JP4306319B2 - 感光性組成物および感光性平版印刷版 - Google Patents

感光性組成物および感光性平版印刷版 Download PDF

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  • Materials For Photolithography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性組成物および感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザーでデジタルデータを記録するCTP用版材においては、記録時間短縮の為、高感度であることが求められている。また、新聞印刷や、広告等の商業印刷をはじめとし、多くの印刷分野において、耐刷力のある版材が求められている。
【0003】
高感度化を達成する為に、光ラジカル重合を利用する手段が古くから検討されており、光重合開始剤としてトリクロロメチル基を有する、s−トリアジン化合物を使用することが提案された(例えば、特許文献1、2、3参照。)が、感度が不十分であった。
【0004】
光重合開始剤として鉄アレーン錯体化合物と過酸化物を使用することが提案された(例えば、特許文献4参照。)が、感度が不十分であった。
【0005】
光重合開始剤としてモノアルキルトリアリールボレート化合物を使用することが提案された(例えば、特許文献5、6、7参照。)が、感度が不十分であった。
【0006】
光重合開始剤としてチタノセン化合物を使用することが提案された(例えば、特許文献8、9参照。)が、感度が不十分であった。
【0007】
モノマー(付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体)構造中に、3級アミノ基を導入し、トリハロゲン化メチル−s−トリアジン化合物等を併用する技術が提案され(例えば、特許文献10参照。)、感度の改善が見られたものの、耐刷力が不十分であった。
【0008】
さらに、3級アミノ基を導入し、トリハロゲン化メチル−s−トリアジン化合物に加え、チタノセン等のメタロセン化合物を併用する技術が提案され(例えば、特許文献11参照。)、感度の改善が見られたものの、耐刷力が不十分であった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭48−36281号公報
【0010】
【特許文献2】
特開昭54−74887号公報
【0011】
【特許文献3】
特開昭64−35548号公報
【0012】
【特許文献4】
特開昭59−219307号公報
【0013】
【特許文献5】
特開昭62−150242号公報
【0014】
【特許文献6】
特開昭62−143044号公報
【0015】
【特許文献7】
特開昭64−35548号公報
【0016】
【特許文献8】
特開昭63−41483号公報
【0017】
【特許文献9】
特開平2−291号公報
【0018】
【特許文献10】
特開平1−105238号公報
【0019】
【特許文献11】
特開平2−127404号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感度、耐刷力が向上した感光性組成物および感光性平版印刷版を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0022】
1.付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物において、該光重合開始剤組成物が、前記一般式(1−1)又は(2−1)で表される構造から選ばれる少なくとも一種のポリハロゲン化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
【0023】
2.付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有することを特徴とする前記1記載の感光性組成物。
【0024】
3.付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールと、ジイソシアネート化合物と、分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物との3者の反応生成物であることを特徴とする前記1記載の感光性組成物。
【0025】
4.光重合開始剤組成物が、チタノセン化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の感光性組成物。
【0026】
5.光重合開始剤組成物が、モノアルキルトリアリールボレート化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の感光性組成物。
【0027】
6.光重合開始剤組成物が、鉄アレーン錯体化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の感光性組成物。
【0028】
7.親水性表面を有する支持体上に、付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物を塗設してなる感光性平版印刷版において、該光重合開始剤組成物が、前記一般式(1−1)又は(2−1)で表される構造から選ばれる少なくとも一種のポリハロゲン化合物を含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
【0029】
8.付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有することを特徴とする前記7記載の感光性平版印刷版。
【0030】
9.付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールと、ジイソシアネート化合物と、分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物との3者の反応生成物であることを特徴とする前記7記載の感光性平版印刷版。
【0031】
10.光重合開始剤組成物が、チタノセン化合物を含有することを特徴とする前記7〜9のいずれか1項記載の感光性平版印刷版。
【0032】
11.光重合開始剤組成物が、モノアルキルトリアリールボレート化合物を含有することを特徴とする前記7〜9のいずれか1項記載の感光性平版印刷版。
【0033】
12.光重合開始剤組成物が、鉄アレーン錯体化合物を含有することを特徴とする前記7〜9のいずれか1項記載の感光性平版印刷版。
【0034】
本発明を更に詳しく説明する。本発明の光重合開始剤組成物は、記一般式(1−1)又は(2−1)で表される構造から選ばれる少なくとも一種のポリハロゲン化合物を含有する。
【0035】
一般式(1−1)の構造で好適に用いられる化合物について詳述する。Rは塩素又は臭素が使用できるが、塩素がより好ましく、ジハロ化合物よりトリハロ化合物の方が、感度/耐刷性の観点で好ましい。
【0036】
またZは含窒素ヘテロ環を完成する原子群を表し、該含窒素ヘテロ環は、エチレンイミン、トリメチレンイミン、カプロラクタム、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、ピリンジン、インドリジン、(イソ)インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、(イソ)キノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ブテリジン、ルマジン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、フェナジン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、アンチリジン、フェノキサジンから選ばれる含窒素ヘテロ環である。
【0040】
【化1】
Figure 0004306319
【0041】
式中、R 及びZは上記を表す。
【0042】
一般式(1−1)で表される構造の具体的としては、下記の化合物を挙げることができる。
【0043】
【化2】
Figure 0004306319
【0044】
一般式(2−1)の構造で好適に用いられる化合物について詳述する。Rは、塩素又は臭素が使用できるが、塩素がより好ましく、ジハロ化合物よりトリハロ化合物の方が、感度/耐刷性の観点で好ましい。
【0045】
またZは含窒素ヘテロ環を完成する原子群を表し、該含窒素ヘテロ環は、エチレンイミン、トリメチレンイミン、カプロラクタム、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、ピリンジン、インドリジン、(イソ)インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、(イソ)キノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ブテリジン、ルマジン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、フェナジン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、アンチリジン、フェノキサジンから選ばれる含窒素ヘテロ環である。
【0049】
【化3】
Figure 0004306319
【0050】
式中、R 及びZは上記を表す。
【0051】
一般式(2−1)で表される構造の具体的として、下記の化合物を挙げることができる。
【0052】
【化4】
Figure 0004306319
【0053】
また、該ポリハロゲン化合物と好ましく併用出来る光重合開始剤類として、チタノセン化合物、モノアルキルトリアリールボレート化合物、鉄アレーン錯体化合物が挙げられる。
【0054】
チタノセン化合物としては、特開昭63−41483号、特開平2−291号に記載される化合物等が挙げられるが、更に好ましい具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ジ−クロライド、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−フェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル(IRUGACURE727L:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(IRUGACURE784:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(2−5−ジメチルピリ−1−イル)フェニル)チタニウム等が挙げられる。
【0055】
モノアルキルトリアリールボレート化合物としては、特開昭62−150242号、特開昭62−143044号に記載される化合物等挙げられるが、更に好ましい具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ブチルートリナフタレン−1−イル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ブチルートリフェニル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ブチルートリ−(4−tert−ブチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ヘキシルートリ−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ヘキシルートリ−(3−フルオロフェニル)−ボレート等が挙げられる。
【0056】
鉄アレーン錯体化合物としては、特開昭59−219307号に記載される化合物等挙げられるが、更に好ましい具体例としては、η−ベンゼン−(η−シクロペンタジエニル)鉄・ヘキサフルオロホスフェート、η−クメン−(η−シクロペンタジエニル)鉄・ヘキサフルオロホスフェート、η−フルオレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄・ヘキサフルオロホスフェート、η−ナフタレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄・ヘキサフルオロホスフェート、η−キシレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄・ヘキサフルオロホスフェート、η−ベンゼン−(η−シクロペンタジエニル)鉄・テトラフルオロボレート等が挙げられる。
【0057】
その他に任意の光重合開始剤の併用が可能である。例えばJ.コーサー(J.Kosar)著「ライト・センシテイブ・システムズ」第5章に記載されるようなカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ並びにジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。更に具体的な化合物は英国特許1,459,563号に開示されている。
【0058】
即ち、併用が可能な光重合開始剤としては、次のようなものを使用することができる。
【0059】
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン−i−プロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−i−プロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体;α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物の他、特公昭59−1281号、同61−9621号ならびに特開昭60−60104号記載のトリアジン誘導体;特開昭59−1504号、同61−243807号記載の有機過酸化物;特公昭43−23684号、同44−6413号、同47−1604号ならびに米国特許3,567,453号記載のジアゾニウム化合物;米国特許2,848,328号、同2,852,379号ならびに同2,940,853号記載の有機アジド化合物;特公昭36−22062b号、同37−13109号、同38−18015号ならびに同45−9610号記載のo−キノンジアジド類;特公昭55−39162号、特開昭59−14023号ならびに「マクロモレキュルス(Macromolecules)」10巻,1307頁(1977年)記載の各種オニウム化合物;特開昭59−142205号記載のアゾ化合物;特開平1−54440号、ヨーロッパ特許109,851号、同126,712号ならびに「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」30巻,174頁(1986年)記載の金属アレン錯体;特開平5−213861号及び同5−255347号記載の(オキソ)スルホニウム有機硼素錯体;「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordination Chemistry Review)」84巻,85〜277頁(1988年)ならびに特開平2−182701号記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体;特開平3−209477号記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;四臭化炭素、特開昭59−107344号記載の有機ハロゲン化合物等。
【0060】
光源にレーザー光を用いる場合、好ましくは感光層に増感色素を添加する。光源の波長付近に吸収極大波長を有する色素を用いることが好ましい。
【0061】
可視光から近赤外まで波長増感させる化合物としては、例えばシアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、クマリン誘導体、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等、ケトアルコールボレート錯体が挙げられ、更に欧州特許568,993号、米国特許4,508,811号、同5,227,227号、特開2001−125255号、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。
【0062】
上記の光重合開始剤と増感色素の組合せの具体例としては、特開2001−125255号、特開平11−271969号に記載のある組合せが挙げられる。
【0063】
これら重合開始剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは、付加重合又は架橋可能な化合物100質量部に対して0.1〜20質量部である。光重合開始剤と増感色素の配合比率は、モル比で1:100〜100:1の範囲が好ましい。
【0064】
これらの本発明に係る付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物には、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。該化合物に限定は無いが、好ましいものとして、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
【0065】
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等が挙げることができ、また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
【0066】
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
【0067】
本発明の感光性組成物には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
【0068】
更に、本発明に併用可能なエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、リン酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
【0069】
その他に、特開昭58−212994号公報、同61−6649号公報、同62−46688号公報、同62−48589号公報、同62−173295号公報、同62−187092号公報、同63−67189号公報、特開平1−244891号公報等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社、p.286〜p.294に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会、p.11〜65に記載の化合物なども本発明においては好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
【0070】
また本発明では、分子内に三級アミノ基を含有する付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体を使用することが好ましい。構造上の限定は特に無いが、水酸基を有する三級アミン化合物を、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド等で変性したものが好ましく用いられる。具体的には、特開平1−165613号、特開平1−203413号、特開平1−197213号記載の集合可能な化合物等が好ましく用いられる。
【0071】
さらに本発明では、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物を使用することが好ましい。
【0072】
ここで言う、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノールアミン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(iso−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオール等が挙げられるが、これに限定されない。
【0073】
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナートメチル−シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これに限定されない。分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物としては、MH−1からMH−13等の化合物等が挙げられるが、これに限定されない。
【0074】
【化5】
Figure 0004306319
【0075】
好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート等が挙げられる。
【0076】
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことが出来る。
【0077】
また、これらの分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
M−1:トリエタノールアミン(1モル)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物
M−2:トリエタノールアミン(1モル)、イソホロンジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3モル)の反応生成物
M−3:N−n−ブチルジエタノ−ルアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−4:N−n−ブチルジエタノ−ルアミン(1モル)、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン(1モル)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(2モル)の反応生成物。
【0078】
この他にも、特開平1−105238号、特開平2−127404号記載の、アクリレートまたはアルキルアクリレートが用いることが出来る。
【0079】
本発明に用いる感光性平版印刷版は、光重合性感光層に高分子結合材を含有する。
【0080】
本発明の高分子結合材としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。また、これらを2種以上併用してもかまわない。
【0081】
好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、またはアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
【0082】
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
【0083】
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
【0084】
さらに、本発明の高分子結合材は、他の共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いる事が出来る。
1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0085】
さらにこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
さらに、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。
【0086】
分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。
【0087】
これらの共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された質量平均分子量が1〜20万であるものが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
【0088】
感光層組成物中における高分子重合体の含有量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましく、20〜50質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
【0089】
更に樹脂の酸価については10〜150の範囲で使用するのが好ましく、30〜120の範囲がより好ましく、50〜90の範囲で使用することが、感光層全体の極性のバランスをとる観点から特に好ましく、これにより感光層塗布液での顔料の凝集を防ぐことができる。
【0090】
【実施例】
実施例1〜32
以下に、合成例、支持体作製例、実施例を具体的に示すが、本発明の実施態様は、これ等に限定されるものでない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
【0091】
(バインダーの合成)
(アクリル系共重合体1の合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、イソプロピルアルコール500部及びα,α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、イソプロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。GPCを用いて測定した質量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
【0092】
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、1.3質量%の塩酸水溶液中で、25℃、電流密度50A/dm2の条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、更に1%ポリビニルホスホン酸で75℃で親水化処理を行って支持体を作製した。
【0093】
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.63μmであった。
(感光性平版印刷版材料の作製)
上記支持体上に、下記組成の光重合性感光層塗工液1を乾燥時1.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥し、光重合感光層塗布試料を得た。
【0094】
(光重合性感光層塗工液1)
付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体 表1、2記載量
重合開始剤 表1、2記載量
分光増感色素 表1、2記載量
アクリル系共重合体1 40.0部
N−フェニルグリシンベンジルエステル 2.0部
2−メルカプトベンゾチアゾール 2.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:御国色素社製) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート
(スミライザーGS:住友3M社製) 0.5部
Decanedioic acid bis−(2,2,6,6−tetramethyl−piperidin−4−yl)ester
(アデカスタブLA−77:旭電化製) 0.1部
弗素系界面活性剤(F−178K;大日本インキ社製) 0.5部
シクロヘキサノン 820部
上記光重合感光層塗布試料上に、下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.8g/m2になるようアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版材料を作製した。
【0095】
(酸素遮断層塗工液1)
ポリビニルアルコール(GL−05:日本合成化学社製) 89部
ポリアミド(P−70:東レ社製) 10部
界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業社製) 0.5部
水 900部
(平版印刷版の評価)
(感度)
感光性平版印刷版材料に、532nmの光源を備えたプレートセッター(タイガーキャット:ECRM社製)を用いて、2400dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)で露光を行った。露光パターンは、100%画像部と、175lpi(lpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりの線数を表す)50%のスクエアードットを使用した。次いで、版材を105度で10秒加熱処理するプレヒート部、現像前にオーバーコート層を除去する前水洗部、下記組成の現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)処理部を備えたCTP自動現像機(PHW23−V:Technigraph社製)で現像処理を行い、平版印刷版を得た。平版印刷版の版面に記録された100%画像部において、膜減りが観察されない最低量の露光エネルギー量を記録エネルギーとし、感度の指標とした。記録エネルギーが小さい程高感度であることを表す。結果は表1、2に示す。
【0096】
(現像液組成(下記添加剤を含有する水溶液))
Aケイ酸カリ 8.0質量%
ニューコールB−13SN:日本乳化剤(株)製 1.0質量%
プロノン#204:日本油脂(株)製 1.0質量%
DAPE−0215:日本エマルジョン(株)製 1.0質量%
苛性カリpH=12.3となる添加量
(耐刷性)
175線の画像を200μJ/cm2で露光、現像して作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(大日本インキ化学工業社製の、大豆油インキ“ナチュラリス100”)及び湿し水(東京インク(株)製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、ハイライト部の点細りの発生する印刷枚数を耐刷性の指標とした。
【0097】
【表1】
Figure 0004306319
【0098】
【表2】
Figure 0004306319
【0099】
【化6】
Figure 0004306319
【0100】
表1、2から本発明の試料は高感度で、かつ耐刷性に優れていることが分かる。
【0101】
実施例33〜53
光重合性感光層塗工液として、付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、重合開始剤、分光増感色素を表2の内容に変えた他は、実施例1から32と同様にして感光性平版印刷版材料を作製した。
【0102】
(平版印刷版の評価)
露光を、408nm、30mW出力のレーザーを備えた光源を備えたプレートセッター(タイガーキャット:ECRM社製改造品)を用い、耐刷性評価時の露光量を80μJ/cm2とした以外は、実施例1と同様にして行った。
【0103】
【表3】
Figure 0004306319
【0104】
表3から本発明の試料は高感度で、かつ耐刷性に優れていることが分かる。
【0105】
【発明の効果】
本発明により、高感度で、かつ耐刷性に優れた感光性組成物及び感光性平版印刷版を提供することができた。

Claims (12)

  1. 付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物において、該光重合開始剤組成物が、下記一般式(1−1)又は(2−1)で表される構造から選ばれる少なくとも一種のポリハロゲン化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 0004306319
    Figure 0004306319
    (式中、Rは、塩素又は臭素を表し、Zは含窒素ヘテロ環を完成する原子群を表し、該含窒素ヘテロ環は、エチレンイミン、トリメチレンイミン、カプロラクタム、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、ピリンジン、インドリジン、(イソ)インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、(イソ)キノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ブテリジン、ルマジン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、フェナジン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、アンチリジン、フェノキサジンから選ばれる含窒素ヘテロ環である。)
  2. 付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性組成物。
  3. 付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールと、ジイソシアネート化合物と、分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物との3者の反応生成物であることを特徴とする請求項1記載の感光性組成物。
  4. 光重合開始剤組成物が、チタノセン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の感光性組成物。
  5. 光重合開始剤組成物が、モノアルキルトリアリールボレート化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の感光性組成物。
  6. 光重合開始剤組成物が、鉄アレーン錯体化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の感光性組成物。
  7. 親水性表面を有する支持体上に、付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物を塗設してなる感光性平版印刷版において、該光重合開始剤組成物が、請求項1に記載の一般式(1−1)又は(2−1)で表される構造から選ばれる少なくとも一種のポリハロゲン化合物を含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
  8. 付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有することを特徴とする請求項7記載の感光性平版印刷版。
  9. 付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールと、ジイソシアネート化合物と、分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物との3者の反応生成物であることを特徴とする請求項7記載の感光性平版印刷版。
  10. 光重合開始剤組成物が、チタノセン化合物を含有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の感光性平版印刷版。
  11. 光重合開始剤組成物が、モノアルキルトリアリールボレート化合物を含有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の感光性平版印刷版。
  12. 光重合開始剤組成物が、鉄アレーン錯体化合物を含有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の感光性平版印刷版。
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