JP4309727B2 - 測定用治具およびこれを用いた三次元形状測定方法 - Google Patents

測定用治具およびこれを用いた三次元形状測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、被測定物の表面および裏面の三次元形状を測定するための測定用治具およびこの測定用治具を用いた三次元形状測定方法に関する。
非球面を有する非球面レンズ等の表裏面の形状を、接触式プローブあるいは非接触式プローブを走査して測定する形状測定方法が知られている。プローブの走査方式としては、被測定物をθ方向に回転させながらプローブをX方向に走査する方式(以下「Rθ走査方式」という)と、被測定物に対してプローブを相対的にX方向およびY方向に走査する方式(以下「XY走査方式」という)がある。
例えば特開2001−324311号公報は、Rθ走査方式を用いて被測定物の表裏面の三次元形状を測定する三次元形状測定方法のひとつを開示している。この三次元形状測定方法で使用される形状測定機を図8に示す。ここで、非球面レンズ12が被測定物である。この非球面レンズ12は、θステージ11に支持されている。そして、非球面レンズ12の表面12aおよび裏面12bに対向して、二つの光プローブ13aおよび13bが配置されている。
この三次元形状測定機では、θステージ11の回転軸に対して被測定物の軸が略一致するように、非球面レンズ12をセッティングする。そして、θステージ11により、非球面レンズ12を回転させる。続いて、回転する非球面レンズ12に対して、二つの光プローブ13aおよび13bが、θステージ11の回転軸に直交するX方向に走査される。その際、二つの光プローブ13aおよび13bは、それぞれ非球面レンズ12の表面12aおよび裏面12bのZ方向(θステージ11の回転軸と平行な方向)の変化に追従しながら移動する。光プローブ13aおよび光プローブ13bの位置座標は、レーザー測長器14aおよび14bにより測定される。そして、このときのθステージ11のθ座標、光プローブ13a,13bのX座標およびZ座標から、非球面レンズ12の表面12aおよび裏面12bの形状測定が行われる。従って、非球面レンズ12のセッティングをやり直すことなく、非球面レンズ12の表面12aおよび裏面12bの形状測定が可能である。
また、非球面レンズ12の軸とθステージ11の回転軸とを略一致させて被測定物を回転させるので、被測定物の同一半径上の形状は略一定となる。このようなことから、プローブ13aおよび13bの位置制御が容易となり、走査速度を早くできる。このように、Rθ走査方式の形状測定方法は、被測定面が回転対称な形状の場合には、XY走査方式の形状測定方法に比べて測定時間の短縮が可能であるという特徴がある。
また特開2002−71344号公報は、XY走査方式を用いて被測定物の表裏面の三次元形状を測定する方法のひとつを開示している。この形状測定方法を図9に示す。ここで、レンズ21が被測定物である。この測定方法では、レンズ21の被測定面21a上を、測定プローブ24がX方向およびY方向に走査する。これにより、測定プローブ24のXY座標位置でのZ座標を求め、被測定面21aの形状測定を行なう。ここで、レンズ21は、レンズ21の表面21aと裏面21bが露出するように、測定用治具22に支持されている。なお、この測定用治具22には、三つの位置決め球23の表裏面が露出した状態で固定されている。
測定方法について説明する。まず、レンズ21の表面21aが上を向いた状態にして測定用治具22を定盤上に固定する。そして、測定プローブ24により、三つの位置決め球23の表面、およびレンズ21の表面21aの形状測定を行う。続いて、三つの位置決め球23の表面の測定データから、測定用治具22の基準座標を決定する。そして、測定用治具22の基準座標に対するレンズ21の表面21aのずれを求める。その後、測定用治具22を180度回転(表裏反転)させ、レンズ21の裏面21bが上を向いた状態にして定盤上に固定する。そして、三つの位置決め球23の裏面、およびレンズ21の裏面21bの形状測定を行う。続いて、三つの位置決め球23の裏面の測定データから、測定用治具22の基準座標を決定する。そして、測定用治具22の基準座標に対するレンズ21の裏面21bのずれを求める。このように、測定用治具22の基準座標に対するレンズ21の表面21aのずれと裏面21bのずれから、レンズ21の表面21aと裏面21bの相対的位置ずれを求める。
また特開2001−56217号公報には、測定用治具で決定される基準座標に対する非球面レンズの表面形状を測定する別の方法を開示している。この形状測定方法を、図10に示す。ここで、非球面レンズ31が被測定物である。この方法では、まず、非球面レンズ31を、測定用治具32に固定する。この測定用治具32には、上側平面部分32aとエッジ部分32bが設けられている。そして、非球面レンズ31の表面31aの形状と測定用治具32の基準部分の形状をプローブ33で測定する。続いて、非球面レンズ31の表面31aの測定データを、測定用治具32の基準部分から決定される基準座標系に対する形状データに変換する。このようにして、非球面レンズ31の表面31aの形状を求める。
特開2001−324311号公報 特開2002−71344号公報 特開2001−56217号公報
図8に示した従来技術では、被測定物のセッティングをやり直すことなく表面および裏面の形状測定が可能である。しかし、プローブとプローブの位置制御を行なう駆動機構、およびプローブの位置座標を測定するための測長器がそれぞれ二つ必要である。そのため、装置構成が複雑となり、装置が大きくなってしまう。
これに対し、図9に示した従来技術では、測定用治具22を用いることにより、一つのプローブで被測定物の表面および裏面の形状測定が可能であり、かつ表面と裏面の相対位置関係も測定可能である。しかしながら、測定用治具22には、三つの位置決め球23が設けられている。そのため、この測定用治具22を、図8に示すようなRθ走査方式の形状測定方法に用いると、三つの位置決め球23はθステージ11の回転軸に対して回転対称な形状とはならない。その結果、位置決め球23の形状をRθ走査方式で測定するためには、走査速度を非常に遅くする必要があり、測定時間が長くなってしまう。
また、図10に示した従来技術では、測定用治具の基準部分により決定される基準座標に対する被測定物の表面の形状を求めることはできる。しかしながら、被測定物の裏面の形状は測定できないため、被測定物の表面と裏面の相対位置関係が分からない。
本発明は、この様な実状を考慮して成されたものであり、その目的は、測定装置の複雑化や大型化させることなく、被測定物の表面と裏面の相対的な位置ずれを測定可能とする測定用治具を提供することである。また、本発明の他の目的は、この測定用治具を用いた三次元形状測定方法を提供することである。
本発明は、ひとつには、被測定物の表面と裏面の三次元形状を測定するための測定用治具に向けられており、以下の各項に列記する測定用治具を含んでいる。
1. 本発明の測定用治具は、基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の一方の面に形成された第一の基準面と、前記基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の他方の面に形成された第二の基準面と、前記基準軸と略一致して表面と裏面が露出するように被測定物を保持する保持部と、前記基準軸を回転中心とした回転角度の原点設定用の検出部とを有することを特徴とする。
この測定用治具は、第一実施形態および第二実施形態が対応する。
2. 本発明の別の測定用治具は、第1項の測定用治具において、前記回転角度の原点設定用の検出部は、外周面に設けられた検出部材であることを特徴とする。
この測定用治具は、第一実施形態が対応する。
3. 本発明の別の測定用治具は、第1項の測定用治具において、前記回転角度の原点設定用の検出部は、第一基準面および第二基準面に形成されたマーキングであることを特徴とする。
この測定用治具は、第二実施形態が対応する。
4. 本発明の別の測定用治具は、第1項〜第3項の測定用治具において、前記第一の基準面および前記第二の基準面の形状は、前記基準軸を中心とした円錐面あるいは二次曲面の一部であることを特徴とする。
この測定用治具は、第一実施形態および第二実施形態が対応する。
本発明は、ひとつには、基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の一方の面に形成された第一の基準面と、前記基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の他方の面に形成された第二の基準面と、外周面に設けられた前記基準軸を回転中心とした回転角度の原点設定用の検出部材とを有する測定用治具を用いた三次元形状測定方法に向けられており、下記の三次元形状測定方法を含んでいる。
5. 本発明の三次元形状測定方法は、前記測定用治具に、前記基準軸と略一致して表面と裏面が露出するように被測定物を固定する工程と、プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の表面の形状測定データと、前記第一の基準面の形状測定データを同一座標系で取得すると共に、前記測定用治具の回転角度の原点設定用の検出部材のデータを取得する第一の測定工程と、前記プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の裏面の形状測定データと、前記第二の基準面の形状測定データを同一座標系で取得すると共に、前記測定用治具の回転角度の原点設定用の検出部材のデータを取得する第二の測定工程と、前記測定用治具の回転角度の原点設定用の検出部材のデータを用いて、前記第一の基準面の形状測定データと前記第二の基準面の形状測定データとの間の前記基準軸を回転中心とした回転角度の相対的な誤差を補正する工程と、前記第一の基準面の形状測定データと前記第一の基準面の設計形状データから第一の座標変換量を算出する工程と、前記第二の基準面の形状測定データと前記第二の基準面の設計形状データから第二の座標変換量を算出する工程と、前記第一の座標変換量および前記第二の座標変換量を用いて、前記被測定物の表面の形状測定データおよび裏面の形状測定データを座標変換する工程とを有することを特徴とする。
この三次元形状測定方法は、第一実施形態が対応する。
この三次元形状測定方法によれば、被測定物の表面の形状測定データおよび裏面の形状測定データに含まれる被測定物のセッティング誤差を、測定用治具の第一の基準面と第二の基準面の形状測定データおよび回転角度の原点設定用の検出部材のデータを用いて補正することが可能となり、一つのプローブで被測定物の表面および裏面の相対的な位置関係を含めた三次元形状を測定できる。
本発明は、ひとつには、基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の一方の面に形成された第一の基準面と、前記基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の他方の面に形成された第二の基準面と、前記第一基準面および第二基準面に形成された、前記基準軸を回転中心とした回転角度の原点設定用のマーキングとを有する測定用治具を用いた三次元形状測定方法に向けられており、下記の三次元形状測定方法を含んでいる。
6. 本発明の三次元形状測定方法は、前記測定用治具に、前記基準軸と略一致して表面と裏面が露出するように被測定物を固定する工程と、プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の表面の形状測定データと、前記第一の基準面の形状測定データと、前記第一の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データを同一座標系で取得する第一の測定工程と、前記プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の裏面の形状測定データと、前記第二の基準面の形状測定データと、前記第二の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データを同一座標系で取得する第二の測定工程と、前記第一の基準面の形状測定データと、前記第一の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データと、前記第一の基準面の設計形状データから第一の座標変換量を算出する工程と、前記第二の基準面の形状測定データと、前記第二の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データと、前記第二の基準面の設計形状データから第二の座標変換量を算出する工程と、前記第一の座標変換量および前記第二の座標変換量を用いて、前記被測定物の表面の形状測定データおよび裏面の形状測定データを座標変換する工程とを有することを特徴とする。
この三次元形状測定方法は、第二実施形態が対応する。
この三次元形状測定方法によれば、被測定物の表面の形状測定データおよび裏面の形状測定データに含まれる被測定物のセッティング誤差を、測定用治具の第一の基準面と第二の基準面の形状測定データおよび第一基準面と第二基準面に形成された回転角度の原点設定用のマーキングの形状測定データを用いて補正することが可能となり、一つのプローブで被測定物の表面および裏面の相対的な位置関係を含めた三次元形状を測定できる。
7. 本発明の別の三次元形状測定方法は、第5項または第6項の三次元形状測定方法において、前記第一の測定工程および前記第二の測定工程は、前記測定用治具を回転手段により回転させると共に、この回転手段の回転角(θ)を測定し、前記プローブを前記回転手段により回転する前記被測定物あるいは前記測定用治具の高さ方向(Z軸方向)の変化に追従させながら前記回転手段の回転軸と直交する方向(X軸方向)に移動すると共に、前記プローブのXZ座標を測定し、前記回転手段の回転角(θ)と前記プローブの座標(x,z)を座標値として取り込み、形状測定データを取得する工程であることを特徴とする。
この三次元形状測定方法は、第一実施形態および第二実施形態が対応する。
この三次元形状測定方法によれば、被測定物の表面および測定用治具の第一の基準面の形状と、被測定物の裏面および測定用治具の第二の基準面の形状を、Rθ走査方式の形状測定方法で測定できるので、測定時間の短縮が可能である。
本発明の測定用治具によれば、測定装置の複雑化や大型化させることなく、被測定物の表面と裏面の相対的な位置ずれが測定可能となる。また、本発明の三次元形状測定方法によれば、測定装置の複雑化や大型化させることなく、被測定物の表面と裏面の相対的な位置ずれを測定することが可能である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
第一実施形態
図1Aは、本発明の第一実施形態における測定用治具の縦断面図であり、図1Bはその平面図である。
図1Aと図1Bに示すように、測定用治具110には、被測定物を保持するための保持部114が中心部に形成されている。測定用治具110は、表面側の穴115および裏面側の穴116を有している。これらの穴は、保持部114で保持された被測定物の被測定面を露出させ、被測定物の表面および裏面の形状を後述するプローブ140で測定できるようにするために設けられている。
本実施形態において、被測定物は非球面レンズ120である。この非球面レンズ120は、表面121と裏面122が共に非球面である。
保持部114の外周部118の表面側には、第一の基準面である円錐面111が形成されている。一方、保持部114の外周部118の裏面側には、第二の基準面である円錐面112が形成されている。円錐面111と円錐面112は共に、外周部118の外側部分に位置している。
円錐面111と円錐面112は共に、測定用治具110の基準軸113に対して傾きを持ち、基準軸113を中心とした軸対称な形状である。ここで、基準軸113は、測定用治具110の機械加工時における加工機の回転軸である。そして、円錐面111および円錐面112は、この基準軸113を形状の軸として高精度に加工されている。円錐面111と円錐面112は、加工機から測定用治具110を取り外すことなく加工できる形状とするのが好ましい。このようにすれば、被加工物である測定用治具110の加工機への脱着による誤差を無くすことができる。その結果、円錐面111と円錐面112の軸を、高精度に一致させることができる。
なお、保持部114の形状の中心軸(保持部114に固定された被測定物の形状の中心軸)は、基準軸113と厳密に一致させる必要はない。両者は、後述するプローブ140での被測定物の形状測定時に、被測定物の表面および裏面がZ方向に大きく振れない程度に合わせればよい。
被測定物を固定する方法としては、ネジや押さえ環等を介して保持部114に固定する方法がある。あるいは、接着や嵌合等で、被測定物を直接保持部114に固定してもよい。固定方法は問わないが、被測定物を保持部114へ固定したときに、できるだけ被測定面に撓みが発生しない方法を用いることが好ましい。
また、測定用治具110の外周面には、回転角度の原点設定用の検出部材である円柱状のシャフト117がある。
図2は、被測定物と測定用治具と三次元形状測定機の関係を示す概念図である。
図2に示すように、本実施形態の三次元形状測定機は、Rθ走査方式の三次元形状測定機である。この三次元形状測定機で、測定用治具110に固定した被測定物の被測定面の形状を測定する。三次元形状測定機は、エアースピンドル130と、被測定面の形状を測定するプローブ140と、不図示のデータ処理部を有している。エアースピンドル130は、測定用治具110を固定可能な回転部131を有する。データ処理部は、形状測定データ等の処理を行なう。
エアースピンドル130の回転部131は、回転支持部132により回転可能に支持され、回転軸133を回転中心として高精度にθ方向に回転する。図示していないが、エアースピンドル130は、回転部131をθ方向に回転させるモータとθ方向の回転角度を検出するロータリーエンコーダを有している。
一方、プローブ140は、先端に被測定面と接触する先端球141を有している。三次元形状測定機は、図示していないが、さらに、Z駆動部、X駆動部及び測長器とを有している。ここで、Z駆動部は、先端球141と被測定面の間の接触圧を一定に保つように、プローブ140のZ方向(回転軸133と平行な方向)の位置制御を行なう。X駆動部は、プローブ140をX方向(回転軸133と直交する方向)に移動する。測長器は、プローブのXZ座標を測定する。
また、この三次元形状測定機には、近接センサー150が固定配置されている。近接センサー150は、回転部131により回転する測定用治具110に設けたシャフト117がθ方向の所定位置に来たことを検出するための非接触式センサーである。
図3は、本発明の第一実施形態における三次元形状測定方法のフローチャートを示している。以下、図3のフローチャートに従って、本実施形態の三次元形状測定方法について説明する。
測定用治具110の保持部114に、被測定物である非球面レンズ120を固定する(Step1)。非球面レンズ120は表面121と裏面122が共に非球面である。非球面レンズ120を測定用治具110に固定したら、全ての測定が終了するまで非球面レンズ120は測定用治具110から取り外さない。
次に、測定用治具110を、回転手段であるエアースピンドル130の回転部131
上に固定する。その際、非球面レンズ120の表面121が、プローブ140と対向
するように測定用治具110を配置する(Step2)。なお、測定用治具110の
基準軸113は、エアースピンドル130の回転軸133と厳密に一致させる必要は
ない。すなわち、後述するプローブ140での被測定面の形状測定時に、被測定面の
高さがZ方向に大きく振れない程度に合わせればよい。
次に、不図示のZ駆動部によりプローブ140をZ方向に移動させる。そして、被測定面である非球面レンズ120の表面121に、プローブ140の先端球141を接触させ、接触圧を一定に保つ制御を開始する。続いて、エアースピンドル130の回転部131を回転させる。そして、近接センサー150が測定用治具110のシャフト117を検出した時点で、エアースピンドル130のロータリーエンコーダの回転角度(θ)をリセットする。さらに、不図示のX駆動部によりプローブ140をX方向に移動させる。その間、プローブ140のXZ座標(x,z)とエアースピンドル130の回転部131の回転角度(θ)を測定して、非球面レンズ120の表面121の形状測定データ(x,z,θ)(a=1,2,3…)を点列データとして取得する。その後、プローブ140を測定用治具110の第一の基準面である円錐面111に接触させる。そして、非球面レンズ120の表面121の測定と同様にして、円錐面111の形状測定データ(x,z,θ)(b=1,2,3…)を点列データとして取得する(Step3)。
Step3において、プローブ140のX方向の移動は、間欠的に行っても、連続的に行ってもよい。つまり、プローブ140のX方向の位置を、任意の複数箇所で固定して測定することもできる。このようにすると、エアースピンドル130の回転軸133を中心とした同心円状の形状測定データが得られる。また、プローブ140をX方向に移動しながら測定すると、スパイラル(渦巻き)状の形状測定データが得られる。取得する形状測定データは、このような同心円状の形状測定データやスパイラル状の形状測定データであってもよく、または、これらを複合した形状測定データであってもよい。
Step3では、非球面レンズ120の表面121と測定用治具110の円錐面111の形状を、測定用治具110のセッティングを変えることなく測定している。よって、表面121の形状測定データと円錐面111の形状測定データは、同一測定座標系での測定データとして扱える。
ここで、保持部114の形状の中心軸(保持部114に固定された被測定物の形状の中心軸)が基準軸113と略一致し、かつ測定用治具110の基準軸113がエアースピンドル130の回転軸133と略一致している。このため、非球面レンズ120の表面121および測定用治具110の円錐面111は、エアースピンドル130の回転軸133を中心とした略回転対称形状となることから、エアースピンドル130の回転部131を回転させてもプローブ140のZ方向の位置はあまり変化しない。従って、プローブ140のZ方向の位置制御が容易となることから、回転部131の回転やX駆動部の移動を高速にすることが可能であり、測定時間の短縮が図れる。
次に、非球面レンズ120の裏面122がプローブ140と対向するように、測定用治具110を表裏反転させ、回転手段であるエアースピンドル130の回転部131上に固定する(Step4)。
Step3と同様の手順で、被測定面である非球面レンズ120の裏面122にプローブ140の先端球141を接触させ、接触圧を一定に保つ制御を開始する。そして、回転部131を回転させ、近接センサー150が測定用治具110のシャフト117を検出した時点で、エアースピンドル130のロータリーエンコーダの回転角度(θ)をリセットする。その後、非球面レンズ120の裏面122の形状測定データ(x,z,θ,)(c=1,2,3…)と、測定用治具110の第二の基準面である円錐面112の形状測定データ(x,z,θ)(d=1,2,3…)を点列データとして取得する(Step5)。
Step3およびStep5において、シャフト117を検出し、エアースピンドル130のロータリーエンコーダの回転角度(θ)をリセットしている。これにより、測定用治具110の表裏反転に伴うθ方向のセッティング誤差を補正することができる。これは、シャフト117のデータを用いて、測定用治具110のθ方向のセッティング誤差を補正するとも言える。
Step3で取得した形状測定データと同様に、Step5で取得した裏面122の形状測定データと円錐面112の形状測定データは、同一測定座標系での測定データとして扱える。
Step3で取得した円錐面111の形状測定データ(x,z,θ,)を、XYZ直交座標系の測定データ(X,Y,Z)に変換する。そして測定データ(X,Y,Z)を座標変換して円錐面111の形状誤差データ(X,Y,ΔZ)を算出する。
形状誤差データを算出する座標変換は、例えば、特開2002−116019号公報で開示されているような方法を用いることができる。すなわち、被測定面の設計式にプローブの先端球の曲率半径を加味した設計形状データと測定データを比較する。そして、最小二乗法やニュートン法等既知の方法を用いて、設計形状データと測定データの間の誤差が最小となるように、測定データを座標変換する。ここで、被測定面は円錐面であるので、座標変換のパラメータとしては、X軸とY軸とZ軸に沿った三つの並進移動と、X軸とY軸の周りの二つの回転移動を用いる。
この座標変換の結果から、円錐面111の測定データの座標変換量(A,B,C,α,β)を第一の座標変換量として記憶する(Step6)。ここで、Aは円錐面111の測定データのX軸方向の並進移動量、BはY軸方向の並進移動量、CはZ軸方向の並進移動量、αはX軸周りの回転移動量、βはY軸周りの回転移動量である。
Step6において、第一の座標変換量(A,B,C,α,β)を求めることにより、三次元形状測定機の測定座標系に対する測定用治具110の円錐面111のセッティング誤差を算出できる。
次に、Step5で取得した円錐面112の形状測定データ(x,z,θ)をXYZ直交座標系の測定データ(X,Y,Z)に変換する。そして測定データ(X,Y,Z)を座標変換して円錐面112の形状誤差データ(X,Y,ΔZ)を算出する。この座標変換の結果から、円錐面112の測定データの座標変換量(A,B,C,α,β)を第二の座標変換量として記憶する(Step7)。ここで、Aは円錐面112の測定データのX軸方向の並進移動量、BはY軸方向の並進移動量、CはZ軸方向の並進移動量、αはX軸周りの回転移動量、βはY軸周りの回転移動量である。
Step7において、第二の座標変換量(A,B,C,α,β)を求めることにより、三次元形状測定機の測定座標系に対する測定用治具110の円錐面112のセッティング誤差を算出できる。
次に、Step6で算出した第一の座標変換量と、Step7で算出した第二の座標変換量を用いて、非球面レンズ120の表面121と裏面122の形状測定データを補正する。
ただし、図4Aに示すように、円錐面111の設計形状データは、三次元形状測定機のXZθ座標系において、Z軸上の点P111を頂点とした点線S111で示す円錐面で定義される。一方、図4Bに示すように、円錐面112の設計形状データはZ軸上の点P112を頂点とした点線S112で示す円錐面で定義される。
しかし、図4Aの円錐面111の設計形状データS111を基準として考えると、図4Bの円錐面112の設計形状データS112は表裏反転している。従って、円錐面111の測定データと円錐面112の測定データの位置関係を把握するためには、同一測定座標系のデータとする必要がある。そこで、図4Cに示すように、円錐面112の測定座標系の符号を反転させ、かつ円錐面111の頂点P111と円錐面112の頂点P112の間隔を理論値L0に合わせる処理を行う。
ここで、頂点P111と頂点P112の間隔の理論値L0としては、測定用治具110を加工するときの加工機の座標値(設計値)を用いてもよく、あるいは円錐面111と円錐面112の形状を同一座標系で測定可能な、他の高精度な三次元形状測定機等で測定した結果から算出した実測値を用いてもよい。
また、非球面レンズ120の表面121と裏面122の測定データを同一座標系で評価するためには、Step7で算出した第二の座標変換量(A,B,C,α,β)についても同様に測定座標系を反転させる必要があるので、各パラメータの符号を反転し、かつZ軸方向の並進移動量に頂点P111と頂点P112の間隔の理論値L0を加味して、新たな第二の座標変換量(−A,−B,−C',−α,−β)とする。
Step3で取得した非球面レンズ120の表面121の形状測定データ(x,z,θ)を、XYZ直交座標系の測定データ(X,Y,Z)に変換する。この測定データ(X,Y,Z)を第一の座標変換量(A,B,C,α,β)を用いて座標変換し、測定データ(X',Y',Z')とする。またStep5で取得した非球面レンズ120の裏面122の形状測定データ(x,z,θ)を、XYZ直交座標系の測定データ(X,Y,Z)に変換する。この測定データ(X,Y,Z)を新たな第二の座標変換量(−A,−B,−C',−α,−β)を用いて座標変換し、測定データ(X',Y',Z')とする(Step8)。
これにより、表面121の測定データと裏面122の測定データを同一座標系のデータとすることができる。
Step8で算出した非球面レンズ120の非球面である表面121の測定データ(X',Y',Z')と非球面である裏面122の測定データ(X',Y',Z')により、表面121と裏面122の相対位置関係を含めた非球面レンズ120の三次元形状が分かる(Step9)。
非球面レンズ120の表面121の非球面軸と裏面122の非球面軸の相対位置関係は、例えば、以下のようにして求めることができる。
被測定面である非球面121の設計形状データとこの非球面の測定データの間の誤差が最小となるように測定データを座標変換して、非球面121の形状誤差データ(X',Y',ΔZ')を算出する。同様にして、非球面122の形状誤差データ(X',Y',ΔZ')を算出する。これらの算出には、最小二乗法やニュートン法等既知の方法を使用することができる。
この座標変換の結果から、非球面121の設計形状データに対する非球面121の測定データの座標変換量(A,B,C,α,β)が求められる。ここで、Aは非球面121の測定データのX軸方向の並進移動量、BはY軸方向の並進移動量、CはZ軸方向の並進移動量、αはX軸周りの回転移動量、βはY軸周りの回転移動量である。
同様にして、非球面122の測定データの座標変換量(A,B,C,α,β)が求められる。ここで、Aは非球面122の測定データのX軸方向の並進移動量、BはY軸方向の並進移動量、CはZ軸方向の並進移動量、αはX軸周りの回転移動量、βはY軸周りの回転移動量である。
非球面121の座標変換量(A,B,C,α,β)と非球面122の座標変換量(A,B,C,α,β)の差(A-A,B-B,C-C,α,βc)から、非球面121の非球面軸に対する非球面122の非球面軸の相対的な位置関係が分かる。
本実施形態によれば、一つのプローブを有したRθ走査方式の三次元形状測定機を用いて、被測定物の表面および裏面の相対的な位置ずれを含めた三次元形状を測定できるので、測定機が複雑化・大型化することがなく、また測定時間の短縮が可能である。
本実施形態では、第一の基準面および第二の基準面の形状を、測定用治具110の外周部118の外側部分に設けた円錐面としているが、これに限定されない。
図5Aは、図1Aと図1Bに示した測定用治具110に代えて適用可能な測定用治具の変形例を示している。図5Aに示すように、この変形例の測定用治具110Aも、第一の基準面である円錐面111Aと、第二の基準面である円錐面112Aを有している。ただし、測定用治具110Aでは、円錐面111Aと円錐面112Aが共に、保持部114の外周部118の内側部分に形成されている。このように、基準面である円錐面111Aと円錐面112Aを保持部114の側に設けることも可能である。
図5Bは、図1Aと図1Bに示した測定用治具110に代えて適用可能な測定用治具の別の変形例を示している。図5Bに示すように、この変形例の測定用治具110Bでは、保持部114の外周部118の表面側に、第一の基準面である二次曲面111Bが形成されており、保持部114の外周部118の裏面側に、第二の基準面である二次曲面112Bが形成されている。二次曲面111Bは外周部118の内側部分に位置し、二次曲面112Bは外周部118の外側部分に位置している。ここで、二次曲面とは、光軸に沿う方向の断面において、二次曲面に相当する部分の断面形状が二次曲線となっている面のことである。このように、第一の基準面および第二の基準面の断面形状を、二次曲線の一部とすることも可能である。
ここで、二次曲線としては、円や放物線や楕円等がある。ただし、基準面の断面形状を円の一部(円弧)とする場合には、図5Bの右側の円弧の中心と左側の円弧の中心が一致している(すなわち同一円の円弧である)と、基準軸113が一義的に求められない。従って、基準面の断面形状を円とする場合には、右側の円弧の中心と左側の円弧の中心を一致させないことが条件となる。つまり、基準軸113を中心とした断面が円であるドーナッツ形状の一部とする(図5C)。円以外の二次曲線の場合には、右側と左側の断面が同一の二次曲線であっても、基準軸113は一義的に求められる。
第一の基準面と第二の基準面は、プローブ140で形状測定が可能な形状であればよく、直線や二次曲線の組み合わせであっても構わない。
また、本実施形態では、測定用治具110の回転角度の原点設定用の検出部材として円柱状のシャフト117を用いているが、検出部材としては板や角柱、あるいは球でもよい。また、検出部材を検出するために近接センサー150を用いた構成を説明したが、検出部材を用いて測定用治具110がθ方向の所定の角度にきたことを検出できれば、どのようなセンサーであってもよい。
また本実施形態は、形状測定用のプローブとして接触式のプローブ140を用いた例を説明したが、公知の光プロ-ブを被測定面との距離を一定に保ちながら走査する非接触式プローブであってもよい。
本実施形態では、Rθ走査方式の三次元形状測定機を用いた測定方法を説明したが、XY走査方式の三次元形状測定機でも同様の測定が可能である。XY走査方式の三次元形状測定機の場合も、非球面レンズ120の表面121と測定用治具110の円錐面111の形状を同一座標系で測定する。ただし、測定用治具110のθ方向の位置を算出するため、円柱状のシャフト117の表面の形状測定も同一座標系で行う。同様に、非球面レンズ120の裏面122、測定用治具110の円錐面112の形状およびシャフト117の裏面の形状を同一座標系で測定する。そして、測定用治具110の円錐面111とシャフト117の表面の測定データと、円錐面112とシャフト117の裏面の測定データを用いて、測定用治具110の表裏反転に伴うθ方向の角度誤差の補正をデータ上で行なう。その後、上記Step6以降の手順に準じて、これらの測定データをデータ処理する。これにより、非球面レンズ120の表面121と裏面122の相対位置関係を含めた三次元形状を求められる。
第二実施形態
図6Aは、本発明の第二実施形態における測定用治具の縦断面図であり、図6Bはその平面図である。本実施形態の測定用治具は、基本的に第一実施形態の測定用治具に似ている。よって、図6Aと図6Bにおいて、図1Aや図1Bに示した部材と同一の参照符号で指示された部材は、同様の部材を示している。
本実施形態の測定用治具210を、図6Aと図6Bに示す。本実施形態の測定用治具210は、円柱状のシャフト117を持っていない点で、第一実施形態の測定用治具110と異なる。代わりに、測定用治具210は、第一の基準面である円錐面111に刻まれた回転角度の原点設定用の細線211と、第二の基準面である円錐面112に刻まれた同様の細線212(不図示)とを有している。
円錐面111の細線211と円錐面112の細線212(不図示)は、回転角度の原点設定用のマーキング(指標)である。これらのマーキングは、測定用治具210の基準軸113を回転中心としたθ方向(円錐面の母線方向)において、同一角度θ0の方向を向くように形成されている。なお、これらのマーキングは、基準面の形状を測定するときに、マーキングの位置が検出できればよい。よって、プローブ140による基準面の形状測定時に支障がない程度に細く、浅く形成すればよい。
本実施形態における三次元形状測定機の構成や測定のフローチャートは、基本的に第一実施形態と同じである。以下、第一実施形態との相違点に重点をおいて、本実施形態の三次元形状測定方法について説明する。
Step1およびStep2は、第一実施形態と同じである。
Step3において、プローブ140により非球面レンズ120の表面121の形状測定データ(x,z,θ)(a=1,2,3,・・・)と、円錐面111の形状測定データ(x,z,θ)(b=1,2,3,・・・)を点列データとして取得する。
ただし、第一実施形態では、近接センサー150でシャフト117を検出した時点で、エアースピンドル130のロータリーエンコーダの回転角度(θ)をリセットしている。これに対して、本実施形態では、このような回転角度(θ)のリセットは行なわない。また、円錐面111の形状測定データ(x,z,θ)には、細線211の形状データも含まれている。
Step4は、第一実施形態と同じである。
Step5において、プローブ140により非球面レンズ120の裏面122の形状測定データ(x,z,θ)(c=1,2,3,・・・)と、円錐面112の形状測定データ(x,z,θ)(d=1,2,3,・・・)を点列データとして取得する。ただし、本実施形態のStep3と同様に、エアースピンドル130のロータリーエンコーダの回転角度(θ)のリセットは行なわない。また、円錐面112の形状測定データ(x,z,θ)には、細線212(不図示)の形状データも含まれている。
Step6において、円錐面111の形状測定データ(x,z,θ)をXYZ直交座標系の測定データ(X,Y,Z)として、形状誤差データ(X,Y,ΔZ)を算出する。
細線211を設けた円錐面111の形状誤差データの例を図7に示す。図7は、同心円状の形状測定データから求めた形状誤差データ(X,Y,ΔZ)を、三次元鳥瞰図としてグラフ表示にしたものである。図7に示すように、円錐面111の形状誤差を示す同心円状のデータMには、細線211による形状誤差データNが含まれている。この細線211による形状誤差データNが、X軸に一致するようなZ軸周りの回転移動量γを算出し記憶する。
そして、このγを用いて、円錐面111の形状測定データ(x,z,θ)を座標変換することにより、θ方向のセッティング誤差を補正し、新たな形状測定データ(x',z',θ')とする。次に、円錐面111の設計形状データに対する円錐面111の形状測定データの座標変換量を求めるが、細線211による形状誤差データNは不要であるので削除したほうが、より精度の高い座標変換量を求められる。この新たな形状測定データ(x',z',θ')をXYZ直交座標系の測定データ(X',Y',Z')として、形状誤差データ(X',Y',ΔZ')を算出する。この座標変換の結果から、円錐面111の測定データの座標変換量(A,B,C,α,β)を記憶する。
記憶した座標変換量(A,B,C,α,β)とZ軸周りの回転移動量γを合わせて、第一の座標変換量(A,B,C,α,β,γb)として記憶する。これにより、三次元形状測定機の測定座標系に対する測定用治具210の円錐面111のセッティング誤差を算出できる。
Step7においても、本実施形態のStep6と同様に、円錐面112の細線212(不図示)による形状誤差データから、円錐面112の形状測定データのZ軸周りの回転移動量γを算出する。そして、円錐面112の測定データの座標変換量(A,B,C,α,β)と合わせて、第二の座標変換量(A,B,C,α,β,γ)として記憶する。これにより、三次元形状測定機の測定座標系に対する測定用治具210の円錐面112のセッティング誤差を算出できる。
Step8において、本実施形態のStep6で算出した第一の座標変換量(A,B,C,α,β,γ)と本実施形態のStep7で算出した第二の座標変換量(A,B,C,α,β,γ)を用いて、非球面レンズ120の表面121と裏面122の測定データを座標変換する。ただし、第二の座標変換量については、第一実施形態でも述べたように、各パラメータの符号を反転し、かつZ軸方向の並進移動量に円錐面111の頂点P111と円錐面112の頂点P112の間隔の理論値L0を加味して、新たな第二の座標変換量(-A,-B,-C',-α,-β-γ)とする。
そして、Step3で取得した非球面レンズ120の表面121の形状測定データ(x,z,θ)をXYZ直交座標系の測定データ(X,Y,Z)とし、この測定データ(X,Y,Z)を第一の座標変換量(A,B,C,α,β,γb)を用いて座標変換し、測定データ(X',Y',Z')とする。また、Step5で取得した非球面レンズ120の裏面122の形状測定データ(x,z,θ)を、XYZ直交座標系の測定データ(X,Y,Z)とし、この測定データ(X,Y,Z)を新たな第二の座標変換量(-A,-B,-C',-α,-β,-γ)を用いて座標変換し、測定データ(X',Y',Z')とする。これにより、非球面レンズ120の表面121の測定データと裏面122の測定データを同一座標系のデータとすることができる。
Step9において、非球面レンズ120の表面121の測定データ(X',Y',Z')と裏面122の測定データ(X',Y',Z')により、表面121と裏面122の相対位置関係を含めた非球面レンズ120の三次元形状が分かる。
本実施形態によれば、第一の基準面と第二の基準面に設けたマーキングの測定データを用いることにより、被測定物の表面および裏面の相対的な位置ずれを含めた三次元形状を測定できるので、三次元形状測定機に第一実施形態で用いたような近接センサー150を必要としない。
本実施形態では、第一の基準面のマーキングと第二の基準面のマーキングとが、それぞれ、一本の細線211と一本の細線212であるとして説明したが、マーキングは複数本の細線であってもよい。そして、各細線の測定データからZ軸周りの回転移動量を求め、平均化することにより、Z軸周りの回転移動量の算出精度を向上させることができる。また、本実施形態でも、プローブ140は、公知の非接触式プローブであってもよい。
また、本実施形態でも、第一の基準面および第二の基準面の形状は、第一実施形態と同様に、プローブ140で形状測定が可能な形状であればよい。直線や二次曲線あるいはこれらの組み合わせであっても構わない。
また、上記いずれの実施形態においても、基準面は、光軸に沿う方向の断面において、断面形状を表す線が、例えば直線や二次曲線で表される。あるいは、断面形状を表す線が、これらの線を組み合わせた線になっている。よって、基準面の形状は、所定の線を基準軸周りに回転させた場合に、その所定の線が描く軌跡によって表される形状になっている。図1A、図5Aでは、所定の線は直線であるので、基準面の面形状は円錐面である。また、図5Bでは、所定の線は二次曲線であるので、面形状は二次曲面である。また、図5Cでは、所定の線は、基準軸から離れた位置に中心を持つ円の円弧である。よって、面形状は、ドーナツ形状の外面の一部になる。
本実施形態では、Rθ走査方式の三次元形状測定機を用いた測定方法を説明したが、XY走査方式の三次元形状測定機でも同様の測定が可能である。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施の形態を述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
本発明の第一実施形態における測定用治具の縦断面図である。 図1Aに示された測定用治具の平面図である。 被測定物と測定用治具と三次元形状測定機の関係を示す概念図である。 本発明の第一実施形態における三次元形状測定方法のフローチャートを示している。 図1Aに示された測定用治具の上側の円錐面の設計形状データを模式的に示している。 図1Aに示された測定用治具の下側の円錐面の設計形状データを模式的に示している。 図4Aに示された設計形状データと図4Bに示された設計形状データとを同一測定座標系で示している。 図1Aと図1Bの測定用治具に代えて適用可能な測定用治具の変形例を示している。 図1Aと図1Bの測定用治具に代えて適用可能な測定用治具の別の変形例を示している。 図5Bに示された測定用治具の断面斜視図である。 本発明の第二実施形態における測定用治具の縦断面図である。 図6Aに示された測定用治具の平面図である。 同心円状の形状測定データから求めた形状誤差データの三次元鳥瞰図である。 特開2001−324311号公報に開示されている三次元形状測定方法で使用される形状測定機の斜視図である。 特開2002−71344号公報に開示されている三次元形状測定方法で使用される測定用治具の斜視図である。 特開2001−56217号公報に開示されている三次元形状測定方法における測定時の断面図である。
符号の説明
110…測定用治具、110A…測定用治具、110B…測定用治具、111…円錐面、111A…円錐面、111B…二次曲面、112…円錐面、112A…円錐面、112B…二次曲面、113…基準軸、114…保持部、115…表面側の穴、116…裏面側の穴、117…シャフト、210…測定用治具、211…細線、212…細線。

Claims (7)

  1. 基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の一方の面に形成された第一の基準面と、
    前記基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の他方の面に形成された第二の基準面と、
    前記基準軸と略一致して表面と裏面が露出するように被測定物を保持する保持部と、
    前記基準軸を回転中心とした回転角度の原点設定用の検出部とを有することを特徴とする測定用治具。
  2. 前記回転角度の原点設定用の検出部は、外周面に設けられた検出部材であることを特徴とする請求項1に記載の測定用治具。
  3. 前記回転角度の原点設定用の検出部は、第一基準面および第二基準面に形成されたマーキングであることを特徴とする請求項1に記載の測定用治具。
  4. 前記第一の基準面および前記第二の基準面の形状は、前記基準軸を中心とした円錐面あるいは二次曲面の一部であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載の測定用治具。
  5. 基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の一方の面に形成された第一の基準面と、前記基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の他方の面に形成された第二の基準面と、外周面に設けられた前記基準軸を回転中心とした回転角度の原点設定用の検出部材とを有する測定用治具を用いた三次元形状測定方法であり、
    前記測定用治具に、前記基準軸と略一致して表面と裏面が露出するように被測定物を固定する工程と、
    プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の表面の形状測定データと、前記第一の基準面の形状測定データを同一座標系で取得すると共に、前記測定用治具の回転角度の原点設定用の検出部材のデータを取得する第一の測定工程と、
    前記プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の裏面の形状測定データと、前記第二の基準面の形状測定データを同一座標系で取得すると共に、前記測定用治具の回転角度の原点設定用の検出部材のデータを取得する第二の測定工程と、
    前記測定用治具の回転角度の原点設定用の検出部材のデータを用いて、前記第一の基準面の形状測定データと前記第二の基準面の形状測定データとの間の前記基準軸を回転中心とした回転角度の相対的な誤差を補正する工程と、
    前記第一の基準面の形状測定データと前記第一の基準面の設計形状データから第一の座標変換量を算出する工程と、
    前記第二の基準面の形状測定データと前記第二の基準面の設計形状データから第二の座標変換量を算出する工程と、
    前記第一の座標変換量および前記第二の座標変換量を用いて、前記被測定物の表面の形状測定データおよび裏面の形状測定データを座標変換する工程とを有することを特徴とする三次元形状測定方法。
  6. 基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の一方の面に形成された第一の基準面と、前記基準軸に対して少なくとも形状の一部が傾きを持ち、前記基準軸を中心とした軸対称な形状であって、外周部の他方の面に形成された第二の基準面と、前記第一基準面および第二基準面に形成された、前記基準軸を回転中心とした回転角度の原点設定用のマーキングとを有する測定用治具を用いた三次元形状測定方法であり、
    前記測定用治具に、前記基準軸と略一致して表面と裏面が露出するように被測定物を固定する工程と、
    プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の表面の形状測定データと、前記第一の基準面の形状測定データと、前記第一の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データを同一座標系で取得する第一の測定工程と、
    前記プローブと前記測定用治具を相対的に移動しながら座標値を取り込むことにより、前記被測定物の裏面の形状測定データと、前記第二の基準面の形状測定データと、前記第二の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データを同一座標系で取得する第二の測定工程と、
    前記第一の基準面の形状測定データと、前記第一の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データと、前記第一の基準面の設計形状データから第一の座標変換量を算出する工程と、
    前記第二の基準面の形状測定データと、前記第二の基準面に形成された前記マーキングの形状測定データと、前記第二の基準面の設計形状データから第二の座標変換量を算出する工程と、
    前記第一の座標変換量および前記第二の座標変換量を用いて、前記被測定物の表面の形状測定データおよび裏面の形状測定データを座標変換する工程とを有することを特徴とする三次元形状測定方法。
  7. 前記第一の測定工程および前記第二の測定工程は、前記測定用治具を回転手段により回転させると共に、この回転手段の回転角(θ)を測定し、前記プローブを前記回転手段により回転する前記被測定物あるいは前記測定用治具の高さ方向(Z軸方向)の変化に追従させながら前記回転手段の回転軸と直交する方向(X軸方向)に移動すると共に、前記プローブのXZ座標を測定し、前記回転手段の回転角(θ)と前記プローブの座標(x,z)を座標値として取り込み、形状測定データを取得する工程であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の三次元形状測定方法。
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