JP4306209B2 - 中性点接地方式のx線発生装置及びこれを用いたx線ct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線発生装置及びこれを用いたX線CT装置に関し、特にX線管のアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧とを均等にしてX線発生装置を小型、軽量化し、このX線発生装置をX線CT装置のスキャナに搭載してスキャンの高速化を図ることが可能なX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線を用いた画像診断装置は、X線管装置から発生したX線を被検体に照射し、該被検体を透過したX線量を検出して画像化するもので、前記X線管装置からのX線の発生には、該X線管装置のアノードとカソード間に直流の高電圧を印加し、前記カソードを高温にすることにより発生する熱電子を高電圧で加速し、これをアノードに衝突させてX線を発生させる高電圧電源が必要である。この高電圧電源はX線高電圧装置と呼ばれ、商用の単相または三相電源あるいはバッテリィを電源とし、これを直流高電圧に変換し、X線管のアノードとカソード間の電圧(以下、この電圧を管電圧と呼ぶ)を制御する機能と、フィラメント(カソード)を加熱し、これを制御してX線管に流れる電流(以下、これを管電流と呼ぶ)を制御する機能及び各種の撮影条件などを設定、表示する機能が必要である。前記X線高電圧装置は、X線管のアノードとカソード間に印加する直流高電圧を発生させる高電圧発生装置と、この直流高電圧の大きさ及び印加時間、さらに流れる電流など、X線を制御するためのX線制御装置からなる。
【0003】
このX線高電圧装置には、高電圧の発生方法により種々の方式があるが、最近の医用X線高電圧装置は性能面だけでなく、設置面積の縮減、小型軽量化に対する要求が益々強まる一方である。なかでも高電圧変圧器が装置容積に占める割合は大きく、高電圧変圧器を小型化することが装置全体の小型化にとって特に有効である。そのために、前記X線高電圧装置には小型化及び性能面の点で格段に優れているインバータ式X線高電圧装置が普及し、現在では一般X線撮影装置から循環器X線撮影装置、X線CT装置等のほとんどのX線画像診断装置に用いられている。
【0004】
このインバータ式X線高電圧装置は、単相又は三相の商用電源電圧を整流して直流電圧に変換し(バッテリィによる直流電源の場合もある)、この直流電圧をインバータ回路により商用電源周波数よりも高い周波数の交流電圧に変換してこれを高電圧変圧器で昇圧し、ふたたび整流して直流の高電圧をX線管のアノードとカソード間に印加するものである。このようなインバータ式X線高電圧装置には、インバータ回路で管電圧を制御する方式により種々の方式があり、該管電圧の制御はインバータ回路の位相差や周波数あるいはパルス幅等を制御して行う。図8は上記インバータ式X線高電圧装置の主回路構成の一例で、直流電源電圧1を電力用半導体スイッチング素子、例えば絶縁型バイポーラトランジスタ21,22,23,24で構成されたフルブリッジ構成のインバータ回路2で高い周波数の交流電圧に変換し、この交流電圧を高電圧変圧器3で昇圧してこれを高電圧整流器4で直流の高電圧に変換しX線管5に印加する。前記高電圧変圧器3の一次巻線は、十分な電流容量を確保するために、第一の一次巻線3aと第二の一次巻線3bの二つの一次巻線を並列にしてこれをインバータ回路2の出力に接続する構成をとっている。そして、前記高電圧変圧器3の二次巻線は、第一の二次巻線3cと第二の二次巻線3dの二組の二次巻線から成り、第一の二次巻線3cの出力電圧を第一の高電圧整流器4aで第一の直流の高電圧Vaに変換してこれをX線管5のアノード5aとアース間に印加し、前記第二の二次巻線3dの出力電圧を第二の高電圧整流器4bで第二の直流の高電圧Vkに変換してこれをX線管5のカソード5bとアース間に印加し、前記第一の高電圧整流器4aの直流出力端の負側と前記第二の高電圧整流器4bの直流出力端の正側とを直列接続して、この接続点をアースに接続する中性点接地方式を採用している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【非特許文献1】
医歯薬出版株式会社:医用放射線科学講座13、放射線診断機器工学、88頁の図2-119。
【0006】
このような構成にすることによって、高電圧変圧器及び高電圧整流器の絶縁耐電圧の確保が容易となる。
【0007】
この図8のインバータ式X線高電圧装置の管電圧の制御は、インバータ回路2の電力用半導体スイッチング素子21〜24の導通幅の可変により行い、実際の管電圧を検出し、これが目標値に一致するように、図示省略のインバータ制御回路で制御信号を生成して、この信号により前記スイッチング素子21〜24の導通幅を制御する。
このようなインバータ式X線高電圧装置を用いてインバータ回路の高周波化により高電圧変圧器の小型化を含む装置全体の小型化を図ってきたが、最近では螺旋スキャンX線CT装置のスキャンの高速化に対する要望が強くなり、この要望に対応するためにはスキャナに搭載するインバータ式X線高電圧装置のさらなる小型、軽量化が必須である。
【0008】
これに対応するために、インバータ回路の動作周波数をさらに高くすることが考えられるが、高電圧変圧器の一次巻線と二次巻線間の絶縁耐電圧の確保の点から適宜の絶縁距離が必要となこと及び前記高電圧変圧器の鉄心の損失を含む各種損失が増加するので、これらに対する配慮などにより小型化の効果は薄れ、高周波化による高電圧変圧器の小型化には限界がある。
【0009】
そこで、上記高周波化による高電圧変圧器の小型化の他に、インバータ回路の電流を低減してインバータ回路を小型にすると共に高電圧変圧器の巻数比を少なくして該高電圧変圧器を小型化することが考えられる。
インバータ回路の電流を低減できれば、インバータ回路を構成する電力用半導体スイッチング素子には電流容量の小さいものが適用でき、これに付随して該スイッチング素子を駆動する回路も小型にできる。また、高電圧変圧器の巻数比を小さくすることは,該高電圧変圧器が小型になるばかりでなく、この高電圧変圧器の漏れ磁束が一次巻線等に鎖交して発生する渦電流損の損失低減にも繋がるので電力変換効率が向上し、これによってインバータ回路の電流も低減し、そのスイッチング素子の電流容量低減にも効果がある。
さらに高電圧変圧器の漏れインダクタンスも低減でき、さらなる高周波化による高電圧変圧器の小型化も期待できる。
【0010】
上記インバータ回路の電流低減と高電圧変圧器の巻数比低減は、前記インバータ回路の直流電源電圧(単相又は三相の商用電源電圧を整流して得られる直流電圧。バッテリィ電源の場合は該バッテリィ電圧)を高くすれば良い。前記直流電源電圧を高くする方法として、倍電圧整流回路を用いる方法や、特開平7-65987号公報に開示されているパルス幅変調制御を用いたコンバータ回路方式のインバータ式X線高電圧装置がある。
【0011】
【発明が解決しようとしている課題】
上記のように、中性点接地方式を採用すれば、X線管5のアノードとカソード間の電圧(管電圧)を1/2に分割してそれぞれアノードとアース間及びアースとカソード間に印加することができるので、高電圧変圧器及び高電圧整流器の絶縁耐電圧の確保が容易となる。すなわち、高電圧変圧器3の二次巻線と高電圧整流器4とをそれそれ二組の二次巻線3cと3d及び二組の高電圧整流器4aと4bとに分け、これらを組み合わせてアノードとアース間に印加する電圧Va及びアースとカソード間に印加する電圧Vkを得る方式である。しかし、この中性点接地方式では、アノードとアース間に印加する電圧Va及びアースとカソード間に印加する電圧Vkを得るための二組の回路のインピーダンス(高電圧変圧器3の第一の一次巻線3a及び第一の二次巻線3cによる第一の回路のインピーダンスと、高電圧変圧器3の第二の一次巻線3b及び第二の二次巻線3dによる第二の回路のインピーダンス)との差によって、前記VaとVkに差が生じ、また前記二組のVaとVkが印加される負荷のインピーダンス(Vaが印加されるX線管5のアノード5aとアース間及びVbが印加されるアースとカソード間のインピーダンス)の差によっても前記VaとVkに差が生じる。これらVaとVkの差はできれば無い方が望ましいが、以下に述べる理由により前記VaとVkの差(以下、これをアンバランス電圧と呼ぶ)を零にすることは困難なことである。
【0012】
(1)高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧
図8に示した高電圧変圧器3は、高電圧側になる二次巻線3c,3dと低電圧側になる一次巻線3a,3bとの間の電圧差が非常に大きい為に、それぞれの一次巻線3a,3bと二次巻線3c,3dとの間に、所定の距離を設けると共に絶縁物を介在させなければならない。このため、発生した磁束の一部は上記一次巻線3a,3bと二次巻線3c,3dとの間及び前記各巻線と鉄心3eとの間を通過して漏れ磁束が生じ易い。従って、一部の磁束は上記鉄心を通らず、見かけ上、第一の一次巻線3aと二次巻線3cとで一つの変圧器を構成し(以下、このように形成される変圧器を第一の変圧器と呼ぶことにする)、第二の一次巻線3bと二次巻線3dとでもう一つの変圧器(以下、このように形成される変圧器を第二の変圧器と呼ぶことにする)を構成していると見なすことができる。このような構成の高電圧変圧器において、上記の漏れ磁束は漏れインダクタンスとして作用し、また高電圧変圧器は巻数比が非常に大きい(数百〜千数百)ため,二次巻線3c,3dの巻線数は非常に多く、数十層にわたって巻かれることになる。そして、それら層間には浮遊静電容量が生じることになる。これらの漏れインダクタンス及び浮遊静電容量の寄生インピーダンスは、高電圧変圧器3の一次側から見た場合,等価的には、図9に示すように、漏れインダクタンス3f,3gはそれぞれの一次巻線と直列に、浮遊静電容量3h、3iはそれぞれの一次巻線と並列に接続された形となる(文献“医歯薬出版株式会社:医用放射線科学講座13、放射線診断機器工学、86頁の図2−116”に記載)。このような漏れインダクタンスと浮遊静電容量との寄生インピーダンスが存在する高電圧変圧器を中性点接地方式のX線高電圧装置に用いると、第一の変圧器(第一の一次巻線3aと二次巻線3cとで形成される変圧器)と第二の変圧器(第二の一次巻線3bと二次巻線3dとで形成される変圧器)とのインピーダンスに差があると、図10に示すように、第一の変圧器の一次側に流れる電流Ia1(X線管5のアノード5a側の電流に対応)と第二の変圧器の一次側に流れる電流Ib1(X線管5のカソード5b側の電流に対応)に流れる電流の位相に差が生じる。
【0013】
これは、第一の変圧器の漏れインダクタンス3fと浮遊静電容量3hによる第一の共振電流の位相と、第二の変圧器の漏れインダクタンス3gと浮遊静電容量3iによる第二の共振電流の位相とのずれによるもので、前記漏れインダクタンス3fと3g及び浮遊静電容量3hと3iを等しくすれば発生しない。しかし、これは第一の一次巻線3aと第二の一次巻線3c及び第一の二次巻線3bと第二の二次巻線3dとの間に製作上のばらつきによる一次・二次巻線間のキャップや一次・二次巻線径等の各種寸法に起因して生じるもので、これは避け難いものである。このように、第一の変圧器の一次側に流れる電流Ia1と第二の変圧器の一次側に流れる電流Ib1との間に位相のずれが生じると、これらの電流によって発生した磁束によって誘起された第一及び第二の変圧器の二次巻線電圧を整流して得られるX線管5のアノード・アース間電圧Vaとカソード・アース間電圧Vkとに差を生じることとなる。特に、インバータ回路の電流低減と高電圧変圧器の巻数比を低減して装置全体の小型化を図るために、インバータ回路の直流電源電圧を高くし、該インバータ回路の導通幅を制御して管電圧を制御する方式では、管電流の小さい軽負荷領域では前記導通幅を非常に小さくしなければならない。この場合、前記漏れインダクタンス3fと浮遊静電容量3hによる第一の共振周波数と前記漏れインダクタンス3gと浮遊静電容量3iによる第二の共振周波数は、インバータ2の動作周波数よりも一桁程度高いために、前記第一の共振周波数と第二の共振周波数にわずかな差があっても、これらの電流とインバータ2の出力電圧との積であるアノード・アース間に供給する電力とカソード・アース間に供給する電力、すなわちアノード・アース間電圧Vaとカソード・アース間電圧Vkに大きな差が生じる。このアンバランス電圧は、従来のようにインバータ回路の直流電源電圧が高くない場合は小さく、それほど問題にならない。しかし、上記のようにインバータ回路の直流電源電圧を高くした場合は、インバータ回路のスイッチング素子の導通幅の可変範囲は従来よりも広くなり、該導通幅の狭い軽負荷においては無視できないものとなる。
【0014】
(2)負荷のインピーダンスの差によるアンバランス電圧
X線管を収納する容器の一部が金属で形成され、この金属部をアースに接続してなるメタルX線管を用いたインバータ式X線高電圧装置では,図11に示すように、第一の高電圧整流器4aにX線管5’のアノード5a’を接続すると共に他方の第二の高電圧整流器4kにX線管5`のカソード5k’を接続し、かつ前記第一の高電圧整流器4a及び第二の高電圧整流器4kの出力の直列接続部に前記容器の金属部51を接続し、さらにこの接続部をアースに接続して通常のX線管と同様に前記第一及び第二の整流器4a,4kの出力電圧をX線管5’のアノード5a’とアース及びカソード5k’とアース間に印加してX線を発生させる。
【0015】
このようなメタルX線管を用いた場合、図11において、高電圧変圧器3の第一の二次巻線3cの出力電圧は、第一の高電圧整流器4aで整流されて、電流Itが、第一の高電圧整流器4a→X線管5’のアノード5a’→カソード5k’→第二の高電圧整流器4kの回路で流れる。この時、上記X線管5’のカソード5k’から発生する熱電子の一部は、容器の金属部51を介してアースに流れ込み、電流Icが第二の高電圧整流器4k→X線管5’の金属部51→カソード5k’→第二の高電圧整流器4kの回路で流れる。すなわち、上記第一の二次巻線3cは第一の高電圧整流器4aを介して電流Itを供給し、第二の二次巻線3dは第二の高電圧整流器4kを介してItとIcとを供給することになる。このことから、上記変圧器5’において、第二の二次巻線3dに流れる電流は、第一の二次巻線3cに流れる電流よりもIcだけ大きくなる。ここで前述のように、高電圧変圧器3は,第一の一次巻線3a及び二次巻線3cから成る第一の変圧器と、第二の一次巻線3b及び二次巻線3dから成る第二の変圧器とに分けて考えられるから、第二の一次巻線3bに流れる電流Ikは、第一の一次巻線3aを流れる電流Iaよりも大きくなる。つまり、インバータ回路2の出力側から見ると、X線管5’に電力を供給する回路のうちカソード5k’の回路はアノード5aの回路よりも負荷インピーダンスが低いと見なすことができる。そして通常のメタルX線管の場合、撮影条件にもよるが、8%〜13%程度カソード側のインピーダンスが低くなり、これによって図12に示すように、アノード・アース間電圧Va’とカソード・アース間電圧Vk’に差が生じる。このような負荷インピーダンスの差によって生じるアンバランス電圧は、管電流Itが大きいほど大きくなる。
この負荷インピーダンスの差によって生じるアンバランス電圧に上記高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧が加われば、さらにX線管のアノード・アース間電圧Vaとカソード・アース間電圧Vkの差が大きくなる。
【0016】
以上のように、中性点接地方式においては、X線管のアノード・アース間電圧VAとカソード・アース間電圧Vkに高電圧変圧器のインピーダンスと負荷のインピーダンスの差によるアンバランス電圧が発生する。通常は、前記VaとVkをX線管のアノード・カソード間電圧(管電圧)の半分と見積ると、例えば、最大管電圧が150kVのX線装置では,高電圧変圧器の二次巻線の耐圧や、X線管のアノード及びカソードの対アース電圧は、それぞれそ1/2の75kVに見積れば良いことになる。しかし、上記のようなアンバランス電圧が生じた場合,それが大きくなるとアノード・アース間、あるいはカソード・アース間に定格以上の電圧が印加されることになるので、その分だけ、X線管はもとより高電圧変圧器や高電圧整流器及びこれらに付属する高電圧部品の耐電圧を高くしなければならないので、装置の大型化を招き、上記小型化の大きな障害となる。特に、スキャナにX線高電圧装置を搭載して高速スキャン及びシステムのユニット数の低減を図るX線CT装置にとっては大きな障害となる。
【0017】
そこで、本発明の目的は、中性点接地方式のX線発生装置において、X線管のアノード・アース間とカソード・アース間に印加する電圧を発生するための回路インピーダンス及び負荷のインピーダンスに差があっても前記X線管のアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧とをほぼ等しくできるX線発生装置及びこれをX線CT装置のスキャナに搭載して高速スキャンを図ることが可能なX線CT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記中性点接地方式では、X線管のアノードとアース間に印加する電圧を得るための回路のインピーダンスと、前記X線管のアースとカソード間に印加する電圧を得るための回路のインピーダンス(図8に示す高電圧変圧器3の第一の一次巻線3a及び第一の二次巻線3cによる第一の回路のインピーダンスと、高電圧変圧器3の第二の一次巻線3b及び第二の二次巻線3dによる第二の回路のインピーダンス)との差によって、前記X線管のアノード・アース間電圧とアース・カソード間電圧に差が生じる。この差は、前記第一の回路と第二の回路に流れるコモンモード電流によって発生するもので、このコモンモード電流を除去できれば、X線管のアノード・アース間電圧とアース・カソード間電圧を均等にすることができる。また、負荷として金属容器に収納されたメタルX線管を用い、このX線管の金属部の接地によって、X線管のアース・カソード間のインピーダンスがアノード・アース間のインピーダンスよりも小さくなるので、これらのインピーダンスの差、すなわち負荷のインピーダンスの差によって、前記X線管のアノード・アース間電圧とアース・カソード間電圧に差がじる。そこで、インピーダンスの小さいアース・カソード間に流れる電流を大きくしてアース・カソード間電圧を高くすれば良い。このアース・カソード間に流れる電流は、アノード・アース間に流れる電流と成分が同じでこの電流よりも小さい電流を分流して、この分流した電流を電流加算手段で上記アース・カソード間に流れる電流に加算すれば良い。
そして、上記コモンモード電流を除去し、電流加算手段でアース・カソード間に流れる電流を増やすことにより、負荷となるX線管に金属容器のX線管(メタルX線管)を用いた場合においても、回路インピーダンスの差及び負荷インピーダンスの差によって発生するアノード・アース間電圧とアース・カソード間電圧の差(アンバランス電圧)を問題ない程度まで小さくすることができる。以下、上記解決手段について述べる。
【0018】
先ず、回路インピーダンスの差によるアンバランス電圧の除去、すなわちコモンモード電流の除去は以下の手段によって達成される。
(1)少なくとも第一の一次巻線及び第二の一次巻線の二つの一次巻線を有し、これらの一次巻線を並列に接続してこれを交流電源に接続し、前記一次巻線に対応して巻かれた少なくとも第一の二次巻線及び第二の二次巻線の二つの二次巻線を有して前記交流電源の電圧を昇圧する高電圧変圧器と、この高電圧変圧器の前記第一及び第二の二次巻線にそれぞれ接続されその出力を直流に変換する少なくとも第一の高電圧整流回路及び第二の高電圧整流回路の二つの高電圧整流回路と、前記第一の高電圧整流回路の直流出力の負端子と前記第二の高電圧整流回路の直流出力の正端子とを接続してこれを接地すると共に前記第一の高電圧整流回路の直流出力の正端子にアノード側が接続されると共に前記第二の高電圧整流回路の直流出力の負端子がカソード側に接続されてX線を放射するX線管とを備えてなるX線発生装置において、前記第一の一次巻線に流れる電流と前記第二の一次巻線に流れる電流とに含まれるコモンモード電流を除去するコモンモード電流除去手段を設ける。
【0019】
(2)前記(1)のコモンモード電流除去手段は、前記第一の一次巻線に流れる電流の向きと前記第二の一次巻線に流れる電流の向きとが逆になるように透磁率の大きい磁性材料の第一のコアに前記第一の一次巻線と第二の一次巻線とを貫通させてなる。
【0020】
(3)前記(1)のコモンモード電流除去手段は、前記交流電源の一端と前記第一の一次巻線とを接続する第一の導体に流れる電流の向きと、前記交流電源の他端と前記第二の一次巻線とを接続する第二の導体に流れる電流の向きとが逆になるように透磁率の大きい磁性材料の第一のコアに前記第一の導体と第二の導体とを貫通させてなる。
【0021】
(4)前記(2),(3)の第一のコアは、AL値が高く、前記高電圧変圧器の漏れインダクタンスと同等以上のインダクタンスが得られるコアである。ただし、AL値とは、コア固有の値で、そのコアに導体をNターン巻いた時に得られるインダクタンスの値を1ターン当たりに正規化した値で、単位はμH/N2である。
【0022】
(5)前記(1)乃至(4)の交流電源は、直流電源からの直流を受電して高周波の交流に変換するインバータを有してなる。このインバータの動作周波数を高くすれば、高電圧変圧器が小型化になるので、装置全体の小型、軽量化が可能となる。
【0023】
次に、負荷インピーダンスの差によるアンバランス電圧の除去、すなわち電流加算手段は以下の手段によって達成される。
(6)少なくとも第一の一次巻線及び第二の一次巻線の二つの一次巻線を有し、これらの一次巻線を並列に接続してこれを交流電源に接続し、前記一次巻線に対応して巻かれた少なくとも第一の二次巻線及び第二の二次巻線の二つの二次巻線を有して前記交流電源の電圧を昇圧する高電圧変圧器と、この高電圧変圧器の前記第一及び第二の二次巻線にそれぞれ接続されその出力を直流に変換する少なくとも第一の高電圧整流回路及び第二の高電圧整流回路の二つの高電圧整流回路と、前記第一の高電圧整流回路の直流出力の負端子と前記第二の高電圧整流回路の直流出力の正端子とを接続してこれを接地すると共に前記第一の高電圧整流回路の直流出力の正端子にアノード側が接続されると共に前記第二の高電圧整流回路の直流出力の負端子がカソード側に接続されてX線を放射するX線管とを備えてなるX線発生装置において、前記第一の一次巻線に流れる電流よりも小さい電流を該第一の一次巻線に流れる電流より分流し、この分流した電流を前記第二の一次巻線に流れる電流に加算する電流加算手段を設ける。
【0024】
(7)前記(6)の電流加算手段は、前記交流電源の一端と前記第一の一次巻線とを第一の導体に接続し、前記交流電源の他端と前記第二の一次巻線とを第三の導体に接続して、前記第一の導体に流れる電流と前記第三の導体に流れる電流の方向が同じで、かつ前記第三の導体に流れる電流が前記第一の導体に流れる電流よりも小さくなるように前記第一の導体と第三の導体を透磁率の大きい磁性材料の第二のコアに貫通させてなる。
【0025】
(8)前記(7)の第二のコアは、AL値が高く、前記高電圧変圧器の漏れインダクタンスと同等以上のインダクタンスが得られるコアである。ただし、AL値とは、コア固有の値で、そのコアに導体をNターン巻いた時に得られるインダクタンスの値を1ターン当たりに正規化した値で、単位はμH/N2である。
【0026】
(9)前記(7),(8)の第二のコアは、任意の回数巻かれたコイルを備え、このコイルに前記第三の導体を接続してなる。
【0027】
(10)前記(6),(7)の交流電源は、直流電源からの直流を受電して高周波の交流に変換するインバータを有してなる。
【0028】
(11)前記(6)のX線管は、金属容器に収納され、該金属容器を接地してなる。
さらに、回路インピーダンスの差によるアンバランス電圧と負荷インピーダンスの差によるアンバランス電圧との両方のアンバランス電圧を低減できれば、それぞれ単独で用いる場合よりもその低減効果は増大する。すなわち、コモンモード電流除去手段と電流加算手段とを併用する以下の手段によって達成される。
【0029】
(12)少なくとも第一の一次巻線及び第二の一次巻線の二つの一次巻線を有し、これらの一次巻線を並列に接続してこれを交流電源に接続し、前記一次巻線に対応して巻かれた少なくとも第一の二次巻線及び第二の二次巻線の二つの二次巻線を有して前記交流電源の電圧を昇圧する高電圧変圧器と、この高電圧変圧器の前記第一及び第二の二次巻線にそれぞれ接続されその出力を直流に変換する少なくとも第一の高電圧整流回路及び第二の高電圧整流回路の二つの高電圧整流回路と、前記第一の高電圧整流回路の直流出力の負端子と前記第二の高電圧整流回路の直流出力の正端子とを接続してこれを接地すると共に前記第一の高電圧整流回路の直流出力の正端子にアノード側が接続されると共に前記第二の高電圧整流回路の直流出力の負端子がカソード側に接続されてX線を放射するX線管とを備えてなるX線発生装置において、前記第一の一次巻線に流れる電流と前記第二の一次巻線に流れる電流とに含まれるコモンモード電流を除去するコモンモード電流除去手段と、前記第一の一次巻線に流れる電流よりも小さい電流を該第一の一次巻線に流れる電流より分流し、この分流した電流を前記第二の一次巻線に流れる電流に加算する電流加算手段とを設ける。
【0030】
(13)前記(12)のコモンモード電流除去手段は、前記第一の一次巻線に流れる電流の向きと前記第二の一次巻線に流れる電流の向きとが逆になるように透磁率の大きい磁性材料の第一のコアに前記第一の一次巻線と第二の一次巻線とを貫通させてなる。
【0031】
(14)前記(12)のコモンモード電流除去手段は、前記交流電源の一端と前記第一の一次巻線とを接続する第一の導体に流れる電流の向きと、前記交流電源の他端と前記第二の一次巻線とを接続する第二の導体に流れる電流の向きとが逆になるように透磁率の大きい磁性材料の第一のコアに前記第一の導体と第二の導体とを貫通させてなる。
【0032】
(15)前記(13),(14)の第一のコアは、AL値が高く、前記高電圧変圧器の漏れインダクタンスと同等以上のインダクタンスが得られるコアである。ただし、AL値とは、コア固有の値で、そのコアに導体をNターン巻いた時に得られるインダクタンスの値を1ターン当たりに正規化した値で、単位はμH/N2である。
【0033】
(16)前記(12),(14)の交流電源は、直流電源からの直流を受電して高周波の交流に変換するインバータを有してなる。
【0034】
(17)前記(12)の電流加算手段は、前記交流電源の一端と前記第一の一次巻線とを第一の導体に接続し、前記交流電源の他端と前記第二の一次巻線とを第三の導体に接続して、前記第一の導体に流れる電流と前記第三の導体に流れる電流の方向が同じで、かつ前記第三の導体に流れる電流が前記第一の導体に流れる電流よりも小さくなるように前記第一の導体と第三の導体を透磁率の大きい磁性材料の第二のコアに貫通させてなる。
【0035】
(18)前記(17)の第二のコアは、AL値が高く、前記高電圧変圧器の漏れインダクタンスと同等以上のインダクタンスが得られるコアである。ただし、AL値とは、コア固有の値で、そのコアに導体をNターン巻いた時に得られるインダクタンスの値を1ターン当たりに正規化した値で、単位はμH/N2である。
【0036】
(19)前記(17),(18)の第二のコアは、任意の回数巻かれたコイルを備え、このコイルに前記第三の導体を接続してなる。
【0037】
(20)前記(12)の交流電源は、直流電源からの直流を受電して高周波の交流に変換するインバータを有してなる。
【0038】
(21)前記(12)X線管は、金属容器に収納され、該金属容器を接地してなる。
【0039】
さらに、
(22)X線管及びX線高電圧装置を含むX線発生装置と、前記X線管に対向して置かれたX線検出器と、これらX線源及びX線検出器を保持し、被検体の周りを回転駆動される回転円板と、前記X線検出器で検出されたX線の強度に基づいて前記被検体の断層像を画像再構成する画像再構成手段とを備えたX線CT装置において、前記X線発生装置として上記(5),(11),(16),(20),(21)のX線発生装置を用いる。
【0040】
このように、インバータを用いて商用周波数よりも高い周波数の交流電源とすれば、X線発生装置は小型、軽量化され、これをX線CT装置のスキャナに搭載することにより高速スキャンのX線CT装置が可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(1)X線発生装置
本発明によるX線発生装置装置は、中性点接地方式の全てのX線発生装置に適用できるが、ここではインバータ式X線高電圧装置をX線発生装置に用いた例を取り上げ、説明する。
【0042】
1)高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧の除去 図1は高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるインバータ式X線高電圧装置の第1の実施例を示す全体構成のブロック図である。
【0043】
このX線高電圧装置は、直流電圧をインバータ回路を用いて高周波の交流電圧に変換し、その出力電圧を高電圧変圧器で昇圧し、この電圧を整流してX線管に印加してX線を放射するもので、図に示すように、直流電源1と、電力用半導体スイッチング素子である絶縁ゲート型バイポーラトランジスタIGBT21〜24から構成されるフルブリッジ型のインバータ回路2と、高電圧変圧器3と、高電圧整流器4と、X線管5等を備えて構成される。
【0044】
次に、上記構成要素の機能についてそれぞれ簡単に説明する。上記直流電源1は、直流電圧を供給する手段であり、この部分には、例えばバッテリを用いてもよいし、あるいは50Hzまたは60Hzの交流の商用電源の電圧を整流すると共にコンデンサ等の平滑素子で平滑することによって直流電圧を得る手段、例えばダイオードやサイリスタによる整流回路、もしくはIGBTを適用した昇圧機能を持つ特開平7-65987号公報に開示されているパルス幅変調制御を用いたコンバータ回路でも良い。この場合、前記特開平7-65987号公報に開示されているパルス幅変調制御を用いたコンバータ回路を用いれば、インバータ回路の直流電源電圧を高くすることができるだけでなく、商用交流電源の相電圧と相電流の位相を一致させて力率をほぼ1にすることができ、上記ダイオードやサイリスタによる整流回路を用いるコンバータ回路方式よりも無効電流が大幅に低減されて電源設備容量の低減も可能になるというメリットがある。
インバータ2は、上記直流電源1から出力された直流電圧を受電して高周波の交流電圧に変換すると共にX線管5に印加する電圧(以下管電圧)を制御するものである。
【0045】
高電圧変圧器3は、上記インバータ2の交流出力電圧を昇圧するもので、その一次巻線がインバータ2の出力側に接続されている。ここで、一次巻線は十分な電流容量を確保すると共に高周波で大電力を供給するために、第一の一次巻線31aと第二の一次巻線31kの二組の一次巻線を並列に接続し、前記第一、第二の一次巻線31a,31kがU-U型のカットコアの二脚に巻かれている。一方、二次巻線は、上記各脚の一次巻線31a, 31kに対応して巻かれ、その一方がアース電位に対してアノード側の管電圧を発生する第一の二次巻線32aと、他方がアース電位に対してカソード側の管電圧を発生する第二の二次巻線32kとを有する。図2は、図1における変圧器の構造(一部断面)を示す図である。
【0046】
側面視で口の字形の鉄心(U-Uコア)33の一方の脚34aには、第一の一次巻線31aと第一の二次巻線32aとが巻かれており、他方の脚34kには、第二の一次巻線31kと第二の二次巻線32kとが巻かれている。そして、X線高電圧装置に使用される高電圧変圧器3は、高電圧側になる二次巻線と低電圧側になる一次巻線との間の電圧差が非常に大きくなる為に、それぞれの一次巻線31a,31kと二次巻線32a,32kとの間に、所定の距離を設けると共に絶縁物(図示省略)を介在させなければならない。このことから、磁束の一部が上記一次巻線31a,31kと二次巻線32a,32kとの間を通過し、又は各巻線と鉄心33との間を通過して漏れ磁束が生じ易いという特徴がある。この漏れ磁束は、漏れインダクタンス35a,35kとして作用し、これらは等価的にそれぞれの一次巻線31a,31kと直列に接続されることになる。また、高電圧変圧器は巻数比が非常に大きい(数百〜千数百)為、二次巻線32a,32kの巻数は非常に多く、数十層にわたって巻かれる。したがって、それらの層間には浮遊静電容量36a,36kが生じることになり、これらは一次側から見た場合、等価的には二次巻線の出力と並列に接続されることになる。このように、発生した磁束の一部は鉄心を通らず、見かけ上、第一の一次巻線31aと二次巻線32aとで一つの変圧器を構成し、第二の一次巻線31kと二次巻線32kとでもう一つの変圧器を構成していると見なすことができる。高電圧整流器4は、高電圧変圧器3からの高周波の交流高電圧を受電して直流に変換するものであり、上記第一の二次巻線からの出力電圧を受電する第一の高電圧整流器4a、上記第二の二次巻線からの出力電圧を受電する第二の高電圧整流器4kから成る。第一の高電圧整流器4aは、アースに対してX線管のアノード側に電圧を印加し、第二の高電圧整流器4kはアースに対して同じくカソード側に電圧を印加するようになっている。X線管5は、上記高電圧整流器4からの直流高電圧が印加されてX線を放射するもので、熱電子を発生するカソード5kと、このカソード5kからの熱電子が衝突することによってX線を発生するアノード5aとを有してなり、上記アノード5aは第一の高電圧整流器4aの出力側に接続され、他方カソード5kは第二の高電圧整流器4kの出力側に接続される。6は、高電圧変圧器3のインビーダンスの差によるアンバランス電圧をなくするためのコモンモード電流除去手段としての第一のコアである。
【0047】
次に、このように構成されたインバータ式X線高電圧装置の動作について説明する。
先ず、図1において、直流電源1の直流電圧は、インバータ2により交流電圧に変換される。次に、上記インバータ2から出力される交流電圧は、第一の漏れインダクタンス35aと第一の浮遊静電容量36aとからなる第一の共振回路に印加されて共振電流Iaが流れる。
【0048】
そして、この共振電流Iaによって第一の二次巻線32aから交流電圧が出力され、その後第一の整流器4aによって直流に変換されて、負荷であるX線管5のアノード5a側からカソード5k側に流れる電流Ixを供給する。
これと同時に、上記インバータ2から出力される交流電圧は、第二の漏れインダクタンス35kと第二の浮遊静電容量36kとからなる第二の共振回路に印加されて共振電流Ikが流れる。そして、この共振電流Ikによって第二の二次巻線32kから交流電圧が出力され、その後第二の整流器4kによって直流に変換されて、負荷であるX線管5のアノード5a側からカソード5k側に流れる電流Ixを供給する。
【0049】
ここで、共通の電圧源であるインバータ2の出力から見た第一の漏れインダクタンス35aのインダクタンスをLa、第二の漏れインダクタンス35kのインダクタンスをLkとし、また第一の浮遊静電容量36aの静電容量をCa、第二の浮遊静電容量36kの静電容量をCkとする。さらに、X線管5のアノード側の負荷抵抗をRa、カソード側の負荷抵抗をRkとし(通常はRa =Rk)、電圧源であるインバータ2の出力電圧の角周波数をωとすると、電圧源に対する電流Ia,Ikの位相は、
Iaの位相 :-tan-1[{ω・La − (ω・Ca)-1}/Ra] ------ (1)
Ikの位相 :-tan-1[{ω・Lk− (ω・Ck)-1}/Rk] ------ (2)
で表せる。従って、第一の一次巻線31aと第二の一次巻線31k、第一の二次巻線32aと第二の二次巻線32kとの間に製作上のばらつきが生じると、図10に示したように(IaはIa1に、IkはIb1に対応)、第一の共振電流Iaの位相と第二の共振電流Ikの位相とがずれてしまうことになる。そして、この位相のずれは、インバータ2のスイッチング素子21〜24の導通幅が小さい撮影条件、すなわち管電圧が大きく、管電流が小さい軽負荷条件の際には、共振電流波形に微小の差があっても、二次巻線の出力電圧に大きな影響を与える為に、アノード側の管電圧とカソード側の管電圧との間に大きなアンバランス電圧をもたらす。このようなアンバランス電圧が生じた場合、それが大きくなるとアノード・アース間、あるいはカソード・アース間に定格以上の電圧が印加されることになるので、その分だけ、X線管はもとより高電圧変圧器や高電圧整流器及びこれらに付属する高電圧部品の耐電圧を高くしなければならないので、装置の大型化を招き、上記小型化の大きな障害となる。そこで、上記のようなアンバランス電圧をなくする手段として設けたのがコモンモード電流除去手段としての第一のコア6である。
【0050】
以下、この動作について詳述する。
前記図10(a)に示した電流Icは、IaとIkに共通に含まれるコモンモード電流である。
このコモンモード電流Icを前記IaとIkから除去できれば、該IaとIkの位相を一致させることができ、アンバランス電圧をなくすることができる。
【0051】
本発明の第一の実施例は、このような考え方に基づいてなされたもので、コモンモード電流除去手段としての第一のコア6には、透磁率の非常に高い磁性素材からなるトロイダルコア(AL値が高く、漏れインダクタンス35a,35kと同等以上のインダクタンスが得られるコア。ただし、AL値とは、コア固有の値で、そのコアに導体をNターン巻いた時に得られるインダクタンスの値を1ターン当たりに正規化した値で、単位はμH/N2で、以下、AL値と呼ぶ)を使用する。
【0052】
この第一のコア6による方法では、第一の共振電流Iaが流れる第一の一次巻線31aとインバータ2の出力端とを接続する第一の接続導体37aと、第二の共振電流Ikが流れる第二の一次巻線31kとインバータ2の出力端とを接続する第二の接続導体37bとを、前記IaとIkの電流の向きが互いに反対になるようにして、第一のコア6にコモンモードで貫通させる。この方法によれば、二つの共振電流Ia,Ikの向きが互いに反対であるために、コモンモード電流除去手段(トロイダルコア)6に生じる磁束の向きが逆となり、この場合、二つの共振電流波形が全く同じであれば、コア6内では、全く磁束が発生しない状態となる。しかし、一旦二つの共振電流波形に差が生じれば、コア6内に磁束が発生するが、本発明に用いるコア6は非常にAL値の高いものを用いているので、前記二つの共振電流波形の差分に対しては非常に大きなインピーダンスとして働くこととなる。すなわち、コモンモード電流Icは流れなくなり、結果として二つの共振電流Ia,Ikを同じにすることができる。以上のように、同じ電圧源としてのインバータ2に接続された二つの共振電流Ia,Ikを同じにできるので、第一の二次巻線32aと第二の二次巻線32kに供給される電力(電圧×電流)を等しくすることができる。従って、アノード側、カソード側の管電圧の差(アンバランス電圧)をなくすることが可能となる。
【0053】
図3は高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるインバータ式X線高電圧装置の第2の実施例を示す全体構成のブロック図である。
【0054】
この第2の実施例は、高電圧変圧器3の二次巻線及び高電圧整流器4を図1の実施例よりも多く分割したもので、高電圧変圧器3の第一の二次巻線32aを32a1と32a2に、第二の二次巻線32kを32k1と32k2に、そして高電圧整流器4の第一の高電圧整流器4aを4a1と4a2に、第二の高電圧整流器4kを4k1と4k2に分割する。このように分割した高電圧変圧器3の第一の二次巻線32a1の出力電圧を前記第一の高電圧整流器4a1で直流に変換し、前記第一の二次巻線32a2の出力電圧を前記第一の高電圧整流器4a2で直流に変換して、前記第一の高電圧整流器4a1の直流出力電圧と前記第一の高電圧整流器4a2の直流出力電圧とを加算した電圧をX線管5のアノード5aとアース間に印加する。一方、X線管5のアースとカソード5k間には、高電圧変圧器3の第二の二次巻線32k1の出力電圧を前記第一の高電圧整流器4k1で直流に変換した電圧と、前記第二の二次巻線32k2の出力電圧を前記第二の高電圧整流器4k2で直流に変換した電圧とを加算した電圧を印加する。
【0055】
コモンモード電流除去手段のトロイダルコア6を含むその他は図1の第1の実施例と同様であるので省略する。
【0056】
上記図3のように構成することによって、高電圧変圧器3のインビーダンスの差によるアンバランス電圧をなくすることができるほかに、高電圧変圧器の各二次巻線の層間の静電容量が小さくなり、さらにこれらは直列に接続されるので、一次側に換算した等価浮遊静電容量は小さく、管電流が小さい軽負荷時に前記等価浮遊静電容量に流れる無効電流が低減されて装置全体の効率が向上するという効果がある。その他、高電圧変圧器3の二次巻線及び高電圧整流器4は分割されるので、それぞれ分割された二次巻線及び高電圧整流器の耐電圧は低くできるので、さらなる小型化が可能になる。特に、高電圧整流器4の分割整流器4a1,4a2,4k1,4k2はモールド実装が可能となるので、一層の小型化が期待できる。なお、上記図3の実施例では、高電圧変圧器3の二次巻線及び高電圧整流器4の分割数を4としたが、本発明はこれに限定するものではなく、高電圧変圧器の浮遊静電容量による無効電流の低減及び装置の小型化と実装の点との兼ね合いから分割数は4以上でも良い。また、上記実施例においては、第一の接続体37aと第二の接続導体37bをトロイダルコア6に貫通させるのみとしたが、さらに結合を強めるためには、二つの共振電流Ia,Ikが流れる接続導体を同じターン数だけコアに巻いても良い。
【0057】
2)高電圧変圧器のインビーダンス及び負荷のインピーダンスの差によるアンバランス電圧の除去
図4は高電圧変圧器のインビーダンス及び負荷のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるインバータ式X線高電圧装置の第3の実施例を示す全体構成のブロック図である。この第3の実施例は、図1に示す第1の実施例のインバータ式X線高電圧装置の負荷となるX線管にメタルX線管を用い、かつインバータ2と高電圧変圧器3の一次巻線間に電流加算手段としての第二のコア7を設けて、上記コモンモード電流除去手段としての第一のコア6による高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧の除去に加えて、前記メタルX線管のアノード・アース間の管電圧と、カソード・アース間の管電圧との均衡化を図る方法に関するものである。
【0058】
図4において、第一の高電圧整流器4aにX線管5’のアノード5a’を接続すると共に他方の第二の高電圧整流器4kにX線管5’のカソード5k’を接続し、かつ前記第一の高電圧整流器4aと第二の高電圧整流器4kの直列接続部に前記X線管容器の金属部51を接続し、さらにこの接続部をアースに接続して通常のX線管と同様に前記第一及び第二の整流器4a,4kの出力電圧をX線管5’のアノード5a’とアース間及びカソード5k’とアース間に印加してX線を発生させる。
【0059】
このようなメタルX線管を用いた場合、高電圧変圧器3の第一の二次巻線32aの出力電圧は、第一の高電圧整流器4aで整流されて電流Itが、第一の高電圧整流器4a→X線管5’のアノード5a’→カソード5k’→第二の高電圧整流器4kの径路で流れる。この時、上記X線管5’のカソード5k’から発生する熱電子の一部は、容器の金属部51を介してアースに流れ込み,電流Icが第二の高電圧整流器4k→X線管5’の金属部51→カソード5k’→第二の高電圧整流器4kの径路で流れる。すなわち、上記第一の二次巻線32aは第一の高電圧整流器4aを介して電流Itを供給し、第二の二次巻線32kは第二の高電圧整流器4kを介してItとIcとを供給することになる。このことから、高電圧変圧器3において、第二の二次巻線32kに流れる電流は、第一の二次巻線32aに流れる電流よりもIcだけ大きくなる。ここで前述のように、高電圧変圧器3は、第一の一次巻線31a及び二次巻線32aから成る第一の変圧器と、第二の一次巻線31k及び二次巻線32kから成る第二の変圧器とに分けて考えられるから、第二の一次巻線31kに流れる電流Ikは、第一の一次巻線31aを流れる電流Iaよりも大きくなる。つまり、インバータ回路2の出力側から見ると、X線管5’に電力を供給する回路のうちカソード5k’の回路はアノード5a’の回路よりも負荷インピーダンスが低いと見なすことができる。そして通常のメタルX線管の場合、撮影条件にもよるが、8%〜13%程度カソード側のインピーダンスが低くなり、これによって図12に示したように、アノード・アース間電圧Va’とカソード・アース間電圧Vk’に差が生じる。このような負荷インピーダンスの差によって生じるアンバランス電圧は、管電流Itが大きいほど大きくなる。
この負荷インピーダンスの差によって生じるアンバランス電圧に上記高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧が加われば、さらにX線管のアノード・アース間電圧Va’とカソード・アース間電圧Vk’の差が大きくなる。
【0060】
このような理由によって発生するアンバランス電圧をなくするためには、第二の一次巻線31kに第一の一次巻線31aよりも多くの電流を流すようにすれば良い。そのためには、負荷インピーダンスの低いカソード側の二次巻線32kにより多くの出力電圧を発生させる必要があるので、その具体的手段として第1の実施例で用いたトロイダルコア6に加えて、このコア6と同じくAL値の高い電流加算用の第二のコア7をインバータ2の出力と高電圧変圧器3の間に設ける。
【0061】
このコア7を第一の共振電流Iaが流れる第一の一次巻線31aとインバータ2の出力端とを接続する第一の接続導体37aに貫通させると共に、前記Iaの1/10の電流に相当する分の電流Ibを前記電流Iaと逆方向になるように第二の一次巻線とインバータ2の出力とを接続する接続導体37cに貫通させる。具体的例として、前記第二の一次巻線31kを通過した後の電流径路から迂回させた接続導体37cを前記コア7に10ターン巻く。この構成により、前記第1の実施例で述べたように、図4のIaとIkは等しく保たれると同時に、コア7内でも磁束が零(または,アンペア・ターンが一定)に保たれるように作用するので、
Ib = Ia /10 ------ (3)
となり、第二の一次巻線31kの電流値Ib2を第一の一次巻線31aの電流Iaよりも10%増加させることが可能となる。このように、インピーダンスの低い第二の共振回路の電流値を増加させることにより、図5のようにアノード側、カソード側の管電圧の均等化を図ることが可能となる。なお、上記第3の実施例においては、電流加算用コア7の巻数比は1:10としたが、これに限らず、X線管の特性に合わせて任意の巻数比を選択すれば良い。また,高電圧変圧器3の製作後のインピーダンスのバラツキに合わせて、アノード側とカソード側の管電圧が均等化するよう、適当な巻数比を選ぶようにしてもよい。上記の適当な巻数比を選択できるようにするためには、第二のコアの数箇所に端子を設けて巻数を調整できるようにすれば良い。
【0062】
さらに、上記実施例は、コモンモード電流除去手段としての第一のコア6及び電流加算用としての第二のコア7にトロイダルコアを適用した例であるが、本発明はこれに限らず十分なAL 値が得られる限り他の種類のコアを用いても構わない。
図6は高電圧変圧器のインビーダンス及び負荷のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるインバータ式X線高電圧装置の第4の実施例を示す全体構成のブロック図である。
【0063】
この第4の実施例は、高電圧変圧器3の二次巻線及び高電圧整流器4を図3の実施例よりも多く分割したもので、高電圧変圧器3の第一の二次巻線32aを32a1と32a2に、第二の二次巻線32kを32k1と32k2に、そして高電圧整流器4の第一の高電圧整流器4aを4a1と4a2に、第二の高電圧整流器4kを4k1と4k2に分割する。このように分割した高電圧変圧器3の第一の二次巻線32a1の出力電圧を前記第一の高電圧整流器4a1で直流に変換し、前記第一の二次巻線32a2の出力電圧を前記第一の高電圧整流器4a2で直流に変換して、前記第一の高電圧整流器4a1の直流出力電圧と前記第一の高電圧整流器4a2の直流出力電圧とを加算した電圧をX線管5’のアノード5a’とアース間に印加する。一方、X線管5’のアースとカソード5k’間には、高電圧変圧器3の第二の二次巻線32k1の出力電圧を前記第一の高電圧整流器4k1で直流に変換した電圧と、前記第二の二次巻線32k2の出力電圧を前記第二の高電圧整流器4a2で直流に変換した電圧とを加算した電圧を印加する。
コモンモード電流除去手段としての第一のトロイダルコア6及び電流加算手段としての第二のトロイダルコア7を含むその他は図4の第3の実施例と同様であるので省略する。
【0064】
上記図6のように構成することによって、高電圧変圧器3のインビーダンスの差及び負荷としてのX線管5’のアノード・カソード間とカソード・アノード間のインピーダンスの差によるアンバランス電圧をなくすることができるほかに、高電圧変圧器の各二次巻線の層間の静電容量が小さくなり、さらにこれらは直列に接続されるので、一次側に換算した等価浮遊静電容量は小さく、管電流が小さい軽負荷時に前記等価浮遊静電容量に流れる無効電流が低減されて装置全体の効率が向上するという効果がある。その他、高電圧変圧器3の二次巻線及び高電圧整流器4は分割されるので、それぞれ分割された二次巻線及び高電圧整流器の耐電圧は低くできるので、さらなる小型化が可能になる。特に、高電圧整流器4の分割整流器4a1,4a2,4k1,4k2はモールド実装が可能となるので、一層の小型化が期待できる。なお、上記図6の実施例では、高電圧変圧器3の二次巻線及び高電圧整流器4の分割数を4としたが、本発明はこれに限定するものではなく、高電圧変圧器の浮遊静電容量による無効電流の低減及び装置の小型化と実装の点との兼ね合いから分割数は4以上でも良い。
【0065】
また、上記図6の実施例においては、電流加算用コア7の巻数比は1:10としたが、これに限らず、X線管の特性に合わせて任意の巻数比を選択すれば良い。さらに,高電圧変圧器3の製作後のインピーダンスのバラツキに合わせて、アノード側とカソード側の管電圧が均等化するよう、適当な巻数比を選ぶようにしてもよい。上記の適当な巻数比を選択できるようにするためには、図4の実施例と同様、第二のコアの数箇所に端子を設けて巻数を調整できるようにすれば良い。
【0066】
さらにまた、上記図6の実施例においては、コモン電流除去手段としての第一のコア6及び電流加算用としての第二のコア7にトロイダルコアを適用したが、本発明はこれに限らず十分なAL値が得られる限り他の種類のコアを用いても構わない。
【0067】
さらにまた、上記図6の実施例においては、第一の接続体37aと第二の接続導体37bをトロイダルコア6に、第一の接続体37aと第三の接続導体37cをトロイダルコア7に貫通させるのみとしたが、さらに結合を強めるためには、二つの共振電流Ia,Ikが流れる接続導体を同じターン数だけコアに巻いても良い。
【0068】
以上、上記第1乃至第4の実施例に示したように、インバータの出力側と高電圧変圧器の一次巻線間にコモンモード電流除去手段及び電流加算手段を設けることによって、高電圧変圧器のインピーダンスと負荷インピーダンスの差によって生じるX線管のアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧の差を小さくすることができる。これによって、X線管はもとより高電圧変圧器や高電圧整流器及びこれらに付属する高電圧部品の耐電圧を必要最小限まで低くすることができ、X線高電圧装置のさらなる小型、軽量化が可能となる。
【0069】
なお、上記の実施例は、インバータ式X線高電圧装置とX線管を組み合わせたX線発生装置の例であるが、本発明はこれに限定するものではなく、X線高電圧装置は中性点接地方式のものであればいかなるものでも良い。
また、回路インピーダンスの差によるアンバランス電圧と負荷インピーダンスの差によるアンバランス電圧との両方のアンバランス電圧を低減する必要のない場合は、それぞれ単独で用いても良い。
【0070】
(2)本発明によるインバータ式X線高電圧装置を用いたX線CT装置、図7は、メタルX線管を負荷とする図4に示した本発明によるX線高電圧装置をスキャナ回転部に搭載したX線CT装置の構成を示す図である。
この実施例のX線発生装置は、交流電源を介して該電源の交流電力を給電するスリップリングとブラシから成る電力伝達機構、昇圧と高力率機能を備えたパルス幅変調制御型直流/交流変換回路(特開平7-65987号公報に開示、以下、昇圧型高力率AC-DCコンバータと呼ぶ)、インバータ、高電圧変圧器、メタルX線管などからなる。
【0071】
図7において、100は周波数が50Hz又は60Hzの三相交流電源、102a,102b,102cは前記交流電源100に接続されこの交流電圧をスキャナの回転部108へ伝達するためのブラシ、111a,111b,111cは前記ブラシ102a,102b,102cに接触しながらスキャナ回転部108と共に回転するスリップリングで、前記ブラシ102a,102b,102cと前記スリップリング111a,111b,111cで電力伝達機構を構成している。
【0072】
120a,120b,120cは交流電源100の各相に直列に挿入したインダクタ、130はインダクタ120a,120b,120cに接続されこれらのインダクタと共に構成する昇圧型高力率AC-DCコンバータ、121は昇圧型高力率AC-DCコンバータ130の出力電圧を平滑するコンデンサで、前記AC-DCコンバータ130の出力直流電圧を高周波の交流に変換するインバータ2からメタルX線管5’までは上記図4の実施例と同じであるので、その構成の説明については省略する。
【0073】
130aはスリップリング111a,111b,111cを介して昇圧型高力率AC-DCコンバータ130に供給される電流と該コンバータ130の直流出力電圧を検出しながらAC-DCコンバータ130を制御するコンバータの制御回路、2aはX線管5’に供給する直流高電圧(管電圧)を検出してこれを入力し、この検出した管電圧が所望の電圧になるようにインバータ2を制御するインバータ制御回路である。140は、昇圧型高力率AC-DCコンバータ4の出力側に接続され、この直流電圧Vdcから50Hz〜200Hz程度の交流を発生させ、X線管5’の陽極を回転駆動するための陽極回転駆動回路で,通常のインダクションモータ用インバータと同様の構成と機能を有している。以上によりX線発生装置80を構成し、X線管5’から放射されたX線は、被検体109を透過したのち、X線検出部107を構成する検出器116で検出され、さらに増幅器117で増幅される。111dはスキャナの回転部108に搭載されたスリップリング、102dはスリップリング111dに接触しながら前記増幅器117から出力されるX線検出信号を伝達するブラシ、112は前記ブラシ102dから伝達されたX線検出信号から断層像を生成する画像処理装置、110は画像処理装置112に接続され生成された断層像を表示する画像表示装置である。このように、上記X線発生装置80とX線検出部107はスキャナ回転部108に搭載され、本発明によるX線CT装置は、前記スキャナ回転部108と、図示省略の被検体109を載置する寝台と、前記画像処理装置112と画像表示装置110を含む図示省略の操作卓との3つのユニットで構成される。
次に,このように構成されたX線CT装置の動作について説明する。
【0074】
被検体を寝台に載置し、位置決めを行った後に、図示省略の操作卓でスライス位置、スキャン数、スキャン時間、管電圧、管電流などの各種条件を設定すると、前記操作卓からの操作指令に基づいて図示省略のスキャナ駆動部によりスキャナ回転部108が起動し、スキャン可能な所定の回数になるまで加速する。一方、X線発生装置80は、昇圧型高力率AC-DCコンバータ130により、スリップリング111a,111b,111cへの入力電流が正弦波で、該スリップリングに入力される電圧との位相を一致させて力率をほぼ1にし、かつ直流出力電圧Vdcを交流電源100の電圧のピーク値より高くなるように動作する。すなわち、力率及び電圧を高くする機能を有している。これらの機能を持つAC-DCコンバータをX線高電圧装置に適用した場合の構成及び動作は、特開平7-65987号公報などに開示されているので、その説明の詳細は省略するが、前記スリップリング111a,111b,111cから出力される交流電源と前記コンバータ130との間にインダクタ120a,120b,120cを接続し、これらのインダクタと前記コンバータ130の直流出力の正側、負側の各間に、自己消孤可能なスイッチング素子、例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipora Transistor、以下、IGBTと略称する)を接続してフルブリッジ型3相全波整流回路を構成し、かつこれらの自己消孤可能なスイッチング素子に各々逆並列にダイオードを接続してAC-DCコンバータ130を構成する。そして、このコンバータ4に入力する電流を検出して、該コンバータの入力電流と入力電圧との位相を一致させ、かつ前記コンバータ130の直流出力電圧が所定の電圧になるように前記コンバータ制御回路130aで前記スイッチング素子をパルス幅変調(Puls Width Modulation、以下、PWMと略称)制御する。このような機能の高力率AC-DCコンバータをX線発生装置に適用すると、スリップリング111a,111b,111cに流れる電流を最小限にすることが可能である。すなわち、従来のダイオード又はサイリスタを用いたフルブリッジ構成の三相全波整流回路を用いた場合は、その整流回路が交流電源から入力する有効電力と皮相電力の比、すなわち、力率は0.4〜0.6程度である。
【0075】
上記のような力率1で電力を取り込める昇圧型高力率AC/DCコンバータの場合、上記従来のダイオード又はサイリスタによる全波整流回路に対して、交流電源100からコンバータ130に取り込む入力電流は1/2.5〜1/1.67程度で良いことになり、かつその入力電流の波形は正弦波となる。したがって、スリップリングとブラシに流れる電流が小さくて済み、接触面で発生する電力損失による発熱を低減することができる。また、スリップリングに流れる電流の周波数も50Hz又は60Hzと、20kHzインバータの出力を伝達する場合に比べて格段に低いので、スリップリングに発生していた渦電流による損失も低減する。
【0076】
この結果、スリップリングとブラシから成る電力伝達機構の電力損失が大幅に低減し、信頼性の高いX線発生装置を構成することが可能になる。さらに、交流電源の容量も、従来の60〜70%で良いという効果もある。また、図7に示した昇圧型高力率AC-DCコンバータ130は、自己消孤可能なスイッチング素子をPWM制御することによって、上記インダクタ120a,120b,120cに電磁エネルギを蓄えることができるので、この電磁エネルギを上記平滑コンデンサ121へ放出して該平滑コンデンサに交流電源100のピーク電圧以上の電圧を充電することができる。
すなわち、直流出力電圧Vdcを交流入力電圧のピーク値よりも高くする昇圧機能を有しており、昇圧型高力率AC-DCコンバータ130の出力側に接続されているインバータ2を高電圧で動作させることが可能で、一次側からみた高電圧変圧器3の二次巻線の浮遊静電容量を効果的に低減させることが可能で、それだけインバータ2の電流と、高電圧変圧器3の一次巻線電流は低減し、これら回路内に生じる損失を大幅に低減することが可能となる。
【0077】
このようにして昇圧されたコンバータ130の出力電圧をインバータ2で商用電源100の周波数よりも高い周波数の交流に変換し、この電圧を高電圧変圧器3で昇圧し、この昇圧した交流電圧を高電圧整流器4a、4kで直流に変換してメタルX線管5’に印加する。前記高電圧変圧3の第一の一次巻線31a、二次巻線32a、漏れインダクタンス35a、浮遊静電容量36aで構成される第一の変圧器のインピーダンスと第二の一次巻線31k、二次巻線32k、漏れインダクタンス35k、浮遊静電容量36kで構成される第二の変圧器のインピーダンスと差によって生じるX線管5’のアノード・アース間電圧Va’とカソード・アース間電圧Vk’との差のアンバランス電圧をコモンモード電流除去手段6で除去すると共に、前記X線管5’のアノード・アース間とカソード・アース間電圧のインピーダンスの差によって生じる該X線管5’のアノード・アース間電圧Va’とカソード・アース間電圧Vk’との差のアンバランス電圧を電流加算手段7で除去する。
【0078】
上記のように構成された昇圧型高力率AC-DCコンバータで高電圧化された直流電圧をメタルX線管5’の陽極駆動回路140に供給して適宜な電圧、周波数の三相又は単相の交流電圧を発生させて,この電圧をX線管5’の回転陽極駆動機構(図示省略)に印加してX線管の陽極を駆動する。この陽極回転駆動回路140の構成と動作は,特開2000-150193号公報に等に詳述されているので,ここでは詳しい説明は省略する。
【0079】
以上の動作により、スキャナ回転部108が回転し、X線発生装置80のインバータ2の直流電源電圧は撮影管電圧に対応した値に設定され、そしてこの電圧は陽極回転駆動回路140に入力されてX線管5’の陽極5a’は所定の回転数で回転し、撮影の準備は整う。
【0080】
スキャナ回転部108がスキャン時間に対応した回転数に達すると、スキャンを開始し、インバータ2が動作してX線管5’に撮影条件に応じた管電圧が印加され、管電流が流れてX線管5’から撮影条件に応じたX線が放射される。この放射されたX線は、被検体109を透過したのち、X線検出部107を構成する検出器116で検出され、さらに増幅器117で増幅されて、スリップリング111dと、ブラシ102dによる伝達機構を介して画像処理装置112に取り込まれ、記憶される。スキャナが所定の一定の回転数で回転して所定範囲の被検体透過データを収集し、X線検出器特性等の各種の補正を行って投影データ得、これを画像処理装置112に記憶し、このデータを用いて画像再構成処理を行い、再構成された断層画像を画像表示装置110に表示する。
【0081】
以上、本発明によるX線CT装置によれば、X線発生装置のインバータの出力側と高電圧変圧器の一次巻線間にコモンモード電流除去手段及び電流加算手段を設けて、高電圧変圧器のインピーダンスと負荷インピーダンスの差によって生じるX線管のアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧の差を小さくすることができる。これによって、X線管はもとより高電圧変圧器や高電圧整流器及びこれらに付属する高電圧部品の耐電圧は必要最小限まで低くすることができので、X線発生装置は小型化、軽量になり、スキャナ重量の低減による高速スキャンのX線CT装置が可能となる。
【0082】
【発明の効果】
以上、本発明によれば,中性点接地方式のX線高電圧装置に、コモンモード電流除去手段及び電流加算手段を設けたので、高電圧変圧器のインピーダンスと負荷インピーダンスの差によって生じるX線管のアノード・アース間電圧とカソード・アース間電圧の差を小さくすることができる。これによって、X線管はもとより高電圧変圧器や高電圧整流器及びこれらに付属する高電圧部品の耐電圧を必要最小限まで低くすることができので、X線発生装置の小型、軽量化が可能となる。特に、X線高電圧装置にインバータ式のX線高電圧装置を用いれば、インバータの動作周波数の高周波化による高電圧変圧器の小型、軽量化効果も加わって、X線発生装置は、さらに小型、軽量なものとなる。
そして、この小型、軽量化されたX線発生装置をX線CT装置のスキャナに搭載することにより、スキャンの高速化が図られ、心臓撮影なども可能なX線CT装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるX線発生装置の第1の実施例の構成を示す図。
【図2】図1の第1の実施例における高電圧変圧器の構造(一部断面)を示す図。
【図3】高電圧変圧器のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるX線発生装置の第2の実施例の構成を示す図。
【図4】高電圧変圧器のインビーダンス及び負荷のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるX線発生装置の第3の実施例の構成を示す図。
【図5】図4の第3の実施例を用いた場合の管電流とX線管のアノード・アース間電圧及びカソード・アース電圧との関係を示す図。
【図6】高電圧変圧器のインビーダンス及び負荷のインピーダンスの差によるアンバランス電圧を除去する本発明によるX線発生装置の第4の実施例の構成を示す図。
【図7】メタルX線管を負荷とする図4に示した本発明によるX線発生装置をスキャナ回転部に搭載したX線CT装置の構成を示す図。
【図8】従来のX線発生装置の主回路構成の一例を示す図。
【図9】高電圧変圧器の等価回路を示す図。
【図10】高電圧変圧器の一次巻線に流れる電流波形を示す図。
【図11】 X線管にメタルX線管を用いた従来のX線発生装置の構成を示す図。
【図12】 X線管にメタルX線管を用いた従来のX線発生装置の管電流と管電圧(アノード・アース間電圧及びカソード・アース間電圧)の関係を示す図。
【符号の説明】
1 直流電源、2 インバータ、3 高電圧変圧器、4 高電圧整流器、5、5’ X線管、6 コモンモード電流除去用コア、7 電流加算用コア
Claims (2)
- 交流電源と並列に接続された複数の一次巻線と前記一次巻線に対応した複数の二次巻線とを有し前記交流電源の電圧が昇圧されるように前記一次巻線と二次巻線の巻数比が設定される高電圧変圧器と、
この高電圧変圧器の複数の一次巻線に流れる電流に含まれるコモンモード電流を除去するコモンモード電流除去手段と、
前記高電圧変圧器の前記複数の二次巻線にそれぞれ接続され、それぞれの前記一次巻線でのコモンモード電流が除去された前記高電圧変圧器における二次巻線の出力を直流に変換する複数の高電圧整流回路と、
前記複数の高電圧整流回路のうちの一の直流出力の負端子と前記一の高電圧整流回路と異なる他の直流出力の正端子とを接続されこの端子が接地されると共に、前記一の高電圧整流回路の直流出力の正端子にアノード側が接続されると共に、前記他の高電圧整流回路の直流出力の負端子がカソード側に接続されてX線を放射するX線管と、を備えた中性点接地方式のX線発生装置であって、
前記コモンモード電流除去手段は、前記第一の一次巻線に流れる電流の向きと前記第二の一次巻線に流れる電流の向きとが逆になるように透磁率の大きい磁性材料の第一のコアに前記第一の一次巻線と第二の一次巻線とを貫通させてなることを特徴とする中性点接地方式のX線発生装置。 - X線管及びX線高電圧装置を含むX線発生装置と、
前記X線管に対向して置かれたX線検出器と、
これらX線源及びX線検出器を保持し、被検体の周りを回転駆動される回転円板と、
前記X線検出器で検出されたX 線の強度に基づいて前記被検体の断層像を画像再構成する画像再構成手段とを備えたX線CT装置において、
前記X線発生装置として請求項1に記載の中性点接地方式のX線発生装置を用いたことを特徴とするX線CT装置。
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