JP4306687B2 - 画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像処理装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、画像を構成する電子データの全部に平滑化処理を実施した場合、画像の部分によって輝度が異なっているにもかかわらず電子データの全部に平滑化処理を実施する。そのため、ノイズの目立つ輝度の低い部分だけでなく比較的ノイズが目立たない輝度の高い部分も平滑化され、画像の鮮明度が低下する。したがって、輝度の低い部分に集中するノイズを効果的に除去することはできない。
(第1実施例)
図2は、本発明の第1実施例による画像処理装置を適用したデジタルカメラ1である。
図2に示すようにデジタルカメラ1は、制御部10、画像入力手段20、記録部30、表示部40およびインターフェイス50などから構成されている。
また、図2に示すように制御部10には、ユーザからの入力を受け付けるための入力手段が接続されている。入力手段としては、ユーザから撮影の実行の指示が入力されるシャッターボタン71、ならびにデジタルカメラ1の種々の機能の操作が入力される複数の入力ボタン72などがある。
記録部30は、RAM(Random Access Memory)31およびフラッシュメモリ32を有している。RAM31としては、セルフリフレッシュ機能を有するDRAM(Dynamic RAM)が用いられる。フラッシュメモリ32は通電しなくても記録内容を保持することができる書き換え可能な記録媒体であり、デジタルカメラ1に内蔵されているか、またはデジタルカメラ1に着脱自在に取り付けられている。
表示部40は、液晶表示装置(LCD)41およびVRAM(Video RAM)42を有している。LCD41はフラッシュメモリ32に記録されている電子データまたはA/D変換器23から出力されたデジタルの電子データに基づく画像を表示する。VRAM42にはLCD41で表示するために電子データから作成される表示データが記録されている。
次に、制御部10での処理について詳細に説明する。
前述のように制御部10には処理回路60が設けられている。処理回路60は画像処理を実行するための専用の演算装置である。処理回路60はROM32に記録されているコンピュータプログラムにより所定の処理を実行する。
図1および図3に基づいて、処理回路60の各手段によって実行される処理およびその流れについて説明する。処理回路60の各手段で実行される処理は、CPU11が用いられることなくパイプライン処理される。
分離手段61は、CCD22から入力されA/D変換器23で電子データに変換された画像の情報から色成分としての輝度成分を分離する(S101)。
CCD22の撮像素子から出力されA/D変換器23でアナログの電気信号からデジタルに変換された電子データは、RAM31に一時的に記憶される。撮像素子から出力されRAM31に記憶されている電子データは輝度成分と色差成分とを有している。
図4に示すように補色フィルタを有するCCD22の場合、相互に隣接する4つの撮像素子から出力された電子データに基づいて輝度Yおよび色差Crおよび色差Cbが算出される。輝度Yを算出するための式は、以下のとおりである。
上記の式(1)に含まれているMg、Cy、G、Yeは隣接する4つの画素から出力される電子データ、例えば階調の大きさである。すなわち、所定の色成分であるMg、Cy、GおよびYeから輝度Yは算出される。
分離手段61により電子データから分離された輝度成分、すなわち隣接する4つの撮像素子から出力された電子データは色強度算出手段62により輝度Yが算出される。色強度算出手段62は、上記の式(1)に基づいて輝度Yを算出する(S102)。
フィルタ情報選択手段63は、色強度算出手段62により算出された輝度Yに基づいて平滑化強度σを算出する。そして、フィルタ情報選択手段63は算出された平滑化強度σから記録部30のフラッシュメモリ32に記録されているフィルタ情報を選択する。このフィルタ情報は、輝度Yに対応して複数用意されている。
平滑化処理に使用する分布式は、ガウス関数に基づいて以下の式(B)のように定義される。式(B)において、σは上記の式(A)により算出される平滑化強度である。また、xおよびyは、図6に示すようにある注目画素Pnの座標を(0,0)、その注目画素Pnを包囲する5×5のマトリクスMにおける座標系(x,y)を示している。マトリクスMとしては、5×5に限らず、3×3、7×7などを使用可能である。例えば、図6の画素P1は(−2,−2)であり、画素P2は(−1,−2)であり、画素P25は(2,2)である。
本実施例の場合、算出した平滑化強度σにより画素ごとに平滑化強度の分布を算出するのではなく、あらかじめ平滑化強度σに対応してフィルタ情報が作成されている。そして、このフィルタ情報はフラッシュメモリ32に記録されている。
フィルタ情報選択手段63によりフィルタ情報が選択されると、注目画素Pnから出力された電子データと選択されたフィルタ情報とから平滑化処理が実行される(S105)。平滑化処理は、ある注目画素Pnから出力された電子データの生データにフィルタ情報の数値を乗ずることにより実行される。
平滑化処理手段64により平滑化処理が完了すると、処理を完了した電子データは書き込み手段65によりRAM31に書き込まれる(S106)。
書き込み手段65により1画像分の電子データがRAM31へ書き込まれると、RAM31に記憶されている電子データはフラッシュメモリ32へ記録されるデータ量を低減するために圧縮処理される。圧縮形式としては、デジタルカメラ1で撮影した画像の場合、JPEG(Joint Photographic Experts Group)あるいはTIFF(Tagged Image File Format)などのファイル形式が使用される。圧縮された電子データはフラッシュメモリ32に記録される。
(5) RAM31に記憶された電子データは処理回路60により上述の処理が実施されたあと、適切なカラー画像の電子データとして生成される。そしてフラッシュメモリ32への記録枚数を増加させるために、JPEGなどのファイル形式の電子データに圧縮される。
以上説明したように、本発明の第1実施例によるデジタルカメラ1によると、画像入力手段20から出力された電子データに含まれる輝度Yから平滑化強度σを算出している。平滑化強度σから算出されるフィルタ情報は、あらかじめフラッシュメモリ32に記録されている。そのため、算出された平滑化強度σからフィルタ情報を選択し読み出すことにより、平滑化強度σが算出されるたびにフィルタ情報を作成する必要がない。平滑化強度σは輝度Yに応じて輝度Yが高いときには弱くなるように、輝度Yが低いときは強くなるように設定されている。そのため、ノイズが目立ちやすい輝度Yが低い部分では平滑化強度を高めることができる。したがって、ノイズの少ない輝度Yが高い部分のノイズが強調されることなく、輝度Yの低い部分のノイズを集中的に除去することができる。
本発明の第2実施例によるデジタルカメラの処理回路90を図9、ならびに処理の手順を図10に示す。第1実施例と実質的に同一の構成部位または手順については説明を省略する。
第2実施例は、輝度Yを算出するごとにフィルタ情報を作成する点で第1実施例と異なる。
分離手段91および色強度算出手段92は第1実施例と同様である。フィルタ情報作成手段93は、色強度算出手段92により算出された輝度Yに基づいて第1実施例で説明した式(A)から平滑化強度σが算出され、式(C)からフィルタ情報が作成される。すなわち、画像の各画素から出力される電子データに含まれる輝度Yが分離されるごとに、各画素についてフィルタ情報が作成されることになる。
以上、本発明の複数の実施例では、補色フィルタを有するCCDにおいて所定の色成分として輝度を用いる場合について説明した。しかし、補色フィルタに限らず例えばRGBの原色フィルタを用いることも可能であり、原色フィルタを用いる場合は、輝度にかわってR、G、Bのいずれかの色成分の強度から平滑化強度を算出することも可能である。また、補色フィルタの場合でも、輝度に限らず所定の色成分の強度から平滑化強度を算出してもよい。
本発明の複数の実施例では画像処理装置としてデジタルカメラに適用したが、デジタルカメラに限らずスキャナや複写機などの画像読み取り装置による画像処理、あるいはプリンタのドライバなどのソフトウェアによる画像処理に本発明を適用することができる。
Claims (3)
- 入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去する画像処理方法であって、
注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出段階と、
前記輝度算出段階で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化段階とを含み、
前記平滑化段階は、
前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成段階と、
前記分布式作成段階で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出段階と、
前記雑音最大輝度算出段階で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出段階と、
前記平滑化強度算出段階で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配段階とを含み、
前記分配段階において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強く設定されていることを特徴とする画像処理方法。 - 入力手段から入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去するための処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、
前記入力手段から入力された画像を構成する複数の画素のうち、注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出手順と、
前記輝度算出手順で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化手順とを含み、
前記平滑化手順は、
前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成手順と、
前記分布式作成手順で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出手順と、
前記雑音最大輝度算出手順で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出手順と、
前記平滑化強度算出手順で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配手順とを含み、
前記分配手順において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強く設定することを特徴とする画像処理プログラム。 - 画像情報が入力され、前記画像情報を電子データとして出力可能な画像入力手段と、
前記画像入力手段から入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去する雑音処理手段とを備える画像処理装置であって、
前記画像入力手段から入力された画像を構成する複数の画素のうち、注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出手段と、
前記輝度算出手段で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化手段とを備え、
前記平滑化手段は、
前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成手段と、
前記分布式作成手段で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出手段と、
前記雑音最大輝度算出手段で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出手段と、
前記平滑化強度算出手段で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配手段とを有し、
前記分配手段において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強いことを特徴とする画像処理装置。
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