JP4307712B2 - データ交換システム - Google Patents
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Description
本発明はデータ交換システムに関する。
【0002】
たとえば電話の分野における自動交換装置など、現在知られているこの種のシステムは基本的にケーブル式の電子装置である。これらは非常に複雑であることからきわめて高価である。また柔軟性は非常に低い。とりわけ、これら装置は通常単一の用途専用である。
【0003】
ネットワークのエンティティ・モデルを使用して仮想ネットワークを形成することにより、コンピュータ・ネットワークの管理システムからネットワークの欠陥を分離する方法に関する文書、欧州特許第0,737,920号が知られている。この管理システムは、ネットワーク・エンティティを表す複数のモデルを含む仮想ネットワークを備えている。各モデルは、対応するネットワーク・エンティティと、ユーザに情報を提供するようにネットワークのデータを処理する手段とを含む。仮想ネットワークはさらに、ネットワーク・エンティティ間の関係を表すモデルの関係を含む。システムはまた、ネットワーク・エンティティのネットワーク・データを仮想ネットワーク内の対応するモデルに転送する手段と、仮想ネットワークのユーザ情報をユーザに提供する手段も含む。モデルの関係は、ネットワークの装置間のネットワークの接続、およびネットワーク・エンティティ間の階層関係を規定する。ネットワーク・データが予め決められた基準に合致すると、アラーム条件が生成される。このような管理システムでは物理的要素のモデリングのみが可能であり、被操作オブジェクトは専ら物理的エンティティを表す。この文書で記述されているモデリングはまさに実際のネットワークに対応し、故障の自動検索に適している。このようなシステムは、データ交換システムへの適用に必要な柔軟性を有さない。
【0004】
また、通信システムの管理装置の呼処理および資源管理部分、より詳細には、システムの種々の構造を介して種々のサービスを提供するための構造、およびそのためのこれらの部分の協働に関する文書、米国特許第4,713,806号も知られている。呼の処理および資源管理の一部分は、物理的通信システムの論理的抽象化に基づいて動作するよう論理的に実施される。広帯域および狭帯域交換機を備える、たとえばマルチサービス・デジタル・ネットワークでは、この文書に記載のネットワーク制御統合体は、資源管理装置および物理的ネットワークとは無関係のプログラムにより制御される呼処理装置を備える。呼処理装置はネットワークを、論理チャネルを備えるものとして見る。同装置は、広帯域通信と狭帯域通信の区別を行う場合と、行わない場合とがある。区別しない場合、同装置は、論理呼のルートを確立および分解し、論理チャネルと論理呼ルートとの間で物理的および論理的接続を生成し、切断するよう資源管理装置に指示することにより、広帯域通信および狭帯域通信についての加入者の機能を要求する電話加入者のメッセージに応答する。加入者が要求し操作できるネットワーク資源は、呼と会議の2種類である。このようなシステムは、従来の種類の自動交換機内に組み込むようになっている物理的オブジェクトのコンピュータ化管理システムであり、自動交換機なしでは済ませられない。さらに、このシステムは、純粋に物理的なモデルを利用する。
【0005】
妥当なコストで種々のアプリケーションに容易に適合可能なデータ交換システムが求められている。
【0006】
本発明は、上記の従来技術のシステムの欠点を解消し、多くの場合、単一のマイクロコンピュータで管理することができる上記のシステムを提供することを目的とする。
【0007】
この目的のため、本発明は、通信ネットワークの端末間のデータ交換システムであって、前記ネットワークのモデルを記憶し、このモデルを時間とともに変化する過程で管理する記憶および管理手段であって、前記モデルが所与の瞬間におけるネットワーク・ハードウェア要素を示し、その瞬間におけるそれらの要素の特性を規定するプロパティを有するオブジェクトの集合で構成される記憶および管理手段と、新規オブジェクトを作成し、既存オブジェクトを変更し、あるいは前記モデル内の既存オブジェクトを削除することができるオブジェクト操作手段と、管理および記憶手段とネットワークの前記ハードウエア要素との間のインタフェースとを備え、前記モデルが、特にアドレス型オブジェクトを含む論理的アドレスのオブジェクト・クラスと、物理的アドレスのオブジェクト・クラスとで構成され、前記クラスが、プロパティのうち論理アドレスと物理アドレスとをそれぞれが有する前記アドレス型オブジェクトのレベルでリンクされることを特徴とするデータ交換システムを対象とする。
【0008】
したがって本発明は、基本的特徴として、ネットワークのハードウェア要素を表すオブジェクトで構成されるモデルと、オブジェクトの作成、変更、および削除コマンド等、これらのオブジェクトに作用する最小限の手段とを含む。
【0009】
したがって、少なくとも記憶および管理手段を実施するためにソフトウェア手段を使用することが可能である。ネットワークの端末からのハードウェア要求に応答するために、オブジェクトの操作手段自体をこれらのソフトウェア手段に組み込むことができる。
【0010】
また、本発明によるシステムは電話以外の分野にも適用可能であることが分かるであろう。以下の例では電話の分野を扱うが、本発明は、とくにプリンタ、テレビ電話、あるいは対話型テレビのネットワークの管理にも適用することが可能である。
【0011】
より詳細には、論理的アドレス・オブジェクト・クラスは、論理アドレス・グラフのノードを形成するアドレスと、論理アドレス・グラフのソース論理アドレスおよびターゲット論理アドレスの間の有向移行を形成するリンクと、接続されたリンクの線形集合で構成される接続と、複数の接続の関連付けによって構成される呼とを含むことができる。
【0012】
以下において、アドレスは、プロパティとして、その論理アドレスおよび物理アドレスに加え、アドレスを参照することができる接続数を規定する容量を有することがわかる。
【0013】
同様にリンクは、プロパティとして、ソース論理アドレスおよびターゲット論理アドレスの参照に加え、リンクを横断できる接続数を規定する容量を有することができる。
【0014】
同様に、具体的な実施態様においては、接続は、プロパティとして、接続の進行を特徴付ける状態を有する。接続はまた、プロパティとして、接続が関連付けられる呼への参照を有する。
【0015】
より詳細には、接続は、論理的ルーティング中、物理的ルーティング中、確立待機中となることができ、論理的ルーティングおよび物理的ルーティングは終了、確立、またはキャンセル中であり、状態プロパティがこの特性を規定する。
【0016】
最後に、呼はプロパティとして、それ自体が関連する接続のリストを有する。
【0017】
物理的アドレスのオブジェクト・クラスに関しては、このクラスは周辺装置を含むことができ、オブジェクトはある数のチャネルを管理することができ、これらのチャネルは物理的通信を記述することができ、それぞれ1つの周辺装置に関連付けられ、マルチプレクサは、0本、1本、または複数の接続に関連付けるべきチャネルの容量を規定する。
【0018】
具体的な一実施態様においては、物理的アドレスのオブジェクト・クラスはさらに、物理アドレスの集合を周辺装置の順序付き集合に関連付けるように構成された発信ルートを含む。
【0019】
発信ルートに関連付けられた物理アドレスは、ある接続に関し、論理アドレス・グラフ内のアドレス経路に応じて計算される。
【0020】
具体的な実施態様においては、周辺装置がプロパティとして、それ自体が管理することができる最大チャネル数を規定する容量を有する。例としてはこの数は、非多重化電話回線では1である。
【0021】
同じく具体的な一実施態様においては、チャネルはプロパティとして、ローカル・アドレスと、自体が記述する物理的通信の2つの末端アドレスを規定するリモート・アドレスとを有する。チャネルは、それを通過する接続のリストも含む。一度に活動化できるのはこれらの接続のうちの1つであることがわかろう。
【0022】
本発明は、上記システムの利用方法も対象とする。
【0023】
本発明によれば
− 周辺装置を含む物理的アドレスのオブジェクト・クラスであって、オブジェクトがある数のチャネルを管理することができ、これらのチャネルが物理的通信を記述することができ、それぞれ周辺装置に関連付けられ、マルチプレクサが、0本、1本、または複数の接続に関連付けるべきチャネルの容量を規定するオブジェクト・クラスと、
− 論理的アドレスのグラフのノードを形成するアドレス型オブジェクトと、論理的アドレスのグラフのソースの論理アドレスとターゲットの論理アドレスの間の有向移行を形成するリンクと、接続されたリンクの線形集合で構成される接続とを含む論理的アドレスのオブジェクト・クラスとを含み、
− 前記クラスが、プロパティのうち論理アドレスと物理アドレスとをそれぞれが有する前記アドレス型オブジェクトのレベルでリンクされる形でモデル化されたデータ交換システムを用いる発信呼管理方法は、
所与の物理アドレスに向けて通信を確立しなければならないときに、
− 前記所与の物理アドレスに応じて発信ルートを選択する段階と、
− 選択された発信ルートによって規定される集合のうちから1つの周辺装置を選択する段階と、
− 前記所与の物理アドレスに関連付けられたマルチプレクサを探す段階と、
− このマルチプレクサから出発して、同一のチャネル上でいくつの接続を確立することができるかを指定する段階と、
− 見つかったマルチプレクサが厳密に0を超える容量を有し、前記所与の物理アドレスへのチャネルがすでに生成されている場合に、選択された発信ルートの周辺装置のうちの1つについてすでに確立されたチャネルに呼を割り当てる段階、または
− そうでない場合に、新しいチャネルを生成する段階
からなる諸段階を含む。
【0024】
着信呼も、発信ルートを選択し、関連する周辺装置をそこから推論する段階を除き、同様にして管理される。
【0025】
次に、添付の略図を参照しながら本発明の具体的な一実施形態を非限定的な例として説明する。
【0026】
全体のアーキテクチャ
本発明によるシステムの全体アークテクチャを図1に示す。
【0027】
このシステムはまず、コア1を形成する記憶および管理手段を備える。コア1は、記憶モジュール2と管理モジュール3とで構成される。
【0028】
記憶モジュール2は主としてプロパティPjをもつオブジェクトOiで構成されるモデルを記憶するメモリで構成される。オブジェクトOiの処理に関しては、オブジェクトOiを座標値Pjを持つベクトルとみることができる。
【0029】
管理モジュール3は、時間とともに変化する過程で記憶されるモデルのコヒーレンスを確保するように構成された計算手段から成る。またモジュール3は、後述する周辺装置にモデルの状態を知らせる機能も有する。
【0030】
コア1はマイクロコンピュータの形態で実施されるのが好ましい。しかしながら、マイクロコンピュータは多少とも部分的に配線することもあるが、反対に、専用半導体回路上にそっくり組み込むことも可能であろう。
【0031】
記憶モジュール2内に記憶されるモデルは、本発明によるシステムによりデータを切り替えなければならないネットワークを表す。より詳細には、種々のオブジェクトOiはこのネットワークの要素を表し、これらのオブジェクトのプロパティPjは、所与の瞬間におけるこれらの要素の特徴を規定する。
【0032】
前出のネットワークはあらゆる種類のデータを流すことができる。図1には、インターネット・コンポーネント4、ビデオ信号送信コンポーネント5、電話通信コンポーネント6、およびプリンタ・ネットワークで構成されるコンポーネント7を含むこのようなネットワークを示した。
【0033】
これらのコンポーネントはそれぞれある数の端末を具備する。ここでは、ステーション8で構成される電話通信コンポーネントの端末でのみその様子を示してある。
【0034】
モジュール9は、コア1とコンポーネント4〜8との間のインタフェースを行う。このインタフェースはコア1にハードウェア的に組み込むことができる。
【0035】
インタフェース・モジュール9は、ネットワークのハードウェア要素、特に8などの端末に影響を及ぼすイベントに応答して、モデルの変更コマンドを生成する機能を有する。これらのイベントは、電話局の場合、たとえば、受話器のフックアップ、番号のダイアリング、回線の保留、ネットワーク内(または、電話通信に適用される本発明の結果の1つは内部ステーションと外部ステーションとの区別がないことであることから、ネットワーク外)の別のステーションへの転送プレフィックスである。
【0036】
オブジェクトのリスト表示コマンドなど、単純な表示コマンドがあれば、それに加えて、3つの動作コマンドのみでシステムを管理することができる。それは、オブジェクトの作成コマンドと、オブジェクトより正確にはそのプロパティのうちの少なくとも1つの変更コマンドと、オブジェクトの削除コマンドである。これらのコマンドはモデルのオブジェクトの操作手段となる。
【0037】
またインタフェース9は、たとえばベル鳴動コマンドなどのコマンドを反対方向に端末に向けて送信する。
【0038】
インタフェース内では、本来の電子インタフェースの機能と、オブジェクトの作成、変更および削除コマンドの生成機能とが図1において区別されていないことが理解できよう。別の可能性として、コマンド生成機能をコア1内に組み込み、モジュール9には厳密な意味でのインタフェース機能のみを残す方法もある。
【0039】
記憶モジュール2内に記憶されるモデルは、論理的アドレス・クラスか、物理的アドレス・クラスのいずれかに属する2つのオブジェクト・タイプを含む。
論理的アドレス・オブジェクトは、ネットワークを表す論理的アドレス・グラフに属するが、ネットワークのハードウェア要素との直接的な関係はない。この特徴こそが本発明によるシステムに柔軟性を付与する。
【0040】
他方、物理的アドレス・オブジェクトはこれらハードウェア要素を直接表す。論理的アドレス・オブジェクトと物理的アドレス・オブジェクトとの対応は、あるオブジェクト、とくに、後述の、プロパティのうち論理アドレスと物理アドレスをそれぞれが有するアドレス型オブジェクトのプロパティのレベルにおいて実現される。
【0041】
モデルのオブジェクト
次に、主要プロパティ、およびこれらのプロパティのそれぞれに対して使用できる作成および変更コマンドを使用して、モデルの主なオブジェクトを詳細に記述する。削除コマンドは、オブジェクト全体に対してのみ使用可能である。
【0042】
論理的アドレス・オブジェクト
これらオブジェクトは、アドレス、リンク、接続、および呼の4種類である。
【0043】
− アドレスは論理的アドレス・グラフのノードである。以下の表1は主なプロパティを表すとともに、その特性を示す。
【0044】
第一にアドレスは、単数または複数の名称によりアドレスを象徴的に指定することができる正規識別表現(id)を有する。
【0045】
これらの論理アドレス(アドレス)および物理アドレス(物理アドレス)により、モデルの論理的レベルと物理的レベルの対応をはかることができる。
【0046】
その容量は、それを通過することができる接続の数である。通常、電話通信においては、アドレスの容量の超過とは呼出音が占有された場合に相当する。そうでなければ、発呼音の場合、または保留メッセージの場合になる。
【0047】
呼(ルーティング)の選択アルゴリズムにより、アドレスに到着する複数の呼の中から、選択されるものを選び出すことができる。
【0048】
同様に、分配アルゴリズムは、複数のドーター・アドレスを有するアドレスに呼が到着したときその呼を向けるアドレスを決定する。これはたとえば、呼が到着したアドレスが交換手のプールである場合である。その場合、呼は、最も接続時間が短かった交換手に向けられる。あるいは、交換手を選択するために言語の基準を使用することもできる。
【0049】
オブジェクトの作成の際、識別子を除くプロパティ全体を設定し、後に変更することができることが理解できよう(資源作成および資源変更の列内のx印を参照のこと)。
【表1】
【0050】
リンク(表2)は論理的アドレス・グラフの有向移行である。したがってリンクは、ソース論理アドレスとターゲット論理アドレスなど、グラフの2つの論理アドレスを結合する。リンクは識別子を有する。リンクの容量は、リンクを通過することができる接続数を規定する。
【表2】
【0051】
− 接続(表3)は論理アドレス・グラフの接続リンクの集合(ルーティング・パス)である。接続は呼に関連付けられる。全てのオブジェクトと同様、接続は識別子を有する。2つのプロパティが、接続が関連する呼と、接続が横断するチャネルとを規定する。別のプロパティは、このチャネルを管理する周辺装置を示す。方向プロパティにより、一方向にのみにしかデータの転送を許可しないようにすることができる。これは電話通信での離散的聴取に相当する。
【0052】
現在アドレスとは、所与の瞬間に接続が達するアドレスである。現在アドレスは、たとえば呼センタへの返送または分配の場合の初期アドレスとは異なることがある。選択フラグは、接続が選択されるブール・プロパティである。取決めにより、同一のチャネルに関連する接続のうち、最大で1つの接続しか選択することができない。電話通信では、「選択解除」とは通信の保留に相当する。
【表3】
【0053】
接続は、所与の瞬間に、以下の現在状態のうちの1つの状態になることができる。
− 待機(論理的ルーティング待機中)
− 進行(物理的ルーティング進行中)
− 警告(論理的および物理的ルーティングが終了し、確立待機中)
− 接続済(接続確立)
− 失敗(接続取り消し)
【0054】
待機状態は、接続のルーティングが終了せず、その現在アドレスが最終的なものではないことを示す。この状態は特に、オペレータ・ポストで分配を待機する、待ち行列に登録された接続の場合に相当する。
【0055】
進行状態は、接続の論理的ルーティングが終了し、その物理的アドレス(遠隔通信ネットワーク内の転送)が進行中であることを示す。
【0056】
警告状態は、接続の論理的ルーティングおよび物理的ルーティングが終了し、接続が確立待機状態にあること(通常は、ターゲット・ステーションのベル鳴動段階)を示す。
【0057】
接続済状態は、接続が確立され動作可能であることを示す。
【0058】
失敗状態は、接続がまさに取り消されようとしていることを示す。
【0059】
呼(表4)は、複数の接続同士を結合させることができるオブジェクトである。そのプロパティの1つは、リストに関連付けられる接続のリストにより構成される。呼は2つの接続に関連付けられることが多い。2つの端末間で確立された通常の電話通信がこれに該当する。会議通信の場合、呼は会議参加者数と同じ接続に関連付けられる。
【0060】
また、呼は、通信途中に転送し場合によっては別のアプリケーションに転送することができるデータ・エリアも有する。データは、通信が進行するコンテキストに関するものであることができる。
【表4】
【0061】
− 物理的アドレス・オブジェクト
これらのオブジェクトも、周辺装置、チャネル、マルチプレクサ、発信ルートの4種類である。
【0062】
− 周辺装置(表5)は、ある数のチャネルを管理することができるオブジェクトである。通常、周辺装置は電話回線から成る。
【0063】
周辺装置の主なプロパティは、その識別子と、記号名と、その容量である。容量は、この周辺装置が管理することができる最大チャネル数を規定する。
【表5】
【0064】
− チャネル(表6)は、物理的通信を記述し周辺装置に関連付けられるオブジェクトである。
【表6】
【0065】
チャネルは、マルチプレクサ型オブジェクトを介して0本、1本、または複数の接続に関連付けることができる。チャネルは識別子を有する。チャネルのプロパティとしては、周辺装置を管理する周辺装置の名称、ならびに、ローカルおよびリモートの2つの端末アドレスがある。電話通信の分野においては、リモート・アドレスはリモート番号から成る。状態プロパティは、所与の瞬間における回線の現在の状態を規定する。最後に接続idプロパティは、チャネルを通過する全接続のリストを備える。
【0066】
− マルチプレクサは、0本、1本、または複数の接続に関連付けることができるチャネルの容量を規定するオブジェクトである。
【0067】
マルチプレクサはさらに、識別子とアドレス選択の表現型を含む。後者は、電話通信の分野においては、マルチプレクサのチャネルに関連付けられた電話番号である。
【表7】
【0068】
− 発信ルートは、物理アドレスのクラスを周辺装置の順序集合に関連付ける。通常、発信ルートにより、たとえば国際番号などのこのような電話番号のクラスを、たとえば、長距離料金が有利であるような特定のネットワーク・オペレータに接続される回線のような電話回線上で可能な限り通信させるべきということを決定することができる。発信ルートは識別子を有する。アドレスのプロパティは関係するアドレスのクラスを規定する。周辺リストは、このアドレスで使用可能な周辺装置を順番に規定する。
【表8】
【0069】
論理的アドレス・オブジェクトの編成
図2に、電話設備の管理に適用される本発明によるシステムの論理的アドレス・グラフの略図を示す。この略図は、設備全体が休止状態にある場合に相当する。後の図4aないし図4fを参照すると、この設備の動作例が理解できよう。
【0070】
ここではアドレス型オブジェクトは、その論理アドレスに関連する電話通信局で象徴的に示してある。論理アドレスAD1〜AD6のみを示した。
【0071】
たとえば論理アドレスAD1は外線に相当すると取り決めることにする。すると、着信呼ソースがこの論理アドレスに割り当てられる。同様に、外線に電話する際にダイヤルすべき番号であると取り決められたプレフィックス0で始まる番号がローカルにダイヤルされるとき、この論理アドレスの方向に接続が作成される。
【0072】
また、論理アドレスAD2は電話交換台に相当すると取り決める。
【0073】
この図から、呼とは無関係にアドレス間にリンクが設けられたことが理解できる。これらのリンクは、これらアドレスのうちのいくつかを接続する矢印によって示してある。より詳細には、リンクL1は電話交換台に相当するアドレスAD2をアドレスAD3に接続し、このアドレス自体もリンクL2、...L3により複数のアドレスAD4、...AD5に接続される。これらのリンクは、ここではステーション群に対応する階層を具体化したものであることが理解できよう。
【0074】
物理的アドレス・オブジェクトの編成
この編成を図3に示す。
【0075】
通常、電話番号である所与の物理アドレス10には、発信ルート型オブジェクトにより、今回の場合には電話回線である、ある数の周辺装置11、...12が関連付けられる。言い換えれば、物理アドレス型により異なる周辺装置が規定される。
【0076】
たとえば、ローカル呼を確立するための16の周辺装置を含む発信ルートと、国内呼のための4つの周辺装置を含む別の発信ルートと、国際呼のための2つの周辺装置を含むさらに別の発信ルートを設けることができる。
【0077】
たとえば周辺装置12の場合13、...14というように、これら周辺装置のそれぞれは、ある数のチャネルを管理することができる。通常、ローカル・ステーションである物理アドレスをリモート・ステーション15に接続するために、これらのチャネルのうちの1つ、ここではチャネル13が使用される。
【0078】
さらに、マルチプレクサ型オブジェクト16により、所与の物理アドレスについて、同一のチャネル上、通常、同一の電話通信上で確立できる接続数を指定することができる。
【0079】
たとえば内部ステーションは一般的に2つの同時接続を有することができるが、通常、容量2のマルチプレクサに関連付けられる。外部ステーションの場合、マルチプレクサの容量は、このステーション上で2つの通信の管理が行えるよう、内部ステーションの場合と同様に、通常2に設定される。
【0080】
反対に、任意の外部番号は通常、容量1のマルチプレクサに関連付けられる。この場合、この番号宛ての各呼ごとに1つのチャネルが確立される。
【0081】
最後に、オペレータ・ステーションは通常、このステーション上で同時に管理される最大通信数に相当する、2を上回る容量、たとえば8の容量のマルチプレクサに関連付けられる。
【0082】
論理的アドレス・オブジェクトの管理
図4aないし図4fにおいて、論理的アドレス・オブジェクトのレベルにおける通信の進行がわかる。
【0083】
図2の状態から着信呼が到着したと仮定する。行われる最初の動作は呼の作成(図4a)である。したがってコア1に
作成する(呼、A1)
型のコマンドを送ることになる。
【0084】
上では、コマンドの引数に与えられた唯一のプロパティは、作成された呼の識別子であると仮定し、他のプロパティはデフォルト値を採用した。当然のことながら識別子は別であってもよい。とくに、識別子は通常自動的に割り当てられる。
【0085】
次は、呼A1に属する2つの接続、1つはこの呼を外部呼に対応する論理アドレスAD1に関連付ける接続(図4b)、もう1つはこの呼を交換台に対応する論理アドレスAD2に関連付ける接続(図4c)を作成する。すなわち、たとえば
作成する(接続、C1、A1、AD1、A1)
および
作成する(接続、C2、A1、A1、AD2)
【0086】
今度は、呼番号が、論理アドレスAD3から管理される論理アドレスAD4、...AD5に対応する回線群の番号であると仮定する。論理アドレスAD4に対応するステーション(物理アドレス)に最終的に呼を送信したい場合には(図4d)、コア1に以下のコマンドを送ることができる。
変更する(接続、C2、AD2、AD3)
これは最終的に
変更する(接続、C2、AD3、AD4)
を生成する。
【0087】
求める結果に到達するために、通常、複数の可能性が存在することが理解できよう。このようにして、変更コマンドを削除コマンドと作成コマンドの対に置き換えることができる。
【0088】
今度は、論理アドレスAD5に対応するステーションに返答(非応答に対する、占有に対する、あるいは即時)するように、論理アドレスAD4に対応するステーションがプログラムされると仮定する。すると以下の型のコマンドが生成される。
変更する(接続、C2、AD4、AD5)
【0089】
図4fは、論理アドレスAD5に対応するステーションのオペレータが、論理アドレスAD6に対応するステーション・オペレータと通信状態に入ることを希望する場合を示す。すると、
変更する(接続、C2、選択)
型のコマンドにより外部通信を待機させ、上と同様に、新規呼A2と、この呼に属する2つの新規接続C3およびC4が作成される。
【0090】
接続C2の選択解除を差し控え、A1とAD6との間に新規接続を直接作成することにより、外部呼者と、論理アドレスAD5およびAD6に対応するステーションのオペレータとの間での3者会議が可能になることが理解できよう。
【0091】
以下のコマンド
削除する(接続、C3)
削除する(接続、C4)
削除する(呼、A2)
により、AD5とAD6との間の通信が終了する。
【0092】
最後に、呼A2は、アプリケーション・データを今後使用するためにエクスポートする目的から、削除されないままにすることができる。この場合、接続のない呼があることになる。
【0093】
呼の管理
発信呼
図5のフローチャートは発信呼の管理のフローチャートである。
【0094】
所与の物理アドレスに向けて通信が確立されなければならないときに、
− 発信ルートを検索する段階と、
− 周辺装置を検出する段階と、
− マルチプレクサを検出する段階と
を実行する。
【0095】
プロセスの最初に、20で、呼に関連付けられた接続の現在の論理アドレスに関連付けられた物理アドレスを得る。
【0096】
次に21で、得られた物理アドレスのクラスに応じて発信ルートを選択する。これにより、呼を送信するために許可された周辺装置の集合(周辺リストプロパティ)を得ることができる。
【0097】
次に22で、これら周辺装置のうちの1つ、通常はリスト内で最初に使用可能なものを選択する。
【0098】
次は23でマルチプレクサを検出する段階である。この検出はマルチプレクサ・オブジェクトのアドレスのプロパティから実行されるが、このアドレスのプロパティは呼番号の物理アドレスに対応する。
【0099】
検出されたマルチプレクサにより、このアドレスに関して、同一チャネル上でいくつの接続を確立することができるかを23で指定することができる。
【0100】
要求番号について発信ルートおよびマルチプレクサが検出されれば、
− 25で検出されたすでに確立されたチャネルに呼を26で割り当てる、
− あるいは、27で新規チャネルを作成する
ことができる。
【0101】
前者のケースは、検出されたマルチプレクサが厳密な意味で0より大きい容量を有し、発信ルートの周辺装置の1つに関して要求された番号に向けてチャネルがすでに確立されてしまっていて(確立される、あるいは確立途中である)、かつこのチャネルが、マルチプレクサによって許可される最大数の接続をまだ有さない場合に発生する。
【0102】
そうでない場合には全て、チャネルが作成される。
【0103】
選択した周辺装置は使用可能であって飽和してはならないことに留意されたい(周辺装置が管理することができる最大チャネル数)。
【0104】
着信呼
着信呼は、内部呼(ローカル・ステーションの受話器持ち上げ)であれ、公衆ネットワークから受信した外部呼であれ、全て同じように処理される。
【0105】
着信呼は、発信ルートの選択(周辺装置がすでにわかっている)を除いては、発信呼と同じように管理される。
【0106】
呼に対して行われる処理の如何に関わらず、呼により必ず新規チャネルの作成が発生する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるデータ交換システム全体の概略図である。
【図2】 本発明によるシステムの論理的アドレス手段の例を示す図である。
【図3】 このシステムの物理的アドレス手段の原理を示す図である。
【図4a】〜
【図4f】 本発明によるシステムによって管理される電話通信の種々の段階を論理レベルで示す図である。
【図5】 発信呼のアルゴリズムを表すフローチャートである。
Claims (14)
- 通信ネットワークの端末間のデータ交換システムであって、
− 前記ネットワークのモデルを記憶し、そのモデルを時間とともに変化する過程で管理するための記憶(2)および管理(3)手段であって、前記モデルが、所与の瞬間におけるネットワーク・ハードウェア要素を示し、その瞬間におけるこれらの要素の特性を規定するプロパティ(Pj)を有するオブジェクトの集合(Oi)で構成される記憶(2)および管理(3)手段と、
−新規オブジェクトを作成し、既存オブジェクトを変更し、あるいは前記モデル内の既存オブジェクトを削除することができるオブジェクト操作手段(9)と、
− 管理および記憶手段とネットワークの前記ハードウエア要素との間のインタフェース(9)とを備え、
前記モデルが、特にアドレス型オブジェクトを含む論理的アドレスのオブジェクト・クラスと、物理的アドレスのオブジェクト・クラスとで構成され、前記論理的アドレスのオブジェクト・クラスおよび前記物理的アドレスのオブジェクト・クラスが、前記アドレス型オブジェクトのレベルでリンクされ、前記アドレス型オブジェクトの各々は、プロパティのうち論理アドレスと物理アドレスとを有することを特徴とするデータ交換システム。 - 論理的アドレスのオブジェクト・クラスが、論理アドレス・グラフのノードを形成する前記アドレス型オブジェクト(ADi)と、論理アドレス・グラフのソース論理アドレスおよびターゲット論理アドレスの間の有向移行を形成するリンク(Li)と、接続リンクの線形集合で構成される接続(Ci)と、複数の接続の関連付けによって構成される呼(Ai)とを含む請求項1に記載のデータ交換システム。
- アドレスが、プロパティとして、論理アドレスおよび物理アドレスに加え、アドレスを参照することができる接続数を規定する容量を有する請求項1および2のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- リンクが、プロパティとして、ソースアドレスおよびターゲットアドレスの参照に加え、リンクを横断できる接続数を規定する容量を有する請求項2および3のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- 接続が、プロパティとして、接続の進行を特徴付ける状態を有する請求項2ないし4のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- 接続が、プロパティとして、接続が関連付けられる呼への参照を有する請求項2ないし5のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- 接続が、論理的ルーティング中、物理的ルーティング中、確立待機中となることができ、論理的ルーティングおよび物理的ルーティングが終了、確立、またはキャンセル中であり、状態のプロパティがこの特性を規定する請求項5および6のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- 呼が、プロパティとして、それ自体が関連する接続のリストを有する請求項2ないし7のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- 物理的アドレスのオブジェクト・クラスが周辺装置(11、12)と、ある数のチャネルを管理することができ、これらのチャネル(13)が物理的通信を記述することができ、チャネル(13)の各々が1つの周辺装置に関連付けられるオブジェクトと、0本、1本、または複数の接続に関連付けるべきチャネルの容量を規定するマルチプレクサ(16)とを含む請求項1ないし8のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- 物理的アドレスのオブジェクト・クラスがさらに、物理アドレスの集合を順序付けられた周辺装置の集合に関連付けるように構成された発信ルートを含む請求項1ないし9のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- 周辺装置がプロパティとして、それ自体が管理することができる最大チャネル数を規定する容量を有する請求項9および10のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- チャネルがプロパティとして、ローカル・アドレスと、リモート・アドレスとを有し、前記ローカル・アドレスおよび前記リモート・アドレスは、それ自体が記述する物理的通信の2つの末端アドレスを規定する請求項9ないし11のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- チャネルが、それを通過する接続のリストをも含む請求項9ないし12のいずれか一項に記載のデータ交換システム。
- モデル化されたデータ交換システムを用いる発信呼管理方法であって、上記モデル化における形は、
− 周辺装置(11、12)と、物理的アドレスのオブジェクト・クラスであって、オブジェクトがある数のチャネルを管理することができ、これらのチャネル(13)が物理的通信を記述することができ、チャネル(13)の各々が周辺装置に関連付けられるオブジェクトと、0本、1本、または複数の接続に関連付けるべきチャネルの容量を規定するマルチプレクサ(16)とを含むオブジェクト・クラスと、
− 論理的アドレスのグラフのノードを形成するアドレス型オブジェクト(ADi)と、論理的アドレスのグラフのソースの論理アドレスとターゲットの論理アドレスの間の有向移行を形成するリンク(Li)と、接続リンクの線形集合で構成される接続(Ci)とを含む論理的アドレスのオブジェクト・クラスとを含み、
− 前記クラスが、プロパティのうち論理アドレスと物理アドレスとをそれぞれが有する前記アドレス型オブジェクトのレベルでリンクされる形であり、
所与の物理アドレスに向けて通信を確立しなければならないときに、
− 前記所与の物理アドレスに応じて発信ルートを選択する段階(21)と、
− 選択された発信ルートによって規定される集合のうちから1つの周辺装置を選択する段階(22)と、
− 前記所与の物理アドレスに関連付けられたマルチプレクサを探す段階(23)と、
− このマルチプレクサから出発して、同一のチャネル上でいくつの接続を確立することができるかを特定する段階(24)と、
− 見つかったマルチプレクサが厳密に0を超える容量を有し、前記所与の物理アドレスへのチャネルがすでに生成されている場合に、選択された発信ルートの周辺装置のうち1つについて、すでに確立されたチャネルに呼を割り当てる段階(26)、または
− そうでない場合に、新しいチャネルを生成する段階(27)
からなる諸段階を含む方法。
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