JP4306348B2 - 機能性デバイスの製造方法、インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの基板を接合して得られる機能性デバイスの製造方法、及びインクジェット記録ヘッドの製造方法、並びに、それにより得られたインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機能性デバイスの製造方法は、多種多様な方法が提案されているが、大量生産、低コスト化、品質安定化において有用な方法として、大面積基板で多数のデバイスチップを形成し、切断分離する方法が考えられている。特に、2枚のSiウエハを貼り合わせてダイシングすることにより、多数の均一なインクジェットヘッドを獲得する製造方法は、大量生産、低コスト化、品質安定化において有用な方法である。このような製造方法は、例えば特開昭61−230954号公報、特開平1−166965号公報などに記載されている。
【0003】
インクジェット記録ヘッドの製造方法に共通な技術として、ダイシング(切削加工)を用い、インクジェット記録ヘッドの切り出しを行っている。このとき、多くのインクジェット記録ヘッドの構造では、ダイシングによりインク液噴射方向性に大きく影響するノズル面を加工/形成すると同時に、噴射特性、特にインク液体積に大きく影響するインク流路長さが決定されることとなる。そのため、ダイシングの方法にも種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特開昭60−196354号公報に記載されている技術では、ヘッドの構成材料に合わせて、切削工程を2段階以上に分けて実施している。また、特開平2−184451号公報には、ダイシングで用いるブレードの径と回転速度で決定される周速を一定以上として、ダイシングを実施する方法が記載されている。特開平5−57897号公報には、基板接合前にノズル口となる部分に溝入れを行っておき、その後に基板を接合して溝部で分離を行う方法が記載されている。特開平4−234666号公報には、ノズル口部分の樹脂層部をあらかじめパターンエッチングした後に、樹脂層部以外のノズル口となる部分に溝入れを行い、その後に基板を接合し、溝部で分離を行う方法が記載されている。これらの技術は、ノズル口の欠けがなく、寸法精度の良いヘッドを経済的に作製しようというものである。
【0005】
一方、インクジェットヘッド以外の加工技術では特開平3−281170号公報、特開平4−257405号公報などに記載されているように、被切断の近傍にドレス材を固定し、切断しながら切断ブレードをドレス(目立て)することによって、常時、高切断品質を達成しようというものが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−230954号公報
【特許文献2】
特開平1−166965号公報
【特許文献3】
特開昭60−196354号公報
【特許文献4】
特開平2−184451号公報
【特許文献5】
特開平5−57897号公報
【特許文献6】
特開平4−234666号公報
【特許文献7】
特開平3−281170号公報
【特許文献8】
特開平4−257405号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、インクジェット記録ヘッドのダイシング加工は、上述のようにインク流路長やノズル口の形状に影響するため、精度よく加工できるブレードが用いられる。用いるブレードとしては、極細径のダイヤモンドをレジン(樹脂)でコーティングしたレジンブレードが一般的に用いられている。しかし、このレジンブレードは軟質であり、切削加工中に次第に変形し、切削位置に誤差を生じるようになる。
【0008】
また、上述の特開昭60−196354号公報に記載されている技術では、単に複数回に分けて切削を行うだけであるので、高品質の吐出口を得るために軟質なレジンブレードを用いると、多数ラインの切削工程にわたり切削位置を高精度に保つことができない。また、特開平5−57897号公報に記載されている技術では、高品質、高精度の切削が達成できるが、2枚の基板を精度よく接着しないと、吐出口の上部または下部がずれてしまい、インクの吐出方向に影響が出てしまう。特に600dpiといった高密度化ヘッドにおいては、この影響が問題となるので技術的に課題が残る。
【0009】
また、上述の特開平4−234666号公報、特開平4−234667公報に示されたノズル口部分の樹脂層部をあらかじめパターンエッチングした後に、樹脂層部以外のノズル口周囲となる部分をダイシングする方法では、樹脂層部分の切削がないのでブレードの目詰まりがなく、かつ、樹脂層部での切削によるバリがなく、良好な吐出口が得られる。しかし、吐出口部でパターンエッチングされた樹脂層の端部と、切削によって形成された基板端との間には、ダイシング位置精度に対応するずれが生じ、吐出口部に樹脂層の厚さだけの段差が発生する。この段差は、特に600dpiといった高密度化ヘッドにおいては問題であり、ダイシング位置精度に課題が残る。
【0010】
また、上述の特開平2−184451号公報に記載されている技術では、ブレードの周速を規定することにより、初期においては高品質の吐出口が得られる。しかし、多数のヘッドをダイシングにより取得する場合には、上述のようにレジンブレードが次第に変形し、後半での品質や精度が低下するという問題がある。また、品質を達成する条件は、切り込み深さと送り速度、及び研削水の供給が大きく関係しており、ブレードの周速だけで規定することは困難である。
【0011】
また、インクジェットヘッド以外の加工技術としての、特開平3−281170号公報、特開平4−257405号公報などに記載されている技術では、常時、高切断品質を達成できるが、これらの加工技術では、ドレス材を被切削物と同時に固定しなければならず、作業性やコストの面で問題がある。
【0012】
従って、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、簡単に、しかも精度よく切断加工を行い、品質を向上させることができる機能性デバイス機能性デバイスの製造方法、及びインクジェット記録ヘッドの製造方法、並びに、それにより得られたインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の機能性デバイスの製造方法は、第1のシリコン単結晶基板と、第2のシリコン単結晶基板と、前記第1及び2のシリコン単結晶基板間に設けられた機能性デバイス構成部を備えた積層体を切断する切断工程を有し、
前記切断工程は、前記第1のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第1切削工程と、前記機能性デバイス構成部近傍を、エッチングにより除去するエッチング工程と、前記第2のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第2切削工程と、を有することを特徴としている。
【0014】
ここで、エッチング工程における機能性デバイス構成部近傍とは、第1切削工程及び第2切削工程によって残存する領域を示す。逆を言えば、第1切削工程及び第2切削工程における所望の深さとは、エッチング除去による機能性デバイス構成部を残存させるように切削するまでの深さを示す。
【0015】
本発明の機能性デバイスの製造方法では、寸法精度が要求される機能性デバイス構成部近傍の切断領域を、例えばドライエッチングなどのエッチング処理により除去し、その他の切断領域を例えば回転切削刃による切削処理により、切断工程を行う。このため、簡易に、機能性デバイス構成部近傍の切断箇所が、高精度に寸法制御され、例えばLSI工程のルールであるサブミクロンレベルの寸法精度で切断することができる。
【0016】
一方、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、有機膜に被覆された加熱素子構造体が設けられた第1のシリコン単結晶基板と、インク流路形成用溝が設けられた第2のシリコン単結晶基板と、を接合した積層体を、インク吐出口面を形成すると共に切断する切断工程を有し、
前記切断工程が、前記第1のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第1切削工程と、前記インク吐出口面が形成される近傍を、ドライエッチングにより除去するエッチング工程と、前記第2のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第2切削工程と、を有することを特徴としている。
【0017】
ここで、上記同様に、エッチング工程におけるインク吐出口面が形成される近傍とは、第1切削工程及び第2切削工程によって残存する領域を示す。逆を言えば、第1切削工程及び第2切削工程における所望の深さとは、エッチング除去によるインク吐出口面形成部を残存させるように切削するまでの深さを示す。
【0018】
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、寸法精度が要求されるインク吐出口面近傍の切断領域を、例えばドライエッチングなどのエッチング処理により除去し、その他の切断領域を例えば回転切削刃による切削処理により、切断工程を行う。このため、簡易に、インク吐出口面近傍の切断箇所が、高精度に寸法制御され、例えばLSI工程のルールであるサブミクロンレベルの寸法精度で切断することができる。
【0019】
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法において、エッチング工程は、前記第1切削工程後に残った前記第1のシリコン単結晶基板を、当該基板側からエッチングにより除去する第1エッチング工程と、前記有機膜を、エッチングにより除去する第2エッチング工程と、前記第2のシリコン単結晶基板を、前記第1のシリコン単結晶基板側からエッチングにより所定の深さまで除去する第3エッチング工程と、を有することがよい。
【0020】
まず、上記第1切削工程において、第1のシリコン単結晶基板を所望の深さまで切削し、同じ第1のシリコン単結晶基板側からその残り部分を第1エッチング工程で除去する。そして、第2エッチング工程により有機膜を除去する。そして、第3エッチング工程により、第2のシリコン単結晶基板を所望の深さ、即ち、インク吐出口面が形成されるまでエッチングする。このようにエッチング処理を行うことで、確実にインク吐出口面が寸法精度よく形成されると共に、積層体を切断することができる。
【0021】
この場合、前記第1のシリコン単結晶基板には、前記有機膜を除去する前記第2エッチング工程を施すためのマスクが設けられていることがよい。当該マスクを設けておくことで、有機膜のエッチングの際の寸法精度をさらに向上させることができる。
【0022】
ここで、まず、第1切削工程を行った後、エッチング工程は、上記第2エッチング工程よりも先に行い、最後に上記第2工程を行うことがよい。エッチング工程を最後に行うと、エッチング処理装置内で、切断分割されてしまうことになり、分割されたヘッドの取り扱いが困難となることがあるためである。
【0023】
また、前記第1及び2のシリコン単結晶基板のいずれかの面には、前記エッチング工程を施すためのマスクが形成されていることが好適である。
【0024】
また、前記エッチング工程は、ドライエッチングにより行われることが、より簡易に、寸法精度が向上するため好適である。
【0025】
また、前記ドライエッチングに、フロン系のガスを用いることが好適である。この前記フロン系のガスとしては、C4F8、C2F6、CF4、及びCHF3より選択される少なくとも1種であることが好適である。
【0026】
また、前記エッチング工程により除去された端面に、撥水処理を施すことが好適である。特に、インクジェット記録ヘッドの場合、インク吐出口面周辺が、撥水処理を施しておくことで、インク吐出特性が安定するため好適である。
【0027】
このような撥水処理は、例えば、上記ドライエッチング処理においてフロン系のガスを用いると容易に実施可能である。
【0028】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、上記本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法により得られたことを特徴としている。
【0029】
また、本発明のインクジェット記録装置は、上記本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法により得られたインクジェット記録ヘッドを備えることを特徴としている。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の機能性デバイスの製造方法として、インクジェット記録ヘッドの製造方法を例にして詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面通して同じ符号を付し、場合によって説明を省略することがある。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す工程図である。図2は、インクジェット記録ヘッドの切断時におけるウエハの一例を示す拡大断面図である。図3は、本発明の実施の形態により得られたインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0032】
図中、1はヒーターウエハ(第1のシリコン単結晶基板)、2はチャネルウエハ(第2のシリコン単結晶基板)、3a、3bはヘッドチップ、4は樹脂層(有機樹脂膜)、5aは切削位置、5bは切断位置、11はヒータ、12はピット、13はインク溜め、14はインク流路、15はボンディングパッド、20は裏面レジスト層、21はシリコン酸化膜である。なお、本実施形態では、機能性デバイス構成部は、樹脂層4、ヒータ11、ピット12、インク溜め13、インク流路14、ボンディングパッド15などを含む、インクを吐出するための機能する構成部を示す。
【0033】
まず、図1(A)の工程において、ヒーターウエハ1を作製する。ヒーターウエハ1はシリコンウエハで構成され、図2に示すように、シリコンウエハ上に、加熱素子構造体として、ヒーターウエハ側のヘッドチップ3aの個数分だけ、ヒータ11、図示しない個別電極と共通電極、ボンディングパッド15、図示しない保護層などをLSI工程により形成する。
【0034】
次に、図1(B)の工程において、感光性または非感光性ポリイミドをスピンコート後、所望パターンを形成し、焼成(Cure)を行って樹脂層4(有機膜)を形成した後、ヒーターウエハ1が完成される。樹脂層4は、図2に示すように、ヒータ11上とボンディングパッド15上には形成されない。ヒータ11上の凹部は、ヒータ11で発生するバブルの形状を規制するためのピット12となる。ヒーターウエハ1には上述の工程中にアライメントマークも形成される。
【0035】
そして、図1(C)の工程においては、チャネルウエハ2を作製する。チャネルウエハ2もシリコンウエハで構成され、図2に示すように、ヒーターウエハ1上のヒータに対応する。インク流路14、インク溜め13等が異方性エッチングなどにより形成される。また、ボンディングパッド15に対応する部分にも凹部が形成される。さらに、図示しないがアライメントマークも形成される。これによりチャネルウエハ2が完成する。
【0036】
その後、図1(E)の工程においては、図1(A)、(B)の工程で作製されたヒーターウエハ1と、図1(C)の工程で作製されたチャネルウエハ2と、をアライメントし、接合した積層体を作製する。アライメントは、各々のウエハの接着面側にあらかじめパターニングされたアライメントマークを用いて行われ、例えば赤外線顕微鏡を用いて観察しながらアライメント装置によって高精度に達成される。2枚のウエハはアライメントし接合した後、焼成(Cure)される。
【0037】
そして、図1(F)の工程において、積層体を切断して、各ヘッドチップ3を分離する切断工程を行う。この切断工程は、ヒーターウエハ1上に設けられたボンディングパッド15を露出させるため、切削位置5aでチャネルウエハ2を切削する切削工程と、図1(E)で接合された2枚のウエハを切断すると共にインク吐出口面を形成し、流路長を規定するために、切断位置5bで切断工程と、を行う。図2には、切断工程で除去される部分をその工程ごとにパターンを分けて示している(31〜35)。
【0038】
まず、ヒーターウエハ1の裏面からダイシングによって所定の深さまで切削し、ダイシングエリア31を除去する(第1切削工程)。この切削工程では、ヒーターウエハ1を、例えば、ヒーターウエハ1の厚み方向中心部よりもチャネルウエハ2との接合面側に達すると共に、ヒーターウエハ1を残存させる深さまで切削させる。これによりヒーターウエハ1の切断部のほとんどを切削することになる。
【0039】
そして、次のようにしてドライエッチングによりインク吐出口面近傍を除去する(エッチング工程)。ヒーターウエハ1の裏面から、上記ダイシングで切削せず残したシリコン部分(ウエハ部分)、即ちエッチングエリア32をドライエッチングにより除去する(第1エッチング工程)。
【0040】
ここで、エッチングエリア32のエッチングは、予めヒーターウエハ1の裏面には裏面レジスト層20が形成されているので、これをマスクとして行う。また、ヒーターウエハ1の表面には樹脂層4が形成されており、これがシリコンエッチングのストップ層となる。
【0041】
次に、ヒーターウエハ1の表面に形成された樹脂層4、即ちエッチングエリア33をドライエッチングにより除去する(第2エッチング工程)。
【0042】
ここで、エッチングエリア33のドライエッチングには、やはり予めヒーターウエハ1の表面にLSI工程により形成しているシリコン酸化膜21をマスクとしているので、より効果的にサブミクロンオーダーの寸法精度が実現される。また、エッチングエリア33のエッチングはチャネルウエハ2のシリコンがストップ層となり、終了する。
【0043】
そして、チャネルウエハ2を所定の深さまで、即ちエッチングエリア34をドライエッチングにより除去すると共に、インク吐出口面を形成する(第3エッチング工程)。このエッチング工程では、チャネルウエハ2を、少なくともインク吐出口面が形成される深さまでエッチング除去させる。
【0044】
ここで、エッチングエリア34のエッチングでは、インク吐出口面を形成すると共に、流路長を規定することになる。これは、やはり樹脂層4のエッチングの場合と同様に、シリコン酸化膜21をマスクとしているので、より効果的にサブミクロンオーダーの寸法精度が実現される。また、このエッチングは、インク吐出口面を形成すると共に、ダイシングで制御できる数10μmの深さまで到達したところで、タイムエッチで終了させる。
【0045】
最後にチャネルウエハ2の裏面からダイシングを行うことにより、ダイシングエリア35を除去して、個々のヘッドチップ3に切断分割される(第2切削工程)。
【0046】
なお、本実施形態では、エッチングエリア32及びエッチングエリア34で実施するシリコン(ウエハ)のドライエッチングは、フロン系ガス(例えば、C4F8、C2F6、CF4、及びCHF3より選択される少なくとも1種))を用いたICP装置にて実施した。また、エッチングエリア33で実施する樹脂層4(有機膜)のドライエッチングはO2ガスを用いたRIE装置にて実施した。
【0047】
そして、切断分割されたヘッドチップ3は、図3に示すように、固定用基板18上にダイボンディングされ、固定用基板18上の図示しないプリント配線上の図示しないプリント配線基板上のボンディングパッド16とヒーターウエハ1上のボンディングパッド15とが、ボンディングワイヤ19により電気的接続がなされる。以後、必要に応じてシーリングやジョイント等の接続を行うことでインクジェット記録ヘッドが完成する。なお、図2中、16はボンディングパッド、17は吐出口、18は固定用基板、19はボンディングワイヤである。
【0048】
このように、本実施形態では、ヘッドチップ3を得るための切断工程を、インク吐出口面近傍領域(エッチングエリア32〜34)を形成する切断工程を、ドライエッチングによりエッチングし、その他の領域(ダイシングエリア31、34)を回転切削刃を使用したダイシングすることで、インク流路長を規定する部分(インク吐出口面)をサブミクロンオーダーの精度を持って加工できるので、インクジェットの吐出安定性が格段に向上する。
【0049】
また、本実施形態では、インク吐出口面近傍をドライエッチングで加工するため、従来のダイシング工程で発生し、問題となっていた欠けやバリが抑制できるため、切断工程後の洗浄工程を削除でき、インク吐出方向性が向上する。
【0050】
また、インク吐出口面近傍は後工程で撥水処理を施すことがインク吐出特性が安定することから好ましいが、本実施形態では、インク吐出口面近傍のドライエッチングにフロン系のガスを用いるため、エッチング端面が撥水加工されるので、従来後工程にて実施していた表面処理工程が削除できる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるわけではなく、例えば、エッチングのマスク材料やエッチングの手法などは、様々な方法を適用することができる。
【0052】
また、インクジェット記録ヘッドの構造も上記構造に限らず、種々の構造のインクジェット記録ヘッドの製造方法に適用することができる。
【0053】
また、インクジェット記録ヘッドの製造方法に限られず、例えば、ダイシング面に微細な精度を要求するダイシング工程を用いる、言い換えればダイシングとデバイス加工を兼ね備えた工程とするマイクロマシン関連デバイスを中心とする機能性デバイス全般の製造方法に適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、精度よく切断加工を行い、品質を向上させることができるという、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットヘッドの作製方法の一実施例を示す工程図である。
【図2】ヘッドの切断、及び切断分離工程時におけるウエハの一例を示す拡大工程図である。
【図3】インクジェットヘッドの一例の説明図である。
【符号の説明】
1 ヒーターウエハ(第1のシリコン単結晶基板)
2 チャネルウエハ(第2のシリコン単結晶基板)
3、3a、3b ヘッドチップ
4 樹脂層(有機膜)
5a 切削位置
5b 切断位置
11 ヒータ
12 ピット
14 インク流路
15、16 ボンディングパッド
18 固定用基板
19 ボンディングワイヤ
20 裏面レジスト層(マスク)
21 シリコン酸化膜(マスク)
31、35 ダイシングエリア
32〜34 エッチングエリア
Claims (16)
- 第1のシリコン単結晶基板と、第2のシリコン単結晶基板と、前記第1及び2のシリコン単結晶基板間に設けられた機能性デバイス構成部を備えた積層体を切断する切断工程を有する機能性デバイスの製造方法であって、
前記切断工程は、
前記第1のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第1切削工程と、
前記機能性デバイス構成部近傍を、エッチングにより除去するエッチング工程と、
前記第2のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第2切削工程と、
を有することを特徴とする機能性デバイスの製造方法。 - 前記第1及び2のシリコン単結晶基板のいずれかの面には、前記エッチング工程を施すためのマスクが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の機能性デバイスの製造方法。
- 前記エッチング工程は、ドライエッチングにより行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性デバイスの製造方法。
- 前記ドライエッチングに、フロン系のガスを用いることを特徴とする請求項3に記載の機能性デバイスの製造方法。
- 前記フロン系のガスはC4F8、C2F6、CF4、及びCHF3より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載の機能性デバイスの製造方法。
- 前記エッチング工程により除去された端面に、撥水処理を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の機能性デバイスの製造方法。
- 有機膜に被覆された加熱素子構造体が設けられた第1のシリコン単結晶基板と、インク流路形成用溝が設けられた第2のシリコン単結晶基板と、を接合した積層体を、インク吐出口面を形成すると共に切断する切断工程を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記切断工程が、
前記第1のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第1切削工程と、
前記インク吐出口面が形成される近傍を、ドライエッチングにより除去するエッチング工程と、
前記第2のシリコン単結晶基板を、当該基板側から所定の深さまで切削する第2切削工程と、
を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。 - 前記エッチング工程は、
前記第1切削工程後に残った前記第1のシリコン単結晶基板を、当該基板側からエッチングにより除去する第1エッチング工程と、
前記有機膜を、エッチングにより除去する第2エッチング工程と、
前記第2のシリコン単結晶基板を、前記第1のシリコン単結晶基板側からエッチングにより所定の深さまで除去する第3エッチング工程と、
を有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。 - 前記第1のシリコン単結晶基板には、前記有機膜を除去する前記第2エッチング工程を施すためのマスクが設けられていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記第1及び2のシリコン単結晶基板のいずれかの面には、前記エッチング工程を施すためのマスクが設けられていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記エッチング工程は、ドライエッチングにより行われることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記ドライエッチングに、フロン系のガスを用いることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記フロン系のガスはC4F8、C2F6、CF4、及びCHF3より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記エッチング工程により除去された端面に、撥水処理を施すことを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 請求項7〜14のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法により得られたことを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項7〜14のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法により得られたインクジェット記録ヘッドを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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