図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明に用いる各図では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
[実施の形態1]
(半透過反射型液晶装置の基本的な構成)
図1は、本発明を適用した半透過反射型液晶装置を各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。図3は、半透過反射型液晶装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。なお、本形態の説明に用いた各図では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
図1および図2において、本形態の半透過反射型液晶装置100は、シール材52によって貼り合わされたTFTアレイ基板10(第1の透明基板)と対向基板20(第2の透明基板)との間に、電気光学物質としての液晶層50が保持されており、シール材52の形成領域の内側領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101、および実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104の間をつなぐための複数の配線105が設けられており、更に、周辺見切り53の下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路が設けられることもある。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が形成されている。また、データ線駆動回路101、及び走査線駆動回路104等は、シール材52と重なってもよいし、シール材52の内側領域に形成されてもよい。
なお、データ線駆動回路101および走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(テープ オートメイテッド、ボンディング)基板をTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群に対して異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。なお、半透過反射型液晶装置100では、使用する液晶層50の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略してある。また、半透過反射型液晶装置100をカラー表示用として構成する場合には、後述するように、対向基板20において、TFTアレイ基板10の各画素電極9aに対向する領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
半透過反射型液晶装置100の画面表示領域においては、図3に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素電極9a、およびこの画素電極9aを駆動するための画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2・・・Snを供給するデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2・・・Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2・・・Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2・・・Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、・・・Snは、図2に示す対向基板20の対向電極21との間で一定期間保持される。
ここで、液晶層50は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶層50の部分を通過する光量が低下し、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶層50の部分を通過する光量が増大していく。その結果、全体として半透過反射型液晶装置100からは画素信号S1、S2、・・・Snに応じたコントラストを持つ光が出射される。
なお、保持された画素信号S1、S2、・・・Snがリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60を付加することがある。例えば、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い半透過反射型液晶装置100が実現できる。なお、蓄積容量60を形成する方法としては、図3に例示するように、蓄積容量60を形成するための配線である容量線3bとの間に形成する場合、あるいは前段の走査線3aとの間に形成する場合もいずれであってもよい。
(TFTアレイ基板の構成)
図4は、本形態の半透過反射型液晶装置に用いたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図5は、半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。
図4において、TFTアレイ基板10上には、複数の透明なITO(Indium Tin Oxide)膜からなる画素電極9a(第1の透明電極)がマトリクス状に形成されており、これら各画素電極9aに対して画素スイッチング用のTFT30がそれぞれ接続している。また、画素電極9aの縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3a、および容量線3bが形成され、TFT30は、データ線6aおよび走査線3aに対して接続している。すなわち、データ線6aは、コンタクトホールを介してTFT30の高濃度ソース領域1dに電気的に接続し、走査線3aは、その突出部分がTFT30のゲート電極を構成している。
なお、蓄積容量60は、画素スイッチング用のTFT30を形成するための半導体膜1の延設部分1fを導電化したものを下電極とし、この下電極41に容量線3bが上電極として重なった構造になっている。
このように構成した画素領域のC−C’線における断面は、図5に示すように、TFTアレイ基板10の基体たる透明な基板10’の表面に、厚さが300nm〜500nmのシリコン酸化膜(絶縁膜)からなる下地保護膜11が形成され、この下地保護膜11の表面には、厚さが30nm〜100nmの島状の半導体膜1aが形成されている。半導体膜1aの表面には、厚さが約50〜150nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜2が形成され、このゲート絶縁膜2の表面に、厚さが300nm〜800nmの走査線3aが形成されている。半導体膜1aのうち、走査線3aに対してゲート絶縁膜2を介して対峙する領域がチャネル領域1a’になっている。このチャネル領域1a’に対して一方側には、低濃度ソース領域1bおよび高濃度ソース領域1dを備えるソース領域が形成され、他方側には低濃度ドレイン領域1cおよび高濃度ドレイン領域1eを備えるドレイン領域が形成されている。
画素スイッチング用のTFT30の表面側には、厚さが300nm〜800nmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜4が形成され、この層間絶縁膜4の表面には、厚さが100nm〜300nmのシリコン窒化膜からなる表面保護膜(図示せず)が形成されることがある。層間絶縁膜4の表面には、厚さが300nm〜800nmのデータ線6aが形成され、このデータ線6aは、層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。層間絶縁膜4の表面にはデータ線6aと同時形成されたドレイン電極6bが形成され、このドレイン電極6bは、層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。
層間絶縁膜4の上層には、第1の感光性樹脂からなる凹凸形成層13aが所定のパターンで形成され、この凹凸形成層13aの表面には、第2の感光性樹脂からなる上層絶縁膜7aが形成されている。また、上層絶縁膜7aの表面には、アルミニウム膜などからなる光反射膜8aが形成されている。従って、光反射膜8aの表面には、凹凸形成層13aの凹凸が上層絶縁膜7aを介して反映されて、凹部8cおよび凸部8bからなる凹凸パターン8gが形成されている。
ここで、光反射層8aには光透過窓8dが形成されている。このため、光反射層8aは、画素電極9aと対向電極21とが対向する画素領域100aに反射表示領域100bを構成するとともに、光反射層8aの形成されていない残りの領域(光透過窓8d)によって透過表示領域100cを構成している。
光反射膜8aの上層にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、光反射膜8aの表面に直接、積層され、画素電極9aと光反射膜8aとは電気的に接続されている。また、画素電極9aは、感光性樹脂層7aおよび層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。
画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜12が形成されている。この配向膜12は、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁膜2と同時形成された絶縁膜(誘電体膜)を介して容量線3bが上電極として対向することにより、蓄積容量60が構成されている。
さらに、本形態では、容量線3bの上層側には、透明なポリイミド樹脂などからなる、高さ2μm〜3μmの柱状突起40が各画素100毎に複数、形成され、これらの柱状突起40によって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が規定されている。このため、本形態の半透過反射型液晶装置100では、TFTアレイ基板10と対向基板20との間にギャップ材が散布されていない。
なお、TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1b、および低濃度ドレイン領域1cに相当する領域に不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を有していてもよい。また、TFT30は、ゲート電極(走査線3aの一部)をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度のソースおよびドレイン領域を形成したセルフアライン型のTFTであってもよい。
また、本形態では、TFT30のゲート電極(走査線3a)をソース−ドレイン領域の間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。このようにデュアルゲート(ダブルゲート)、あるいはトリプルゲート以上でTFT30を構成すれば、チャネルとソース−ドレイン領域の接合部でのリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することが出来る。これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造或いはオフセット構造にすれば、さらにオフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることができる。
(対向基板の構成)
対向基板20では、TFTアレイ基板10に形成されている画素電極9aの縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23が形成され、その上層側には、ITO膜からなる対向電極21(第2の電極)が形成されている。また、対向電極21の上層側には、ポリイミド膜からなる配向膜22が形成され、この配向膜22は、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
また、対向基板20において対向電極21の下層側には、フォトリソグラフィ技術、フレキソ印刷法、あるいはインクジェット法を利用して反射表示領域100bおよび透過表示領域100cにRGBのカラーフィルタ24が1μm〜数μmの厚さに形成されている。ここで、カラーフィルタ24は、反射表示領域100bおよび透過表示領域100cに対して一体に形成され、反射表示領域100bと透過表示領域100cとにおいて膜厚が一定である。
さらに、本形態では、対向電極21とカラーフィルタ24との層間、すなわち、対向電極21の下層側には、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dを透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりも薄くする層厚調整層25が形成されている。本形態において、層厚調整層25は、フォトリソグラフィ技術、フレキソ印刷法、あるいはインクジェット法を利用して反射表示領域100bに選択的に形成された、厚さが2μm〜3μmのアクリル樹脂やポリイミド樹脂などの透明層である。
(本形態の作用・効果)
このような構成の液晶装置では、TFTアレイ基板10の背面側に配置されたバックライト装置(図示せず)から出射された光のうち、透過表示領域100cに入射した光は、矢印LBで示すように、TFTアレイ基板101の側から液晶層50に入射し、液晶層50で光変調された後、対向基板20の側から透過表示光として出射されて画像を表示する(透過モード)。
また、対向基板20の側から入射した外光のうち、反射表示領域100bに入射した光は、矢印LAで示すように、液晶層50を通って反射層8aに届き、この反射層8aで反射されて再び、液晶層50を通って対向基板20の側から反射表示光として出射されて画像を表示する(反射モード)。
このような表示を行う際、透過表示光は、液晶層50を一度だけ通過して出射されるのに対して、反射表示光は、液晶層50を2度、通過することになるが、本形態では、反射表示領域100bに形成された層厚調整層25によって、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dは、透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりもかなり薄い。このため、透過表示光および反射表示光の双方において、リターデーションΔn・dを最適化することができるので、品位の高い表示を行うことができる。
しかも本形態では、対向基板20の側、すなわち、画素スイッチング用のTFT30が形成されない方の基板に対して層厚調整層25を形成して、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dを透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりも薄くしている。このため、層厚調整層25を設けても、TFTアレイ基板10にTFT30を形成するためのフォトリソグラフィ工程において露光精度が低下しない。それ故、信頼性が高く、かつ、表示品位の高い半透過反射型液晶装置100を提供することができる。
さらに、本形態では、TFTアレイ基板10に形成された柱状突起40によって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が規定され、TFTアレイ基板10と対向基板20との間にギャップ材が散布されていない。このため、本形態のように、対向基板20に層厚調整層25に起因する凹凸があっても、ギャップ材がその凹部に溜まって機能しないという不具合が発生しない。それ故、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が精度よく規定され、リターデーションΔn・dが最適化されているので、品位の高い表示を行うことができる。
また、本形態では、層厚調整層25を形成する前にカラーフィルタ24を形成するので、カラーフィルタ24を形成する際にスピンコート法を利用しても、層厚調整層25がカラーフィルタ24の膜厚ばらつきを発生させないという利点がある。
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2の半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。なお、本形態、および以下に説明するいずれの形態においても、基本的な構成が実施の形態1と同様である。従って、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略し、各形態の特徴点である対向基板の構成のみを説明する。
図6に示す対向基板20では、反射表示領域100bに選択的に形成された透明な層厚調整層25によって、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dは、透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりもかなり薄い。このため、透過表示光および反射表示光の双方において、リターデーションΔn・dを最適化することができるので、品位の高い表示を行うことができる。
しかも本形態では、対向基板20の側、すなわち、画素スイッチング用のTFT30が形成されない方の基板に対して層厚調整層25を形成して、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dを透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりも薄くしている。このため、層厚調整層25を設けても、TFTアレイ基板10にTFT30を形成するためのフォトリソグラフィ工程において露光精度が低下しない。それ故、信頼性が高く、かつ、表示品位の高い半透過反射型液晶装置100を提供することができる。
また、本形態では、TFTアレイ基板10に形成された柱状突起40によって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が規定され、TFTアレイ基板10と対向基板20との間にギャップ材が散布されていない。このため、本形態のように、対向基板20に層厚調整層25に起因する凹凸があっても、ギャップ材がその凹部に溜まって機能しないという不具合が発生しない。それ故、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が精度よく規定され、リターデーションΔn・dが最適化されているので、品位の高い表示を行うことができる。
また、対向電極21の下層側には、反射表示領域100bおよび透過表示領域100cにRGBのカラーフィルタが形成され、このカラーフィルタに関して、本形態では、透過表示領域100cに形成された透過表示用カラーフィルタ241と、反射表示領域100bに形成された反射表示用カラーフィルタ242とでは、膜厚が等しいが、色材や配合量が異なるため、透過表示用カラーフィルタ241は、反射表示用カラーフィルタ242より色度域が広い。
従って、半透過反射型液晶装置100において、透過表示光は、カラーフィルタを一度だけ通過して出射されるのに対して、反射表示光は、カラーフィルタを2度、通過することになるが、透過表示用カラーフィルタ241が反射表示用カラーフィルタ242より色度域を広くしてあるので、透過表示光および反射表示光の双方において同一の色相で画像を表示できる。
ここで、透過表示用カラーフィルタ241を反射表示用カラーフィルタ242より厚くして色度域を広くすると、層厚調整層25の効果が損なわれてしまうが、本形態では、色材の種類あるいは配合量によって、透過表示用カラーフィルタ241の色度域を反射表示用カラーフィルタ242より広めてあるいので、層厚調整層25の効果が損なわれることがない。
逆に、図7に示すように、反射表示用カラーフィルタ242を透過表示用カラーフィルタ241と比較して膜厚を厚くすれば、層厚調整層25に加えて、カラーフィルタ241、242の膜厚差によっても透過表示領域100bと反射表示領域100cとの間における液晶層50の層厚バランスを適正化することができる。
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3の半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。
実施の形態1、2では、層厚調整層25を対向電極21とカラーフィルタとの間に形成したが、本形態では、図8に示すように、透過表示領域100cに形成された透過表示用カラーフィルタ241、および反射表示領域100bに形成された反射表示用カラーフィルタ242の下層側に対して、透明な層厚調整層25を反射表示領域100bに選択的に形成してある。
このため、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dは、透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりもかなり薄い。従って、透過表示光および反射表示光の双方において、リターデーションΔn・dを最適化することができるので、品位の高い表示を行うことができる。しかも本形態では、対向基板20の側、すなわち、画素スイッチング用のTFT30が形成されない方の基板に対して層厚調整層25を形成して、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dを透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりも薄くしているため、層厚調整層25を設けても、TFTアレイ基板10にTFT30を形成するためのフォトリソグラフィ工程において露光精度が低下しない。それ故、信頼性が高く、かつ、表示品位の高い半透過反射型液晶装置100を提供することができる。
また、本形態でも、透過表示用カラーフィルタ241は、反射表示用カラーフィルタ242より色度域を広くしてある。それ故、透過表示光および反射表示光の双方において同一の色相で画像を表示できる。
さらに、TFTアレイ基板10に形成された柱状突起40によって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が規定され、TFTアレイ基板10と対向基板20との間にギャップ材が散布されていないため、対向基板20に層厚調整層25に起因する凹凸があっても、ギャップ材がその凹部に溜まって機能しないという不具合が発生しない。それ故、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が精度よく規定され、リターデーションΔn・dが最適化されているので、品位の高い表示を行うことができる。
なお、本形態では、透過表示用カラーフィルタ241を反射表示用カラーフィルタ242より色度域を広くしてあるが、図9に示すように、反射表示領域100bおよび透過表示領域100cに対して共通のカラーフィルタ24を形成してもよい。
[実施の形態4]
図10は、本発明の実施の形態4の半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。
実施の形態1、2では、層厚調整層25を対向電極21とカラーフィルタとの間に形成し、実施の形態3では、層厚調整層25をカラーフィルタの下層側に形成したが、本形態では、図10に示すように、透過表示領域100cに形成された透過表示用カラーフィルタ241の上層側において、透明な層厚調整層25を反射表示領域100bに選択的に形成し、この層厚調整層25の上層側に反射表示用カラーフィルタ242を形成してある。
このように構成した半透過反射型液晶装置100でも、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dは、透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりもかなり薄い。従って、透過表示光および反射表示光の双方において、リターデーションΔn・dを最適化することができるので、品位の高い表示を行うことができる。しかも本形態では、対向基板20の側、すなわち、画素スイッチング用のTFT30が形成されない方の基板に対して層厚調整層25を形成して、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dを透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりも薄くしているため、層厚調整層25を設けても、TFTアレイ基板10にTFT30を形成するためのフォトリソグラフィ工程において露光精度が低下しない。それ故、信頼性が高く、かつ、表示品位の高い半透過反射型液晶装置100を提供することができる。
また、本形態でも、透過表示用カラーフィルタ241は、反射表示用カラーフィルタ242より色度域を広くしてある。それ故、透過表示光および反射表示光の双方において同一の色相で画像を表示できる。
さらに、TFTアレイ基板10に形成された柱状突起40によって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が規定され、TFTアレイ基板10と対向基板20との間にギャップ材が散布されていないため、対向基板20に層厚調整層25に起因する凹凸があっても、ギャップ材がその凹部に溜まって機能しないという不具合が発生しない。それ故、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が精度よく規定され、リターデーションΔn・dが最適化されているので、品位の高い表示を行うことができる。
なお、本形態では、透過表示用カラーフィルタ241を反射表示用カラーフィルタ242より色度域を広くしてあるが、図11に示すように、透過表示領域100cおよび反射表示領域100bに対して、膜厚および色度域が同等のカラーフィルタ241、242を形成してもよい。
[実施の形態5]
図12は、本発明の実施の形態5の半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。
上記実施の形態1、2、3、4では、層厚調整層25を反射表示領域100bに選択的に形成した構成であったが、例えば、図12に示すように、透過表示領域100cで薄く、反射表示領域100bで厚い透明層を層厚調整層25として形成してもよい。このような構成の層厚調整層25は、フォトリソグラフィ技術、フレキソ印刷法、あるいはインクジェット法で透明層を2回形成する方法、あるいは、ハーフ露光をしたフォトリソグラフィ技術により形成することができる。
[実施の形態6]
図13は、本発明の実施の形態6の半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。
実施の形態1〜5では、対向電極21の下層側に透明層からなる層厚調整層25を追加した構成であったが、以下に説明する実施の形態6、7のように、カラーフィルタ自身を層厚調整層として利用してもよい。
図13に示すように、本形態の半透過反射型液晶装置100では、対向電極21の下層側に対して、フォトリソグラフィ技術、フレキソ印刷法、あるいはインクジェット法を利用して、透過表示領域100cに薄い透過表示用カラーフィルタ241を形成し、反射表示領域100bには厚い反射表示用カラーフィルタ242を形成してある。
このため、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dは、透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりもかなり薄い。従って、透過表示光および反射表示光の双方において、リターデーションΔn・dを最適化することができるので、品位の高い表示を行うことができる。しかも本形態では、対向基板20の側、すなわち、画素スイッチング用のTFT30が形成されない方の基板に対して層厚調整層25を形成して、反射表示領域100bにおける液晶層50の層厚dを透過表示領域100cにおける液晶層50の層厚dよりも薄くしているため、層厚調整層25を設けても、TFTアレイ基板10にTFT30を形成するためのフォトリソグラフィ工程において露光精度が低下しない。それ故、信頼性が高く、かつ、表示品位の高い半透過反射型液晶装置100を提供することができる。
また、本形態でも、透過表示用カラーフィルタ241は、色材の種類や配合量によって反射表示用カラーフィルタ242より色度域を広くしてある。それ故、透過表示光および反射表示光の双方において同一の色相で画像を表示できる。
さらに、本形態でも、TFTアレイ基板10に形成された柱状突起40によって、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が規定され、TFTアレイ基板10と対向基板20との間にギャップ材が散布されていないため、対向基板20に層厚調整層25に起因する凹凸があっても、ギャップ材がその凹部に溜まって機能しないという不具合が発生しない。それ故、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔が精度よく規定され、リターデーションΔn・dが最適化されているので、品位の高い表示を行うことができる。
なお、本形態では、透過表示用カラーフィルタ241を反射表示用カラーフィルタ242より色度域を広くしてあるが、図14に示すように、透過表示領域100cおよび反射表示領域100bに対して、色材が同一であるが、膜厚が異なるカラーフィルタ241、242をそれぞれ形成してもよい。
また、図15に示すように、反射表示領域100bに対して、透過表示領域100cと色度域および膜厚が等しいカラーフィルタ241(第1の色材層)と、別の色材からなるカラーフィルタ242(第2の色材層)とを積層して、膜厚に差をつけた構成を採用してもよい。
[実施の形態7]
図16は、本発明の実施の形態7の半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。
実施の形態1〜6では、対向基板20の側に層厚調整層25を追加した構成であったが、図16に示すように、TFTアレイ基板10の反射表示領域100bに対して、フォトリソグラフィ技術、フレキソ印刷法、あるいはインクジェット法を利用して感光性樹脂からなる層厚調整層15を選択的に形成することによって、透過表示光および反射表示光の双方においてリターデーションΔn・dを最適化してもよい。
なお、図16に示す例では、凹凸形成層13aの下層側に層厚調整層15を形成したが、画素電極9aの下層側であれば、いずれの層間に層厚調整層15を形成してもよい。また、光反射膜8aの下層側に層間調整層15を形成するのであれば、層厚調整層15については透明膜に限定する必要はない。
[実施の形態8]
図17は、本発明の実施の形態8の半透過反射型液晶装置の画素の一部を図4のC−C’線に相当する位置で切断したときの断面図である。
実施の形態1〜7では層厚調整層15、25を追加することにより、透過表示光および反射表示光の双方についてリターデーションΔn・dを最適化したが、例えば、図17に示すように、TFTアレイ基板10の透過表示領域100cで上層絶縁膜7aを除去することにより、画素電極9aの下層側に形成された膜の総厚を反射表示領域100bで厚くし、透過表示領域100cで薄くして、液晶層50の層厚dを調整してもよい。
[その他の実施の形態]
また、上記形態では、画素スイッチング用のアクティブ素子としてTFTを用いた例を説明したが、アクティブ素子としてMIM(Metal Insulator Metal)素子などの薄膜ダイオード素子(TFD素子/Thin Film Diode素子)を用いた場合も同様である。
[半透過反射型液晶装置の電子機器への適用]
このように構成した半透過反射型液晶装置100は、各種の電子機器の表示部として用いることができるが、その一例を、図18、図19、および図20を参照して説明する。
図18は、本発明に係る半透過反射型液晶装置を表示装置として用いた電子機器の回路構成を示すブロック図である。
図18において、電子機器は、表示情報出力源70、表示情報処理回路71、電源回路72、タイミングジェネレータ73、そして液晶装置74を有する。また、液晶装置74は、液晶表示パネル75および駆動回路76を有する。液晶装置74としては、前述した半透過反射型液晶装置100を用いることができる。
表示情報出力源70は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といったメモリ、各種ディスク等といったストレージユニット、デジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ73によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路71に供給する。
表示情報処理回路71は、シリアル−パラレル変換回路や、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等といった周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路76へ供給する。電源回路72は、各構成要素に所定の電圧を供給する。
図19は、本発明に係る電子機器の一実施形態であるモバイル型のパーソナルコンピュータを示している。ここに示すパーソナルコンピュータ80は、キーボード81を備えた本体部82と、液晶表示ユニット83とを有する。液晶表示ユニット83は、前述した半透過反射型液晶装置100を含んで構成される。
図20は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機90は、複数の操作ボタン91と、前述した半透過反射型液晶装置100からなる表示部とを有している。
以上説明したとおり、本発明において、透過表示光は、液晶層を一度だけ通過して出射されるのに対して、反射表示光は、液晶層を2度、通過することになるが、反射表示領域における液晶層の層厚は、透過表示領域における液晶層の層厚よりもかなり薄い。このため、透過表示光および反射表示光の双方において、リターデーションを最適化することができるので、品位の高い表示を行うことができる。
1a…半導体膜、2…ゲート絶縁膜、3a…走査線、3b…容量線、4…層間絶縁膜、6a…データ線、6b…ドレイン電極、7a…上層絶縁膜、8a…光反射膜、8d…光透過窓、8g…光反射膜表面の凹凸パターン、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、11…下地保護膜、13a…凹凸形成層、15,25…層厚調整層、20…対向基板、21…対向電極、23…遮光膜、24…カラーフィルタ、30…画素スイッチング用のTFT、40…柱状突起、70…液晶、60…蓄積容量、100…半透過反射型液晶装置、100a…画素、100b…反射表示領域、100c…透過表示領域。