JP4304824B2 - 分岐発進口閉塞構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド掘進機で掘削した本線トンネル内に形成された分岐トンネルの発進口を閉塞するための分岐発進口閉塞構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シールド掘進機で掘削した本線トンネルから分岐トンネルを掘削するには、本線トンネルに発進口を形成しておき、本線トンネル内で分岐シールド掘進機を組み立て、発進口から分岐トンネルの掘削を開始するようになっている。
【0003】
従来、分岐トンネルの発進口を形成するには、予め、開口した発進口を含むセグメントを形成しておき、そのセグメントを本線トンネル内に組み付けて、本線トンネルの壁を形成するようになっていた。
【0004】
発進口を含んだセグメントは、シールド掘進機後部のテール部内で組み付けられるので、トンネル内に発進口から土砂や水が浸入することはないが、シールド掘進機が掘進してテール部が前進すると、トンネル内に発進口から土砂や水が浸入してしまうため、その発進口を閉塞する必要がある。
【0005】
そこで、従来は、発進口がテール部内に位置するときに、分岐シールド掘進機を組み立てて、そのカッタやバルクヘッドで発進口を閉塞しておき、テール部を前方にスライドさせた後に、分岐シールド掘進機を発進させるようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように分岐シールド掘進機本体で発進口を閉塞する方法では、分岐シールド掘進機が、本線トンネル内で大きなスペースを占めることとなり、本線トンネルを掘削するシールド掘進機のセグメント搬送台車等の後続装置と干渉するため、後続装置を移動させなければならない等の大きな支障を与える。そのため、分岐シールド掘進機が発進して、本線トンネル内のスペースが確保できるまで、本線シールド掘進機の掘削が停止してしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題を解決するために案出されたものであり、その目的は、本線トンネルを掘削するシールド掘進機の後続装置に干渉することなく、発進口を閉塞できる分岐発進口閉塞構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、シールド掘進機で掘削した本線トンネル内に形成された分岐トンネルの発進口を閉塞するための分岐発進口閉塞構造において、上記発進口を覆って閉塞するゲート板と、分岐シールド掘進機の発進時に上記発進口を開口すべく上記ゲート板をスライド自在に支持する支持部材とを備え、上記ゲート板が、上記発進口を形成するセグメント内に収容され、上記本線トンネルの周方向にスライドするものである。
【0009】
上記構成によれば、支持部材によってスライド自在に支持されるゲート板で発進口を閉塞するので、発進口の形成と同時に分岐シールド掘進機を組み立てる必要はなく、本線トンネル内のスペースを確保できるので、シールド掘進機の後続装置が分岐シールド掘進機に干渉することはない。従って、シールド掘進機の後続台車を移動させる必要はなく、本線トンネルの掘削をすぐに再開できる。
【0010】
そして、上記支持部材が、上記ゲート板の上部外面に対向する支持プレートと、上記ゲート板の上部内面に対向する支持プレートとを有し各支持プレートに、上記ゲート板の表面、裏面に夫々接触するシール部材を設けることが好ましい。
【0011】
また、上記ゲート板を引き上げるための引上げ部材を有し該引上げ部材が、上記ゲート板の上部を把持する把持部と、この把持部を引っ張る伸縮シリンダとを備えることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態では無い参考形態に係る分岐発進口閉塞構造示した断面図及び側面図、図2はその参考形態に係る支持部材のゲート板の支持構造を示した要部拡大図である。
【0014】
図示するように、係る分岐発進口閉塞構造1は、図3に示すシールド掘進機2で掘削した本線トンネル3内に形成された分岐トンネルの発進口5を閉塞するためのものであって、発進口5を覆って閉塞するゲート板6と、このゲート板6をスライド自在に支持する支持部材7とを備えている。
【0015】
参考形態では、ゲート板6が、発進口5の内側に設けられ、本線トンネル3の軸方向にスライドして発進口5を開口させる分岐発進口閉塞構造1について説明する。
【0016】
なお、図1(b)は、後述する分岐シールド掘進機17は省略している。
【0017】
ゲート板6は、例えば土圧に耐えられる強度を有した鋼板等で形成されており、本線トンネル3軸方向後方(図中右側)が発進口5に沿った半円状で、前方(図中左側)が矩形状に形成されている。ゲート板6は、発進口5を覆うように、その発進口5より若干大きく形成され、且つセグメント8の内側に沿って断面が円弧状に湾曲している。
【0018】
ゲート板6の前方には、そのゲート板6を牽引して支持部材7からスライドさせて引き抜くためのワイヤ9が設けられている。
【0019】
支持部材7は、ゲート板6と同様に、本線トンネル3軸方向後方が半円状で、前方が矩形状に形成されている。支持部材7は、その上下及び後部でゲート板6を支持するようになっている。
【0020】
支持部材7のゲート板6の支持構造は、図2に示すように、断面コ字状に形成された支持部11でゲート板6の周縁部をスライド自在に挟持するようになっている。支持部11の内側には、ゲート板6の表裏面に接触するシール部材12が、その上下及び後方に沿って設けられている。この支持部11が、セグメント8に溶接或いはボルト等によって固定され、支持部材7がセグメント8に固定されるようになっている。
【0021】
ゲート板6の前方のセグメント8側には、セグメント8から延びるシール板 (図1(b)中一点鎖線にて示す)10が設けられており、本線トンネル3内への土砂の流入を防止するようになっている。
【0022】
図3は発進口付セグメント及び分岐発進口閉塞構造の取付工程を説明するためのシールド掘進機の断面図である。
【0023】
図3に従って、発進口付セグメント8及び分岐発進口閉塞構造1の取付工程と、本参考形態の作用を説明する。
【0024】
図3(a)は、シールド掘進機2の通常の掘進状態を示す。このシールド掘進機2のテール部14は、二重筒構造となっており、内筒テール15と外筒テール16とを有している。
【0025】
発進口5を備えたセグメント8を組み付ける際には、図示しないシールドジャッキを用いて、外筒テール16と内筒テール15とを相対的にスライドさせて、テール長を長くして、既設セグメント20とシールドジャッキとの隙間のセグメント組付け空間を大きくとる。そして、図3(b)に示すように、その空間にセグメント8を組み付ける。
【0026】
なお、ここでは、発進口5を一体的に備えた幅広のセグメント8を例に挙げて説明しているので、最初に外筒テール16を内筒テール15からセグメント8の幅分スライドさせるようになっているが、発進口5が分割されて既設セグメント20と同等の幅を有する複数のセグメントを組み付けるようにしてもよい。この場合は、発進口付セグメントを組み付けるごとに、外筒テール16と内筒テール15とを相対的に1リング分ずつスライドさせる。
【0027】
次に、図3(c)に示すように、支持部材7に予めゲート板6を一体的に装着した分岐発進口閉塞構造1をセグメント8に溶接或いはボルト等で固定する。このとき、掘削土砂の種類によっては、ゲート板6のスライドを行い易くするために、ゲート板6と発進口5の間に、粘性の小さい粘土等の裏込材を挿入する場合がある。
【0028】
そして、分岐発進口閉塞構造1の固定が終了した後、シールド掘進機2の掘進を再開する。
【0029】
ここで、上述の分岐発進口閉塞構造1は、その構成が非常に簡単であるため、その取付が容易であり、取付時間の削減が達成される。また、本線トンネル3内に、分岐発進口閉塞構造1が張り出さないので、本線トンネル3内のスペースを確保でき、シールド掘進機2のセグメント搬送台車等の後続装置と干渉することはない。従って、後続装置を移動させたりする必要がないので、上述のように分岐発進口閉塞構造1の固定が終了した後、すぐにシールド掘進機2の掘進を行うことができる。
【0030】
そして、図3(d)に示すように、外筒テール16を前方にスライドさせて、内筒テール15側に戻し、シールド掘進機2の掘進を継続する。
【0031】
このように、分岐発進口閉塞機構1は、シールド掘進機2が前進した後も、発進口5を閉塞できるので、従来のように、シールド掘進機2の掘進を再開させる前に分岐シールド掘進機17を発進させる必要がない。従って、分岐シールド掘進機17を望ましい時期に設置することが可能となり、分岐トンネルを好適なタイミングで掘削することができる。
【0032】
分岐トンネルを掘削する際には、図1に示すように分岐シールド掘進機17を発進口に臨んで設ける。
【0033】
分岐シールド掘進機17は、本線トンネル3の径方向に延びる円筒状の支持フレーム18内に、スライド自在に装着されている。支持フレーム18は、支持部材7に密閉して取り付けられている。支持フレーム18の円筒部の内側には、分岐シールド掘進機17を密閉支持するためのシール部材19が設けられている。
【0034】
分岐シールド掘進機17は、発進前の時点では、カッタ21、バルクヘッド22、カッタ駆動装置23及びスクリュコンベア24等を備えており、その他の後続装置は、発進後に順次組み立てられる。
【0035】
分岐シールド掘進機17の発進時には、ワイヤ9を引っ張り、ゲート板6を支持部材7からスライドさせて、発進口5を開口する。
【0036】
このとき、発進口5から土砂が流入することがあるが、分岐シールド掘進機17のバルクヘッド22で止めることができる。なお、ゲート板6を抜き取った部分にその厚さ分の隙間ができるが、掘削土砂の流動性が大きい場合には、その隙間を塞ぐために反対側から裏込材等を注入することも可能である。
【0037】
図4は本発明に係る分岐発進口閉塞構造の実施形態を示した断面図及び側面図、図5はこの実施形態の支持部材のゲート板の支持構造を示した要部拡大図である。
【0038】
この分岐発進口閉塞構造25は、ゲート板26を、発進口5を備えたセグメント28の内側に収容したものである。この場合、セグメント28は鋼製セグメントとなり、その内側の空間で、ゲート板26が本線トンネルの周方向に沿ってスライドするようになっている。
【0039】
ゲート板26を支持する支持部材27の前後と下部には、図2に示した断面コ字状の支持部11が形成されている。支持部材27の上部には、図5に示すような支持部29が形成されている。
【0040】
支持部29は、セグメント28の外側プレート31に固定された支持プレート32と、セグメント28の内側プレート33に固定された支持プレート34とで構成されており、ゲート板26をこれら支持プレート32,34でスライド自在に挟持するようになっている。各支持プレート32,34の内側には、ゲート板6の表裏面に接触するシール部材12が、支持部29の全長に亘って設けられている。
【0041】
支持部材27の上方には、ゲート板26を引き上げる引上げ部材35が設けられている。引上げ部材35は、ゲート板26の上部を把持する把持部36と、この把持部36を引っ張る伸縮シリンダ37とで構成されている。
【0042】
伸縮シリンダ37は、その中間部が、セグメント28上方のセグメント38に設けられたブラケット39に軸支されている。セグメント38の内側には、ゲート板を周方向に沿って案内するガイド溝(図中一点鎖線にて示す)41が形成されており、ゲート板には、ガイド溝41内に突出する突起部43が設けられている。
【0043】
ゲート板26を引き上げる際には、伸縮シリンダ37を縮退させて、ゲート板をガイド溝41に沿って移動させ、伸縮シリンダ37のストローク分引き上げるごとに、ブラケット39を順次盛り換えて徐々に引き上げるようになっている。
【0044】
上記構成の分岐発進口閉塞構造25によれば、参考形態で示した分岐発進口閉塞構造1と同様の作用効果を得られる他に、ゲート板26や支持部材27等をセグメント28内に収容しているので、本線トンネル3内のスペースをさらに広くとることができる。
【0045】
なお、上記実施の形態では、分岐トンネルが横方向に発進する場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えば、縦方向に発進するものであっても、本発明は適用可能であるのは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、本線トンネルを掘削するシールド掘進機の後続装置に干渉することなく、発進口を閉塞できるので、シールド掘進機の後続台車を移動させる必要はなく、本線トンネルの掘削をすぐに再開できるという優れた効果を発揮する。さらに、分岐シールド掘進機を望ましい時期に設置することが可能となり、分岐トンネルを好適なタイミングで掘削することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態では無い参考形態に係る分岐発進口閉塞構造示した(a)は断面図、(b)は側面図である。
【図2】 上記参考形態に係る支持部材のゲート板の支持構造を示した要部拡大図である。
【図3】 発進口付セグメント及び分岐発進口閉塞構造の取付工程を説明するためのシールド掘進機の断面図である。
【図4】 本発明に係る分岐発進口閉塞構造の実施形態を示した(a)は断面図、(b)は側面図である。
【図5】 上記実施形態の支持部材のゲート板の支持構造を示した要部拡大図である。
【符号の説明】
2 シールド掘進機
3 本線トンネル
5 発進口
17 分岐シールド掘進機
25 分岐発進口閉塞構造
26 ゲート板
27 支持部材
28 セグメント

Claims (3)

  1. シールド掘進機で掘削した本線トンネル内に形成された分岐トンネルの発進口を閉塞するための分岐発進口閉塞構造において、上記発進口を覆って閉塞するゲート板と、分岐シールド掘進機の発進時に上記発進口を開口すべく上記ゲート板をスライド自在に支持する支持部材とを備え
    上記ゲート板が、上記発進口を形成するセグメント内に収容され、上記本線トンネルの周方向にスライドすることを特徴とする分岐発進口閉塞構造。
  2. 上記支持部材が、上記ゲート板の上部外面に対向する支持プレートと、上記ゲート板の上部内面に対向する支持プレートとを有し
    各支持プレートに、上記ゲート板の表面、裏面に夫々接触するシール部材を設けた請求項1に記載の分岐発進口閉塞構造。
  3. 上記ゲート板を引き上げるための引上げ部材を有し
    該引上げ部材が、上記ゲート板の上部を把持する把持部と、この把持部を引っ張る伸縮シリンダとを備えた請求項1又は2に記載の分岐発進口閉塞構造。
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