JP4306243B2 - 粒子製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分取、分離用カラム充填剤等に用いられる微小なゲル粒子などの製造用として好適に用いられる粒子製造方法であり、また、微小な粒子を生成するための微小流路構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、数cm角のガラス基板あるいは樹脂製基板上に長さが数cm程度で、幅及び深さがサブμmから数百μmの微小流路を有する微小流路構造体を用いて、液体の送液による微小液滴の生成を行う研究が注目されている(例えば、非特許文献1、2参照)。
【0003】
微小流路内における粒子生成技術に関しては、図1に示すように、微小流路基板1の上に、連続相導入口2、連続相導入流路3、分散相導入口4、分散相導入流路5、排出流路7及び排出口8を有したT字型の構造体であり、導入された連続相と分散相とが合流する部分に合流部6が存在する。各流路の深さは100μmであり、分散相を導入する導入流路幅が100μm、連続相を導入する導入流路幅は300〜500μmのT字型微小流路を用いて、分散相と連続相の流れの速さを制御(コントロール)して送液を行うと、分散相と連続相が流路を通じて合流する地点(合流部)において極めて均一な微小粒子の生成が可能となる。また、分散相及び連続相の流量をコントロールすることで生成粒子径をコントロールすることも可能となる。
【0004】
しかしながらこの方法においては、分散相の送液速度を上昇するにつれ、安定した粒子生成が得られず、最終的に層流となり粒子生成が出来なくなってしまうという課題があった。また、流路形成材質が青板、石英、パイレックス(登録商標)等のガラスあるいはSi製であるため、分散相が疎水性を示す液体、連続相が親水性を示す液体である場合、層流形成が粒子生成よりも安定であるため、実質的に粒子を生成することが困難であった。
【非特許文献1】
西迫貴志ら、「マイクロチャネルにおける液中微小液滴生成」,第4回 化学とマイクロシステム研究会 講演予稿集,59頁,2001年発行
【非特許文献2】
TAKASI NISISAKOら著、「DROPLET FORMATION IN A MICROCHANNEL ON PMMA PLATE」,Micro Total Analysis System,137〜138頁,2001年発行
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の微小流路内における粒子製造技術は、T字型微小流路において連続相と分散相の合流部で極めて均一な粒子の生成が可能となるが、分散相の流速を上昇させるにつれ粒子化現象が不安定となり、ついには層流となってしまっていた。また、生成する粒子を工業的に量産する場合の収量増加方法として、従来の微小流路内における粒子生成技術で粒子生成装置内の粒子生成箇所を増やし、収量増加を図るためのさらなる改善が求められていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、微小流路内で同時に複数の箇所で粒子生成を可能とすると共に、様々な分散相と連続相の組合わせにおいての粒子生成も可能であり、工業的な量産にも対応できる粒子製造方法及びそのための微小流路構造体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものとして、連続相と2以上の分散相を、微小流路を有した構造体に連続的に導入しつつ、連続相内に分散相が流入する部分(以下「合流部」という)にて、連続相を挟み込むように2以上の分散相が接触し、合流部において、連続相導入流路の幅の中央部に配置され、流路の一部分を同じ幅、同じ深さに二等分するように設けた突起あるいは仕切り壁により連続相内に流入する分散相が連続相でせん断されることで、各分散相が同じ粒径で微小粒子化することを見出した。さらに、このように粒子を生成させるために、連続相を導入するための導入口及びそれに連通する連続相導入流路と、分散相を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する分散相導入流路と、連続相と2以上の分散相とにより生成された粒子を排出させるための微小流路からなる排出流路及びそれに連通する排出口とを備えた微小流路構造体であって、排出流路断面のアスペクト比(流路の深さ/幅の比)を0.30以上とし、かつ導入された連続相に分散相が流入する合流部において連続相導入流路の幅の中央部に突起あるいは仕切り壁を備えることで、同じ粒径の粒子を同時に多数生成するという課題を解決することができることも見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、連続相と2以上の分散相を、微小流路を有した構造体に連続的に導入しつつ、前記連続相と前記分散相とを接触させ分散相をせん断して微小粒子化する粒子製造方法であり、さらに、これを達成するための構造体であって、連続相を導入するための導入口及びそれに連通する連続相導入流路と、分散相を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する分散相導入流路と、連続相と分散相とにより生成された粒子を排出させるための微小流路からなる排出流路及びそれに連通する排出口とを備えた微小流路構造体であって、前記排出流路断面のアスペクト比(流路の深さ/幅の比)が0.30以上でありかつ、導入された連続相に分散相が流入する合流部において連続相導入流路の幅の中央部に突起あるいは仕切り壁を備えた微小流路構造体である。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
<粒子製造方法>
上記したように、本発明の粒子製造方法は、連続相と2以上の分散相を、微小流路を有した構造体に連続的に導入しつつ、連続相と分散相とを接触させ分散相をせん断して微小粒子化するものである。
【0010】
ここで、本発明において用いられる分散相とは、微小流路構造体により粒子を生成させるための液状物であり、例えば、スチレンなどの重合用のモノマー、ジビニルベンゼンなどの架橋剤、重合開始剤等のゲル製造用原料を適当な溶媒に溶解した媒体を指す。ここで分散相としては、本発明が微小な粒子を効率的に生成させることを目的としており、この目的を達成させるためであれば微小流路構造体中の流路を送液できるものであれば特に制限されず、さらに粒子を形成させることができればその成分も特に制限されない。また、分散相中に一部固体状物が混在したスラリー状のものであっても差し支えない。
【0011】
さらに、本発明に用いられる2以上の分散相として、いずれも同一組成であれば、得られる粒子として均一組成のものが得られ、また、その製造量としても一度に大量に得られることから好ましい。
【0012】
本発明において用いられる連続相とは、微小流路構造体により分散相より粒子を生成させるために用いられる液状物であり、例えば、ポリビニルアルコールといったゲル製造用分散剤を適当な溶媒に溶解した媒体を指す。ここで連続相としては分散相と同様に、微小流路構造体中の流路を送液できるものであれば特に制限されず、さらに粒子を形成させることができればその成分は特に制限されないが、分散相の内の2またはそれ以上が同一組成であれば、分散相により生成される液滴周囲の媒体の組成を均一あるいは制御することができ、生成した粒子を取り出したり、光照射あるいは加熱といった処理を行うことが容易となり、好ましい。また、連続相中に一部固体状物が混在したスラリー状のものであっても差し支えない。
【0013】
さらに、分散相と連続相とは粒子を生成させるために、実質的に交じり合わないあるいは相溶性がないことが必要であり、例えば、分散相として水相を用いた場合には連続相としては水に実質的に溶解しない酢酸ブチルといった有機相が用いられることとなる。また、連続相として水相を用いた場合にはその逆となる。
【0014】
本発明においては、これらの分散相と連続相とを下記に説明するように、微小流路構造体に連続的に導入しつつ、両者が合流する合流部で、連続相導入流路の幅の中央部に配置され、連続相流路幅を二等分するように設けられた突起あるいは仕切り壁に2以上の分散相が流入、接触することにより突起あるいは仕切り壁両側で各分散相を同時にせん断して実質的に同じ粒径で微小粒子化させるものである。
【0015】
また、本発明において用いられる微小流路構造体の連続相導入流路と分散相導入流路とが交わる角度を変化させることで、あるいは流路断面のアスペクト比(流路の深さ/幅の比)を変化させることで、生成する粒子の粒子径を制御することが可能である。これは、従来の構造体を使った粒子生成においては、分散相と連続相の導入速度を変えて生成させる場合よりもより制御しやすく、工業的な量産に適している。さらに、上記微小流路構造体へ導入する連続相と分散相との導入速度とを実質的に同じとすることで、生成する粒子の粒径制御や製造設備の簡素化といった面で、工業的量産に十分に対応できるものである。
【0016】
なお、本発明の方法により分散相と連続相とから得られる粒子は、当初は液滴のような液体状のものであるが、例えば、ゲル製造用の原料及び重合開始剤等を含んでおれば、これに光照射処理や加熱処理することで硬化させて固体状のゲルとすることができ、このような手法は公知の方法を用いることができる。また、ゲルを製造するにあたっては、以下で述べる微小流路構造体中で得ることもできるが、微小流路構造体からと出した後に処理をしてゲルを得てもよい。
<微小流路構造体>
本発明の微小流路構造体は、上記した粒子製造を行うための構造体であって、連続相を導入するための導入口及びそれに連通する連続相導入流路と、分散相を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する分散相導入流路と、連続相と分散相とにより生成された粒子を排出させるための微小流路からなる排出流路及びそれに連通する排出口とを備えた微小流路構造体であって、前記排出流路断面のアスペクト比(流路の深さ/幅の比)が0.30以上でありかつ、導入された連続相に分散相が流入する合流部において連続相導入流路の幅の中央部に突起あるいは仕切り壁を備える構造を有したものである。
【0017】
ここで、分散相を導入するための導入口は分散相を入れるための開口部を意味し、さらに、この導入口に適当なアタッチメントを備えて分散相を連続的に導入する機構としてもよい。同様に、連続相を導入するための導入口についても、連続相を入れるための開口部を意味し、さらに、この導入口に適当なアタッチメントを備えて連続相を連続的に導入する機構としてもよい。
【0018】
分散相を導入するための分散相導入流路は導入口と連通しており、分散相が導入され、この分散相導入流路に沿って送液される。導入流路の形状は粒子の形状、粒子径を制御するにおいて影響を与えるが、その幅は数100μm以下で形成され、同様に、連続相を導入するための連続相導入流路についても、導入口と連通しており、連続相が導入され、この連続相導入流路に沿って送液される。
【0019】
尚、分散相を導入するための導入口及びそれに連通する分散相導入流路は、本発明が分散相を2以上用いることを必須としており、当然に2以上有していることとなる。
【0020】
これら分散相導入流路及び連続相導入流路の形状は粒子の形状、粒子径を制御するにおいて影響を与えるが、その幅は数100μm以下であれば良い。また、連続相及び分散相の流路は、連続相を挟んで分散相を導入可能で、両者が合流する合流部で、連続相導入流路の幅の中央部に配置され、連続相流路幅を二等分するように設けられた突起あるいは仕切り壁の1点に向け交差するような形状となっておればよい。突起あるいは仕切り壁の位置は合流部から下流側へ向けて分散相の流路幅の数倍程度の長さがあれば良い。
【0021】
排出流路は上記の3つの導入流路及び排出口と連通しており、分散相と連続相が合流後、この排出流路に沿って送液され、排出口より排出される。排出流路の形状は特に制限されないが、その幅は数100μm以下で、2以上の分散相導入流路部分と排出流路部分とがY字型の形状を成しておればよい。排出口は、生成された粒子を排出させるための開口部を意味し、さらに、この排出口に適当なアタッチメントを備えて生成された粒子を含む相を連続的に排出する機構としてもよい。
【0022】
尚、これら流路は本明細書においては微小流路ということがある。
【0023】
さらに、本発明の微小流路構造体においては、連続相導入流路と分散相導入流路とが任意の角度で交わると共に、これら3以上の導入流路が任意の角度で排出流路へと繋がる構造であることが好ましい。このような3以上の導入流路の交差する角度を任意の角度とすることで、合流部で生成する粒子を所望の粒子径へと制御することが可能となる。また流路幅及び深さをそれぞれ変化させることで合流部で生成する粒子の所望の粒子径へと制御することが可能となる。流路幅及び深さの設定についてはアスペクト比に基づき目的とする粒子の粒子径に応じて適宜決めれば良い。また、各交差角度の設定については、目的とする粒子の粒子径に応じて適宜決めればよい。
【0024】
導入流路、排出流路の断面形状としては、流路断面のアスペクト比が0.30以上であることが好ましく、さらに0.30以上3.0未満であることがこのましい。アスペクト比がこの範囲にあれば、合流部において均一な粒子を生成させることができる。この範囲を逸脱して、アスペクト比が0.30未満となると均一な粒子を生成させることが困難となることがある。但し、生成粒子の粒子径が流路深さ以下であればその限りでは無い。
【0025】
また、連続相、分散相として用いられる媒体の性質にもよるが、連続相導入流路と分散相導入流路とが交わる交差部及びその近傍が高分子材料で形成されていることで、耐溶媒性を高め、また、強度等を向上させることができるため、好ましい。
【0026】
さらに、2以上の分散相を導入するためのそれぞれの分散相導入流路の幅及び深さが等しい場合には上記の効果に加え、微小流路構造体の設計が容易となり、また、送液時の制御もより容易となって、工業的量産に好適となる。
【0027】
また、導入流路の幅と排出流路の幅との関係において、導入流路の幅≧排出流路の幅であれば、導入流路の幅=排出流路の幅よりも、送液流速を増加しても合流部において均一な粒子の生成が可能となり、粒子生成速度を増加させることができるという効果を奏することができ、好ましい態様となる。
【0028】
排出流路の幅としては、分散相と連続相とが交わる交差部より排出口に至る排出流路中の一部の部位において、排出流路の幅が狭くなっていることが好ましい。すなわち、粒子の排出口に至るまでの間の内、導入流路と排出流路の合流部において排出流路の幅が狭くなっており、さらに、この排出流路の幅が狭くなっている部位が、排出流路中の交差部又はその近傍にあることが好ましく、特に、排出流路の幅が狭くなっている部位が、排出流路の交差部の分散相の導入流路側にあることが好ましい。
【0029】
また、分散相流路が連続相流路に合流する部位の分散相流路構成壁を凸状に形成することで、送液流速を増加しても合流部において均一な粒子生成が可能でありかつ、送液圧力の上昇を緩和することが可能とすることができ、好ましい態様となる。
【0030】
本発明の微小流路構造体は、以上に述べた構造、性能を有しているが、分散相と連続相を導入するための3以上の導入部及び導入流路と、3以上の導入流路が交わる合流部と、粒子を排出させるための排出流路及び排出口を備えた微小流路構造体が、少なくとも一方の面に微小流路が形成された基板と、微小流路が形成された基板面を覆うように、微小流路の所定の位置に、微小流路と微小流路構造体外部とを連通するための少なくとも4以上の小穴が配置されたカバー体とが積層一体化されていてもよい。これにより、微小流路構造体外部から微小流路へ流体を導入し、再び微小流路構造体外部へ流体を排出することができ、流体が微小量であったとしても、流体を安定して微小流路内を通過させることが可能となる。流体の送液は、マイクロポンプなどの機械的手段によって可能となる。
【0031】
微小流路が形成された基板及びカバー体の材質としては、微小流路の形成加工が可能であって、耐薬品性に優れ、適度な剛性を備えたものが望ましい。例えば、ガラス、石英、セラミック、シリコン、あるいは金属や樹脂等であっても良い。基板やカバー体の大きさや形状については特に限定はないが、厚みは数mm以下程度とすることが望ましい。カバー体に配置された小穴は、微小流路と微小流路構造体外部とを連通し、流体の導入口または排出口として用いる場合には、その径が例えば数mm以下である事が望ましい。カバー体の小穴の加工には、化学的に、機械的に、あるいはレーザー照射やイオンエッチングなどの各種の手段によって可能とされる。
【0032】
また本発明の微小流路構造体は、微小流路が形成された基板とカバー体は、熱処理接合あるいは光硬化樹脂や熱硬化樹脂などの接着剤を用いた接着等の手段により積層一体化することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施例を示し、更に詳しく発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0034】
また、実施例においては1枚の基板上に1本の微小流路を形成したが、工業的に量産する場合は、1枚の基板上に多数の微小流路を形成する、あるいは多数形成した1枚の基板を積層することで可能となる。
(実施例1)
本発明の第1の実施例における粒子製造用微小流路を図2に示す。微小流路は70mm×20mm×1t(厚さ)のパイレックス(登録商標)ガラス上に、微小流路に相当する連続相導入流路3、排出流路7の幅がいずれも250μm、深さ50μm、分散相導入流路5の幅が110μm、深さ50μm、分散相アスペクト比=0.45である微細流路形状とし、連続相導入流路3と分散相導入流路5とが合流部がそれぞれ22度の角度にて交わる形状の流路を1本形成した。この微小流路の幅及び深さについては、生成する粒子の粒子径に依存するが、微小流路のアスペクト比が0.3以上3.0未満の範囲を逸脱しなければよい。
【0035】
このY字形状の粒子製造用微小流路構造体は図3に示す製作手順に従って以下のように作製した。厚さ1mmで70mm×20mmのガラス基板9の一方の面に、金などの金属膜10を後述する露光光が透過しない程度の厚さに成膜し(図3(a)金属の成膜工程)、その金属膜上にフォトレジスト11をコートした(図3(b)フォトレジストの塗布工程)。更にフォトレジスト上に前記微小流路の形状を描いたパターンを有するフォトマスク12を置き、そのフォトマスク上から露光し現像を行なった(図3(c)露光〜現像工程)。次に、酸などで金属膜10をエッチングした(図3(d)金属膜のエッチング工程)後、レジストとガラスをフッ酸などでエッチィングし(図3(e)レジスト、ガラスのエッチング工程)、さらに残った金属膜10を酸などで溶かして(図3(f)金属膜の除去工程)、微小流路が形成された基板13を得た。実施例においては、微小流路の製作をガラス基板のエッチィングにより微小流路を形成したが、製作方法はこれに限定するものではない。
【0036】
この微小流路が形成された基板13の微小流路を有する面に、微小流路の流体導入口(連続相導入口2、分散相導入口4)と流体排出口8にあたる位置に予め直径0.6mmの小穴を、機械的加工手段を用いて設けた厚さ1mmで70mm×20mmのガラスカバー体14を熱接合し、図4に示すように微小流路を備えた粒子製造用微小流路構造体を製作した。実施例においては、微小流路を形成する基板及びカバー体にガラス基板を用いたが、これに限定するものではない。
【0037】
次に本発明の粒子製造方法について説明する。図5に示すように粒子製造用微小流路構造体15に液体が送液可能なようにホルダー16などで保持すると共に、テフロン(登録商標)チューブ18及びフィレットジョイント19をホルダー16に固定する。テフロン(登録商標)チューブ18のもう一方はマイクロシリンジ21、22、23に接続する。これで粒子製造用微小流路構造体15に液体の送液が可能となる。次に液滴を生成するための分散相にモノマー(スチレン)、ジビニルベンゼン、酢酸ブチル及び過酸化ベンゾイルの混合溶液をマイクロシリンジ21,22に注入、連続相にポリビニルアルコール3%水溶液をマイクロシリンジ23に注入し、マイクロシリンジポンプ20で送液を行った。送液流速は分散相及び連続相は共に6μl/minである。送液流速が共に安定した状態で、粒子製造用微小流路構造体15の分散相及び連続相が交わる合流部連続相流路幅を二等分する中央に設けた突起あるいは仕切り壁25にて粒子生成が観察される。生成された粒子24を観察すると図6に示すように平均粒子径77μmの極めて均一な粒子であった。
(実施例2)
本発明の第2の実施例における粒子製造用微小流路を図7に示す。実施例2では図7に示すよう微小流路構造体合流部6の分散相流路壁面部分26に突起部を設けた。図8上図は実施例2の合流部6の分散相流路壁面部分26の拡大図であり、下図は流路断面を拡大したものである。微小流路は70mm×20mm×1t(厚さ)のパイレックス(登録商標)ガラス上に、微小流路に相当する連続相導入流路3、排出流路7の幅がいずれも250μm、深さ50μm、分散相導入流路5の幅が110μm、深さ50μm、分散相アスペクト比=0.45である微細流路形状とし、連続相導入流路3と分散相導入流路5とが合流部がそれぞれ22度の角度にて交わる形状の流路を1本形成した。
【0038】
作製手法として、実施例1に示すものと同じフォトマスク及び手法を用い、直径200mmパイレックス(登録商標)ガラス基板上に流路を形成した後、Ni薄膜を形成し、電気メッキにより厚さ300μmのスタンパを作製し、成形機の金型に設置してポリエーテルイミド樹脂を射出成形法により作製した。作製した流路基板を70mm×20mm×1tで切り出した。この微小流路の幅及び深さについては、生成する粒子の粒子径に依存するが、微小流路のアスペクト比が0.3以上3未満の範囲を逸脱しなければよい。
【0039】
図5に示すように粒子製造用微小流路構造体15に液体が送液可能なようにホルダー16などで保持すると共に、テフロン(登録商標)チューブ18及びフィレットジョイント19をホルダー16に固定する。テフロン(登録商標)チューブ18のもう一方はマイクロシリンジ21、22、23に接続する。これで粒子製造用微小流路構造体15に液体の送液が可能となる。次に粒子を生成するための分散相にモノマー(スチレン)、ジビニルベンゼン、酢酸ブチル及び過酸化ベンゾイルの混合溶液をマイクロシリンジ21,22に注入、連続相にポリビニルアルコール3%水溶液をマイクロシリンジ23に注入し、マイクロシリンジポンプ20で送液を行った。送液流速は分散相及び連続相は共に6μl/minである。送液流速が共に安定した状態で、粒子製造用微小流路構造体15の分散相及び連続相が交わる合流部連続相流路幅を二等分する中央に設けた突起あるいは仕切り壁25にて粒子生成が観察される。生成された粒子27を観察すると図9に示すように平均粒子径70μmの分散度の良い極めて均一な粒子であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明は以下の効果を奏する。
(1)本発明の粒子製造方法は異なる側から2つ以上の分散相流路を1つの連続相流路内合流部の流路幅を二等分するよう設けた突起あるいは仕切り壁の1点に向け交差するよう同時に流入させることにより各合流部で極めて均一な粒径の粒子を同時に複数個生成させることが可能である。
(2)流路幅、流路深さを粒子製造装置の製作時に規定することにより生成する粒子径制御も可能であるため、工業的な量産にも対応可能な方法である。
(3)本発明の微小流路構造体は、流路作製材料に依存することなく粒子生成が可能であり、複数の連続相流路を構成せずにすむため、装置コストの低減が可能である。殊に、排出流路の幅を特定部位で狭くあるいは流路壁を凸状としておくことで効率的に均一粒径の粒子が生成される。
(4)本発明の微小流路構造体は、粒子化安定性に優れ、且つ合流部の分散相流路構成壁面を凸状にし、排出流路幅を導入流路幅以下にすることにより、流速を増加させ、短時間に各分散相流路での大量の液滴同時生成が可能となり工業的に使用可能である。
(5)本発明の微小流路構造体は、粒子製造用微小流路の導入流路の幅及び深さ、導入する分散相及び連続相の送液流速の条件を変えることなく、導入流路の合流部の角度のみを変えることで、各合流部で生成する同一サイズの粒子径をコントロールすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な粒子製造用微小流路を示す概略図である。図1中、A−A’、B−B’で示される部分は、それぞれ流路の断面部分を拡大したものである。
【図2】実施例1に用いた粒子製造用微小流路構造体を示す概略図である。図2中、C−C’で示される部分は、それぞれ流路の断面部分を拡大したものである。
【図3】実施例1における粒子製造用微小流路の形成方法を示すフロー図である。
【図4】実施例1に用いた粒子製造用微小流路構造体を示す概略図である。
【図5】実施例1及び実施例2に用いた粒子製造用微小流路構造体及びポンプ接続を示す概略図である。
【図6】実施例1における生成粒子を示す写真である。
【図7】実施例2に用いた粒子製造用微小流路構造体を示す概略図である。
【図8】実施例2における微小流路構造体の合流部6の分散相流路壁面部分を示す概略図である。図8中、D−D’で示される部分は、それぞれ流路の断面部分を拡大したものである。
【図9】実施例2における生成粒子を示す写真である。
【符号の説明】
1:微小流路基板
2:連続相導入口
3:連続相導入流路
4:分散相導入口
5:分散相導入流路
6:合流部
7:排出流路
8:排出口
9:ガラス基板
10:金属膜
11:フォトレジスト
12:フォトマスク
13:微小流路が形成された基板
14:カバー体
15:微小流路構造体
16:ホルダー
17:ビーカー
18:テフロン(登録商標)チューブ
19:フィレットジョイント
20:マイクロシリンジポンプ
21,22:マイクロシリンジ(分散相)
23:マイクロシリンジ(連続相)
24:生成粒子
25:連続相流路幅を二等分する中央に設けた突起あるいは仕切り壁
26:合流部6の分散相流路壁面部分
27:生成粒子

Claims (5)

  1. 連続相を導入するための導入口及びそれに連通する連続相導入流路と、分散相を導入するための2以上の導入口及びそれに連通する分散相導入流路と、連続相と分散相とにより生成された粒子を排出させるための微小流路からなる排出流路及びそれに連通する排出口とを備えた微小流路構造体を用い、連続相と2以上の分散相を、微小流路を有した構造体に連続的に導入しつつ、前記連続相と前記分散相とを接触させ分散相をせん断して粒子を生成する方法であって、導入された連続相に分散相が流入する合流部において連続相導入流路の幅の中央部に配置された突起あるいは仕切り壁により分散相の流れを制御し、分散相が実質的に同一粒径で微小粒子化する、粒子製造方法。
  2. 2以上の分散相がいずれも同一組成であることを特徴とする請求項1に記載の粒子製造方法。
  3. 分散相がゲル製造用原料を含む媒体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒子製造方法。
  4. 連続相がゲル製造用分散剤を含む媒体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の粒子製造方法。
  5. ゲル製造用分散剤がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項4に記載の粒子製造方法。
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