JP4310182B2 - 補強用不織基布 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート構造物の、外部からの補強・補修に使用される補強用不織基布およびFRP等に使用する補強用不織基布に関する。
従来技術
FRPやコンクリート構造物の補強や補修には、金属よりも比重が小さく、強度が金属以上のいわゆる、高強度繊維シートを挿入または、貼り付けることが行われている。
高強度繊維は、強度の必要な方向に、多数並べることで、強度を上げることが可能である。しかし、高強度繊維の糸状のままでは、扱いが困難であることと、使用時に糸1本毎に並べる手間を省くため、高強度繊維はシート状(布状)で使用されることが多い。
高強度繊維シートとしては、ガラス繊維糸で保形されたシートが知られている(例えば、特許文献1、図2、特許文献2)。
ガラス繊維で保形する場合、一般的にガラス繊維を接着剤溶液に含浸させたものを使用して、高強度繊維、例えば炭素繊維糸状を接着することにより、シート形状が保たれる。ガラス繊維糸は一本の繊維ではなく、ガラス繊維の束であり、そのためどうしても繊維と繊維との間に空隙(ボイド)がある。それらのボイドは、ガラス繊維束を接着剤溶液へ含浸させることで埋めることはできない。また、接着剤によっては、含浸後の乾燥、接着工程において、繊維糸内部にボイドが生じる場合もある。したがって、補強用不織基布自身にボイドが多数存在する状態でFRPやコンクリート構造物の補強に用いることなり、結果的に補強FRPや補強コンクリートの強度が低下することとなる。また高強度繊維と保形繊維との接着に通常使用されるアクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル等の接着剤は、製造中や保管中に吸湿し、FRPやコンクリート構造物のマトリックスと接着性を低下させ、結果的に補強性能を低下させることになる。なお、従来多用されるガラス繊維は、比重が2.5程度と高く、全体の目付が上昇し、また柔軟性に欠けるため局面への追従性など取り扱い性に欠ける。
特開平8−142238号公報 特開2001−159047号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、吸湿性、ボイド等の悪影響の心配が無く、柔軟性、軽量性に優れた補強用不織基布を提供することを目的とする。
本発明は、強化繊維糸を補助フィルムでシート状に保形してなる補強用不織基布であって、補助フィルムが、融点差のある少なくとも2層以上のポリオレフィン系樹脂層を含む多層フィルムで構成されていることを特徴とする補強用不織基布に関する。
本発明のシート状部材を構成する強化繊維糸は、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、鋼繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等であり、無撚りで且つ扁平な形態のマルチフィラメントからなる。当該マルチフィラメントは、その厚さに対する幅の比率で定義される扁平度が2以上であることが好ましく、10以上がより好ましい。特に好ましい扁平度は20〜700である。なお、扁平度が20〜700であるマルチフィラメントは、無撚り且つ扁平な形態のマルチフィラメントを更に開繊処理することによって得ることができる。
ここで、開繊処理とは、複数のフィラメントの集合体である繊維束を繊維幅方向に解き分けることを言い、開繊処理を加えることによって繊維束の幅をより広くすることができる。開繊処理により得られるものを、開繊糸という。本発明におけるマルチフィラメントまたは積層マルチフィラメントは開繊処理によって元のマルチフィラメントに対して幅が2〜5倍、好ましくは2〜4倍に広げられたものを用いることができる。例えば、直径7μmの炭素繊維が12000本収束された幅約6mmの炭素繊維マルチフィラメントを開繊処理することによって20mmの扁平なマルチフィラメント(開繊糸)とすることができる。
本発明に使用する補助フィルムとしては、融点差のある少なくとも2層以上のポリオレフィン系樹脂層を含む多層フィルムを用いる。単層フィルムであれば、熱融着時に切れるおそれがあるが、融点差のあるポリオレフィン系樹脂層を用いた多層フィルムであることから、強化繊維糸と補助フィルムとを低融点側の融着温度で熱融着させるときに、補助フィルムが切れたり、変形するといったことが無い。また、加熱圧着させることで、補助フィルムはより薄くなることが可能であり、厚さ方向の凹凸の度合いが低下し、平面性に優れている。
なお、融点差は、生産性を考慮すると5℃以上、好ましくは20℃以上である。
本発明に使用する多層フィルムの厚みは、特に制限はないが、20〜300μmのものが使用される。厚みが300μmを越える場合、厚みアップによる保形性の向上があまり望めない一方で、コスト上昇となりメリットがない。また、厚さ方向の凹凸の度合いが大きくなる。20μmより薄い場合は、接着性が低下し好ましくない。フィルムの幅についても、保形可能な幅を有していれば特に制限はなく、製造条件的に好ましい幅としては、0.5mm〜5mm程度である。また、フィルムをフィルム状群として用いる場合の、フィルム同士の間隔については、使用するフィルムの幅により種々設定が可能であり、特に限定するものではないが、例えば1mm幅程度のフィルムを使用する場合、フィルム間隔は5mm〜30mm程度が好ましい。
多層フィルムの材質としては、ポリオレフィン系樹脂が用いられる。ポリオレフィン系樹脂とは、いわゆる狭義のポリオレフィン樹脂、例えばエチレン、プロピレンなどのオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体のみならず、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類のターポリマーなどの広義のポリオレフィン系樹脂も含む。具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレート共重合体、ポリメチルペンテン等が挙げられる。なお、吸湿性、接着性に支障内範囲にて、例えば接着性改良剤等のポリオレフィン系以外の各種添加剤を加えてもよい。また、同じく吸湿性、接着性に支障内範囲にて、接着性を有しないオレフィン系樹脂同士を接着させるための接着層を設けてもよい。一般的にオレフィン系樹脂は比重が、他の熱可塑性樹脂や無機繊維よりも格段に軽量である。オレフィン樹脂が比重0.9〜1.0に対して、一般的な高分子材料は、1.5程度であり、無機繊維は1.8〜2.7程度と重い。
オレフィン系樹脂の中で、好ましくは、いわゆる狭義のポリオレフィン樹脂、すなわち、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体である。狭義のポリオレフィン樹脂は、吸湿性が極めて低いためである。多層フィルムにおける層間接着性およびコスト面を考慮すれば、さらに好ましくは、高融点層として高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)及び低融点層として低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)の組合せである。さらに、多層フィルムの両面側に強化繊維糸が位置する場合も考慮すれば、LDPE/HDPE/LDPEの3層フィルムが特に好ましい。
なお、高強度繊維である、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、鋼繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等に対して、本発明の補助フィルム、特に狭義のポリオレフィン樹脂からなる多層フィルムは、本来接着性を有していない。従来のガラス繊維等の補助材であれば、ナイロン、ポリエステル等の何らかの低融点バインダーを付着させ、高強度繊維と補助フィルムとを接着させているが、本発明においては別途バインダーを必要としない。すなわち、多層フィルムにおける低融点層のオレフィン系ポリマーが、熱融着より高強度繊維にくい込む、いわゆるアンカー効果によりシート状に保形し得るのである。
本発明で用いる補助フィルムは、強化繊維糸を織物構造とは異なる構造、すなわち不織構造にて、シート状(不織基布状)に保形するものであり、強化繊維糸をタテ糸方向に使用し、補助フィルムをヨコ方向に使用する方法、補助フィルムをメッシュ構造として用いる方法等がある。縦方向の糸状とヨコ方向のフィルム状とが交差する織物構造では、縦方向の糸状に屈曲部分が生じ応力集中の問題が発生するため好ましくない。なお、上記ヨコ方向とは、強化繊維糸に対して90度方向に限らず、強化繊維糸に対する角度に関係なく、要するに交差する方向のことを示す。
補助フィルムをメッシュ構造とするには、タテ方向に配列した多層フィルムとヨコ方向に配列した多層フィルムを二層以上交互に積層してシート状に一体化し、積層体を高融点層の溶融温度より低い温度をかけて熱圧着することにより製造することができる。この熱圧着により多層フィルムの低融点部分の熱融着樹脂が融合し、ボイド発生のない、形態の安定したメッシュ構造が得られる。また、該メッシュ構造は、交互に2層以上積層する方法であるため、織物・編物構造のようなタテ糸の屈曲のない、すなわちタテ方向の多層フィルムに対する応力集中の問題が生じない。ただし、本多層フィルムは糸状とは異なるため、応力集中の問題が生じにくく、織物状のメッシュ構造にしても差し支えない。なお、本発明では、多層フィルムをタテ方向及びヨコ方向の両方に必ずしも使用する必要はないが、厚みを薄くできる点、メッシュ構造が安定して得られる点から、両方向共に多層フィルムを用いることが好ましい。
本発明において、強化繊維糸は、補助フィルムによりシート状に保形されて、補強用不織基布となる。
保形のシート状態は、複数本の強化繊維糸が一方向に引き揃えられてなる一軸強化繊維シート状であってもよい。また、保形のシート状態は、強化繊維糸を縦方向に引き揃えたタテ糸シートと、強化繊維糸を横方向に引き揃えたヨコ糸シートとを積層してなるニ軸強化繊維糸シート状であってもよい。さらに、保形のシート状態は、シートの長手方向を0°として、0°方向に強化繊維糸を引き揃えた糸シート、+α°および―α°(0<α<90)方向に強化繊維糸を引き揃えた糸シート、およびさらに0°方向および/または、90°方向に強化繊維糸を引き揃えた糸シートを積層した多軸強化繊維糸シート状であってもよい。強化繊維糸を引き揃える態様は、一定間隔であってもよいし、密であってよい。
保形が、一軸強化繊維シート状の場合、繊維糸が引き揃えられている方向(以下、「強化繊維糸方向」という)に対して略垂直方向に複数の補助フィルムを並列に並べて、補助フィルムとシート状部材とが熱融着により保形される、いわゆるヨコ方向のみの保形方法ができる。さらに、略垂直方向の補助フィルムに加え、強化繊維糸方向と略平行に複数本の補助フィルムを並列に並べ、補助フィルムをメッシュ状態としてシート状部材と熱融着させて保形してもよい。また、補助フィルムのメッシュ状態で保形する場合、補助フィルムを予め熱融着等により所望のメッシュ形態に形成しておき、当該メッシュ状材をシート状部材に重ね合わせ熱融着するようにしてもよい。
また、強化繊維糸を一軸強化繊維糸シート状に保形する場合、強化繊維糸(例えばタテ糸糸状群)と補助フィルム(例えばヨコ方向フィルム状群)とを少なくとも2層以上重ねた構造により、タテ糸糸状群とフィルム状群との接触点(線)で、熱融着により保形するのが好ましい。特に好ましくは、図8に示したように、一定間隔を有するタテ糸糸状群を上下2層82、83とし、補助フィルムからなるフィルム状群をその中間に位置する中間層81とする3層構成において、上層糸状群の糸状間に下層糸状群の糸が位置するよう、下層を1/2ピッチずらすように積層する構成が好ましい。
保形が、二軸強化繊維シート状の場合、予め強化繊維糸が二軸に形成されたシートを使用して、そのシートの上面、中間面および/または下面に補助フィルム状群(複数本並列状またはメッシュ状)を熱融着させ保形してもよい。二軸強化繊維糸を形成するときに同時に補助フィルムを挿入し、熱融着させ保形してもよい。そのとき、少なくとも補助フィルムの方向と強化繊維糸の方向を略90度になるように成形するとよい。また上記で得られた一軸強化繊維シート状補強用不織基布を、強化繊維糸方向を略90度ずらして重ね合わせ、再度熱融着するようにして補強用不織基布を得てもよい。また、上記熱融着前の一軸強化繊維シート状補強用不織基布を、強化繊維糸方向を略90度ずらして重ね合わせ熱融着するようにしてもよい。
例えば、保形が、多軸強化繊維シート状の場合、二軸強化繊維シート状の場合に90度ずらして一軸強化繊維シート状補強用不織基布を重ねた構造に代え、α度(0<α<90)ずらして、複数枚重ねる構造とすることにより、二軸強化繊維シート状補強用不織基布と同様にして、多軸強化繊維シート状補強用不織基布を得ることができる。αの大きさは、目的とする積層数により適宜選定すればよい。
熱融着は、強化繊維糸と補助フィルムとの積層体を加熱加圧しながら行えばよい。
補助フィルムの使用本数、並列に並べる間隔は、シート状部材が保形できれば特に限定されるものではなく、補強用不織基布の使用目的、大きさ、方法、開繊糸等の種類、幅、製造方法を考慮して適宜選定すればよい。
以下に本発明の補強用不織基布を連続的に製造する方法、装置を例示する。
(1)一軸強化繊維かならる補強用不織基布の製造方法および製造装置
(i)左右両側で一対の耳糸を連続的に供給する装置と、多層フィルムを連続的に供給し、上記1対の耳糸間に蛇行状に掛け渡して進行させる装置と、蛇行状の多層フィルムの上面および下面に多数本の強化繊維糸のタテ糸を連続的に供給し整経して合わせる装置と、タテ糸と多層フィルムとが積層された後に、加熱加圧することで多層フィルムの低融点層を溶融し、タテ糸と熱融着により、多層フィルムを貼り合わせ、貼り合わせた不織基布を巻き取る装置から少なくとも構成される補強用不織基布製造装置、および該製造装置が履行する製造方法。
(ii)多数本のタテ糸を連続的に供給し整経して合わせる装置と、多層フィルムによるメッシュ状のシートを送り出す装置と、タテ糸を整経し供給した直後に、上部もしくは下部から、もしくは上下両方から、多層フィルムによるメッシュ状のシートを挿入し、加熱加圧することでメッシュ状のシートを溶融し、タテ糸と熱融着により、多層フィルムによるメッシュ状のシートを、貼り合わせた不織基布を巻き取る装置から少なくとも構成される補強用不織基布製造装置、および該製造装置が履行する製造方法。
(iii)左右両側で一対の耳糸を連続的に供給する装置と、多層フィルムを連続的に供給し、上記1対の耳糸間に蛇行状に掛け渡して進行させる装置と、蛇行状の多層フィルムの上面および下面に、多数本の強化繊維糸のタテ糸を連続的に供給する装置と、多層フィルムを第2のタテ方向フィルムとして連続的に供給する装置と、上記の強化繊維糸のタテ糸の上部または下部のどちらかに、重なるように配置し、整経し供給してタテ糸と多層フィルムを積層した直後に、加熱加圧することで、多層フィルム同士を熱融着させると共に、タテ方向およびヨコ方向の多層フィルムとタテ糸の強化繊維糸とも熱融着させ、貼り合わせた不織基布を巻き取る装置から少なくとも構成される補強用不織基布製造装置、および該製造装置が履行する製造方法。
(2)二軸強化繊維からなる補強用不織基布
(i)左右両側で一対の耳糸を連続的に供給する装置と、多層フィルムと強化繊維糸を交互にヨコ方向に連続的に供給し、上記1対の耳糸間に蛇行状に掛け渡して進行させる装置と、蛇行状の多層フィルムおよび強化繊維糸の上面および下面に、多数本の強化繊維糸のタテ糸を連続的に供給する装置と、多層フィルムを第2のタテ方向フィルムとして連続的に供給する装置と、上記の強化繊維糸のタテ糸の上部または下部のどちらかに、重なるように配置し、整経し供給してタテ糸とヨコ糸を積層した直後に、加熱加圧することで、タテ方向とヨコ方向に使用した多層フィルム同士を熱融着させると共に、多層フィルムと強化繊維糸とも熱融着させ、貼り合わせた不織基布を巻き取る装置から少なくとも構成される補強用不織基布製造装置、および該製造装置が履行する製造方法。
(ii)左右両側で一対の耳糸を連続的に供給する装置と、ヨコ糸として、強化繊維糸を連続的に供給し、上記1対の耳糸間に蛇行状に掛け渡して進行させる装置と、蛇行状のヨコ糸の上面および下面に多数本の強化繊維糸のタテ糸を連続的に供給し整経して合わせる装置と、上下に、多層フィルムによる、一定間隔で引き揃えたタテ方向フィルム状群とヨコ方向フィルム状群を積層して形成した、メッシュ状のシートを送り出す装置と、タテ糸とヨコ糸が積層された直後に、上部もしくは下部から、もしくは上下両方から、多層フィルムによるメッシュ状のシートを挿入し、加熱加圧することで多層フィルムによるメッシュ状のシートを溶融し、タテ糸と熱融着により、ヨコ糸を貼り合わせた不織基布を巻き取る装置から少なくとも構成される補強用不織基布製造装置、および該製造装置が履行する製造方法。
(実施例1)
補助フィルムとして、オレフィン系熱融着多層フィルム(ダイヤテックス社製)を用いた。この補助フィルムは、高融点層が融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂、低融点層が融点115℃の低密度ポリエチレン樹脂であり、幅が1.2mm、厚みが55μm、比重が0.9である。多層構造としては、LDPE/HDPE/LDPEの3層構造多層フィルムである。
図1に示した熱融着メッシュ製造装置で下記のように熱融着メッシュを製造した。
上記補助フィルムを用い、タテ方向の上部フィルムを2cmピッチで引き揃えたフィルム群1と、下部フィルムを上部フィルム1のフィルム間にフィルムが位置するように2cmピッチで引き揃えた下部フィルム群2と、その間に1cmピッチで横方向に同じフィルムを引き揃えたフィルム群3を挟み込むようにメッシュ状に配置した。このメッシュ状体を、上下電熱ロールを用い、上ロールの温度を115℃、下ロールの温度を80℃、ニップ圧力を1.0kg/cmにし、ライン速度1m/分で熱融着し、巻き取りロール6に巻き取り、メッシュを得た。
得られたメッシュ状補助フィルムの厚さは、最薄部で0.06mm、交点の最厚部で0.12mmであった。
次に、図2に示す補強用不織基布製造装置を用いて、補強用不織基布を製造した。
縦方向に強化繊維として、カーボン繊維糸(三菱レイヨン社製「パイロフィル®」)を用いる。当該カーボン繊維糸を、12Kで糸幅が約6mmの糸を5mmピッチで縦方向に引き揃えて、隙間の無いようにシート状にしたカーボン繊維糸シート21を供給した。このカーボン繊維糸シートの下から、前記の熱融着のメッシュ24をシート面に沿わせて挿入し、上下に配置した伝熱ロール22、23間をS字状に通し、ニップ条件:1.0kg/cmロール温度:115℃、ライン速度:1m/分で、本発明の補強用不織基布を得た。
得られた補強用不織基布の横方向のフィルム断面を電子顕微鏡で観察した。その写真を図4に示す。補助フィルムには気泡などのボイドが見られなかった。また、低融点層を構成する低密度ポリエチレン樹脂層により、カーボン繊維糸シートとアンカー効果で接着していた。
1方向強化カーボン繊維糸シートは、吸水特性のないオレフィンメッシュにより、アンカー効果により保形されており、そのオレフィンメッシュ自体が、薄く、柔軟であることから、得られた補強用不織基布はしなやかでありながら、シート状を保持したものであった。また、オレフィンメッシュ自体にも気泡を含まないので、FRPなどに使用する場合に、その強度を損なうようなこともない。
なお、各メッシュの1m当たりの重さを比較して示す。
ガラスメッシュ 16g/m
熱融着多層フィルムメッシュ 11g/m
(比較例1)
図3に示したガラスメッシュ製造装置で下記のようにガラスメッシュを製造した。
縦糸としてガラス繊維糸(太さ:300デニール、比重:2.54)を用い、縦方向の上糸を1cmピッチで引き揃えた糸条群31と、下糸を上糸と重なるようにに1cmピッチで引き揃えた糸条群32と、その間に1cmピッチで横方向にガラス繊維糸(太さ:600デニール、比重:2.54)を引き揃えた糸条群33を挟み込むようにメッシュ状に配置した。
得られたメッシュ状体を、熱可塑性エマルジョン樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂:固形分 30%)を注入した樹脂槽36中に含浸させた。続いてメッシュ状体を、上下に配置したゴムロール34、35(直径:100mm、幅:40cm)間を通し余分な樹脂を絞り、乾燥ロールで130℃にて乾燥させ、ガラス繊維糸によるメッシュを得た。
得られたメッシュの厚さは、最薄部で0.12mm、交点の最厚部で0.19mmであり、糸の幅は、0.6mmであった。
次に、図5に示す補強用不織基布製造装置を用いて、補強用不織基布を製造した。
縦方向に強化繊維として、カーボン繊維糸(三菱レイヨン社製「パイロフィル®」)を用いる。当該カーボン繊維糸を、12Kで糸幅が約6mmの糸を5mmピッチで縦方向に引き揃えて、隙間の無いようにシート状にしたカーボン繊維糸シート51を供給した。このカーボン繊維糸シートの下から、前記のガラス繊維糸よりなるメッシュ54をシート面に沿わせて挿入し、上下に配置した加熱ロール52、53間をS字状に通し、ニップ条件:30kg/40cm、上下ロール温度:150℃、ライン速度:1m/分で、本発明の補強用不織基布を得た。
得られた補強用不織基布の横方向の糸の断面を電子顕微鏡で観察した。その写真を図6に示す。空隙がメッシュを構成する糸の中に存在していることがわかった。
ガラス繊維糸に含浸させた接着剤は吸水特性があり、その接着剤により目止めされている。ガラスメッシュを構成する糸も、接着剤を含浸し乾燥していることから、丸く収束し、メッシュ自体の厚さもある。メッシュを構成する繊維がガラスであることから、補強用不織基布の柔軟性に欠け、FRPなどに使用する場合、局面に追従させることが困難である。また、目止めしているメッシュ自体に空隙が存在し、FRPなどに使用した場合、その強度を損なうことになる。
(実施例2)
強化繊維として、カーボン繊維糸(三菱レイヨン社製「パイロフィル®」)12Kを糸幅が約20mmに開繊した糸を用いた。この糸を用い、縦方向の上糸として4cmピッチで引き揃えた上層糸条群と、下糸を上糸の糸間に糸が位置するために1/2ピッチずれて積層されるように、4cmピッチで引き揃えた下層糸条群を形成した。
補助フィルムとして、オレフィン系熱融着多層フィルム(ダイヤテックス社製)を用いた。この補助フィルムは、高融点層が融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂、低融点層が融点115℃の低密度ポリエチレン樹脂であり、厚みが55μm、フィルム幅が1.2mm、比重が0.9を有する。
上記カーボン繊維糸を上下2層のタテ糸糸状群、補助フィルムをヨコ方向フィルム状群として使用する。
上下2層のタテ糸糸状間に1cmピッチで横方向に引き揃えた補助フィルムを挿入し配置した。次に、上ロールに外層がステンレスの電熱ロールを、下ロールに大きさが同一で、外層が耐熱シリコンゴムの電熱ロールを配置し、上ロールの温度を100℃、下ロールの温度を115℃、ニップ圧力を1.0kg/cmにし、ライン速度1m/分で補助フィルムの熱融着により目止めした、1方向強化繊維補強用不織基布を得た。
得られた補強用不織基布の断面を観察すると、実施例1で得られた補強用不織基布と同様に、補助フィルム間には気泡などのボイドが見られなかった。また、低融点層を構成する低密度ポリエチレン樹脂によりカーボン繊維糸シートとアンカー効果で接着していた。
1方向強化カーボン繊維糸シートは、吸水特性のないオレフィン系多層フィルムにより、アンカー効果により目止めされており、そのオレフィン系多層フィルム自体が、柔軟であることから、得られた補強用不織基布はしなやかでありながら、シート状を保持したものであった。また目止めしているオレフィン系多層フィルム自体にも気泡を含まないので、FRPなどに使用する場合に、その強度を損なうようなこともない。
更に、ヨコ方向のみで目止めされていることから、補強用不織基布の1m当たりの重量は、非常に軽量となる。また目止めとして使用する補助フィルムの使用量が非常に少なくてすむ。このことから、FRPにした場合に、補強繊維となる強化繊維糸以外の成分を極端に少なくすることが可能となる。
実施例2のように、強化繊維糸として、カーボン繊維糸 12K 幅20mmの開繊糸を20mm間隔で並べたものへ、各目止め方法を適応した場合の、補強用不織基布の1m当たりの重量を下記に示す。
実施例2の補強用不織基布 (よこ方向フィルムのみ) 42g/m
ガラスメッシュ使用 (メッシュ使用) 57g/m(比較例1)
熱融着多層フィルム使用 (メッシュ使用) 51g/m(実施例1)
熱融着メッシュ製造装置の概略構成図。 本発明の補強用不織基布製造装置の概略構成図。 ガラスメッシュ製造装置の概略構成図。 実施例1で得られた補強用不織基布断面の繊維形状の電子顕微鏡写真。 補強用不織基布製造装置の概略構成図。 比較例1で得られた補強用不織基布断面の繊維形状の電子顕微鏡写真。 熱融着多層フィルムの模式的断面図。 本発明の一補強用不織基布の模式的断面図。
符号の説明
1、2、3 フィルム群
4、5加熱ロール
6 巻き取りロール
21 カーボン繊維糸シート
22、23 伝熱ロール
24 熱融着多層フィルムメッシュ
25 巻き取りロール
31、32、33 糸状群
34、35 ゴムロール
36 樹脂浴槽
51 カーボン繊維糸シート
52、53 加熱ロール
54 ガラス繊維糸メッシュ
55 巻き取りロール
71 高融点層
72 低融点層
81 補助フィルム
82、83 強化繊維糸

Claims (10)

  1. 強化繊維糸を補助フィルムで加熱圧着しシート状に保形してなる補強用不織基布であって、強化繊維糸が、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維または鋼繊維であり、無撚りで且つ扁平な形態のマルチフィラメントからなり、補助フィルムが、融点差のある少なくとも2層以上のポリオレフィン樹脂層を含む多層フィルムで構成されていることを特徴とする補強用不織基布。
  2. 融点差のある少なくとも2層以上のポリオレフィン樹脂層において、高融点層が高密度ポリエチレン樹脂からなり、低融点層が低密度ポリエチレン樹脂から成る請求項1記載の補強用不織基布。
  3. 強化繊維糸をタテ方向の糸条群とし、補助フィルムをヨコ方向にフィルム状群とし、2層以上積層してなる請求項1または請求項2に記載の補強用不織基布。
  4. 強化繊維糸を、一定間隔を有するタテ糸方向の糸状群として上下2層で構成し、フィルム状群をその上下間に位置する、3層構成であって、上層糸状群の糸状間に下層糸状群の糸が位置するよう、下層を1/2ピッチずらして積層することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の補強用不織基布。
  5. 補助フィルムが、融点差のある少なくとも2層以上のポリオレフィン樹脂層を含む多層フィルムを少なくともタテ方向に用いたメッシュ構造フィルムとして、構成されていることを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の補強用不織基布。


  6. シート状保形が熱融着で行われている、請求項1〜5いずれかに記載の補強用不織基布。
  7. 強化繊維糸が開繊糸であることを特徴とする、請求項1〜6いずれかに記載の補強用不織基布。
  8. 強化繊維糸が複数本一方向に引き揃えられてなることを特徴とする、請求項1〜7いずれかに記載の補強用不織基布。
  9. 強化繊維糸が、強化繊維糸をタテ方向に引き揃えたタテ糸シートと、強化繊維糸を横方向に引き揃えたヨコ糸シートからなる2軸強化繊維糸シートを形成していることを特徴とする、請求項1〜7いずれかに記載の補強用不織基布。
  10. 強化繊維糸が、シートの長手方向を0°として、0°方向に強化繊維糸を引き揃えた糸シート、+α°および−α°(0<α<90)方向に強化繊維糸を引き揃えた糸シート、およびさらに0°方向および/または、90°方向に強化繊維糸を引き揃えた糸シートからなる多軸強化繊維糸シートを形成していることを特徴とする、請求項1〜7いずれかに記載の補強用不織基布。

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