JP4309673B2 - 高速回転対応チャック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速回転可能な被把持体を把持して一体に高速回転する高速回転対応のチャック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンの動力軸をエンジン外部から高速回転させてエンジンの振動などの性能を試験するコールドテスト装置に使用されるエンジン動力軸のチャック装置や、工作機械の主軸を高速回転させるチャック装置は、高速回転可能な被把持体を複数のチャック爪で把持して、被把持体と共に高速回転する。このようなチャック装置は、チャック爪をエアーや油圧などの流体圧で開閉駆動させて被把持体を強固に把持する方式のものと、チャック爪に強力なばね材を装着してばね力で被把持体を強固に把持する方式のものが通常であるが、いずれも、被把持体が高速回転するほど遠心力が大きく作用して、強大な遠心力に打ち勝つだけの大きな流体圧、ばね力を必要とする。そのため、チャック爪とチャック爪の駆動機構に大形で重量物の部品が必要となり、チャック装置が大形で高価なものとなる。また、チャック装置の重量が増すほど、回転時の重量バランスが悪くなって高速回転に対応させることが難しくなる。
【0003】
また、上記チャック装置は、被把持体をチャック爪で高速回転時の遠心力に打ち勝つだけの強力な把持力で把持して高速回転するが、回転の直前や直後においてはチャック爪が被把持体を必要以上の把持力で把持していることになり、このときにチャック爪で被把持体が損傷を受ける虞が生じる。そのため、強力な把持力で損傷を受けやすい被把持体にチャック装置を適用することが難しい。また、チャック爪で被把持体を高速回転時の遠心力に打ち勝つだけの強力な把持力で把持すると、回転停止後にチャック爪を被把持体から離脱させる把持解除のときに大きな力を要して、円滑な把持解除の動作が難しくなる。
【0004】
以上のことから、高速回転に伴う遠心力を利用してチャック爪による被把持体への把持力を増強させるようにしたチャック装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−283113号公報(第0033段、図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のチャック装置は、チャック爪を円柱状の被把持体(ワーク)の外周に押し当てる油圧シリンダと、チャック爪で被把持体を把持して高速回転するときに遠心力で油圧シリンダの油圧を上げるように変位するピストン部材を有する遠心力シリンダポンプを内臓したもので、高速回転時に遠心力を利用してチャック爪の被把持体把持力を増強させる。このチャック装置は被把持体と一体に回転する際の回転速度が上がるほど、遠心力が増大して被把持体への把持力が増し、また、回転停止すると遠心力が無くなって被把持体への把持力が低下することから、被把持体の損傷が軽減され、また、把持解除のための動作が容易になる。
【0007】
しかし、高速回転するチャック装置にチャック爪を駆動させる油圧シリンダや、この油圧シリンダの油圧を遠心力で上げる遠心力シリンダポンプの他、複雑な油圧経路を装備させる必要から、チャック装置が内部構造複雑で高価となり、また、高圧油のリーク対策の問題もあって、高速回転(例えば3000rpm以上)するチャック装置への適用が難しい問題があった。さらに、遠心力を利用したチャック装置は、遠心力で変位する部材のために高速回転時のチャック装置の回転中心と、チャック装置のチャック爪で把持された被把持体の回転中心が位置ずれを起こして振動が発生し、この振動を抑制することが難しい。
【0008】
本発明の目的とするところは、構造簡単で軽量化が容易であり、高速回転時の振動の低減が容易である、遠心力を利用した高速回転対応のチャック装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的を達成する請求項1の発明は、周辺部にチャック爪20を回動可能に配設し、このチャック爪20の先端部に被把持体3と係合するための係合部を設けたチャック本体11と、チャック本体11に同軸に固定されてチャック本体11と一体に回転する回転軸と、チャック本体11の周辺部に半径方向に移動可能に配設され、チャック本体11の回転に伴って生じる遠心力で半径方向外方に移動してチャック爪20を係合部が被把持体3と係合する方向に附勢する遠心力変位部材30とを具備する。
【0010】
ここで、被把持体3は、エンジンの動力軸に連結された動力歯車や工作機械の主軸などである。この被把持体3にチャック爪20を係合させて回転するチャック本体11は、中心部に回転軸12を有する円盤状のもので、回転軸12と一体に回転する。チャック爪20は、チャック本体11の等間隔の複数箇所に複数個を設けるのが望ましいが、被把持体3の形状によっては単数も可能である。チャック爪20の係合部を被把持体3の外周に係合させて被把持体3を把持した状態で、チャック本体11を回転軸12で高速回転させて被把持体3を一体に回転させる、或いは、被把持体側を高速回転させてチャック本体11と回転軸12を回転させる。また、チャック本体11の周辺部に遠心力変位部材30がリニアガイドなどを介して移動可能に配設され、チャック本体11を回転させると遠心力で遠心力変位部材30がチャック本体11の半径方向外方に変位して対応するチャック爪20に係合し、チャック爪20を係合部が被把持体を押圧する方向に附勢する。この附勢でチャック爪20の被把持体3への把持力が、遠心力変位部材30に作用する遠心力に比例して増強する。このように遠心力を利用することでチャック本体11の構造が簡略となり、チャック本体11を主体とするチャック装置10が軽量となって、高速回転に適合させることが容易になる。
【0011】
また、請求項の発明は、チャック本体11の停止時に、チャック爪20を被把持体3と係合するチャック位置と被把持体から離脱するアンチャック位置との間で変位させ、かつ、遠心力変位部材30をチャック爪20と係合する第1の位置とチャック爪20から離脱する第2の位置との間で変位させるカム機構60を、チャック本体11に併設したことを特徴とする。
【0012】
このカム機構60は、チャック本体11の回転停止時にチャック爪20と遠心力変位部材30の各々に係合するカム溝などの係合手段を有し、回転停止したチャック本体11に対して相対移動することで係合手段を介してチャック爪20と遠心力変位部材30を変位させるものが適用できる。チャック本体11が回転するときにカム機構60をチャック本体11に対して離反する方向に相対移動させてチャック本体側との係合が解除されるようにすることができ、この場合は、カム機構60は回転せずにチャック本体側だけが高速回転する。また、カム機構60とチャック本体11を常時係合させて、チャック本体11の回転時にカム機構60も一体に回転させることもできる。
【0013】
また、請求項の発明は、チャック本体11の周辺部に、チャック本体11の停止時のチャック爪20と遠心力変位部材30の姿勢を保持する弾性部材51、52を配設したことを特徴とする。ここでの弾性部材51、52は、チャック爪20と遠心力変位部材30に小さな弾力を常時附勢して、チャック本体回転停止時の定位置での姿勢を安定させるばね材やゴム材、クッション材で、チャック本体11に対するチャック爪20と遠心力変位部材30の変位動作を安定したものにする。
【0014】
また、請求項の発明は、チャック本体11の回転軸12を、この回転軸12の軸心L1の一点を中心に傾動可能に保持する調心軸受70により支持させたことを特徴とする。
【0015】
ここでの調心軸受70は、回転軸12の軸心L1の一点Pを中心にした球面を外周に有する内輪と、この内輪の球面を支持する外輪を備え、内輪がチャック本体11の回転軸12を回転可能に支持する。チャック本体11のチャック爪20で被把持体3を把持するときに、チャック本体11の軸心L1と被把持体3の軸心L2にずれが生じている場合、このずれ量に応じた角度で被把持体3の軸心L2とチャック本体11の軸心L1が交差するように被把持体3に対してチャック本体11が調心動作し、そのままの状態でチャック本体11と被把持体3が一体となって高速回転する。
【0016】
【発明の実施の形態】
自動車のエンジンの動力軸をエンジン外部から高速回転させるコールドテストに使用されるチャック装置に本発明を適用した実施の形態を、図1乃至図9を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明に係るチャック装置10を有するコールドテスト設備の概要を示す側面図で、架台1上の定位置に搬入されたエンジン2の側方にチャック装置10と、チャック装置10を前後及び回転駆動させる駆動系5を設置している。エンジン2は、図示しないクランク軸に連結されたフライホイール3を有し、フライホイール3をチャック装置10で把持して高速回転させることでエンジン2のコールドテストが行われる。以下、フライホイール3を被把持体3と称する。駆動系5は、チャック装置10をエンジン2の在る方向に前後動させるシリンダ(図示せず)と、等速自在継手を介して回転軸12と連結されてチャック装置10を高速回転させるモータ(図示せず)を有する。
【0018】
チャック装置10は高速回転対応のもので、図2及び図3に示すような円盤状のチャック本体11と、チャック本体11の中心部に直交させて固定された回転軸12で主要部を構成する。図3はチャック本体11の裏面図で、チャック本体11の裏面周辺部の複数箇所、例えば等間隔の5箇所にチャック爪20がチャック本体11の半径方向に回動可能に配設される。また、チャック本体11の裏面周辺部の各チャック爪20の近くに遠心力変位部材30と、遠心力変位部材30を保持するガイド部材40が配設され、さらに、チャック爪20に常時小さな弾力を附勢する第1の弾性部材51と、遠心力変位部材30に常時小さな弾力を附勢する第2の弾性部材52が配設される。また、チャック本体11の裏面周辺部の各チャック爪20の近くに、各チャック爪20の回動量を規制するストッパー53が配設される。
【0019】
チャック本体11の裏面側には、チャック爪20と遠心力変位部材30を変位させるカム機構60がチャック本体11側と係脱可能に併設される。また、チャック本体11の回転軸12は、調心軸受70で軸心L1を中心に回転可能及び傾動可能に支持される。調心軸受70は、図2に示すように内輪71と外輪72を備え、外輪72側にカム機構60が図2で左右方向に移動可能に支持される。内輪71の外周は回転軸12の軸心L1の一点Pを中心とする球面であり、この内輪71に回転軸12がベアリング73を介して回転可能に支持される。外輪72は内輪71を点Pを中心に回動可能に支持して、回転軸12の軸心L1が点Pを中心に傾動するようにしてある。チャック本体11が被把持体3に向けて前進する際に、回転軸12の軸心L1と被把持体3の軸心L2の間にずれがあると、チャック本体11の軸心L1の先端のガイドピン75が被把持体3の中心点Qに向かうように軸心L1が点Pを基点に傾動して、両軸心L1、L2が被把持体3の中心点Qで交差した状態で、被把持体3に対してチャック本体11が自動調心される。外輪72と内輪71の相互間には、回転軸12の傾動を円滑にするばね等の調心手段74、…が配備される。
【0020】
図3に示されるチャック爪20はL形爪で、中央部が枢軸21でチャック本体11の裏面周縁部に回転可能に連結される。チャック爪20の先端部20aは、チャック本体11の外周を食み出して軸方向に図3の紙面裏側へと延在する。チャック爪20の後端部20bは、チャック本体11の裏面に沿って半径方向内方に延在する。チャック爪20が枢軸21を支点に回転揺動することで、先端部20aがチャック本体11の半径方向に円弧運動し、後端部20bがチャック本体11の裏面と平行に揺動する。チャック爪20の先端部20aは、図2に示すようにチャック本体11から突出して、その突出部の内面に係合部24が固定される。係合部24は、被把持体3の外周部に離脱可能に係合するもので、図3には歯車である被把持体3の外周の歯間に適宜嵌合する1つの突起歯が示される。なお、図3は、全てのチャック爪20が1つの被把持体3を正確に把持したチャック位置にあるときの概要を示すものであり、チャック爪20は必要に応じて、図7に示すように先端部20aが被把持体3から離れるアンチャック位置へと変位する。
【0021】
また、チャック爪20の後端部20bの表面には、図7に示すようにカムフォロア22が突設され、後端部内側面にテーパ面23を有する。カムフォロア22は、後述するように外部のカム機構60と適宜係合してチャック爪20をアンチャック位置へと回転させる。テーパ面23は、遠心力変位部材30に適宜摺接することで遠心力変位部材30から遠心力を受け、この遠心力でチャック爪20に図7の反時計方向に回転させる回転力を附勢する。また、チャック爪後端部20bのテーパ面23の在る内側面には、第1の弾性部材51から常時小さな弾力が附勢されて、チャック本体11の回転停止時におけるチャック爪20の姿勢を安定させる。
【0022】
チャック本体11の裏面周辺部の5箇所に配設される遠心力変位部材30は金属ブロックで、チャック本体11の裏面に取付ネジ41で固定したガイド部材40の片側に半径方向に移動可能に支持される。ガイド部材40は、チャック本体11の裏面の中央部から周縁部まで半径方向に延在するリニアガイドで、図7に示すようにガイド部材40の片側面に突設したガイドレール42に遠心力変位部材30の基端部31が摺接可能に嵌合する。遠心力変位部材30の表面にはカムフォロア32が突設され、基端部31と反対側の側面にテーパ面33が形成され、同じ側面に突起片34が突設される。カムフォロア32は、後述するように外部のカム機構60と適宜係合して遠心力変位部材30をチャック本体11の半径方向内方へと移動させる。テーパ面33は、チャック爪20のテーパ面23に適宜摺接してチャック爪20を変位させる。突起片34には、第2の弾性部材52からチャック本体11の半径方向外方に向けて常時小さな弾力が附勢されて、チャック本体11の回転停止時における遠心力変位部材30の姿勢を安定させる。
【0023】
図3における第1の弾性部材51は、ガイド部材40に貫通させて固定したばね収納部54と、ばね収納部54の先端に突出退入自在に設けた可動ピン55を有し、可動ピン55の先端がチャック爪20の後端部20bに小さな弾力で常時当接する。また、第2の弾性部材52は、チャック本体11に固定した取付ブロック56に貫通させて固定したばね収納部57と、ばね収納部57の先端に突出退入自在に設けた可動ピン58を有し、可動ピン58の先端が遠心力変位部材30の突起片34に小さな弾力で常時当接する。
【0024】
図3はチャック爪20が被把持体3を正確に把持したときのもので、このときのストッパー53はチャック爪20の後端部20bに当接する定位置にある。図7は被把持体3の把持を正確に解除したときのもので、このときのストッパー53はチャック爪20の後端部20bから所定距離だけ離れた位置にある。
【0025】
チャック本体11における複数の各チャック爪20と各遠心力変位部材30は、チャック本体11の高速回転時の遠心力で変位し、回転停止時はカム機構60のチャック本体11に対する相対回転動によって変位する。カム機構60の具体例を図5に示すと、これは1枚の略円形のカム板61と、カム板61を定角度範囲で正逆回転させるシリンダ65と、カム板61とシリンダ65を支持して図5の紙面と直交方向に前後動させる可動ベース66を備える。可動ベース66の前後動は、図2の調心軸受70の両側に配置されたガイド付シリンダ(図示せず)で行われる。カム板61に同一形状の5つのカム溝62が等間隔で形成され、カム板61の外周部に同一形状の5つの切欠き63が等間隔で形成される。図6に示すように、カム板61の5つのカム溝62の各々に対応する遠心力変位部材30のカムフォロア32が係脱可能に係合し、5つの切欠き63の各々にチャック爪20のカムフォロア22が係脱可能に係合する。
【0026】
図6は各チャック爪20が被把持体3の把持を解いた把持解除のときのもので、カムフォロア32がカム溝62の片端部に在り、カムフォロア22が切欠き63の片端部に在る。この状態で図6のカム板61をシリンダ65で時計方向に回転させると、図9の(D)→(C)→(B)→(A)の順でカムフォロア32がカム溝62を相対移動し、カムフォロア22が切欠き63を相対移動して、チャック爪20による被把持体3の把持が行われる。逆に、図9の(A)→(B)→(C)→(D)の順でカム板61を反時計方向に回転させると、チャック爪20による被把持体3の把持解除が行われる。このような被把持体3の把持と把持解除の各動作は、チャック本体11の回転停止時に後述する要領で行われる。
【0027】
次に、チャック装置10による被把持体3の把持動作、高速回転動作、把持解除動作を順に説明する。
【0028】
図2の状態でチャック装置10が被把持体3を把持するために前進する。このとき、チャック本体11とカム板61は図6に示す係合状態にあって、全てのチャック爪20が図7に示すように開いた状態にある。すなわち、カム板61のカム溝62は、カム板61の中心に近い溝端部62aと、カム板61の中心から徐々に遠ざかる溝端部62bを有する略円弧の溝で、図6のときに遠心力変位部材30のカムフォロア32がカム溝62の一方の溝端部62aに係合して、遠心力変位部材30がチャック本体11の中心に最も近い所定の第1の位置まで変位している。このとき、図7に示すように遠心力変位部材30の突起片34が第2の弾性部材52を押圧し、遠心力変位部材30のテーパ面33からチャック爪20のテーパ面23が外れる。このチャック爪20のカムフォロア22がカム板61の切欠き63の端部に係合して、チャック爪20がアンチャック位置にある状態、すなわち、チャック爪20の先端部20aの係合部24が被把持体3の歯間位置から十分に離れる方向に開く。図7の状態のとき、遠心力変位部材30が第2の弾性部材52からの弾力でチャック爪20の後端部20bの端面に押し付けられて、遠心力変位部材30のがた付きが防止される。また、チャック爪20の後端部20bを小さな弾力で押圧する第1の弾性部材51によってカムフォロア22が切欠き63の端部に押し付けられて、アンチャック位置にあるチャック爪20のがた付きが防止される。
【0029】
そして、チャック装置10が前進して、アンチャック位置のチャック爪20の先端部20aが被把持体3の外周と対向するところまで移動すると、チャック装置10の前進が停止して、チャック本体11に対してカム機構60のカム板61が図6で時計方向に回転する。カム板61の回転始めで、図9(D)から図9(C)に示すように一方のカムフォロア32がカム溝62の端部62aを少し相対移動すると、他方のカムフォロア22が切欠き63と軽く接触するようになってチャック爪20が回動(開閉)しやすくなる。さらに、図9(B)に示すように一方のカムフォロア32がカム溝62を少し相対移動すると、他方のカムフォロア22が切欠き63の端部から離脱してチャック爪20が正逆回転可能な状態になる。図9(B)から図9(A)のようにカム板61がさらに時計方向に回転して、一方のカムフォロア32がカム溝62の端部62bへと相対移動すると、遠心力変位部材30がチャック本体11に係合して附勢する第2の位置へと半径方向外方に変位する。この変位の間に遠心力変位部材30のテーパ面33とチャック爪20のテーパ面23が合致し、半径方向外方に変位するテーパ面33が他方のテーパ面23を摺動しながら押圧して、チャック爪20が図7で反時計方向に回動し、先端部20aの係合部24が被把持体3の外周の歯間に嵌合して、図3に示すように被把持体3がチャック爪20で把持される。
【0030】
チャック爪20が被把持体3を把持する方向に回動するとき、図8に示すようにチャック爪20の先端部20aの係合部24が被把持体3の歯先に当接して歯間に嵌合せず、カム板61の回転が停止する場合がある。このような場合は、例えばカム板61の回転停止を図5に示すシリンダースイッチ65bで検知して、チャック本体11を所望方向に少し回転させ、この回転途中で係合部24を被把持体3の歯間に嵌合させるようにする。係合部24が被把持体3の歯間に正確に嵌合すると、カム板61が戻し端まで回転し、これを図5のシリンダースイッチ65aが検知して、係合部24が被把持体3の歯間に正確に嵌合したことが確認される。
【0031】
チャック本体11の全てのチャック爪20が被把持体3を正確に把持すると、チャック本体11に対してカム機構60が後退して、チャック本体11とカム板61の係合が解除され、チャック本体11と回転軸12の高速回転が開始される。回転軸12でチャック本体11を高速回転させると、被把持体3もチャック本体11と一体となって高速回転して、エンジンのコールドテストが行われる。チャック装置10におけるチャック本体11と回転軸12といった回転に必要な最少の構成部材だけを高速回転させるようにすることで、高速回転時の重量バランスが良くなり、3000rpm以上の高速回転にも容易に適応させることができる。
【0032】
図3の状態でチャック本体11を高速回転させると、図4に示すように遠心力変位部材30が遠心力Fで半径方向外方へと変位しようとし、このときの遠心力Fがチャック爪20のテーパ面23に附勢されて、チャック爪20に図4で反時計方向への回動力が附勢され、先端部20aによる被把持体3への把持力が遠心力Fに比例して増大する。チャック本体11の回転速度が増すほど、チャック爪20による被把持体3の把持力が増大する。したがって、チャック本体11が回転する前の図3の状態におけるチャック爪20による被把持体3への把持力は、被把持体3を損傷させない程度の小さなものでよい。このような小さな把持力で被把持体3を把持するチャック装置構成部品の多くは、アルミニウム製品のような軽量な部品が使用できて、高速回転するチャック本体11の軽量化が容易となる。この軽量化により高速回転時の重量バランスが良くなって、振動の発生を軽減させることができる。
【0033】
また、図2の状態でチャック本体11が被把持体3に向けて前進する際に、回転軸12の軸心L1と被把持体3の軸心L2の間にずれがあると、調心軸受70でチャック本体11が被把持体3に対して自動調心が行われて、両者の軸心L1、L2が被把持体3の中心点Qで交差した状態でチャック本体11と被把持体3が高速回転を開始する。このような調心で高速回転したときに発生する振動は、チャック本体11と被把持体3の軸心L1、L2が交差しないでずれて高速回転するときに発生する振動よりも格段に少なくて、チャック爪20による被把持体3の遠心力で増強された把持力が安定する。
【0034】
エンジンのコールドテスト終了後、チャック本体11と回転軸12の回転が停止すると、カム機構60が前進してチャック本体11と係合してから、図9(A)〜(D)に示すように反時計方向に回転してチャック爪20による被把持体3の把持解除が行われる。この把持解除は、チャック本体11の回転停止時の把持力が小さいことから、同程度の小さな動力で簡単、迅速に行うことができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、チャック本体のチャック爪で被把持体を把持させて高速回転させると、チャック本体の遠心力変位部材が遠心力で変位してチャック爪を被把持体を把持する方向に変位させるので、被把持体への把持力が遠心力で増強されて、チャック本体が回転しないときの最初の把持力を最小限にすることができ、これによりチャック本体の構成部品の軽量化ができ、高速回転に適合させることが容易になる。また、最初の把持力が小さくて済むことから、チャック爪による被把持体の把持動作や、把持解除動作が小さな力で簡単に迅速に行うことができ、把持と把持解除に使用する部品に小形で安価なものが適用できる。
【0036】
また、チャック本体のチャック爪と遠心力変位部材の変位動作をチャック本体に係脱可能に併設したカム機構で行うようにすることで、チャック本体からチャック爪と遠心力変位部材を変位させる機構を省略して、チャック本体を簡略化し、軽量化することができる。また、チャック本体の回転時にはチャック本体からカム機構を離脱させてチャック本体と回転軸の必要最小限の部品だけを高速回転させて、余分な部品を高速回転させないようにすることができる。このようにすることでチャック本体の高速回転時の重量バランスが良くなり、高速回転時の振動の少ない高性能なチャック装置が提供できる。
【0037】
また、チャック本体の周辺部でチャック爪と遠心力変位部材を弾性部材で保持することで、チャック本体の回転停止時及び回転時のチャック爪と遠心力変位部材の姿勢、変位動作が安定して行われて、被把持体の把持動作と把持解除動作の信頼性が良くなる。
【0038】
さらに、チャック本体の回転軸を調心軸受で支持して、チャック本体の被把持体に対する調心を行うようにすることで、チャック本体の高速回転時に発生する振動を軽微なものに抑制することができて、高速回転時の遠心力を利用したチャック爪による被把持体への把持力が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチャック装置を備えたエンジンコールドテスト設備の概要を示す側面図である。
【図2】図1におけるチャック装置の部分断面を含む拡大側面図である。
【図3】チャック装置におけるチャック本体の被把持体を把持したときの要部の裏面図である。
【図4】チャック本体の高速回転時の動作の概要を示す要部の裏面図である。
【図5】チャック本体に併設されるカム機構の概要を示す裏面図である。
【図6】チャック装置とカム機構の係合関係を説明するための裏面図である。
【図7】チャック爪が被把持体を把持しないときの部分裏面図である。
【図8】チャック爪が被把持体を把持する途中の部分裏面図である。
【図9】(A)〜(D)は、チャック本体とカム機構の各動作状況における関係を説明するための要部の裏面図である。
【符号の説明】
3 被把持体
5 駆動系
10 チャック装置
11 チャック本体
12 回転軸
20 チャック爪
20a 先端部
20b 後端部
21 枢軸
22 カムフォロア
23 テーパ面
24 係合部
30 遠心力変位部材
32 カムフォロア
33 テーパ面
40 ガイド部材
51 弾性部材
52 弾性部材
53 ストッパー
60 カム機構
61 カム板
62 カム溝
63 切欠き
65 シリンダ
66 可動ベース
70 調心軸受
71 内輪
72 外輪
73 ベアリング
74 調心手段
75 ガイドピン
L1 軸心
L2 軸心

Claims (3)

  1. 周辺部にチャック爪を回動可能に配設し、このチャック爪の先端部に被把持体と係合するための係合部を設けたチャック本体と、前記チャック本体に同軸に固定されてチャック本体と一体に回転する回転軸と、前記チャック本体の周辺部に半径方向に移動可能に配設され、チャック本体の回転に伴って生じる遠心力で半径方向外方に移動して、前記チャック爪を前記係合部が被把持体と係合する方向に附勢する遠心力変位部材とを具備し、
    前記チャック本体の停止時に、前記チャック爪を被把持体と係合するチャック位置と被把持体から離脱するアンチャック位置との間で変位させ、かつ、前記遠心力変位部材をチャック爪と係合する第1の位置とチャック爪から離脱する第2の位置との間で変位させるカム機構を、チャック本体に併設したことを特徴とする高速回転対応チャック装置。
  2. 前記チャック本体に、チャック本体の停止時にチャック爪と遠心力変位部材の姿勢を保持する弾性部材を配設したことを特徴とする請求項記載の高速回転対応チャック装置。
  3. 前記チャック本体の回転軸を、この回転軸の軸心の一点を中心に傾動可能に保持する調心軸受により支持させたことを特徴とする請求項1または2に記載の高速回転対応チャック装置。
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