JP4306180B2 - モノクロ領域とカラー領域とで副走査送りを切り換える印刷 - Google Patents

モノクロ領域とカラー領域とで副走査送りを切り換える印刷 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主走査を行いつつ印刷媒体上にドットを形成することによって印刷を行う技術に関し、特に、副走査方向についてカラー領域とモノクロ領域の2種類の領域が存在する画像を印刷する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの出力装置として、数色のインクをヘッドから吐出するタイプのカラープリンタが広く普及している。このようなカラープリンタの中には、主走査を行いつつノズルからインク滴を吐出させて、印刷媒体上にドットを形成することによって画像を印刷するものがある。
【0003】
また、各色のインクを吐出するノズルのうち、ブラックインクを吐出するノズルのみ他のインクに比べて多数備えている印刷装置がある。そのような印刷装置においては、カラーのデータを印刷する際には、各色について同数のノズルを使用してカラー印刷を行う。ブラックノズルについては、全ノズルのうちの各色ノズルと同数のノズルのみを使用する。そして、モノクロのみのデータを印刷する際には、ブラックノズルのすべてのノズルを使用して、高速にモノクロ印刷を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の印刷装置では、印刷する画像の中にブラックインクのみを使用するモノクロ領域とカラー領域の2種類の領域が存在する場合には、印刷を効率よく行うことができないという問題があった。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、主走査を行いつつ印刷媒体上にドットを形成することによって印刷において、副走査方向についてカラー領域とモノクロ領域の2種類の領域が存在する画像を効率的に印刷することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、ノズルからインク滴を吐出し、印刷媒体上に着弾させてドットを形成することにより、無彩色インクのみで記録されるモノクロ領域と有彩色インクを用いて記録されるカラー領域とを含む印刷データの印刷を行う印刷装置において、所定の処理を行う。
【0007】
この印刷装置は、主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列された互いに等しい数のノズルを備え互いに異なる有彩色インクをそれぞれ吐出する複数の単一有彩色ノズル群と、ノズルピッチk×Dで配列された単一有彩色ノズル群よりも多数のノズルを備え無彩色インクを吐出する無彩色ノズル群と、を備えた印刷ヘッドと、印刷ヘッドと印刷媒体との少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、印刷ヘッドと印刷媒体との少なくとも一方を主走査の方向と交わる方向に移動させる副走査を行う副走査駆動部と、各部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
そのような印刷装置において、主走査において、単一有彩色ノズル群のノズルを使用せずに無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用して、モノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成し、k回の主走査と所定の第1の送り量による(k−1)回の副走査とで構成される単位スキャン動作を、所定の第2の送り量によるモノクロモード用副走査を各単位スキャン動作の合間に行いつつ繰り返し行うモノクロモード印刷を実行する。また、主走査において、無彩色ノズル群の一部であって単一有彩色ノズル群と同数のノズルを含む特定無彩色ノズル群と複数の単一有彩色ノズル群とを使用して、少なくともカラー領域の主走査ライン上にドットを形成し、第2の送り量よりも少ない第3の送り量によるカラーモード用副走査を合間に行いつつ単位スキャン動作を繰り返し行う、カラーモード印刷を実行する。
【0009】
モノクロモード印刷においては、(1)次にモノクロモード用副走査と単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第1の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合であって、かつ、(2)次にモノクロモード用副走査に代えてカラーモード用副走査のJ倍(Jは2以上の整数)の送り量の副走査を行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合であって、さらに、(3)次にモノクロモード用副走査に代えてカラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行うと仮定したときに、第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合には、以下の処理を行う。
【0010】
上記のような場合には、カラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行った後、無彩色ノズル群のノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行って、その後、カラーモード印刷に移行する。このような態様とすれば、カラーモード印刷に移行しようとするときのモノクロモード印刷を効率的に実行することができる。
【0011】
なお、カラーモード印刷において、次にカラーモード用副走査と単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合は、カラーモード印刷に移行することが好ましい。このような態様とすれば、モノクロ領域にドットを記録しつつある主走査を終えたときの、印刷ヘッド下端からカラー領域との境界までの距離が、所定の値よりも小さい場合に、効率的にモノクロモード印刷からカラーモード印刷に移行することができる。
【0012】
なお、モノクロモード印刷において、(1)モノクロ領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域である残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が、1回の単位スキャン動作で無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第1の無彩色単位バンドの主走査ライン数L1より小さく、かつ、(2)残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が、1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドの主走査ライン数L2の、(J−1)倍(Jは2以上の整数)以上でJ倍より小さいときに、上記と同様の処理を行うようにすることもできる。すなわち、そのような場合に、カラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行った後、無彩色ノズル群のノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行って、その後、カラーモード印刷に移行するようにすることもできる。このような態様とすれば、単純な判断基準に基づいてモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行処理を行うことができる。
【0013】
なお、カラーモード印刷においては、モノクロ領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域である残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が、1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドの主走査ライン数L2より小さいときには、カラーモード印刷に移行することが好ましい。このような態様とすれば、モノクロ領域にドットを記録しつつある主走査を終えたときの、印刷ヘッド下端からカラー領域との境界までの距離が、所定の値よりも小さい場合に、単純な判断基準に基づいてモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行処理を行うことができる。
【0014】
また、複数の単一有彩色ノズル群が、それぞれ副走査の方向についてノズルピッチk×Dで配されるN個(Nは2以上の整数)のノズルを含むC個(Cは2以上の整数)のノズル列であり、無彩色ノズル群が、副走査の方向についてノズルピッチk×Dで配されるN×C個のノズルからなるノズル列である場合には、次のようにすることが好ましい。すなわち、第1の送り量をDとし、第2の送り量をN×C×k×Dとし、第3の送り量をN×k×Dとすることが好ましい。このような態様とすれば、単位スキャン動作によって記録される主走査ラインは、となり同士接することとなる。このため、カラーモード印刷とモノクロモード印刷の間のモード移行の処理が容易となる。
【0015】
なお、第1の送り量をm×D(mは2以上でkと素の整数)とすることもできる。そのような場合には、第2の送り量を、直前の単位スキャン動作で記録された主走査ラインの束であって副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、無彩色ノズル群の上端のノズルが位置するような相対位置に副走査を行う送り量とすることが好ましい。そして、第3の送り量を、直前の単位スキャン動作で記録が完了した主走査ラインの束であって副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、複数の単一有彩色ノズル群のノズルのうちの最も上方に位置するノズルが位置するような相対位置に、副走査を行う送り量とすることが好ましい。このような態様とすれば、部分的にインターレース印刷が行われるため、印刷結果の品質が高くなる。
【0016】
また、カラーモード印刷においては、(1)次にカラーモード用副走査と前記単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が記録できる主走査ラインの集合である特定無彩色単位ラインのうち、もっとも下方にある主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合であって、かつ、(2)1回の単位スキャン動作で複数の単一有彩色ノズル群が新たに記録を完了できる主走査ラインの集合であるカラー単位ラインのうち、最も上方にある主走査ラインが、カラー領域に位置する場合には、以下の処理を行うことが好ましい。すなわち、カラーモード用副走査を行った後、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、複数の単一有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成つつ、単位スキャン動作を行うことが好ましい。
【0017】
また、次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、カラー単位ラインのすべての主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合には、1回の単位スキャン動作によって無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行った後、無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行って、その後、モノクロモード印刷に移行することが好ましい。このような態様とすれば、カラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行するときのモノクロ領域の印刷を効率的に実行することができる。
【0018】
また、カラーモード印刷においては、前述のように、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、複数の単一有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成つつ、単位スキャン動作を行った後、次のようにすることもできる。
【0019】
すなわち、次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で複数の単一有彩色ノズル群が新たに記録を完了できる主走査ラインの束であって、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインであるカラー単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合に、以下の処理を行うこともできる。上記のような場合には、単位スキャン動作を1回行ったと仮定したときのカラー単位バンドの下端の主走査ラインが、カラー領域の下端の主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行った後、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行う。そして、1回の単位スキャン動作によって無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行った後、無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行って、その後、モノクロモード印刷に移行する。このような態様としても、カラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行しようとするときのモノクロ領域の印刷を効率的に実行することができる。
【0020】
さらに、カラーモード印刷においては、次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、以下の条件を満たす場合には、カラーモード用副走査を行った後、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、複数の単一有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成つつ、単位スキャン動作を行うことが好ましい。その条件とは、(1)1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が記録できる主走査ラインの集合である特定無彩色単位ラインのうち、もっとも下方にある主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合であって、かつ、(2)カラー領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域である残余カラー領域の主走査ライン数Lr2が、1回の単位スキャン動作で単一有彩色ノズル群の一つが副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である単一有彩色単位バンドの主走査ライン数L2以上である場合である。
【0021】
そして、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2が、単一有彩色単位バンドの主走査ライン数L2よりも小さいときに、以下の処理を行うことが好ましい。そのような場合には、1回の単位スキャン動作で複数の単一有彩色ノズル群が新たに記録を完了できる主走査ラインの束であって、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインであるカラー単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、残余カラー領域の下端の主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行った後、有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行う。そして、1回の単位スキャン動作によって無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行った後、無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行って、その後、モノクロモード印刷に移行する。このような態様とすれば、単純な判断基準に基づいて、カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行処理を行うことができる。
【0022】
なお、次のような印刷装置に対して、後述するような処理を行うこともできる。その印刷装置とは、主走査ラインピッチDと等しいノズルピッチDで配列された互いに等しい数のノズルを備え互いに異なる有彩色インクをそれぞれ吐出する複数の単一有彩色ノズル群と、ノズルピッチDで配列された単一有彩色ノズル群よりも多数のノズルを備え無彩色インクを吐出する無彩色ノズル群と、を備えた印刷ヘッドと、印刷ヘッドと印刷媒体との少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、印刷ヘッドと印刷媒体との少なくとも一方を主走査の方向と交わる方向に移動させる副走査を行う副走査駆動部と、各部を制御する制御部と、を備える印刷装置である。
【0023】
そのような印刷装置において、主走査において、単一有彩色ノズル群のノズルを使用せずに無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用して、モノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成し、所定の第1の送り量によるモノクロモード用副走査を各主走査の合間に行いつつ、主走査を繰り返し行うモノクロモード印刷を実行する。また、主走査において、無彩色ノズル群の一部であって単一有彩色ノズル群と同数のノズルを含む特定無彩色ノズル群と複数の単一有彩色ノズル群とを使用して、少なくともカラー領域の主走査ライン上にドットを形成し、第1の送り量よりも少ない第2の送り量によるカラーモード用副走査を合間に行いつつ主走査を繰り返し行う、カラーモード印刷を実行する。
【0024】
モノクロモード印刷においては、(1)次にモノクロモード用副走査を行うと仮定したときに、無彩色ノズル群の下端のノズルがカラー領域に位置する場合であって、かつ、(2)次にモノクロモード用副走査に代えてカラーモード用副走査のJ倍(Jは2以上の整数)の送り量の副走査を行うと仮定したときに、特定無彩色ノズル群の下端のノズルがカラー領域に位置する場合であって、さらに、(3)次にモノクロモード用副走査に代えてカラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行うと仮定したときに、特定無彩色ノズル群の下端のノズルがモノクロ領域に位置する場合には、以下の処理を行う。
【0025】
上記のような場合には、カラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行った後、無彩色ノズル群のノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、主走査を1回行って、その後、カラーモード印刷に移行する。このような態様とすれば、カラーモード印刷に移行しようとするときのモノクロモード印刷を効率的に実行することができる。
【0026】
なお、モノクロモード印刷において、次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、特定無彩色ノズル群の下端のノズルがカラー領域に位置する場合は、カラーモード印刷に移行することが好ましい。このような態様とすれば、モノクロ領域にドットを記録しつつある主走査を終えたときの、印刷ヘッド下端からカラー領域との境界までの距離が、所定の値よりも小さい場合に、効率的にカラーモード印刷に移行することができる。
【0027】
なお、モノクロモード印刷において、(1)モノクロ領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域である残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が、無彩色ノズル群のノズル数N1(N1は2以上の整数)より小さく、かつ、(2)特定無彩色ノズル群のノズル数N2(N2は2以上の整数)の、(J−1)倍(Jは2以上の整数)以上でJ倍より小さいときに、上記と同様の処理を行うようにすることもできる。すなわち、そのような場合に、カラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行った後、無彩色ノズル群のノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、主走査を1回行って、その後、カラーモード印刷に移行する。このような態様とすれば、単純な判断基準に基づいてモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行処理を行うことができる。
【0028】
また、モノクロモード印刷において、モノクロ領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域である残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が、特定無彩色ノズル群のノズル数N2より小さいときには、カラーモード印刷に移行することが好ましい。このような態様とすれば、モノクロ領域にドットを記録しつつある主走査を終えたときの、印刷ヘッド下端からカラー領域との境界までの距離が、所定の値よりも小さい場合に、単純な判断基準に基づいてモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行処理を行うことができる。
【0029】
また、複数の単一有彩色ノズル群が、それぞれ副走査の方向についてノズルピッチDで配されるN個(Nは2以上の整数)のノズルを含むC個(Cは2以上の整数)のノズル列であり、無彩色ノズル群が、副走査の方向についてノズルピッチDで配されるN×C個のノズルからなるノズル列である場合には、モノクロモード用副走査の第1の送り量は、N×C×Dとし、カラーモード用副走査の第2の送り量は、N×Dとすることが好ましい。このような態様とすれば、モノクロ領域とカラー領域それぞれについて、隙間なく効率的に印刷を行うことができる。
【0030】
また、カラーモード印刷においては、(1)次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、特定無彩色ノズル群の下端のノズルがモノクロ領域に位置する場合であって、かつ、(2)複数の単一有彩色ノズル群に含まれるノズルのうち最も上方にあるノズルが、カラー領域に位置する場合には、以下の処理を行うことが好ましい。すなわち、カラーモード用副走査を行った後、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、複数の単一有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成つつ、主走査を行うことが好ましい。そして、次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、複数の単一有彩色ノズル群に含まれるすべてのノズルがモノクロ領域に位置する場合には、無彩色ノズル群の上端のノズルがモノクロ領域の上端の主走査ラインに位置するような相対位置に、副走査を行った後、無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、主走査を1回行って、その後、モノクロモード印刷に移行することが好ましい。このような態様とすれば、カラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行するときのモノクロ領域の印刷を効率的に実行することができる。
【0031】
また、カラーモード印刷においては、前述のように、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、複数の単一有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成つつ、主走査を行った後、次のようにすることもできる。
【0032】
すなわち、次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、複数の単一有彩色ノズル群のうち最も上方に位置する単一有彩色ノズル群の下端のノズルが、モノクロ領域に位置する場合に、以下の処理を行うこともできる。すなわち、最も上方に位置する単一有彩色ノズル群の下端のノズルが、カラー領域の下端の主走査ラインに位置するような相対位置に、副走査を行った後、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成しつつ、主走査を1回行う。そして、無彩色ノズル群の上端のノズルがモノクロ領域の上端の主走査ラインに位置するような相対位置に、副走査を行った後、無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、主走査を1回行って、その後、モノクロモード印刷に移行する。このような態様としても、カラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行しようとするときのモノクロ領域の印刷を効率的に実行することができる。
【0033】
また、次にカラーモード用副走査を行うと仮定したときに、以下の条件を満たす場合には、カラーモード用副走査を行った後、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、複数の単一有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成つつ、主走査を行うことが好ましい。その条件とは、(1)特定無彩色ノズル群の下端のノズルがモノクロ領域に位置する場合であって、かつ、(2)カラー領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域である残余カラー領域の主走査ライン数Lr2が、単一有彩色ノズル群のノズル数N2以上である場合である。
【0034】
そして、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2が、単一有彩色ノズル群のノズル数N2よりも小さいときに、以下の処理を行うことが好ましい。すなわち、そのような場合には、複数の単一有彩色ノズル群のうち最も上方に位置する単一有彩色ノズル群の下端のノズルが、残余カラー領域の下端の主走査ラインに位置するような相対位置に、副走査を行った後、特定無彩色ノズル群によるモノクロ領域の主走査ラインへの記録を行わずに、有彩色ノズル群を使用してカラー領域の主走査ラインにドットを形成しつつ、主走査を1回行う。そして、無彩色ノズル群の上端のノズルがモノクロ領域の上端の主走査ラインに位置するような相対位置に、副走査を行った後、無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、主走査を1回行って、その後、モノクロモード印刷に移行する。このような態様とすれば、単純な判断基準に基づいて、カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行処理を行うことができる。
【0035】
また、無彩色インクのみで記録されるモノクロ領域と有彩色インクを用いて記録されるカラー領域とを含む印刷データの印刷を行う印刷装置において、後述するような処理を行う態様とすることもできる。この印刷装置は、互いに異なる有彩色インクをそれぞれ吐出する複数の単一有彩色ノズル群と、単一有彩色ノズル群よりも多数のノズルを備え無彩色インクを吐出する無彩色ノズル群と、を備えた印刷ヘッドを備えている。さらに、この印刷装置は、主走査駆動部と、副走査駆動部と、制御部と、を備えている。
【0036】
上記のような印刷装置において、主走査において無彩色ノズル群を使用しつつ、主走査と、主走査の合間に行う第1の送り量による副走査と、で構成される単位スキャン動作を、第2の送り量によるモノクロモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うモノクロモード印刷を実行する。また、主走査において、複数の単一有彩色ノズル群と、無彩色ノズル群の一部である特定無彩色ノズル群と、を使用して、単位スキャン動作を、第2の送り量よりも少ない第3の送り量によるカラーモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うカラーモード印刷を実行する。
【0037】
モノクロモード印刷を行った後にカラーモード印刷を行う場合には、以下のようにすることが好ましい。すなわち、モノクロモード印刷においては、次にカラーモード用副走査と単位スキャン動作の組み合わせをJ回(Jは2以上の整数)行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合に、以下のような処理を行う。すなわち、送り量が、第3の送り量の(J−1)倍と、1回の単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の(J−2)倍と、の合計に等しい副走査を行う。そして、カラーモード印刷に移行する。このような態様とすれば、効率的にモノクロモード印刷からカラーモード印刷に移行することができる。
【0038】
また、モノクロモード印刷において、次にモノクロモード用副走査と単位スキャン動作を行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第1の無彩色単位バンドの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合に、カラーモード印刷に移行する態様としてもよい。このような態様としても、効率的にモノクロモード印刷からカラーモード印刷に移行することができる。
【0039】
さらに、モノクロモード印刷においては、以下のような条件が満たされる場合には、後述するような所定の処理を行うことが好ましい。その条件とは以下のようなものである。(i)次にモノクロモード用副走査と単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第1の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合であって、かつ、(ii)次に、モノクロモード用副走査と単位スキャン動作の組み合わせに代えて、カラーモード用副走査と単位スキャン動作の組み合わせをJ回(Jは2以上の整数)行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で特定無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合であって、かつ、(iii)次に、モノクロモード用副走査と単位スキャン動作の組み合わせに代えて、カラーモード用副走査と単位スキャン動作の組み合わせを(J−1)回行うと仮定したときに、第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合である。
【0040】
上記のような場合には、送り量が、第3の送り量の(J−1)倍と、1回の単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の(J−2)倍と、の合計に等しい副走査を行う。その後、無彩色ノズル群のノズルを使用してモノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成しつつ、単位スキャン動作を1回行って、その後、カラーモード印刷に移行する。このような態様としても、効率的にモノクロモード印刷からカラーモード印刷に移行することができる。
【0041】
カラーモード印刷を行った後にモノクロモード印刷を行う場合には、以下のようにすることが好ましい。すなわち、カラーモード印刷において、次にカラーモード用副走査と単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作によって複数の単一有彩色ノズル群のうち最も上方にある単一有彩色ノズル群が記録できる主走査ラインの集合であるカラー単位ラインのすべての主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合には、以下のような処理を行うことが好ましい。すなわち、1回の単位スキャン動作によって無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような相対位置に、副走査を行って、モノクロモード印刷に移行する。このような態様とすれば、効率的にカラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行することができる。
【0042】
また、カラーモード印刷において、次にカラーモード用副走査と単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で複数の単一有彩色ノズル群のうち最も上方にある単一有彩色ノズル群が記録できる主走査ラインの束であって、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインであるカラー単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、モノクロ領域に位置する場合には、以下のようにすることが好ましい。
【0043】
すなわち、副走査の後に単位スキャン動作を1回行ったと仮定したときのカラー単位バンドの下端の主走査ラインが、カラー領域の下端の主走査ラインと一致するような送り量の副走査を行う。そして、副走査の後に単位スキャン動作を1回行ったと仮定したときに、1回の単位スキャン動作によって無彩色ノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような送り量の副走査を行う。その後、モノクロモード印刷に移行する。このような態様としても、効率的にカラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行することができる。
【0044】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)印刷方法、印刷制御方法。
(2)印刷装置、印刷制御装置。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0045】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.装置の構成:
A2.印刷:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
【0046】
A.第1実施例:
A1.装置の構成:
図1は、本発明の実施例としてのインクジェットプリンタ20を備えた印刷システムの概略構成図である。このプリンタ20は、キャリッジモータ24によってキャリッジ30を摺動軸34に沿って往復動させる主走査送り機構と、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを主走査の方向と垂直な方向(「副走査方向」という。)に搬送する副走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ88に接続されている。
【0047】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転を用紙搬送ローラ(図示せず)に伝達するギヤトレインを備える(図示せず)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
【0048】
図2は、制御回路40を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54と、を備えている。I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ88から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。なお、CPU41は、PROM42内に格納されたコンピュータプログラムを実行することによって、後述するカラーモード部41aおよびモノクロモード部41bとして機能する。
【0049】
印刷ヘッド28は、各色毎に一列に設けられた複数のノズルnと、各ノズルnに設けられたピエゾ素子PEを動作させるアクチュエータ回路90と、を有している。アクチュエータ回路90は、ヘッド駆動回路52(図2参照)の一部であり、ヘッド駆動回路52内の図示しない駆動信号生成回路から与えられた駆動信号をオン/オフ制御する。すなわち、アクチュエータ回路90は、コンピュータ88から供給された印刷信号PSに従って、各ノズルに関してオン(インクを吐出する)またはオフ(インクを吐出しない)を示すデータをラッチし、オンのノズルについてのみ、駆動信号をピエゾ素子PEに印加する。
【0050】
図3は、印刷ヘッド28に設けられたノズルの配置を示す説明図である。プリンタ20は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の4色のインクを用いて印刷を行う印刷装置である。このプリンタ20は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)についてはそれぞれ2個のノズルを備えており、ブラック(K)については6個のノズルを備えている。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)のノズル#1、#2が、特許請求の範囲にいう「単一有彩色ノズル群」に相当する。そして、ブラック(K)のノズル#1〜#6が、特許請求の範囲にいう「無彩色ノズル群」に相当する。
【0051】
アクチュエータ回路90には、ブラックノズル列Kを駆動するアクチュエータチップ91〜93と、シアンノズル列Cを駆動するアクチュエータチップ94と、マゼンタノズル列Mを駆動するアクチュエータチップ95と、イエロノズル列Yを駆動するアクチュエータチップ96とが設けられている。
【0052】
印刷ヘッド28は、キャリッジモータ24によって矢印MSの方向に摺動軸34に沿って往復動される。そして、印刷用紙Pは、紙送りモータ22によって印刷ヘッド28に対して矢印SSの方向に送られる。
【0053】
A2.印刷:
(1)カラーモード印刷とモノクロモード印刷:
図4は、モノクロモード印刷時の単位スキャン動作による主走査ラインの記録を示す説明図である。図5は、カラーモード印刷時の単位スキャン動作による主走査ラインの記録を示す説明図である。それぞれ図の左側にはノズルの配置が模式的に示されており、右側には各ノズルによって主走査ラインが記録されていく様子が示されている。実際には、印刷用紙Pが印刷ヘッドに対して搬送されて両者の相対位置が変わるが、ここでは、説明を簡単にするために、印刷ヘッドが印刷用紙Pに対して下方に移動するかのように、表示している。なお、升目の中に#を付して記載されている番号は、各主走査ラインを記録するノズルの番号である。また、本明細書では、各主走査ラインの記録を説明する際には、印刷用紙Pが紙送りモータ22によって送られる際の前端の方向を「上方」と呼び、尾端の方向を「下方」と呼ぶ。
【0054】
各主走査ラインは、それぞれ図4の左右方向に延びる画素の列である。上下方向に隣り合う主走査ライン間の間隔はDである。図4からわかるように、印刷ヘッド上の各ノズルの上下方向(副走査方向)のピッチは、4×Dである。本明細書では、隣り合う主走査ラインの間隔を「1ドット」と表記する。したがって、印刷ヘッド上の各ノズルのピッチは、4ドットである。また、副走査送りの送り量を表記する場合も、この主走査ライン間の間隔を基準として「ドット」単位で表記する。なお、第1実施例ではノズルピッチは4ドットであるが、ノズルピッチは、6,8など他の値とすることもできる。すなわち、ノズルピッチk[ドット]は、2以上の整数であればよい。
【0055】
第1実施例における印刷では、各主走査の合間に1ドットずつの微小送り(副走査)を行ってk回の主走査を行う単位スキャン動作を行う。この単位スキャン動作によって、副走査方向に隣り合う複数の主走査ラインで構成されるバンド内にドットが記録される。そして、単位スキャン動作と単位スキャン動作の合間に大きな送りを行って、印刷用紙上に、順に主走査ラインの束の単位で記録を行ってゆく。第1実施例では、図4および図5に示すように、1ドット送りを3回繰り返して4回の主走査を行うことで、一つの単位スキャン動作が完了する。なお、1回の主走査を「パス」と呼ぶ。
【0056】
図4に示すように、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行った場合にブラックインクによって記録される主走査ラインであって、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの数L1は、24である。なお、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行った場合にブラックインクによって記録される主走査ラインの集合を「無彩色単位ライン」と呼び、そのうち、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束を「第1の無彩色単位バンド」と呼ぶ。第1実施例では、「無彩色単位ライン」と「第1の無彩色単位バンド」とは一致する。ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行うモノクロモード印刷においては、一つの単位スキャン動作が終わったあと、次の単位スキャン動作を行うために主走査ライン21個分の副走査が行われる。この副走査を「モノクロモード用副走査」と呼ぶ。モノクロモード用副走査の送り量Smは、21ドットである。
【0057】
なお、「(すべての)ノズルを使用する」とは、そのモードの印刷において、そのノズルを使用することが可能である、という意味である。したがって、送られてきた印刷データの内容によっては、実際には、そのノズルが使用されないこともある。また、副走査の都合で、すでにある色のインクで記録が行われた主走査ラインの上を、同じ色のインクを吐出するノズルが通過する場合は、実際には、そのノズルが使用されないこともある。なお、印刷データには、画像データのほか、想定している画素のピッチのデータや副走査送り量のデータなどが含まれる。本発明の説明において「画像」という場合には、絵のほかに、文字や符号、線図など、印刷媒体上に記録するあらゆる形態の対象を含むものとする。
【0058】
一方、カラーモード印刷においては、各インク色について同数のノズルを使用して印刷を行う。このため、ブラックノズル群Kのノズルは、ノズル#5、#6の2個のノズルのみが使用される。カラーモード印刷において使用されるブラックノズルを、「特定ブラックノズル群K0」と呼ぶ。
【0059】
図5に示すように、単一有彩色ノズル群Y、M、Cおよび特定ブラックノズル群K0を使用して単位スキャン動作を行った場合にその各ノズル群が吐出するインクによって記録される主走査ライン(「単一有彩色単位バンド」という。)の数L2は、それぞれ8である。特定ブラックノズル群K0についても同様である。なお、1回の単位スキャン動作で特定ブラックノズル群K0が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束を、特に「第2の無彩色単位バンド」と呼ぶ。カラーモード印刷においては、一つの単位スキャン動作が終わったあと、次の単位スキャン動作を行う前に主走査ライン5個分の副走査が行われる。この副走査を「カラーモード用副走査」と呼ぶ。カラーモード用副走査の送り量Scは、5ドットである。図4および図5に示すように、単位スキャン動作内においては、合計で3ドットの副走査が行われるので、カラーモード用副走査と、単位スキャン動作が行われた場合には、印刷ヘッド28は合計で8ドット送られることになる。
【0060】
図5の第17〜第24ラインに着目して説明すると、まず、最初の単位スキャン動作で、第17〜第24ラインには、特定ブラックノズル群K0のノズル#5,#6とシアンノズル群Cとによって、ドットが形成される。その後、主走査ライン8個分のカラーモード用副走査が行われると、第17〜第24ラインには、今度はマゼンタノズル群Mによって、マゼンタのドットが記録される。さらに、主走査ライン8個分のカラーモード用副走査が行われると、第17〜第24ラインには、イエロノズル群Yによって、イエロのドットが記録される。こうして、第17〜第24ラインには、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの各色のドットが形成され、カラーの画像が記録される。印刷用紙上の各主走査ラインについても、同様にして3回の単位スキャン動作によって順に記録が行われていく。
【0061】
なお、図5では、説明を簡単にするために、特定ブラックノズル群のノズル#5,#6による各主走査ラインの記録については表示していない。これらブラックノズル#5,#6の各主走査ラインの記録は、シアンのノズル#1,#2による各主走査ラインの記録と同様に行われる。
【0062】
単一有彩色ノズル群Y、M、Cおよび特定ブラックノズル群K0を使用して単位スキャン動作を行い、各単位スキャン動作の合間にカラーモード用副走査を行う場合、すなわち、カラーモード印刷の場合を考える。カラーモード印刷においては、各単位スキャン動作においてイエロノズル群Yが記録を終えた主走査ラインが、KCMYすべてのインクについての印刷データの印刷を完了した主走査ラインである。すなわち、各単位スキャン動作において8ラインずつ、新たに主走査ラインにデータの記録が完了する。このような、1回の単位スキャン動作で複数の単一有彩色ノズル群が新たに記録を完了できる主走査ラインの集合を「カラー単位ライン」と呼ぶ。そして、カラー単位ラインのうち、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインを「カラー単位バンド」と呼ぶ。第1実施例においては、「カラー単位ライン」と「カラー単位バンド」とは一致する。カラー単位バンドの幅は単一有彩色単位バンドの幅と等しい。カラー単位バンドは、通常、最も上方に位置する単一有彩色ノズル群の単一有彩色カラーバンドと一致する。
【0063】
なお、カラーモード印刷は、カラーモード部41aによって実行され、モノクロモード印刷は、モノクロモード部41bによって実行される(図2参照)。
【0064】
(2)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行1:
図6および図7は、カラーモード印刷における処理を示すフローチャートである。そして、図8は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。印刷する画像データには、有彩色の領域と無彩色の領域とが含まれる。その結果、その画像を印刷する印刷用紙上にも、画像データの有彩色の領域と無彩色の領域にそれぞれ対応する、カラー領域とモノクロ領域とが存在する。カラー領域は、少なくとも有彩色インクを用いて記録される領域である。第1実施例では、ブラックインクもカラー領域の記録に使用される。また、モノクロ領域は、無彩色インクのみで記録される領域である。第1実施例では、モノクロ領域の記録には、ブラックインクのみが使用される。
【0065】
図8においては、1回の単位スキャン動作で一つのノズルで記録される主走査ライン(ここでは4本)を模式的に横方向の1列の升目の並びで表している。例えば、一番上の1列は、最初の単位スキャン動作でイエロのノズル#1によって記録される第1〜第4ラインを表している。そして、図8の例では、第45〜第136ラインがモノクロ領域であり、第44ラインから上および第137ラインから下がカラー領域である。また、図8では、図の右上にも示すように、単位スキャン動作を実行する印刷ヘッドを、模式的に2列×6行の升目で表している。一つの列が実際のノズル列(図4および図5参照)に対応しており、各ノズルが一度の単位スキャン動作で記録する4本の主走査ラインの幅に相当する領域を一つの行で表している。各升目の中のK、C、M、Yは、各ノズルが吐出するインクの色を表している。実際には、印刷用紙Pが印刷ヘッドに対して搬送されて両者の相対位置が変わるが、図8では説明を簡単にするために、2列×6行の升目で表された印刷ヘッドが、印刷用紙Pに対して下方に移動するかのように、表示している。そして、各主走査において実際に使用されないノズルについては、各ノズルに対応する升目中にK、C、M、Yを表記していない。
【0066】
カラーモード印刷においては、図6のステップS22において、次にカラーモード用副走査を行って単位スキャン動作を行ったと仮定した場合に、特定ブラックノズル群K0によって記録される主走査ライン(「特定無彩色単位ライン」という。)に、どのような主走査ラインが含まれるかを検討する。その結果、ステップS24においてモノクロライン(モノクロ領域に含まれる主走査ラインをいう。以下同じ。)がないとされた場合には、ステップS26でカラーモード用副走査を行い、ステップS28で各色2個ずつのノズルを使用して単位スキャン動作を行う。図8の例では、第12パスまでの印刷が、このルーチンに従って実行される。
【0067】
なお、カラーモード印刷において、次に行うことを検討している所定の副走査とその後の単位スキャン動作を実施することによって記録される単位ラインや単位バンド中に、モノクロラインが含まれる場合には、検討した単位ラインや単位バンドの下端の主走査ラインがモノクロ領域に位置するものと考えられる。そして、そのような単位ラインや単位バンドにモノクロラインが含まれない場合には、単位ラインや単位バンドの下端の主走査ラインがカラー領域に位置すると考えられる。
【0068】
一方、ステップS24においてモノクロラインがあるとされた場合には、ステップS30において、次にカラーモード用副走査を行って単位スキャン動作を行ったと仮定した場合に、カラー単位ラインにどのような主走査ラインが含まれるかを検討する。その結果、ステップS32においてカラーライン(カラー領域に含まれる主走査ラインをいう。以下同じ。)があるとされた場合には、ステップS34で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。そして、ステップS26に移行して、カラーモード用副走査を行い、ステップS28で、単位スキャン動作を行う。図8の例では、第13〜24パスまでの印刷が、このルーチンに従って実行される。図中、「*」が記されているノズルが、ステップS34でマスクされたノズルである。なお、このようなカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行処理は、カラーモード部41aの第1の移行部41a1(図2参照)によって実行される。
【0069】
ステップS32で、次のカラー単位ライン中にカラーラインがないとされた場合には、図7のステップS36で、位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りは、ブラックノズル群のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行ったと仮定したときの第1の無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような相対位置になるように、行われる。その後、ステップS38でブラックノズル群のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行い、モノクロモードに移行する。図8の例では、第24パスの後の副走査送りがステップS36における位置合わせ送りである。図8の例では、位置合わせ送りの送り量Sc1は4ドットである。そして、第25〜28パスを含む単位スキャン動作が、ステップS38で行う単位スキャン動作である。なお、このようなカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行は、カラーモード部41aの第2の移行部41a2(図2参照)によって実行される。
【0070】
すなわち、カラーモード印刷においては、次にカラーモード用副走査を行った場合のカラー単位ラインに、カラー領域の主走査ラインが含まれている限り、ステップS26およびS28が繰り返され、カラーモード印刷が実行される。その際、特定ブラックノズル群K0のノズルがモノクロ領域にある場合には、そのズルはマスクされ(ステップS34)、モノクロ領域の主走査ラインの記録は行われない。図8の例では、第13〜24パスにおいて、第45〜第64ライン上をブラックノズルが通過しているが、それらのブラックノズルはマスクされ、第45〜第64ラインは記録されない。
【0071】
その後、次にカラーモード用副走査を行った場合のカラー単位ラインに、カラー領域の主走査ラインが含まれないようになると(図6のステップS32)、位置合わせ送りが行われる(ステップS36)。図8の例では、無彩色単位ラインと第1の無彩色単位バンドが一致しているため、モノクロ領域の上端である第45ラインの位置にブラックノズル群Kの上端のノズルが位置するように、副走査が行われる。その後、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作が行われ(ステップS38)、その後、モノクロモード印刷が行われる。
【0072】
このような態様とすれば、カラー領域と接しているモノクロ領域の上端近辺の部分を記録する際のカラーモード用副走査、モノクロモード用副走査および位置合わせ送りの回数を少なくすることができる。例えば、図8において、第13〜24パスで「*」が付されているノズルで第45〜第64ラインを記録した場合は、モノクロ領域の第45〜第64ラインは、間に2回のカラーモード用副走査を挟んだ3回の単位スキャン動作で記録されることになる。これに対して、第1実施例の態様では、第45〜第64ラインは、第24〜28パスの一度の単位スキャン動作で記録されている。カラーモード用副走査、モノクロモード用副走査および位置合わせ送りは、単位スキャン動作内において行う微小送り(図4および図5参照)に比べて送り量が大きいので、送り誤差も大きくなる。よって、同じ領域を印刷する際のこれらの送りの回数が多くなるほど印刷結果の品質が低下するおそれが大きくなる。第1実施例では、これらの送りの回数を少なくすることができるので、上端がカラー領域と接しているモノクロ領域の、カラー領域との境界近辺の部分の印刷結果の品質を高くすることができる。
【0073】
(3)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行2:
図9および図10は、カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャートである。図11は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す他の例の説明図である。図9および図10のフローチャートは、ステップS24で、特定無彩色単位ライン中にモノクロラインがあるとされた場合の処理が、図6およ図7のフローチャートとは異なっている。他の点は図6および図7のフローチャートと同じである。ステップS24で、モノクロラインがあるとされた場合は、ステップS31において、次にカラーモード用副走査を行って単位スキャン動作を行ったと仮定した場合に、カラー単位バンドにどのような主走査ラインが含まれるかを検討する。その結果、ステップS33においてモノクロラインがないとされた場合には、ステップS34で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。ステップS34以降の処理は、図6および図7のフローチャートと同様である。図11の例では、第13〜20パスまでの印刷が、このルーチンに従って実行される。なお、第13〜20パスの印刷は、図8の場合と同様に行われる。
【0074】
一方、ステップS33において、モノクロラインがあると判断された場合、すなわち、次にカラーモード用副走査を行った場合のカラー単位バンドの主走査ラインが、モノクロ領域の主走査ラインを含む場合には、図10のステップS35で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。そして、ステップS37で、位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りによって、その後、単位スキャン動作を1回行ったときのカラー単位バンドの下端の主走査ラインが、カラー領域の下端の主走査ラインと一致する。その後、ステップS39で、各単一有彩色ノズル群を使用して単位スキャン動作が行われる。図11の例では、第20パスの後の副走査送りが、ステップS37で行う位置合わせ送りである。図11では、位置合わせ送りの送り量Sc2は、4ドットである。そして、第21〜24パスを含む単位スキャン動作が、ステップS39で行う単位スキャン動作である。
【0075】
その後、ステップS41で再び位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りは、次の第1の無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような送りである。その後、ステップS43で、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行う。そして、モノクロモード印刷に移行する。図11の例では、第24パスの後の副走査送りが、ステップS41で行う位置合わせ送りである。図11では、位置合わせ送りの送り量Sc3は、8ドットである。そして、第25〜28パスを含む単位スキャン動作が、ステップS43で行う単位スキャン動作である。なお、このようなカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行処理は、カラーモード部41aの第2の移行部41a2(図2参照)によって実行される。このような態様としても、カラーモード用副走査および位置合わせ送りの回数を少なくすることができるので、印刷結果の品質を高くすることができる。
【0076】
(4)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行3:
図12は、カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャートである。図12のフローチャートにおいては、図9のステップS31およびS33に代えてステップS29が実行される。他の点は、図9のフローチャートと同様である。モノクロモード印刷における処理は、次のようにすることもできる。
【0077】
ステップS24において、カラーモード用副走査を行った場合の特定無彩色単位ライン中にモノクロラインがあるとされた場合には、次に、ステップS29で、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2が単一有彩色単位バンドの主走査ライン数L2よりも小さいか否かを検討する。「残余カラー領域」とは、カラー領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域である。図11の例では、第20パスが終わった状態で、次にカラーモード用副走査を行った場合の特定無彩色単位ライン中にモノクロラインがあることになる(ステップS24)。よって、第20パスが終わった状態で、まだ記録が完了していない(イエロインクによる記録がなされていない)第41〜44ラインが残余カラーラインである。
【0078】
ステップS29において、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2がカラー単位バンドの主走査ラインの数L2よりも少ないとされた場合は、図10のステップS35〜S43を実行して、モノクロモード印刷に移行する。ステップS29において、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2がL2以上であるとされた場合には、ステップS34で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。ステップS34以降の処理は、図6および図7のフローチャートと同様である。
【0079】
このような処理を行っても、図11に示すような印刷が適切に行われる。そして、このような処理とすれば、より単純な処理でカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行を行うことができる。なお、図11においては、比較のために右上に第1の無彩色単位バンドの主走査ラインの数L1と、各単一有彩色ノズル群の単一有彩色単位バンドの主走査ラインの数L2を示している。
【0080】
(5)モノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行1:
図13は、モノクロモード印刷における処理を示すフローチャートである。モノクロモード印刷においては、ステップS52において、次にモノクロモード用副走査を行うと仮定したときの第1の無彩色単位バンドに、どのような主走査ラインが含まれるかを検討する。その結果、ステップS54においてカラーラインがないとされた場合には、ステップS56でモノクロモード用副走査を行い、ステップS58でブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行う。その後、ステップS52に戻る。図8の例においては、第28パスの後に行われる副走査以降、第36パスまでの印刷がこのルーチンに従って実行される。
【0081】
すなわち、モノクロモード印刷では、次にモノクロモード用副走査を行った場合の第1の無彩色単位バンドに、カラー領域の主走査ラインが含まれない限り、ステップS56およびS58が繰り返され、モノクロモード印刷が実行される。
【0082】
なお、モノクロモード印刷において、次に行うことを検討している所定の副走査とその後の単位スキャン動作を実施することによって記録される単位ラインや単位バンド中に、カラーラインが含まれる場合には、検討した単位ラインや単位バンドの下端の主走査ラインがカラー領域に位置すると考えられる。そして、そのような単位ラインや単位バンドにカラーラインが含まれない場合には、単位ラインや単位バンドの下端の主走査ラインがモノクロ領域に位置すると考えられる。
【0083】
ステップS54においてカラーラインがあるとされた場合には、ステップS60で、モノクロ領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域(「残余モノクロ領域」と呼ぶ。)の量を検討する。すなわち、カラーモード用副走査と単位スキャン動作をJ回(Jは1以上の整数)行うと仮定したときに、1回の単位スキャン動作で特定ブラックノズル群が副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束(第2の無彩色単位バンド)の下端の主走査ラインが、はじめてカラー領域に位置するような、カラーモード用副走査と単位スキャン動作の回数Jを調べる。言い換えれば、カラーモード用副走査の送り量と、1回の単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量と、の和のJ倍の送り量の副走査を行うと仮定したときに、第2の無彩色単位バンドの下端の主走査ラインがはじめてカラー領域に位置するような、カラーモード用副走査の回数Jを調べる。さらに言い換えれば、カラーモード用副走査のJ倍と、と単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の(J−1)倍と、の合計の送り量の副走査を行って、その後1回、単位スキャン動作を行うと仮定したときに、第2の無彩色単位バンドの下端の主走査ラインがはじめてカラー領域に位置するような、カラーモード用副走査の回数Jを調べる。図8の例では、左下に示すように、第36パスが終わった状態から、カラーモード用副走査を3回行ったときに、はじめて第2の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に位置する。
【0084】
ステップS62では、カラーモード用副走査と単位スキャン動作の組み合わせを1回おこなっただけで、第2の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に達するかどうかを検討する。第2の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に達するまでの、副走査送りと単位スキャン動作の組み合わせの回数Jが2以上である場合は、ステップS64で、カラーモード用副走査の(J−1)倍と、1回の単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の(J−2)倍と、の合計に等しい送り量の副走査を行う。そして、ステップS66で、ブラックノズル群のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行い、その後、カラーモードに移行する。図8の例では、第36パスの後の副走査が、ステップS64で行う副走査である。ここでは、副走査の送り量Sm2は、カラーモード用副走査の2倍の送り量と、単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量(3ドット)の1倍の送り量と、の和に等しい。そして、第37〜40パスを含む単位スキャン動作が、ステップS66で行う単位スキャン動作である。ただし、図8の例では、第109〜第116ラインはすでに第36パスまでで記録されているので、実際には、ブラックノズル群Kのうち上の二つのノズルは使用されない。なお、このようなモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行処理は、モノクロモード部41bの移行部41b1(図2参照)によって実行される。
【0085】
図14は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。図14においては、第129ラインから下がカラー領域である。他の点は図8と同様である。図14に示すように、第36パスの後の状態から、副走査を2回行うと、第2の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に達する場合には、第36パスの後に行うステップS64(図13参照)の副走査の送り量Sm2は、カラーモード用副走査送りの送り量Scの1倍である。この場合は、Jが1であり、(J−1)が0となるため、単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量(3ドット)は加算されない。
【0086】
図15は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。図15においては、第121ラインから下がカラー領域である。他の点は図8と同様である。図15に示すように、第36パスの後の状態から、副走査を1回行うと、第2の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に達する場合には、図13のステップS62から直接カラーモードに移行する。
【0087】
第1実施例では、ステップS64で位置合わせ送りを行って、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作を行う。このため、カラー領域と接しているモノクロ領域の下端近辺の部分を記録する際の、カラーモード用副走査、モノクロモード用副走査および位置合わせ送りの回数を少なくすることができる。例えば、図8において、第36パスの後、直接カラーモードに移行した場合は、第117〜第132ラインは、間に2回のカラーモード用副走査を挟んだ3回の単位スキャン動作で記録される。これに対して、第1実施例の態様では、第37〜40パスの一度の単位スキャン動作で記録されている。よって、下端がカラー領域と接しているモノクロ領域の、カラー領域との境界近辺の部分の印刷結果の品質が高い。
【0088】
(6)モノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行2:
図16は、モノクロモード印刷の他の処理の例を示すフローチャートである。図16のフローチャートにおいては、図13のステップS52およびS54に代えてステップS53が実行され、図13のステップS60およびS62に代えてステップS61およびS63が実行される。他の点は、図13のフローチャートと同様である。モノクロモード印刷における処理は、次のようにすることもできる。
【0089】
まず、ステップS53において、現在記録しているモノクロ領域の主走査ラインであって、まだ記録が完了していない主走査ラインである、残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1と、第1の無彩色単位バンドの主走査ラインの数L1とを比較する。残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が第1の無彩色単位バンドの主走査ラインの数L1以上とされた場合は、ステップS56,S58を実行して、モノクロモード印刷を行う。
【0090】
ステップS53において、残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が第1の無彩色単位バンドの主走査ラインの数L1未満であるとされた場合は、ステップS61において、残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が単一有彩色単位バンドの主走査ラインの数L2の(J−1)倍以上でかつJ倍未満となるような整数Jを求める。そして、ステップS63において、Jが1であれば、そのままカラーモードに移行し、Jが2以上であれば、ステップS64で位置合わせ送りを行う。
【0091】
このような処理を行っても、図8、図14、図15に示すような印刷が適切に行われる。そして、このような処理とすれば、より単純な処理でモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行を行うことができる。なお、図8、図14および図15においては、比較のために右上に第1の無彩色単位バンドの主走査ラインの数L1と、各単一有彩色ノズル群の単一有彩色単位バンドの主走査ラインの数L2を示している。
【0092】
B.第2実施例:
(1)カラーモード印刷とモノクロモード印刷:
図17および図18は、第2実施例のプリンタのノズルの配置と単位スキャン動作による主走査ラインの記録を示す説明図である。第2実施例のプリンタにおいても、印刷ヘッドに設けられた各ノズルは副走査方向にピッチkが4で並ぶ。しかし、第2実施例のプリンタにおいては、ブラックノズル群Kは、副走査方向に一列に並んだノズルを15個有している。また、各単一有彩色ノズル群C,M,Yは、副走査方向に一列に並んだノズルを5個ずつ有している。そして、ブラックノズル群Kのうち、カラーモード印刷において使用される特定ブラックノズル群K0は、ノズル#11〜#15である。他の点は第1実施例のプリンタと同様である。また、第2実施例においては、図17および図18に示すように、3ドット送りを3回繰り返して4回の主走査を行うことで、一つの単位スキャン動作が完了する。このように、ノズルピッチ4[ドット]と素である3[ドット]の送り量を採用することで、単位スキャン動作を繰り返して各種走査ラインを隙間なく記録することができる。この単位スキャン動作内において行われる3ドットの送り量が特許請求の範囲にいう「第1の送り量」である。
【0093】
第2実施例においては、3ドット送りを行うため、単位スキャン動作によって記録される主走査ラインは、すべてが互いにとなり同士接しているわけではない。図17を例に説明すれば、第1ラインと、第4および第5ライン、第7ラインは一度の単位スキャン動作で記録されるが、第1ラインと第4ラインの間の第2および第3ラインは、その単位スキャン動作では記録されない。また、第5ラインと第7ラインの間の第6ラインも、その単位スキャン動作では記録されない。このため、第2実施例では、無彩色単位ラインは、図17における第1〜第66ラインまでの60本の主走査ラインであるが、第1の無彩色単位バンドは、そのうちの第7〜第60ラインまでの54本の主走査ラインである。よって、ブラックノズル群Kによって記録される第1の無彩色単位バンドの主走査ライン数L1は、54ラインである。そして、第1の無彩色単位バンドの上側および下側には、その単位スキャン動作では記録されない主走査ラインを挟んで、その第1の無彩色単位バンドと同じ単位スキャン動作で記録される主走査ラインが存在する。これらの主走査ラインも無彩色単位ラインに含まれる。
【0094】
図17において、単位スキャン動作の最後のパスである第4パスにおいて、ノズル#1は第10ラインの位置にある。モノクロモード印刷においては、次の単位スキャン動作の最初のパスである第5パスで、ノズル#1は、前の単位スキャン動作で記録されなかった第61ラインの位置にくる。すなわち、モノクロモード用副走査の送り量Smは51ドットである。このモノクロモード用副走査は、直前の単位スキャン動作で記録された主走査ラインの束であって副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ライン(図17の第60ライン)の一つ下の主走査ライン(第61ライン)に、ブラックノズル群Kの上端のノズルが位置するように行われる。このようなモノクロモード用副走査を行うことで、各主走査ラインはモノクロモード印刷において隙間なく記録される。
【0095】
このように、単位スキャン動作において行う副走査の送り量を2ドット以上とすれば、各単位スキャン動作によってそれぞれ記録される主走査ライン同士が、一部、交互に位置することになる。たとえば、図17の例では、第62、第63,第66ラインは、最初の単位スキャン動作で記録されるのに対し、それらに挟まれている第61、第64、第65ラインは、次の単位スキャン動作で記録される。このため、各単位スキャン動作で記録される第1の無彩色単位バンド同士の境目が目立ちにくくなり、印刷結果の品質が高くなる。これは、図18に示すカラーモード印刷の場合においても同様である。また、第1の無彩色単位バンドとカラー単位バンドの境目についても同様である。
【0096】
他の単一有彩色ノズル群C,M,Y、およびカラーモード印刷で使用される特定ブラックノズル群K0についても同様に考えることができる。すなわち、図18のイエロノズル群を例に説明すれば、一度の単位スキャン動作でイエロノズル群のノズル#1〜#5で記録される主走査ラインは、第1ラインから第26ラインまでの20本の主走査ラインであるが、副走査方向について隙間なく記録される主走査ラインは、そのうちの第7ラインから第20ラインまでの14本の主走査ラインである。すなわち、単一有彩色ノズル群Y、M、Cの単一有彩色単位バンドの主走査ライン数L2は、それぞれ14ラインである。特定ブラックノズル群K0については、シアンノズル群Cと同様に考えることができる。そして、カラー単位バンドの主走査ライン数も14ラインである。これに対して、カラー単位ラインの主走査ライン数は、20ラインである。
【0097】
図18を使って説明すると、第4パスの後に行われるカラーモード用副走査は、イエロのノズル#1を第10ラインの位置から第21ラインの位置まで送る。すなわち、カラーモード用副走査の送り量Scは、11ドットである。カラーモード用副走査は、直前の単位スキャン動作で記録が完了した主走査ラインの束であって副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ライン(図18の第20ライン)の一つ下の主走査ライン(第21ライン)に、複数の単一有彩色ノズル群のノズルのうちの最も上方に位置するノズル(イエロノズル群のノズル#1)が位置するように行われる。このようなカラーモード用副走査を行うことで、各主走査ラインはカラーモード印刷において隙間なく記録される。
【0098】
(2)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行1:
図19は、第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。ここでは、図17および図18に示したような単位スキャン動作が行われる場合に、図6および図7のフローチャートに従って印刷がどのように行われるかを説明する。図19以下の図では、各パスの番号は省略せずに記載しているため、分かりやすくするために、単位パスごとにパス数の欄に区切り目を入れている。図19の例においては、画像データの第78ラインから上がカラー領域であり、第79ラインから下がモノクロ領域である。したがって、最初はカラーモード印刷が実行される。
【0099】
各ノズルは、当初はモノクロ領域上に達しない。そして、第6パスから特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがモノクロ領域上に達する。第6パスにおいては、このノズルはマスクされ、モノクロ領域の主走査ラインは記録されない。図19に示される第7〜第16パスにおいても、同様に、特定ブラックノズル群K0のノズル#11〜#15のうち、モノクロ領域にあるものはマスクされ、モノクロ領域の主走査ラインが記録される。図19においては、マスクされているノズルは「*」が付されている。
【0100】
第16パスが終わったあとの状態では、次にカラーモード用副走査をおこなうと、カラー単位ラインには、モノクロ領域の主走査ラインのみが含まれることになる。すなわち、図6のフローチャートにおいて、ステップS32で、カラーラインがないと判断される。このため、第16パスの後には、送り量Sc1=4ドットの位置合わせ送りが行われる(図7のステップS36)。この位置合わせ送りは、第1の無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するように行われる。その後、第17〜第20パスにおいて、ブラックノズル群のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作が行われ(図7のステップS38)、モノクロモードに移行する。
【0101】
(3)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行2:
図20は、第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す他の例の説明図である。ここでは、図17および図18に示したような単位スキャン動作が行われる場合に、図9および図10のフローチャートに従って印刷がどのように行われるかを説明する。図20に示される画像データのカラー領域とモノクロ領域は、図19と同様である。各領域の記録の仕方も、第12パスまでは図19と同様である。
【0102】
第12パスが終わったあとの状態では、次にカラーモード用副走査をおこなうと、カラー単位バンド(「カラー単位ライン」ではない)には、モノクロ領域の主走査ラインが含まれることになる。すなわち、図9のフローチャートにおいて、ステップS33で、モノクロラインがあると判断される。このため、第12パスの後には、モノクロ領域にあるブラックノズルがマスクされる(図10のステップS35)。そして、送り量Sc2=9ドットの位置合わせ送りが行われる(ステップS37)。この位置合わせ送りは、カラー単位バンドの下端の主走査ラインが、カラー領域の下端の主走査ラインと一致するように行われる。その後、第13〜第16パスにおいて、単一有彩色ノズル群のノズルを使用して単位スキャン動作が行われる(図10のステップS39)。
【0103】
その後、今度は、送り量Sc3=5ドットの位置合わせ送りが行われる(ステップS41)。この位置合わせ送りは、次の第1の無彩色単位バンドの上端の主走査ラインが、モノクロ領域の上端の主走査ラインと一致するような送りである。その後、第17〜第20パスにおいて、ブラックノズル群のすべてのノズルを使用して単位スキャン動作が行われ(ステップS43)、モノクロモードに移行する。
【0104】
なお、図20の例では、図9および図10のフローチャートに従ってカラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行するか否かの判断を行ったが、図12のフローチャートに従って判断してもよい。すなわち、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2と、第1の無彩色単位バンドの主走査ライン数L1および単一有彩色単位バンドの主走査ライン数L2の比較を行って、カラーモード印刷に移行するか否かの判断を行ってもよい。
【0105】
(4)モノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行:
図21は、第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。ここでは、図17および図18に示したような単位スキャン動作が行われる場合に、図13のフローチャートに従って印刷がどのように行われるかを説明する。図21の例においては、画像データの第102ラインから上がモノクロ領域であり、第103ラインから下がカラー領域である。したがって、最初はモノクロモード印刷が実行される。
【0106】
第4パスが終わったあとの状態では、次にモノクロモード用副走査をおこなうと、第1の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に位置することになる。したがって、図13のステップS54では、カラーラインありと判断される。そして、カラーモード用副走査をおこなうとすると、図21の右側に示すように、3回で第2の無彩色単位バンドの下端(ここでは第1の無彩色単位バンドの下端と同じ。)がカラー領域に位置することになる。したがって、第4パスの後には、送り量Sm2が、カラーモード用副走査の送り量Scの2倍と、1回の単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の1倍と、の合計の送り量に等しい位置合わせ送りを行う(図13のステップS64)。その後、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して単位スキャン動作が行われ(ステップS66)、カラーモードに移行する。
【0107】
図22は、第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。図22の例においては、画像データの第72ラインから上がモノクロ領域であり、第73ラインから下がカラー領域である。
【0108】
第4パスが終わったあとの状態では、次にモノクロモード用副走査をおこなうと、第1の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に位置することになる。したがって、図13のステップS54では、カラーラインありと判断される。そして、カラーモード用副走査をおこなうとすると、図22の右側に示すように、1回で第2の無彩色単位バンドの下端がカラー領域に位置することになる。したがって、図13のステップS62で、1回分であると判断され、そのままカラーモード印刷に移行する。
【0109】
なお、図21と図22の例では、図13のフローチャートに従ってモノクロモード印刷からカラーモード印刷に移行するか否かの判断を行ったが、図16のフローチャートに従って判断してもよい。すなわち、残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1と、第1の無彩色単位バンドの主走査ライン数L1および単一有彩色単位バンドの主走査ライン数L2の比較を行って、カラーモード印刷に移行するか否かの判断を行ってもよい。
【0110】
C.第3実施例:
(1)カラーモード印刷とモノクロモード印刷:
図3に示したような第1実施例の印刷ヘッド28を用いて、主走査ラインピッチがノズルピッチと等しいような印刷を行うこともできる。第3実施例では、そのような印刷について説明する。使用する印刷装置のハードウェア構成は第1実施例の印刷装置と同様である。
【0111】
図25は、モノクロモード印刷時の主走査ラインの記録を示す説明図である。図26は、カラーモード印刷時の主走査ラインの記録を示す説明図である。それぞれ図の左側にはノズルの配置が示されている。図25からわかるように、上下方向に隣り合う主走査ライン間の間隔Daは、印刷ヘッド上の各ノズルの上下方向(副走査方向)のピッチと同じである。したがって、印刷ヘッド上の各ノズルのピッチは、1ドットである。
【0112】
図25に示すように、第3実施例においては、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して主走査を行った場合にブラックインクによって記録される主走査ラインであって、副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ライン(第1の無彩色単位バンド)の数L1は、6である。第3実施例では、「無彩色単位ライン」と「第1の無彩色単位バンド」とは一致する。ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して主走査を行うモノクロモード印刷においては、一つの主走査が終わったあと、次の主走査を行うために主走査ライン6個分の副走査が行われる。この副走査を「モノクロモード用副走査」と呼ぶ。モノクロモード用副走査の送り量Smは、6ドットである。
【0113】
一方、カラーモード印刷においては、第1実施例と同様、各インク色について同数のノズルを使用して印刷を行う。ブラックノズル群Kのノズルは、ノズル#5、#6の2個のノズルのみが使用される。カラーモード印刷において使用されるブラックノズルを、「特定ブラックノズル群K0」と呼ぶ。
【0114】
図26に示すように、単一有彩色ノズル群Y、M、Cおよび特定ブラックノズル群K0を使用して主走査を行った場合にその各ノズル群が吐出するインクによって記録される主走査ライン(「単一有彩色単位バンド」および「第2の無彩色単位バンド」)の数L2は、それぞれ2である。カラーモード印刷においては、一つの主走査が終わったあと、次の主走査を行う前に主走査ライン2個分の副走査が行われる。この副走査を「カラーモード用副走査」と呼ぶ。カラーモード用副走査の送り量Scは、2ドットである。
【0115】
なお、第3実施例においては、「カラー単位ライン」と「カラー単位バンド」とは一致する。カラー単位バンドの幅は単一有彩色単位バンドの幅と等しい。また、カラーモード印刷は、カラーモード部41aによって実行され、モノクロモード印刷は、モノクロモード部41bによって実行される(図2参照)。
【0116】
(2)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行1:
図27および図28は、カラーモード印刷における処理を示すフローチャートである。そして、図29は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。図29においては、1回の主走査で一つのノズルで記録される主走査ラインを横方向の1列の升目の並びで表している。そして、図29の例では、第12〜第34ラインがモノクロ領域であり、第11ラインから上および第35ラインから下がカラー領域である。また、図29では、図の右上にも示すように、印刷ヘッドを2列×6行の升目で表している。図8では、一つの升目が一つのノズルに対応している。
【0117】
カラーモード印刷においては、図27のステップS82において、次にカラーモード用副走査を行って主走査を行ったと仮定した場合に、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルが、カラー領域とモノクロ領域のいずれに位置するかを検討する。その結果、ステップS84において、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルが、モノクロ領域にないとされた場合(カラー領域にあるとされた場合)には、ステップS86でカラーモード用副走査を行い、ステップS88で各色2個ずつのノズルを使用して主走査を行う。図29の例では、第3パスまでの印刷が、このルーチンに従って実行される。
【0118】
一方、ステップS84において、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルが、モノクロ領域に位置するとされた場合には、ステップS90において、次にカラーモード用副走査を行ったと仮定した場合の、イエロノズル群の上端のノズル#1の印刷用紙に対する相対位置を検討する。なお、ステップS90で相対位置を検討するノズルは、有彩色インクを吐出するノズル群に含まれるノズルのうち最も上方にあるノズルである。ステップS92において、イエロノズル群の上端のノズルがカラー領域に位置するとされた場合には、ステップS94で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。そして、ステップS86に移行して、カラーモード用副走査を行い、ステップS88で、主走査を行う。図29の例では、第4〜6パスの印刷が、このルーチンに従って実行される。なお、このようなカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行処理は、カラーモード部41aの第1の移行部41a1(図2参照)によって実行される。
【0119】
ステップS92で、イエロノズル群の上端のノズルがカラー領域に位置しない(モノクロ領域に位置する)とされた場合には、図28のステップS96で、位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りは、ブラックノズル群の上端のノズルがモノクロ領域の上端の主走査ライン上に位置するように、行われる。その後、ステップS98でブラックノズル群のすべてのノズルを使用して主走査を行い、モノクロモードに移行する。図29の例では、第6パスの後の副走査送りがステップS96における位置合わせ送りである。図29の例では、位置合わせ送りの送り量Sc1は1ドットである。そして、第7パスがステップS98で行う主走査である。なお、このようなカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行は、カラーモード部41aの第2の移行部41a2(図2参照)によって実行される。
【0120】
すなわち、カラーモード印刷においては、次にカラーモード用副走査を行った場合に、イエロノズル群の上端のノズルがカラー領域に位置する限り、ステップS86およびS88が繰り返され、カラーモード印刷が実行される。その際、特定ブラックノズル群K0のノズルがモノクロ領域にある場合には、そのズルはマスクされ(ステップS94)、モノクロ領域の主走査ラインの記録は行われない。図29の例では、第4〜6パスにおいて、第12〜第16ライン上をブラックノズルが通過しているが、それらのブラックノズルはマスクされ、第12〜第16ラインは記録されない。
【0121】
その後、次にカラーモード用副走査を行った場合に、イエロノズル群の上端のノズルがカラー領域に位置しない(モノクロ領域に位置する)ようになると(図27のステップS92)、位置合わせ送りが行われる(図28のステップS96)。その後、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して主走査が行われ(ステップS98)、その後、モノクロモード印刷が行われる。
【0122】
このような態様とすれば、上端がカラー領域と接しているモノクロ領域の、カラー領域との境界近辺の部分(図29では第12〜16ライン)を印刷する際の、副走査の回数を少なくすることができるので、その領域の印刷結果の品質を高くすることができる。
【0123】
(3)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行2:
図30および図31は、カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャートである。図32は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す他の例の説明図である。図30および図31のフローチャートは、ステップS84で、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルが、モノクロ領域にあるとされた場合の処理が、図27およ図28のフローチャートとは異なっている。他の点は図27および図28のフローチャートと同じである。ステップS84で、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルが、モノクロ領域にあるとされた場合は、ステップS91において、次にカラーモード用副走査を行ったと仮定した場合に、イエロノズル群の下端のノズル#2がカラー領域とモノクロ領域のいずれに位置するかを検討する。なお、ステップS91で検討するのは、複数の単一有彩色ノズル群(シアン、マゼンタ、イエロのノズル群)のうち最も上方に位置するノズル群(イエロノズル群)の下端のノズルの位置である。ステップS91での検討の結果、ステップS93において、イエロノズル群の下端のノズルがモノクロ領域に位置しない(カラー領域に位置する)とされた場合には、ステップS94で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。ステップS94以降の処理は、図27および図28のフローチャートと同様である。図32の例では、第4および第5パスの印刷が、このルーチンに従って実行される。なお、第4および第5パスの印刷は、図29の場合と同様に行われる。
【0124】
一方、ステップS93において、イエロノズル群の下端のノズルがモノクロ領域に位置すると判断された場合には、図31のステップS95で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。そして、ステップS97で、位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りによって、イエロノズル群の下端のノズルが、カラー領域の下端の主走査ライン上に位置する。その後、ステップS99で、各単一有彩色ノズル群を使用して主走査が行われる。図32の例では、第5パスの後の副走査送りが、ステップS97で行う位置合わせ送りである。図32では、位置合わせ送りの送り量Sc2は、1ドットである。そして、第6パスがステップS99で行う主走査である。
【0125】
その後、ステップS101で再び位置合わせ送りを行う。この位置合わせ送りは、位置合わせ送り後に、ブラックノズル群の上端のノズルがモノクロ領域の上端の主走査ライン上に位置するように、行われる。その後、ステップS103で、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して主走査を行う。そして、モノクロモード印刷に移行する。図32の例では、第6パスの後の副走査送りが、ステップS101で行う位置合わせ送りである。図32では、位置合わせ送りの送り量Sc3は、2ドットである。そして、第7パスがステップS103で行う主走査である。なお、このようなカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行処理は、カラーモード部41aの第2の移行部41a2(図2参照)によって実行される。このような態様としても、カラーモード用副走査および位置合わせ送りの回数を少なくすることができるので、印刷結果の品質を高くすることができる。
【0126】
(4)カラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行3:
図33は、カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャートである。図33のフローチャートにおいては、図30のステップS91およびS93に代えてステップS89が実行される。他の点は、図30のフローチャートと同様である。モノクロモード印刷における処理は、次のようにすることもできる。
【0127】
ステップS84において、カラーモード用副走査を行った場合に、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがモノクロ領域に位置するとされた場合には、次に、ステップS89で、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2が、シアン、マゼンタ、イエロの各ノズル群のノズル数N2よりも小さいか否かを検討する。図32の例では、第5パスが終わった状態で、次にカラーモード用副走査を行った場合、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがモノクロ領域に位置する。よって、ステップS84では、「Yes」と判定される。また、第5パスが終わった状態において、まだ記録が完了していない(イエロインクによる記録がなされていない)第11ラインが残余カラーラインである。
【0128】
ステップS89において、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2がN2よりも少ないとされた場合は、図31のステップS95〜S103を実行して、モノクロモード印刷に移行する。ステップS89において、残余カラー領域の主走査ライン数Lr2がN2以上であるとされた場合には、ステップS94で、特定ブラックノズル群K0のノズルのうち、モノクロライン上を通過するノズルをマスクする。ステップS94以降の処理は、図27および図28のフローチャートと同様である。
【0129】
このような処理を行っても、図32に示すような印刷が適切に行われる。そして、このような処理とすれば、より単純な処理でカラーモード印刷からモノクロモード印刷への移行を行うことができる。
【0130】
(5)モノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行1:
図34は、モノクロモード印刷における処理を示すフローチャートである。モノクロモード印刷においては、ステップS112において、次にモノクロモード用副走査を行うと仮定したときに、ブラックノズル群Kの下端のノズルがモノクロ領域とカラー領域の何れに位置するかを検討する。その結果、ステップS114においてカラー領域に位置しない(モノクロ領域に位置する)とされた場合には、ステップS116でモノクロモード用副走査を行い、ステップS118でブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して主走査を行う。その後、ステップS112に戻る。図29の例においては、第7パスの後に行われる副走査以降、第9パスまでの印刷がこのルーチンに従って実行される。
【0131】
すなわち、モノクロモード印刷では、次にモノクロモード用副走査を行った場合に、ブラックノズル群Kの下端のノズルがカラー領域に位置しない限り、ステップS116およびS118が繰り返され、モノクロモード印刷が実行される。
【0132】
ステップS114においてカラーラインがあるとされた場合には、ステップS120で、モノクロ領域のうちまだ記録が完了していない主走査ラインが存在する領域(「残余モノクロ領域」)の量を検討する。すなわち、カラーモード用副走査をJ回(Jは1以上の整数)行うと仮定したときに、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルが、はじめてカラー領域に位置するような、カラーモード用副走査の回数Jを調べる。図29の例では、左下に示すように、第9パスが終わった状態から、カラーモード用副走査を3回行ったときに、はじめて特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがカラー領域に位置する。
【0133】
ステップS122では、カラーモード用副走査を1回おこなっただけで、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがカラー領域に達するかどうかを検討する。特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがカラー領域に達するまでの副走査送りの回数Jが2以上である場合は、ステップS124で、カラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行う。そして、ステップS126で、ブラックノズル群のすべてのノズルを使用して主走査を行い、その後、カラーモードに移行する。図29の例では、第9パスの後の副走査が、ステップS124で行う副走査である。ここでは、副走査の送り量Sm2は、カラーモード用副走査の2倍の送り量である。そして、第10パスが、ステップS126で行う主走査である。ただし、図29の例では、第28〜第29ラインはすでに第9パスまでで記録されているので、実際には、ブラックノズル群Kのうち上の二つのノズルは使用されない。なお、このようなモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行処理は、モノクロモード部41bの移行部41b1(図2参照)によって実行される。
【0134】
図35は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。図35においては、第33ラインから下がカラー領域である。他の点は図29と同様である。図35に示すように、第9パスの後の状態から、副走査を2回行うと、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがカラー領域に達する場合には、第9パスの後に行うステップS124(図34参照)の副走査の送り量Sm2は、カラーモード用副走査送りの送り量Scの1倍である。
【0135】
図36は、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図である。図36においては、第31ラインから下がカラー領域である。他の点は図29と同様である。図36に示すように、第9パスの後の状態から、副走査を1回行うと、特定ブラックノズル群K0の下端のノズルがカラー領域に達する場合には、図34のステップS122から直接カラーモードに移行する。
【0136】
第1実施例では、ステップS124で位置合わせ送りを行って、ブラックノズル群Kのすべてのノズルを使用して主走査を行う。このため、カラー領域と接しているモノクロ領域の下端近辺の部分を記録する際の、カラーモード用副走査、モノクロモード用副走査および位置合わせ送りの回数を少なくすることができる。よって、下端がカラー領域と接しているモノクロ領域の、カラー領域との境界近辺の部分の印刷結果の品質が高い。
【0137】
(6)モノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行2:
37は、モノクロモード印刷の他の処理の例を示すフローチャートである。図37のフローチャートにおいては、図34のステップS112およびS114に代えてステップS113が実行され、図34のステップS120およびS122に代えてステップS121およびS123が実行される。他の点は、図34のフローチャートと同様である。モノクロモード印刷における処理は、次のようにすることもできる。
【0138】
まず、ステップS113において、現在記録しているモノクロ領域の主走査ラインであって、まだ記録が完了していない主走査ラインである、残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1と、ブラックノズル群Kのノズル数N1とを比較する。残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1がN1以上とされた場合は、ステップS116,S118を実行して、モノクロモード印刷を行う。
【0139】
ステップS113において、残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1がN1未満であるとされた場合は、ステップS121において、残余モノクロ領域の主走査ライン数Lr1が、シアン、マゼンタ、イエロの各ノズル群のノズル数N2の(J−1)倍以上でかつJ倍未満となるような整数Jを求める。そして、ステップS123において、Jが1であれば、そのままカラーモードに移行し、Jが2以上であれば、ステップS124で位置合わせ送りを行う。
【0140】
このような処理を行っても、図29、図35、図36に示すような印刷が適切に行われる。そして、このような処理とすれば、より単純な処理でモノクロモード印刷からカラーモード印刷への移行を行うことができる。
【0141】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0142】
図23および図24は、他の単位スキャン動作を示す説明図である。以上に示したカラーモード印刷およびモノクロモード印刷は、図4および図5ならびに図17および図18に示したノズルの構成および単位スキャン動作以外のノズルの構成および単位スキャン動作にも適用することができる。例えば、図23および図24に示すように、図17、図18に示したノズルの構成と同様のノズルの構成において、1ドットずつの微少送りを3回繰り返して4回の主走査を行って単位スキャン動作を完了する場合についても適用することができる。このような態様においては、図23に示すように、一度の単位スキャン動作において記録される第1の無彩色単位バンドは連続する60本の主走査ラインであり、単一有彩色単位バンドは、図24に示すように、連続する20本の主走査ラインである。このような態様においては、単位スキャン動作によって記録される主走査ラインは、すべて副走者方向について隙間をあけずに並ぶので、第1実施例の場合と同様な処理で印刷を実行することができる。
【0143】
また、ノズルピッチkは、4に限られるものではなく、6,8など適宜の値とすることができる。その場合、単位スキャン動作で行われる微小送りの送り量は、ノズルピッチkとは素の値となることが好ましい。そのようにすることで、一定の送り量で副走査を行って各主走査ラインを隙間なく記録することができる。また、微小送りの回数は(k−1)とすることが好ましい。
【0144】
さらには、第1および第2実施例ではノズルピッチkは4であったが、主走査ラインピッチがノズルピッチに等しいような印刷、すなわち、ノズルピッチkが1である印刷において、第1および第2実施例のような処理(図6,7,9,10,12,13,16参照)を行うこともできる。その場合には、1回の主走査が1回の単位スキャン動作に対応する。このため、1回の単位スキャン動作中で行われる副走査(微小送りt)の回数は0であり、1回の単位スキャン動作中で行われる副走査の合計の送り量は0である。
【0145】
図38および図39は、他の態様の印刷ヘッド28a,28bにおけるノズルの配置を示す説明図である。上記実施例においては、各ノズル群に含まれるノズルは、一列に配されていたが、各ノズル群に含まれるノズルは、図38に示すように、2列に配されていてもよく、さらに、3列以上であってもよい。また、ノズル群のノズルは、副走査方向SSについて互い違いに配される、いわゆる「千鳥」配列に配されていてもよい。そして、上記実施例においては、シアン、マゼンタ、イエロの各ノズル列が、副走査方向SSに一列に並んでいたが、単一有彩色ノズル群は、図38に示すように、主走査方向MSについて異なった位置に設けられていてもよい。また、副走査方向SSについて無彩色ノズル群が存在する範囲と、副走査方向SSについて複数の単一有彩色ノズル群が存在する範囲とは一致していなくてもよい。さらに、上記実施例においては、単一有彩色ノズル群は、シアン、マゼンタ、イエロの各ノズル群であったが、単一有彩色ノズル群は、たとえば、図39に示すように、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロなど、他の色のインクを吐出するノズル群を含んでもよい。また、グレーなどの無彩色インクを吐出するノズルを含んでもよい。すなわち、すなわち、「単一有彩色ノズル群」は、互いに等しい数のノズルを備え互いに異なるインクをそれぞれ吐出するものであれば、ノズルの配置やインク色、インク色の数は問わない。単一有彩色ノズル群が吐出するインクは、カラーモード印刷において使用されるインクである。
【0146】
また、上記実施例では、無彩色ノズル群は、ブラックインクを吐出するノズル群であったが、印刷データがブラック以外の単一色のインクで記録すべき領域を含んでいる場合は、その領域を記録するためのインクを無彩色ノズル群から吐出させるようにすることもできる。さらには、無彩色ノズル群が、2以上設けられていてもよい。その場合、各無彩色ノズル群のノズル数は等しいことが好ましい。
【0147】
そして、上記実施例では、カラーモード印刷において使用される特定ブラックノズル群K0は、ブラックノズル群Kのノズルのうち最も下方に位置する一群のノズルであった。しかし、特定無彩色ノズル群は、図38に示すように、無彩色ノズル群の副走査方向SSの中央近辺に位置するノズル群K0であってもよく、他の位置に位置するノズルであってもよい。すなわち、無彩色ノズル群の一部であって単一有彩色ノズル群と同数のノズルを含むノズル群であればよい。
【0148】
すなわち、印刷ヘッドは、主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列された互いに等しい数のノズルを備え互いに異なる有彩色インクをそれぞれ吐出する複数の単一有彩色ノズル群と、ノズルピッチk×Dで配列された単一有彩色ノズル群よりも多数のノズルを備え無彩色インクを吐出する無彩色ノズル群と、を備えた印刷ヘッドであればよい。
【0149】
そして、カラーモード印刷は、主走査において、無彩色ノズル群の一部であって単一有彩色ノズル群と同数のノズルを含む特定無彩色ノズル群と複数の単一有彩色ノズル群とを使用して、少なくともカラー領域の主走査ライン上にドットを形成し、k回の主走査と所定の第1の送り量による(k−1)回の副走査とで構成される単位スキャン動作を、所定の第2の送り量によるカラー用モード副走査を各単位スキャン動作の合間に行いつつ繰り返し行う印刷であればよい。
【0150】
また、モノクロモード印刷は、主走査において、単一有彩色ノズル群のノズルを使用せずに無彩色ノズル群のすべてのノズルを使用して、モノクロ領域の主走査ライン上にドットを形成し、第2の送り量よりも多い第3の送り量によるモノクロモード用副走査を合間に行いつつ単位スキャン動作を繰り返し行う、モノクロモード印刷を実行する印刷であればよい。
【0151】
本明細書では、カラーモード印刷からモノクロモード印刷に移行する場合には、カラーモード印刷において、位置合わせ送りを行い単位スキャン動作または主走査を行って、その後、モノクロモード印刷に移行することとした。例えば、図8においては、第24パスの後の送り量Sc1の位置合わせ送り(ステップS36)と、第25〜28パスを含む単位スキャン動作(ステップS38)は、カラーモード印刷に含まれるものとした(カラーモード印刷の手順を示す図6および図7参照)。しかし、これらの位置合わせ送りと単位スキャン動作または主走査が、モノクロモード印刷ではなくカラーモード印刷の方に含まれるものとしたのは、便宜上の分類に過ぎない。よって、これらの位置合わせ送りとその後の単位スキャン動作または主走査を、カラーモード印刷から移行した後のモノクロモード印刷の方に含まれるものと考えることもできる。
【0152】
同様に、本明細書では、モノクロモード印刷からカラーモード印刷に移行する場合には、モノクロモード印刷において、位置合わせ送りを行い単位スキャン動作または主走査を行って、その後、カラーモード印刷に移行することとした。例えば、図8においては、第36パスの後の送り量Sc2の位置合わせ送り(ステップS64)と、第37〜40パスを含む単位スキャン動作(ステップS66)は、モノクロモード印刷に含まれるものとした(モノクロモード印刷の手順を示す図13参照)。しかし、これらの位置合わせ送りとその後の単位スキャン動作または主走査が、モノクロモード印刷の方に含まれるものとしたのは、便宜上の分類に過ぎない。よって、これらの位置合わせ送りとその後の単位スキャン動作または主走査を、移行後のカラーモード印刷の方に含まれものと考えることもできる。
【0153】
なお、第1実施例では、モノクロ領域の印刷において、次にカラーモード用副走査と単位スキャン動作の組み合わせをJ回(Jは2以上の整数)行うと仮定したときに、第2の無彩色単位バンドの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合に、位置合わせ送りを行っていた(図13のS60およびS64参照)。そして、位置合わせ送りは、上記実施例では、送り量が、カラーモード用副走査の送り量の(J−1)倍と、1回の単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の(J−2)倍と、の合計に等しい副走査であった(図13のS64参照)。しかし、モノクロ領域の印刷において、図13のS60およびS64の処理に代えて、次にカラーモード用副走査のJ倍の送り量の副走査を行うと仮定したときに、第2の無彩色単位バンドの下端の主走査ラインが、カラー領域に位置する場合に、以下のような位置合わせ送りを行う態様とすることもできる。その位置合わせ送りは、カラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査である。このような態様としても、効率的にモノクロモード印刷からカラーモード印刷に移行することができる。なお、「次にカラーモード用副走査の(J−1)倍の送り量の副走査を行うと仮定したときに、第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、モノクロ領域に位置する」ことを、位置合わせ送りを行う際の条件として、さらに付け加えることが好ましい。
【0154】
上記各実施例では、インクジェットプリンタについて説明したが、本発明はインクジェットプリンタに限らず、一般に、印刷ヘッドを用いて印刷を行う種々の印刷装置に適用可能である。また、本発明は、インク滴を吐出する方法や装置に限らず、他の手段でドットを記録する方法や装置にも適用可能である。
【0155】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図2に示したヘッド駆動回路52の一部の機能をソフトウェアによって実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のプリンタ20を備えた印刷システムの概略構成図。
【図2】プリンタ20における制御回路40の構成を示すブロック図。
【図3】印刷ヘッド28に設けられたノズルの配置を示す説明図。
【図4】モノクロモード印刷時の単位スキャン動作による主走査ラインの記録を示す説明図。
【図5】カラーモード印刷時の単位スキャン動作による主走査ラインの記録を示す説明図。
【図6】カラーモード印刷における処理を示すフローチャート。
【図7】カラーモード印刷における処理を示すフローチャート。
【図8】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図9】モノクロモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図10】モノクロモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図11】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す他の例の説明図。
【図12】カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図13】モノクロモード印刷における処理を示すフローチャート。
【図14】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図15】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図16】モノクロモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図17】第2実施例のプリンタのノズルの配置と単位スキャン動作による主走査ラインの記録を示す説明図。
【図18】第2実施例のプリンタのノズルの配置と単位スキャン動作による主走査ラインの記録を示す説明図。
【図19】第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図20】第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図21】第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図22】第2実施例において、カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図23】他の構成のノズルと単位スキャン動作を示す説明図。
【図24】他の構成のノズルと単位スキャン動作を示す説明図。
【図25】モノクロモード印刷時の主走査ラインの記録を示す説明図。
【図26】カラーモード印刷時の主走査ラインの記録を示す説明図。
【図27】カラーモード印刷における処理を示すフローチャート。
【図28】カラーモード印刷における処理を示すフローチャート。
【図29】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図30】カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図31】カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図32】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す他の例の説明図。
【図33】カラーモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図34】モノクロモード印刷における処理を示すフローチャート。
【図35】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図36】カラー領域とモノクロ領域を含む画像データがどのように記録されるかを示す説明図。
【図37】モノクロモード印刷の他の処理の例を示すフローチャート。
【図38】他の態様の印刷ヘッド28aにおけるノズルの配置を示す説明図。
【図39】他の態様の印刷ヘッド28bにおけるノズルの配置を示す説明図。
【符号の説明】
20…インクジェットプリンタ
22…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28,28a,28b…印刷ヘッド
30…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置センサ
40…制御回路
41…CPU
41a…カラーモード部
41a1…第1の移行部
41a2…第2の移行部
41b…モノクロモード部
41b1…移行部
42…PROM
44…RAM
50…I/F専用回路
52…ヘッド駆動回路
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
88…コンピュータ
90…アクチュエータ回路
91〜96…アクチュエータチップ
C…シアンノズル群(シアンノズル列)
D…主走査ラインピッチ
K…ブラックノズル群(ブラックノズル列)
K0…特定ブラックノズル群
L1…第1の無彩色単位バンドの主走査ライン数
L2…第2の無彩色単位バンドの主走査ライン数、単一有彩色単位バンドの主走査ライン数
Lr1…残余モノクロ領域の主走査ライン数
Lr2…残余カラー領域の主走査ライン数
M…マゼンタノズル群(マゼンタノズル列)
P…印刷用紙
PE…ピエゾ素子
PS…印刷信号
ROM…プログラマブル
SS…副走査方向
Sc…カラーモード用副走査の送り量
Sc1,Sc2,Sc3…位置合わせ送りの送り量
Sm…モノクロモード用副走査の送り量
Sm2…位置合わせ送りの送り量
Y…イエロノズル群(イエロノズル列)
k…ノズルピッチ
n…ノズル

Claims (9)

  1. 主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ備え互いに異なる有彩色インクをそれぞれ吐出する複数の単一有彩色ノズル群と、ノズルピッチk×Dで配列されたノズルを備え無彩色インクを吐出する無彩色ノズル群と、を備えた印刷ヘッドを用いて、前記無彩色インクのみで記録されるモノクロ領域と前記有彩色インクを用いて記録されるカラー領域とについて印刷を行う印刷方法であって、
    (a)主走査において前記無彩色ノズル群を使用しつつ、k回の前記主走査と、前記主走査の合間に行う第1の送り量による(k−1)回の副走査と、で構成される単位スキャン動作を、第2の送り量によるモノクロモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うモノクロモード印刷を実行して、前記モノクロ領域の印刷を行う工程と、
    (b)前記主走査において、前記複数の単一有彩色ノズル群と、前記無彩色ノズル群の一部である特定無彩色ノズル群と、を使用して、前記単位スキャン動作を、前記第2の送り量よりも少ない第3の送り量によるカラーモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うカラーモード印刷を実行して、前記カラー領域の印刷を行う工程と、を有し、
    前記印刷ヘッドは、前記無彩色ノズル群のノズルであって前記モノクロモード印刷において使用されるノズルを、前記各単一有彩色ノズル群のノズルであって前記カラーモード印刷においてそれぞれ使用されるノズルよりも多く備え、
    前記第2の送り量は、当該モノクロモード用副走査の直前の前記単位スキャン動作で記録された主走査ラインの束であって前記副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、当該モノクロモード用副走査の後、前記無彩色ノズル群の上端のノズルが位置する送り量であり、
    前記第3の送り量は、当該カラーモード用副走査の直前の前記単位スキャン動作で記録が完了した主走査ラインの束であって前記副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、当該カラーモード用副走査の後、前記複数の単一有彩色ノズル群のノズルのうちの最も上方に位置するノズルが位置する送り量であり、
    前記工程(a)は、
    (a1)次に前記カラーモード用副走査と前記単位スキャン動作の組み合わせをJ回(Jは2以上の整数)行うと仮定したときに、1回の前記単位スキャン動作で前記特定無彩色ノズル群が前記副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、前記カラー領域に位置する場合に、
    送り量が、前記第3の送り量の(J−1)倍と、1回の前記単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の(J−2)倍と、の合計に等しい副走査を行い、
    カラーモード印刷に移行する工程を含む、印刷方法。
  2. 請求項1に記載の印刷方法であって、
    前記工程(a)は、さらに、
    (a2)次に前記カラーモード用副走査と前記単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、前記第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、前記カラー領域に位置する場合は、前記カラーモード印刷に移行する工程を備える印刷方法。
  3. 請求項1に記載の印刷方法であって、
    前記複数の単一有彩色ノズル群は、それぞれ前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN個(Nは2以上の整数)のノズルを含むC個(Cは2以上の整数)のノズル列であり、
    前記無彩色ノズル群は、前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN×C個のノズルからなるノズル列であり、
    前記第1の送り量は、Dであり、
    前記第2の送り量は、N×C×k×D−(k−1)×Dであり、
    前記第3の送り量は、N×k×D−(k−1)×Dである印刷方法。
  4. 請求項1に記載の印刷方法であって、
    前記複数の単一有彩色ノズル群は、それぞれ前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN個(Nは2以上の整数)のノズルを含むC個(Cは2以上の整数)のノズル列であり、
    前記無彩色ノズル群は、前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN×C個のノズルからなるノズル列であり、
    前記第1の送り量は、m×D(mは2以上でkと素の整数)である、印刷方法。
  5. 無彩色インクのみで記録されるモノクロ領域と有彩色インクを用いて記録されるカラー領域とを含む印刷データの印刷を行う印刷装置であって、
    主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ備え互いに異なる有彩色インクをそれぞれ吐出する複数の単一有彩色ノズル群と、ノズルピッチk×Dで配列されたノズルを備え無彩色インクを吐出する無彩色ノズル群と、を備えた印刷ヘッドと、
    前記印刷ヘッドと印刷媒体との少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査部と、
    前記印刷ヘッドと前記印刷媒体との少なくとも一方を前記主走査の方向と交わる方向に移動させる副走査を行う副走査部と、
    前記印刷ヘッド、前記主走査部、および前記副走査部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    主走査において前記無彩色ノズル群を使用しつつ、k回の前記主走査と、前記主走査の合間に行う第1の送り量による(k−1)回の前記副走査と、で構成される単位スキャン動作を、第2の送り量によるモノクロモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うモノクロモード印刷を実行して、前記モノクロ領域の印刷を行うモノクロモード部と、
    前記主走査において、前記複数の単一有彩色ノズル群と、前記無彩色ノズル群の一部である特定無彩色ノズル群と、を使用して、前記単位スキャン動作を、前記第2の送り量よりも少ない第3の送り量によるカラーモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うカラーモード印刷を実行して、前記カラー領域の印刷を行うカラーモード部と、を有し、
    前記印刷ヘッドは、前記無彩色ノズル群のノズルであって前記モノクロモード印刷において使用されるノズルを、前記各単一有彩色ノズル群のノズルであって前記カラーモード印刷においてそれぞれ使用されるノズルよりも多く備え、
    前記第2の送り量は、当該モノクロモード用副走査の直前の前記単位スキャン動作で記録された主走査ラインの束であって前記副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、当該モノクロモード用副走査の後、前記無彩色ノズル群の上端のノズルが位置する送り量であり、
    前記第3の送り量は、当該カラーモード用副走査の直前の前記単位スキャン動作で記録が完了した主走査ラインの束であって前記副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、当該カラーモード用副走査の後、前記複数の単一有彩色ノズル群のノズルのうちの最も上方に位置するノズルが位置する送り量であり、
    前記モノクロモード部は、
    次に前記カラーモード用副走査と前記単位スキャン動作の組み合わせをJ回(Jは2以上の整数)行うと仮定したときに、1回の前記単位スキャン動作で前記特定無彩色ノズル群が前記副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、前記カラー領域に位置する場合に、送り量が、前記第3の送り量の(J−1)倍と、1回の前記単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の(J−2)倍と、の合計に等しい副走査を行い、カラーモード印刷に移行する、移行部を備える印刷装置。
  6. 請求項5に記載の印刷装置であって、
    前記移行部は、
    次に前記カラーモード用副走査と前記単位スキャン動作とを行うと仮定したときに、前記第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、前記カラー領域に位置する場合は、前記カラーモード印刷に移行する、印刷装置。
  7. 請求項5に記載の印刷装置であって、
    前記複数の単一有彩色ノズル群は、それぞれ前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN個(Nは2以上の整数)のノズルを含むC個(Cは2以上の整数)のノズル列であり、
    前記無彩色ノズル群は、前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN×C個のノズルからなるノズル列であり、
    前記第1の送り量は、Dであり、
    前記第2の送り量は、N×C×k×D−(k−1)×Dであり、
    前記第3の送り量は、N×k×D−(k−1)×Dである印刷装置。
  8. 請求項5に記載の印刷装置であって、
    前記複数の単一有彩色ノズル群は、それぞれ前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN個(Nは2以上の整数)のノズルを含むC個(Cは2以上の整数)のノズル列であり、
    前記無彩色ノズル群は、前記副走査の方向について前記ノズルピッチk×Dで配されるN×C個のノズルからなるノズル列であり、
    前記第1の送り量は、m×D(mは2以上でkと素の整数)である、印刷装置。
  9. 印刷装置に接続されたコンピュータに、印刷を行わせるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    前記印刷装置は、主走査ラインピッチDのk倍(kは2以上の整数)のノズルピッチk×Dで配列されたノズルをそれぞれ備え互いに異なる有彩色インクをそれぞれ吐出する複数の単一有彩色ノズル群と、ノズルピッチk×Dで配列されたノズルを備え無彩色インクを吐出する無彩色ノズル群と、を備えた印刷ヘッドを備え、
    前記記録媒体は、
    主走査において前記無彩色ノズル群を使用しつつ、k回の前記主走査と、前記主走査の合間に行う第1の送り量による(k−1)回の副走査と、で構成される単位スキャン動作を、第2の送り量によるモノクロモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うモノクロモード印刷を実行して、前記無彩色インクのみで記録されるモノクロ領域の印刷を行う処理を、前記コンピュータに実行させるモノクロモードプログラムと、
    前記主走査において、前記複数の単一有彩色ノズル群と、前記無彩色ノズル群の一部である特定無彩色ノズル群と、を使用して、前記単位スキャン動作を、前記第2の送り量よりも少ない第3の送り量によるカラーモード用副走査を合間に行いつつ、繰り返し行うカラーモード印刷を実行して、前記有彩色インクを用いて記録されるカラー領域の印刷を行う処理を、前記コンピュータに実行させるカラーモードプログラムと、を含み、
    前記印刷ヘッドは、前記無彩色ノズル群のノズルであって前記モノクロモード印刷において使用されるノズルを、前記各単一有彩色ノズル群のノズルであって前記カラーモード印刷においてそれぞれ使用されるノズルよりも多く備え、
    前記第2の送り量は、当該モノクロモード用副走査の直前の前記単位スキャン動作で記録された主走査ラインの束であって前記副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、当該モノクロモード用副走査の後、前記無彩色ノズル群の上端のノズルが位置する送り量であり、
    前記第3の送り量は、当該カラーモード用副走査の直前の前記単位スキャン動作で記録が完了した主走査ラインの束であって前記副走査の方向について隙間なく並ぶ主走査ラインの束のうちの、下端の主走査ラインの一つ下の主走査ラインに、当該カラーモード用副走査の後、前記複数の単一有彩色ノズル群のノズルのうちの最も上方に位置するノズルが位置する送り量であり、
    前記モノクロモードプログラムは、
    次に前記カラーモード用副走査と前記単位スキャン動作の組み合わせをJ回(Jは2以上の整数)行うと仮定したときに、1回の前記単位スキャン動作で前記特定無彩色ノズル群が前記副走査の方向について隙間なく記録できる主走査ラインの束である第2の無彩色単位バンドのうちの下端の主走査ラインが、前記カラー領域に位置する場合に、
    送り量が、前記第3の送り量の(J−1)倍と、1回の前記単位スキャン動作内で行われる副走査の合計の送り量の(J−2)倍と、の合計に等しい副走査を行い、
    カラーモード印刷に移行する処理を、前記コンピュータに実行させるプログラムを備える記録媒体。
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