JP4304346B2 - 防根給水紐 - Google Patents
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Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や果樹の栽培に用いられる園芸資材であり、水(養液)の透過は許容するものの、作物の根の侵入は阻止する防根給水紐に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野菜や果樹(以下、作物)では、根域の拡がりを制限することで、根の過度の繁茂を抑えて茎や果実への栄養の行き渡りを助長し、より味の良い果実が収穫できることが知られている。このため、鉢等で栽培床の大きさを制限したりすることが行われている。一方、養分や水を管理的に補給すれば、栽培効率が上がることも知られている。そこで、栽培床に給水設備に連結されて毛管現象を呈す毛管シートを張り、給水設備から毛管シートを通して水(養液のこと。以下、同じ)を効率的に供給する方法がとられている。しかし、これによると、作物が成長するに伴ってその根が毛管シートに入り込み、毛管作用を損なうといったことが生ずる。
【0003】
このため、下記特許文献1では、鉢の底に毛管シートを張り、その上に水は通すが、作物の根は通さない微細孔を形成した防根シートを敷き、これに培土を充填して作物を栽培する方法が提案されている。これによると、根は防根シートで遮られて毛管シート内まで侵入しないから、毛管シートの毛管作用を損なうことはない。しかし、防根シート及び毛管シートは、鉢内に全面的に敷張りされるものであるから、大量に必要になって無駄が生じるとともに、敷張りのための手間がかかる。何よりも、鉢内に全面的に敷張りされた毛管シートによって水が大量に供給され、作物は、所謂、水ストレスを起こさず、果実の味が低下するといった問題が生ずる。
【0004】
そこで、下記特許文献2では、作物の培土を防根シートで包み、さらにその外側にも防根シートを張ってこの間に作物の根を伸長させる方法がとられている。これによると、作物の根は、二枚の防根シートの狭い間を伸長するから、根域は制限される。しかし、二枚の防根シートの間隔はいきおい狭いものにならざるを得ず、今度は水ストレスがかかりすぎ、栽培期間が短く、収量が少ないといった問題が生ずる。トマトを例にとれば、短期間で数段しか収穫できない。加えて、全面敷張りに基づく防根シートが大量に必要という問題や敷張りのための作業が煩雑であるという問題は、防根シートが二枚必要になることで余計に助長される。
【0005】
さらに、特許文献3には、毛管機能を有する導水部の両端部を露出させ、残部を水密性のある被覆部で包んだ導水部と、導水部の露出部分を包む防根透水機能を有する給水被覆部とからなる導水管具が示されているが、部材が導水部、被覆部及び給水被覆部の三部材からなって構造が複雑になるとともに、コストが高くつく。また、栽培鉢内に挿入できる給水被覆部は長さが20〜100mmと短いから、鉢内の作物へ十分に給水されないといった点が指摘される。さらに、導水部と被覆給水部の固定作業をしなければならず、製造が煩雑である。この他、特許文献4には、栽培鉢内に置設する毛管機能を有する紐状体の外周を綿と樹脂製の網又は孔あきホースで覆ったものが示されているが、これら綿と網又は孔あきホースは作物の根の侵入を阻止する(防根)考え方は取り入れられておらず、作物は成長に伴ってその根がこれらを突き破って紐状体に侵入し、目詰まりを起こす。
【特許文献1】
特開平10−127177号公報
【特許文献2】
特開2004−201518号公報
【特許文献3】
特開平11−032602号公報
【特許文献4】
特開2002−305981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した問題を解決したものであって、要するに、毛管資材を防根透水資材で包み込んだ紐状体にすることで、鉢内(培土)に必要十分な占有面積を確保できて作物に対して水ストレスを適度に与え、加えて、敷張りのための手間も極力省けるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、栽培鉢において水ストレス下で栽培される作物の培土に挿入されて栽培鉢外に置かれる養液ポットから養液を培土に供給する防根給水紐であり、この防根給水紐を、毛管機能を有する毛管資材の全長に亘ってその外周を透水性と防根機能を有する防根透水資材で短手方向の両端に余部を残して包み、余部を重合させてその重合部を固着して、全長が毛管機能と防根透水機能を有する偏平な又は筒状の帯状をしていて可撓性のある紐状体にしたことを特徴とする防根給水紐及び請求項2に記載した、重合部の固着が、接着、溶着又は縫着である手段を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1によると、この防根給水紐は、毛管資材と防根透水資材とが一体になったものであるから、作物を水ストレス下で栽培する場合に、別々に敷張りしたりする手間が省けるし、紐状体になっているものであるから、鉢内に必要にして十分なだけ存在させることができ、全面敷張りが避けられて無駄が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る防根給水紐の斜視図であるが、この防根給水紐Aは、毛管機能を有する毛管資材1の外周を透水性と防根(作物の根が侵入しない)機能を有する防根透水資材2で全面的に包んで紐状体3にしたものである。この場合の毛管資材1としては、合成或いは天然繊維の布や不織布を成形して毛管機能をもたせたもので、例えば、商品名「ラブシート」(ニチアス株式会社製造)といった名称で市販されているから、これを使用すればよい。
【0010】
一方、防根透水資材2も、例えば、東洋紡績株式会社等から種々市販されているから、これを使用すればよい。この防根透水資材2は、素材として、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった合成繊維を使用し、これを作物の根は侵入させないが、水は通す7×102 〜2×103 μm2 の大きさの微細孔を形成して0.2〜3mm程度の厚みに織性、編成したものである。なお、この他に天然繊維の布帛や不織布や多孔質フィルムのものであってもよい。
【0011】
以上の毛管資材1を防根透水資材2で包み込むのであるが、それには、以下の方法が考えられる。図2は製造方法の一つを示す説明図であるが、一定の長さと幅に調整した防根透水資材2を台等の上に敷き、この上に所定の幅と厚みに調整した毛管資材1を防根透水資材2の短手方向両端に所定の余部2a、2bを残す状態で載せ、余部2a、2bの一方を折り返して毛管資材1を包み、余部2a、2b同士を重ねてこの重合部を固着する方法である。この固着の具体例としては、接着剤による接着、熱による溶着が一般的である。この場合の接着剤や溶着温度は素材に応じて適宜に選択すればよい。
【0012】
この他、縫い糸を使用しての縫着であってもよい。なお、縫着の場合、縫い孔同士の間隔や縫い孔と縫い糸との間隙を防根機能を有する細かいものにする必要があるが、縫着した後で隙間部分を樹脂等で塞ぐことで解決できる。さらに、防根透水資材2の長手方向の端を余しておき、この部分も固着すれば、毛管資材1を防根透水資材2で全面的に被覆できる。この場合の防根透水資材2の厚みは、可撓性を発揮できる1mm以下のものが好ましい。
【0013】
以上の製造方法によると、重合部が短手方向(又は長手方向)の端に突出する形態になるが、これは、固着作業がし易いからであり、これが存在していたとしても、性能上は何ら問題はない。もちろん、重合部を端に出さないようにして固着してもよい。この他の製造方法としては、図示は省略するが、防根透水資材2を予め重合部ができるように巻いて筒状にしておき、毛管資材1に糸や紐を取り付け、これを防根透水資材2の中に通して引っ張ることで、毛管資材1を防根透水資材2の中に引き込むようにしてもよい。これによると、重合部をはみ出さないように形成するのが比較的容易になる利点がある。
【0014】
以上の紐状体3のサイズとしては、幅Wが20〜50mm、厚みtが2〜6mm程度が栽培用の鉢に対しての占有面積が適するものになって好ましい。この幅Wや厚みtは、毛管資材1と防根透水資材2の製造前寸法で調整することになるのであるが、特に、厚みtに関しては、先の市販品のものを使用するとすれば、その厚みは比較的薄い(2.5mm程度)から、これを一枚又は複数枚重ねて所定の厚みtにすればよい。もちろん、メーカー等に依頼して最初から所定の厚みtのものに加工して貰ってもよい。
【0015】
トマトの栽培を例にとると、鉢は、根域制限の観点から、直径15〜20cm、深さ20〜30cm程度のものが好ましいから、上記のサイズの紐状体3によれば、鉢内にこれを一本配置しておくだけで、適度な水ストレスを与えるものになる。したがって、サイズがこれよりも小さいと、数が多く必要になるし、大きいと、水の供給が過多になって好ましくない。また、長さは、上記の方法によれば、あまり長いものは製造し難く、1m程度が限度になるが、この程度であれば十分である。なお、紐状体3の断面形状は、毛管資材1の断面形状によって決まるから、これを方形、円形、楕円形、多角形にしておけば、その形状になる。中でも、上記した偏平な方形(帯状)のものが断面積に対する表面積が大きくなって透水性に優れ、かつ取扱性も良くなって好ましい。
【0016】
ところで、紐状体3の連続体を製造することも可能である。例えば、毛管資材1と防根透水資材2を連続して送り出し、この間、防根透水資材2をガイド等で円形に巻いて毛管資材1を包み込み、端部同士を接着、溶着又は縫着して固着する方法が考えられる。また、毛管資材1の回りに織布や編布を円筒体に形成できる織機や編機を配し、毛管資材1を送るとともに、その周囲に織機や編機によって防根透水資材2を織成又は編成して行く方法も不可能ではない。これによると、紐状体3を長尺のものにできるから、適宜ロールに巻いたもので流通過程におけるから、購入者は、これを適当な長さに切断して使用すればよい。
【0017】
図3は以上の防根給水紐Aを用いてトマトを鉢栽培する場合の説明図であるが、上記したサイズの鉢4の中に培土5を表面近くまで入れ、この中にトマト6を植える。この場合、鉢4の側面には、底面から2〜5cmの高さに紐状体3を通す孔7をあけておく。そして、鉢4の側下方には養液8を入れた養液ポット9を用意し、紐状体3の一端を養液8に浸し、他端側を上方に引き上げて孔7に通してその延長上を反対側まで這わせ、ここから鉢壁に沿って上昇させ、培土5の表面近くまで延ばす。一方、終端では、紐状体3を数回巻いてボール10にしておくのが好ましい。
【0018】
以上により、トマト6は、養液8を紐状体3で吸い上げ、生育して結実するから、これを収穫すればよい。これにおいて、鉢4は上記したサイズであるから、根域制限されて養分を徒に根に回さず、味の良いものになる。また、紐状体3が上記したサイズのものであれば、鉢4のサイズに対して適度な水ストレス与えるものになり、この面からも味の良いものになる。さらに、紐状体3の端をボール10にしておけば、この部分から集中的に養液8が供給され、培土5に均等に行き渡る。この場合、トマト6の根6aは、水を求めて紐状体3に殺到するように伸長して来るが、紐状体3の表面の防根透水資材2で遮られて中の毛管資材1までは侵入せず、紐状体3の毛管機能は阻害されない。ところで、トマト6は生長に伴って多くの養液8を必要とするから、予め紐状体3を鉢4に複数設けておき、その生長に合わせて養液8に浸して行く本数を増やすようにすれば、効率的な栽培ができる。
【0019】
この意味で、紐状体3を通す孔7が鉢4の側面に設けられているのが好ましい作用をする。底面であると、重力の作用で根6aが伸長し易く、孔7から進出するおそれがあるからである。根6aが孔7から進出すると、紐状体3を伝わって養液ポット9まで入り込み、そうなると、水ストレスが与えられない水耕栽培になってしまい、味が低下する。この点、孔7が鉢4の側面に設けられていると、根6aが進出し難くなる。ただし、この場合でも、孔7と紐状体4の間隙は極力小さくする必要がある。
【0020】
また、養液ポット9と鉢4とはある程度離すのが好ましい。加えて、鉢4内において、紐状体3の下方に2〜5cmの培土空間aを確保していることも好ましい影響を与える。紐状体3に殺到して来た根6aがこの空間aに回り込むことができるからであり、限られた(根域制限された)空間で、できるだけ広範囲に、しかも均等に繁茂できることになり、これも味の良さにつながる。紐状体3をこのような配置で鉢4内に通しておけば、トマト6は、味の良い果実を10ケ月程度の長期間結実し続ける。発明者が確認したところでは、1年近く、25段まで育成できた。
【0021】
以上は、本発明の一例であるが、本発明は、これに限らない。例えば、防根給水紐のサイズは、作物の生育過程で適宜調整することがある。具体的には、多くの水を必要とする夏季には、断面積の大きな紐状体を使用することは有効である。また、栽培する作物も、トマトに限らず、メロンやその他の野菜や果樹でも可能である。さらに、養液ポットと鉢とは1:1の関係に限らず、養液ポットを共通の樋のようなものにしてもよいし、鉢も個別ものに限らず、連続した樋のようなものにしてもよい。こうすれば、設備費が安くなる利点がある。この他、この防根給水紐は、鉢栽培に限らず、露地栽培にも適用できる。すなわち、畝の中にこの防根防水紐を通しておけば、これが水通路となって作物の生育をより促す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【第1図】 本発明にかかる防根給水紐の説明図である。
【第2図】 防根給水紐の製造方法の一例を示す説明図である。
【第3図】 防根給水紐を使用しての作物の栽培方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
A 防根給水紐
1 毛管資材
2 防根透水資材
2a 〃 の余部
2b 〃 の余部
3 紐状体
4 鉢
5 培土
6 トマト(作物)
6a トマトの根
7 孔
8 養液
9 養液ポット
10 ボール
【0001】
本発明は、野菜や果樹の栽培に用いられる園芸資材であり、水(養液)の透過は許容するものの、作物の根の侵入は阻止する防根給水紐に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野菜や果樹(以下、作物)では、根域の拡がりを制限することで、根の過度の繁茂を抑えて茎や果実への栄養の行き渡りを助長し、より味の良い果実が収穫できることが知られている。このため、鉢等で栽培床の大きさを制限したりすることが行われている。一方、養分や水を管理的に補給すれば、栽培効率が上がることも知られている。そこで、栽培床に給水設備に連結されて毛管現象を呈す毛管シートを張り、給水設備から毛管シートを通して水(養液のこと。以下、同じ)を効率的に供給する方法がとられている。しかし、これによると、作物が成長するに伴ってその根が毛管シートに入り込み、毛管作用を損なうといったことが生ずる。
【0003】
このため、下記特許文献1では、鉢の底に毛管シートを張り、その上に水は通すが、作物の根は通さない微細孔を形成した防根シートを敷き、これに培土を充填して作物を栽培する方法が提案されている。これによると、根は防根シートで遮られて毛管シート内まで侵入しないから、毛管シートの毛管作用を損なうことはない。しかし、防根シート及び毛管シートは、鉢内に全面的に敷張りされるものであるから、大量に必要になって無駄が生じるとともに、敷張りのための手間がかかる。何よりも、鉢内に全面的に敷張りされた毛管シートによって水が大量に供給され、作物は、所謂、水ストレスを起こさず、果実の味が低下するといった問題が生ずる。
【0004】
そこで、下記特許文献2では、作物の培土を防根シートで包み、さらにその外側にも防根シートを張ってこの間に作物の根を伸長させる方法がとられている。これによると、作物の根は、二枚の防根シートの狭い間を伸長するから、根域は制限される。しかし、二枚の防根シートの間隔はいきおい狭いものにならざるを得ず、今度は水ストレスがかかりすぎ、栽培期間が短く、収量が少ないといった問題が生ずる。トマトを例にとれば、短期間で数段しか収穫できない。加えて、全面敷張りに基づく防根シートが大量に必要という問題や敷張りのための作業が煩雑であるという問題は、防根シートが二枚必要になることで余計に助長される。
【0005】
さらに、特許文献3には、毛管機能を有する導水部の両端部を露出させ、残部を水密性のある被覆部で包んだ導水部と、導水部の露出部分を包む防根透水機能を有する給水被覆部とからなる導水管具が示されているが、部材が導水部、被覆部及び給水被覆部の三部材からなって構造が複雑になるとともに、コストが高くつく。また、栽培鉢内に挿入できる給水被覆部は長さが20〜100mmと短いから、鉢内の作物へ十分に給水されないといった点が指摘される。さらに、導水部と被覆給水部の固定作業をしなければならず、製造が煩雑である。この他、特許文献4には、栽培鉢内に置設する毛管機能を有する紐状体の外周を綿と樹脂製の網又は孔あきホースで覆ったものが示されているが、これら綿と網又は孔あきホースは作物の根の侵入を阻止する(防根)考え方は取り入れられておらず、作物は成長に伴ってその根がこれらを突き破って紐状体に侵入し、目詰まりを起こす。
【特許文献1】
特開平10−127177号公報
【特許文献2】
特開2004−201518号公報
【特許文献3】
特開平11−032602号公報
【特許文献4】
特開2002−305981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した問題を解決したものであって、要するに、毛管資材を防根透水資材で包み込んだ紐状体にすることで、鉢内(培土)に必要十分な占有面積を確保できて作物に対して水ストレスを適度に与え、加えて、敷張りのための手間も極力省けるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、栽培鉢において水ストレス下で栽培される作物の培土に挿入されて栽培鉢外に置かれる養液ポットから養液を培土に供給する防根給水紐であり、この防根給水紐を、毛管機能を有する毛管資材の全長に亘ってその外周を透水性と防根機能を有する防根透水資材で短手方向の両端に余部を残して包み、余部を重合させてその重合部を固着して、全長が毛管機能と防根透水機能を有する偏平な又は筒状の帯状をしていて可撓性のある紐状体にしたことを特徴とする防根給水紐及び請求項2に記載した、重合部の固着が、接着、溶着又は縫着である手段を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1によると、この防根給水紐は、毛管資材と防根透水資材とが一体になったものであるから、作物を水ストレス下で栽培する場合に、別々に敷張りしたりする手間が省けるし、紐状体になっているものであるから、鉢内に必要にして十分なだけ存在させることができ、全面敷張りが避けられて無駄が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る防根給水紐の斜視図であるが、この防根給水紐Aは、毛管機能を有する毛管資材1の外周を透水性と防根(作物の根が侵入しない)機能を有する防根透水資材2で全面的に包んで紐状体3にしたものである。この場合の毛管資材1としては、合成或いは天然繊維の布や不織布を成形して毛管機能をもたせたもので、例えば、商品名「ラブシート」(ニチアス株式会社製造)といった名称で市販されているから、これを使用すればよい。
【0010】
一方、防根透水資材2も、例えば、東洋紡績株式会社等から種々市販されているから、これを使用すればよい。この防根透水資材2は、素材として、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった合成繊維を使用し、これを作物の根は侵入させないが、水は通す7×102 〜2×103 μm2 の大きさの微細孔を形成して0.2〜3mm程度の厚みに織性、編成したものである。なお、この他に天然繊維の布帛や不織布や多孔質フィルムのものであってもよい。
【0011】
以上の毛管資材1を防根透水資材2で包み込むのであるが、それには、以下の方法が考えられる。図2は製造方法の一つを示す説明図であるが、一定の長さと幅に調整した防根透水資材2を台等の上に敷き、この上に所定の幅と厚みに調整した毛管資材1を防根透水資材2の短手方向両端に所定の余部2a、2bを残す状態で載せ、余部2a、2bの一方を折り返して毛管資材1を包み、余部2a、2b同士を重ねてこの重合部を固着する方法である。この固着の具体例としては、接着剤による接着、熱による溶着が一般的である。この場合の接着剤や溶着温度は素材に応じて適宜に選択すればよい。
【0012】
この他、縫い糸を使用しての縫着であってもよい。なお、縫着の場合、縫い孔同士の間隔や縫い孔と縫い糸との間隙を防根機能を有する細かいものにする必要があるが、縫着した後で隙間部分を樹脂等で塞ぐことで解決できる。さらに、防根透水資材2の長手方向の端を余しておき、この部分も固着すれば、毛管資材1を防根透水資材2で全面的に被覆できる。この場合の防根透水資材2の厚みは、可撓性を発揮できる1mm以下のものが好ましい。
【0013】
以上の製造方法によると、重合部が短手方向(又は長手方向)の端に突出する形態になるが、これは、固着作業がし易いからであり、これが存在していたとしても、性能上は何ら問題はない。もちろん、重合部を端に出さないようにして固着してもよい。この他の製造方法としては、図示は省略するが、防根透水資材2を予め重合部ができるように巻いて筒状にしておき、毛管資材1に糸や紐を取り付け、これを防根透水資材2の中に通して引っ張ることで、毛管資材1を防根透水資材2の中に引き込むようにしてもよい。これによると、重合部をはみ出さないように形成するのが比較的容易になる利点がある。
【0014】
以上の紐状体3のサイズとしては、幅Wが20〜50mm、厚みtが2〜6mm程度が栽培用の鉢に対しての占有面積が適するものになって好ましい。この幅Wや厚みtは、毛管資材1と防根透水資材2の製造前寸法で調整することになるのであるが、特に、厚みtに関しては、先の市販品のものを使用するとすれば、その厚みは比較的薄い(2.5mm程度)から、これを一枚又は複数枚重ねて所定の厚みtにすればよい。もちろん、メーカー等に依頼して最初から所定の厚みtのものに加工して貰ってもよい。
【0015】
トマトの栽培を例にとると、鉢は、根域制限の観点から、直径15〜20cm、深さ20〜30cm程度のものが好ましいから、上記のサイズの紐状体3によれば、鉢内にこれを一本配置しておくだけで、適度な水ストレスを与えるものになる。したがって、サイズがこれよりも小さいと、数が多く必要になるし、大きいと、水の供給が過多になって好ましくない。また、長さは、上記の方法によれば、あまり長いものは製造し難く、1m程度が限度になるが、この程度であれば十分である。なお、紐状体3の断面形状は、毛管資材1の断面形状によって決まるから、これを方形、円形、楕円形、多角形にしておけば、その形状になる。中でも、上記した偏平な方形(帯状)のものが断面積に対する表面積が大きくなって透水性に優れ、かつ取扱性も良くなって好ましい。
【0016】
ところで、紐状体3の連続体を製造することも可能である。例えば、毛管資材1と防根透水資材2を連続して送り出し、この間、防根透水資材2をガイド等で円形に巻いて毛管資材1を包み込み、端部同士を接着、溶着又は縫着して固着する方法が考えられる。また、毛管資材1の回りに織布や編布を円筒体に形成できる織機や編機を配し、毛管資材1を送るとともに、その周囲に織機や編機によって防根透水資材2を織成又は編成して行く方法も不可能ではない。これによると、紐状体3を長尺のものにできるから、適宜ロールに巻いたもので流通過程におけるから、購入者は、これを適当な長さに切断して使用すればよい。
【0017】
図3は以上の防根給水紐Aを用いてトマトを鉢栽培する場合の説明図であるが、上記したサイズの鉢4の中に培土5を表面近くまで入れ、この中にトマト6を植える。この場合、鉢4の側面には、底面から2〜5cmの高さに紐状体3を通す孔7をあけておく。そして、鉢4の側下方には養液8を入れた養液ポット9を用意し、紐状体3の一端を養液8に浸し、他端側を上方に引き上げて孔7に通してその延長上を反対側まで這わせ、ここから鉢壁に沿って上昇させ、培土5の表面近くまで延ばす。一方、終端では、紐状体3を数回巻いてボール10にしておくのが好ましい。
【0018】
以上により、トマト6は、養液8を紐状体3で吸い上げ、生育して結実するから、これを収穫すればよい。これにおいて、鉢4は上記したサイズであるから、根域制限されて養分を徒に根に回さず、味の良いものになる。また、紐状体3が上記したサイズのものであれば、鉢4のサイズに対して適度な水ストレス与えるものになり、この面からも味の良いものになる。さらに、紐状体3の端をボール10にしておけば、この部分から集中的に養液8が供給され、培土5に均等に行き渡る。この場合、トマト6の根6aは、水を求めて紐状体3に殺到するように伸長して来るが、紐状体3の表面の防根透水資材2で遮られて中の毛管資材1までは侵入せず、紐状体3の毛管機能は阻害されない。ところで、トマト6は生長に伴って多くの養液8を必要とするから、予め紐状体3を鉢4に複数設けておき、その生長に合わせて養液8に浸して行く本数を増やすようにすれば、効率的な栽培ができる。
【0019】
この意味で、紐状体3を通す孔7が鉢4の側面に設けられているのが好ましい作用をする。底面であると、重力の作用で根6aが伸長し易く、孔7から進出するおそれがあるからである。根6aが孔7から進出すると、紐状体3を伝わって養液ポット9まで入り込み、そうなると、水ストレスが与えられない水耕栽培になってしまい、味が低下する。この点、孔7が鉢4の側面に設けられていると、根6aが進出し難くなる。ただし、この場合でも、孔7と紐状体4の間隙は極力小さくする必要がある。
【0020】
また、養液ポット9と鉢4とはある程度離すのが好ましい。加えて、鉢4内において、紐状体3の下方に2〜5cmの培土空間aを確保していることも好ましい影響を与える。紐状体3に殺到して来た根6aがこの空間aに回り込むことができるからであり、限られた(根域制限された)空間で、できるだけ広範囲に、しかも均等に繁茂できることになり、これも味の良さにつながる。紐状体3をこのような配置で鉢4内に通しておけば、トマト6は、味の良い果実を10ケ月程度の長期間結実し続ける。発明者が確認したところでは、1年近く、25段まで育成できた。
【0021】
以上は、本発明の一例であるが、本発明は、これに限らない。例えば、防根給水紐のサイズは、作物の生育過程で適宜調整することがある。具体的には、多くの水を必要とする夏季には、断面積の大きな紐状体を使用することは有効である。また、栽培する作物も、トマトに限らず、メロンやその他の野菜や果樹でも可能である。さらに、養液ポットと鉢とは1:1の関係に限らず、養液ポットを共通の樋のようなものにしてもよいし、鉢も個別ものに限らず、連続した樋のようなものにしてもよい。こうすれば、設備費が安くなる利点がある。この他、この防根給水紐は、鉢栽培に限らず、露地栽培にも適用できる。すなわち、畝の中にこの防根防水紐を通しておけば、これが水通路となって作物の生育をより促す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【第1図】 本発明にかかる防根給水紐の説明図である。
【第2図】 防根給水紐の製造方法の一例を示す説明図である。
【第3図】 防根給水紐を使用しての作物の栽培方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
A 防根給水紐
1 毛管資材
2 防根透水資材
2a 〃 の余部
2b 〃 の余部
3 紐状体
4 鉢
5 培土
6 トマト(作物)
6a トマトの根
7 孔
8 養液
9 養液ポット
10 ボール
Claims (2)
- 栽培鉢において水ストレス下で栽培される作物の培土に挿入されて栽培鉢外に置かれる養液ポットから養液を培土に供給する防根給水紐であり、この防根給水紐を、毛管機能を有する毛管資材の全長に亘ってその外周を透水性と防根機能を有する防根透水資材で短手方向の両端に余部を残して包み、余部を重合させてその重合部を固着して、全長が毛管機能と防根透水機能を有する偏平な又は筒状の帯状をしていて可撓性のある紐状体にしたことを特徴とする防根給水紐。
- 重合部の固着が、接着、溶着又は縫着である請求項1の防根給水紐。
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