を閉じ、エンジンの起動時、低負荷あるいは低回転運転時に、前記掃気遮断手段により掃気通路を開いて副室への前記給気の供給を行うので、副室内の掃気が必要な起動時、低負荷あるいは低回転運転時にのみ給気の一部による掃気を行うことができて、掃気作用に伴う主燃焼室側の給気量の減少を最小限に抑えることができる。
また、かかる第2の発明において好ましくは、前記絞り機構を可変絞り機構に構成するとともに、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器とエンジン負荷を検出する負荷検出器と、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき前記可変絞り機構の絞り度を制御するコントローラとを備えるように構成するのがよい。
このように構成すれば、前記掃気通路の通路面積を、可変絞り機構によって、エンジン回転数あるいはエンジン負荷に対応した通路面積に制御することにより、掃気量が過大になることが無く、エンジン回転数あるいはエンジン負荷に適応した掃気量で副室内の掃気を行うことができる。
また第3の発明は、エンジンのシリンダヘッドに装着された液体燃料噴射弁から該シリンダヘッドに内設された副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射し、該液体燃料を着火燃焼せしめることにより該副室内に生成された燃焼火炎を、該副室とエンジンの主燃焼室とを連通する副室噴口から該主燃焼室内に噴出せしめることにより、給気通路を通して該主燃焼室内に供給された燃料ガスと空気との混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンにおいて、前記給気通路から分岐されて前記副室に連通され前記給気通路中の給気の一部が導入される掃気通路を設けるとともに、該掃気通路に導入された前記給気の一部を加圧して前記副室内に供給するコンプレッサを該掃気通路に設け、該コンプレッサで加圧された前記給気の一部により前記副室内の掃気を行うように構成したことを特徴とする。
かかる発明において好ましくは、前記掃気通路に設けられたコンプレッサを駆動する可変速モータを備えるとともに、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器と、エンジン負荷を検出する負荷検出器と、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき前記可変速モータの運転、停止を制御するコントローラとを備える。
かかる発明によれば、掃気通路に設けたコンプレッサによって給気の一部を加圧して副室内に供給し該副室内の掃気を行うので、過給機を備えない無過給ガスエンジンにおいても給気行程中での掃気通路の圧力Psを副室内の圧力Ppよりも高くする(Ps>Pp)ことが可能となり、給気の一部による副室内の掃気作用を安定して行うことができる。
また、エンジン回転数の検出値あるいはエンジン負荷の検出値に基づきコンプレッサを作動させるので、副室内の掃気が必要なエンジンの起動時、低負荷あるいは低回転運転時にのみ給気の一部による掃気を行うことができて、前記コンプレッサの駆動動力を最小限に抑えることが可能となるとともに、掃気作用に伴う主燃焼室側の給気量の減少を最小限に抑えることができる。
また、かかる発明において好ましくは、前記給気の一部として、前記給気通路における燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路に導入して前記コンプレッサにより加圧するように構成する。
このように構成すれば、給気通路における燃料ガスと混合前の空気をコンプレッサにより加圧して、掃気通路を通して副室内に供給するので、圧縮上死点付近での副室内での空気過剰率が大きくなって該副室内におけるパイロット燃焼の燃焼効率が向上する。
また、かかる発明において好ましくは、エンジンの失火を検出する失火検出器を設け、前記コントローラは該失火検出器によりエンジンの失火が検出されたとき前記可変速モータを介して前記コンプレッサを運転せしめるように構成する。
このように構成すれば、エンジンにおける失火や過早着火を検知したときにのみ、前記コンプレッサを作動させて給気の一部を加圧して副室内の掃気を行うことにより、失火や過早着火により該副室内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガス等の残留物を副室内から確実に除去することができる。
また、かかる発明において好ましくは、前記給気通路中の給気の一部が導入される掃気通路における前記コンプレッサの下流部位に、該掃気通路を閉じて前記副室への前記給気の供給を遮断する掃気遮断手段を設け、前記コントローラは、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき、前記エンジンの一定負荷以上の高負荷運転時に前記可変速モータの運転を停止せしめるとともに前記掃気遮断手段により前記掃気通路を閉じて前記副室への前記給気の一部の供給を遮断せしめるように構成する。
このように構成すれば、副室内の掃気が必要なエンジンの起動時、低負荷あるいは低回転運転時にのみ、掃気通路に設けたコンプレッサによって給気の一部を加圧して副室内に供給し該副室内の掃気を行うとともに、前記運転時以外では掃気遮断手段により該副室内における掃気作用を停止するので、副室内の掃気が必要なエンジンの起動時、低負荷あるいは低回転運転時にのみ、給気の一部による副室内の掃気作用を安定して行うことができ、さらには前記コンプレッサの駆動動力を最小限に抑えることが可能となるとともに、掃気作用に伴う主燃焼室側の給気量の減少を最小限に抑えることができる。
本発明によれば、給気行程中において給気通路内の圧力Psが前記副室内の圧力Ppよりも高くなる(Ps>Pp)のを利用し、給気通路内の給気の一部を逆止弁を備えた掃気通路を通して副室内に供給して該副室内の掃気作用を行うこととなるので、給気通路と副室とを接続する掃気通路に簡単な構造の汎用逆止弁を設置するという、構造が簡単かつ部品点数が低減されて低コスト化された装置で以って、該副室内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガス等の残留物を副室内から確実に除去できる。
また本発明によれば、従来技術のようにポペット弁等からなる掃気弁を高温になる副室の周壁に装着する必要がなく、低温の掃気通路に簡単な構造の汎用逆止弁を設ければよいので、副室掃気装置が過熱されて作動不良や熱疲労破壊を起こすことが無く、作動が安定しかつ耐久性が向上した副室掃気装置が得られる。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、本発明の第1実施例に係るパイロット着火式ガスエンジンにおける副室掃気装置の全体構成図である。
図1において、101はピストン、102はシリンダライナ、103はシリンダヘッド、104は前記ピストン101の上部に形成された主燃焼室、106は給気ポート、108は該給気ポート106を開閉する給気弁、107は排気ポート、109は該排気ポート107を開閉する排気弁である。
110は前記シリンダヘッド103に固定された副室口金、105は該副室口金110内に形成された副室、111は該副室105と前記主燃焼室104とを連通する副室噴口
、112は前記副室105内に軽油等の液体燃料を噴射する液体燃料噴射弁、113は該液体燃料噴射弁112に液体燃料を供給するための液体燃料管である。114は前記給気ポート内に燃料ガスを噴射して混合気を形成するガス噴射弁、115は該ガス噴射弁114に燃料ガスを供給するための燃料ガス管である。
1は前記副室口金110内に穿孔されて前記副室105の上部に開口する掃気通路である。2は前記給気ポート106の前記ガス噴射弁114取付部の下流部位と前記副室口金110内の掃気通路1入口とを接続する掃気通路である。3は該掃気通路2に設置された逆止弁で、前記給気ポート106側から副室105側に向かう給気の流れを許容し前記副室105側から給気ポート106側に向かうガスを遮断するように構成されている。
前記掃気通路2には、前記逆止弁3よりも給気ポート106側に、該給気ポート106側から順に、該掃気通路2を開閉する遮断弁5及び該掃気通路2の通路面積を絞る可変絞り4が設置されている。
7はエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器、8はエンジン負荷を検出する負荷検出器、6はコントローラである。該コントローラ6は前記エンジン回転数検出器7から入力されるエンジン回転数の検出値及び前記負荷検出器8から入力されるエンジン負荷の検出値に基づき、後述する要領によって前記遮断弁5の開閉及び前記可変絞り4の絞り度つまり前記掃気通路2の通路面積を制御するものである。
かかる構成からなるパイロット着火式ガスエンジンの運転時において、ピストン101の圧縮行程時に主燃焼室104から副室噴口111を通って副室105内に流入し該副室105内にて形成された空気流中に前記液体燃料噴射弁112から軽油等の液体燃料を噴射して(9は液体燃料噴霧)該液体燃料を着火燃焼せしめる。
この着火火炎は前記副室噴口111を通って前記主燃焼室104内に噴出せしめる。
該主燃焼室104内には、前記給気弁108の開弁により前記ガス噴射弁114により形成された燃料ガスと空気との希薄混合気が導入されており、前記着火火炎の該主燃焼室104内への噴出により該希薄混合気が燃焼せしめられる。
ここで、かかるガスエンジンにおいては、エンジン100の起動時、低負荷あるいは低回転運転時に、前記液体燃料噴射弁112から副室105内に噴射された液体燃料の燃焼が不安定となって、該液体燃料の未燃分が副室105内に残留し易い。
そこでかかる実施例においては、前記コントローラ6により、エンジン100の一定負荷以下あるいは一定回転数以下の運転条件時に前記遮断弁5を開いて前記給気ポート106からの給気の一部を前記掃気通路2に導入し、前記一定負荷あるいは一定回転数を超える運転条件時には該遮断弁5を閉じて前記給気の一部の前記掃気通路2への導入を遮断するように制御されている。
従って前記のような遮断弁5を備えることにより、エンジン回転数の検出値あるいはエンジン負荷の検出値に基づき、エンジン100の高負荷運転時に、前記遮断弁5を作動させ掃気通路2を閉じて、副室105への混合気(給気)の供給を遮断し、副室105内の掃気が必要な起動時、低負荷あるいは低回転運転時にのみ前記遮断弁5を開いて給気の一部による掃気を行うことができて、掃気作用に伴う主燃焼室104側の給気量の減少を最小限に抑えることが可能となる。
前記エンジン100の起動時、低負荷あるいは低回転運転時には、前記のように、前記コントローラ6により遮断弁5が開かれているため、前記ピストン101の給気行程中には、過給機による給気の加圧により前記給気ポート106内の圧力Psは前記副室内の圧力Ppよりも高くなっており(Ps>Pp)、かかる圧力差(ΔP=Ps−Pp)によって、前記給気ポート106内の燃料ガスと空気との混合気の一部が掃気通路2に導入され前記逆止弁3を押し開いて掃気通路1から副室内105に流入し、該副室105内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガスを掃除する掃気作用を行う。
これにより、該副室105内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガス等の残留物を該副室105内から確実に除去することができて、かかる残留物が次の燃焼を阻害するのを回避でき、安定したパイロット燃焼を実現できる。
前記掃気作用時において、前記掃気通路2の前記遮断弁5と逆止弁3との間に設けられて該掃気通路2の通路面積を絞る可変絞り4は、前記コントローラ6により、前記エンジン回転数検出器7からのエンジン回転数の検出値あるいは前記負荷検出器8からのエンジン負荷の検出値に基づき、その絞り度つまり前記掃気通路2通路面積を制御する。
従って、前記可変絞り4によって、該掃気通路2の通路面積を、エンジン回転数あるいはエンジン負荷に対応した通路面積に制御することにより、掃気量が過大になることが無く、エンジン回転数あるいはエンジン負荷に適応した掃気量で副室105内の掃気を行うことが可能となる。
また、前記副室105内でのパイロット燃焼時に、該副室105内の圧力Ppが給気通路内の圧力Psよりも高くなる(Pp>Ps)燃焼行程や排気行程の一部においては、該副室105側の燃焼ガスは逆止弁3により、上流方向への流動が遮断されるため、該燃焼ガスが給気ポート106通路側に逆流することはない。
かかる実施例によれば、給気行程中において給気ポート106の圧力Psが副室105内の圧力Ppよりも高くなる(Ps>Pp)のを利用し、給気ポート106内の混合気の一部を逆止弁3を備えた掃気通路2を通して副室105内に供給して該副室105内の掃気作用を行うように構成したので、給気ポート106内と副室105とを接続する掃気通路2に簡単な構造の汎用逆止弁3を設置するという、従来技術に係る掃気弁に比べて構造が簡単かつ部品点数が低減されて低コスト化された装置で以って、該副室105内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガス等の残留物を副室105内から確実に除去できる。
また、低温の掃気通路2に簡単な構造の汎用逆止弁3を設ければよいので、副室掃気装置が過熱されて作動不良や熱疲労破壊を起こすことが無く、作動が安定しかつ耐久性が向上した副室掃気装置が得られる。
図2は本発明の第2実施例を示す図1対応図である。この実施例においては、前記掃気通路2を前記給気ポート106のガス噴射弁114設置部位よりも上流部位から分岐して設け、該給気ポート106における燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路2を通して前記副室105内に供給するように構成されている。
従って、かかる実施例によれば、給気ポート106における燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路2を通して副室105内に供給するように構成したので、圧縮上死点付近での副室105内での空気過剰率が大きくなって、該副室105内におけるパイロット燃焼の燃焼効率が向上する。
その他の構成及び作用効果は前記第1実施例と同様であり、該第1実施例と同一の部材は同一の符号で示す。
図3は本発明の第3実施例を示す図1対応図である。この実施例においては、前記掃気通路2を前記給気ポート106のガス噴射弁114設置部位よりも上流部位から分岐して、該給気ポート106における燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路2を通して前記副室105内に供給するように構成するとともに、前記掃気通路2の逆止弁3よりも給気ポート106寄りの部位に、コンプレッサ10を設置している。11は該コンプレッサ10を回転駆動する可変速モータである。
かかる第3実施例においては、前記給気ポート106内の空気(給気)の一部が掃気通路2aを通して前記コンプレッサ10に導入されて該コンプレッサ10で昇圧され、この昇圧空気が前記逆止弁3を押し開いて前記副室105内に供給され、該副室105内の掃気を行うようになっている。
また、かかる第3実施例においては、前記給気ポート106における前記ガス噴射弁114の上流側の燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路2に導入して前記コンプレッサ10により加圧するようになっている。
このように構成することにより、給気ポート106における燃料ガスと混合前の空気をコンプレッサ10により加圧して副室105内に供給するので、圧縮上死点付近での副室105内での空気過剰率が大きくなって、該副室105内におけるパイロット燃焼の燃焼効率が向上する。
従ってかかる第3実施例によれば、掃気通路2に設けたコンプレッサ10によって給気の一部(空気)を加圧して副室105内に供給し該副室105内の掃気を行うので、過給機を備えない無過給ガスエンジンにおいても給気行程中での掃気通路2の圧力Psを副室105内の圧力Ppよりも高くする(Ps>Pp)ことが可能となり、給気の一部による副室内の掃気作用を安定して行うことができる。尚、この実施例では、前記第1実施例における遮断弁5及び可変絞り4を除去している。
その他の構成及び作用効果は前記第1実施例と同様であり、該第1実施例と同一の部材は同一の符号で示す。
図4は本発明の第4実施例を示す図3対応図である。この実施例においては、図3の第3実施例に加えて、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器7と、エンジン負荷を検出する負荷検出器8と、該エンジン回転数検出器7からのエンジン回転数の検出値あるいは該負荷検出器8からのエンジン負荷の検出値に基づき前記コンプレッサ10を駆動する可変速モータ11の運転、停止を制御するとともに後述する遮断弁5を開閉制御するコントローラ6とを設け、さらに掃気通路2の該コンプレッサ10の出口部位に前記第1実施例と同様な遮断弁5を設けている。
また、かかる第4実施例においては、前記コンプレッサ10の下流部位に、該掃気通路2を閉じて前記副室105への空気の供給を遮断する前記第1実施例と同様な遮断弁5を設け、前記コントローラ6により、該エンジン回転数検出器7からのエンジン回転数の検出値あるいは該負荷検出器8からのエンジン負荷の検出値に基づき、エンジン100の一定負荷以上の高負荷運転時に前記可変速モータ11の運転を停止せしめるとともに前記遮断弁5により前記掃気通路2を閉じて前記副室105への空気の供給を遮断せしめるように構成する。
このように構成することにより、副室105内の掃気が必要なエンジンの起動時、低負荷あるいは低回転運転時にのみ、掃気通路2に設けたコンプレッサ10によって空気を加圧して副室105内に供給し該副室105内の掃気を行うとともに、前記運転時以外の高負荷運転時では遮断弁5により副室105内における掃気作用を停止するので、副室105内の掃気が必要なエンジンの起動時、低負荷あるいは低回転運転時にのみ、給気の一部(空気)による副室105内の掃気作用を安定して行うことができ、さらには前記コンプレッサ10の駆動動力を最小限に抑えることが可能となるとともに、掃気作用に伴う主燃焼室104側の給気量の減少を最小限に抑えることができる。
その他の構成及び作用効果は前記第1実施例あるいは第3実施例と同様であり、これらの実施例と同一の部材は同一の符号で示す。
図5は本発明の第5実施例を示す図4対応図である。この実施例においては、前記第4実施例に加えてエンジン100の失火を検出する失火検出器15を設け、前記コントローラ6において、該失火検出器15によりエンジン100の失火が検出されたとき前記可変速モータ11を介して前記コンプレッサ10を運転せしめるように構成している。
かかる第5実施例によれば、エンジン100における失火や過早着火を検知したときにのみ、前記コンプレッサ10を作動させて給気の一部(空気)を加圧して副室105内の掃気を行うことにより、失火や過早着火により該副室105内に残留している液体燃料の未燃分や燃焼残留ガス等の残留物を副室105内から確実に除去することができる。
本発明によれば、構造が簡単かつ部品点数が低減されて低コスト化されるとともに、副室の熱による作動不良や熱疲労破壊の発生を防止して副室の掃気を確実行い得る副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジンを提供できる。
本発明の第1実施例に係るパイロット着火式ガスエンジンにおける副室掃気装置の全体構成図である。 本発明の第2実施例を示す図1対応図である。 本発明の第3実施例を示す図1対応図である。 本発明の第4実施例を示す図1対応図である。 本発明の第5実施例を示す図1対応図である。 従来技術を示す図1対応図である。
1 掃気通路(副室口金内)
2 掃気通路
3 逆止弁
4 可変絞り
5 遮断弁
6 コントローラ
7 エンジン回転数検出器
8 負荷検出器
10 コンプレッサ
11 可変速モータ
15 失火検出器
101 ピストン
103 シリンダヘッド
104 主燃焼室
105 副室
106 給気ポート
108 給気弁
110 副室口金
111 副室噴口
112 液体燃料噴射弁
114 ガス噴射弁

Claims (11)

  1. エンジンのシリンダヘッドに装着された液体燃料噴射弁から該シリンダヘッドに内設された副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射し、該液体燃料を着火燃焼せしめることにより該副室内に生成された燃焼火炎を、該副室とエンジンの主燃焼室とを連通する副室噴口から該主燃焼室内に噴出せしめて、給気通路を通して該主燃焼室内に供給された燃料ガスと空気との混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンにおいて、
    前記給気通路から分岐されて前記副室に連通され該給気通路内の給気の一部を該副室内に供給する掃気通路を設けるとともに、該掃気通路に前記給気通路側から副室側に向かう給気の流れを許容し前記副室側から給気通路側に向かうガスを遮断する逆止弁を設け、前記掃気通路を通した前記給気の一部により前記副室内の掃気を行うように構成し、さらに前記掃気通路に、前記エンジンの一定負荷以上の高負荷運転時に該掃気通路を閉じて前記副室への前記給気の供給を遮断する掃気遮断手段を設けたことを特徴とする副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  2. エンジンのシリンダヘッドに装着された液体燃料噴射弁から該シリンダヘッドに内設された副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射し、該液体燃料を着火燃焼せしめることにより該副室内に生成された燃焼火炎を、該副室とエンジンの主燃焼室とを連通する副室噴口から該主燃焼室内に噴出せしめて、給気通路を通して該主燃焼室内に供給された燃料ガスと空気との混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンにおいて、
    前記給気通路から分岐されて前記副室に連通され該給気通路内の給気の一部を該副室内に供給する掃気通路を設けるとともに、該掃気通路に前記給気通路側から副室側に向かう給気の流れを許容し前記副室側から給気通路側に向かうガスを遮断する逆止弁を設け、前記掃気通路を通した前記給気の一部により前記副室内の掃気を行うように構成し、さらに前記給気通路の分岐部と前記逆止弁との間に該掃気通路の通路面積を絞る絞り機構を設けたことを特徴とする副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  3. 前記給気の一部として、前記給気通路における燃料ガスと空気との混合気を前記掃気通路を通して前記副室内に供給するように構成したことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  4. 前記給気の一部として、前記給気通路における燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路を通して前記副室内に供給するように構成したことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  5. エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器と、エンジン負荷を検出する負荷検出器と、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき前記掃気遮断手段を操作するコントローラとを備えたことを特徴とする請求項記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  6. 前記絞り機構を可変絞り機構に構成するとともに、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器と、エンジン負荷を検出する負荷検出器と、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき前記可変絞り機構の絞り度を制御するコントローラとを備えたことを特徴とする請求項2記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  7. エンジンのシリンダヘッドに装着された液体燃料噴射弁から該シリンダヘッドに内設された副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射し、該液体燃料を着火燃焼せしめることにより該副室内に生成された燃焼火炎を、該副室とエンジンの主燃焼室とを連通する副室噴口から該主燃焼室内に噴出せしめることにより、給気通路を通して該主燃焼室内に供給された燃料ガスと空気との混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンにおいて、前記給気通路から分岐されて前記副室に連通され前記給気通路中の給気の一部が導入される掃気通路を設けるとともに、該掃気通路に導入された前記給気の一部を加圧して前記副室内に供給するコンプレッサを該掃気通路に設け、該コンプレッサで加圧された前記給気の一部により前記副室内の掃気を行うように構成したことを特徴とする副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  8. 前記給気の一部として、前記給気通路における燃料ガスと混合前の空気を前記掃気通路に導入して前記コンプレッサにより加圧するように構成したことを特徴とする請求項7記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  9. 前記掃気通路に設けられたコンプレッサを駆動する可変速モータを備えるとともに、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器と、エンジン負荷を検出する負荷検出器と、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき前記可変速モータの運転、停止を制御するコントローラとを備えたことを特徴とする請求項7記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  10. エンジンの失火を検出する失火検出器を設け、前記コントローラは該失火検出器によりエンジンの失火が検出されたとき前記可変速モータを介して前記コンプレッサを運転せしめるように構成されてなることを特徴とする請求項9記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
  11. 前記給気通路中の給気の一部が導入される掃気通路における前記コンプレッサの下流部位に、該掃気通路を閉じて前記副室への前記給気の供給を遮断する掃気遮断手段を設け、前記コントローラは、該エンジン回転数検出器からのエンジン回転数の検出値または該負荷検出器からのエンジン負荷の検出値のいずれか一方または双方に基づき、前記エンジンの一定負荷以上の高負荷運転時に前記可変速モータの運転を停止せしめるとともに前記掃気遮断手段により前記掃気通路を閉じて前記副室への前記給気の一部の供給を遮断せしめるように構成されてなることを特徴とする請求項10記載の副室掃気装置を備えたパイロット着火式ガスエンジン。
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