JP4309696B2 - 容器用キャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器用キャップのうち、特に容器に装着される本体が蓋部及び該蓋部を開状態に切り換える押し操作用のボタン部を一体に形成しているキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
容器用キャップには、図7に例示されるように、容器側に装着されて蓋部を押し操作用ボタン部により開状態に切り換えるものがある。即ち、図7(a)は特許文献1に開示のものである。この構造では、容器側の注出口側外周に装着される本体50と、本体50に枢支された蓋部55と、本体50と蓋部55との間に介在されて本体外周側への押し操作により蓋部55を開状態に切り換えるボタン部(スプリング作用片)57とを一体に形成している。本体50は、下側51が容器装着部で、その上側が内径を絞った小筒形開口52及び外周側の溝状部(支持起立板)53からなる。溝状部53には、対向内面に凹部54が設けられ、又、ボタン部57が下ヒンジ58を介し連結されている。ボタン部57は溝状部53に対応した板幅で、中間ヒンジ59を有している。蓋部55は、ボタン部57の自由端側に連結され、基端両側に前記凹部54に対応した凸部56を形成している。そして、ボタン部57及び蓋部55は、図中左側に想像線で示す成形形状から、本体50側へ接近された後、凸部56を凹部54に嵌合することにより、実線の組立態様となる。この組立態様において、ボタン部57は凸部56及び凹部54の嵌合部(枢支部)と、下ヒンジ58とで位置規制されて、全体が中間ヒンジ59を外側に張り出した略く字形となり、蓋部55は開口52を閉じる。ボタン部57は、本体50側へ押されると、想像線のごとく中間ヒンジ59で反転されて全体が逆く字形となって溝状部53内に入り込む。同時に、蓋部55は、凸部56及び凹部54の嵌合部を支点として上斜めに回動されて、開状態に切り換えられる。
【0003】
これに対し、図7(b)は特許文献2に開示のものである。この構造でも、容器70の注出口71外周に装着される本体60と、本体60に枢支された蓋部65と、押し操作により蓋部65を開状態に切り換えるボタン部(中間体)67とを一体に形成している。本体60は、上面61に容器内へ連通する開口62を形成し、又、外周に両立壁で区画された溝状部63を形成している。溝状部63には、対向内面に凹部64が設けられ、又、ボタン部67が下ヒンジ68を介し連結されている。ボタン部67は溝状部63に対応した板幅であり、中間ヒンジ69を形成している。蓋部65は、ボタン部67の自由端側に連結され、基端側に前記凹部64に対応した凸部(軸ピン)66を形成している。符号65aは蓋部内面に設けられた突起である。そして、ボタン部67及び蓋部65は、上記の例と同様に凸部66を凹部64に嵌合枢支することにより、実線の組立態様となる。この組立態様において、ボタン部67は凸部66及び凹部64の嵌合部(枢支部)と、下ヒンジ68とで位置規制されて、全体が中間ヒンジ69を介し略く字形となり、蓋部65は上端面61に重ねられて突起65aで開口62を閉じる。ボタン部67は、本体50側へ押されると、想像線のごとく中間ヒンジ69で反転されて全体が逆く字形となって溝状部63内に入り込む。同時に、蓋部65は、凸部66及び凹部64を支点として上斜めに回動されて、開状態に切り換えられる。
【0004】
【特許文献1】
実公昭51−53952号公報(第1図と第2図)
【特許文献2】
実開昭61−172044号公報(第1図〜第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来キャップは、何れもが単一成形品であるため量産化する上で製造費を抑えることはできるが、次のような問題を有している。
第1、従来構造では、蓋部を開状態に切り換えるときに、ボタン部の押し力が必要以上に大きくなって使い勝手が悪い。これは、ボタン部を本体側へ押圧することで、蓋部を枢支部を中心として開方向へ回動する構造において、図7(a)の例で説明すると、ボタン部57が枢支部(56,54)と下ヒンジ58とで位置規制されているため、中間ヒンジ59を介し実線位置より本体側の想像線位置へ反転する途中で過剰な負荷が必要になる。これに起因して、開操作では、ボタン部57が枢支部(56,54)と下ヒンジ58とを結ぶ反転ラインを通過する際の過大な力を受け、反転ラインより最終位置まで急速に変位するため、蓋部55が開状態に切り換える途中から勢いよく開いて違和感を与える。従って、品質上は、ボタン部をできるだけ一定の押し力により操作できる様にしたい。また、以上の過剰の負荷は、各ヒンジ及びその周辺部に歪みやクラックを生じて破損要因となる。
第2に、前記の負荷を小さくするには、例えば、図7(a)の場合は蓋部の枢支部(56,54等)を右側へ、図7(b)の場合は蓋部の枢支部(66,64等)を左側へ変更すればそれなり小さくできる。しかし、その場合には、蓋部の開き角度が小さくなって使い勝手を損ねる要因となる。また、従来構造では、蓋部の最大開き角度がせいぜい90度前後であるため用途的な制約を受けることもある。この開き角度は、キャップが本体・蓋部・ボタン部を一体に形成している関係で、簡単には大きくできない。
【0006】
本発明の目的は、本体・蓋部・ボタン部が単一成形品という利点を維持しつつ以上のような課題を全て解消して、使い勝手及び品質を向上したり、蓋部の開き角度をより大きく設定容易にして用途拡大を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、図面の例で特定すると、容器5の注出口側に装着される本体1と、前記本体1に凸部25及び凹部15aの嵌合を介し枢支される蓋部2と、前記本体1と前記蓋部2との間に介在されて本体外周側への押し操作により蓋部2を開状態に切り換えるボタン部3とを一体に形成している容器用キャップにおいて、前記本体1の外周下側に第1ヒンジ42を介し結合され、かつ、前記ボタン部3の基端側に第2ヒンジ43を介し結合されている応力吸収用の連結片4を有しており、前記ボタン部3を押し操作して前記蓋部2を開状態に切り換えるときに、前記ボタン部3が前記連結片4の下方向への揺動を伴って前記本体外周に接近するようにしたことを特徴としている。
【0008】
(要部説明)本発明の工夫点は、特に過剰又は過大な負荷を応力吸収用連結片により緩和したことにある。即ち、この構造では、ボタン部を本体に連結片を介し結合すると共に、本体と連結片との間及び連結片とボタン部との間を第1,第2ヒンジ(薄肉ヒンジ)を介しそれぞれ接続することにより、押し操作でボタン部に加わる負荷を連結片の下方向への揺動にて緩和吸収する。このため、この発明では、蓋部を開状態に切り換える際の押し力を小さくしたり、従来のような蓋部の急激な回転をなくしたり、最初から最後までほぼ一定の力で操作できる。また、この構造では、ボタン部が過剰な負荷を受けないためヒンジ及びその周辺部の破損の虞も解消できる。
【0009】
以上の本発明は、請求項2〜4のように展開することがより好ましい。即ち、
・請求項2は、前記本体が前記ボタン部を上下方向に配置する溝部を外周に形成しており、前記連結片が前記溝部内に収まると共に、前記第1ヒンジを介し前記本体側から略直角に突出する略水平状の基端部及び該基端部から下向きに延びて前記第2ヒンジを介し前記ボタン部に結合している略傾斜状の先端部とからなる構成である。この場合には、例えば、本体側の溝部構成及び連結片の配置構成により外観特性を維持すると共に、形状工夫により連結片の揺動による負荷吸収作用を確実に得られるようにする。
・請求項3は、前記ボタン部は、前記凸部及び凹部の嵌合箇所に対応接近して設けられた第3ヒンジと、前記第3ヒンジより少し下側に設けられて外へ張り出した張出部とを有していると共に、前記張出部の上外面を指当て押圧用の湾曲面又は傾斜面として形成している構成である。この場合には、例えば、第3ヒンジにより蓋部の開き角度を大きくしたり、張出部及び湾曲面の存在により小さな力で押し操作し易くする。
・請求項4は、前記本体は前記凹部を付設した対の突片と、段差状の係合部とを上端面に有していると共に、前記蓋部は前記本体の上側と略同大の外径からなり、前記係合部と係脱する内側の窪み部と、前記突片を受け入れると共に前記凸部を空間に突出しているスリットとを有している構成である。この場合には、例えば、蓋部の配置及び枢支構成により回動角を規制され難くし、従来に比べて、外観特性、蓋装着性等を向上し、蓋部の開き角を大きくする上での制約を緩和できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な形態を添付図面に基づいて説明する。図1(a),(b)は容器用キャップを蓋部の閉状態及び開状態で示す概略外観図である。図2は蓋部の閉状態を示し、同(a)は上面図、同(b)は正面図、同(c)は右側面図である。図3は作動図であり、同(a)は蓋部の閉状態での断面図、同(b)は蓋部が反転ライン付近まで回転された状態での断面図、同(c)は蓋部が最大まで回転された状態での断面図である。図4〜図6は容器用キャップの成形状態を示す展開図であり、図4(a)は上面図、図4(b)は正面図、図4(c)は下面図、図5(a)は下側の一部を破断した左側面図、図5(b)は右側面図、図5(c)は図4(a)のA−A線断面図、図6(a)は図5のB部拡大図、図6(b)は図5のC部拡大図である。以下の説明では、キャップ構造について述べた後、組立及び作動を説明しながら有用性を明らかにする。
【0011】
(構造)形態の容器用キャップは、樹脂の射出成形品であり、容器5の注出口5a側に装着される本体1と、本体1に枢支される蓋部2と、本体1と蓋部2との間に介在されて本体外周側への押し操作により蓋部2を開状態に切り換える操作用ボタン部3及び応力吸収用連結片4とを一体に形成している。なお、容器5は、食品、薬品、化粧品などの液体、粉体や粒状物入れるものであればよく、用途及び材質的な制約は特にない。また、注出口5aは、本体1が簡単に装着できる形状であればよい。
【0012】
前記本体1は、筒状外周10の内側に一回り小さな内筒11を有し、外周10の上側全体及び内筒11の上側の一部が上端面12で閉じられており、又、上端面12より外周10の一部を欠如した状態で縦形の溝部18を形成している。ここで、内筒11は、外周10より短く、下端内周に突出した係止爪11aを形成している。この係止爪11aは、図3のごとく内筒11に差し込まれる容器注入口5aを形成している筒部分の対応部に係合することにより、本体1を容器5に装着可能にする。上端面12には、下面に突設されたリング形の小筒部13と、上面に突設されて小筒部13内に通じている小筒部14と、片側に位置して所定間隔を保って立設された対の突片15,15と、突片15同士を連結している片部16と、外周上側を一段低くした係合部17とが設けられている。小筒部13は、容器注出口5aに差し込まれることにより、本体1を容器5に対し位置規制可能にする。小筒部14は、容器1に収容されている内蔵物を注出口5aから外部へ流出させる開口14aを形成している。両突片15は、上端面12のうち、溝部18の両側に位置し、小筒部14より若干高くなっている。各突片15には、同軸線上に貫通された軸穴用の凹部15aが設けられている。係合部17は、上端面12の外周側、つまり両突片15の間の部分を段差状に形成したものである。溝部18は、突片15と突片15との間の上端面12を欠如し、該欠如幅で外周10の対応部を欠肉したものであり、又、深さが前記内筒11の外面付近に達している。この溝形状は、図5のごとく両側壁が外周10より略直角に形成された側面により、底壁が内筒11の一部に接続された平坦面により区画されて、全体が上下方向に延び、かつ、断面略コ形となっている。なお、符号19は、外周10の上端部分を少し欠肉した案内部であり、蓋部2を係合解除するときに操作し易いようにする箇所である。但し、この案内部19は省略してもよい。
【0013】
前記蓋部2は、本体1の上側とほぼ同じ外径からなる略円キャップ形状をなし、本体1の上側全体を覆って閉状態となり、該閉状態で内側の窪み部20(の内径)が係合部17と係脱する。蓋部20の外面には、前記突片15に対応した対のスリット24が設けられている。各スリット24は、突片15を遊嵌する溝幅であり、内空間に凸部25を突出している。蓋部2の内面側にあって、窪み部20は、円弧状の周囲壁21と、周囲壁21に両側を接続しかつスリット24に対応して設けられた略コ形の内壁(リブ)22により区画されている。このため、前記スリット24は内壁22の両辺部の内側に位置している。また、前記凸部25は、蓋部内面に突出されて内壁22より低いリブ23の外面(コ形リブ23の両辺部の外面)に突設されている。なお、符号26は窪み部20内に設けられた突出部であり、符号27は周囲壁21にあって案内部19に対応した縁部に突設された係合解除用突部である。突出部26は蓋部2の閉状態で、小筒部14内に挿入されて開口14aを封止可能にする。突部27は、指等を当てて蓋部2を開ける方向へ押して係合部17と窪み部20との係合を解除する際に利用される。
【0014】
前記ボタン部3は、前記溝部18に略収まる大きさからなり、外面30が両側壁を有し、内面31が前記両側壁の存在で上側部分に区画された略凹状に突設されたリブ32を有している。細部的には次の通りである。ボタン部3の長さは、前記突片15の凹部15aと内筒11の下端との間の寸法とほぼ同じく設定されている。外面30は、図2のごとく外へ膨出した張出部33を上側に形成し、該張出部33より基端又は下端側である下外面33bが滑らかな傾斜面であり、張出部33より先端又は上端側である上外面33aが指当て押圧用の湾曲面又は鋭角な傾斜面となっている。上外面33aには小リブ34が複数に設けられている。該小リブ34は、指を当てたときに滑りを防ぐ滑り止めであるが、機能的に省略しても差し支えない。そして、ボタン部3は、上端側が蓋部2におけるコ形リブ23の中間上縁に対し薄肉ヒンジ35を介し屈曲可能に結合されている。このため、薄肉ヒンジ35は、蓋部2を本体1に組み立てた状態で、凸部25に対し接近(1.5〜3.0mm内に近づくように)している。
【0015】
前記連結片4は、本体1とボタン部3との間に介在されていて、図6(a)のごとく本体1側から略直角に突出する略水平状の基端部40と、該基端部40から下向きに延びる略傾斜状の先端部41とからなり、全体が溝部18内に収まっている。また、基端部40は、本体1の内筒11下端側ないしは溝部18の底壁下端側に対し薄肉ヒンジ42を介して結合されている。先端部41は、基端部40と共に略へ字形状を形成しており、ボタン部3の基端に対し薄肉ヒンジ43を介して結合されている。そして、連結片4は、ボタン部3を押し操作して蓋部2を開状態に切り換えるときに、ボタン部3が連結片4の下方向への揺動を伴って本体1の外周を形成している溝部18の底壁に接近可能にする。このため、設計上は次のように設定されている。基端部40及び先端部41には、ボタン部3と同様に所定の剛性が付与されている。薄肉ヒンジ42には、連結片4の全体を所定角だけ屈曲可能にする弾性力が付与されている。換言すると、この薄肉ヒンジ42は、例えば、連結片4を本体1側に屈曲可能に連結している構成であればよい。これに対し、薄肉ヒンジ43は、屈曲性又は弾性力が薄肉ヒンジ42よりも大きく付与されている。このため、この薄肉ヒンジ43は、図3(a)及び(c)から推察されるように、連結片4の先端部41とボタン部3の基端側との間の角度を可変可能にする構成であればよい。
【0016】
(組立及び作動)以上の容器用キャップは、図4及び図5の展開状態で型成形されて、成形後に使用態様に組み立てられる。組立要領は、蓋部2を本体1の上側に近づけた後、本体1側の各突片15を対応する蓋部側スリット24にそれぞれ挿入する。その挿入操作では、例えば、各スリット24に突出している凸部25を突片15の背面に位置させ、凸部25が凹部15aに入り込むよう強制的に蓋部2を両突片15間に押圧する。すると、各凸部25は、突片15と突片15との間を弾性的に広げ、対応する凹部15aと一致したときに凹部15aと嵌合する。この嵌合により、蓋部2は、本体1に対し凸部25を支点として回動可能に組み付けられる。
【0017】
以上の組立状態において、蓋部2は、本体上端面12側に押されると、図1(a)及び図3(a)のごとく窪み部20の内径が上端面12の係合部17に係止された蓋閉状態又は蓋係止状態となる。この状態では、突出部26が小筒部14内に挿入されて開口14aを封止している。ボタン部3は、本体外周10の溝部18内より張出部33及びその上下部分が突出している。蓋部2は、突起27を上に押圧することにより、係合部17に対する窪み部20の係止を解除し、その後、ボタン部3の押し操作により凸部25を支点として回動されて図1(b)及び図3(c)の蓋開状態に切り換えられる。なお、容器5に装着された使用態様では、例えば、蓋部2を本体1に対し非係止状態、つまり上端面12を蓋部2でほぼ覆った状態にしておき、必要に応じて窪み部20を係合部17に係止ないしは係合させることもある。また、蓋部2を開から閉状態にする場合は、従来と同様に、蓋部2を本体上端面12側に押し、凸部25を支点として回動することになる。
【0018】
以上のように、この形態では、ボタン部3が係合部17及び窪み部20の係止解除状態で本体1の溝部18内へ押圧操作されると、蓋部2が凸部25を支点とし開方向へ回動される。この開作動では、まず、ボタン部3が溝部18内へ押されて図3(b)の位置に達する過程において、連結片4の下向き揺動を伴って数ミリ下移動した後、同(c)の最終押し込みに達する間に元の位置まで戻される。この最終押し込み位置では、ボタン部3が溝部18の底面に当たり、それ以上の押し込みが規制される。蓋部2は、ボタン部3の押し操作により、凸部25を支点として、かつ、薄肉ヒンジ35を屈曲しながら開方向へ回動される。この構造では、以上の蓋開作動において、押圧力としては、ボタン部3が連結片4の揺動に伴う下移動により比較的弱い力で最終位置まで変位される。この理由は、例えば、上記した従来品(反転ラインが固定された構成)に対し、反転ラインが連結片4の揺動により変化することに起因して、反転ラインを弱い負荷で通過可能になるためと考えられる。
【0019】
従って、この容器用キャップでは、従来品より弱い力で蓋開操作を行うことができ(最初から最後までほぼ一定の力で蓋開操作できることと同じ)、かつ、蓋開状態で蓋部2が閉じ方向へ不用意に回動しないよう所定の保持力を維持できる。また、最大押し力を小さくできるため、従来のごとくボタン部を大きな力で押圧することに起因した蓋部の急速回動、それに起因した違和感を解消したり、各薄肉ヒンジ35や43等に加わる負荷、それに起因した破損の虞も解消できる。
【0020】
また、この形態では、図3(c)の蓋部2の最大開き角度が約125度であり、従来品より大きく開くことができる。この開き角度は、従来でも蓋部の枢支部つまり凸部と凹部との設定箇所により多少変更可能であるが、極めて限られている。この点、この構造では、例えば、本体1の平坦状上端面12に凹部15a付きの突片15を設定し、蓋部2にその突片15を逃げる凸部25付きのスリット24を設定、つまり蓋部2の枢支構成及びボタン部2の配置構成により蓋部2の回動角が極力規制されないように工夫し、同時に、蓋部2とボタン部3との間の薄肉ヒンジ35を凸部25及び凹部15aに接近させると共に、ボタン部3が上記した連結片4の揺動を伴って下移動されるよう工夫したため、従来品に比べて、外観特性、蓋装着性、本体側開口の密封性を向上しながら、蓋部の開き角を数段大きくして設計自由度を拡大できる。
【0021】
なお、本発明は、請求項1で特定した要件を除いて種々変形可能なものである。その一例として、本体の内部構成を変更したり容器への装着構造を必要に応じて変更すること、凸部を本体側に設け凹部を蓋部側に設けること等である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係る容器用キャップは、本体・蓋部・ボタン部が単一成形品からなる容器用キャップにおいて、押し操作でボタン部に加わる負荷を連結片の下方向への揺動により緩和吸収する。この結果、従来品に比べて、蓋部を開状態に切り換える際の押し力を小さくでき、最初から最後までほぼ一定の力で操作できるようにして使い勝手を向上できる。しかも、課題に挙げたような過剰な負荷を受け難くしたためヒンジ及びその周辺部の破損の虞も解消できる。また、請求項3及び4のように構成すると、従来品に比べて、外観特性等を向上しながら、蓋部の開き角を大きくでき、これにより適用上の制約をなくして用途も拡大できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明形態のキャップを蓋部を開閉した状態で示す模式図である。
【図2】 上記キャップの細部を蓋閉状態で示す構成図である。
【図3】 上記キャップの作動を示す模式断面図である。
【図4】 上記キャップを成形状態で示す展開図である。
【図5】 図4と同様にキャップの展開図である。
【図6】 図5の一部を拡大した要部構成図である。
【図7】 従来キャップの問題を説明するための図である。
【符号の説明】
1…本体(10は外周、11は内筒部、12は上端面、14aは開口)
2…蓋部(20は窪み部、21と22は周囲壁、26は突出部)
3…ボタン部(30は外形部、32はリブ、33は張出部、33aは上外面)
4…連結片(40は略水平状の基端部、41は略傾斜状の先端部)
15…突片(15aは凹部)
24…スリット(25は凸部)
35…薄肉ヒンジ(第3ヒンジ)
42…薄肉ヒンジ(第1ヒンジ)
43…薄肉ヒンジ(第2ヒンジ)

Claims (4)

  1. 容器の注出口側に装着される本体と、前記本体に凸部及び凹部の嵌合を介し枢支される蓋部と、前記本体と前記蓋部との間に介在されて本体外周側への押し操作により蓋部を開状態に切り換えるボタン部とを一体に形成している容器用キャップにおいて、
    前記本体の外周下側に第1ヒンジを介し結合され、かつ、前記ボタン部の基端側に第2ヒンジを介し結合されている応力吸収用の連結片を有しており、
    前記ボタン部を押し操作して前記蓋部を開状態に切り換えるときに、前記ボタン部が前記連結片の下方向への揺動を伴って前記本体外周に接近するようにしたことを特徴とする容器用キャップ。
  2. 前記本体が前記ボタン部を上下方向に配置する溝部を外周に形成しており、前記連結片が前記溝部内に収まると共に、前記第1ヒンジを介し前記本体側から略直角に突出する略水平状の基端部及び該基端部から下向きに延びて前記第2ヒンジを介し前記ボタン部に結合している略傾斜状の先端部とからなる請求項1に記載の容器用キャップ。
  3. 前記ボタン部は、前記凸部及び凹部の嵌合箇所に対応接近して設けられた第3ヒンジと、前記第3ヒンジより少し下側に設けられて外へ張り出した張出部とを有していると共に、前記張出部の上外面を指当て押圧用の湾曲面又は傾斜面として形成している請求項1又は2に記載の容器用キャップ。
  4. 前記本体は前記凹部を付設した対の突片と、段差状の係合部とを上端面に有していると共に、前記蓋部は前記本体の上側と略同大の外径からなり、前記係合部と係脱する内側の窪み部と、前記突片を受け入れると共に前記凸部を空間に突出しているスリットとを有している請求項1から3の何れかに記載の容器用キャップ。
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