JP4309191B2 - 省エネルギー実習システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、事業所における省エネルギーを実習可能な省エネルギー実習システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二酸化炭素の排出による環境への影響が懸念されている近年の状況下では、事業所におけるエネルギーの使用量の抑制が求められる。これを受けて、エネルギー使用の合理化に関する法律が2002年に改正された。改正法では、ビル・ホテル・学校・病院などの事業所も対象として、エネルギーの使用合理化が義務付けられている。事業所には、各種の電気使用設備が設けられており、これらの設備で消費される電力が問題となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ビル等の事業所における省エネルギー対策は、コスト削減及び法律遵守の観点から重要であり、様々な施策が提案されている。しかしながら、エネルギーの使用状況をシミュレートして、管理者が、各種の対策に対する省エネルギーの効果を体験しながら実習できるシステムは知られていなかった。
【0004】
そこで、本発明は、事業所におけるエネルギーの使用状況をシミュレートして省エネルギー対策を実習可能な省エネルギー実習システムを提供することを解決課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る省エネルギー実習システムは、事業所における省エネルギー対策を実習するための省エネルギー実習システム(100)において、ポンプ(20)と、実習生の操作に応じて前記ポンプの運転条件を変化させる手段(22)と、前記運転条件の変化に伴う前記ポンプの消費電力の変化を前記実習生に提示する手段(22)とを備えたポンプ実習設備(B)と、圧縮機(10)と、前記実習生の操作に応じて前記圧縮機(10)の運転条件を変化させる手段(13)と、前記運転条件の変化に伴う前記圧縮機の消費電力の変化を前記実習生に提示する手段(13)とを備えた圧縮機実習設備(A)と、照明装置(30)と、前記実習生の操作に応じて当該照明装置の使用状況を変更する手段(31)と、前記使用状況の変更による消費電力の変化を前記実習生に提示する手段(31)とを備えた照明装置実習設備(C)と、前記ポンプ実習設備、前記圧縮機実習設備及び前記証明装置実習設備を収容する搬送可能なコンテナ(1)と、前記コンテナの内部を空調する空調機(41、42、43)と、前記ポンプ実習設備、前記圧縮機実習設備、前記照明装置実習設備及び前記空調機に供給される総電力を検知し、検知結果に基づいてデマンドを監視するデマンド監視設備(51、52、53、54)と、を備え、前記デマンド監視設備は、前記デマンドの監視結果に基づいて、監視開始から所定時間が経過した時点におけるデマンドを予測し、予測したデマンドが所定のデマンドを超える場合に警報を発動し、かつ、前記警報を発動した後、さらに所定の条件を充足すると、前記空調機の電気負荷を下げる制御を実行する、ことにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0006】
実際の事業所における電力は、ポンプ設備、圧縮機設備、及び照明設備によって大半が消費される。この発明によれば、実習生の操作に応じて運転条件や使用状況等の動作条件が変更され、変更に伴う消費電力の変化が提示されるので、実習生は、所定の省エネルギー対策に対する効果を確認することが可能である。これにより、実習生は、実際の機器の操作を通じて、事業所の省エネルギーに必要な対策を効果的に実習することができる。
【0007】
この省エネルギー実習システムは、搬送可能なコンテナに収容されているため、コンテナと車両を連結して移動することによって、工場等の施設に出向いて省エネルギー対策の実習を行うことが可能となる。
【0008】
この発明によれば、各模擬設備で消費される総電力を検知して、デマンドを監視するようにしたので、個々の省エネルギー対策だけでなく、それらを総合した電力量であるデマンドについても実習することができる。即ち、ポンプ設備の省エネルギー対策が、デマンドにどのような影響を与えるか、あるいは、圧縮機設備の省エネルギー対策と照明設備の省エネルギー対策を組み合わせることによるデマンドの低減効果といったように、各設備の省エネルギー対策を総合した効果を一つのシステムの中で体験することが可能となり、総合的な省エネルギー対策を実習することができる。
【0010】
事業所の電気料金のうち契約電力に応じた基本料金は、年間を通して所定時間(30分間)の最大電力量をもって定まる。従って、最大使用量が契約電力を超えないように監視することは電気料金を削減する観点から重要である。この発明によれば、デマンドの監視結果に基づいて、監視開始から所定時間が経過した時点におけるデマンドを予測し、これが所定のデマンドを超える場合に警報を発動するから、契約電力を超える事態を事前に予測して、現在の設備の稼動状態が継続すると電力量が超過してしまうことを実習生に知らせることができる。この場合、実習生は、各模擬設備において、省エネルギーの施策を実行することにより、契約電力を超えないためには、どのような対策が有効かを習得することができる。
【0012】
この発明によれば、警報が発動された後、さらに所定の条件が充足された場合に、空調機の電気負荷を下げるから、実習生は空調機の運転状況の変化によって、デマンドの監視結果を習得することができる。電気負荷を下げるとは、空調機への電源の供給を停止することの他、当該空調機で消費される電力を低減することが含まれる。例えば、空調機の送風量を下げる処理が含まれる。また、空調機は、ポンプ実習設備、圧縮機実習設備、及び照明装置実習設備とは別に設けられ、実習の際に動作する補助機器である。この場合は、補助機器の電気負荷が自動的に下がることになるが、制御の対象となるのは、ポンプ実習設備、圧縮機実習設備、及び照明実習設備とは別に設けられた補助機器であって、主要な実習の対象設備そのものではない。従って、主要な実習そのものが中断してしまうことがなく、円滑に実習を進めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の一実施形態に係る省エネルギー実習システムの平面図を示す。省エネルギー実習システム100は、車両によって移動可能なコンテナ1に収容されている。コンテナ1には、扉1a及び扉1bが設けられている。扉1aは、コンテナ1の上部から外部に向かって開く。開いた状態において扉1aとコンテナ1の床は、段差無く連結されるようになっており、実習生が実習システムへ立ち入るための入口となる。
【0016】
コンテナ1の内部は、仕切板2及びアコーディオンカーテン3によって3つの領域に区分けされている。仕切板2の左側の部屋は収納室であり、そこには各種の備品及び空調機41〜44の室外機(図示略)が配置される。収納室へはドア4を開いて立ち入ることができるが、実習中はドア4が閉じられている。中央の部屋には、圧縮実習領域Aとポンプ実習領域Bが設けられている。また、アコーディオンカーテン3の右側の部屋は、照明実習領域Cである。
【0017】
圧縮実習領域Aには、仕切板2に沿って圧縮機10が配置されている。圧縮機10は、実際の事業所に配置される圧縮機(コンプレッサ)を模擬した設備である。圧縮機10は、空気を圧縮するものであって、流量計11及び圧縮実習設備12と図示せぬ配管を介して連結されている。圧縮機10によって圧縮された空気は脈動を有するため、実際の事業所では、圧縮空気をレシーバータンクに導いて圧力の脈動を減衰させることが多い。しかしながら、省エネルギー実習システム100は、コンテナ1の限られたスペースに収容する必要がある。そこで、圧縮空気実習設備電気制御盤13にインバータを設け、圧縮空気の脈動が出ないように圧縮機10を制御している。
【0018】
また、圧縮実習設備12には、タンク121及び122が設けられている。タンク121及び122は形の異なるホースで接続されており、ホースの形状の相違による空気の圧力損失の相違等を実測できるようになっている。また、圧縮実習設備12の下部には、キャスターが設けられており、コンテナ1の内部を移動できるようになっている。これにより、狭いスペースを有効に活用することができる。
【0019】
圧縮空気実習設備電気制御盤13には、電力計が設けられており、圧縮機10で消費される電力が計測できるようになっている。圧縮機10の動力源としては、例えば、3相の交流電源で駆動される誘導電動機を用いることができる。圧縮空気実習設備電気制御盤13には、圧縮機10を制御するためのインバータが設けられており、誘導電動機の回転数等を制御できるようになっている。実習生は、圧縮空気実習設備12を用いて、各種の条件の下でインバータによる回転数の制御を行うと共に圧縮機10において消費される電力を計測する。これにより、実習生は、各種の省エネルギー対策の効果を確認することができる。この実習設備は、実機としての圧縮機10を備えるから、実習生は圧縮機10を実際に稼動させながら、省エネルギーに有効な各種の施策を習得することができる。
【0020】
ポンプ実習領域Bには、ポンプ20、水槽21、及びポンプ実習設備電気制御盤22が設けられている。ポンプ20は、実際の事業所に配置されるポンプを模擬した設備である。ポンプ20は誘導電動機を備え、その回転数が制御できるようになっている。また、ポンプ20は、径の異なる複数の配管と選択的に連結可能な装置と接続されて。また、圧力損失を計測可能な計測装置が設けられており、ポンプ実習領域Bでは、配管径の相違による圧力損失を実習できるようになっている。一般に、配管径が小さい程、また、配管長が長い程、圧力損失が大きくなる。しかし、コンテナ1に組み込まれた配管は、スペース的な制約を受けて、配管長を短せざるを得ないため、圧力損失の違いが判り難い。そこで、各配管には流量調整弁を設け、流量調整弁の開度を調整することによって、擬似的に圧力損失を作り出している。ここで、流量調整弁の開度は、実習生が直接調整してもよいし、あるいは、空気駆動・電動駆動によって調整してもよい。
【0021】
ポンプ実習設備電気制御盤22には、電力計、ポンプ20を駆動するインバータ、PID制御装置が組み込まれている。PID制御の用途には、流量制御、圧力制御等がある。本実習設備では、流量制御と圧力制御とを組み合わせた省電力対策を実習できるようになっており、流量調整弁の開度とインバータによる誘導電動機の回転数とを制御することができる。
【0022】
図2(A)は、供給先の必要事項に合わせて流量を制御した場合の流量と圧力の関係を示したものである。制御オンの状態では、流量は一定となるが、圧力は上昇する。図2(B)に、インバータによる圧力制御を実行した場合の様子を示す。この場合は、制御オンの状態で圧力を一定に保つことができるが、流量は変動する。図2(C)は、流量調整弁の開度調整による流量制御とインバータによる圧力制御とを同時に実行した場合の流量と圧力の関係を示したものである。この場合は、流量を適正に制御し、流量の減少に伴う圧力上昇分に相当する回転数だけ下げるようにインバータ制御を実行する。これにより、圧力変化分に対応する電力が無駄にならず省電力が図られる。このように、ポンプ実習領域Bでは、実習生が、ポンプ20を用いて、各種の条件の下でポンプ20において消費される電力を計測し、各種の省エネルギー対策の効果を確認する。
【0023】
照明実習領域Cには、複数の照明装置30と照明電気制御盤31が設けられている。照明装置30は、実際の事業所における照明装置を模擬した設備である。照明装置30としては、一般の蛍光灯装置の他にインバータ制御式の蛍光灯装置があり、同一照度における消費電力の相違を計測できるようになっている。さらに、蛍光灯装置には、磁気式安定器と電子式安定器を備えたものが用意されており、安定器の相違による省電力の効果を計測できるようになっている。これらの照明装置30は、2枚で一組のカーテンで仕切られており、照度を比較して計測することが可能である。また、仕切りに用いられるカーテンの組は、黒カーテン及び白カーテンで配置されており、壁(カーテン)の色を白と黒で切り換えることができる。実習生は、壁の色の相違による照度を自らが測定することによって、省電力性を習得することができる。
【0024】
照明電気制御盤31には、電力計、電圧調整ダイアル、電源周波数切換スイッチ、人感制御ユニット、及び照度制御ユニット等が設けられている。電力計は、照明装置30で消費される電力を計測して表示する。電圧調整ダイアルは、照明装置30へ給電する電圧を調整するための操作部材であって、実習生が電圧調整ダイアルを操作すると、操作量に応じて電源電圧が変更される。従って、実習生は電源電圧を下げることが省電力に寄与することを習得することができる。
【0025】
電源周波数切換スイッチは、磁気式安定器の周波数を50Hz/60Hzで切り換えるために用いられる。本システムはコンテナ1に収容されており、全国各地に移動して、省エネルギーの実習を行うことが可能である。商用電源の周波数は関西地方で60Hzである一方、関東地方では50Hzである。電源周波数切換スイッチによって50Hz/60Hzを切り換えることにより、正確な電力を計測することが可能となる。
【0026】
人感制御ユニットは、人感センサ、人感センサスイッチ、及び制御装置を備える。人感センサスイッチは、人感センサによる省エネルギー制御のオン・オフを切り換えるために用いられ、実習生の操作に応じた信号を出力する。制御装置は、人感センサスイッチがオン状態の場合に制御を実行する一方、人感センサスイッチがオフ状態では制御を実行しない。人感センサは所定範囲内に人がいることを検知して検出信号を出力する。検出信号は人がいる場合にハイレベルとなり、人がいない場合にローレベルとなる。制御装置は、検出信号がハイレベルの期間、照明装置30に電源を供給する一方、検出信号がローレベルの期間、照明装置30に電源を供給しない。従って、照明装置30の周辺に人がいる場合にのみ電力が消費され、照明の必要がない場合には電力が消費されない。実習生は人感センサスイッチを操作して、人感制御ユニットによる省エネルギー対策の効果を確認することができる。
【0027】
照度制御ユニットは、照度センサ、照度センサスイッチ、及び制御装置を備える。照度センサスイッチは、照度センサによる省エネルギー制御のオン・オフを切り換えるために用いられ、実習生の操作に応じた信号を出力する。制御装置は、照度センサスイッチがオン状態の場合に制御を実行する一方、照度センサスイッチがオフ状態では制御を実行しない。照度センサは周囲の照度を計測し、計測結果に応じた検出信号を出力する。検出信号は計測値が予め定められた基準値を下回る場合にハイレベルとなり、計測値が基準値を超える場合にローレベルとなる。制御装置は、検出信号がハイレベルの期間、照明装置30に電源を供給する一方、検出信号がローレベルの期間、照明装置30に電源を供給しない。従って、照明装置30の周囲が暗くなり基準となる照度を下回る場合にのみ電力が消費され、照明の必要がない場合には電力が消費されない。実習生は照度センサスイッチを操作して、照度制御ユニットによる省エネルギー対策の効果を確認することができる。
【0028】
このように照明実習領域Cでは、実習生は照明装置30を用いて、各種の条件の下で照明装置30において消費される電力を計測し、各種の省エネルギー対策の効果を確認する。
【0029】
コンテナ1には、空調機41、42、及び43が設けられており、実習生が実習する際に動作して快適な環境を維持する。また、コンテナ1の内部の6箇所に温度・湿度センサが設けられており、空調吹出し口の調整、及び流量調整の適正化によって省電力性を実習できるようになっている。また、中央の部屋には、電源箱50が設けられている。電源箱50は、各設備に電源を供給する装置であって、そこには、設備全体の総電力を計測する電力計51及びデマンド監視装置52等が設けられている。
【0030】
図3は、省エネルギー実習システム100の電気的な構成を示すブロック図である。省エネルギー実習システム100には、電源供給端子X1、X2、及びX3を介して外部電源から3相220Vの交流電圧が供給される。電源供給端子X1、X2、X3は電源配線R、S、及びTに接続されている。電源配線R、S、及びTには、ブレーカ60〜72が設けられている。各ブレーカ60〜72は、電流値が所定値を超えると接続状態を開放する。ポンプ実習設備電気制御盤22及び圧縮空気実習設備電気制御盤13には、電源配線R、S、及びTを介して3相交流電圧が供給される。また、電源配線R及びSには、トランス73が接続されており、このトランス73によって220Vの交流電圧が110Vの交流電圧に変換される。照明電気制御盤31には、トランス73によって変換された110Vの交流電圧が供給される。さらに、空調電気設備制御盤45には、電源配線S及びTを介して2相交流電圧が供給される。なお、空調電気設備制御盤45は、図1において省略したが、例えば、仕切板2の左側の収納室内に配置してもよい。
【0031】
電力計51は、ヒューズ80〜82を介して電源配線R、S、及びTに接続されており、それらの電圧を計測すると共に、計器用変流器83及び84によって、電源配線R及びTに流れる電流を計測する。これらの計測点は、電源配線R、S、及びTが各制御盤に分岐する前の基幹部分に設けられている。従って、電力計51は、検出した電圧及び電流に基づいて、省エネルギー実習システム100で消費される総電力を計測することができる。電力計51は、電力の瞬時値を表示する共に、単位電力量(kwh)当たり定められた数のパルスを電力指示信号としてデマンド監視装置52へ出力する。
【0032】
電気料金は、契約電力に応じた基本料金と実際に使用した電力量に応じた使用量料金の合計によって定まる。契約電力は、年間を通して30分間の最大電力量をもって定まり、原則として決められた契約電力は1年間下げることができない。例えば、7月に30分間の最大電力量が契約電力を超えた場合には、8月から契約電力に応じた基本料金が上がり、増加後の契約電力は原則として1年間下げることができない。従って、最大使用量が契約電力を超えないように監視することが重要である。
【0033】
デマンド監視装置52は、電力指示信号のパルスを計数して、上述した監視動作を実行する。警報装置53は、デマンド監視装置52から出力される制御信号に基づいて警報音を発生する。遮断装置54は、デマンド監視装置52から出力される制御信号に基づいて空調機41〜43に供給される電源を遮断する。
【0034】
デマンド監視装置52は、タイマを備える。このタイマは、29分59秒からスタートし、00分00秒まで1秒毎に減算し、再び、29分59秒に戻る。デマンド時限は29分59秒から次の29分59秒までの30分となる。なお、時限は電源周波数に同期して動作するようになっている。
【0035】
デマンド監視装置52は、現在デマンドPを表示する機能を有する。現在デマンドPは、デマンド時限0から現在までの電力量を意味する。デマンド監視装置52は、電力計51から出力される電力指示信号のパルス数をデマンド時限0から計数し、この計数値にパルス変換比を乗算して現在デマンドPを算出する。パルス変換比は1パルス当たりの電力量を指示する。
【0036】
デマンド監視装置52は、予め定められた目標デマンドQあるいは、実習生によって入力された目標デマンドQを記憶している。目標デマンドQは、契約電力に相当し、30分間に消費される電力量の許容値を意味する。さらに、デマンド監視装置52は、予測デマンドR及び調整電力Uを以下の式に従って算出する。を算出する。
R=P+(30-t)×ΔP/Δt
U=(Q−R)×30/(30−t)
但し、Δtはパルス積算時間であり、時限開始から残り時間3分間までは3分、残り時間3分から時限終了までは1分である。ΔPはΔt分間のデマンドの増分、tはデマンド時限の経過時間である。予測デマンドRは、デマンド監視の単位時間である30分後におけるデマンドを、デマンドの変化から予測したものである。
【0037】
また、デマンド監視装置52は、所定の条件の下に、予測警報、固定警報、及び調整警報を発動する。予測警報は、予測デマンドRが目標デマンドQを超えると発生する。このとき、デマンド監視装置52は、10秒間ブザーを発音させるように警報装置53を制御する。予測警報は、予測デマンドRが目標デマンドQ以下になると解除される。固定警報は、現在デマンドPが固定警報値以上となり、かつ、現在デマンドPが理想デマンド特性Yを上回ると発動する。理想デマンド特性Yは、Y=t×Q/30で与えられる。このとき、デマンド監視装置52は、連続的にブザーを発音させるように警報装置53を制御する。固定警報は現在デマンドPが理想デマンド特性Y以下になると解除される。調整警報は、調整電力Uが調整警報値以上になると発動され、このとき、デマンド監視装置52は、連続的にブザーを発音させるように警報装置53を制御する。調整警報は、調整電力Uが調整警報値を下回ると解除される。また、デマンド監視装置52は、予測警報、固定警報、及び調整警報の発動に伴って空調機41〜43の電源を遮断させるように遮断装置54を制御する。
【0038】
次に、図4に示すデマンド監視の例を参照して、デマンド監視装置52の動作について説明する。図において一点鎖線で示したデマンド特性Yは、目標デマンドQに直線的に達する例を示したものである。実際のデマンド特性をZとする。この例では時刻t1において、予測デマンドRが目標デマンドQを上回るため、予測警報が発動される。そして、時刻t2において調整電力Uが調整警報値以上になると、調整警報が発動される。さらに、時刻t3において、現在デマンドPが固定警報値以上となると固定警報が発動される。
【0039】
これらの警報の発動に伴って、警報音が発音され、さらに、空調機41〜43が動作を停止する。これによって、実習生は、各種の警報を実感することができる。なお、デマンド監視装置52は、予測警報が発動された場合に、警報音を発音するように警報装置53を制御し、さらに、所定の条件としての固定警報の条件を充足した場合に、空調機41〜43の電源を遮断するように遮断装置54を制御するようにしてもよい。この場合は、目標デマンドを超える可能性が高まったことを段階的に実習生に知らせることができる。
【0040】
また、停止の対象とする機器をポンプ20、圧縮機10、又は照明装置30を含むコンテナ1に収容されている特定機器としてもよい。但し、ポンプ20、圧縮機10、又は照明装置30に割り当てると、省エネルギーの実習ができなくなるので、空調機41〜43等、補助的な機器に割り当てることが好ましい。くわえて、遮断装置54の替わりに電力を調整する調整装置を用いて、特定機器の電気負荷を低減するように制御してもよい。例えば、特定機器が空調機41〜43である場合には、送風量を低減させるように制御してもよい。このように、特定機器の電気負荷を下げることによって、デマンドを減らすことができるので、実習生は、電気負荷の低減によって目標デマンドQを超えないように省エネルギー対策を施す必要があることを習得することができる。
【0041】
上述した省エネルギー実習システム100は、事業所における設備を模擬したポンプ20、圧縮機10、及び照明装置30を備える。これらの装置は、実際の事業所における消費電力の大半を占める。従って、これらの装置を用いて省エネルギー対策の実習を行うことにより、実習生は現場で役立つ省エネルギーに関する知識を効果的に体得することができる。また、これらの実習設備で消費される電力量に基づいてデマンド監視を実行するので、各設備で実施される省エネルギー対策を各種組み合わせた効果を実習でき、総合的な省エネルギー対策を実習することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、ポンプ設備、圧縮機設備、及び照明設備の省エネルギー対策を個々の模擬設備を用いて、実習することができる。また、それらの模擬設備を総合したデマンドについても実習することができ、各設備の省エネルギー対策を総合した効果を一つのシステムの中で体験することが可能となり、総合的な省エネルギー対策を実習することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る省エネルギー実習システムの平面図。
【図2】同システムに用いるポンプ設備の省エネルギー対策を説明する説明図。
【図3】同システムの電気的構成を示すブロック図。
【図4】同システムで実行されるデマンド監視動作の一例を示す説明図。
【符号の説明】
10 圧縮機
13 圧縮空気実習設備電気制御盤
20 ポンプ設備
22 ポンプ実習設備電気制御盤
30 照明設備
31 照明電気制御盤
41〜43 空調機
51 電力計
52 デマンド監視装置
Claims (1)
- 事業所における省エネルギー対策を実習するための省エネルギー実習システムにおいて、
ポンプと、実習生の操作に応じて前記ポンプの運転条件を変化させる手段と、前記運転条件の変化に伴う前記ポンプの消費電力の変化を前記実習生に提示する手段とを備えたポンプ実習設備と、
圧縮機と、前記実習生の操作に応じて前記圧縮機の運転条件を変化させる手段と、前記運転条件の変化に伴う前記圧縮機の消費電力の変化を前記実習生に提示する手段とを備えた圧縮機実習設備と、
照明装置と、前記実習生の操作に応じて当該照明装置の使用状況を変更する手段と、前記使用状況の変更による消費電力の変化を前記実習生に提示する手段とを備えた照明装置実習設備と、
前記ポンプ実習設備、前記圧縮機実習設備及び前記証明装置実習設備を収容する搬送可能なコンテナと、
前記コンテナの内部を空調する空調機と、
前記ポンプ実習設備、前記圧縮機実習設備、前記照明装置実習設備及び前記空調機に供給される総電力を検知し、検知結果に基づいてデマンドを監視するデマンド監視設備と、
を備え、
前記デマンド監視設備は、前記デマンドの監視結果に基づいて、監視開始から所定時間が経過した時点におけるデマンドを予測し、予測したデマンドが所定のデマンドを超える場合に警報を発動し、かつ、前記警報を発動した後、さらに所定の条件を充足すると、前記空調機の電気負荷を下げる制御を実行する、省エネルギー実習システム。
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