JP4307586B2 - 電子レンジ加熱用包装部材とそれを用いた包装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子レンジによる食品の加熱用として好適な包装部材とその包装方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、電子レンジによる食品の加熱用包装部材は、例えば、図9に示すように、食品Fを包装する袋として、ナイロンフィルム51とポリエチレンフィルム52とのラミネートフィルム50が用いられている。このラミネートフィルムは、包装前にナイロンフィルム51とポリエチレンフィルム52とを予めラミネートして形成されているものであり、このラミネートフィルム50を用いて食品Fが真空包装されているものである。外側のナイロン51には空気抜きとしての小孔53が設けられており、内側のポリエチレンフィルム52は、上記ナイロンフィルム51の強度より弱く形成されてあり、ポリエチレンフィルム52が加熱による内部の膨張により破れる強度で作成されている。
【0003】
しかしながら、この包装袋では、包装のために予めラミネートされたフィルムを用いているので、このラミネートフィルム50を製造するために手間がかかり、製造コストが高価になるという問題点があった。
また、この包装袋では、図10に示すように、電子レンジで加熱する際、内部が加熱による膨張のために膨れ、小孔53の内側のポリエチレンフィルム52が破れるように作成されている。しかしながら、このとき食品Fと共にスープやたれが包装されていると、スープやたれの袋が破れた時に上記小孔53からこれらが吹き出してしまう欠点がある。したがって、飛び散ったスープやたれのために周囲が汚損したり、最悪の場合には火傷を負う虞があった。
【0004】
そこで、この発明の目的は、電子レンジ用加熱用の包装部材において、包装用部材の製造が容易で、しかも、食品と一緒にスープやたれを収容する場合であっても、これらが飛散する虞が少ない包装部材を提供することであり、また、その包装方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の電子レンジ加熱用包装部材は、外袋の内側に、外袋より引っ張り強度が弱い材質からなる内袋を個別に設けた二重構造の袋となし、外袋には空気抜き用の小孔を設け、内袋は食品を包装した状態では外袋と非密着状態となるよう自由に内在し且つ加熱によって圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成されていることを特徴としている。
【0006】
この包装部材によれば、外袋と内袋とを個別に作成することができるので、包装部材の製造が簡単である。また、両者が非密着状に設けられているので、外袋に影響されることなく、内袋の膨張が行われ、さらに、加熱によって圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成されているので、食品の加熱を充分に行うことができる。
上記外袋は、ナイロン、ポリプロピレン、若しくはポリエチレンテレフタレートの合成樹脂材料にて構成し、内袋はポリエチレン材料にて構成したものであっても良い。
【0007】
この構成によれば、製造の容易な合成樹脂材料を用いることができる。
また、この発明の電子レンジ加熱用包装部材を用いた包装方法は、食品を内袋にて真空包装した後、内袋よりも引っ張り強度が強い外袋にて非密着状態、且つ自由な状態にして内袋を被覆し、加熱によって内袋内の圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成することを特徴としている。
この包装方法によれば、包装が容易であると共に、内袋と外袋とを非密着とした状態で食品を包装することができ、内袋の膨張が充分になされ、且つ加熱によって内袋内の圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるため、食品の加熱が充分にできる。
【0008】
さらに、この発明の電子レンジ加熱用包装部材を用いた包装方法は、食品をフィルムにてラップ包装した後、これを上記フィルムよりも引っ張り強度が強い外袋にて非密着状態、且つ自由な状態にして被覆し、加熱によって内袋内の圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成することを特徴としている。
この包装方法によれば、ラップ包装した食品の加熱を電子レンジにて容易に行うことができる。
【0009】
また、この発明の電子レンジ加熱用包装部材は、外側包装部材の内側に上記外側包装部材より引っ張り強度が弱い内袋を個別に設けた二重構造の包装部材となし、外側包装部材には空気抜き用の小孔を設け、内袋は外側包装部材と非密着状態となるよう自由に内在し且つ加熱によって圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成されていることを特徴としている。この発明では、外側包装部材を、紙袋、紙箱、布袋、木箱、合成樹脂製箱にて構成し、内袋をポリエチレン材料にて構成したことを特徴としていても良い。
【0010】
この包装部材によれば、外側包装部材として種々のものが採用できると共に、低コストで食品の加熱を充分に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次いで、この発明の実施の態様を図面を参照して説明すると、図1はこの発明の実施態様の包装袋の概略断面図で、図2は食品を包装した状態を示す概略断面図、図3から図5は電子レンジにより加熱される工程を段階的に示す概略断面図である。
【0012】
包装部材としての一例である包装袋1は、外袋として、合成樹脂材料のうちナイロンからなる外袋10にて構成し、その内側に上記ナイロン製外袋10より引っ張り強度が弱いポリエチレン、好ましくは低密度ポリエチレンからなる内袋20を個別に設けた二重構造の袋としたものである。ナイロン製外袋10には空気抜き用の小孔11を適宜個数設けており、適当に散在させて設けている。ポリエチレン製内袋20には孔を設けることなく、食品Fを密封状態に包装可能に形成したものである。また、ナイロン製外袋10とポリエチレン製内袋20との間には空気層ができるよう非密着状態として、内袋20を自由に内在させて設けている。
【0013】
なお、ナイロン製外袋10に設けた小孔11には、バリヤー性樹脂からなるイージーオープンシール12を貼り付けておくことができる。これにより、ナイロン製外袋10の内部を外気と遮断させておくことができる。このシール12は、加熱時に予め外しておくものである。小孔11の形状としては、図6に示すように、円形(図6(a))、星形(図6(b))等、孔状にくり抜いた形状の他、スリット形状も採用することができる。スリット形状の場合には、図6(c)〜(f)に示すように、十字状(図6(c))、※型状(図6(d))や、その他のスリット形状(図6(e)(f))等を適宜選択することができる。
【0014】
この包装袋1を用いて食品Fを包装する方法としては、先ず、ポリエチレン製内袋20にて食品を真空包装する。真空包装の方法としては従来公知の方法を用いることにより包装可能である。しかる後、この内袋20との間が非密着状態となって、空気層ができるようにナイロン製外袋10にて被覆包装する。上記空気層を設けることにより、加熱時には内部の食品を充分に加熱した後で、ポリエチレン製内袋20を破ることができるものである。さらに、必要により、ナイロン袋10の小孔11にイージーオープンシール12を貼り付けて内部を封鎖しておく。
【0015】
そして、食品の加熱調理時には、先ず、ナイロン製外袋10のイージーオープンシール12を外してから、この包装袋1を電子レンジ内に入れて加熱を行う。加熱すると、食品から出る湯気で内部の圧力が高くなりポリエチレン製内袋20が膨張して膨らむこととなる。圧力がさらに高くなると、ポリエチレン製内袋20が充分に膨らみ、ナイロン製外袋10の内側に張り付く状態となり、さらに、ポリエチレン製内袋20の一部がナイロン製外袋10の小孔11から外に膨んで飛び出し、その後破れる。このため、ナイロン製外袋10の影響を受けることなく、内部の食品Fは充分に加熱されることとなり、ポリエチレン製内袋20が破れることによって、その内部の蒸気が排出されて圧力が下がりながら、食品Fが蒸らし状態となると共に、電子レンジの加熱設定時間が経過して食品Fの加熱が終了することとなる。
【0016】
この包装袋、及び包装方法によれば、包装袋はラミネート品を使用することなく、単独のナイロン製外袋10とポリエチレン製内袋20とを用いて包装するので、袋の製造が容易である。
また、この包装袋、及び包装方法によれば、ポリエチレン製内袋20が充分に膨らむまで食品の加熱を行うことができるので、食品の加熱を充分に行うことができる。
【0017】
さらに、食品と同時にスープやたれを収容している場合には、空気層があるためポリエチレン製内袋20の内部のみでスープやたれの袋が破れることになり、内袋20が破れた時に、それらが外部に飛散する虞が少なくなるという効果が生ずる。
外袋は、ナイロンの他、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料にて構成することができるもので、内袋は、ポリエチレン等の合成樹脂材料を用いて構成することができ、ポリエチレンの場合には低密度ポリエチレンが好ましいが、高密度ポリエチレンも採用することができる。
【0018】
図7、図8は他の実施態様を示す概略断面図である。
この実施態様の包装方法は、食品トレー等に収容した食品Fに対してポリエチレンフィルム、好ましくは低密度ポリエチレンフィルム25を用いてラップ包装した後、引っ張り強度が強い合成樹脂製袋としてのナイロン製外袋15にて、上記内側ポリエチレンフィルム25を非密着状態で、且つ自由な状態に被覆したものである。なお、小孔11は上記の実施の態様と同様に形成している。
【0019】
上記包装方法においても、前記した包装方法と同様の作用効果を得ることができる。
また、外側の包装部材としては、紙袋、紙箱、布袋、木箱、合成樹脂製箱等の部材を用いることができる。箱は、開閉自在に設けておくことにより、繰り返し使用することができ、袋の場合には、開閉自在なファスナーを装備しておくことにより、繰り返し使用することができ、特に業務用の用途には好適となる。
【0020】
いずれの包装部材でも、内側の包装部材より引っ張り強度が強いものを採用することにより、上記実施態様で説明したものと同じ作用効果を得ることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、この発明の包装部材によれば、包装部材の製造が簡単であると共に、外袋に影響されることなく内袋の膨張が充分に行われるので、収容した食品の加熱を充分に行うことができる。
また、この発明の包装方法によれば、食品の包装が簡単であると共に、ラップ包装された食品に対しても電子レンジにより好適に加熱を行うことができる。
【0022】
さらに、包装部材として、紙袋、紙箱、布袋、木箱、合成樹脂製箱等の部材を用いることができ、種々のものが採用でき、低コストで、かつ食品の加熱を充分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施態様の包装袋の概略断面図である。
【図2】食品を包装した状態を示す概略断面図である。
【図3】電子レンジにより加熱される工程を段階的に示す概略断面図である。
【図4】電子レンジにより加熱される工程を段階的に示す概略断面図である。
【図5】電子レンジにより加熱される工程を段階的に示す概略断面図である。
【図6】ナイロン袋に設けた小孔の変更例を示す図である。
【図7】他の実施態様を示す概略断面図である。
【図8】上記実施態様における工程を示す概略断面図である。
【図9】従来の包装部材を示す概略構成図である。
【図10】上記従来の包装部材における加熱工程を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 包装袋
10,15 ナイロン製外袋
11 小孔
20,25 ポリエチレン製内袋
Claims (6)
- 外袋の内側に、外袋より引っ張り強度が弱い材質からなる内袋を個別に設けた二重構造の袋となし、外袋には空気抜き用の小孔を設け、内袋は食品を包装した状態では外袋と非密着状態となるよう自由に内在し且つ加熱によって圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成されていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装部材。
- 外袋は、ナイロン、ポリプロピレン、若しくはポリエチレンテレフタレートの合成樹脂材料にて構成したものであり、内袋はポリエチレン材料にて構成したことを特徴とする上記請求項1記載の電子レンジ加熱用包装部材。
- 食品を内袋にて真空包装した後、内袋よりも引っ張り強度が強い外袋にて非密着状態、且つ自由な状態にして内袋を被覆し、加熱によって内袋内の圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成することを特徴とする電子レンジ加熱用包装部材を用いた包装方法。
- 食品をフィルムにてラップ包装した後、これを上記フィルムよりも引っ張り強度が強い外袋にて非密着状態、且つ自由な状態にして被覆し、加熱によって内袋内の圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成することを特徴とする電子レンジ加熱用包装部材を用いた包装方法。
- 外側包装部材の内側に上記外側包装部材より引っ張り強度が弱い内袋を個別に設けた二重構造の包装部材となし、外側包装部材には空気抜き用の小孔を設け、内袋は外側包装部材と非密着状態となるよう自由に内在し且つ加熱によって圧力が高くなると外袋の内側に張り付く状態となるように構成されていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装部材。
- 外側包装部材を、紙袋、紙箱、布袋、木箱、合成樹脂製箱にて構成し、内袋をポリエチレン材料にて構成したことを特徴とする上記請求項5記載の電子レンジ加熱用包装部材。
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