以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、複数の同軸ケーブルが共通部分としてのハウジングに接続されたハウジングブロックと、基板に固定されたレセプタクルとを相互に嵌合する、多極化された同軸コネクタについて例示する。また、以下の説明では、便宜上、ハウジングブロックのハウジングに対する同軸ケーブルの挿入方向手前側を前方、挿入方向奥側(先側)を後方とする。
図1は、同軸コネクタの全体斜視図、また、図2は、同軸コネクタ内の一部を取り出して示す斜視図である。
同軸コネクタ1は、複数の同軸ケーブル2が接続される同軸ケーブル接続体としてのハウジングブロック3と、基板(図示せず)に固定される固定端子としての信号SMD端子81およびグラウンドSMD端子71を有する固定側接続体としてのレセプタクル4と、を備えており、これらハウジングブロック3とレセプタクル4とを嵌合して結合することで、ハウジングブロック3に設けられた導通部材としての信号ポスト5およびグラウンドコンタクト6と、レセプタクル4に設けられた導通部材としてのグラウンドケース7および信号コンタクト8と、を介して上記同軸ケーブル2の内部導体21と上記信号SMD端子81、ならびに外部導体23と上記グラウンドSMD端子71とが、相互に導通されるようになっている。
ここで、図2に示すように、グラウンドコンタクト6には一対の接触片63,63が設けられており、ハウジングブロック3とレセプタクル4とが結合された状態では、これら一対の接触片63,63が、グラウンドケース7の接触片72,72を両側から弾発力をもって挟みこむようになっている。一方、信号コンタクト8には一対の接触片83,83が設けられており(図2では片側のみ図示)、ハウジングブロック3とレセプタクル4とが結合された状態では、これら一対の接触片83,83が信号ポスト5を両側から弾発力をもって挟みこむようになっている。
同軸ケーブル2は、一般に知られるように、不平衡な電気信号を伝送するための特性インピーダンスが規定された電線であって、本実施形態では、図2に示すように、導体からなる線材としての内部導体21と、当該内部導体21の外周を被覆する絶縁体22と、当該絶縁体22の外周を被覆する外部導体23と、さらに最外層の保護被膜としてのシース24とを備え、略円形断面を有する可撓性のケーブルとして構成されている。
図3は、ハウジングブロックに含まれるハウジングの斜視図、図4は、ハウジングブロックに含まれる組立ブロックの斜視図、また、図5は、ハウジングに対する組立ブロックの差し込み状態を裏面側から見た斜視図である。
図3に示すように、ハウジングブロック3は、略矩形の薄板状に形成されており、複数の断面矩形状の差込孔31aが一定の極間ピッチで長手方向に沿って横並びに整列形成されたハウジング31と、このハウジング31の長手方向(図中左上−右下方向)両側に設けられてレセプタクル4に係止されるロックアーム32と、を備えている。
ハウジング31の各差込孔31aには、図4に示すように信号ポスト5とグラウンドコンタクト6とがサブアセンブリされた組立ブロック9を、図5に示すように同軸ケーブル2が接続された状態で嵌着される。
このとき、それぞれの詳細な構造については後述するが、図2に示すように、同軸ケーブル2の内部導体21は信号ポスト5に接続されるとともに、外部導体23はグラウンドコンタクト6に接続される。ここで、信号SMD端子81は信号コンタクト8と一体に形成されるとともに、グラウンドSMD端子71はグラウンドケース7と一体に形成されている。
図6は、レセプタクルをその中間部で切断した断面斜視図である。図6に示すように、レセプタクル4は、外郭を成す金属製のシェル41と、このシェル41内に嵌挿される合成樹脂製の絶縁ボディ42と、を備え、さらに、この絶縁ボディ42に形成された複数の差込形状42aに嵌挿(圧入)されたグラウンドケース7および信号コンタクト8を備えている。
シェル41の前端部は、ハウジング31の後部に段部をもって形成された図3に示す嵌合部31Mの外側に着脱可能に嵌合されることにより、ハウジングブロック3とレセプタクル4とが結合される。
図7は、ハウジングブロックの分解斜視図、図8は、ハウジングにロックアームを取り付ける様子を外側方から見た要部斜視図、また、図9は、ハウジングにロックアームを取り付ける様子を内側方から見た要部斜視図である。
図7に示すように、ハウジングブロック3のハウジング31は、合成樹脂によって全体的に略矩形の薄板状に形成され、その内部に、短手方向(図中左下−右上方向)に貫通する差込孔31aが長手方向(図中左上−右下方向)に複数形成されている。また、ハウジング31の長手方向両端部には、同軸ケーブル2の挿入方向手前側に向けて突出するロックアーム32の取付突起31bが形成されている。なお、取付突起31bの根元には段差部31cが形成され、その分だけ当該取付突起31bはハウジング31の本体側と比べて厚み方向に薄くなっている。
そして、ハウジング31の長手方向両端部にはロックアーム32のガイド31dが形成されるとともに、取付突起31bの外側面には係止凹部31eが形成され、かつ、その取付突起31bの内側面に沿った本体側に差込穴31fが形成されている。
ロックアーム32は、ハウジング31の長手方向両端縁部の形状に沿って略クランク状に折曲形成されており、その基端部(前端部)には取付突起31bの上側に跨がる断面逆U字状の嵌着部32aが形成されるとともに、先端部(後端部)にはレセプタクル4に係止される係合部32bが形成され、さらに、嵌着部32aの外側面には係止凹部31eに係合する切起し爪32cが形成されるとともに、嵌着部32aの内側面には差込穴31fに圧入される舌片32dが突設されている。
そして、図8,図9に示すように、ロックアーム32は、ハウジング31の長手方向両端縁部にあてがわれて後方に押し込まれることにより、嵌着部32aが取付突起31bに被さり、かつ先端部がガイド31dにガイドされつつ後方に移動して、舌片32dが差込穴31fに圧入されるとともに、切起し爪32cが係止凹部31eに係止される。
図10は、レセプタクルに設けられるシェルの斜視図、図11は、レセプタクルに設けられる絶縁ボディの斜視図、図12は、シェルと絶縁ボディとを組み付ける様子を示す斜視図である。
図10に示すように、シェル41は、帯状の金属板が扁平な断面矩形状に折曲されて中空状に形成されたものであって、その上面の後縁部には複数の切欠部41aが形成されるとともに、それら切欠部41a間には略矩形の係合穴41bが形成されている。
また、シェル41の長手方向両端では、ロックアーム32の先端係合部32b(図7参照)が係止される係合片41cが、シェル41の上面と下面との間で架設されている。
図11に示すように、絶縁ボディ42は、内部に断面矩形状の差込形状42aが複数形成された樹脂ブロックとして形成されている。各差込形状42aは外側孔42aoutと内側孔42ainとの二重構造となっており、外側孔42aoutは断面略U字状に形成されるとともに、内側孔42ainは断面矩形状に形成されている。また、その前部(図中左上側の部分)には外側孔42aoutと内側孔42ainとの間の隔壁に連なる筒部42bが前方に向けて突設されている。
また、絶縁ボディ42の後端部上面には、シェル41に嵌挿した際に切欠部41aに嵌合する略矩形状の位置決め突起42cが突設されるとともに、シェル41の係合穴41bに係合する抜止め用の爪部42dが突設されている。
そして、図12に示すように、レセプタクル4は、絶縁ボディ42の各差込形状42aにグラウンドケース7と信号コンタクト8とが嵌挿された状態で、当該絶縁ボディ42を全体的にシェル41に嵌合することによって構成される。
このレセプタクル4を、図1に示すようにハウジングブロック3の後端部に嵌着することにより、図2に示すように信号ポスト5と信号コンタクト8とが接触片83を介して導通されるとともに、グラウンドコンタクト6とグラウンドケース7とが接触片63,72を介して導通される。かくして、同軸ケーブル2の内部導体21と信号SMD端子81とが相互に導通されるとともに、外部導体23とグラウンドSMD端子71とが相互に導通される。
また、図1に示すように、同軸コネクタ1を成すハウジングブロック3とレセプタクル4とを嵌着した際には、ロックアーム32の先端係合部32bがシェル41の係合片41cに係止されることで、ハウジングブロック3とレセプタクル4とが抜け止めがなされる。
ここで、多極同軸ケーブル接続体としてのハウジングブロック3の製造方法、特に、共通部分としてのハウジングブロック3に取り付けられる各極部分(同軸ケーブルを含む導通部材のサブアセンブリ)の製造方法について説明する。
図13は、ハウジングブロック内に含まれる導通部材および同軸ケーブルのサブアセンブリの製造工程を(a)〜(e)に順を追って示す説明図、図14は、二つの導通部材および同軸ケーブルの組み付け手順を(a)〜(c)に順を追って示す斜視図である。
本実施形態では、上述したように、ハウジングブロック3には、導通部材として、同軸ケーブル2の内部導体21に接続される信号ポスト5と、該信号ポスト5に絶縁体としての合成樹脂で形成される絶縁ブロック51を介して外嵌され、同軸ケーブル2の外部導体23に接続されるグラウンドコンタクト6と、が含まれる(図2参照)。
そして、これら導通部材(信号ポスト5およびグラウンドコンタクト6)は、いずれも帯板状の金属部材を巻き取ったフープ100,101(図13参照)を巻き戻しつつ、当該フープ100,101の巻き戻し部分を順次加工することで形成される。
まずは、図13(a)に示すように、フープ100をプレス成形することにより、フープ100の幅方向の一側部に、複数の信号ポスト5が、その長手方向一端部が連結された状態で成形される。ここでは、信号ポスト5は所定のピッチでフープ100の幅方向に沿って(フープ100の延伸方向と略直角に)突出する姿勢で成形される(第1のフープ成形工程)。
次に、図13(b)に示すように、複数の信号ポスト5がフープ100に連結された状態のまま、インサート成形によって信号ポスト5の所定部位に絶縁体(例えば絶縁性樹脂等)からなる絶縁ブロック(誘電体ブロック)51が固着される(絶縁体成形工程)。
一方、図13(c)に示すように、別のフープ101をプレス成形することにより、フープ101の幅方向一側部に、複数のグラウンドコンタクト6が、その長手方向一端部が連結された状態で形成される(第2のフープ成形工程)。
次に、図13(d)に示すように、信号ポスト5およびグラウンドコンタクト6が、それぞれのフープ100,101に連結された状態で相互に組み付けられ、組立ブロック9が形成される。このとき、図14(a),(b)にも示すように、信号ポスト5の周囲には絶縁ブロック51が固着されており、全体的に略コ字状断面を有するグラウンドコンタクト6内に絶縁ブロック51が介在した状態で信号ポスト5が内嵌されることになる(組み付け工程)。
この組み付け工程の後、信号ポスト5がフープ100から分離される。なお、本実施形態では、この段階ではグラウンドコンタクト6はフープ101から分離されない。したがって、組立ブロック9は、フープ101に連結されたままの状態となる(第1のフープ分離工程)。
次に、図13(e)に示すように、フープ101に連結された状態で、組立ブロック9に同軸ケーブル2が接続される。具体的には、同軸ケーブル2の内部導体21が信号ポスト5に接続されるとともに、外部導体23がグラウンドコンタクト6に接続される(同軸ケーブル接続工程)。
次に、図示省略したが、同軸ケーブル2と組立ブロック9とのサブアセンブリが、ハウジングブロック3に挿入される(図5参照)。サブアセンブリの取り扱いを容易にするには、この工程を行う直前に、グラウンドコンタクト6、すなわち同軸ケーブル2と組立ブロック9のサブアセンブリをフープ101から分離するのが好適である(第2のフープ分離工程)。
ところで、信号ポスト5を成形する上記第1のフープ成形工程では、図13(a)および図14(a)に示すように、同軸ケーブル2の内部導体21の接続部となる基端部5bに、断面V字状のノッチ52が成形されるようになっている。このノッチ52は、内部導体21との接続部となるため、表面精度の高い(面粗度が低い)フープ100のロール面(表面または裏面)に形成するのが好適である。
また、これと同時に、第1のフープ成形工程では、信号ポスト5の先端部5cが、図示しないが、多角形(本実施形態では四角形)の断面の隅部が面取りされた形状に成形されるとともに、尖端5aは概ね尖るように面取りされる。
さらに、この第1のフープ成形工程では、信号ポスト5の基端部5bに、当該信号ポスト5の幅方向に伸びる浅い溝が形成される。この溝の部分が、第1のフープ分離工程における切断部Cとなる。
また、上記絶縁体成形工程では、図14(a)に示すように、絶縁ブロック51の図中上面に、長さ方向に所定間隔を空けて隆起部51a,51bが突設される。
一方、グラウンドコンタクト6を成形する上記第2のフープ成形工程では、図14(a)に示すように、グラウンドコンタクト6は、底面61と両側面62,62とを有して全体的に断面略U字状に折曲される。そして、その先端部両側にはグラウンドケース7との接触片63,63が先端延長方向に一対突設されるとともに、その接触片63,63の付け根部の両側上方には絶縁ブロック51の固定爪片64,65がそれぞれ上方に一対ずつ突設される。また、グラウンドコンタクト6の基部側は、同軸ケーブル2の外部導体23を固定する加締め部66となっており、その加締め部66の両側に一対の固定爪片67が設けられる。なお、図13(c)に示すようにフープ101への根元部に切断部Cが設定される。
ところで、図14では、組立ブロック9を、便宜上、断面U字状に形成されたグラウンドコンタクト6の開放側を上方に向けて示したが、実際に組立ブロック9と同軸ケーブル2とのサブアセンブリがハウジング31に組み付けられる際には、上記グラウンドコンタクト6の開放側は同軸ケーブル2の並設方向、つまり、図4,図5に示すように横向きに配置される。したがって、一対の接触片63,63は図2に示すように上下方向に配置されることになる。
このとき、一対の接触片63,63は、それらの対向面がフープ101の表面となるように成形される。また、一対の接触片63,63は互いに近接する方向に弾発力が付与されており、ハウジングブロック3とレセプタクル4を結合した際に、接触片63,63はレセプタクル4の内方に差し込まれて、当該弾発力がレセプタクル4の表裏方向に生じるようになっている。
また、グラウンドコンタクト6の片方の側面62には、先端側が繋がった切り起こし片68(図4参照)が外方に突出されており、組立ブロック9がハウジング31の差込孔31aに挿入された際に、切り起こし片68が差込孔31aの内面に食い込んで抜止めされる。
そして、信号ポスト5およびグラウンドコンタクト6を組み付ける上記組み付け工程では、図14(a)に示すように、先端側の固定爪片64がそれぞれ内側に折曲されており、グラウンドコンタクト6の後方(図中右方)から絶縁ブロック51付きの信号ポスト5が挿入され、図14(b)に示すように、先端側の隆起部51aが固定爪片64に突き当てられる。
次に、図14(c)に示すように、内部導体21および外部導体23を露出させた同軸ケーブル2の先端部がグラウンドコンタクト6の略U字状の凹部内に配置され、内部導体21が信号ポスト5のノッチ52に嵌め込まれて半田付けされ、内部導体21と信号ポスト5とが接続される。
その後、固定爪片65,65を双方近接する側に折り曲げて加締め、前後の隆起部51a,51b間の凹設部51cを押さえ込むとともに、グラウンドコンタクト6の基部側の固定爪片67,67を双方近接する側に折り曲げて加締めて半田付けして同軸ケーブル2の外部導体23を押さえ込むことにより、外部導体23とグラウンドコンタクト6とを接続する。この状態で、同軸ケーブル2と組立ブロック9とのサブアセンブリが形成される。
次に、第2の接続体としてのレセプタクル4の製造方法について説明する。図15は、レセプタクルの製造工程を(a)〜(e)に順を追って示す説明図、図16は、グラウンドケースの組み付け工程の拡大斜視図、また、図17は、信号コンタクトの組み付け工程の拡大斜視図である。
本実施形態では、上述したように、レセプタクル4には、導通部材として、絶縁ボディ42に嵌着されてグラウンドSMD端子71を有するグラウンドケース7と、該グラウンドケース7に非接触状態で内嵌され信号SMD端子81を有する信号コンタクト8と、が含まれる(図2参照)。
そして、これら導通部材(グラウンドケース7および信号コンタクト8)は、いずれも帯板状の金属部材を巻き取ったフープ102,103(図15参照)を巻き戻しつつ、当該フープ102,103の巻き戻し部分を順次加工することで形成される。
まず、図15(a)に示すように、グラウンドケース7がフープ102の一側部に一部を連結した状態でプレス成形される。
また、図15(b)に示すように、信号コンタクト8がフープ103の一側部に一部を連結した状態でプレス成形される。
次に、図15(c)に示すように、グラウンドケース7がフープ102に連結した状態で絶縁ボディ42に嵌着された後、図15(d)に示すように、信号コンタクト8がフープ103に連結された状態でグラウンドケース7に内嵌される。なお、図16では、便宜上、フープ102を省略してあるが、この段階ではグラウンドケース7はフープ102に連結されている。
そして、グラウンドケース7および信号コンタクト8は、絶縁ボディ42に組み付けられた後にフープ102,103から分離され、図15(e)に示すように、その絶縁ボディ42をシェル41が嵌着されてレセプタクル4が得られる。
ところで、グラウンドケース7は、図15(a)に示すように、レセプタクル4の表裏方向に対向する一対の接触片72,72と、これら接触片72,72の基部一側を連結する連結片73と、を有している。
そして、グラウンドSMD端子71は、一方の接触片72(図15では下側)の長手方向端部と一体に形成され、基端部からクランク状に折曲されることで接触片72と先端部との間に段差が形成され、幅狭となった先端部が接触片72の延長方向に突出されている。また、このグラウンドケース7では、他方の接触片72(図15では上側)の基部側がフープ102と連結されており、その部分に切断部Cが設定されている。
そして、図2に示すように、グラウンドケース7の接触面となる接触片72,72の上記表裏方向(すなわちレセプタクル4の表裏方向)の外壁面にグラウンドコンタクト6の接触片63,63が所定の圧接力をもって接触される。このとき、外壁面(すなわち接触片63,63との接触面)は、表面精度の高い(面粗度が低い)フープ102のロール面(表面または裏面)とするのが好適である。
また、図15(a)に示すように、接触片72,72が絶縁ボディ42に嵌着される基部側部分の両側には、合成樹脂で形成されたその絶縁ボディ42の差込形状42a(図11参照)の左右内側に食い込ませるための鋸歯部74が形成され、その鋸歯部74によって抜止めが行われる。
また、図15(b)に示すように、信号コンタクト8は、前後方向に延在する底面82と、相互に対向する方向に弾発力が付与された一対の接触片83,83と、底面82の先端部の両側を上方に折曲した一対のガイド片84,84と、底面82の基端側部分の幅方向両側を上方に折曲した一対の嵌合片85,85とを備えている。
ハウジングブロック3とレセプタクル4とが結合された際には、一対の接触片83,83間に信号ポスト5が差し込まれて、それら接触片83,83で信号ポスト5の外側を弾発力をもって挟み込むことにより、良好な接触状態が得られるようになっている。
そして、信号SMD端子81は、底面82の長手方向端部と一体に形成され、基端部からクランク状に折曲されることで底面82と先端部との間に段差が形成され、幅狭となった先端部が底面82の延設方向に突出されている。このとき、当該信号SMD端子81の先端側がフープ103と連結されており、そのグラウンド信号SMD端子81の先端に切断部Cが設定されている。
また、嵌合片85,85の先端縁には、絶縁ボディ42の差込形状42aの上方内側に食い込ませるための鋸歯部86が形成され、その鋸歯部86によって抜止めが行われる。
そして、図15(c)のように絶縁ボディ42にグラウンドケース7が嵌着されるにあたっては、まず、図16に示すように差込形状42aの断面略U字状の外側孔42aoutにグラウンドケース7が挿入される。このとき、グラウンドケース7が完全に挿入された状態では、図17に示すように、一対の接触片72,72は、外側孔42aoutから挿入方向奥側に露出し、筒部42bの表裏面にそれぞれ密接して配置される。
そして、グラウンドケース7の嵌着後に、図17に示すように、信号コンタクト8が差込形状42aの内側孔42ainに挿入されることにより、一対の接触片83,83は、筒部42bの筒内に位置する。すなわち、グラウンドケース7と信号コンタクト8とは筒部42bによって非接触状態(絶縁状態)が確保される。
ここで、本実施形態では、グラウンドコンタクト6の一対の接触片63,63の開閉方向と、信号コンタクト8の一対の接触片83,83の開閉方向と、を相互に異ならせてある。
つまり、図2および図5に示すように、グラウンドコンタクト6の一対の接触片63,63は図中上下方向(すなわちレセプタクル4の表裏方向)に対向させて配置されている一方、信号コンタクト8の一対の接触片83,83は当該方向に対して直角となる方向(同軸ケーブル2の配列方向)に対向させて配置されている。すなわち、本実施形態では、グラウンドコンタクト6の一対の接触片63,63の開閉方向と、信号コンタクト8の一対の接触片83,83の開閉方向とが互いに直交している。
また、本実施形態では、グラウンドコンタクト6の一対の接触片63,63によって挟み込まれるグラウンドケース7の接触部分(一対の接触片72,72)が平板状に形成されている。
すなわち、図15(a)に示すように、上記グラウンドケース7は、一対の接触片72,72が上下方向に対向して平行配置されているが、これら接触片72,72はフープ102から打抜きされたままの平板状態であって、特段、これら接触片72,72に対して湾曲させるなどの曲げ加工は施されていない。
さらに、本実施形態では、グラウンドコンタクト6の一対の接触片63,63の開閉方向をレセプタクル4の表裏方向とし、図10,図12に示すように、そのレセプタクル4(のシェル41)の表面41Sおよび裏面41Bの双方に接触片63,63の逃げ穴41dが形成されている。
ところで、本実施形態では同軸コネクタ1は多極化され、複数の同軸ケーブル2について導通が確保されるようになっている。このとき、本実施形態では、図13,図15に示すように、信号ポスト5、グラウンドコンタクト6、グラウンドケース7および信号コンタクト8が対応する各フープ100〜103に形成されるピッチは、いずれも、多極化される同軸ケーブル2の極間ピッチP(すなわち、ハウジング31や絶縁ボディ42の差込孔31a,42aのピッチP;図1参照)の整数倍(ただし1以上の整数)となっている。
本実施形態の場合を図18を参照しながら説明する。図18は、信号ポストとグラウンドコンタクトとの組み付け工程を示す拡大斜視図である。図18の場合、信号ポスト5は1つの極間ピッチPと同一のピッチP(すなわち極間ピッチPの1倍)をもって成形される一方、グラウンドコンタクト6はピッチ2P(すなわち極間ピッチPの2倍)をもって形成されている。
この場合、まずは、図示するように、フープ101に所定のピッチ(2P)で成形された複数のグラウンドコンタクト6に、フープ100に所定のピッチ(P)で成形された複数の信号ポスト5が組み付けられて、当該組み付けられた信号ポスト5がフープ100から分離される。このとき、グラウンドコンタクト6のピッチ(2P)は、信号ポスト5のピッチ(P)の2倍となっているため、フープ100には一つおきのピッチ(2P)で信号ポスト5が残存することになる。よって、この場合には、図示省略したが、フープ100にピッチ(2P)で残存する信号ポスト5を、新たな(例えば下流側または並列配置された別の)フープ101に同一のピッチ(2P)で連結されたグラウンドコンタクト6に対して同様に組み付けることができる。
レセプタクル4の導通部分については、図15(c)に示すように、グラウンドケース7は、フープ102に、極間ピッチPの3倍のピッチ(3P)で成形され、信号コンタクト8は、図15(d)に示すように、フープ103に、極間ピッチPの2倍のピッチ(2P)で成形されている。したがって、絶縁ボディ42に対し、グラウンドケース7については、差込形状42aの三個おきに三回の組み付け工程が行われ、信号コンタクト8については差込形状42aの二個おきに二回の組み付け工程が行われる。
以上より、本実施形態によれば、グラウンドコンタクト6の一対の接触片63,63の開閉方向と、信号コンタクト8の一対の接触片83,83の開閉方向と、が相互に異なるので、それぞれの開閉余裕代が重なるのを防止できる。したがって、ハウジングブロック3とレセプタクル4の双方の結合部分の幅が大きくなるのを抑制することができ、同軸コネクタ1の小型化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、グラウンドコンタクト6の一対の接触片63,63によって挟み込まれるグラウンドケース7の接触片72,72が平板状に形成されることにより、当該接触片72,72を製造するにあたって、帯状板の加工素材を湾曲させる等の余分な加工が不要となるため、部品加工が容易となって製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態によれば、レセプタクル4のシェル41の表面41Sおよび裏面41Bにグラウンドコンタクト6の接触片63の逃げ穴41dが形成されているので、当該逃げ穴41dを接触片63の逃げ代として用いることができて、レセプタクル4をより薄型に形成することができ、ひいては、同軸コネクタ1の小型化を図ることができる。なお、逃げ穴41dは、シェル41の表面41Sおよび裏面41Bのうちいずれか一方に設けてもよい。
この効果は、本実施形態のように多極化された同軸コネクタ1において極めて顕著となる。すなわち、仮に、接触片63,63の開閉方向を同軸ケーブル2の配列方向とすると、相互に隣接する極間での接触片63同士が接触しないように、極間ピッチを各接触片63の撓み代と絶縁隔壁の分だけ広く設定することが必要となるが、本実施形態のように接触片63,63の開閉方向をレセプタクル4の表裏方向(厚み方向)とすれば、他極との短絡を考慮する必要が無くなる分、絶縁隔壁が不要となって逃げ穴41dを設けることができ、その分だけ薄型化できるのである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、導通部材である信号ポスト5、グラウンドコンタクト6、グラウンドケース7および信号コンタクト8は、上記実施形態に限ることなく目的に応じたその他の形状として得ることができ、また、同軸ケーブル接続体であるハウジングブロック3や第2の接続体であるレセプタクル4は、もちろん、それらの形状や構造に限ることは無く、内部の導通部材を保持および保護して相互に着脱できる構造であればよい。
また、上記実施形態では多極化された同軸コネクタを例にとって説明したが、単極の同軸コネクタとしても本発明を同様に実施することができる。