以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムについて順に説明する。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態は、可変な記録パワーのレーザ光を照射することによって情報記録媒体に記録情報を記録する情報記録手段と、前記記録情報を追記する場合に、前記追記される記録情報に相隣接する記録領域に記録された記録情報の再生品質を測定する第1測定手段と、前記記録パワーと前記記録情報に係る前記再生品質との相関を表す相関情報に基づいて、前記第1測定手段により測定された再生品質が得られる前記記録パワーであるリンクパワーを検出する検出手段と、前記記録情報を追記する場合における前記情報記録媒体の回転速度である第1速度が、前記記録情報を追記する場合を除く通常記録の場合における前記回転速度である第2速度と比較して遅くなるように、前記回転速度を制御する回転制御手段と、前記記録情報を追記する場合に、前記記録パワーが、前記リンクパワーから前記再生品質として所望の第1ターゲット品質が得られる際の前記記録パワーである基準パワーへと変化するように所定の修正量ずつ段階的に又は所定の修正割合で連続的に前記記録パワーを修正する修正手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態によれば、情報記録手段の動作により各種記録情報を記録することが可能である。
第1実施形態では特に、記録情報を追記記録する場合(例えば、インクリメンタルライト)において、適切な記録動作を行うことが可能となる。具体的には、記録情報を追記記録する場合において、第1測定手段の動作により追記される記録情報に相隣接して記録されている記録情報の再生品質を測定する。ここに、本発明における「相隣接する記録領域に記録された記録情報」とは、文字通り隣接している記録領域に記録されている記録情報を示すと共に、隣接していると同視しうる程度に近傍の記録領域に記録されている記録情報をも含む趣旨である。そして、検出手段の動作により、この再生品質を実現するような記録パワーに相当するリンクパワーを検出する。このリンクパワーの検出の際には、記録パワーとその記録パワーにて記録された記録情報の再生品質との相関関係を示す相関情報に基づいて行なわれる。そして、修正手段の動作により、記録情報を実際に追記記録する場合において、リンクパワーから基準パワーへと滑らかに変化するように記録パワーの修正が行なわれる。基準パワーは、再生品質として所望のターゲット品質が得られるような記録パワーに相当する。この記録パワーの変化は、所定の修正量ずつ段階的に或いは所定の修正割合で連続的に行なわれることで、記録パワーの滑らかな変化(即ち、後述のソフトランディング)が実現できる。そしてこのとき、回転制御手段の動作により、情報記録媒体の回転速度が、通常の記録情報の記録動作時における第2速度よりも遅い第1速度となるように制御される。
これにより、記録情報を追記記録する場合においても、記録される記録情報の再生品質が急激に変化することはなく、滑らかに変化させることが可能となる。即ち、再生品質の連続性を維持することが可能となる。従って、当該記録情報を再生する際においても、例えば情報再生装置の動作により、記録情報が追記された地点において、急に再生品質が変化するような事態が発生することはない。即ち、記録情報が追記された地点においても記録情報を適切に(即ち、品質を急激に変えることなく)記録できるため、その結果として当該記録情報を適切に再生することが可能となる。特に、情報記録媒体の回転速度を減少させて(或いは、記録速度を減少させて)記録情報が追記記録されるため、高速記録時において問題となる再生品質の不連続という問題点を効果的に解消することができる。
特に、リンクパワーを検出する際に、記録パワーと再生品質との相関を示す相関情報を用いているため、実際の記録状態に応じた或いは適した記録パワーを比較的容易に検出することができる。即ち、その相関情報が示している記録パワーの変化の傾向に基づいて、記録パワーを修正することができるという点で、例えば特許文献1に記載された発明等と比較してより優れた効果を有しているといえる。この相関情報に基づいて記録パワーの修正を行なう動作に関しては、後述の実施例においてより詳細に説明する。
以上の結果、本発明の情報記録装置に係る第1実施形態によれば、相関情報を有効に利用することで、記録情報を追記記録する場合であっても、記録情報の再生品質を急激に変化させることなく、適切な記録動作を実現することができる。従って、適切な記録パワーで記録情報の記録を行なうことができ、その結果、当該記録情報の再生時には、再生エラーの発生を抑えることができるため、その再生品質をより向上させることが可能となる。
尚、前記所定の修正量又は所定の修正割合の大きさが可変であるように構成してもよい。これにより、記録パワーの変化の程度を適宜設定することができる。例えば、所定の修正量或いは所定の修正割合を相対的に小さく設定すれば、記録パワーの変化は比較的緩やかにすることができる。他方、所定の修正量或いは所定の修正割合を相対的に大きく設定すれば、記録パワーの変化は比較的急にすることができる。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態の他の態様は、前記修正手段は、前記リンクパワーと前記基準パワーとの差が所定量以下のときは、前記記録パワーが前記基準パワーとなるように修正する。
この態様によれば、リンクパワーと基準パワーとの差が所定量以下であるような場合には、記録パワーを段階的に或いは連続的に修正することなく、いきなり基準パワーとなるように修正しても、再生品質のバラツキが大きくないため適切な記録情報の再生を実現することができる。他方、リンクパワーと基準パワーとの差が所定量以上であれば、リンクパワーから基準パワーへと段階的に或いは連続的に変化するように記録パワーを修正する。従って、必要以上に記録パワーの段階的な或いは連続的な修正を行なう必要が無くなり、記録動作の処理パフォーマンスの向上を図ることができる。
この態様によれば、特に再生品質の連続性が問題となる記録情報の追記動作を好適に行うことができれば(即ち、記録パワーをリンクパワーから基準パワーへと変化させることができれば)、その後は再度回転速度を上昇させることで、その後の記録情報の記録を適切に且つ高速に行うことが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態の他の態様は、前記情報記録媒体にはアドレス情報を含むプリ情報が記録されており、前記プリ情報の前記再生品質を測定する第2測定手段を更に備え、前記第1速度は、前記測定される前記プリ情報の前記再生品質として所望の第2ターゲット品質が得られる回転速度である。
この態様によれば、プリ情報の再生品質を所望の状態(即ち、所望の第2ターゲット品質)に維持することができるため、アドレス情報等を適切に読み取ることができる。その結果、適切に記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態は、情報記録媒体を回転させる回転手段と、前記回転手段を制御することで、前記情報記録媒体の回転速度を変化させる回転制御手段と、レーザ光を照射することによって前記情報記録媒体に記録情報を記録する情報記録手段と、前記レーザ光の記録パワーを制御するパワー制御手段と、前記情報記録媒体に記録されている前記記録情報の再生品質を測定する第1測定手段とを備え、前記回転制御手段が前記回転速度を変化させると共に、前記パワー制御手段は前記測定される再生品質に応じた前記記録パワーで前記記録情報を追記する。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態によれば、上述した第1実施形態に係る情報記録装置と同様に、情報記録手段の動作により好適に記録情報を記録することが可能となる。また、回転制御手段の動作により、情報記録媒体の回転速度を変化させる(或いは、制御する)ことができる。
第2実施形態では特に、回転制御手段の動作により情報記録媒体の回転速度を変化させると共に、第1測定手段の動作により測定される記録情報の再生品質に応じて記録パワーを変化させながら(例えば、リンクパワーから基準パワーへと変化させながら)記録情報の追記を行うことができる。例えば、上述したように、回転速度を減少させると共に、再生品質の連続性を維持するように(即ち、再生品質の不連続性という問題点を解消するように)記録パワーを変化させながら記録情報の追記を行うことが可能となる。
以上の結果、本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、上述した第1実施形態に係る情報記録装置と同様の利益を享受することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の一の態様は、前記パワー制御手段は、前記記録情報を追記すると共に前記レーザ光の前記記録パワーを前記再生品質として所望の第1ターゲット品質が得られる際の前記記録パワーである基準パワーへ段階的に又は連続的に変化させていくように前記記録パワーを制御する。
この態様によれば、測定される再生品質に応じた記録パワーで追記を行っても、再生品質の連続性を維持した後には、好適な記録パワーである基準パワーにて記録動作を行なうことが可能となる。従って、追記時であろうがなかろうが、記録される記録情報の再生品質を好適な状態に保つことが可能となる。
上述の如く基準パワーへ変化させる情報記録装置に係る第2実施形態の態様では、前記第1測定手段は、前記情報記録媒体に記録されている前記記録情報の前記再生品質を測定し、前記パワー制御手段は、前記第1測定手段により測定された再生品質が得られる前記記録パワーであるリンクパワーから前記基準パワーへ段階的に又は連続的に変化させていくように前記記録パワーを制御するように構成してもよい。
このように構成すれば、リンクパワーから基準パワーへと変化するように記録パワーが制御されるため、より好適に再生品質の連続性を維持することが可能となる。即ち、上述した第1実施形態に係る情報記録装置と同様の利益を享受することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記情報記録媒体にはアドレス情報を含むプリ情報が記録されており、前記プリ情報の前記再生品質を測定する第2測定手段と、前記回転制御手段は、前記プリ情報の前記再生品質として所望の第2ターゲット品質が得られるように前記回転速度を変化させる。
この態様によれば、例えばプリ情報の再生品質が好適な状態となるように(即ち、第2ターゲット再生品質となるように)回転速度を制御或いは変化させることで、アドレス情報を適切に取得することが可能となる。従って、好適な記録動作を担保することが可能となる。
上述の如くプリ情報の再生品質を測定する情報記録装置に係る第1又は第2実施形態の態様では、前記プリ情報の前記再生品質は、AR特性である。
このように構成すれば、AR特性(或いは、後述のLPPエラーレート)が良好な値を実現できるように回転速度を制御或いは変化させることが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様は、前記パワー制御手段は、前記記録パワーと前記再生品質との相関関係を示す相関情報に基づいて、前記測定される再生品質に応じた前記記録パワーで前記記録情報を追記するように前記記録パワーを制御する。
この態様によれば、上述した第1実施形態と同様に、相関情報に基づいて、より好適に記録パワーを制御することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第1又は第2実施形態の他の態様は、前記情報記録媒体の所定の記録領域に前記記録パワーを変化させながら試し情報を記録する試し記録手段と、前記試し情報を再生することによって、前記相関情報を作成する作成手段とを更に備える。
この態様によれば、作成手段の動作により作成された相関情報を用いて、適切にリンクパワーを検出し、それと共に基準パワーを検出することができるため、適切に記録パワーの修正動作を行なうことが可能となる。
上述の如く作成手段を備える情報記録装置の態様では、前記情報記録手段は、前記相関情報を前記情報記録媒体に記録するように構成してもよい。
このように構成すれば、情報記録媒体にこれらの情報を記録することで、相関情報を実際に求めた情報記録装置のみならず、他の情報記録装置(例えば、当該情報記録媒体に記録情報を記録したことのない情報記録装置等)においても、情報記録媒体に記録された相関情報を参照することで、適切な修正量で或いは適切な修正割合で記録パワーを修正することができるという大きな利点を有する。
上述の如く作成手段を備える情報記録装置の態様では、前記相関情報を格納する格納手段を更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、一度作成した相関情報を、作成後も使用し続けることが可能となる。従って、改めてリンクパワー等を検出する際に再度相関情報を作成するという手間を省くことができる。
特に、情報記録装置自身が備える格納手段に相関情報を格納するため、相関情報を作成した情報記録媒体とは異なる情報記録媒体に記録情報を記録する際にも、当該相関情報を用いてリンクパワー等を検出することができる。このため、同一種類、同一品質、同一製造元の情報記録媒体に記録する際に特に有効となる。
このとき、相関情報を、情報記録媒体の識別番号(例えば、製造者番号等)毎に格納するように構成してもよい。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記記録情報の前記再生品質は、アシンメトリ値、ジッタ値、再生エラーレートの少なくとも1つを含む再生品質である。
この態様によれば、これらの再生品質を適宜組み合わせて基準パワーやリンクパワー等を求めることで、より適切な記録動作を実現するように記録パワーを適切に修正することができる。
(情報記録方法の実施形態)
本発明の情報記録方法に係る第1実施形態は、可変な記録パワーのレーザ光を照射することによって情報記録媒体に記録情報を記録する情報記録手段を備える情報記録装置における情報記録方法であって、前記記録情報を追記する場合に、前記追記される記録情報に相隣接する記録された記録情報を再生することにより、前記再生された記録情報の再生品質を測定する第1測定工程と、前記記録パワーと前記記録情報に係る前記再生品質との相関を表す相関情報に基づいて、前記第1測定工程において測定された再生品質が得られる前記記録パワーであるリンクパワーを検出する検出工程と、前記記録情報を追記する場合における前記情報記録媒体の回転速度である第1速度が、前記記録情報を追記する場合を除く通常記録の場合における前記回転速度である第2速度と比較して遅くなるように、前記回転速度を制御する回転制御工程と、前記記録情報を追記する場合に、前記記録パワーが、前記リンクパワーから前記再生品質として所望の第1ターゲット品質が得られる際の前記記録パワーである基準パワーへと変化するように所定の修正量ずつ段階的に又は所定の修正割合で連続的に前記記録パワーを修正する修正工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る第1実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態と同様の各種利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法の第1実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明の情報記録方法に係る第2実施形態は、情報記録媒体を回転させる回転手段とレーザ光を照射することによって前記情報記録媒体に記録情報を記録する情報記録手段とを備える情報記録装置における情報記録方法であって、前記回転手段を制御することで、前記情報記録媒体の回転速度を変化させる回転制御工程と、前記レーザ光の記録パワーを制御するパワー制御工程と、前記情報記録媒体に記録される前記記録情報の再生品質を測定する第1測定工程とを備え、前記回転制御工程において前記回転速度を変化させると共に、前記パワー制御工程において前記測定される再生品質に応じた記録パワーで前記記録情報を追記するように前記記録パワーが制御される。
本発明の情報記録方法に係る第2実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態と同様の各種利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法の第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータを上述した情報記録装置の第1又は第2実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第1又は第2実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第1又は第2実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置に係る第1実施形態によれば、情報記録手段、第1測定手段、検出手段、回転制御手段及び修正手段、又は第1測定工程、検出工程、回転制御工程及び修正工程を備える。また、本発明の情報記録装置に係る第2実施形態によれば、回転手段、回転制御手段、情報記録手段、パワー制御手段及び第1測定手段、又は回転制御工程、パワー制御工程及び第1測定工程を備える。従って、記録情報を追記記録する場合においても、適切な記録パワーで記録情報の記録を行なうことができ、その結果再生時においても適切に当該情報の再生を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、図1を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例において用いられる情報記録媒体について説明する。本実施例では、情報記録媒体として記録型の光ディスクを用いて説明を進める。ここに、図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものである。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、データ記録エリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウォブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプレピットが形成されていてもよい。尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、以下に説明するファイル構造は構築可能である。また、リードインエリア104やリードアウトエリア108は更に細分化された構成であってもよい。
続いて、図2から図15を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例について説明する。
(基本構成)
先ず、図2を参照して実施例に係る情報記録装置の基本構成について説明する。ここに、図2は、本実施例に係る情報記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図2に示すように、本実施例に係る情報記録装置1は、光ピックアップ501、スピンドルモータ502、RF(Radio Frequency)アンプ503、レーザドライブ回路504、OPC(Optimum Power Calibration)回路505、トラッキングサーボ回路507、アクチュエータドライブ回路508、スピンドルサーボ回路509、LPP(Land Pre Pit)検出器510、GATE作成回路511、LPPデータ検出器512、LPPエラーレート検出器513、イコライザ520、RF振幅測定回路521、2値化回路530、NRZI(Non Return to Zero Inversion)変換器531、SYNC検出器532、CPU550、メモリ560を含んで構成されている。
光ピックアップ501は、本発明における「情報記録手段」の一具体例であって、光ディスク100への記録又は再生を行うもので、半導体レーザ装置、各種レンズ、アクチュエータ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ501は、光ディスク100に対してレーザ光LB等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。このようなレーザ光LBのパワー調整は、後述する「修正手段」の一具体例たるレーザドライブ回路504の制御の下に行われる。より具体的には、所定のパルスストラテジに規定される駆動パルスにより半導体レーザ装置が駆動されることで、所定のレーザパワーを有するレーザ光LBが照射される。また、光ピックアップ501は、トラッキングサーボ回路507により駆動されるアクチュエータドライブ回路508、図示しないスライダ等により光ディスク100の半径方向等に移動できるように構成されている。
スピンドルモータ502は、本発明における「回転手段」の一具体例であって、スピンドルサーボ回路509によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
RFアンプ504は、光ピックアップ501から照射されるレーザ光LBの反射光を受光する図示しないPD(Photo Detector)から出力される信号を増幅し、該増幅した信号を出力する。具体的には、読取信号たるRF信号(或いは、LPP信号やウォブル信号等)がLPP検出器510やイコライザ520や2値化回路530に出力される。
レーザドライブ回路504は、本発明における「修正手段」又は「パワー制御手段」の一具体例であって、後述のOPC処理時には、後述のOPCパターンの記録及び再生処理により最適な記録レーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ501内に設けられた半導体レーザを駆動する。その後、データ記録時には、OPC処理により決定された最適な記録レーザパワーで、光ピックアップ501の半導体レーザを駆動するように構成されている。このデータ記録時には、最適記録レーザパワーは、記録データに応じて変調される。
OPC回路505は、本発明における「試し記録手段」の一具体例であって、記録動作前のOPC処理におけるOPCパターンの記録時に、OPCパターンを示す信号を、レーザドライブ回路504に対して出力するように構成されている。なお、OPC処理についての説明は、後に詳述する(図4等参照)。
トラッキングサーボ回路507は、光ピックアップ501からの読取信号よりトラッキングエラー信号等の各種サーボ信号を検出可能に構成されている。そして、この各種サーボ信号は、アクチュエータドライブ回路508や或いはスピンドルモータ502へ出力可能に構成されている。
アクチュエータドライブ回路508は、トラッキングサーボ回路507から出力される各種サーボ信号に基づき、光ディスク100の径方向或いは回転方向への光ピックアップ501の移動を制御可能に構成されている。そして、アクチュエータドライブ回路507によりその移動が制御されている光ピックアップ501により、光ディスク100の所望の記録位置にレーザ光LBが照射されることで各種データを記録することが可能となる。
スピンドルサーボ回路509は、本発明における「回転制御手段」の一具体例であって、CPU550の制御の下に、スピンドルサーボ信号に基づいてスピンドルモータ502の駆動を制御可能に構成されている。具体的には、スピンドルモータ502の回転数を制御することで、光ディスク100の回転速度(或いは、データの記録速度)を制御する。
LPP検出器510は、RFアンプ503からの受光量に応じた出力信号に基づいて、LPP信号を示すプッシュプル信号を検出可能に構成されている。このとき、プッシュプル信号を検出するために、光ピックアップ501の受光素子は、例えば2分割或いは4分割等複数の領域に分けてレーザ光LBの反射光を受光可能に構成されていることが好ましい。
尚、LPPとは、本発明における「プリ情報」の一具体例であって、光ディスク100の一具体例としてのDVD−R/RW等の記録トラック(特に、ランドトラック)上に予め形成されているピットであって、例えば光ディスク100上のアドレス位置や、データ記録時の記録クロック信号の生成のために用いられる。
GATE作成回路511は、LPPデータを検出するためのゲート信号を作成可能に構成されている。具体的には、LPPが形成されているウォブルを対象としてゲート信号を作成することで、LPPデータを検出可能にすると共に、LPPデータに含まれるノイズを効果的に除去することができる。もちろん、ウォブル信号を検出して作成されるゲート信号を用いてもLPPデータを検出することができることはいうまでもない。
LPPデータ検出器512は、LPP検出器510より出力されるLPP信号から、GATE作成回路511により作成されたゲート信号に基づいて、LPPデータを検出可能に構成されている。例えばLPPデータより、光ディスク100上におけるアドレス位置を示すプリフォーマットアドレス情報や、記録動作の際のクロックを示す情報を検出可能に構成されている。
LPPエラーレート検出器513は、本発明における「第2測定手段」の一具体例であって、LPPデータ検出器512において検出されたLPPデータのエラーの発生率(即ち、エラーレートであり、本発明における「プリ情報の再生品質」の一具体例)を検出可能に構成されている。このエラーレートは、例えば記録後LPP特性(或いは、BERLPPa:Block Error Rate LPP after)と称され、AR(Aperture Rate)特性と同様の数値を示すものである。
ここで、AR特性について簡単な説明を加える。光ピックアップ501は、図示しない2分割受光回路を備えており、夫々の分割再生信号からプッシュプル信号を生成することが出来る。そして、このプッシュプル信号成分のうち光ディスク100上に設けられている記録トラックであるグループトラック方向の信号成分の最大振幅と最小振幅との比率をAR特性と称している。例えば、DVD−R/RW上に設けられているLPPを再生したときの再生信号をオシロスコープ上で重ね合わせることで、その再生信号の最大振幅と最低振幅とを認識することができ、これよりAR特性を検出することができる。但し、実際の情報記録装置1においては、LPPデータのエラーレートを検出することで、AR特性の測定と同等の動作を行なうことができる。
イコライザ520は、RFアンプ503により検出されたRF信号等に対して所定のフィルタリング(或いは、信号処理)を行い、且つフィルタリング後の信号(例えば、エンベロープ検波等)をRF振幅測定回路521へ出力可能に構成されている。
RF振幅測定回路521は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、CPU550の制御下で、最適記録レーザパワーを決定するために、RFアンプ503からの出力信号たるRF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値を検出するように構成されている。係るRF振幅測定回路521は、例えばA/D(Analog/Digital)コンバータ等を含んでいるように構成されてもよい。
2値化回路530は、RFアンプ503により検出されたRF信号等から2値化信号を作成可能に構成されている。具体的には、例えば検出されたRF信号等よりパルス列を作成する。そして、2値化された信号をNRZI変換器531へ出力可能に構成されている。
NRZI変換器531は、2値化回路530により作成された2値化信号をNRZI変換可能に構成されている。そして、変換された2値化信号を、SYNC検出器532へ出力可能に構成されている。
SYNC回路532は、NRZI変換された2値化信号より、同期信号に相当するSYNC信号(或いは、SYNCフレーム)を検出可能に構成されている。
CPU550は、当該情報記録装置1全体の動作を制御するべく、例えば、LPPデータ検出器512やRF振幅測定回路521等からデータを受け取り、その後の制御動作を行なう。そして、これらのデータに基づき、情報記録装置1が備える各手段に対してシステムコマンドを出力することで、情報記録装置1全体の制御を行う。通常、CPU550が動作するためのソフトウェアは、例えば外部のメモリ内に格納されている。
メモリ560は、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ等の半導体メモリを含んでなり、情報記録装置1の動作に必要な各種データを一時的に記録可能に構成されている。
尚、上述した情報記録装置1においては、本発明の特徴をより分かりやすく説明するために、本実施例において必要となる構成要件を抜き出して図示している。このため、上述した構成要件以外の構成要件を備えていても良いことはいうまでもない。
また、図2を参照して説明した本実施例に係る情報記録装置は、情報記録再生装置の実施例も兼ねる。即ち、光ピックアップ501やRFアンプ503を介して記録情報を再生可能であり、本実施例は、情報再生装置の機能或いは情報記録再生装置の機能を含む。
(動作原理)
続いて、図3から図15を参照して、本実施例に係る情報記録装置1の動作原理について説明する。
(1)記録動作全体
先ず、図3から図6を参照して本実施例に係る情報記録装置1の、各種データを記録する動作の全体の流れについて説明する。ここに、図3は、本実施例に係る情報記録装置1のデータ記録動作全体の流れを概念的に示すフローチャートであり、図4は、OPC動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図5は、OPC動作により求められる記録パワー及びアシンメトリの夫々の数値を示す表であり、図6は、OPC動作により作成された相関情報を示すグラフであり、
図3において、先ず光ディスク100がローディングされる(ステップS101)。そして、CPU550の制御下で、光ピックアップ501によりシーク動作が行われ、光ディスク100への記録処理に必要な各種管理用データが取得される。特に、リードインエリア104におけるランドプリピット(LPP)を読み取ることで、予め定められている所定の(或いは、デフォールトとしての)パルスストラテジを取得する。この管理用データに基づいて、CPU550の制御により、例えば外部入力機器等からの指示に応じて、外部入力インタフェース等を介して光ディスク100へのデータの記録が行われる。
このローディングの後、CPU550の制御の下で、OPC動作が行なわれる(ステップS102)。このOPC動作により、データを記録する際の好適な或いは最適な記録レーザパワーである基準記録レーザパワーPo1が検出される。このOPC動作については、後に詳述する(図4等参照)。
そして、データの記録動作が行なわれる(ステップS103)。具体的には、光ピックアップ501が記録エリア(例えば、図1に示したデータ記録エリア106等)へ移動され、レーザドライブ回路504等の制御により、ステップS102のOPC動作により求められた記録レーザパワー(即ち、基準記録レーザパワーPo1)で、記録すべきデータに応じてレーザ光LBが変調されることで、データ記録エリアへのデータの記録が行われる。即ち、トラック上に、記録データに応じた記録ピットが形成される。
その後、CPU550の制御の下に、データの記録が追記記録であるか(例えば、インクリメンタルライトに相当するか)否かが判定される(ステップS104)。例えば、所定時間を空けた後(例えば、光ピックアップ501を他の記録エリアに移動させた後)、一旦データを記録した記録エリアに続けてデータを記録する場合には追記記録であると判定されてもよいし、或いは連続的にデータを記録する(即ち、シーケンシャル記録に相当する記録動作である)場合には、追記記録でないと判定されてもよい。
この判定の結果、追記記録でないと判定された場合(ステップS104:No)、基準記録レーザパワーPo1での記録動作が継続される(ステップS106)。もちろん、この場合、後述するように相関情報に基づいて、この基準記録レーザパワーPo1を修正しながら記録動作を行なってもよい。
他方、追記記録であると判定された場合(ステップ:S104:Yes)、続いて追記時の記録動作が行なわれる(ステップS105)。この追記時の記録動作については後に詳述する(図7等参照)。
その後、CPU550の制御の下に、記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS107)。即ち、当該記録動作において記録すべき全てのデータを記録したか否かが判定される。
この判定の結果、記録動作を終了すると判定された場合(ステップS107:Yes)、記録動作を終了し、必要に応じて再生専用の光ディスク(例えば、DVD−ROM等)との互換性を確保するためのファイナライズ動作を行なってもよいし、或いは光ディスク100を情報記録装置1からイジェクトしてもよい。他方、記録動作を終了しないと判定された場合(ステップS107:No)、記録動作が継続しておこなわれる。
続いて、ステップS102におけるOPC動作について、図4から図6を参照して詳細に説明する。ここに、図4は、OPC動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図5は、OPC動作により求められる記録レーザパワーとアシンメトリとの関係を示す表であり、図6は、OPC動作により作成される相関情報の具体例たるグラフである。
図4に示すように、まずCPU550による制御下で、光ピックアップ501がリードインエリア104内に設けられたパワーキャリブレーションエリアへ移動され、OPC回路505及びレーザドライブ回路504等の制御により、順次段階的に(例えば、相互に異なる16段階の)記録レーザパワーが切り換えられて、本発明における「試し情報」の一具体例たるOPCパターンがパワーキャリブレーションエリアに記録される(ステップS201)。このOPCパターンは、例えばOPC回路505の動作により生成される。OPCパターンとして、例えば3Tパルスに相当する短ピット及び11Tパルス(或いは、14Tパルス)に相当する長ピットを夫々同一の長さの無記録区間と共に交互に形成した記録パターンが一つの例として挙げられる。
レーザドライブ回路504は、このOPC回路505から出力されるOPCパターンにより、記録レーザパワーを順次段階的に切り換えるように(或いは、変化させるように)、光ピックアップ501内の半導体レーザを駆動する。
続いて、本発明における「相関情報」の一具体例である記録レーザパワーとアシンメトリとの相関関係を示す相関情報が、本発明における「作成手段」の一具体例であるCPU550の制御の下に作成される(ステップS202)。具体的には、パワーキャリブレーションエリアへのOPCパターンの記録完了後に、CPU550の制御下で、該パワーキャリブレーションエリアにおいて記録されたOPCパターンが再生される。そして、RF振幅測定回路521に入力されたRF信号より、当該RF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値がサンプリングされる。その後、このようなOPCパターンの再生が、1回のOPC処理において、例えば記録されたOPCパターンの回数に応じて行われ、夫々の再生毎のピーク値及びボトム値よりアシンメトリが測定される。
これにより、図5に示すような、順次段階的に切り替えられた記録レーザパワーと、その記録レーザパワーにて記録されたOPCパターンのアシンメトリ値を取得することができる。そして、図5に示す各種数値を、縦軸をアシンメトリとし横軸を記録レーザパワーの値とするグラフ上にプロットし、且つ近似曲線で結ぶと、図6に示すようなグラフが得られる。係る近似曲線は、例えば最小二乗法等の数学的又は統計的手法を用いて得ることができる。
尚、本実施例では、2次曲線にて相関式を作成したがこれに限られず、例えば3次曲線や4次曲線等で示される任意の関数により作成してもよい。また、実際に図6に示すグラフを用いなくとも、図5に示す表或いは図5に示される表から作成される相関式等の相関情報に対して演算等の処理を施すことで後述する処理を行なってもよいことはいうまでもない。
再び図4において、CPU550の制御の下に、アシンメトリが最適となるような(即ち、“0”となる)記録レーザパワーが基準記録レーザパワーPo1として求められる(ステップS203)。例えば、図6に示すようなグラフ(相関情報)が得られれば、アシンメトリが“0”となる記録レーザパワーの値である“13.3mW”が基準記録レーザパワーPo1として求められる。即ち、ここにおけるアシンメトリが“最適(或いは、0)”なる条件が、本発明における「所望の第1ターゲット品質」の一具体例に相当する。
但し、例えばDVD等の規格上、アシンメトリは“−0.05”から“0.15”の範囲で適切な記録動作等が可能となるため、必ずしもアシンメトリが“0”となるような記録レーザパワーを基準レーザパワーとしなくとも、例えば“0.10”や“−0.03”といったアシンメトリにであってもよい。
そして、ステップS202において作成された相関情報(例えば、図5に示す表や当該表から作成される図6に示すグラフ或いは相関式等)が、本発明における「格納手段」の一具体例であるメモリ560へ記録される(ステップS204)。このとき、基準記録レーザパワーPo1(即ち、“13.3mW”なる数値)も同時にメモリ560へ記録されることが好ましい。このとき、相関情報や基準記録レーザパワーPo1を、光ディスク100が有する各種識別番号(例えば、マニュファクチャラコード等)と関連付けてメモリ560に記録することが好ましい。或いは、相関情報や基準記録レーザパワーPo1を光ディスク100の例えばリードインエリア104等に記録するように構成してもよい。
(2)追記時の記録動作
続いて、図7から図10を参照して、図3のステップS105における追記時の記録動作について説明する。ここでは、図7を中心に適宜他の図面を参照して、追記時の記録動作について説明を進める。ここに、図7は、追記時の記録動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
尚、本実施例に係る情報記録装置1は、データを追記記録する際に、ソフトランディング動作を行なうように構成されている。ここに、ソフトランディング動作とは、記録レーザパワーを変化(或いは、変化)させる際に、所定の修正量ずつ或いは所定の修正割合毎に徐々に若しくは滑らかに記録レーザパワーの値を変化させる態様を示している。具体的には、後述するように例えば“0.1mW”ずつ記録レーザパワーの値を変化させて、結果的に所望の記録レーザパワーの値となるように修正する態様を示している。
図7に示すように、先ず、CPU550の制御の下に、データを追記する記録領域の直前の(或いは、直前と同視し得る)記録部(記録領域)に記録されているデータを再生し、本発明における「第1測定手段」の一具体例であるRF振幅測定回路の動作により、当該データのアシンメトリAsy2を測定する。(ステップS301)。例えば、第nセクタにデータを追記しようとする場合には、第n−1セクタ(或いは、そのセクタに近傍するセクタ)に記録されているデータのアシンメトリAsy2を検出する。
続いて、図4のステップS202で作成した相関情報に基づいて、本発明における「検出手段」の一具体例たるCPU550の制御の下に、アシンメトリAsy2を実現する記録レーザパワーPo2を検出する(ステップS302)。ここで求められる記録レーザパワーPo2は、本発明における「リンクパワー」の一具体例に相当する。更に、OPC動作により検出された基準記録レーザパワーPo1に対応するアシンメトリAsy1を検出する(ステップS303)。
この動作について、図8を参照してより詳細に説明する。ここに、図8は、追記時の記録動作の際の相関情報上の様子を概念的に示すグラフである。
図8に示すように、Asy2を実現する記録レーザパワーPo2は、相関情報が示すグラフとAsy2が示す線との交点となる。また、基準レーザパワーPo1に対応するアシンメトリAsy1は、この相関情報が示すグラフと基準記録レーザパワーPo2が示す線との交点となる。
具体的に数値を用いて説明する。ステップS301において求められたアシンメトリAsy2が“0.05”であり、また基準記録レーザパワーPo1は“13.3mW”であるとする。この場合、図8のグラフと、Asy2=“0.05”なる直線が示す交点における記録レーザパワーの値が、記録レーザパワーPo2となる。このグラフより、Po2=“13.9mW”なる記録レーザパワーの値が検出される。また、図8のグラフと、記録レーザパワーPo1=“13.3mW”なる直線が示す交点におけるアシンメトリの値が、アシンメトリAsy1の値となる。このグラフより、Asy1=“0”が検出される。
尚、基準レーザパワーPo1に対応するアシンメトリAsy1は、図4のステップS203において、基準レーザパワーPo1を求める際に用いられるアシンメトリ値(ターゲット値)である。従って、図7のステップS303においてAsy1を必ずしも求めなくとも、図4のステップS203で用いられるアシンメトリ値をAsy1とするように構成してもよい。
再び図7において、スピンドルサーボ回路509の動作により、光ディスク100の回転速度を減少させる(ステップS304)。ここでは、次のステップS305においてアドレス情報が適切に取得できる程度に回転速度が減少させることが好ましい。例えば、通常のデータの記録が4xや6x等の記録速度で行われていれば、1xの記録速度に対応する回転速度にまで減少させてもよい。
尚、上述の図4から図6を用いて説明した各種動作(例えば、OPC動作や相関情報の作成等)時には、後述するように光ディスク100の回転速度を減少させないことが好ましい。例えば、通常のデータの記録が4xや6x等の記録速度で行われていれば、これらの記録速度に対応する回転速度にてOPC等の各種動作を行なうことが好ましい。但し、必要に応じて回転速度を減少させてもよい。
そして、データを追記する記録領域の開始位置のアドレス情報を取得し、合わせて記録動作時のクロック信号を生成する(ステップS305)。具体的には、光ディスク100上に形成されているLPPを再生することで得られるLPPデータからアドレス情報(例えば、プリフォーマットアドレス情報)を取得したり、或いはクロック信号を生成する。
続いて、CPU550の制御下で、ステップS301及びS303の夫々において求めたアシンメトリの差分ΔAsyを求める(ステップS306)。即ち、|Asy1−Asy2|となる差分ΔAsyを求める。例えば、上述の例の如く、Asy1=“0.05”であり、Asy2=“0”であれば、ΔAsy=“0.05”となる。そして、CPU550の制御下で、その差分ΔAsyが、本発明における「所定量」の一具体例たる数値“0.01”より大きいか否かが判定される(ステップS307)。
尚、ステップS307における判定基準となる“0.01”なる数値はこれに限られるものでなく、よりソフトランディング動作を厳密に行なうのであれば、より小さな値を設定し、他方ソフトランディング動作をあまり行わないようにするのであれば、より大きな値を設定することが好ましい。これらの設定は、例えばリモコンや操作ボタン等によって当該情報記録装置1のユーザにより行なわれるように構成してもよいし、或いはCPU550により自動的に行なわれるように構成してもよい。また、この数値による判定に限らず、例えばユーザにより、ソフトランディング動作を行なうか或いは行なわないかの指示が入力されるように構成してもよい。
この判定の結果、0.01より大きくないと判定されれば(ステップS307:No)、ソフトランディング動作を行なう動作を終了する。具体的には、実際にデータの記録を行なう実記録レーザパワーPoを、OPC動作により検出される基準レーザパワーPo1に設定し(ステップS312)、その後のデータの記録動作を行なう。このようにアシンメトリAsy1とアシンメトリAsy2が大きく異なった値を有していなければ、ソフトランディング動作によるデータの記録を行なわなくとも、例えば後述するオートスライサは、アシンメトリの変化を追従することができる。従って、例えばプレーヤ等の情報再生装置をして適切にデータを再生せしめることができる。
他方、0.01より大きいと判定されれば(ステップS307:Yes)、実際にデータの記録を行なう実記録レーザパワーPoを、ステップS302において検出される記録レーザパワーPo2に設定する(ステップS308)。具体的には、レーザドライブ回路504の動作により、レーザ光LBを照射する光ピックアップ501の半導体レーザを駆動するための駆動パルスの出力が記録レーザパワーPo2となるように設定する。
その後、ステップS308において設定された実記録レーザパワーPoにて、1セクタに相当する記録領域にデータを記録する(ステップS309)。
そして、実記録レーザパワーPoから0.1mWを引いた記録レーザパワーを新たな実記録レーザパワーPoに設定する(ステップS310)。その後、CPU550の制御下で、実記録レーザパワーPo(即ち、前回よりも0.1mW小さくなった実記録レーザパワーPo)が基準レーザパワーPo1よりも小さいか否かが判定される(ステップS311)。
この判定の結果、実記録レーザパワーPoが基準記録レーザパワーPo1よりも小さくないと判定されれば(ステップS311:No)、0.1mWだけ小さくした記実録レーザパワーPoにて再度1セクタに相当する記録領域にデータを記録し(ステップS309)、その後の動作を繰り返す。このときデータを記録する1セクタに相当する記録領域は、前回に記録した記録領域と相隣接する記録領域であることが好ましい。他方、実記録レーザパワーPoが基準記録レーザパワーPo1よりも小さいと判定されれば(ステップS311:Yes)、当該Po1を新たな実記録レーザパワーPoとして更新し(ステップS312)、更に光ディスク100の回転速度を元に戻す(ステップS313)。その後、図3に示すような記録動作を継続する。
尚、図7では、記録レーザパワーPo2が基準記録レーザパワーPo1よりも大きい場合を想定している。従って、記録レーザパワーPo2が基準記録レーザパワーPo1よりも小さければ、ステップS310において、Poに0.1mW加えた記録レーザパワーを新たな実記録レーザパワーPoとして、順次データを記録していく必要がある。そして、ステップS311における判定では、実記録レーザパワーPoが基準記録レーザパワーPo1よりも大きいか否かを判定する必要がある。
また、ステップS310において適宜加算或いは減算する“0.1mW”なる数値(即ち、本発明における「所定の修正量」或いは「所定の修正割合」の一具体例)は、適宜変更するものであってもよい。例えば、記録レーザパワーの変化をより緩やかにする場合には、係る数値をより小さくすることが好ましく、他方記録レーザパワーの変化は急であってもその変化の段階の回数を少なくしたい場合には、係る数値をより大きくすることが好ましい。また、ステップS309においてデータを記録する領域の大きさたる“1セクタ”なる数値も適宜変更するものであってもよい。例えば、数セクタ毎に記録するように構成してもよいし、1又は数ECCブロック毎に記録するように構成してもよいし、それ以外の所定の大きさに係る記録領域毎に記録するように構成してもよい。或いは、記録レーザパワーの変化に要する時間で、データを記録する領域の大きさを設定してもよい。例えば概ね一秒で記録レーザパワーPo2から基準記録レーザパワーPo1に変化するように、例えば所定の修正割合に基づいて記録レーザパワーを修正するように構成してもよい。そして、このような変更は、例えばCPU550の動作により自動的に行なうものであってもよいし、或いは例えばリモコンや操作ボタン等によるユーザからの指示に基づいて行なうものであってもよい。
このように、データを追記して記録する記録領域においてソフトランディング動作を行なってデータを記録した場合の、記録されるデータのアシンメトリの態様について、図9を参照して説明する。ここに、図9は、線速度の変更前後におけるアシンメトリの様子及びその比較例に係るアシンメトリの様子を概念的に示す説明図である。
図9(a)に示すように、本実施例に係る情報記録装置1によれば、データを追記記録する直前の記録領域とデータを追記記録する記録領域との境界付近における例えば3T振幅パターンのアシンメトリの変化が緩やかになる。即ち、データ記録の一つの境目であり且つデータの追記記録を開始する記録領域に相当するリンキングポジションを挟んで、アシンメトリが急激に変化することなく、比較的緩やかにそのアシンメトリが変化して行く。即ち、アシンメトリがAsy2からAsy1へと徐々に変化して行き、アシンメトリの連続性を維持することができる。従って、例えば情報再生装置のオートスライサの応答性が悪くとも、或いは例えばロスレスリンク等を採用しているデータ構造であっても、オートスライサがアシンメトリの変化に追従することができ、適切にデータの再生を行うことができる。
尚、オートスライサとは、主として光ディスク100に記録されたデータ(具体的には、記録ピット等)をトレースし、該記録ピットから再生された信号を2値化するものである。
仮に、実施例に示すようなソフトランディング動作を行なわなければ、図9(b)に示すように、データの追記記録を開始する記録領域に相当するリンキングポジションを挟んで、アシンメトリが突然或いは急激に変化する。即ち、アシンメトリがAsy2からAsy1へと突然或いは急激に変化するため、アシンメトリの連続性を維持することが困難或いは不可能である。このため、オートスライサの応答性が悪かったり、或いはロスレスリンク等の如くデータとデータとの間が比較的狭い場合には、オートスライサがアシンメトリの変化に追従できず、適切にデータを再生することができない(例えば、読込エラーの発生等)という不都合が生じする。
しかるに、ソフトランディング動作を行なうことで、係る不都合を効果的に防ぐことができ、情報再生装置をして適切にデータの再生を行わせることができるよう、好適にデータを記録することができるという大きな利点を有している。そして、上述した先行技術文献にて示される記録装置と比較して、記録されたデータの再生時における再生エラーを効果的に防止することができるという大きな利点を有している。
また、このソフトランディング動作を含む記録レーザパワーの修正動作においても、OPC処理により求めた相関情報に基づいて行っている。即ち、実際に記録したデータのアシンメトリとOPC処理により求められた相関情報とを用いて、より滑らかにアシンメトリが変化するように、記録レーザパワーを適切に修正していくことが可能となる。ちなみに、従来から行なわれているOPC処理では、基準記録レーザパワーの値が求められれば、当該処理において取得した各種データ(即ち、例えば相関情報等)を廃棄していた。しかるに本実施形態では、この各種データ(特に、相関情報)を効果的に用いることで、光ディスク100の記録特性等に対応したより好適な記録レーザパワーを求めることができるという大きな利点を有している。
加えて、本実施例に係る情報記録装置1では、データを追記記録する場合に、光ディスク100の回転速度を減少させてから各種アドレス情報を取得したり、データの追記記録を行なっている。これにより、更に適切な或いは信頼性の高いデータの記録動作を実現することができる。一般に、比較的高速な回転速度で回転する光ディスク100からデータ(例えば、上述のLPPデータが示すアドレス情報やクロック信号等)を適切に読み込むには、RFアンプ503等の各種処理回路を高速記録或いは高速再生に対応させる必要がある。従って、情報記録装置の性能によっては、比較的高速な回転速度で回転する光ディスク100からデータを読み込んだり、或いは当該光ディスク100にデータを記録することが困難或いは不可能となる場合があり得る。特に、このような状態は、データを連続的に記録しない追記記録動作時に顕著になる。しかるに、本実施例では、追記記録時に光ディスク100の回転速度を減少させているため、上述の如き問題の発生を防ぐことができる。即ち、適切にアドレス情報等を取得することができると共に、安定してデータの追記記録を行なうことができるためアシンメトリの連続性をより適切に維持することができる。また記録動作が安定した後(例えば、アシンメトリが適切に且つ連続的に変化した後)には、再び回転速度を増加させても、アシンメトリの不連続性(或いは、記録されるデータの不連続性)等の各種問題を効果的に防止することができるという大きな利点を有する。
更に、光ディスク100の回転速度を減少させてからデータを記録することで、実際に光ディスク100の記録面に形成される記録ピット或いは記録マークの形状を好適なものとすることができる。この記録ピットの形状について図10を参照して具体的に説明する。ここに、図10は、高速記録時と低速記録時の夫々において形成される記録ピットの形状を概念的に説明する斜視図である。
図10(a)に示すように、低速記録時(例えば、概ね1倍速や2倍速の記録速度での記録時)においては、光ディスク100の回転速度が相対的に遅いため、レーザ光LBを照射する時間が高速記録時(例えば、概ね4倍速以上の記録速度での記録時)よりも長くなる。従って、記録ピットは適切なピット形状を有して形成される。
これに対して、図10(b)に示すように、高速記録時には、光ディスク100の回転速度が相対的に速いため、レーザ光LBを照射する時間が低速記録時よりも短くなる。加えて、光ディスク100の回転速度が増加するにつれて、記録動作に要するレーザ光LBのパワーも増加する。従って、短時間で且つ高レーザパワーのレーザ光LBの照射に起因して、記録ピットが光ディスク100上に形成されている記録トラックであるグルーブトラックGT上のみならず、LPP上にまで形成されてしまう。これにより、LPPの読取特性であるAR特性(或いは、BERLPPa)が大幅に悪化してしまう。このような事態は、アドレス情報の取得やクロック信号の生成という観点から決して好ましいものではない。
しかるに、本実施例に係る情報記録装置1によれば、データを追記するデータを記録する際の光ディスクの回転速度を減少させる(即ち、記録速度を減少させる)ため、LPPの読取特性であるAR特性を悪化させることなく、適切にLPPデータを検出することができる。その結果、適切にアドレス情報を取得し、クロック信号を生成することができるため、適切なデータの記録動作を実現することが可能となる。
このようなAR特性の悪化等の問題から、図7のステップS304では、AR特性が良好な値(例えば、15%以上)を実現可能な回転速度にまで、光ディスク100の回転速度を減少させることが好ましい。即ち、このAR特性が“良好(或いは、15%以上”なる条件が、本発明における「所望の第2ターゲット品質」の一具体例に相当する。そして、このような回転速度は、実際に測定されるAR特性(或いは記録後LPPエラーレート)に基づいて定めてもよいし、或いは例えばAR特性が良好になるであろう回転速度の値をデフォールトとして定めておいてもよい。
また、図7のステップS313において光ディスク100の回転速度を元に戻す際にも、所定量ずつ段階的に或いは所定割合ずつ連続的に変化させることが好ましい。回転速度の急激な変化を避けることで、アシンメトリの連続性をより好適に維持することが可能となる。
尚、レーザ光LBを照射するために光ピックアップ501内における半導体レーザに入力される駆動パルスの形状を所定の形状(例えば、異なるピーク値を有するトップパルスとミドルパルスとを有する形状)とすることで、高速記録時であっても図9(a)に示すような適切なピット形状を実現することは可能である。
また、データの記録中においてもデータを追記記録する場合と同様に、適宜記録レーザパワーの修正を行なうように構成してもよい。例えば、記録動作中に、データが記録された記録領域のアシンメトリを測定し、この測定されたアシンメトリと本来所望のアシンメトリ値とを比較して、所望のアシンメトリ値を実現するように、適宜記録レーザパワーの修正を行なうように構成してもよい。その際、上述の如くソフトランディング動作を行ないながら記録レーザパワーの修正を行ってもよいし、或いはソフトランディング動作を行なうことなく記録レーザパワーの修正をおこなうように構成してもよい。これにより、より適切なデータの記録を継続することができ、また記録されたデータの再生品質をも高めることができる。
更に、本実施例では、本発明における「再生品質」の一具体例として、アシンメトリの値を用いたが、これに限られることなく、例えばジッタ値や再生エラーレートや変調度やレーザ光の反射率、AR特性等の各種再生品質に基づいて記録レーザパワーの修正を行なうように構成してもよい。例えば、ジッタ値が最小となるような記録レーザパワーの値を基準記録レーザパワーの値として求めてもよいし、或いは再生エラーレートが最小となるような記録レーザパワーの値を基準レーザパワーの値として求めてもよい。そして、これらの値を適宜組み合わせて、記録レーザパワーの値を求めるように構成してもよいし、或いはこれらの値のうち優先度の高い値を予め定めることで記録レーザパワーの値を求めるように構成してもよい。
(3)第1変形動作例
続いて、図11から図14を参照して、図3のステップS105における追記時の記録動作に係る第1変形動作例を説明する。ここに、図11は光ディスク100の回転速度(記録速度)と記録レーザパワーとの相関関係を示すグラフであり、図12及び図13は、第1変形動作例に係る記録動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図14は、光ディスク100の回転速度を変化させた場合の記録レーザパワーとアシンメトリとの相関関係を示すグラフである。
尚、第1変形動作例では、光ディスク100の回転速度を適宜変化させながら、当該回転速度の変化に応じて記録レーザパワーも修正しながらデータの追記記録を行なう動作の態様である。
第1変形動作例では、図4のOPC動作の際に、図11に示すような光ディスクの回転速度と記録レーザパワー(特に、基準記録レーザパワー)との相関関係を示す相関情報を作成する。具体的には、光ディスク100の回転速度を変化させながら、該変化させられた回転速度毎に記録レーザパワーを変化させてOPC動作を行なう。そして、このOPC動作により検出された光ディスク100の回転速度に応じた基準記録レーザパワーに基づいて、図11に示すような相関情報を作成する。例えば、外周側(例えば、リードアウトエリア108内に設けられるパワーキャリブレーションエリア)において相対的に高速な回転速度(即ち、高速な記録速度)でOPCを行い、他方内周側(例えば、リードインエリア104内に設けられるパワーキャリブレーションエリア)において相対的に低速な回転速度(即ち、低速な記録速度)でOPCを行うことで、2つの回転速度に対応するOPCの結果(例えば、記録レーザパワーとアシンメトリとの相関関係や基準記録レーザパワー等)が得られる。この2つの結果に基づいて、例えば最小二乗法等の数学的或いは統計的手法を用いて、図11に示すような相関情報を作成することができる。そして、以下の追記記録動作を行なう場合には、回転速度と記録レーザパワーとの相関関係を示す相関情報及びアシメトリと記録レーザパワーとの相関関係を示す相関情報の夫々に基づいて、適宜記録レーザパワーを修正しながら行われる。
そして、実際にデータを追記記録する場合には、図12に示すように、追記する直前の(或いは、直前と同視し得る)記録部に記録されているデータを再生し、当該データのアシンメトリAsy2を検出する(ステップS301)。
続いて、データを追記する記録領域の開始位置のアドレス情報を取得し、合わせて記録動作時のクロック信号を生成する(ステップS305)。この後、CPU550の制御の下に、ステップS305において適切にアドレス情報の取得等を行うことができたか否かが判定される(ステップS401)。具体的には、適切にLPPを再生することができたか、或いは再生されたLPPから検出されるLPPデータから適切にアドレス情報を取得し又はクロック信号を生成することができたか否かが判定される。
この判定の結果、アドレス情報等を適切に取得することができないと判定された場合(ステップS401:No)、光ディスク100の回転速度を減少させる(ステップS304)。ここでは、例えば予め定められた量或いは割合だけ回転速度を減少させるように構成してもよいし、或いは情報記録装置1のユーザ等により指定される所定の量或いは割合だけ回転速度を減少させるように構成してもよい。そして、再度データを追記する記録領域の開始位置のアドレス情報を取得し、合わせて記録動作時のクロック信号を生成する。即ち、データを追記する記録領域の開始位置のアドレス情報を取得し、合わせて記録動作時のクロック信号を生成することができる程度にまで、光ディスク100の回転速度を順次段階的に或いは連続的に減少させる。
他方、アドレス情報等を取得することができると判定された場合(ステップS401:Yes)、続いて、記録速度と記録レーザパワーとの相関関係を示す相関情報、並びに記録レーザパワーとアシンメトリとの相関関係を示す相関情報の夫々を用いて、現在の光ディスク100の回転速度(即ち、減少させた後の回転速度)においてアシンメトリAsy2を実現する記録レーザパワーPo2を検出する(ステップS402)。更に、現在の光ディスク100の回転速度における基準レーザパワーPo1に対応するアシンメトリAsy1を検出する(ステップS403)。
具体的にこの記録レーザパワーPo2及びアシンメトリAsy1の検出動作について、図14を参照して説明する。
図14に示すように、OPC動作により作成された相関情報を示すグラフは、光ディスクの回転速度に応じて右へシフトしたり或いは左へシフトしたりする。より具体的には、図11に示すグラフからわかるように、光ディスクの回転速度が増加するにつれて、基準記録レーザパワーは増加していく。即ち、同一のアシンメトリを実現するためには、光ディスクの回転速度が増加するにつれて、より大きな記録レーザパワーが必要とされることがわかる。従って、図14に示すように、相対的に高速な回転速度では、グラフが右へシフトし、相対的に低速な回転速度では、グラフが左へシフトする。そして、第1変形動作例では、例えば高速な回転速度におけるOPCの結果を示すグラフと低速な回転速度におけるOPCの結果を示すグラフとの双方を作成しているため、これらのグラフと現在の回転速度とに基づき、現在の回転速度に対応する相関情報を取得することができる。そして、この相関情報より記録レーザパワーPo2とアシンメトリAsy1とを検出する。
再び図13において、記録レーザパワーを適宜修正しながらデータの追記記録動作を行なう(ステップS306からステップS312)。そして、データを追記した記録部分のアシンメトリの連続性が維持できた場合には、光ディスク100の回転速度を再び元に戻し(ステップS313)、その後の記録動作を行なう。
このように、アドレス情報を取得したりクロック信号を生成することができる程度にまで段階的に光ディスク100の回転速度を減少させることで、不必要に光ディスク100の回転速度を減少させる必要がない。従って、上述した各種利益を享受することができると共に、場合によっては、データの記録速度や読込速度等を必要以上に落とすことなく、適切にデータの追記記録動作を行うことが可能となる。
尚、この動作例では、データを実際に追記している場合(即ち、図13のステップS306からステップS312)には、光ディスク100の回転速度は一定であるが、データを実際に追記している場合にも光ディスク100の回転速度を徐々に段階的に或いは連続的に変化(具体的には、増加)させるように構成してもよい。この場合も、光ディスク100の回転速度と記録レーザパワーとの相関関係を示す相関情報及び記録レーザパワーとアシンメトリとの相関関係を示す相関情報に基づいて、アシンメトリの連続性が維持できるように適宜記録レーザパワーを修正することが好ましい。
また、図13のステップS313において、光ディスク100の回転速度を戻す際にも、回転速度と記録レーザパワーとの相関関係を示す相関情報及び記録レーザパワーとアシンメトリとの相関関係を示す相関情報に基づいて、アシンメトリの連続性が維持できるように適宜記録レーザパワー(より具体的には、基準記録レーザパワー)を修正することが好ましい。
(4)第2変形動作例
続いて、図15を参照して、図3のステップS105における追記時の記録動作に係る変形例を説明する。ここに、図15は、第2変形動作例の流れを概念的に示すフローチャートである。
尚、第2変形動作例は、アドレス情報の取得やクロック信号の生成時にのみ光ディスク100の回転速度を減少させ、実際にデータを追記記録する際には光ディスクの回転速度を元に戻す動作の態様である。
図15に示すように、先ず光ディスク100の回転速度を減少させる(ステップS304)。その後、上述した動作例と同様に、アシンメトリAsy2を測定し(ステップS301)、記録レーザパワーPo2を検出し(ステップS302)、アシンメトリAs1を検出する(ステップS303)。
その後、追記記録を開始する位置におけるアドレス情報を取得し、クロック信号を生成する(ステップS305)。適切にアドレス情報の取得等を行うことができれば、光ディスクの回転速度を戻して、その後の追記記録動作を行なう。
この第2変形動作例では、アシンメトリの測定やアドレス情報の取得の際にのみ、光ディスク100の回転速度を減少させている。従って、光ディスク100の回転速度が高速な場合に特に問題となるアシンメトリの測定やアドレス情報の取得を適切に行うことができる。他方、実際にデータを追記記録する場合には、光ディスク100の回転速度を元に戻している。従って、データの記録を高速に行なうことができ、効率的な記録動作を実現することが可能となる。
尚、図15に示すフローチャートでは、アシンメトリの測定及びアドレス情報の取得の双方を、光ディスク100の回転速度を減少させて行っているが、アドレス情報の取得の際にのみ光ディスク100の回転速度を減少させるように構成してもよいし、或いはアシンメトリの測定の際にのみ光ディスク100の回転速度を減少させるように構成してもよい。
また、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として光ディスク100及び情報記録装置の一例として光ディスク100に係るレコーダについて説明したが、本発明は、光ディスク及びそのレコーダに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びに、記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。