JP4307652B2 - 流体継手装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原動機の回転トルクを伝達するための流体継手装置、更に詳しくはロックアップクラッチを備えた流体継手装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体継手(フルードカップリング、トルクコンバータ)は船舶用、産業機械用、自動車用の動力伝達継手として従来から用いられている。流体継手は、原動機である例えばディーゼルエンジンのクランクシャフト(流体継手としての入力軸)に連結されたケーシングと、該ケーシングと対向して配設されケーシングに取り付けられたポンプと、該ポンプとケーシングによって形成された室にポンプに対向して配設され入力軸と同一軸線上に配置された出力軸に取り付けられたタービンとを具備している。このような流体継手を有する流体継手装置には、上記ケーシングとタービンとを摩擦係合して両者を直結するロックアップクラッチが配設されている。このロックアップクラッチは、ケーシングとタービンとの間に配設されケーシングとの間に外側室を形成するとともにタービンとの間に内側室を形成するクラッチディスクを備え、ポンプとタービンとによって形成される作動室から内側室を通して外側室に流れる作動流体の内側室側と外側室側の圧力差によってケーシングとタービンとを摩擦係合するように構成されている。そして、ロックアップクラッチによるケーシングとタービンとを摩擦係合を解除するときには、作動流体を外側室から内側室を通してポンプとタービンとによって形成される作動室に流れるように循環せしめ、外側室の流体圧が内側室の流体圧より高くなるようにしている。
【0003】
図4および図5は、従来の流体継手装置におけるロックアップクラッチ作動時の作動流体の流れを示すもので、図において、01は例えばディーゼルエンジンのクランクシャフトに連結された流体継手のケーシング、02は該ケーシング01に取り付けられたポンプ、03は該ポンプ02と対向して配設され出力軸04に取り付けられたタービン、05はケーシング01とタービン03とを摩擦係合して両者を直結するクラッチディスク06を備えたロックアップクラッチである。図4はポンプ02がケーシング01を駆動する例えばディーゼルエンジンによって駆動されている状態(正駆動状態)を示すもので、ポンプ02とタービン03によって形成される作動室07内の作動流体の流れは矢印で示す通りとなる。一方、図5はポンプ02がタービン03側から駆動される状態、即ち車両の駆動装置においては車輪側から駆動される状態(逆駆動状態)を示すもので、ポンプ02とタービン03によって形成される作動室07内の作動流体の流れは矢印で示す通りとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
而して、従来の流体継手装置においては、ロックアップクラッチ作動時には作動流体が作動室07を介して内側室08に流れてロックアップクラッチ05を作動するので、ロックアップクラッチ作動の応答性が鈍くなることがある。図4に示すように正駆動状態においては、作動室07から内側室08に流出する作動流体は作動室07内の作動流体の流れに付勢されて流出するため、ロックアップクラッチ作動の応答性を著しく低下させることはないが、図5に示す逆駆動状態(車両の駆動装置においてエンジンブレーキ作動状態)においては、ロックアップクラッチ作動の応答性が著しく低下する。即ち、作動室07から内側室08に流出する作動流体は作動室07内の作動流体の流れによって流出し難くなるため、ロックアップクラッチ作動の応答性が低下し、ときにはロックアップクラッチが作動しないこともある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、ロックアップクラッチ作動の応答性を向上させることができる流体継手装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するために、
「入力軸に連結されたケーシングと、
該ケーシングと対向して配設され該ケーシングに取り付けられたポンプと、
該ポンプと該ケーシングによって形成された室に該ポンプと対向して配設され該入力軸と同一軸線上に配置された出力軸に取り付けられたタービンと、
該ケーシングと該タービンとの間に配設され該ケーシングとの間に外側室を形成するとともに該タービンとの間に内側室を形成するクラッチディスクを備え、該ケーシングと該タービンとを係合または係合解除するロックアップクラッチと、
作動流体を収容するリザーブタンクと、該リザーブタンク内の作動流体を送給する流体圧源とを有し、該外側室、該内側室および該ポンプと該タービンとによって形成される作動室に作動流体を循環せしめる作動流体循環手段とを具備し、
該内側室の圧力が該外側室の圧力より高いとき該クラッチディスクが該ケーシングと該タービンとを係合してロックアップクラッチを作動せしめ、該外側室の圧力が該内側室の圧力より高いとき該ケーシングと該タービンとの係合を解除してロックアップクラッチを解除する流体継手装置において、
該作動流体循環手段は、ロックアップクラッチ作動時に該内側室を該流体圧源に連通するロックアップ作動回路を備えており、
該ロックアップ作動回路が、該タービンの内周部に取り付けられ該出力軸に装着されたタービンハブに設けられ該内側室に連通する通路と、該通路内に配設され該内側室側からの作動流体の流出を阻止する逆止弁とからなっている」
ことを特徴とする流体継手装置が提供される。
【0008】
上記作動室は上記ポンプの内周部に取り付けられたポンプハブと上記タービンハブとによって内周側の連通が遮断されており、上記作動流体循環手段は上記タービンハブに設けられロックアップクラッチ解除時に上記作動室を上記リザーブタンクに連通するロックアップ解除回路を備えている。該ロックアップ解除回路は、上記タービンハブに設けられ上記作動室に連通する通路と、該通路内に配設され該作動室側への作動流体の流入を阻止する逆止弁とからなっている。
【0009】
また、上記作動室は上記ポンプの内周部に取り付けられたポンプハブと上記タービンハブとによって内周側の連通が遮断されており、上記作動流体循環手段は上記ポンプハブに設けられロックアップクラッチ解除時に上記作動室を上記リザーブタンクに連通するロックアップ解除回路を備えている。該ロックアップ解除回路は、上記ポンプハブに設けられ上記作動室に連通する通路と、該通路内に配設され上記作動室側への作動流体の流入を阻止する逆止弁とからなっている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された流体継手装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0011】
図1には、フルードカップリングを用いた流体継手装置を自動車用エンジンと摩擦クラッチとの間に配設した駆動装置の一実施形態が示されている。図示の実施形態における駆動装置は、原動機としての内燃機関2と本発明に従って構成された流体継手装置4および摩擦クラッチ8とによって構成されている。内燃機関2は図示の実施形態においてはディーゼルエンジンからなっており、クランク軸21の端部には流体継手装置4の後述するポンプ側が取り付けられる。
【0012】
流体継手装置4は、ディーゼルエンジン2に装着されたハウジング22にボルト23等の締結手段によって取り付けられた流体継手ハウジング3内に配設されている。図示の実施形態における流体継手装置4は、ケーシング41と環状のポンプ42および環状のタービン43を有する流体継手40を具備している。
【0013】
ケーシング41は、上記クランク軸21にボルト24によって内周部が装着されたドライブプレート44の外周部にボルト441、ナット442等の締結手段によって装着されている。なお、上記ドライブプレート44の外周には、図示しないスタータモータの駆動歯車と噛合する始動用のリングギヤ440が装着されている。
【0014】
ポンプ42は上記ケーシング41と対向して配設されている。このポンプ42は、椀状のポンプシェル421と、該ポンプシェル421内に放射状に配設された複数個のインペラ422とを備えており、ポンプシェル421の外周部が上記ケーシング41に溶接等の固着手段によって取り付けられている。従って、ポンプ42のポンプシェル421は、ケーシング41およびドライブプレート44を介してクランク軸21に連結される。このため、クランク軸21は流体継手装置4の入力軸として機能する。また、ポンプシェル421の内周部は、ポンプハブ45に溶接等の固着手段によって取り付けられている。このポンプハブ45は、上記流体継手ハウジング3にボルト33によって円盤状のポンプハウジング31ととともに共締めされた円盤状の軸支持部材32によって回転自在に支持されている。即ち、軸支持部材32は上記入力軸としての上記クランク軸21と同一軸線上に配設された出力軸46を包囲するように突出形成された筒状支持部321に軸受34によって回転可能に支持されている。なお、軸支持部材32は、出力軸46の図1において右端部を軸受35を介して回転自在に支持している。
【0015】
タービン43は上記ポンプ42と対向して配設されている。このタービン43は、上記ポンプ42のポンプシェル421と対向して配設された椀状のタービンシェル431と、該タービンシェル431内に放射状に配設された複数個のランナ432とを備えている。タービンシェル431の内周部は、上記出力軸46にスプライン嵌合されたタービンハブ47に溶接等の固着手段によって取り付けられている。なお、上記ポンプハブ45とタービンハブ47とは、図示の実施形態においてはタービンハブ47の外周の一部にポンプハブ45の内周の一部が互いに回動可能に嵌合されており、両者間がシールされ、ポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4aの内周側の連通を遮断している。
【0016】
図示の実施形態における流体継手40は、上記ケーシング41とタービン43とを直接伝動連結するためのロックアップクラッチ50を具備している。ロックアップクラッチ50は、ケーシング41とタービン43との間に配設されケーシング41との間に外側室40aを形成するとともにタービン43との間に内側室40bを形成するクラッチディスク51を備えている。このクラッチディスク51は、内周縁が上記タービンハブ47の外周に相対回転可能でかつ軸方向に摺動可能に支持されており、その外周部には上記ケーシング41と対向する面にクラッチフェーシング52が装着されている。また、クラッチディスク51の外周部における内側室40b側には、環状の凹部53が形成されており、この凹部53にそれぞれ支持片54によって支持された複数個のダンパースプリング55が所定の間隔を置いて配設されている。この複数個のダンパースプリング55の両側には上記クラッチディスク51に取り付けられた入力側リテーナ56が突出して配設されているとともに、各ダンパースプリング55間には上記タービン43のタービンシェル431に取り付けられた出力側リテーナ57が突出して配設されている。
【0017】
図示の実施形態におけるロックアップクラッチ50は以上のように構成されており、その作動について説明する。
上記内側室40b側の作動流体の圧力が外側室40aの作動流体の圧力より高い場合、即ち後述する作動流体循環手段によって供給される作動流体がポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4aから内側室40bを通して外側室40aに流れる場合には、上記クラッチディスク51が図1において左方に押圧されるので、クラッチディスク51に装着されたクラッチフェーシング52がケーシング41に押圧されて摩擦係合する(ロックアップクラッチ接)。従って、ケーシング41とタービン43は、クラッチフェーシング52、クラッチディスク51、入力側リテーナ56、ダンパースプリング55、出力側リテーナ57を介して直接伝動連結される。一方、上記外側室40aの作動流体の圧力が内側室40b側の作動流体の圧力より高い場合、即ち後述する作動流体循環手段によって供給される作動流体が外側室40aから内側室40bを通してポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4aに循環する場合には、上記クラッチディスク51が図1において右方に押圧されるので、クラッチディスク51に装着されたクラッチフェーシング52はケーシング41と摩擦係合せず(ロックアップクラッチ断)、従って、ケーシング41とタービン43との伝動連結は解除されている。
【0018】
図示の実施形態における流体継手装置4は、上記外側室40aと内側室40bおよび作動室4aに作動流体を循環せしめる作動流体循環手段6を具備している。この作動流体循環手段6について、図2および図3をも参照して説明する。作動流体循環手段6は、流体圧作動源としての油圧ポンプ60を備えている。この油圧ポンプ60は上記円盤状のポンプハウジング31内に配設されている。この油圧ポンプ60は、上記ポンプ42のポンプシェル421に取り付けられたポンプハブ45によって回転駆動されるように構成されている。また、上記出力軸46には、作動流体循環手段6を構成する作動流体の通路461が形成されている。通路461は、その一端が出力軸46の図において左端面に開口し上記ケーシング41とタービン43とによって形成される外部室40aと連通しており、その他端が出力軸46の外周面に開口する径方向の通路462と連通している。一方、上記円盤状の軸支持部材32には、上記出力軸46に設けられた通路462と連通する通路322が形成されているとともに、上記筒状支持部321の外周面とポンプハブ45との間に形成される通路323と連通する通路324が形成されている。
【0019】
上記筒状支持部321の外周面とポンプハブ45との間に形成される通路323は、上記ポンプハブ45とタービンハブ47との間に形成された通路450にと連通している。上記タービンハブ47には、ロックアップクラッチ作動時に上記内側室40bを流体圧源に連通するロックアップ作動回路470が設けられている。このロックアップ作動回路470は、上記通路450と上記内側室40bとを連通する通路471と、該通路471内に配設され作動流体の通路450側から内側室40b側への流通は許容するが内側室40b側から通路450側への流通は遮断する逆止弁472とからなっている。また、タービンハブ47には、ロックアップクラッチ解除時に上記作動室4aを作動流体を収容するリザーブタンク61に連通するロックアップ解除回路475が設けられている。このロックアップ解除回路475は、作動室4aと通路450とを連通する通路476と、該通路476内に配設され作動流体の作動室4a側から通路450側への流通は許容するが通路450側から作動室4a側への流通は遮断する逆止弁477とからなっている。なお、図示の実施形態においては、ロックアップ解除回路475をタービンハブ47に設けた例を示したが、ロックアップ解除回路475はポンプハブ45に設けてもよい。
【0020】
次に、作動流体循環手段6の作動流体回路について、図2および図3を参照して説明する。
作動流体循環手段6は作動流体を収容するリザーブタンク61を具備しており、該リザーブタンク61内の作動流体は上記油圧ポンプ60によって通路621に吐出される。通路621に吐出された作動流体は、電磁方向制御弁63を介して上記通路322または通路324と連通する通路622または通路623に供給される。電磁方向制御弁67は、除勢(OFF)している図2に示す状態のときには上記通路621と通路622とを連通し、通路623を戻し通路624に連通する。従って、電磁方向制御弁63が除勢(OFF)している図2に示す状態のときには、通路621に吐出された作動流体は矢印で示すように通路622、通路322、通路462、通路461、外側室40a、内側室40b、作動室4a、ロックアップ解除回路475、通路450、通路323、通路324、通路623、戻り通路624を通してリザーブタンク61に循環される。作動流体が図2において矢印で示すように循環するときは、外側室40aの流体圧が内側室40bの流体圧より高いので、ロックアップクラッチ50は上述したように摩擦係合しない。なお、作動流体が図2において矢印で示すように循環するときは、ロックアップ作動回路470を構成する逆止弁472は通路471を遮断する。
【0021】
一方、電磁方向制御弁63は、付勢(ON)されると図3に示すように通路621と通路623とを連通し、通路622を戻し通路624に連通する。従って、電磁方向制御弁63が付勢(ON)されている図3で示す状態においては、通路621に吐出された作動流体は矢印で示すように通路623、通路324、通路323、通路450、ロックアップ作動回路470、内側室40b、外側室40a、通路461、通路462、通路322、通路622、戻り通路624を通してリザーブタンク61に循環される。作動流体が図3において矢印で示すように循環するときは、内側室40bの流体圧が外側室40aの流体圧より高いので、ロックアップクラッチ50は上述したように摩擦係合する。なお、作動流体が図3において矢印で示すように循環するときは、ロックアップ解除回路475を構成する逆止弁477は通路476を遮断する。
【0022】
図示の実施形態における作動流体循環手段6は、上記通路621とリザーブタンク61とを接続するリリーフ通路625を備えており、このリリーフ通路625にはリリーフ弁64が配設されている。リリーフ弁64は、開弁圧が例えば6kg/cm2 に設定されており、通路621内の作動流体圧が6kg/cm2を越えると作動流体をリリーフ通路625を介してリザーブタンク61に戻す。
【0023】
次に、上記摩擦クラッチ8について、図1を参照して説明する。
摩擦クラッチ8は、上記流体継手ハウジング3にボルト81によって装着されたクラッチハウジング80内に配設されている。図示の実施形態における摩擦クラッチ8は、上記流体継手の出力軸46に装着されたクラッチドライブプレート82と、出力軸46と同一軸線上に配設された伝動軸83(図示の実施形態においては、図示しない変速機の入力軸)と、該伝動軸83にスプライン嵌合されたクラッチハブ84に取り付けられ外周部にクラッチフェーシング85が装着されているドリブンプレート86と、該ドリブンプレート86をクラッチドライブプレート82に押圧するプレッシャープレート87と、該プレッシャープレート87をクラッチドライブプレート82に向けて付勢するダイアフラムスプリング88と、該ダイアフラムスプリング88の内端部に係合してダイアフラムスプリング88を中間部を支点881として作動するレリーズベアリング89と、該レリーズベアリング89を軸方向に作動せしめるクラッチレリーズフォーク90とを具備している。このように構成された摩擦クラッチ8は、図示の状態においてはダイアフラムスプリング88のばね力によってプレッシャープレート87がクラッチドライブプレート82に向けて押圧されており、従って、ドリブンプレート86に装着されたクラッチフェーシング85がクラッチドライブプレート82に押圧されて流体継手の出力軸46に伝達された動力がクラッチドライブプレート82およびドリブンプレート86を介して伝動軸83に伝達される。この動力伝達を遮断する場合は、図示しないスレーブシリンダに油圧を供給してクラッチレリーズフォーク90を作動し、レリーズベアリング89を図1において左方に移動すると、ダイアフラムスプリング88が図において2点鎖線で示すように作動せしめられ、プレッシャープレート87への押圧力を解除することにより、クラッチドライブプレート82からドリブンプレート86への動力伝達が遮断される。
【0024】
図示の実施形態における流体継手装置4は以上のように構成されており、以下その作動について説明する。
先ず、流体継手40の流体作用による動力伝達について図2を参照して説明する。この場合、上記作動流体循環手段6の電磁方向制御弁63は図2に示すように除勢(OFF)されている。従って、作動流体は上述したように図2において矢印で示す方向に循環せしめられている。
ディーゼルエンジン2のクランク軸21(入力軸)に発生した駆動力は、上述したようにドライブプレート44を介して流体継手40のケーシング41に伝達される。ケーシング41とポンプ42のポンプシェル421は一体的に構成されているので、上記駆動力によってポンプ42が回転せしめられる。ポンプ42が回転するとポンプ42内の作動流体は遠心力によりインペラ422に沿って外周に向かって流れ、矢印で示すようにタービン43側に流入する。タービン43側に流入した作動流体は、中心側に向かって流れ矢印で示すようにポンプ42に戻される。このように、ポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4a内の作動流体がポンプ42とタービン43内を循環することにより、ポンプ42側の駆動トルクが作動流体を介してタービン43側に伝達される。タービン43側に伝達された駆動力は、タービンシェル431およびタービンハブ47を介して出力軸46に伝達され、更に上記摩擦クラッチ8を介して図示しない変速機に伝達される。
【0025】
次に、ロックアップクラッチ50を作動して、流体継手4のケーシング41とタービン43を直結して駆動トルクを伝達する状態について図3を参照して説明する。この場合、上記作動流体循環手段6の電磁方向制御弁63は付勢(ON)され、油圧ポンプ60から吐出された作動流体は、図3において矢印で示す方向に循環せしめられている。即ち、ポンプハブ45とタービンハブ47との間に形成された通路450に供給された作動流体は、ロックアップ作動通路470を通して直接内側室40bに流入するので、内側室40bの圧力が直ちに上昇してクラッチディスク51を図1および図3において左方に押圧し、クラッチディスク51に装着されたクラッチフェーシング52をケーシング41に押圧せしめて摩擦係合する。この結果、ケーシング41とタービン43は、クラッチフェーシング52クラッチディスク51、入力側リテーナ56、ダンパースプリング55、出力側リテーナ57を介して直接伝動連結される。従って、ディーゼルエンジン2のクランク軸21(入力軸)に発生した駆動力は、ドライブプレート44、ケーシング41、ロックアップクラッチ50、タービン43、タービンハブ47を介して出力軸46に伝達され、更に上記摩擦クラッチ8を介して図示しない変速機に伝達される。以上のように、ロックアップクラッチ50作動時には、作動流体がロックアップ作動回路470を通して直接内側室40bに流入するので、ロックアップクラッチ作動の応答性が向上する。また、ロックアップクラッチ50作動時には、作動流体がロックアップ作動回路470を通して直接内側室40bに流入するので、ポンプ42がタービン43側から駆動される状態、即ち車両の駆動装置においては車輪側から駆動される逆駆動状態(エンジンブレーキ作動状態)であっても、ロックアップクラッチを直ちに作動することができる。
【0026】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではない。例えば、図示の実施形態においては流体継手としてのフルードカップリングに本発明を適用した例を示したが、トルクコンバータに本発明を適用しても同等の作用効果が得られる。
【0027】
【発明の効果】
本発明による流体継手装置は以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0028】
即ち、本発明による流体継手装置においては、作動流体循環手段がロックアップクラッチ作動時にロックアップクラッチのクラッチディスクによって仕切られた内側室を流体圧源に連通するロックアップ作動回路を備えているので、ロックアップクラッチ作動時には作動流体がロックアップ作動回路を通して直接内側室に流入するため、ロックアップクラッチ作動の応答性が向上する。また、ロックアップクラッチ作動時には、作動流体がロックアップ作動回路を通して直接内側室に流入するので、ポンプがタービン側から駆動される状態、即ち車両の駆動装置においては車輪側から駆動される逆駆動状態であっても、ロックアップクラッチを直ちに作動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された流体継手装置を装備した駆動装置の一実施形態を示す断面図。
【図2】図1に示す流体継手装置のロックアップクラッチが作動していない状態の説明図。
【図3】図1に示す流体継手装置のロックアップクラッチが作動した状態の説明図。
【図4】従来の流体継手装置のロックアップクラッチ時を示すもので、正駆動状態における作動流体の流れを示す説明図。
【図5】従来の流体継手装置のロックアップクラッチ時を示すもので、逆駆動状態における作動流体の流れを示す説明図。
【符号の説明】
2:内燃機関
21:クランク軸
4:流体継手装置
40:流体継手
41:流体継手のケーシング
42:流体継手のポンプ
421:ポンプシェル
422:インペラ
43:流体継手のタービン
431:タービンシェル
432:ランナ
44:ドライブプレート
440:リングギヤ
45:ポンプハブ
46:出力軸
47:タービンハブ
470:ロックアップ作動回路
475:ロックアップ解除回路
50:ロックアップクラッチ
51:ロックアップクラッチのクラッチディスク
52:ロックアップクラッチのクラッチフェーシング
55:ロックアップクラッチのダンパースプリング
6:流体継手ハウジング
60:油圧ポンプ
61:リザーブタンク
63:電磁方向制御弁
64:リリーフ弁
8:摩擦クラッチ
80:クラッチハウジング
82:クラッチドライブプレート
83:伝動軸
84:クラッチハブ
85:クラッチフェーシング
86:ドリブンプレート
87:プレッシャープレート
88:ダイアフラムスプリング
89:レリーズベアリング
90:クラッチレリーズフォーク
Claims (5)
- 入力軸に連結されたケーシングと、
該ケーシングと対向して配設され該ケーシングに取り付けられたポンプと、
該ポンプと該ケーシングによって形成された室に該ポンプと対向して配設され該入力軸と同一軸線上に配置された出力軸に取り付けられたタービンと、
該ケーシングと該タービンとの間に配設され該ケーシングとの間に外側室を形成するとともに該タービンとの間に内側室を形成するクラッチディスクを備え、該ケーシングと該タービンとを係合または係合解除するロックアップクラッチと、
作動流体を収容するリザーブタンクと、該リザーブタンク内の作動流体を送給する流体圧源とを有し、該外側室、該内側室および該ポンプと該タービンとによって形成される作動室に作動流体を循環せしめる作動流体循環手段とを具備し、
該内側室の圧力が該外側室の圧力より高いとき該クラッチディスクが該ケーシングと該タービンとを係合してロックアップクラッチを作動せしめ、該外側室の圧力が該内側室の圧力より高いとき該ケーシングと該タービンとの係合を解除してロックアップクラッチを解除する流体継手装置において、
該作動流体循環手段は、ロックアップクラッチ作動時に該内側室を該流体圧源に連通するロックアップ作動回路を備えており、
該ロックアップ作動回路が、該タービンの内周部に取り付けられ該出力軸に装着されたタービンハブに設けられ該内側室に連通する通路と、該通路内に配設され該内側室側からの作動流体の流出を阻止する逆止弁とからなっていることを特徴とする流体継手装置。 - 該作動室は該ポンプの内周部に取り付けられたポンプハブと該タービンハブとによって内周側の連通が遮断されており、
該作動流体循環手段は、該タービンハブに設けられロックアップクラッチ解除時に該作動室を該リザーブタンクに連通するロックアップ解除回路を備えている請求項1記載の流体継手装置。 - 該ロックアップ解除回路は、該タービンハブに設けられ該作動室に連通する通路と、該通路内に配設され該作動室側への作動流体の流入を阻止する逆止弁とからなっている請求項2記載の流体継手装置。
- 該作動室は該ポンプの内周部に取り付けられたポンプハブと該タービンハブとによって内周側の連通が遮断されており、
該作動流体循環手段は、該ポンプハブに設けられロックアップクラッチ解除時に該作動室を該リザーブタンクに連通するロックアップ解除回路を備えている請求項1記載の流体継手装置。 - 該ロックアップ解除回路は、該ポンプハブに設けられ該作動室に連通する通路と、該通路内に配設され該作動室側への作動流体の流入を阻止する逆止弁とからなっている請求項4記載の流体継手装置。
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