JP4305784B1 - 薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】HGAの最終検査よりも前に薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することの可能な、磁界発生素子の特性検査方法及び装置を提供する。
【解決手段】センサユニット17は、微動ユニット15による支持によりX,Y,Z方向に微動可能である。この微動ユニット15をX,Y方向に所定量だけ移動させ、その位置で薄膜磁気ヘッド素子21が発生する磁界をセンサユニット17で読み取り、読み取った結果としてセンサユニット17から出力される電圧を記録する。これを所定回数繰り返して得られた記録データに基づいて薄膜磁気ヘッド素子21の記録特性を検査ユニット19が評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばハードディスクドライブに用いられる薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置に関する。
薄膜磁気ヘッド素子は、対を成すライト素子とリード素子で構成される。図6は、薄膜磁気ヘッド素子の構成を例示する断面図である。薄膜磁気ヘッド素子21において、ライト素子31は、コイル32に流れる電流から電磁誘導により発生する磁界によって信号を磁気ディスク50に記録する。リード素子41は、磁気抵抗素子(MR素子42)で磁気ディスク50上の磁界の向きを検出することによって信号を再生する。
図7は、薄膜磁気ヘッド素子の形成されたスライダの例示的な斜視図である。本図に示されるように、薄膜磁気ヘッド素子21は電極22とともにスライダ2の端部に位置する。図8は、スライダの製造方法の概念的説明図である。スライダを製造する際にはまず、ウェハ上に多数の薄膜磁気ヘッド素子を形成し、それを棒状に切断する(図8(A)→(B))。この棒状のものがローバーである。そしてローバーをさらに個片に切断することでスライダが得られる(図8(B)→(C))。1本のローバーから一般的に約80個のスライダが得られる。すなわち、1本のローバーには約80個の薄膜磁気ヘッド素子が存在する。
スライダは、図9(A),(B)に例示のように、HGA(Head Gimbal Assembly)の一部を成す。すなわち、スライダ2は、ロードビーム3及びフレキシャ5を有するサスペンション7(ジンバル)に組み付けられる。ロードビーム3は、金属製の板バネからなり、先端部にはフレキシャ5側に突出したディンプル11が形成されている。ロードビーム3及びフレキシャ5は、先端部を除いて例えば溶接されて一体化され、サスペンション7を成す。フレキシャ5は、本体部5aと、長方形状のタング5bとを有する。タング5bは、本体部5a先端側の辺のみが本体部5aに接続され、その他の辺は切断されている。タング5bの背面はディンプル11によって付勢(押圧)され、タング5bはロードビーム3と略平行となる。スライダ2は、タング5b上に固定され、タング5bを介してディンプル11に付勢されて実際の記録・再生において最適な姿勢が保たれる。
ハードディスクドライブ(以下「HDD」)では、高速回転する磁気ディスクとHGAのスライダとが非接触の状態で信号が磁気ディスクに記録され、また信号が磁気ディスクから再生される。HGAの最終検査は、実際のHDDに対する記録・再生と同じような状況を作り出して行う必要がある。これは例えば動特性検査といわれる。HGAの動特性検査に関しては種々の方法が提案されており、一般的には、HGAによる擬似メディアへのデータの記録(書込み)及び再生(読出し)の結果をオリジナルデータと比較して、出力レベルやビット欠落などを基にHGAの特性が評価される。
HGAの特性を検査する装置としては、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。
特開2002−373476号公報
HGAが最終検査をパスしないと、サスペンション等の高価なパーツも廃棄しなければならず、結果的にコスト増大につながる。したがって、最終検査段階での不良品発生率は可能な限り低いことが望ましい。そこで検討すると、HGAが最終検査をパスしない原因の1つとして、薄膜磁気ヘッド素子の不良が考えられる。薄膜磁気ヘッド素子の不良はさらに、ライト素子の不良とリード素子の不良に分けられる。
ここで、リード素子については、外部磁界を与えることで特性(静特性)を得ることが可能なため、スライダ以降の工程のみならずローバーやウェハの状態で静特性検査を行うことができる。このため、リード素子が不良の薄膜磁気ヘッド素子を有するスライダは早い段階において比較的高い確率で除外することが可能である。つまり、HGAの最終検査の際にリード素子が不良である確率は比較的低い。
一方、ライト素子の特性を検査する際にはディスクと薄膜磁気ヘッド素子とのギャップを高精度で管理する必要があるため、HGAの最終検査よりも前の工程でライト素子の検査をするのは困難といえる。このため、ライト素子についてはHGAの最終検査だけで良否判定をせざるを得ないのが現状である。したがって、HGAの最終検査の際に不良のライト素子が存在する確率はリード素子の場合と比較して高い。
このような問題は、垂直磁気記録方式ではより顕著となる。というのも、垂直磁気記録方式では水平磁気記録方式よりも記録密度が大きい(エネルギー分布が狭い)ため、薄膜磁気ヘッド素子の歩留まりが悪いからである。また、垂直磁気記録方式ではライト素子の特性を検査する際にディスクと薄膜磁気ヘッド素子とのギャップをナノメートル単位で管理する必要があり、HGAの最終検査よりも前の工程でライト素子の検査をするのは水平磁気記録方式の場合よりもさらに困難である。なお、水平磁気記録方式であっても垂直磁気記録方式であっても再生原理(読込み原理)は同じため、リード素子については上記の理由からHGAの最終検査に不良品が残る確率は比較的低い。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、擬似メディアを用いることなく薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することが可能な、より詳しくは、HGAの最終検査よりも前に薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することの可能な、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置を提供することにある。
本発明の第1の態様は、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法である。この方法は、
磁気センサを有するセンサユニットと、
1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーとを用い、
前記磁気センサで読み取った前記ローバーに含まれる所定のライト素子の発生する磁界の測定値が前記ライト素子の磁界発生面に平行な第1及び第2の方向に関する所定位置において所定の条件を満たすように、前記磁界発生面と垂直な第3の方向についての前記ライト素子と前記磁気センサとの相対位置を、前記センサユニットを前記ライト素子に対して相対的に前記第3の方向に微動させるとともに前記ライト素子の発生する前記磁界を前記磁気センサで読み取りながら決定する第1工程と、
前記第1工程で決定した前記第3の方向についての前記相対位置を維持しながら前記磁気センサと前記ライト素子との前記第1及び第2の方向に関する相対位置を所定の範囲内で変化させる第2工程と、
前記第2工程で変化させた前記相対位置において前記ライト素子の発生する磁界を前記磁気センサで読み取る第3工程と、
前記第2及び第3工程を所定回数繰り返した後で、前記第1及び第2の方向に関する複数の前記相対位置の各々において前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値に基づいて前記ライト素子の特性を評価する第4工程とを有し、
前記ローバーに含まれる複数のライト素子に関して前記第1ないし第4工程を実行するものである。
の態様の特性検査方法において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値が所定値以上となることであってもよい。
第1の態様の特性検査方法において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値の前記第3の方向への微動に対する増加率が所定値以下となることであってもよい。
第1の態様の特性検査方法において、前記センサユニットは磁界発生手段をさらに有し、前記第3工程では前記薄膜磁気ヘッド素子の前記リード素子によって前記磁界発生手段の発生する磁界を読み取り、当該読み取った磁界に基づいて前記第4工程で前記リード素子の特性も評価するとよい。
本発明の第2の態様は、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置である。この装置は、
1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーを、所定位置に保持する保持手段と、
前記ローバーに含まれる所定のライト素子の発生する磁界を読み取る磁気センサを有するセンサユニットと、
前記センサユニットと前記ライト素子との相対位置を制御する相対位置制御手段と、
前記相対位置制御手段によって所定の範囲内で変化させた複数の相対位置の各々において前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値に基づいて前記ライト素子の特性を評価する検査ユニットとを備え、前記相対位置制御手段は、
前記センサユニットを前記ローバーに対して相対的に、前記ローバーの長手方向と平行に移動可能な直線移動手段と、
前記センサユニットを前記ライト素子に対して相対的に、前記ライト素子の磁界発生面に平行な第1及び第2の方向にそれぞれ微動可能な第1及び第2の微動手段と、
前記センサユニットを前記ライト素子に対して相対的に、前記磁界発生面と垂直な第3の方向に微動可能な第3の微動手段とを有し、本特性検査装置は、
前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値が前記第1及び第2の方向に関する所定位置において所定の条件を満たすように、前記第3の微動手段によって前記第3の方向についての前記相対位置を、前記ライト素子の発生する前記磁界を前記磁気センサで読み取りながら決定し、
当該決定した前記第3の方向についての前記相対位置を維持しながら前記第1及び第2の微動手段によって変化させた前記第1及び第2の方向についての複数の前記相対位置の各々において前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値に基づいて前記ライト素子の特性を前記検査ユニットが評価するものであり、前記ローバーに含まれる複数のライト素子の特性を評価するものである。
の態様の特性検査装置において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値が所定値以上となることであるとよい。
第2の態様の特性検査装置において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値の前記第3の方向への微動に対する増加率が所定値以下となることであるとよい。
第2の態様の特性検査装置において、前記第1ないし第3の微動手段のうち、少なくともひとつはピエゾ素子を用いたものであるとよい。
の態様の特性検査装置において、前記検査ユニットは、前記磁界を読み取った結果としての前記磁気センサからの出力値を所定の基準値と比較することにより前記ライト素子の良否を判定するものであってもよい。
の態様の特性検査装置において、前記センサユニットは磁界発生手段をさらに有し、前記薄膜磁気ヘッド素子の前記リード素子によって前記磁界発生手段の発生する磁界を読み取った結果に基づいて前記検査ユニットが前記リード素子の特性も評価してもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現をシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、磁気センサと薄膜磁気ヘッド素子のライト素子との相対位置を所定の範囲内で変化させ、当該変化させた複数の前記相対位置の各々において前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界に基づいて前記ライト素子の特性を評価するので、HGAの最終検査のように擬似メディアを用いる必要はなく、HGAの最終検査よりも前に薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、本発明の実施の形態に係る特性検査装置100の構成を例示する概略斜視図である。ここでは、水平面内で互いに直交する2方向を第1及び第2の方向(X方向及びY方向)、鉛直方向を第3の方向(Z方向)と定義する。特性検査装置100は、基台11と、保持手段としての固定台12と、X方向移動軸13と、直線移動手段としての直線移動ユニット14と、第1ないし第3の微動手段としての微動ユニット15と、センサホルダ16と、センサユニット17と、撮像装置18と、検査ユニット19とを備える。
基台11に支持された固定台12は、例えば真空吸着によりローバー20を磁界発生面が上側になるように保持する。固定台12に保持された状態で、ローバー20は長手方向がX方向と平行で、ローバー20の磁界発生面はXY平面と略平行となっている。なお、固定台12による保持は真空吸着に替えて機械的チャックとしてもよい。ここで、固定台12の上面(ローバー20の保持面)は、ローバー20とセンサユニット17との距離を所定値以内、つまりローバー20とセンサユニット17との磁界が測定可能な距離以内に収めるのに必要な平面度(Z方向)が確保されている。ローバー20は、1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子21が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子21をそれぞれ有する複数のスライダとなるものである。
基台11にはX方向移動軸13がX方向と平行に支持され、X方向移動軸13には直線移動ユニット14がX方向にスライド可能に支持される。直線移動ユニット14には微動ユニット15が支持(搭載)される。微動ユニット15は、例えばピエゾ素子(圧電素子)を用いたものであり、センサホルダ16をX,Y,Z方向に高精度(例えばnmオーダー)で微動可能に支持する。センサホルダ16にはセンサユニット17が磁界発生面を下側にして固定支持される。したがってセンサユニット17は、直線移動ユニット14の直線移動に伴ってX軸方向に移動可能であり、かつ、微動ユニット15による支持によりX,Y,Z方向(第1ないし第3の方向)に微動可能である。なお、センサユニット17は、磁気ヘッド素子と同等の機能を有するもの(つまりライト素子に相当する磁界発生手段とリード素子に相当する磁気センサとを有するもの)であり、センサホルダ16に支持された状態でローバー20と磁界発生面同士が略平行に対向して互いの発生磁界を検出できる距離にある。
撮像装置18は、センサユニット17及びローバー20の上方に支持され(支持手段は図示せず)、ローバー20の位置決めあるいはローバー20に対するセンサユニット17の位置決めのために用いることができる。検査ユニット19は、センサユニット17の電極及びローバー20の各薄膜磁気ヘッド素子21の各電極と電気的に接続される。つまり、図2に模式的に示されるように、センサユニット17及び各薄膜磁気ヘッド素子21の電極22に検査ユニット19のプローブが接している。検査ユニット19の有する電流発生手段から各薄膜磁気ヘッド素子21のライト入力用電極間に磁界発生電流を流し、各薄膜磁気ヘッド素子21の発生磁界をセンサユニット17で検出した結果(つまり磁電変換で得られたリード出力用電極間の電圧値)に基づいて各薄膜磁気ヘッド素子21の記録特性が検査ユニット19の有する出力判定手段によって評価される。また、検査ユニット19の有する電流発生手段からセンサユニット17のライト入力用電極間に磁界発生電流を流し、センサユニット17の発生磁界を各薄膜磁気ヘッド素子21のリード素子で検出した結果(つまり磁電変換で得られたリード出力用電極間の電圧値)に基づいて各薄膜磁気ヘッド素子21の再生特性が検査ユニット19の有する出力判定手段によって評価される。
図3は、図1に示される特性検査装置100による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れを示すフローチャートである。以下、図1及び2も参照しながら本実施の形態における特性検査の流れを説明する。ここで、ローバー20に含まれる薄膜磁気ヘッド素子21の数をK、1つの薄膜磁気ヘッド素子21についての磁界測定点の数をNと定義する。
・ローバー保持工程… ローバー20を固定台12上面に例えば手供給もしくは所定の搬送機構を用いて配置し、固定台12の例えば真空吸着によってローバー20を保持する。この際、撮像装置18による撮像画像を基にした画像処理によって固定台12上におけるローバー20の測定対象素子(薄膜磁気ヘッド素子)の大まかな位置決めをすることができる。
・仮位置決め工程… 直線移動ユニット14をX方向移動軸13に沿って直線移動させることによりセンサユニット17を、ローバー20に含まれるi番目(1≦i≦K)の薄膜磁気ヘッド素子21と対向するように仮位置決めする。このとき、直線移動ユニット14の移動量は、予め定められた数値に基づいてもよいし、撮像装置18による撮像画像を基にした画像処理に基づいてもよい。
・粗動工程… i番目の薄膜磁気ヘッド素子21に検査ユニット19の電流発生手段から記録用電気信号(磁界発生電流)を入力し、これによりi番目の薄膜磁気ヘッド素子21が発生する磁界をセンサユニット17で読み取りながら、読み取った結果としてセンサユニット17から出力される電圧(以下「リード出力電圧」)が所定の条件を満たすように(例えばリード出力電圧が所定値以上となるように)微動ユニット15をX,Y方向に粗動させる。これにより、i番目の薄膜磁気ヘッド素子21のポール27とセンサユニット17のMR素子175とがほぼ正対する。なお、粗動工程はセンサユニット17がローバー20に接した状態で行われてもよい。
・微動工程… センサユニット17のリード出力電圧がより大きくなるように微動ユニット15をZ方向に微動させる。通常はセンサユニット17のMR素子175と薄膜磁気ヘッド素子21のポール27との距離を小さくすることでセンサユニット17のリード出力電圧は大きくなる。本工程ではリード出力電圧が所定の条件を満たすまで、例えばリード出力電圧が最大値又は最大値近傍になるまで、あるいはリード出力電圧が所定値以上となるまで、あるいは微動ユニット15のZ方向への微動に対するリード出力電圧の増加率が所定値以下となるまで、微動ユニット15をZ方向に微動させる。これでZ方向に関する位置決めが終了する。なお、最大値近傍は、実験的に定めることができる。
・測定工程… 微動ユニット15をX,Y方向に所定量だけ移動させ、その位置でのセンサユニット17のリード出力電圧を記録する。これをN回繰り返す。これにより、N箇所でのセンサユニット17のリード出力電圧が測定データとして記録される。
・出力工程… 測定工程における測定結果を出力する。出力結果の一例を図4に示す。本図において、(A)は記録用電流の周波数が10MHzの場合を、(B)は同周波数が50MHzの場合を示している。
・評価工程… 測定工程における測定結果に基づいて、i番目の薄膜磁気ヘッド素子21の記録特性を検査ユニット19の出力判定手段が評価する。具体的には、測定結果(出力値)を基準値(例えば必要とされる強度と範囲に相当するもの)と比較する等によりi番目の薄膜磁気ヘッド素子21の良否を判定する。
通常はローバー20に含まれるK個の薄膜磁気ヘッド素子21全てについて上記各工程を実行する。なお、上記一連の工程は薄膜磁気ヘッド素子21の記録特性(書込み特性)を検査するものであったが、記録特性の検査に併せて再生特性(読出し特性)の検査をすることも可能である。この場合、上記測定工程においてはセンサユニット17のリード出力電圧を記録した後、検査ユニット19の電流発生手段から記録用電気信号(磁界発生電流)をセンサユニット17に入力し、これによりセンサユニット17の発生する磁界をi番目の薄膜磁気ヘッド素子21で読み取り、読み取った結果として出力される電圧も併せて記録する。そして検査ユニット19は薄膜磁気ヘッド素子21の再生特性(すなわち薄膜磁気ヘッド素子21のリード素子の特性)も併せて評価する。
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
(1) 所定位置に保持された薄膜磁気ヘッド素子21に記録用電気信号を入力することにより薄膜磁気ヘッド素子21から発生する磁界を、薄膜磁気ヘッド素子21の近傍のN箇所でセンサユニット17により読み取り、各位置でのリード出力電圧に基づいて検査ユニット19により薄膜磁気ヘッド素子21の記録特性(すなわち薄膜磁気ヘッド素子21のライト素子の特性)を評価することとしたので、HGAの最終検査のように擬似メディアを用いる必要がない。そして記録特性が不良の薄膜磁気ヘッド素子21をHGAの最終検査よりも前の段階で除外することができ、HGAの最終検査時に記録特性が不良の薄膜磁気ヘッド素子が残っている確率を減らすことができる。すなわち、記録特性が不良の薄膜磁気ヘッド素子のためにサスペンション等の高価なパーツを廃棄する無駄が少なくなるため、コスト低減の点で非常に有利である。
(2) ローバーの段階、つまり個片に切断してスライダとされる前の段階で各薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することが可能なため、個々のスライダよりも取り扱いが易しく検査効率も良い。
(3) 薄膜磁気ヘッド素子21に対するセンサユニット17の位置を微動ユニット15の高精度な微動により制御するので、検査の信頼性が高い。
(4) 上述のとおり薄膜磁気ヘッド素子21の記録特性の検査に併せて再生特性も検査することも可能であり、効率的である。
以下、本実施の形態の特性検査装置100の具体的構成を説明する。
図5は、図1に示される特性検査装置100の具体的な構成を例示する斜視図である。本図では、ローバー20の供給から検査、排出までを自動的に行う場合の構成を例示している。
筐体201は、上面が特性検査装置100の作業スペースを成す。制御盤205は、筐体201に内蔵され、特性検査装置100全体の動作を統括して制御する。カバー206は、図1に示した各部材(検査ユニット19以外)を囲むものである。供給部210は、順次供給される未検査のローバー20を搬送ホルダ130の下方に移送する。搬送ホルダ130は搬送軸215(X軸)に沿って横方向に移動可能であり、また、自身の内蔵する移動機構により上下方向に移動可能である。排出部220は、検査済みのローバー20を外部に移送する。モニタ207は、検査結果や装置全体の状況を使用者に知らせるためのものである。
図5の装置の流れを説明すると、まず、搬送ホルダ130は、供給部210によって移送されてきた未検査のローバー20を保持し、搬送軸215に沿って図1の固定台12(カバー206内)の上方まで右方向に移動して下降し、カバー206の上側開口を経由して固定台12上にローバー20を配置する。この状態でローバー20の検査が実行され、検査が済むと搬送ホルダ130はローバー20を保持して上昇し、搬送軸215に沿って排出部220の上方まで右方向に移動してローバー20を排出する。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各工程には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
実施の形態では仮位置決め工程において直線移動ユニット14をX方向移動軸13に沿って直線移動させることによりセンサユニット17をX方向に直線移動させる場合を説明したが、変形例では同工程においてローバー20をX方向に直線移動させてもよい。要するにX方向(ローバー20の長手方向)に対するセンサユニット17と薄膜磁気ヘッド素子21との相対位置を変化させることができればよい。センサユニット17とローバー20のいずれを動かすかは装置設計の都合に合わせて適宜決定することができる。
実施の形態ではセンサユニット17は磁気ヘッド素子と同等の機能を有するものとしたが、変形例ではセンサユニット17は記録用の磁界を発生する機能を有さずに磁界を読み取る機能を有するもの(磁気センサ)としてもよい。この場合でも薄膜磁気ヘッド素子の記録特性だけは検査可能である。
実施の形態では特性検査の対象をローバーに含まれる薄膜磁気ヘッド素子としたが、変形例では個片に切断された後の薄膜磁気ヘッド素子を特性検査の対象としてもよい。また、薄膜磁気ヘッド素子に限らず任意の磁界発生或いは磁界を有する素子や媒体を特性検査の対象としてもよい。また、実施の形態では微動ユニット15としてピエゾ素子を用いたものを例示したが、変形例ではこれに替えて精密ボールネジをサーボモータで回転駆動する機構やリニアモータを採用してもよい。
本発明の実施の形態に係る特性検査装置の構成を例示する概略斜視図。 図1の模式的な部分拡大側面図。 図1に示される特性検査装置による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れを示すフローチャート。 実施の形態における測定結果の出力例の説明図。 図1に示される特性検査装置の具体的な構成を例示する斜視図。 薄膜磁気ヘッド素子の構成を例示する断面図。 薄膜磁気ヘッド素子の形成されたスライダの例示的な斜視図。 スライダの製造方法の概念的説明図。 HGAの形状説明図であり、(A)は側面図、(B)は底面図。
符号の説明
11 基台
12 固定台
13 X方向移動軸
14 直線移動ユニット
15 微動ユニット
16 センサホルダ
17 センサユニット
18 撮像装置
19 検査ユニット
20 ローバー
21 薄膜磁気ヘッド素子
22 電極
31 ライト素子
41 リード素子
100 薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置
130 搬送ホルダ
170 検査ユニット
201 筐体
205 制御盤
206 カバー
207 モニタ
210 供給部
215 搬送軸
220 排出部

Claims (10)

  1. 磁気センサを有するセンサユニットと、
    1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーとを用い、
    前記磁気センサで読み取った前記ローバーに含まれる所定のライト素子の発生する磁界の測定値が前記ライト素子の磁界発生面に平行な第1及び第2の方向に関する所定位置において所定の条件を満たすように、前記磁界発生面と垂直な第3の方向についての前記ライト素子と前記磁気センサとの相対位置を、前記センサユニットを前記ライト素子に対して相対的に前記第3の方向に微動させるとともに前記ライト素子の発生する前記磁界を前記磁気センサで読み取りながら決定する第1工程と、
    前記第1工程で決定した前記第3の方向についての前記相対位置を維持しながら前記磁気センサと前記ライト素子との前記第1及び第2の方向に関する相対位置を所定の範囲内で変化させる第2工程と、
    前記第2工程で変化させた前記相対位置において前記ライト素子の発生する磁界を前記磁気センサで読み取る第3工程と、
    前記第2及び第3工程を所定回数繰り返した後で、前記第1及び第2の方向に関する複数の前記相対位置の各々において前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値に基づいて前記ライト素子の特性を評価する第4工程とを有し、
    前記ローバーに含まれる複数のライト素子に関して前記第1ないし第4工程を実行する、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  2. 請求項1に記載の特性検査方法において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値が所定値以上となることである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  3. 請求項1に記載の特性検査方法において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値の前記第3の方向への微動に対する増加率が所定値以下となることである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の特性検査方法において、前記センサユニットは磁界発生手段をさらに有し、前記第3工程では前記薄膜磁気ヘッド素子の前記リード素子によって前記磁界発生手段の発生する磁界を読み取り、当該読み取った磁界に基づいて前記第4工程で前記リード素子の特性も評価する、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  5. 1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーを、所定位置に保持する保持手段と、
    前記ローバーに含まれる所定のライト素子の発生する磁界を読み取る磁気センサを有するセンサユニットと、
    前記センサユニットと前記ライト素子との相対位置を制御する相対位置制御手段と、
    前記相対位置制御手段によって所定の範囲内で変化させた複数の相対位置の各々において前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値に基づいて前記ライト素子の特性を評価する検査ユニットとを備え、前記相対位置制御手段は、
    前記センサユニットを前記ローバーに対して相対的に、前記ローバーの長手方向と平行に移動可能な直線移動手段と、
    前記センサユニットを前記ライト素子に対して相対的に、前記ライト素子の磁界発生面に平行な第1及び第2の方向にそれぞれ微動可能な第1及び第2の微動手段と、
    前記センサユニットを前記ライト素子に対して相対的に、前記磁界発生面と垂直な第3の方向に微動可能な第3の微動手段とを有し、本特性検査装置は、
    前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値が前記第1及び第2の方向に関する所定位置において所定の条件を満たすように、前記第3の微動手段によって前記第3の方向についての前記相対位置を、前記ライト素子の発生する前記磁界を前記磁気センサで読み取りながら決定し、
    当該決定した前記第3の方向についての前記相対位置を維持しながら前記第1及び第2の微動手段によって変化させた前記第1及び第2の方向についての複数の前記相対位置の各々において前記磁気センサで読み取った前記磁界の測定値に基づいて前記ライト素子の特性を前記検査ユニットが評価するものであり、前記ローバーに含まれる複数のライト素子の特性を評価する、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  6. 請求項5に記載の特性検査装置において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値が所定値以上となることである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  7. 請求項5に記載の特性検査装置において、前記所定の条件は、前記磁気センサで読み取った前記ライト素子の発生する磁界の測定値の前記第3の方向への微動に対する増加率が所定値以下となることである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  8. 請求項5から7のいずれかに記載の特性検査装置において、前記第1ないし第3の微動手段のうち、少なくともひとつはピエゾ素子を用いたものである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  9. 請求項5から8のいずれかに記載の特性検査装置において、前記検査ユニットは、前記磁界を読み取った結果としての前記磁気センサからの出力値を所定の基準値と比較することにより前記ライト素子の良否を判定するものである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  10. 請求項5から9のいずれかに記載の特性検査装置において、前記センサユニットは磁界発生手段をさらに有し、前記薄膜磁気ヘッド素子の前記リード素子によって前記磁界発生手段の発生する磁界を読み取った結果に基づいて前記検査ユニットが前記リード素子の特性も評価する、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
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