JP4302370B2 - 塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板およびその製造法 - Google Patents

塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、深絞りなどの加工用途に適した、結晶方位が極めてランダム化された塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
SUS430などの従来のフェライト系ステンレス鋼板は、板面内に塑性異方性を有しているため、これに円筒深絞り加工を施すと、加工品(カップ)側壁部の縁に耳(イアリング)と呼ばれる山型の突起が生じる。通常、カップに生じた耳はトリミング加工により除去される。フェライト系ステンレス鋼板を用いた加工製品の製造現場において、このトリミング加工は作業負荷および製造コストの増大を招いている。さらに、トリミング加工により除去される分、余分な大きさの鋼板を必要とし、歩留まり低下をもたらす。
【0003】
一方、最近ではフェライト系ステンレス鋼板を素材として製造される各種部品には、性能向上等のために「寸法精度」に対する要求も厳しくなりつつある。しかし、従来のような塑性異方性を有する鋼板ではこの要求に十分応えることができない。例えば、円筒深絞り加工品において、その円筒部分は真円とならずに楕円に近い形状になることがある。
【0004】
このように様々な問題を誘発する鋼板の塑性異方性は、その集合組織に起因することが良く知られている。鋼板内に強い集合組織が発達していると塑性異方性は大きくなり、加工品に発生する耳の深さが大きくなるとともに寸法精度も低下する。塑性異方性を小さくするには、鋼板の集合組織の発達を抑止し、各結晶粒の方位をランダム化することが有効である。
【0005】
これまでに、Fe−Cr系鋼板の塑性異方性を改善するために種々の方法が提案されている。例えば、特開平10−17938号には、熱間圧延において、粗圧延で得られたシートバーの先端を先行するシートバーの後端と接合するとともに、引き続き行う仕上げ圧延の圧延温度および圧延速度を制御する手法が示されている。特開平10−113910号には、微量成分を規定するとともに熱間圧延における粗圧延・仕上げ圧延時の圧下率、および巻取り温度を制御する手法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した方法はいずれも、特殊な設備を使用したり、特殊な熱延条件を採用したり、鋼組成を厳密に規定したりする必要があり、通常のFe−Cr系鋼板の製造プロセスに比べ製造現場に大きな負担を与えるものとなっている。
本発明は、このような現状に鑑み、従来のように製造現場に負担増を強いることなく、安定して塑性異方性の極めて小さい加工性の良好なFe−Cr系鋼板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、Fe−Cr系鋼板の結晶方位をランダム化する手法について詳細に検討を進めてきた。その結果、Cを低減し、Ni,Mn,Cuといった置換型オーステナイト生成元素を添加した化学組成とした上で、マルテンサイト相から微細なフェライト再結晶粒が生成する過程をうまく利用すると、極めてランダムな結晶方位を有する鋼板が得られることを見出した。
【0008】
また、鋼板をどの方向から見ても、あるいは、どの隣り合う結晶粒同士に着目しても「真にランダム化している」と言うことができるフェライト結晶粒の結晶方位のばらつきを定量的に評価することはかなり難しいとされているが、種々検討の結果、「全粒界に占める大角粒界の割合」と「結晶方位分布関数f(g)の最大値」の2つの指標に着目することによって上記定量的評価が可能になることを知見した。
【0009】
さらに、そのような真にランダム化されたフェライト鋼板は、最終冷間圧延後に「マルテンサイト変態」+「フェライト再結晶化」の熱履歴を付与する手法により安定し生産できることを見出した。特に、円筒深絞り加工で得られたカップにおいて耳の発生が全く認められないほどの、極めて塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板を得るには、最終冷間圧延を行う前にも一旦「マルテンサイト変態」をさせておくことが極めて有効であることを見出した。
本発明は以上のような知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、上記目的は、質量%で、C:0.05%以下,Si:2.0%以下,Cr:8.0〜18.0%,N:0.05%以下,Al:0.5%以下,Ti:0(無添加)〜0.5%,V:0(無添加)〜0.5%,Nb:0(無添加)〜0.5%,B:0(無添加)〜0.020%,Mo:0(無添加)〜5.0%Ni:5.0%以下,Mn:5.0%以下,Cu:0(無添加)〜5.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、実質的にフェライト単相組織を呈し、鋼板表面に平行な断面の金属組織観察において、隣接する結晶粒の方位差が15°以上である大角粒界が全粒界の90%以上であり、かつ下記(1)式により定まる結晶方位分布関数f(g)の最大値が5.0以下である塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板によって達成される。
【0011】
ここで、結晶方位分布関数f(g)は、下記(1)式の関係を満たす関数として定義される。
dV/V=f(g)・dg ……(1)
ただし、Vは鋼板試料において結晶方位を測定した範囲の全結晶粒の体積、gはオイラー角で表した任意の結晶方位、dVは方位gと方位(g+dg)の間の方位をもつ結晶粒の体積である。結晶方位分布関数f(g)はEBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern)装置を用いて分析した結晶方位データをもとにDiscrete Binning法を用いて算出する。実質的にフェライト単相組織とは、マトリクスがフェライト相で、その中に、フェライト相以外のものが最大で5体積%まで含まれていてもよいことを意味する。
「結晶方位分布関数f(g)の最大値」とは、すべての方位についてのf(g)値のうち、最大の値を意味する。
【0012】
Ti,V,Nb,B,Mo,Cuの含有量下限の0%は、その元素が無添加である場合を意味する。「実質的にフェライト単相組織」とは、マトリクスがフェライト相で、その中に、フェライト相以外のもの(炭化物等の析出物や介在物、あるいはオーステナイト相やマルテンサイト相など)が最大で5体積%まで含まれていてもよいことを意味する。
【0014】
さらに、このような塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板の製造法として、最終冷間圧延後の鋼板をAc1点以上に加熱した後Mf点(マルテンサイト変態終了温度)以下まで冷却して70体積%以上のマルテンサイト相を含む金属組織とし、次いでAc1点未満の温度域に加熱することにより前記マルテンサイト相から再結晶フェライト相を生成させて実質的にフェライト単相組織とする製造法を提供する。
【0015】
また、特に結晶方位のランダム化を高レベルかつ安定的に実現する手法として、熱間圧延後に冷間圧延された冷延鋼板をAc1点以上に加熱した後Mf点以下まで冷却して70体積%以上のマルテンサイト相を含む金属組織とし、最終冷間圧延を施し、再びAc1点以上に加熱した後Mf点以下まで冷却して70体積%以上のマルテンサイト相を含む金属組織とし、次いでAc1点未満の温度域に加熱することにより前記マルテンサイト相から再結晶フェライト相を生成させて実質的にフェライト単相組織とする製造法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記のとおり、本発明では「全粒界に占める大角粒界の割合」と「結晶方位分布関数f(g)の最大値」の2つの指標により、鋼板における集合組織の発達の程度を特定する。基本的に、鋼板の集合組織が発達している状態とは、特定の方向に各結晶粒の方位が配向していることをいう。粒界に着目すると、集合組織の発達した材料では、両側の結晶粒の方位差が小さくなっている粒界(小角粒界)が増加し、大角粒界の割合は減少する傾向があると言える。反対に、各結晶粒の結晶方位がランダムである材料では、粒界のほとんどが大角粒界であると考えることができる。
【0017】
ただし、粒界のほとんどが大角粒界であったとしても、その材料の結晶方位が「真にランダム化している」とは言い切れない。例えば、板面に垂直な方向には特定の結晶方位が揃っていて、圧延方向に平行な方向では各結晶粒の方位がばらついているような材料の場合には、その粒界のほとんどは大角粒界となる。しかし、このような材料は、板面に垂直な方向に特定の方位が揃っている点において「集合組織が発達した状態」といえる。したがって、「結晶方位のランダムさ」を的確に表す指標としては、「全粒界に占める大角粒界の割合」だけでは不十分であり、さらに別の指標が必要となる。
【0018】
発明者らは、その指標として上で定義した「結晶方位分布関数f(g)」を用いることが適切であることを見い出した。結晶方位分布関数f(g)は、任意の方位gを有する結晶粒の存在量を表すものである。一般に方位gは、板面に垂直な方向と板の圧延方向に平行な方向が、どの結晶方位に対応するかを示すものであり、オイラー角φ1,Φ,φ2を用いて表現される。完全にランダムな結晶方位を有する材料では、いずれの方位gにおいてもf(g)=1となり、特定の方位giが発達している材料ではf(gi)が1よりも大きな値となる。この結晶方位分布関数f(g)の値をすべての方位について知ることにより、その材料が特定の方向の結晶配向を有しているかを判断することができる。
【0019】
一方、「結晶方位分布関数f(g)」だけでは、やはり「結晶方位のランダムさ」を十分に評価することはできない。例えば、すべての方位giにおいてf(gi)の値が1に近い値であっても、粒界のほとんどが15°未満の小角粒界である場合を考える。このような材料は、結晶方位分布関数f(g)の値からは集合組織が発達しているとは判断されないが、個々の結晶粒に着目すると連続的に少しずつ方位が変化しているのであって、結晶方位が「真にランダム化している」とは言いがたい。
【0020】
このように、本発明では、ミクロ的に個々の結晶粒の方位差に着目した「全粒界に占める大角粒界の割合」を把握するとともに、ある方位gを有する結晶粒の存在量をマクロ的に表す「結晶方位分布関数f(g)」をすべての方位について把握することにより、材料の「結晶方位のランダムさ」を的確に評価する。なお、三次元空間のすべての結晶方位についてf(g)をすきまなく測定することは現実には困難である。したがって、実際にはオイラー角φ1,Φ,φ2のうち例えばφ2を比較的小さい間隔(例えば5°刻み)で固定しながら、各φ2の段階においてφ1とΦの組合せからなるすべての方位についてf(g)値を測定する、という手法により「結晶方位分布関数f(g)の最大値」が所定範囲にあるかどうかを判定することができる。
【0021】
以下、EBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern)装置を用いて、実際に「結晶方位のランダムさ」を評価した例を示す。
ここでは、TSL社製のOIMシステムを使用した。そのEBSP装置では、試料面に電子ビームを走査させることによって採取した結晶方位のデータに基づいて、結晶方位に関する種々のマップを作成することができる。例えば、隣接する結晶粒の粒界を粒界両側の結晶方位差に応じて区別して表示したり、各結晶粒の結晶方位を結晶粒ごとに無段階に色分けして表示したりすることができる。
【0022】
図1は、本発明例であるFe−Cr系鋼板の表面をバフ研摩および電解研摩した後、EBSP装置により当該研摩面から結晶方位の解析を行った結果の一例である。この試料は後述する表1の供試鋼A2であり、より詳しい製造工程は後述の実施例に示すとおりである。図1中、15°以上の結晶方位差を有する大角粒界が太線で表示され、同15°未満の小角粒界が細線で表示されている。図1から、この鋼板は、観察平面に現れる粒界長さの比率において、全粒界の90%以上が大角粒界であることがわかる。しかし、この図からでは、各結晶粒がどの方位を有しているのかを判断することはできない。
【0023】
図2は、図1と同じ試料の同じ場所について、各結晶粒の方位を結晶粒ごとに色分け表示した画像をモノクロに複写したものである。図2の複写元であるカラー画像によると、各結晶粒が様々な色で示されており、定性的ではあるが、個々の結晶方位がランダムにばらついていることがわかる。しかし、この図においては、結晶方位のばらつきが定性的に示されているにすぎず、そのランダム化の程度を定量的に把握することはできない。したがって、本発明の鋼板を特定する上でこの図2の手法で表示された定性的なデータは採用できない。
【0024】
そこで次に、特定の方位を有する結晶粒の存在量を定量的に表すために、Discrete Binning法を用いて結晶方位分布関数f(g)の計算を行った。測定範囲は2500μm角であり、f(g)の計算はオイラー角について10°の分解能で行った。図3〜図4には、図1,図2で示したものと同じ試料についての計算結果を図示した。すなわち、図3〜図4は、測定データを基に計算した結晶方位分布関数f(g)の値を、オイラー角φ2を固定したφ1−Φ断面(φ1とΦの組合せからなるすべての方位)のマップで表示したものであり、オリジナルのカラー画像をモノクロに複写してある。オイラー角φ2は5〜90°の範囲で5°刻みで固定した。図3〜図4の複写元であるカラー画像によると、f(g)の最大値は3.6にすぎず、特定の方位への際立った集積は認められない。
【0025】
以上のように、図1の解析結果から「隣接する結晶粒の方位差が15°以上である大角粒界が全粒界の90%以上」であるかどうかが判定でき、また、図3〜図4の解析結果から「結晶方位分布関数f(g)の最大値が5.0以下」であるかどうかが判定できる。発明者らは広範な実験により、この要件を満たしたFe−Cr系鋼板において、極めて等方的な加工性が得られることを確認している。上で例示した鋼板(供試鋼A2)はこれらの要件を満たしており、後述するとおり、深絞り加工後のカップに耳の発生は全く認められなかった。
【0026】
このような、結晶方位が極めてランダムなFe−Cr系鋼板を得るために、発明者らは、マルテンサイトの再結晶現象に着目した。Fe−Cr系鋼板をAc1点以上の温度からMf点以下まで冷却すると、マルテンサイト組織が得られる。このマルテンサイト組織は、ほとんど同じ結晶学的方位関係をもつ細かいラスが集まってブロックを、また、いくつかのブロックが集まってパケットを形成し、「ラス・マルテンサイト」と呼ばれる。
【0027】
このラス・マルテンサイトは一般にフェライト相への再結晶が起こりにくい性質を有しているとされる。これは、通常使用されているマルテンサイト鋼にはCが多量に含まれているため、焼戻し時に析出した微細な炭化物が粒界や転位の移動をピニングするためであると考えられる。ところが、発明者らの研究によれば、Cを低減し、かつ、置換型オーステナイト生成元素であるNi,Mn,Cuを1種または2種以上適量添加したFe−Cr系鋼板においては、焼入れで生じたラス・マルテンサイトはAc1点以下の温度域への加熱によって容易にフェライト相として再結晶することが確認された。そして、このとき、そのフェライト結晶の方位は顕著にランダム化するのである。
【0028】
このランダム化のメカニズムは次のように考えられる。すなわち、マルテンサイト変態がK−Sの関係を満足して起こる場合、変態のバリアントは結晶学的に24通り存在することになる。ラス・マルテンサイト組織において、旧オーステナイト粒内には、パケットあるいはブロックと呼ばれる領域が存在する。隣り合うパケット,ブロックは異なるバリアントに属するため、その境界は大角粒界となる。つまり、マルテンサイト変態によってパケット,ブロックを単位とした結晶方位のランダム化が起きることになる。ラス・マルテンサイトの再結晶によって生じるフェライト組織は、結晶方位がランダム化された組織を起源とするため、その結晶方位もランダム化される。
なお、マルテンサイトを再結晶させてフェライト組織を得るための熱処理を、本明細書では、以下、「フェライト化処理」と呼ぶ。
【0029】
上記のメカニズムによって塑性異方性の極めて小さいFe−Cr系鋼板を得るには、フェライト化処理に供する時点で70体積%以上のマルテンサイト相が存在している必要がある。マルテンサイト相の残部は主としてフェライト相であるが、マルテンサイト相が実質的に100%(マルテンサイト単相)の組織であっても構わない。
【0030】
「焼入れ処理」と「フェライト化処理」を組み合わせて、塑性異方性の小さい加工用冷延鋼板を製造する場合、熱間圧延以降において以下のような工程を採用することができる。
〔工程a〕熱間圧延→焼入れ処理→冷間圧延→フェライト化処理
〔工程b〕熱間圧延→焼入れ処理→フェライト化処理→冷間圧延→焼鈍
〔工程c〕熱間圧延→冷間圧延→焼入れ処理→フェライト化処理
〔工程d〕熱間圧延→焼入れ処理1→冷間圧延→焼入れ処理2→フェライト化処理
なお、工程a〜dのいずれにおいても、必要に応じて、「酸洗」、あるいは熱延後に「焼鈍」や「中間的な冷延」を施すことが可能である。
【0031】
工程aおよび工程bでは、最終的な冷間圧延の後においては、焼入れ処理を行わない。この場合でも、焼入れ処理とフェライト化処理の組み合わせによる結晶方位のランダム化効果が得られ、塑性異方性は大幅に改善される。しかし、最終冷間圧延によって新たに生じる結晶方位の配向傾向がフェライト化処理や焼鈍で完全に消去できないことがあり、円筒深絞りに供した場合にはわずかな耳の発生が認められる場合がある。
なお、工程bで行う冷間圧延後の「焼鈍」は、例えば700〜800℃×0.5〜10分の範囲で行うことができる。
【0032】
工程cは、最終冷間圧延後に「焼入れ処理」と「フェライト化処理」の組み合わせを実施するものである。この場合は、焼入れ処理の加熱時に生成するオーステナイト相において熱間圧延や最終冷間圧延に起因した配向傾向が生じるが、それに由来するラス・マルテンサイトのパケット,ブロックは、隣同士のバリアントが相違することよるランダム化効果が発揮されて、配向傾向は大幅に軽減される。このため、最終的に生成するフェライト組織は、工程aや工程bの場合に比べ、一層ランダム化したものとなる。この鋼板を円筒深絞りに供した場合は、耳の発生は認められないか、あるいは認められてもごくわずかであり、ほとんどの用途で問題とならない。
【0033】
工程dは、工程cにおいて、最終冷間圧延の前にも「焼入れ処理」を行うようにしたものである。最終冷間圧延前に「焼入れ処理1」を施すことで熱間圧延に起因した結晶配向を予め除去しておき、集合組織がほとんど解消された状態で最終冷間圧延を施すため、最終冷間圧延後に再び行う「焼入れ処理2」の加熱で生じるオーステナイト相には、最終冷間圧より前の工程に起因する結晶配向の影響が現れない。このため、最終的に、工程cの場合よりもさらに顕著なランダム化が実現される。得られたフェライト鋼板は、円筒深絞りにおいて耳が認められない程に組成異方性が改善されたものとなる。
【0034】
本発明では、特に顕著なランダム化効果が安定して得られる工程cまたは工程dを用いた製造法を採用した。
【0035】
焼入れ処理は、基本的に70体積%以上のマルテンサイト相を有する組織が得られれば種々の条件が採用できる。本発明で規定する成分組成の鋼では、Ac1点以上での保持温度は概ね800〜1150℃、保持時間は20〜60分程度が好ましい。Mf点以下までの平均冷却速度は0.01℃/sec以上、好ましくは0.02℃/sec以上を確保すればよい。したがって、水冷や空冷など、種々の冷却手段が採用できる。工程dのように最終冷間圧延を挟んで2回の焼入れ処理を実施する場合、1回目,2回目とも上記の条件が採用できる。
【0036】
フェライト化処理は、Ac1点未満の温度で行う必要がある。それより高温にするとマルテンサイトがオーステナイトに逆変態してしまう。この熱処理では、鋼板中に存在するマルテンサイト相をほぼ全量再結晶させ、フェライト相を生成させる。再結晶過程では炭化物の析出も伴うが、基本的には「マルテンサイトの再結晶」を完了させフェライト組織を得ることが目的である。したがって、この熱処理の条件は、「マルテンサイトの再結晶」を完了させることのできる条件であって、工業的に実施可能であれば、種々の温度・時間の組み合わせを採用することができる。例えば、650〜800℃×0.3〜24時間の条件が採用できる。
なお、熱間圧延および冷間圧延は通常の方法で実施すればよい。好ましい冷間圧延率は20〜80%である。
【0037】
次に、成分元素について説明する。
Cは、オーステナイト生成元素であり、焼入れ処理時のマルテンサイト生成に寄与する。しかし、フェライト化処理時に炭化物を生成し再結晶を抑制するため、過剰な含有は避ける必要がある。検討の結果、C含有量は0.05質量%以下に抑える必要があることがわかった。下限は特に規定しないが、0.001質量%以上の含有が好ましい。
【0038】
Siは、鋼の脱酸のために必要な元素である。しかし、過剰のSiは硬度を著しく増加させ、冷間圧延を困難にするとともに、加工時の延性を低下させるので、Siは2.0質量%以下の範囲で含有させる。Si含有量の特に好ましい範囲は0.1〜0.7質量%である。
【0039】
Crは、鋼板の耐食性を確保するために必須の元素であり、8.0質量%以上添加する必要がある。しかし、フェライト生成元素であるため、過剰に添加すると焼入れ処理後にマルテンサイト組織が得られない。このためCrの上限は18.0質量%に制限される。
【0040】
Nは、Cと同様オーステナイト生成元素であり、マルテンサイト生成に寄与する。しかし、過剰の添加は硬度を増加させ冷間圧延を困難にする。このため、Nの上限は0.05質量%に制限される。下限は特に規定しないが、0.001質量%以上の含有が好ましい。
【0041】
Alは、鋼の脱酸目的で添加することができる。しかし、過剰の添加は鋼板の加工性を低下させるため、上限は0.5質量%に制限される。
【0042】
Ti,Nb,Vは、粗大な窒化物,炭化物を形成しマルテンサイトの再結晶を促進させるとともに結晶粒の粗大化を抑制する効果もある。しかし、過剰に添加してもその効果は飽和するので、Ti,Nb,Vを添加する場合には、いずれも0.5質量%以下の範囲で行う。なお、好ましい下限値はTi,Nb,Vとも0.01質量%である。
【0043】
Ni,Mn,Cuは、いずれもオーステナイト生成元素である。本発明では焼入れ処理後にマルテンサイト組織を得るためにこれらの元素のうち、Ni,Mnを含有させ、Cuを必要に応じて含有させる。ただし、これらの元素の過剰の含有はオーステナイトを過度に安定化させMf点を低下させるので、焼入れ処理後に十分なマルテンサイト量を確保することが困難となる。したがって、Ni,Mn,Crとも、含有量の上限は5.0質量%に制限される。好ましい含有量範囲は、Niについては0.5〜5.0質量%、Mnについては10〜5.0質量%、Cuについては1.0〜5.0質量%である。
【0044】
Bは、鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、焼入れ後にマルテンサイト主体の組織を得るのに寄与する。この作用を十分に発揮させるためには0.001質量%以上のB含有が望ましい。しかし、0.020質量%を超えるその効果は飽和する。したがって、Bを添加する場合は0.020質量%以下の範囲で行う。
【0045】
Moは、Fe−Cr系鋼板の耐食性を著しく向上させる。この効果を十分に得るには1.0質量%以上のMo添加が好ましい。しかし、Moはフェライト生成元素であるため、過剰の添加は焼入れ処理でマルテンサイト組織を得ることを困難にする。したがって、Moを添加する場合は5.0質量%以下の範囲で行う。
【0046】
不純物のP,Sは、加工性を低下させるので、Pは0.04質量%以下、Sは0.01質量%以下に抑えることが望ましい。
【0047】
【実施例】
表1に、供試鋼の化学成分値を示す。A1〜A5鋼は本発明で規定する範囲の化学組成を有する発明対象鋼、B1,B2鋼はそれぞれSUH409,SUS430に相当する従来鋼である。
【0048】
【表1】
Figure 0004302370
【0049】
A1〜A5鋼については、真空溶解炉にて溶製して約30kgの鋳塊とし、鍛造、熱間圧延を経て板厚3.0mm熱延板とした。その後、熱延板に、1000℃で30分保持したのちMf点以下まで空冷する熱処理(1回目の焼入れ処理)を施してラス・マルテンサイト単相組織またはラス・マルテンサイトを70体積%以上含むラス・マルテンサイト+フェライト混合組織とした。その後、冷間圧延にて板厚0.8mmとした。この冷延板に、1000℃で30分保持したのちMf点以下まで水冷する熱処理(2回目の焼入れ処理)を施して再びラス・マルテンサイト単相組織またはラス・マルテンサイトを70体積%以上含むラス・マルテンサイト+フェライト混合組織とした。次いで、Ac1点以下の温度域(650〜800℃)で10分から6時間の範囲で保持したのち空冷する熱処理(フェライト化処理)を施して再結晶フェライト単相組織とし、この鋼板に酸洗を施して試験用の供試鋼板とした。
B1,B2の従来鋼については、それぞれSUH409,SUS430の市販材(板厚0.8mmの冷延焼鈍酸洗鋼板)を試験用の供試鋼板として用いた。
【0050】
各供試鋼板の板表面に、バフ研摩、および電解研摩を施し、その表面に現れている結晶粒の結晶方位を前記と同じEBSP装置を用いて分析した。得られたデータをもとに方位差15°以上の大角粒界の割合を求めた。さらに、Discrete Binning法を用いて結晶方位分布関数f(g)を計算し、上で例示した手法によりその最大値を求めた。
【0051】
また、供試鋼板からブランク径70mmの円板を切り出し、ポンチ径40mm,ダイス径42mmの深絞り試験機を用いて円筒深絞り試験を行った。得られた加工品(カップ)について、耳の発生の有無を目視にて判断し、明らかに耳が認められたものを×、認められなかったものを○で評価した。また、加工精度を評価するために、得られたカップの真円度を測定した。カップにおいて、鋼板の圧延方向を0°方向として、45°方向,90°方向および135°方向の内径を測定し、その最大値と最小値の差を「真円度(μm)」とした。
これらの結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
Figure 0004302370
【0053】
「化学組成」,「全粒界に占める大角粒界の割合」および「結晶方位分布関数f(g)の最大値」が本発明の規定範囲内にあるA1〜A5鋼の例では、深絞り加工後に耳の発生が認められず、またカップの真円度も0.04μm以下と非常に高い加工精度を示した。
【0054】
これに対し、従来材であるB1,B2鋼の例では、「全粒界に占める大角粒界の割合」が少なく、しかも「結晶方位分布関数f(g)の最大値」が5.0を大幅に上回った。つまり、これらの市販鋼板は集合組織を有していた。深絞り後のカップには明らかな耳の発生が認められ、真円度も上記本発明例のものより劣る結果であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、従来、鋼板状態での評価が困難であった「真に塑性異方性の小さい鋼板」を特定することが可能になった。そして、従来のように製造現場に負担増を強いることなく、極めて等方的な加工性を有するFe−Cr系鋼板を安定的に供給することが可能になった。その鋼板を円筒深絞り加工用素材に用いると、耳の発生が全く認められないほど非常に等方的で、かつ加工精度の高い製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例であるFe−Cr系鋼板(A2鋼)の板表面に現れている結晶粒の結晶粒界について方位差が15°以上である大角粒界の部分を太線で表示した図である。
【図2】図1に示される領域について結晶方位を結晶粒ごとに無段階に色分けして表示したカラー画像をモノクロに複写した図である。
【図3】図1の試料の2500μm角領域をEBSP装置で測定した結晶方位のデータに基づいて計算された結晶方位分布関数f(g)の値を、オイラー角φ2を5°刻みで固定したφ1−Φ断面について色分け表示したマップのうち、φ2が5〜70°の範囲を示したカラー画像をモノクロに複写した図である。
【図4】φ2が80〜90°の範囲のマップと凡例を示したカラー画像をモノクロに複写した、図3の続きとなる図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.05%以下,Si:2.0%以下,Cr:8.0〜18.0%,N:0.05%以下,Al:0.5%以下,Ti:0(無添加)〜0.5%,V:0(無添加)〜0.5%,Nb:0(無添加)〜0.5%,B:0(無添加)〜0.020%,Mo:0(無添加)〜5.0%Ni:5.0%以下,Mn:5.0%以下,Cu:0(無添加)〜5.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、実質的にフェライト単相組織を呈し、鋼板表面に平行な断面の金属組織観察において、隣接する結晶粒の方位差が15°以上である大角粒界が全粒界の90%以上であり、かつ下記(1)式により定まる結晶方位分布関数f(g)の最大値が5.0以下である塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板。
    dV/V=f(g)・dg ……(1)
    ただし、Vは鋼板試料において結晶方位を測定した範囲の全結晶粒の体積、gはオイラー角で表した任意の結晶方位、dVは方位gと方位(g+dg)の間の方位をもつ結晶粒の体積である。結晶方位分布関数f(g)はEBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern)装置を用いて分析した結晶方位データをもとにDiscrete Binning法を用いて算出する。結晶方位分布関数f(g)の最大値は、すべての方位についてのf(g)値のうち、最大の値を意味する。実質的にフェライト単相組織とは、マトリクスがフェライト相で、その中に、フェライト相以外のものが最大で5体積%まで含まれていてもよいことを意味する。
  2. 最終冷間圧延後の鋼板をAc1点以上に加熱した後Mf点以下まで冷却して70体積%以上のマルテンサイト相を含む金属組織とし、次いでAc1点未満の温度域に加熱することにより前記マルテンサイト相から再結晶フェライト相を生成させて実質的にフェライト単相組織とする請求項1に記載の塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板の製造法。
  3. 熱間圧延後に冷間圧延された冷延鋼板をAc1点以上に加熱した後Mf点以下まで冷却して70体積%以上のマルテンサイト相を含む金属組織とし、最終冷間圧延を施し、再びAc1点以上に加熱した後Mf点以下まで冷却して70体積%以上のマルテンサイト相を含む金属組織とし、次いでAc1点未満の温度域に加熱することにより前記マルテンサイト相から再結晶フェライト相を生成させて実質的にフェライト単相組織とする請求項1に記載の塑性異方性の小さいFe−Cr系鋼板の製造法。
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