JP4306687B2 - 画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像処理装置 - Google Patents

画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、入力された画像の電子データを平滑化し、雑音を除去する画像処理方法、記録媒体および画像処理装置に関する。
例えばCCDなどの画像入力手段を利用したデジタルスチルカメラ(以下、デジタルスチルカメラを「デジタルカメラ」という。)などの画像入力装置の場合、画像入力手段からは受光した光の量に対応した電気信号だけでなく、不要な電気信号が出力されることがある。その結果、出力された不要な電気信号は雑音(以下、雑音を「ノイズ」という。)として画像を構成する電子データに含まれることとなる。特に輝度の低い部分、すなわち画像が暗い部分にはノイズが目立って発生する傾向にある。
従来は、そのような画像に含まれるノイズを除去するために、画像を構成する電子データの全部に平滑化処理を実施したり、エッジ情報に基づいて画像に含まれるノイズを除去する方法が利用されている。
しかしながら、画像を構成する電子データの全部に平滑化処理を実施した場合、画像の部分によって輝度が異なっているにもかかわらず電子データの全部に平滑化処理を実施する。そのため、ノイズの目立つ輝度の低い部分だけでなく比較的ノイズが目立たない輝度の高い部分も平滑化され、画像の鮮明度が低下する。したがって、輝度の低い部分に集中するノイズを効果的に除去することはできない。
また、エッジ情報に基づいてノイズを除去する方法の場合も、エッジ部以外の平坦部のノイズを強調してしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、入力された画像を構成する電子データに含まれる所定の色成分の強度に応じて平滑化強度を変化させ、平坦部のノイズを強調することなくノイズを集中的に除去する画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像処理装置を提供することにある。
(1)上記目的を達成するための本発明の画像処理方法は、入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去する画像処理方法であって、注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出段階と、前記輝度算出段階で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化段階とを含み、前記平滑化段階は、前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成段階と、前記分布式作成段階で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出段階と、前記雑音最大輝度算出段階で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出段階と、前記平滑化強度算出段階で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配段階とを含み、前記分配段階において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強く設定されていることを特徴とする。
(2)また、上記目的を達成するための画像処理プログラムは、入力手段から入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去するための処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、前記入力手段から入力された画像を構成する複数の画素のうち、注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出手順と、前記輝度算出手順で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化手順とを含み、前記平滑化手順は、前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成手順と、前記分布式作成手順で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出手順と、前記雑音最大輝度算出手順で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出手順と、前記平滑化強度算出手順で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配手順とを含み、前記分配手順において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強く設定することを特徴とする。
(3)さらに、上記目的を達成するための画像処理装置は、画像情報が入力され、前記画像情報を電子データとして出力可能な画像入力手段と、前記画像入力手段から入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去する雑音処理手段とを備える画像処理装置であって、前記画像入力手段から入力された画像を構成する複数の画素のうち、注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出手段と、前記輝度算出手段で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化手段とを備え、前記平滑化手段は、前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成手段と、前記分布式作成手段で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出手段と、前記雑音最大輝度算出手段で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出手段と、前記平滑化強度算出手段で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配手段とを有し、前記分配手段において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強いことを特徴とする。
これにより、所定の色成分である輝度から電子データを平滑化するための平滑化強度が算出される。所定の色成分から入力された画像の電子データの輝度を算出し、輝度から平滑化強度を算出することにより、輝度に応じて平滑化強度を変化させることができる。したがって、平坦部のノイズが強調されることなく、例えば輝度の低い部分すなわち画像の暗い部分のノイズを集中的に除去することができる。
本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図2は、本発明の第1実施例による画像処理装置を適用したデジタルカメラ1である。
図2に示すようにデジタルカメラ1は、制御部10、画像入力手段20、記録部30、表示部40およびインターフェイス50などから構成されている。
制御部10は画像入力手段20から出力された電子データを処理するための電気回路である。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12および処理回路60を有している。ROM12には、制御部10のCPU11および処理回路60で実行されるコンピュータプログラムが記録されている。
図3に示すように処理回路60は、分離手段61、色強度算出手段62、フィルタ情報選択手段63、平滑化処理手段64および書き込み手段65から構成されている。
また、図2に示すように制御部10には、ユーザからの入力を受け付けるための入力手段が接続されている。入力手段としては、ユーザから撮影の実行の指示が入力されるシャッターボタン71、ならびにデジタルカメラ1の種々の機能の操作が入力される複数の入力ボタン72などがある。
画像入力手段20は、集光レンズ21、CCD22およびA/D変換器23を有している。集光レンズ21は被写体からの光をCCD22へ集光する。CCD22は撮像素子を複数有している。CCD22は、水平方向ならびに垂直方向にマトリクス状に複数個配置されている撮像素子からなり、1つの撮像素子が1つの画素を構成している。
撮像素子の受光面側にはそれぞれカラーフィルタが配置されている。カラーフィルタとしては、Cy(Cyan)、Mg(Magenta)、Ye(Yellow)およびG(Green)からなる補色フィルタが使用されている。CCDの補色フィルタは、例えば図4に示すように配置されている。各カラーフィルタは光の三原色である赤(R)、緑(G)および青(B)のうち次の色の光を透過する。Cy=G+B、Mg=B+RおよびYe=G+Rである。すなわち、1つのフィルタで2色の光を透過する。
CCD22の各撮像素子へ入射された光は電気信号に変換されて出力される。CCD22から出力された電気信号はアナログ信号であるので、A/D変換器23でデジタルの電子データへ変換される。
記録部30は、RAM(Random Access Memory)31およびフラッシュメモリ32を有している。RAM31としては、セルフリフレッシュ機能を有するDRAM(Dynamic RAM)が用いられる。フラッシュメモリ32は通電しなくても記録内容を保持することができる書き換え可能な記録媒体であり、デジタルカメラ1に内蔵されているか、またはデジタルカメラ1に着脱自在に取り付けられている。
RAM31は、制御部10で処理またはA/D変換器23から出力されたデジタルの電子データを一時的に記録する。フラッシュメモリ32は、RAM31に一時的に記録されている電子データを蓄積して保管する。また、フラッシュメモリ32には、後述するフィルタ情報が記録されている。
表示部40は、液晶表示装置(LCD)41およびVRAM(Video RAM)42を有している。LCD41はフラッシュメモリ32に記録されている電子データまたはA/D変換器23から出力されたデジタルの電子データに基づく画像を表示する。VRAM42にはLCD41で表示するために電子データから作成される表示データが記録されている。
インターフェイス50は、フラッシュメモリ32に記録されている電子データを外部の例えばパーソナルコンピュータなどの機器に出力する。
次に、制御部10での処理について詳細に説明する。
前述のように制御部10には処理回路60が設けられている。処理回路60は画像処理を実行するための専用の演算装置である。処理回路60はROM32に記録されているコンピュータプログラムにより所定の処理を実行する。
図1および図3に基づいて、処理回路60の各手段によって実行される処理およびその流れについて説明する。処理回路60の各手段で実行される処理は、CPU11が用いられることなくパイプライン処理される。
(分離手段)
分離手段61は、CCD22から入力されA/D変換器23で電子データに変換された画像の情報から色成分としての輝度成分を分離する(S101)。
CCD22の撮像素子から出力されA/D変換器23でアナログの電気信号からデジタルに変換された電子データは、RAM31に一時的に記憶される。撮像素子から出力されRAM31に記憶されている電子データは輝度成分と色差成分とを有している。
図4に示すように補色フィルタを有するCCD22の場合、相互に隣接する4つの撮像素子から出力された電子データに基づいて輝度Yおよび色差Crおよび色差Cbが算出される。輝度Yを算出するための式は、以下のとおりである。
輝度Y={(Mg+Cy)+(G+Ye)}/4 (1)
上記の式(1)に含まれているMg、Cy、G、Yeは隣接する4つの画素から出力される電子データ、例えば階調の大きさである。すなわち、所定の色成分であるMg、Cy、GおよびYeから輝度Yは算出される。
(輝度算出手段)
分離手段61により電子データから分離された輝度成分、すなわち隣接する4つの撮像素子から出力された電子データは色強度算出手段62により輝度Yが算出される。色強度算出手段62は、上記の式(1)に基づいて輝度Yを算出する(S102)。
(フィルタ情報選択手段)
フィルタ情報選択手段63は、色強度算出手段62により算出された輝度Yに基づいて平滑化強度σを算出する。そして、フィルタ情報選択手段63は算出された平滑化強度σから記録部30のフラッシュメモリ32に記録されているフィルタ情報を選択する。このフィルタ情報は、輝度Yに対応して複数用意されている。
フィルタ選択の手順は以下のとおりである。フィルタ情報選択手段63は、輝度Yに基づいて平滑化強度σを算出する(S103)。平滑化強度σは、以下の式(A)により算出される。aは比例定数であり、平滑化強度の最大値を決定する。bはオフセット値であり、平滑化強度の最小値を決定する。本実施例のように、平滑化範囲が注目画素を中心とした5×5の範囲である場合、0.5<b<a<10であることが望ましい。また、eは自然対数、nはノイズ量が最大となる輝度である。本実施例では、n=50に設定している。
Figure 0004306687
上記の式(A)は、輝度Yとノイズの量との関係により近似されている。画像入力手段20を用いて入力された画像について輝度Yとノイズの量Nとの関係を調べると、輝度Yが高輝度から低輝度になるにしたがって大きくなり、ある輝度nでノイズ量が最大となる。そして、輝度Yが0に近づくと再びノイズの量Nは小さくなるという傾向がある。すなわち、ノイズの量Nは輝度Yに依存していることとなる。このノイズの量Nと輝度Yとを近似したものが上記の式(A)であり、これをグラフ化したものを図5に示している。この近似式である式(A)は処理を実施する装置によって異なる。
したがって、ノイズの分布が多い輝度領域には強い平滑化処理を、ノイズの分布が少ない輝度領域には弱い平滑化処理を行うことにより輝度Yに依存しているノイズを効果的に除去することができる。
平滑化処理に使用する分布式は、ガウス関数に基づいて以下の式(B)のように定義される。式(B)において、σは上記の式(A)により算出される平滑化強度である。また、xおよびyは、図6に示すようにある注目画素Pnの座標を(0,0)、その注目画素Pnを包囲する5×5のマトリクスMにおける座標系(x,y)を示している。マトリクスMとしては、5×5に限らず、3×3、7×7などを使用可能である。例えば、図6の画素P1は(−2,−2)であり、画素P2は(−1,−2)であり、画素P25は(2,2)である。
Figure 0004306687
上記の式(B)に示す平滑化強度σと、式(A)に示す輝度Yとノイズの量Nとの関係とから、以下の式(C)が得られる。
Figure 0004306687
この式(C)により、輝度Yに応じた注目画素Pnの電子データに対応する注目画素Pnの情報の分布δ(x,y)を得ることができる。例えば、平滑化強度σが0.5、1、2、3、4、5、6、9のときには、注目画素Pnを中心とした5×5のマトリクスには式(C)に基づいて図7に示すような分布が作成される。
図7に示す各フィルタ情報のマトリクスに記載されている数値は、注目画素Pnの電子データがその注目画素Pnから5×5のマトリクスを構成する他の画素へ分散される割合である。各フィルタ情報の右下に示されている数値は、マトリクスに記載された数値の総和を示している。すなわち、注目画素Pnから5×5のマトリクスを構成する他の画素へ情報が分散される割合は各マトリクスの数値/総和である。
図7からは平滑化強度σが大きくなるにつれて、注目画素Pnを中心としたマトリクスに加えられる平滑化処理は平均化されることが分かる。すなわち、注目画素Pnの電子データは5×5のマトリクスを構成する他の画素へ平均的に分散されることを示している。
本実施例の場合、算出した平滑化強度σにより画素ごとに平滑化強度の分布を算出するのではなく、あらかじめ平滑化強度σに対応してフィルタ情報が作成されている。そして、このフィルタ情報はフラッシュメモリ32に記録されている。
したがって、フィルタ情報選択手段63は、注目画素Pnについて色強度算出手段62により算出された輝度Yから式(A)に基づいて平滑化強度σを算出し、その平滑化強度σに対応するフィルタ情報を選択してフラッシュメモリ32から読み出す。例えば、式(A)に基づいて色強度算出手段62が算出した平滑化強度σが2であった場合、図7に示すσ=2のフィルタ情報が選択されフラッシュメモリ32から読み出される(S104)。
(平滑化処理手段)
フィルタ情報選択手段63によりフィルタ情報が選択されると、注目画素Pnから出力された電子データと選択されたフィルタ情報とから平滑化処理が実行される(S105)。平滑化処理は、ある注目画素Pnから出力された電子データの生データにフィルタ情報の数値を乗ずることにより実行される。
例えば、注目画素Pnから出力される電子データから平滑化強度σが算出され、その平滑化強度σが2であった場合、フィルタ情報選択手段63により図8に示すようなフィルタ情報80が選択される。そして、注目画素Pnから出力される電子データの生データに図8に示すフィルタ情報の数値(マトリクスの数値/総和)を乗ずることにより、注目画素Pnの情報はその注目画素Pnを中心とする5×5のマトリクスの全画素に分散される。注目画素Pnの情報がマトリクスの全画素に分散されることにより、注目画素Pnの電子データに平滑化処理が行われる。
この平滑化処理を画像を構成する全ての画素すなわちCCD22のすべての画素について実施する。平滑化処理は1つの画素について周囲24個の画素において実施されるので、1つの画素ごとに25回の平滑化処理が実施される。周囲の各画素について実施された平滑化処理の総和が平滑化処理後の電子データとなる。また、平滑化処理は輝度Y、色差Crおよび色差Cbについてそれぞれ実施される。
(書き込み手段)
平滑化処理手段64により平滑化処理が完了すると、処理を完了した電子データは書き込み手段65によりRAM31に書き込まれる(S106)。
書き込み手段65により1画像分の電子データがRAM31へ書き込まれると、RAM31に記憶されている電子データはフラッシュメモリ32へ記録されるデータ量を低減するために圧縮処理される。圧縮形式としては、デジタルカメラ1で撮影した画像の場合、JPEG(Joint Photographic Experts Group)あるいはTIFF(Tagged Image File Format)などのファイル形式が使用される。圧縮された電子データはフラッシュメモリ32に記録される。
(1) デジタルカメラ1の図示しない電源スイッチを「ON」にすると、デジタルカメラ1はいつでも撮影可能な待機状態となる。このとき、CCD22では数分の1秒〜数百分の1秒ごとに集光レンズ21により集光された光が電気信号に変換される。変換された電気信号は、A/D変換器23でデジタルの電子データに変換される。ユーザがファインダーとしてLCD41を使用する場合、A/D変換器23から出力されたデジタルの電子データはVRAM42に転送され、撮影対象が動画としてLCD41に表示される。
(2) ユーザによりシャッターボタン71が作動範囲の途中まで押し込まれた「半押し」状態になると、露光およびフォーカスが設定され固定される。撮影時の露光は、制御部10のCPU11が集光レンズ21の絞りやシャッタスピードすなわちCCD22の電荷蓄積時間を制御することにより変更可能である。デジタルカメラ1のシャッタは、物理的に光を遮る機械的なシャッタ、あるいはCCD22の電荷蓄積時間を制御する電子シャッタの一方または両方が使用される。
(3) ユーザによりシャッターボタン71が作動範囲の限界まで押し込まれた「全押し」状態となると、以下のような処理が行われる。まず、被写体に対し正確な測光、焦点合わせなどを行う。測光、焦点合わせが完了すると、CCD22に蓄積されている電荷が一端すべて放電され、その後集光レンズ41により被写体からの光がCCD22へ入射し、CCD22は入射した光の光量に応じた電荷の量に基づいて電気信号を出力する。
(4) CCD22から出力された電気信号はA/D変換器23によりデジタルの電子データに変換される。デジタルの電子データは、高速化のためDMA(Direct Memory Access)により制御部10のCPU11を介さずに直接RAM31のアドレスを指定して一時的に記憶される。
(5) RAM31に記憶された電子データは処理回路60により上述の処理が実施されたあと、適切なカラー画像の電子データとして生成される。そしてフラッシュメモリ32への記録枚数を増加させるために、JPEGなどのファイル形式の電子データに圧縮される。
(6) 電子データの圧縮が完了すると、電子データはRAM31からフラッシュメモリ32へ複製され記録される。
以上説明したように、本発明の第1実施例によるデジタルカメラ1によると、画像入力手段20から出力された電子データに含まれる輝度Yから平滑化強度σを算出している。平滑化強度σから算出されるフィルタ情報は、あらかじめフラッシュメモリ32に記録されている。そのため、算出された平滑化強度σからフィルタ情報を選択し読み出すことにより、平滑化強度σが算出されるたびにフィルタ情報を作成する必要がない。平滑化強度σは輝度Yに応じて輝度Yが高いときには弱くなるように、輝度Yが低いときは強くなるように設定されている。そのため、ノイズが目立ちやすい輝度Yが低い部分では平滑化強度を高めることができる。したがって、ノイズの少ない輝度Yが高い部分のノイズが強調されることなく、輝度Yの低い部分のノイズを集中的に除去することができる。
また、輝度成分の分離から平滑化処理を完了した電子データのフラッシュメモリ32への記録までを専用の処理回路60によりCPU11によらずパイプライン処理を実施している。したがって、電子データの処理を迅速に実行することができる。
(第2実施例)
本発明の第2実施例によるデジタルカメラの処理回路90を図9、ならびに処理の手順を図10に示す。第1実施例と実質的に同一の構成部位または手順については説明を省略する。
第2実施例は、輝度Yを算出するごとにフィルタ情報を作成する点で第1実施例と異なる。
図9に示すように、第2実施例によるデジタルカメラの処理回路90は、分離手段91、色強度算出手段92、フィルタ情報作成手段93、平滑化手段94および書き込み手段95を備えている。
分離手段91および色強度算出手段92は第1実施例と同様である。フィルタ情報作成手段93は、色強度算出手段92により算出された輝度Yに基づいて第1実施例で説明した式(A)から平滑化強度σが算出され、式(C)からフィルタ情報が作成される。すなわち、画像の各画素から出力される電子データに含まれる輝度Yが分離されるごとに、各画素についてフィルタ情報が作成されることになる。
第2実施例では、CCD22から出力された電子データから輝度成分を分離し(S201)、分離された輝度成分から輝度Yを算出する手順は(S202)、第1実施例と同様である。第2実施例では、算出された輝度Yに基づいて、フィルタ情報作成手段93により平滑化強度σが算出され(S203)、フィルタ情報が作成される(S204)。平滑化手段94は、フィルタ情報作成手段93により作成されたフィルタ情報に基づいて、画素から出力された電子データを平滑化処理する(S205)。平滑化処理された電子データは、書き込み手段95により記録部30のRAM31へ記録される。
第2実施例では、画素から輝度Yが算出されるごとに各画素に対応したフィルタ情報が作成される。そのため、より効果的にノイズの除去を実施することができる。
以上、本発明の複数の実施例では、補色フィルタを有するCCDにおいて所定の色成分として輝度を用いる場合について説明した。しかし、補色フィルタに限らず例えばRGBの原色フィルタを用いることも可能であり、原色フィルタを用いる場合は、輝度にかわってR、G、Bのいずれかの色成分の強度から平滑化強度を算出することも可能である。また、補色フィルタの場合でも、輝度に限らず所定の色成分の強度から平滑化強度を算出してもよい。
また、本発明の複数の実施例では、256階調のカラー画像の例について説明したが、1024階調のカラー画像、4096階調のカラー画像、グレースケールの画像、または2値のモノクロ画像などを入力画像とすることができる。
本発明の複数の実施例では画像処理装置としてデジタルカメラに適用したが、デジタルカメラに限らずスキャナや複写機などの画像読み取り装置による画像処理、あるいはプリンタのドライバなどのソフトウェアによる画像処理に本発明を適用することができる。
本発明の第1実施例による画像処理方法の流れを示すフロー図。 本発明の第1実施例によるデジタルカメラを示すブロック図。 本発明の第1実施例によるデジタルカメラの処理回路を示すブロック図。 本発明の第1実施例によるデジタルカメラのCCDを示す模式図。 明るさとノイズとの関係を示す図。 本発明の第1実施例による画像処理方法を説明するために注目画素を中心とした5×5のマトリクスを示す模式図。 本発明の第1実施例による画像処理方法において、平滑化強度によって決定されるフィルタ情報を示す模式図。 平滑化強度σ=2のときのフィルタ情報を示す模式図。 本発明の第2実施例によるデジタルカメラの処理回路を示す図。 本発明の第2実施例による画像処理方法の流れを示すフロー図。

Claims (3)

  1. 入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去する画像処理方法であって、
    注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出段階と、
    前記輝度算出段階で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化段階とを含み、
    前記平滑化段階は、
    前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成段階と、
    前記分布式作成段階で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出段階と、
    前記雑音最大輝度算出段階で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出段階と、
    前記平滑化強度算出段階で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配段階とを含み、
    前記分配段階において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強く設定されていることを特徴とする画像処理方法。
  2. 入力手段から入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去するための処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、
    前記入力手段から入力された画像を構成する複数の画素のうち、注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出手順と、
    前記輝度算出手順で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化手順とを含み、
    前記平滑化手順は、
    前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成手順と、
    前記分布式作成手順で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出手順と、
    前記雑音最大輝度算出手順で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出手順と、
    前記平滑化強度算出手順で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配手順とを含み、
    前記分配手順において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強く設定することを特徴とする画像処理プログラム。
  3. 画像情報が入力され、前記画像情報を電子データとして出力可能な画像入力手段と、
    前記画像入力手段から入力された画像の電子データを平滑化し、前記電子データに含まれる雑音を除去する雑音処理手段とを備える画像処理装置であって、
    前記画像入力手段から入力された画像を構成する複数の画素のうち、注目画素、ならびに前記注目画素を中心としたマトリクスを構成する周囲の画素から出力される複数の色成分を用いて輝度Yを算出する輝度算出手段と、
    前記輝度算出手段で算出された輝度Yに基づいて算出した平滑化強度σを用いて、前記画像の電子データを平滑化する平滑化手段とを備え、
    前記平滑化手段は、
    前記輝度Yに対する前記画像に含まれる雑音の分布式を作成する分布式作成手段と、
    前記分布式作成手段で作成した前記分布式から、前記画像に含まれる雑音が最大となる輝度nを算出する雑音最大輝度算出手段と、
    前記雑音最大輝度算出手段で算出した輝度nに基づいて、前記平滑化強度σを算出する平滑化強度算出手段と、
    前記平滑化強度算出手段で算出した平滑化強度σに基づいて、前記注目画素の複数の色成分を、前記マトリクスを構成する周囲の画素の各色成分に分配する分配手段とを有し、
    前記分配手段において前記注目画素から周囲の画素に分配される複数の色成分の強さは、前記輝度Yの大きさによって変化し、前記輝度Yに対応するノイズ量が小さいときは弱く、前記ノイズ量が大きいときは強いことを特徴とする画像処理装置。



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