JP4310105B2 - 正式な向き又は裏返しの向きのいずれでも目と係合可能なソフトコンタクトレンズ - Google Patents

正式な向き又は裏返しの向きのいずれでも目と係合可能なソフトコンタクトレンズ Download PDF

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Description

本発明は、コンタクトレンズに関し、より詳細には、目に対して第1方向に、なおかつ第2方向に適合できる改良されたコンタクトレンズに関するものである。より特定的には、本発明は、通常の正式な向きか又は裏返しの向きかによって、表て面又は裏面が角膜輪郭に向き合って屈折補正をもたらし、種々の光学的効果のための二者択一的な適合状態を与えるように適合させるソフトコンタクトレンズに関するものである。本発明はさらに、通常の向きで又は裏返しの向きでレンズを適合させ得るようにするために、レンズの表て面及び裏面上の光学領域の外側に位置するレリーフ領域を含むコンタクトレンズからなる。より特定的には、本発明は、球形、円環形、又は非軸対称形の、正式な向きと裏返しの向きとの間で曲げることができ、適合性基準が満たされ、光学的性能を犠牲にすることがないソフトコンタクトレンズに関する。
従来のソフトコンタクトレンズは、目とコンタクトレンズとの間に近接した快適な関係がもたらされるような状態で目に適合するように設計されてきた。
ソフトレンズは、通常は、該レンズを目の角膜/強膜の輪郭に適合させるように構成されたベースカーブと、通常は角膜直径より大きい直径と、レンズの屈折機能をもたらす前面カーブをもつように設計される。この単純なモデルの派生として、コンタクトレンズの表面は、ベースカーブ又は前面カーブの一部が特に屈折効果並びに適合の役割をもたらすことに寄与するために用いられるように設計されたものが存在する。しかしながら、全ての場合において、レンズには、レンズを目に適合させるために用いられるベースカーブと、ベースカーブと組み合わされて目に屈折補正をもたらす前面カーブが設けられる。ソフトコンタクトレンズの適合のこの従来モデルは、もっと洗練されるように年々進化を遂げてきたが、依然として光学的及び物理的基本原理を用いている。知られている幾つかの改良点は、設計理念としての改良点に今のところまだ必ずしもマッチしていない。現在は、まだ伝統に倣っていると言える。
現在のソフトコンタクトレンズの適合方法は、以下のことを考慮に入れている。
1.強膜(白目)カーブは、角膜カーブより若干平坦であり、それにより、角膜から強膜の上まで達するほど大きな直径をもつソフトコンタクトレンズの適合に影響を与える。事実上、現在の全てのソフトコンタクトレンズは、快適さと生体における安定性のために、強膜の上まで達する直径を備えている。
2.この強膜の平坦性効果のために、適合にゆとりをもたせなければならず、それによりソフトコンタクトレンズは、角膜カーブより平坦なベースカーブをもった状態で目に適合される。コンタクトレンズのベースカーブと角膜カーブとの間の差の程度は、設計に応じて変えることができるが、依然として結果的には角膜カーブより全体的に平坦なカーブがもたらされる。ソフトコンタクトレンズのベースカーブは、通常は強膜カーブより急であり、この適合効果の組合せ(ソフトレンズの固有の可撓性との組合せ)は、コンタクトレンズを目に対して近接して配置された状態に維持する一助となる。
3.ソフトコンタクトレンズは可撓性のポリマーから形成されるので、該レンズは角膜/強膜の輪郭にほぼ順応し、目の上に「ラップされる」。
4.ソフトコンタクトレンズの最適な適合には、何らかの方法で物理的に影響を及ぼされたときに(例えば眼瞼のまばたき相の間に)或る程度の動きを呈し、その影響がなくなれば目の上の中央位置に戻るように、レンズが目に対して緊密に適合し過ぎないことが要求される。この重要な必要条件は、ソフトコンタクトレンズに角膜カーブより平坦なベースカーブをもたせるという適合理念の背後にある主な理由の1つである。
5.レンズは、角膜/強膜輪郭に順応し、それでもなお何らかの影響(まばたきの間の眼瞼の力など)の下での運動の自由度をもたなければならない。レンズは、その縁が強膜血管に影響を与えるほど緊密に適合されるべきではなく、眼球結膜を過度に圧迫するべきではない。しかしながら、物理的影響の下であろうとなかろうと目の上で過度に動くほど緩く適合されるべきではない。緩い適合のレンズは、目の上でずれたり主に注視のときに下に動いたりする。これは通常、最適に適合されたレンズより不快さの度合いが大きくなる。
6.ソフトレンズは、全厚がその設計の重要な部分として設計される。これは、目が、良好な形態学的事象のために必要な酸素のほとんどを大気から受け入れるので、この酸素の取り込み量が減少したときに困難におちいることになるという事実の原因となる。これは、酸素フラックスに対する障壁となるコンタクトレンズのような媒体によって引き起こされる。ソフトコンタクトレンズは、酸素の奪取によって、敏感な角膜に浮腫として知られている状態を引き起こす。酸素は、大気からガス状フラックスとしてコンタクトレンズを通して引き込まれ、レンズの材料成分(プラスチック)がこのガス透過に対する障壁として働く場合には阻害されうる。従来のソフトレンズ材料は、それ自体を介して酸素を通さないが種々の量及び構成の水を含有し又は保水し、それにより酸素フラックスの通過をもたらすようなポリマーから形成される。したがって、伝統的なソフトコンタクトレンズポリマーの場合においては、レンズポリマーの含量は、実用上最小限に保たれることが好ましい。しかしながら、この最小限にすることには、実用的なレベルの屈折率と、実用的な取り扱い係数とを維持することに関係する或る種の制約が存在することに留意すべきである。こうした理念、その中でも設計の考え方によって、レンズは最小限の厚さに保たれる。この設計の概念によって、どんな所与の含水量のレンズにおいても角膜が利用可能な酸素の量が改善され、そのレンズの生体内での可撓性を高めることができる。
7.レンズの下に、及び角膜の上にある涙層は、非常に薄く、レンズ/目の組合せの全体的な屈折効果に対してほとんど影響をもたない。この現象に寄与する多数の因子のうち、最たるものは、涙の屈折率はおよそ1.336であり、それに対して典型的なソフトレンズの屈折率はおよそ1.41であるという事実である。角膜の屈折率はおよそ1.375であるので、涙層の屈折率と角膜の屈折率との間には僅かな差がある。涙層がかなり薄ければ、光の屈折の全体的な計算の目的に対して無視できると考えられる。目の中への光の屈折のために最も重要な境界面は、
1:空気/コンタクトレンズの前面
2:コンタクトレンズの後面/角膜
である。
この2つのうち最も影響の大きいのは、空気の屈折率が1.00であるので空気/レンズ境界面となるであろう。これが、薄いソフトコンタクトレンズの設計者が、その全体的な設計計算においてレンズの後ろの涙層の屈折の影響を普通は無視できる理由である。
8.通常の現代のソフトコンタクトレンズの適合は、コンタクトレンズが角膜−強膜輪郭に対して順応する即ち緊密にラップするので、レンズの後ろの涙層を屈折成分として考慮に入れる必要はないということを容認しており、それにより通常は、どんな所与の目にも適したレンズを設計するときには、それを考慮する必要性を排除する。
9.しかしながら、レンズの生体外での状態からのこのラッピング又は変形は、角膜と強膜の輪郭に順応するためにコンタクトレンズのカーブが「変化」するのに伴って、目の上で顕著な屈折の影響をもち得るということも通常は認められている。強膜輪郭の曲率半径が、一般的に受け入れられている「最良適合の」コンタクトレンズより平坦になるのに伴い、ベースカーブと強膜カーブはこれより急にされ、普通は、コンタクトレンズの中心ベース区分(後面)の曲率は、角膜カーブに順応するように急にされなければならず、後面の周辺区分は、強膜輪郭に順応するように平坦にしなければならないことが認められている。
後面の変形の結果として、レンズの前面と後面と間の関係の物理的調節がもたらされる。この関係の変化は、コンタクトレンズ内に存在する「歪なし境界の法線」の変位を分析することによって説明される。説明する必要がある変位は、角膜−強膜輪郭にラッピングされることによる変形後の、コンタクトレンズの生体外での形状から同コンタクトレンズの生体内での形状への変位である。
「歪なし境界の法線」は、コンタクトレンズの一方の縁から前面と後面との間のどこかに存在する最小抵抗平面内の他方の縁まで延びる長い線に対して垂直な(及び常に垂直なままである)コンタクトレンズの前面及び後面の境界内に存在する多数の短い線を想像することによって最も良好に視覚化され得る。
最小抵抗平面は、その最高レベルの平静性を保ちつつそれに沿ってコンタクトレンズを変形するか又は曲げることができる最適経路を説明するものである。これは、後面が角膜−強膜形状を覆う際のレンズの前面及び後面の必然的変形による影響が最小となるレンズを通る経路(斜視輪郭において)である。後面の変形は、それに続く前面の変形をもたらしうるものであり、それが、これまで説明してきたこれら2つの表面の間の関係性における変化である。
コンタクトレンズ自体の幾何学的形状は、歪なし境界の位置に直接の関連をもち、前面と後面との間の関係性も、レンズの設計幾何学的形状によって影響されうることに注意されたい。
従来のレンズ設計においては、前面の円弧状の長さは、後面とは僅かに異なる。負レンズの場合においては、前面の長さ(周辺及び光学区分が組み合わされた長さ)は、普通は後面(後面の光学域と周辺域が組み合わされたもの)より長い。前面又は後面の円弧状の長さのいずれも、どちらかの向きで適合された時のそれらの関係性を最適化させるために、互いに対して変えることができる。
縁の設計も、レンズが反転されたときの歪なし境界の変位に対して影響を及ぼし得る。縁の構成と、そのそれぞれの表面に対する関係は、レンズの生体内での特徴に影響を及ぼし得る。
レンズ内の歪なし境界の最終位置に対する影響をもちうる別の因子は、コンタクトレンズ材料の曲げモジュラスである。同一の設計幾何学的形状であるが異なる材料から作られた2つのレンズは、この因子により、全く異なる適合特性を呈し得る。レンズ自体にわたるこのモジュラスの一貫性は、その次に特定の領域(例えば、レンズが蒸発及び涙の途絶に対して最も露出される中央の角膜領域から、主に眼瞼の下にある領域のような環境的影響に対してあまり露出されないレンズの領域まで)における含水量の変化を介して影響され得る。その乾燥した(イン−モノマーの潤滑剤(水)の損失に起因する)領域における曲げモジュラスの関連する低下と、間隙のポリマースペースの関連する減少を伴う乾燥した領域から湿った領域までの勾配は、歪なし境界の位置に影響し得る。
無限の曲げ性及び無限の薄さのレンズは、レンズの直径全体にわたって前面と後面との間で等距離となる歪なし境界を含むものとなるであろう。したがって、その無限理想状態からのどんな偏差も、種々の位置及び影響の歪なし境界をもたらしうる。
より一般的なタイプの曲率変化(すなわち、中央の角膜領域上でコンタクトレンズの前面半径が比較的変化しないまま保たれ、そこから光学域の周辺を含むレンズの周辺領域に向けて平坦になり始めること)における上記の影響の結果として注目されてきた光学的作用の1つは、中央から縁までの曲率半径の平坦化によって、通常はレンズの補正能力が負の屈折力変位を生じることである。
この負の作用は、負レンズにおいては生体内でもっと負になり、正レンズは生体内であまり正でなくなるということに現れる。
考慮すべき別のコンタクトレンズに関連した現象は、縦球面収差(LSA)として知られている光学的作用である。これは通常、一群の光学収差内に存在する収差の単純形として認識されている。普通は、(単純レンズ設計理論において)事実上軸対称であると受け入れられているが、トロイダルレンズの場合においては経線方向にも起こり得る。光学系設計者にとって問題を提起しうる他の光学収差は、色収差、コマ収差、LSAの非軸対称派生収差、及び不規則な表面によって生じた収差を含む。縦球面収差(LSA)は、単純コンタクトレンズ設計において考慮されるべき、より一般的な収差のまさにその1つである。
入射光線が共通の頂点に収束できなくなることによる焦点ぼけ作用をもたらすことによって、レンズの光学的有効性を低減させるのは収差である。これは、球形の湾曲の光学表面を通過するときに、入射光が種々の異なる入射角での屈折を受けることによって起こる。これは、光がレンズ表面に到達する際の、近軸光線から外に向かって周辺光線までの範囲の、光学表面において定められる入射角の大きさの変動に起因する。こうしたレンズの両方の表面が球面形状である場合には、結果としてもたらされる屈折光線は、レンズの中心点から外に向かって最も外側の光学弦まで、種々の屈折度を受ける。LSAは、事実上、レンズの符号に応じて負又は正のいずれかとなる。
例えば負のレンズ(空気中)においては、周辺光線は、同レンズの近軸領域を通過する光線によって生成されたものよりレンズからさらに離れた虚焦点の範囲に到達する。上述のような光学的影響(空気中で計測されたとき)をもつレンズは、その中央から外にその縁に向かって負の屈折力変位を呈する。
この現象は、レンズの少なくとも1つの表面の球面性質を、非球面すなわち球形でない表面形状に変えて、屈折角が、近軸光線から、それより外の周辺光線まで、最終的に共通の点に合焦されるようにすることによって、減少されるか又はなくされる。これは、このレンズの分解能を改善し、それに続いてその焦点ぼけ作用の大きさを減少させる。これは、レンズの錯乱円の大きさの減少としても説明される。
ソフトレンズの場合においては、適合されると、角膜−強膜の湾曲(角膜はほぼ非球面形状である)に密接に適合し、生体内でのLSAは、生体外で計測されたものから若干減少する。それでも、中間又は高屈折力の(例えば−6.00DSより大きい、及び+4.00DSより大きい)レンズにおいては、LSA減少の光学的利点が通常は実現される。上述の装着及び適合の影響の変化(目の上へのレンズのラッピング作用の変化として)は、最終的な光学的及び物理的装着経験における対応する変化を生じ得る。現代のコンタクトレンズのフィッターは、これらの影響及び作用について知り、かつ、理解しており、彼又は彼女の患者のコンタクトレンズをそれに応じてオーダーすることができる。ほとんどのコンタクトレンズ製造業者は、現在、上記の幾つか又は全てに対処するべく種々のレンズ設計及び材料を提供している。上記の情報の全ては、基礎的及び伝統的な光学的及び生理的現象であると考えられるものの現代の適用に基づくものである。
現代的であろうと伝統的であろうと、現在のレンズ適合概念及び慣習、並びにこれらに適応するように造られたレンズ設計の全ては、レンズがベースカーブ(後側)とフロントカーブ(前側)をもたねばならないという前提に基づくものである。
この考えは、ベースカーブが目に対して近接して配置され、前面が空気に向かって外向きに露出された表面であるときに、コンタクトレンズの正しい適合が達成されることを確証するものである。教科書及び書物、適合手引書、患者の情報冊子、貼り紙、及び一般教育又はガイダンス教材における現在の用語は、この前提に準拠している。実際には、政府の規制機関によるコンタクトレンズの資格証明書は、上記をサポートする国際的に合意された用語に基づいている。
現在入手可能なコンタクトレンズと、それらの製造、確認、及び適合に関連する用語は、この考えに準拠している。
レンズの向きは、「裏返し」(反転された)又は「正式な向き」のような用語で表わされる。この専門用語又はこれに類するものは、問題としているコンタクトレンズが目に対して適正な(正式な)適合の向きになっているかどうかを表わすのに用いられる。
患者は、処方時に、彼らのレンズがどんな場合に裏返しになっているかを認識するように教えられ、それを彼らの目の上に正しい構成でどのようにおくのかが示される。これは通常、レンズは裏返しになっているときに僅かに異なる形状をもつように見えることを患者に実演することによって達成される。彼らは、「正しい」装着を確実にするために、装着前にどのように再配置するかを示される。幾つかの会社は、患者に正しいレンズの向きを判断する簡単な方法を与えるために、レンズに彫刻すなわちレーザエッチング手段によって「裏返し防止マーク」をつけているものさえもある。
この考え方の背後にある根拠は単純である。伝統的なレンズは、カーブ適合プラットフォームから角膜/強膜輪郭に適合するように設計されていた。ハードレンズは、開業医によって使用されるようになった最初のコンタクトレンズであり、ハードレンズが目の上に保たれるようにするのに十分なほど強い関係性を維持するために、角膜のカーブに適合していなければならなかった。これは、まばたき相の間にレンズがその最初の位置(レンズの後ろの涙の力が最も低くなる適合の均衡が保たれた位置)から動かされ、上まぶたの動きによって下向きに力がかけられたときに明らかである。レンズは通常、角膜カーブとレンズのベースカーブとの間で穏やかな不同性をもたせて適合される。この湾曲の不同性は、レンズがまぶたの動き(新鮮な涙が角膜上皮の空乏領域を洗浄し及びリフレッシュできるようにする働きのための望ましい動き)にあわせて動けることを保証しうる。この不同性はまた、まばたき相が終わった後にレンズが角膜の上の均衡が保たれた位置に戻れる主な理由である。レンズは、平衡状態から偏心するのに伴って、ベースカーブ対角膜/強膜の不同性が増加するので、レンズの下に負の力が累積される。上まぶたの最も重要な影響がなくなる(後退による)と、レンズは、レンズの後ろの涙の力が最も小さい位置に再び戻ることができる。
ソフトレンズも同様の原理に沿って作動するが、まばたき相の間に目の上であまり多く動かない。これは、ソフトレンズの大きい寸法に起因するものであり、その可撓性によるものである。これは、レンズが角膜/強膜輪郭を覆い、上まぶたの偏心力に対して、より効果的に抵抗しうることを意味する。しかしながら、ソフトレンズはまばたき後の相においても依然として動き、目の上の均衡が保たれた位置を依然として探し求める。しかしながらこの場合には、それが、偏心されたときに負の力を生じる全体としてのレンズの変形である。それが、この現象を制御しうるベースカーブと角膜/強膜カーブの関係性である。
例えばもし、ソフトレンズのベースカーブが目にとってきつすぎる場合には、レンズは少しも動かない。指での操作といった外部的手段によって偏心された場合には、均衡の保たれた位置まで戻らない。この場合、ベースカーブと角膜/強膜カーブとの間の不同性は、一方向に大き過ぎて、満足な平衡状態は達成され得ない。
しかしながら、レンズのベースカーブが平坦すぎると、反対のことが起こり、レンズは満足な平衡状態で適合されず、単に目の上で動くだけになる。まばたき相の間に眼瞼によって生じた偏心力の下でこれは不安定となり、目の外に落ちることもありうる。
したがって、設計者は、レンズが目に対して快適に適合され、さらに生体内での動きと適合の中心化との間の良好なバランスをとりうるようにこれらの力を最適化すべく、ベースカーブと、エッジリフトと呼ばれる第2又は第3カーブとをもつレンズを作成した。
これは、レンズのベースカーブ側がそのようにとどまることを保証するレンズ設計の考え方を作り出した。レンズが「裏返し」の位置で入れられた場合には、通常は不快となり、最も適した状態で目に対して適合されない。1つの位置から他の位置へとレンズのラッピングが変わるのに伴い光学的性能が変化するので、視覚の不具合ももたらされる。レンズは、これらの問題に対処するように簡単には設計されなかった。既に説明したように、幾つかの製造会社は、患者にレンズが裏返しであるかどうかをもっと簡単に判断できるようにする特別な裏返し防止マークも付している。
ソフトコンタクトレンズの裏返し防止マークの実施は、以下に説明される本発明に従って設計され製造されたレンズに適用された場合には非常に有用となるであろう。
(発明の開示)
本発明は、公知のソフトコンタクトレンズに代わる物を提供するものであり、本発明に係るレンズは、1つ以上の向き(正式又は裏返し)で目に用いることができ、レンズの前面又は後面が角膜輪郭に向けられるようにされ、レンズの向きを変えることによって、後面が前面として働き、前面が後面として働くようにされる。ここで説明される本発明は、コンタクトレンズの適合原理の焦点を、通常の方法論から離れて、しかし伝統的な適合基準を採用しながら向け直そうとするものである。
本発明によれば、伝統的な適合基準を満たしながら、レンズの快適さ、中心化、又は光学的性能に影響を及ぼすことなく、「正式」又は「裏返し」の向きのいずれにおいても目に対して適合させることができるソフトコンタクトレンズがもたらされる。レンズの或る実施形態又はその派生物は、レンズがどの向きで装着されているかに応じて、特定の及び異なるか又は同一の或いは同様の光学的補正を生じ得る。これは、レンズを取り替える必要なしに、二焦点又は多焦点レンズの適合形態を最適化するか又は調整するために、或いは単一視力適合を調整するために非常に有用である。
1つの広義の形態においては、本発明は、装着者のどんな目にも適合することができるソフトコンタクトレンズであり、レンズは、レンズが目の角膜輪郭に対して正式な向きか又は裏返しの向きのどちらで与えられるかにかかわらず、装着者に対して適切な適合性と安定性をもたらすことができ、正式な向きか又は裏返しの向きかの選択は、レンズを曲げることによって行うことができる。一実施形態によれば、レンズは、レンズの向きにかかわらずに種々の屈折補正が可能である。
別の広義の形態においては、本発明は、装着者の目の屈折補正のためのソフトコンタクトレンズであり、レンズは、レンズが目の角膜輪郭に対して正式な向きか又は裏返しの向きのどちらで与えられるかにかかわらず、装着者に対して屈折補正、適切な適合性及び安定性をもたらすことができ、レンズは、レンズを取り出し、該レンズを反対向きで再び入れることによって、装着者に二焦点又は多焦点補正をもたらすことができる。
別の広義の形態においては、本発明は、装着者の目に適合させるためのソフトコンタクトレンズであり、レンズは、目の角膜輪郭に対して正式な向きか又は裏返しの向きで与えることができ、レンズは、第1及び第2の相対する表面を有し、該表面の一方又は両方は、少なくとも1つの色を含む。一実施形態によれば、レンズは、両方の向きにおいて、種々の目の屈折補正が可能である。
別の広義の形態においては、本発明は、装着者の目の屈折補正のためのソフトコンタクトレンズであり、レンズは、レンズが目の角膜輪郭に対して正式な向き又は裏返しの向きのどちらで与えられるかにかかわらず、装着者に対して屈折補正、適切な適合性及び安定性をもたらすことができ、レンズはさらに、前面及び/又は後面の光学域の内側及び/又は外側にレリーフ領域を備えており、レンズはまた、レンズの正式な向き又は裏返しの向きのいずれで用いられるかにかかわらずに、適合基準を満たしている。
装置の態様に係る別の広義の形態においては、本発明は、装着者の目の上におかれたときに、ほぼ凸面形状であるとみなすことができるソフトコンタクトレンズであり、レンズは、前面か又は後面を形成し得る第1表面と、第1表面に対してレンズの反対側にあり、後面か又は前面を形成し得る第2表面とを含んでおり、第1及び第2表面は、装着者の目の上に配置するために選択されたレンズの向きにしたがって上記前面又は後面のいずれかを形成する。
装置の態様に係る別の広義の形態においては、本発明は、装着者の目の上におかれたときに、ほぼ凸面形状であるとみなすことができるソフトコンタクトレンズであり、レンズは、前面か又は後面を形成し得る第1表面と、後面か又は前面を形成し得る第2表面とを含んでおり、第1及び第2表面は、装着者の目の上でレンズが正式な向きか又は裏返しの向きのいずれに向けられているかにしたがって上記前面又は後面のいずれかを形成し、レンズはさらに、前面及び/又は後面の光学域の内側及び/又は外側にフォーメーションを備えており、該フォーメーションは、レンズが正式な向きと裏返しの向きとの間、及び裏返しの向きと正式な向きとの間で曲がるときに、レンズが装着者の適合性基準を満たせるようにする。
別の広義の形態においては、本発明は、装着者の目の屈折補正のためのソフトコンタクトレンズであり、レンズは、レンズが凸面状の前面と凹面状の後面とを有する第1凸面配向と、レンズを側面で見たときに、第1凸面配向の前面及び後面に対して法線方向の軸線に沿って反転されることによるレンズの変位によって形成される第2凸面配向をなすことができ、レンズの第2凸面配向においては、第1凸面配向の前面が第2凸面配向の後面を形成し、第1凸面配向の後面が第2凸面配向の前面を形成する。レンズは、前面及び後面の光学域の内側及び/又は外側にレリーフ領域をもたらすフォーメーションを含むことが好ましく、該フォーメーションは、レンズが正式な向き又は裏返しの向きのいずれであるかにかかわらず、レンズが装着者の適合性基準を満たせるようにする。
或いは、フォーメーションは、レンズの光学域の外側の領域に配置されても良いし、レンズの両側に配置されても良い。
レンズの第1及び第2凸面配向は、装着者の目の所定の屈折補正をもたらすことが好ましい。
好ましい実施形態によれば、前面及び後面は、光学域とレリーフ領域をもたらすフォーメーションを含んでいる適合域を含み、第1及び第2表面の各々の光学域は、装着者に対して屈折補正の選択肢を与えることができ、レリーフ領域は、レンズが正式な向きか又は裏返しの向きのいずれであるかにかかわらず、選択された屈折選択肢の各々の適合性基準を満たせるようにする。レンズによる屈折補正は、前面と後面との間で分担される。
方法の態様による1つの広義の形態においては、本発明は、屈折補正のために装着者の目にコンタクトレンズを適合させる方法であり、該方法において、コンタクトレンズは、レンズが凸面状の前面と凹面状の後面とを有する第1凸面配向と、レンズを側面で見たときに、第1凸面配向の前面及び後面に対して法線方向の軸線に沿って反転されることによるレンズの変位によって形成される第2凸面配向をなすことができ、レンズの第2凸面配向においては、第1凸面配向の前面が第2凸面配向の後面を形成し、第1凸面配向の後面が第2凸面配向の前面を形成し、レンズは、前面及び後面の光学域の外側すなわち外側の端にレリーフ領域を含み、該レリーフ領域は、レンズが正式な向きか又は裏返しの向きのいずれであるかにかかわらず、レンズが装着者の適合性基準を満たせるようになるものであり、この方法は、
a)レンズを適合するのに先立ち、該レンズに対して抵抗性の普通に生じる領域を減らすか、なくすか、又は再形成するステップと、
b)装着者の要求にしたがってレンズの光学的効果を設計するステップと、
c)ソフトコンタクトレンズをとり、該レンズを適合させるために裏返しの向きか又は正式な向きを選ぶステップと、
を含む。
広義の形態においては、本発明は、正式な向きか又は裏返しの向きのいずれにおいても装着者の目に適合させるためのソフトコンタクトレンズからなり、レンズは、各々がレンズの縁において終る第1及び第2のほぼ弧状の表面を含んでおり、第1及び第2の表面の各々は、凸面状前面か又は凹面状後面のいずれかを形成することができ、正式な向きにおいて、凸面状前面と凹面状後面が与えられ、裏返しの向きにおいて、正式な向きの凸面状前面は凹面状後面に転換され、正式な向きの凹面状後面は凸面状前面に転換される。
レンズは、球面形、凸形、又は非軸対称形であることが好ましく、正式な向きから裏返しの向きへの転換は、レンズを曲げることによってもたらされる。レンズの曲げは、第1及び第2表面のいずれかの中の又はその上の少なくとも1つのフォーメーションによって実現され、フォーメーションの各々は、レンズを正式な向きと裏返しの向きとの間で曲げるときに、曲げを助ける手段を与える。
フォーメーションは、レンズの第1及び/又は第2表面のどこかに配置され、フォーメーションは、レンズが正式な向きか又は裏返しの向きのいずれのときにおいても、レンズのベースカーブが角膜に向けられるか又は角膜からそれる方向に向けられるかにかかわらず、レンズが装着者の適合性基準を満たせるようにする。
フォーメーションによって、第1及び/又は第2表面の表面外形の調整がもたらされる。表面調整は、多くの代替的な形態を取り得る。1つの例においては、レンズは、レンズの中心で始まり、経線内で半径方向にレンズの縁に向けて延びるフォーメーションをもつことができる。フォーメーションは、レンズのバンドの領域を薄くすること又は厚くすることによって定められる少なくとも1つの周方向に配置されたバンドを備えてもよいし、レンズの第1及び/又は第2表面の片面又は両面に少なくとも1つの螺旋領域を備えてもよい。別の例においては、レンズは、レンズの第1及び/又は第2表面の片面又は両面に少なくとも1つの斜めの領域を備えているフォーメーションを含み、斜めの領域は、レンズの経線に対して或る角度をなして延びる。
本発明に係るレンズはさらに、レンズの第1及び第2表面の一方又は両方の中に又はその上にフォーメーションを含むことができ、該フォーメーションは、陥凹、表面ディンプル、溝、インデント、開窓、レリーフ、トラフ、薄くされた又は厚くされた領域のいずれか1つ又はこれらの組合せのいずれかからなる。フォーメーションは、曲げに対する要求された抵抗性、又は適合性基準を満たすために要求される歪レリーフ、及びレンズが正式な向きから裏返しの向きに曲げられるときの屈折要求にしたがって特定のレンズのために選択される。
フォーメーションは、レンズの周辺域の、レンズが曲げられたときにフォーメーションによって果たされる抵抗緩和の役割を最適化する場所に配置することができる。正式な向き又は裏返しの向きで使用可能なレンズが目から反れるように丸まる(外転する)自然な傾向に対抗するようにレンズのラッピング力を調節することができる。前述の外転の傾向をなくすために、湾曲していない表面が用いられる。レンズの適合特性における僅かな差は、レンズの前面又は後面の曲げ抵抗値を調節することによって作ることができる。フォーメーションは、光学域か又は適合域のいずれか、もしくは光学域と適合域の両方に配置され、光学的性能、中心化、及び適合性は、フォーメーションによって影響されない。
多種多様な屈折補正は、正式な向きにおける前面及び/又は後面によって、及び裏返しの向きにおいて形成された前面及び/又は後面によって影響されうるものであり、レンズによる屈折補正は、レンズが正式な向き又は裏返しの向きのいずれであるかにかかわらず、前面と後面にわたって分担又は分配させることができる。正式な向き又は裏返しの向きの選択に応じて個々の装着者に対する異なる光学的補正を行うことができるようにすることが好ましい。
レンズは、一例として、第1及び第2表面の一方で所定の光学的補正を行い、反対側の表面でこれと同じか又は類似の光学的補正を行うようにすることができる。これの代替的なものは、一方の側での二焦点補正と他方の側での単一光学的補正、レンズの両面での類似の又は同一の二焦点補正、一方の表面での単一光学的補正と反対側の表面での異なる単一光学的補正、レンズの第1及び第2表面の両方における同一の又は異なる多焦点補正を含む。レンズは、第1及び第2表面の一方の単一補正と、第1及び第2表面の他方の多焦点補正とを含んでも良い。
別の実施形態によれば、レンズは、レンズの一方の側での少なくとも1つの色と、レンズの反対側での少なくとも1つの色とを含む。
方法の態様の別の広義の形態においては、本発明は、コンタクトレンズを装着者の目に適合させる方法であり、レンズは、レンズの縁で終る第1及び第2のほぼ円弧状の表面を含んでおり、第1及び第2表面の各々は、凸面状前面か又は凹面状後面のいずれかを形成することができ、正式な向きにおいて、凸面状前面と凹面状後面が与えられ、裏返しの向きにおいて、正式な向きの凸面状前面は凹面状後面に転換され、正式な向きの凹面状後面は凸面状前面に転換されるものであり、この方法は、
a)レンズを目に対して正式な向きで適合させるステップと、
b)レンズを取り外し、該レンズを裏返しの向きで再び適合させることを選ぶステップと、
を含む。
方法の態様の別の広義の形態においては、本発明は、コンタクトレンズを装着者の目に適合させる方法であり、レンズは、レンズの縁で終る第1及び第2のほぼ円弧状の表面を含んでおり、第1及び第2表面の各々は、凸面状前面か又は凹面状後面のいずれかを形成することができ、正式な向きにおいて、凸面状前面と凹面状後面が与えられ、裏返しの向きにおいて、正式な向きの凸面状前面は凹面状後面に転換され、正式な向きの凹面状後面は凸面状前面に転換されるものであり、この方法は、
a)レンズを目に対して裏返しの向きで適合させるステップと、
b)レンズを取り外し、該レンズを正式な向きで再び適合させるステップと、
を含む。
設計者は、上記のような種々の光学的効果を作り出すことが好ましい。すなわち、設計者は、前面対後面の抵抗値を調整することによって、レンズの適合特性の僅かな差をつくりだすことができる。
(発明を実施するための最良の形態)
次に、好ましい、しかし限定的な意味をもつものではない実施形態にしたがって、及び付属の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
本明細書の全体を通して、「正式な向き」という用語は、凸面状前面と目に対向する凸面状後面とが存在する通常の向きで適合されたレンズのことをいうものと取られ、「裏返しの向き」という用語は、レンズの内側が外向きに曲げられて、正式な向きにおける前面が凸面状後面を形成し、正式な向きにおける後面が前面を形成することをいうものと取られる。
種々の実施形態にしたがって以下に説明されるレンズは、目の上での向きを変えるために向け直される(曲げられる)能力により、「フリッパー」又は曲げレンズと呼ぶことができる。曲げは、側面で見たときにレンズの法線方向の軸線に沿いうるものであり、したがってレンズに組み込まれたレリーフ領域を形成するフォーメーションにより、目に正式な向き又は裏返しの向きで装着することが可能になる。本発明によるレンズは、慣習的な適合性及び快適性基準を満たし、コンタクトレンズの光学域及び/又は非光学域に配置されたレリーフ領域を曲げることによって、いずれの向きにおいても目に対して最適に適合する。これらのフォーメーションは、向きを変えるためにレンズを曲がるようにする歪レリーフ領域を与え、多くの構成(その例はここで説明され、付属の図面に図示される)を呈することができるが、後述される共通の特徴を共有する。一実施形態に係るレンズは、レンズのフリッピング(曲げ)すなわち向き変えを可能にするが、レンズの光学域又は非光学域(周辺域)に配置されたバンドのようなフォーメーションのおかげで臨床上受容できる適合特性をもつ。レリーフ領域を与えるこれらのフォーメーションは、通常は、それを囲んでいる領域より輪郭が薄く、レンズの通常の向き変えに同調してレンズのラッピング力の向きを変えることを可能にする形状にされる。フォーメーションは、目に適合するためにレンズの向きが変えられる際に、歪なし境界の法線を調節し及び再配置することによってこれを行う。これは、目に適合されたときのレンズの輪郭が、レンズ縁の外転又は浮き上がりが起こらないように形成されるので、どちらの向きにおいてもレンズが自然にラップできるようにする。レンズはまた、その中心性を保つことができ、依然として目の中での通常レベルの動きを呈することができる。
一実施形態によれば、レンズ周辺域の曲げ領域におけるフォーメーションは、断面で見たときにレンズを直接に囲んでいる領域より薄い少なくとも1つの周方向バンド又は領域を含むことができる。好ましい実施形態においては、レリーフ領域を与えるフォーメーションは、レンズ縁に近いレンズの周辺域において、フォーメーションしたがってレリーフ領域が達成する抵抗緩和の役割を最適化できる選択された部分に配置される。これはまた、レンズの光学的性能に対して影響を及ぼさないような方法で光学域の外側領域にも配置することができる。レンズのフォーメーションは、曲げに対する抵抗を減らすことによって曲げに順応する。幾つかの場合においては、これは、フォーメーションの部分を薄くすること、また他の場合には厚くすることによって達成することができる。これらのより薄い又は厚い領域は、良く知られた当該技術分野で理解されている通常の手段によって(特に射出成形手段によって)正確に制御されるように設計することができ、装着者に適切なレベルの生体内での快適さをもたらすために、設計者が適合性を見られるような方法で形付けるか又は段階付けすることができる。一実施形態に係るレンズ輪郭はその領域において特に薄いので、レンズは、そのように与えられたときにレンズ/強膜輪郭のラッピング不適応に対する抵抗性をあまり呈さないであろう。それは、レンズをこれらの領域においてその他の領域より容易に曲げるか又はラップできるようにする目立たない意図的な最小抵抗領域を保有する。これに限定するものではないが、1つ又はそれ以上のレンズ表面の選択された領域における周方向バンドのようなフォーメーションの賢明な及び意図的な使用によって、設計者は、それを強膜輪郭に適合するようにするレンズ内の最も適切な領域と一致する最小抵抗区分をもつレンズをもたらすことができる。したがって、設計者は、いずれの向きにおいても従順で臨床上受容できる方法で角膜/強膜輪郭に適合しうるレンズを作成することができる。「裏返し」であることへの自然な抵抗性と、その結果として生じる抽象的かつ制御されていない湾曲の変化は、レンズ内に配置されたレリーフ領域によって減少されるか又はなくされる。挿入されたときに目から反れるように丸まる「裏返し」レンズの固有の傾向は、ラッピング力の再配向によってなくすことができる。
一実施形態においては、レンズは、できる限り反転又は曲げ抵抗を減らすような形状になし得る非湾曲表面の使用を含む。非湾曲表面か、又は非湾曲表面と湾曲表面との組合せの使用によって、レンズの形状は、非常に容易に裏返しに「曲がる」ように作ることができる。平坦な区分は、球形区分から作られた湾曲面と組み合わせて用いることができる。
別の実施形態によれば、レンズに組み込まれたフォーメーションは、さらに慣例的に設計されたレンズの隣接する領域より薄い。これは、より強い曲げ又は再配向力を作り出すのに必要とされる。
レンズの別の実施形態では、フォーメーションのすぐそばに隣接して最小抵抗のより薄い領域からなるレンズの縁輪郭を用いることができる。断面で見たときに、レンズは、両表面において一様な及び同一の輪郭である両凸輪郭を呈するものとなる。この周辺リムは、外転(浮き上がり)を防ぎ、縁がいずれの向きにおいても同様のラッピング特性を示すことを確実なものにする制御力をレンズの縁の上に与える。この一様な設計は、後縁及び前縁の形状を、互いの鏡像として反映することができ、それにより、どちらの適合の向きが選択されたかにかかわらず、同様な眼瞼相互作用輪郭をもたらす。縁の形状はまた、平坦な又は直線状にとがった性質とすることができる非湾曲形態から作ってもよい。この手法の1つの利点は、レンズの縁が、予め形付けられた湾曲に対して何ら自己付勢力を加えることなく、該レンズ縁が載る強膜の領域に単純に適応することである。
別の実施形態によれば、レンズの周辺リム、又は縁は、一方の面が反対側の面とは僅かに異なる輪郭をもつ形状にされる。これは、反対の向きで適合されたときに、依然として強膜を適切にラッピングしながら異なる適合特性を得るために、他の設計実施形態と組み合わせて或いはそのままで用いることができる。
正式な向き又は裏返しの向きのいずれにおけるレンズの適合性も、光学域の寸法の制御と、レンズの前面と後面との間の光学域の役割の分担によって助けられる。伝統的なソフト球面レンズ及び幾つかのソフト円環体レンズは、装着者の目に適合させるためにレンズ後面を単純に用いるものである。半径は、適合の観点と、屈折プラットフォームとの対比から選択され、したがって、最終的な屈折についての解が考えられるときに、前面の屈折カーブの最終選択のためのベースラインとなる。装着者の処方に沿うのに必要とされる屈折力は、前面の湾曲のみから得られる。後面(ベースカーブ)半径と前面光学半径との間の差異が屈折量を生じる。上述のアウトラインは、現在の市場における典型的なソフトコンタクトレンズを説明するものである。
市場における幾つかの公知のレンズは、レンズの後面に配置される特別に設計された目立たない屈折セグメントを使用するものである。これは通常、ベース半径の中心に配置され、主なベースカーブ半径に対して半径がより急であるか、又は平坦であるようにされる。半径がより急である場合には、レンズの全体的な屈折力に対して負の効果を生じることになり、より平坦であれば、レンズの全体的な屈折力に対して正の効果を生じることになる。この種の屈折セグメントは、オーストラリア特許第620083号、米国特許第5,125,728号、及びヨーロッパ特許第0398984号において説明されるようなソフト円環体レンズ及び高度に負のレンズにおいて成功した設計特徴となることが証明されている。こうした設計特徴の主な利点は、目の湾曲とは無関係にレンズの厚さ輪郭と屈折カーブを任意に制御し、影響を与える手段を提供することにある。円環体レンズ設計のこうしたセグメントを用いる場合には、適合及び屈折についての利点は明白である。設計者は、適合と角膜アラインメントの配慮によって過度に制限を受けることなく、どんな所与のレンズによってでも目を屈折させるのに最適なカーブの組を作り出すことができる。しかしながら、ここで提案された本発明によれば、選択的に設計された後方光学的セグメントの使用は、「裏返し」の向きで目の上におかれたときに、レンズの光学的接合部の曲がりに対する自然な抵抗性を減らすことによってレンズのラッピング効果を高め又は助けることができるので、有用である。
レンズがより厚い接合部厚さをもつ場合には、前方及び後方カーブの間の固有の差が小さくなるので、薄い接合部厚さをもつレンズより、再配向に対する抵抗が大きくなる。例えば負レンズにおいては、これが特に当てはまり後方の曲率半径が通常は前方の曲率半径より急になるので、厚さの増加に伴ってその自然な形状から離れて向きを変えることをより困難にする。この厚さの増加は、レンズの中心から外に向かって光学的接合部の縁まで生じ、この接合部の縁において、厚さは、一般に緊密に近似された周辺湾曲を使用するという好ましい手法によって減らすことができる。負レンズが通常の方法で設計されるときには、光学的接合部がレンズに抵抗領域を与えることになるので、該レンズは、反対の(すなわち自然でない)向きでラッピング又は湾曲されることに対する固有の抵抗性に直面することになる。光学域を減少させることによって接合部の厚さを減少させる場合には、光学域自体とレンズの周辺領域との間の滑らかでシームレスな遷移を促進する非球面湾曲及び形状を使用することによって、一層の改善を達成することができる。これは、さらに向きが変えられたときのレンズのラッピング応答を向上させるものとなる。こうした光学設計は、周辺レリーフバンドと類似した周辺レリーフ領域と組み合わせて用いることもでき、それにより、目に対して向きを変えられたときに、レンズはもっと容易にラップされることになる。ある場合には、レリーフ領域は、セグメントから周辺表面への遷移部を構成する光学的接合部の近傍に、又はブレンド部の近傍に配置することができる。上述の設計原理の多くの組合せ及び派生物が可能であることが、レンズ設計の当業者には理解されるであろう。
別の実施形態によれば、レンズは、光学域内に歪レリーフ領域をもたらす少なくとも1つのフォーメーションを含み、このレリーフ領域は、通常の正式な向き又は反転された(曲げられた)裏返しの向きのいずれにおいても目の上におかれたときの曲げに対する固有抵抗を減らすことによって、レンズの向きかえ時の曲げを助けるが、光学的な有効性を損なうことはない。
正の屈折力をもつコンタクトレンズの場合には、光学的接合部は、ほぼ一定であり、かなり薄くなるように設計することができる。しかしながら、光学的な厚さは、レンズの屈折力を強くするのに伴って増加することになり、目に対して向きを変えられたときに、最良のラッピングに対する固有抵抗性を生じることになる。ここで提案されるレンズの設計特徴は、その周りの湾曲より半径があまり急でない後方光学セグメントの使用による正の屈折力をもつレンズの中心厚の減少である。この手法は、設計者が普通に設計されたレンズよりも光学的中心厚を減らせるようにし、それにより「裏返し」である場合の固有抵抗性に打ち克つようにする。これはまた、レリーフ領域をもたらすフォーメーションを隣接又は近接して設けることによっても助長することができる。
レンズがいずれの向きにおいても適合の成功を達成するための鍵は、通常の設計によって当然にもたらされる抵抗領域を減らすか、なくすか、又は再形成することである。これが達成され、レンズが「裏返し」か又は「正式な向き」のいずれにおいても適合されれば、設計者は、上述のような種々の光学的効果を自由に作り出すことができるようになる。すなわち、設計者は、前面対後面の抵抗値を調節することによってレンズの適合特性における僅かな差を作り出すことができる。
上述の設計原理を用いて作成されたコンタクトレンズは、レンズ設計者、レンズ製造業者、開業医、及び装着者に、適合及び装着の観点から、並びに光学的な可撓性の観点から多くの可能な利点をもたらすことができる。
最も単純なものについて言えば、この設計は、患者がレンズをもっと簡単に取り扱い、挿入する前に正しい向きであるかを気にせずに、快適なレンズの装着を楽しむことにのみ集中できるようにする。本発明に従って製造されたレンズは、レンズの適合の向きによって装着者がいつでも彼又は彼女の光学的ニーズに対して最適な補正を選択できるようにする。もっと複雑な1つの実施形態においては、前述のようなレンズは、適合と光学的な見え方との両方から融通性を処方するという本当の利点を開業医に与えることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ1の斜視図である。
図2は、図1のレンズの輪郭図である。レンズ1は、反対方向に向いた第1表面2及び第2表面3を備え、該表面の各々は、目に対する向きに依存して前面又は後面を形成することができる。図2に示されるように、表面2は凸状の前方外側表面を形成し、表面3は凹状の後面を形成する。レンズ1が曲げられると、表面2は、後面であるとみなされ、表面3は、前面の役割を果たすとみなされ得る。レンズ1はさらに、レンズが正式な向きと裏返しの向きとの間で曲げられたときにレリーフ領域を与える外側区域輪郭すなわちフォーメーション4を備える。
図3は、レンズの周辺域におけるフォーメーション6を備えたレンズの別の輪郭図である。
図4は、光学域8と周辺又は外側適合域9とを含んでいる別のレンズ7の斜視図である。これらの特徴は、ソフトコンタクトレンズにおいて知られている。典型的に知られているレンズは、前面又は後面のいずれか又はその両方に光学域を備えるものである。
図5は、本発明の一実施形態に係るレリーフ領域が示されているレンズ10の輪郭図である。レンズ10は、本発明の別の実施形態に係る前面12の外側周辺域にレリーフ領域をもたらす周方向のフォーメーション11を備える。
図6は、本発明の別の実施形態に係るレリーフ領域が示されているレンズ13の輪郭図である。レンズ13は、本発明の別の実施形態に係る前面17の外側周辺域に歪レリーフ領域をもたらす周方向のフォーメーション14、15及び16を備える。
図7は、本発明の別の実施形態に係るレリーフ領域を形成する周方向フォーメーション19が示されているレンズ10の輪郭図である。周方向フォーメーション19は、前面20の外側周辺域に歪レリーフ領域をもたらす。フォーメーション19は、その周辺領域より薄く、正式な向きと裏返しの向きとの間で曲げられたときに、レンズのたわみに順応する。
図2、3、5、6、及び7に示されたフォーメーションは、周方向に連続的であっても断続的であってもよい。
図8A−Dの各々は、レンズの周辺領域にレリーフ領域をもたらす別のフォーメーションを示す。
図8Aは、光学域31と外側周辺域32とを含むレンズ30を示す。図示された実施形態によれば、外側周辺域32は、レンズ30の周りで周方向に連続的に又は断続的に延びることができる拡大されたバンド33を含む。
図8Bは、光学域35と外側周辺域36とを含むレンズ34を示す。図示された実施形態によれば、外側周辺域36は、レンズ34の周りで周方向に断続的に延びることができる断続的な拡大されたフォーメーション37を含む。
図8Cは、光学域39と外側周辺域40とを含むレンズ38を示す。図示された実施形態によれば、外側周辺域40は、レンズ38の周りで周方向に連続的に延びる拡大された一連のバンド41、42、及び43を含む。
図8Dは、光学域45と外側周辺域46とを含むレンズ44を示す。図示された実施形態によれば、外側周辺域46は、レンズ44の周りで周方向に連続的に延びる拡大図された複数の細い線すなわちバンド47を含む。
説明された限定的な意味をもつものではないフォーメーションの各々は、正式な向きと裏返しの向きとの間のレンズのたわみに順応することができる。
図9a−dは、縁部フォーメーションがレンズの外側領域に含まれている別の実施形態に係るレンズの輪郭図を示す。
図10は、限定的な意味をもつものではない拡大された縁部フォーメーションA−F及び表面フォーメーションG−Iの例について、後方及び前方光学域を備えるレンズの平面図及び側面図を示す。図10のレンズ50は、平面図と輪郭図で示されている。平面図は、外側周縁51と、適合ゾーンと呼ぶことができる外側区域52と、前方光学域53と、後方光学域54とを含むレンズ50を示す。本発明に従って製造されたレンズにおいては、2つの光学域53及び54は、要求される屈折効果を達成するために光学的な役割を分担する。図10のA−Fは、限定的な意味をもつものではない拡大された縁部フォーメーションの例を輪郭図で示すものであり、これらのフォーメーションは、要求されるレリーフ領域を達成するためにレンズの中に組み入れることができる。要求されるレンズのたわみを達成するために、レンズの設計者に対して多種多様な選択肢が存在する。フォーメーション10A、B、C及びFは対称的であり、一方、フォーメーション10D及びEは非対称的である。図10はまた、外側域52に配置することができる拡大されたフォーメーションG、H及びIの例も示す。これらフォーメーションG、H及びIは、レンズ50の輪郭図の隣に輪郭図で示されている。
図11は、拡大された縁部フォーメーションA−F及び表面フォーメーションG−Iの限定的な意味をもつものではない例と前面を有するレンズの平面図及び側面図を示す。図11のレンズは、後方光学域が省略されていることを除いては図10のレンズとほぼ同じである。平面図は、外周縁61と、適合ゾーンと呼ぶことができる外側区域62と、前方光学域63とを含んでいるレンズ60を示す。図11の実施形態に従って製造されたレンズにおいては、光学域63は、要求される屈折効果を達成するために光学的な役割を果たす。したがって、このレンズによる屈折補正は、その光学域63において達成される。図11はまた、外側域62に配置することができる拡大されたフォーメーションG、H及びIの例も示す。このフォーメーションG、H及びIは、レンズ60の輪郭図の隣に輪郭図で示されている。ここに説明される本発明の目的を達成可能な多種多様なフォーメーション及び輪郭が存在し得ることが分かる。
別の実施形態によれば、レンズは、該レンズが原位置で二焦点又は多焦点効果を生じることができるように光学的変化及び光学的変位を組み入れる、同心状に交互配置された光学域すなわちバンドを使用する構成を採用する。交互バンドはまた、単焦点効果を生じるように、又は非球面もしくは設計者が望む他のこうした光学的効果を生じるように設計することもできる。相反する又は相補的効果をもたらすために、屈折力すなわち幾何学的表面形状が変化する交互バンドを前面と後面の両方に配置することも、設計者にとって有用となり得る。別の実施形態においては、レンズは、通常の向きで又は裏返しの向きで目の上におかれたときに、光学域内で少なくとも1つのレリーフ領域を、該レリーフ領域がレンズの向き変えを助けるように用いる。親切設計原理の使用によって、光学的有効性を犠牲にすることなくこの効果を達成することができる。別の実施形態においては、レンズは、非軸対称手段によってもたらされるこうした幾何学的表面形状を採用し、こうした幾何学的形状は、目の上でのその向きによって、設計者の望みに応じて変化させるか又は合わせることができる。
レンズ着色の使用は、本発明に係るレンズに適合できる。着色された又は不透明の染色されたコンタクトレンズの人気及び使用率は、世界中で増加している。最も一般的なこれらのレンズは、前面に印刷された又は結合された、或いはレンズのマトリックス内に付加された着色虹彩パターンを有し、本来の目の色を何か新しく変えることができる。例えば、茶色の虹彩をもつ装着者は、一対の不透明な青色に色付けされたコンタクトレンズを装着することによって、彼らの目の色を青色に変えることができる。現在のところ、それらは、レンズの片側のみで効果的となるような方法で着色される。これは、ベースカーブ側が常に目に対向して適合され、どんな特定の色をもつことからも恩恵を受けないためである。したがって、1つのレンズにつき1つのみの色となる。しかしながら、1つより多い色の選択肢をもちたいと望む多くの装着者が存在しており、現在これを達成するには多くの対のレンズを購入しなければならない。本発明の一実施形態によれば、装着者は、彼らのレンズの目の上での向きを変える簡単な操作によって、二色の選択肢をもつ。例えば、レンズの前側は、青色に色付けされてもよく、一方、後側は緑色に色付けされてもよい。レンズの向きにしたがって、患者の目の色は緑色か又は青色のいずれかとされ得る。
別の実施形態によれば、レンズは、該レンズの片側又は両側に着色される。レンズには、両側に同じ色(これは、曲げることによる色の変化なしに、曲げることによって別の曲げ補正がもたらされる場合に好ましいものとなりうる)、又は2つの異なる色、もしくは各側に1つの色を装備させても良い。また、レンズには、片側又は両側に1つより多い色を装備させても良い。上記の色体制は、装着者が屈折補正を要求するしないに関係なく曲げられるレンズにおいて用いられ得る。屈折補正をもたない着色されたレンズの場合においては、曲げは、美容的な色の変化のためのものとなるであろう。
こうしたレンズ設計の利点は多く、その幾つかは以下のように表される。
レンズは、設計者又は装着者の選択に応じて「裏返し」又は「正式」のいずれかで挿入される。これは、入れる前にレンズをどの向きに向けるべきかを判断する必要がないので、患者に対してコンタクトレンズの装着をより一層実用的なものにする。これは、目の上におく前にあまり手間が掛からず、使い捨て包装から取り出したときに方向付けられる必要がないので、使い捨てレンズにおいて有利である。これは、レンズを毎日取り扱うのに非常に便利な方法である。コンタクトレンズ設計の当業者であれば、ここで説明したようにして設計され製造されたレンズは、レンズを正式に又は裏返しに配置しても良いので、必ずしも裏返し防止マークを必要としないことを認識するであろう。
レンズは、入れられた時の向きに依存して、生体内での制御された量の適合たわみを呈するように設計され得る。これは、レンズを、全く新しいベースカーブの注文又は選択の手段をとることなく適合問題を最適化するのに有用なものにする。開業医と患者の両者は、そのときの装着者の要求に応じてこれを利点と気付くであろう。反転防止マークは、患者が正確な向きを判断できるようにする。
レンズは、レンズの前面か又は後面のどちらかが角膜/強膜輪郭に与えられたときに生じる屈折の変化を光学的に活用することができる。前面又は後面の間の異なるラップ効果によって生じた表面の形状の変化は、前面又は後面のどちらかが角膜/強膜輪郭に与えられたときに、生体内で屈折の結果を最適化する見え方となるようにレンズを合わせるのに用いても良い。すなわち、生体内での計画された非球面すなわち非球形の形状を生じさせることによって穏やかな多焦点効果を生じ、それにより累進的な屈折力変位(これは、頂点の屈折力に対して正又は負のどちらかの方向とすることができる)を生じさせるのに用いられても良い。この種のレンズは、時には単焦点レンズを装着したいと思うが、別の時には二焦点又は多焦点レンズを装着したいとも思う患者にとって非常に有用なものとなるであろう。装着者は、単純にレンズを取り外してそれらを反対向きで再び入れることによって、彼らの思うままに二焦点又は多焦点効果を得ることができる。或いは、装着者は、同様に最適となるレンズの一方だけの向きを変えてみても良い。この設計原理は、用いられる設計に応じて、装着者が非常に融通性のある装着体制を楽しめるようにする。
レンズはまた、1つのレンズ当り少なくとも2つの屈折力選択肢の選択をもたらすことによって、レンズの各々の向きに依存して、そうでなければ標準的となってしまう単焦点適合体制を改善するように設計することができる。これは実際には、たった2つのレンズから4つの異なる屈折力又は4つの異なる光学的変化のものを装着する可能性をつくりだす。明らかに、これは、開業医と同様に患者に対する大きな利点として存在する。
上述の単焦点適合構成は、装着時に多焦点効果をもたらすことができ、かつ装着の向きが反転されたときに、その多焦点効果を変化させることができる少なくとも1つのレンズによって一層改善することができる。これは、開業医と患者に対して一層の融通性と可変性を与え、どんな所与の単焦点又は多焦点適合構成の一層正確な微調整をも可能にする。
このレンズ設計原理の別の有利な形態は、フレネル又はフレネル様式の光学的原理を使用するという好ましい手法によって、その光学的利点又は特徴を改善することである。回折型の光学的設計原理が組み入れられた状態で製造されたレンズは、通常の向きと反対の向きとの両方で目に適合されたときに別の光学的結果を非常に簡単に作り出すことができる。光学的エシェル(eschelets)は、レンズが通常の向きか又は「裏返し」の向きのいずれかで目に適合されたときに、生体内でのラップ効果の変化と共にそれらの原理である回折角の変化を受ける。
この設計概念を一層深く理解すると、上述の利点、設計、変化、並びに設計及び概念の変更が、全ての知られたソフトコンタクトレンズ形式に適用可能であることが明らかになる。それらは、この限りではないが、球面レンズ、円環形レンズ、二焦点又は多焦点レンズ、非軸対称レンズ、波面収差制御レンズを含み得る。
上記の設計の予想できる多くの派生及び変化が存在することは、当業者には明白であろうし、あたかもそれら自体がここに列挙されたものであるかのようにこの明細書の中に含まれるべきである。
本発明の一実施形態に係るレンズの斜視図である。 図1のレンズの輪郭図である。 本発明に係るレンズの別の輪郭図である。 本発明の一実施形態に係る別のレンズの斜視図である。 本発明の一実施形態に係るレリーフ領域が示されているレンズの輪郭図である。 本発明の別の実施形態に係る一方の表面にフォーメーション/レリーフ領域が示されているレンズの別の輪郭図である。 本発明の別の実施形態に係る反対側の表面にフォーメーション/レリーフ領域が示されているレンズ別の輪郭図である。 本発明の実施形態に係るレンズの周辺域の中の又は上のフォーメーションを示す図である。 本発明の実施形態に係るレンズの周辺域の中の又は上のフォーメーションを示す図である。 本発明の実施形態に係るレンズの周辺域の中の又は上のフォーメーションを示す図である。 本発明の実施形態に係るレンズの周辺域の中の又は上のフォーメーションを示す図である。 別の実施形態に係るレンズの輪郭図を示す。 別の実施形態に係るレンズの輪郭図を示す。 別の実施形態に係るレンズの輪郭図を示す。 別の実施形態に係るレンズの輪郭図を示す。 拡大された縁部フォーメーションA−F及び表面フォーメーションG−Iの限定的な意味をもつものではない例と前面及び後面光学域と共に、レンズの平面図及び側面図を示す。 拡大された縁部フォーメーションA−F及び表面フォーメーションG−Iの限定的な意味をもつものではない例と前面と共に、レンズの平面図及び側面図を示す。

Claims (1)

  1. 正式な向き又は裏返しの向きのいずれでも装用者の目に装用させるためのソフトコンタクトレンズであって、前記レンズは、各々が前記レンズの縁で終る第1及び第2のほぼ弧状の表面を含み、前記第1及び第2の表面の各々は、凸面状前面又は凹面状後面のいずれかを形成することができ、前記正式な向きでは凸面状前面と凹面状後面が与えられ、前記裏返しの向きでは、前記正式な向きでの凸面状前面は凹面状後面に転換され、前記正式な向きでの凹面状後面は凸面状前面に転換され、
    前記第1及び第2表面のいずれかの中の又はその上の少なくとも1方に、前記レンズを正式な向きと裏返しの向きとの間で曲げるときに曲げを助ける、陥凹、表面ディンプル、溝、インデント、開窓、レリーフ、トラフ、薄くされた又は厚くされた領域の1つ又はこれらの組合せを設けたことを特徴とするソフトコンタクトレンズ。
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