JP4301447B2 - 壁面緑化プランター並びにこの壁面緑化プランターの取付方法及び灌水方法 - Google Patents

壁面緑化プランター並びにこの壁面緑化プランターの取付方法及び灌水方法 Download PDF

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本発明は、建物を始めとする構築物の外壁面にプランターを取り付けて壁面の緑化を図る壁面緑化プランター並びにこの壁面緑化プランターの取付方法及び灌水方法に関するものである。
建物等の外壁を草花や緑化植物を植栽したプランターで装飾すると、成長した植栽物で建物を緑化でき、景観の向上や建物自体の断熱が図られることから、最近では多く見られるようになってきた。しかし、従来の壁面緑化プランターは、特許文献1に見られるように、プランター自体を直接壁面に固定していたから、プランターに強度が要求されるとともに、固定構造が必要になっていた。加えて、プランターは個々に壁面に取り付けていたから、取付けにも難渋していた。さらに、この種のプランターには灌水が必要であるが、従来のプランターでは、給水した水が下にポタポタと垂れてこの辺りを濡らし、環境性と居住性を害していた。
特開平5−328857号公報
本発明が解決しようとする課題は、プランター間での水漏れがないようにして水を上段のプランターから下段のプランターへと移動させて灌水の効率化と清潔化を図るとともに、プランターを軽量化し、かつ壁面への取付けにも工夫を凝らすことで、簡単で低コストに取付けできるようにしたものである。
本発明は、請求項1に記載した、壁面に取付け可能なパネルの表面に半樋状をした発泡樹脂からなるプランターを上下、左右に複数一体的に形成したプランターユニットを構築物の壁面に上下左右に展開する壁面緑化プランターにおいて、プランターユニットにおける上方のプランターの底のパネルとの接合部に孔をあけ、孔と下方のプランターとの間にパイプを通すとともに、最下段のプランターの底上にパネル内に入り込んで下方に延びる排水溝を形成する他、パネルの下面に各排水溝に連通して水平方向に延びる排水路をパネル内に凹成したことを特徴とする壁面緑化プランターを提供するとともに、請求項3の、構築物にプランターユニットの上端と下端を収受する断面がコの字形をした上桟と下桟とをプランターユニットの高さに応じて取り付け、これら上桟と下桟との間に土を入れて植栽したプランターユニットを横から挿入して所定の位置まで滑らせてセットするとともに、上桟及び下桟を内外に分離できるようにし、上桟及び下桟を分離させたとき、プランターユニットを外方に抜出できるようにしたことを特徴とする壁面緑化プランターの取付方法、及び請求項4の、雨水を貯水槽に溜めてこれをポンプで各々のプランターユニットの最上段のプランターに供給することを特徴とする壁面緑化プランターの灌水方法を提供したものである。
以上の壁面緑化プランターによれば、安価で軽量、しかも、断熱性に富んだものになるから、取付けが容易であるとともに、建物の断熱性が向上し、居住性が増す。また、上記した取付方法によれば、整然と取り付けられて外観性に優れるとともに、取付けが一層容易になる。さらに、上記した灌水方法によれば、水を節約でき、ランニングコストを低減できる。
図1は本発明の実施の形態を示すプランターユニットの正面図、図2は平面図、図3は図1のA−A断面図であるが、このプランターユニット1は、軽量資材で構成されるもので、壁面に取り付けるパネル2の片面に半樋状をしたプランター3を一体的に形成したものである。ここでいう一体的とは、一旦成形すると分離不可能という意味で、型や削り出しによる一体成形、適当な部分ごとに製作して接着剤や締結具で止めたりするものが考えられる。
ところで、以上でいう軽量資材とは、重量が軽い資材という意味で、これには、発泡樹脂や発泡コンクリート(無機物)、アルミ等の軽金属、軽カル等の無機物等の単品又はこれらを適当に複合したものがあり、中でも、発泡樹脂、とりわけ、発泡スチロールが価格、重量、強度、断熱性の点でもっとも適する。
プランターユニット1の大きさや形状等は、その取扱性を考慮して定められ、本例では、パネル2は厚みが約70mm程度、大きさが約1m四方程度にしてあり、これに肉厚20mm程度で、突出量が約215mm程度、高さが約250mm程度のプランター3を上下二段に形成したものを示している。これを発泡スチロール製のものによると、プランター3に土を入れて種や苗を植栽したものであっても、重量が30Kg程度になり、容易に手で持てるものになる。ただし、形状や寸法はこれに限定されるものではない。なお、プランター3の容積が大きくなり過ぎて強度的に不安がある場合は、中に適当数の仕切壁4を設けてもよい。
プランター3が複数段のものであれば、上段のプランター3から下段のプランター3に水が流下するようにしてある。具体的には、プランター3の底のパネル2との接合部(プランター3の外壁からできるだけ遠い位置)に孔5をあけてここから流下するようにしている。そして、これだけでは、水が飛散したりして外部に漏れ出たりするおそれがあるから、本例では、この孔5と下方のプランター3の中にかけてパイプ6を渡し、これで導水構造7としている。
なお、この導水構造7はパネル2の長手方向に適当数(本例では4個)設けて水の流下の均一性と確実性を図っている。さらに、プランター3の外表面の側面から底面に至るコーナーをやや過ぎ辺り(下方のプランター3の上方投影面内であることが条件)に水切り突条8を形成している。プランター3の外表面を滴る水を水切り突条8から強制的に下のプランター3内に落とすためであり、下方のプランター3から外れて下に落ちるのを防ぐためである。
最下段のプランター3には、ここに落ちて来た水を排出する排水構造9が設けられている。この排水構造9も、水の外部漏出を避ける工夫がしてあり、本例では、プランター3の底のパネル2との接合部に、パネル2内に入り込み、そこからパネル2内を落下する排水溝10と、排水溝10に連通してパネル2の下面内部に形成される断面逆V字形をした排水路11とで形成している。なお、排水路11を通って出て来た水の排出については後述する。そして、この排水溝10は、パネル2の長手方向に適当数(本例では2個)設けて排水の円滑性と確実性を図っている。
以上のプランターユニット1は、建物の壁面等に取り付けられるのであるが、本発明では、下桟12と上桟13とを用いて取り付けている。図4はこの下桟12と上桟13との関係を示す要部断面図、図5は図4のBーB断面図であるが、下桟12は、パネル2の下端を支持するものであり、本例では、断面が上向きのコの字形をしたC形鋼等を用いてこの中にパネル2の下端を収受する収受構造14を有するものにしている。パネル2をしっかりと保持して外れたり、傾いたりさせないためである。
下桟12によるパネル2の支持は、壁面15からボルト16を突出させ、このボルト16によって下桟12を支持するようにしている。このとき、下桟12の下面には断面が四角形をしたスリーブ17を当て、このスリーブ17の中にボルト16を通すようにしている。下桟12をスリーブ17の上面に当ててその安定を保つためである。そして、ボルト16の突出部にはワッシャ18を嵌めてナット19で締めてパネル2を壁面15に固定している。なお、このボルト16やスリーブ17も、一つのプランターユニット1を複数で支持するようにして安定を図っている。
下桟12の下方には下位のプランターユニット1のパネル2の上端を保持する上桟13が設けられる。このとき、上桟13の上面がスリーブ17の下面に当たるようにして下桟12との間隔を決めている。この上桟13も、パネル2の上端を安定的に保持するために、断面が下向きのコの字形をしたC形鋼等を用いてこの中にパネル2の上端を収受する収受構造20を有するものにしている。
したがって、新築の建物等にこの緑化プランターを取り付ける場合には、予め、施工の段階でこのボルト16を所定間隔で配列しておけばよい。もちろん、後付けも可能であり、その場合には、ボルト16を壁面15に埋め込めばよい。なお、ボルト16は、壁面15に埋め込むのではなく、下桟12と上桟13の外側から壁面15に直接螺じ込んだり、打ち込んだりするものであってもよい。
以上の下桟12と上桟12の取付けが終了したなら、その一方又は両方から両者の間にプランターユニット1を差し込み、所定の位置まで滑らせて移動させる。丁度、雨戸を敷居の上で滑らすようなやり方である。このとき、プランターユニット1には、土を入れて種や苗を植栽したものにしておくのはもちろんであり、プランターユニット1の大きさ、重量等を上記したものに設定したのは、この作業を容易にするためである。図7はプランターユニット1を取り付けた壁面15の正面図であるが、計画した壁面15全体にプランターユニット1が取り付けられると、工事は終了する。
このように、本発明では、プランターユニット1を直接壁面15に固定する面倒な構造はとっていない。したがって、発泡スチロールのような軽量ではあるが、あまり強度の高くない素材を使用できるのであるし、強度を満たした別の固定構造等を必要としないのである。この点で、本発明は、作業性に優れて低コストであり、しかも、整然として外観の良い取付方法を可能にしたのである。
図6は下桟12と上桟13の変形例を示す要部断面図であるが、本例のものは、下桟12と上桟13ともに内外方向に分離できる構造のものである。すなわち、外方の下桟12aと上桟13aを内方の下桟12bと上桟13bの中に一部重合する形で差し込む形態にしたものである(この場合も、内方の下桟12b、上桟13bと壁面15との間には上記したスリーブ17を挿入して内外の下桟12a、12b、上桟13a、13bの間隔の保持と支持の安定を図っている)。
これによると、ナット19を外して外方の下桟12aと上桟13aを分離すると、この間にある上方及び下方のプランターユニット1を外方に傾けたり、抜き出すことで取り外せることになる。下桟12と上桟13が横方向に長い場合、取付けにしても、取外しにしても移動の距離が長くなって作業に時間がかかるから、適当間隔ごとにこの構成を施しておいて作業時間を短縮しようというものである。特に、高い所での取付け、取外しに便利である。
建物等の構築物の壁面をこのような緑化プランターで覆っておくと、このプランターを発泡樹脂のような発泡体で製作しておくことにより、独立気泡を多く有するものになって、軽量であることはもちろん、非常に断熱性に富んだものになる。したがって、プランター内部の土や種苗の高温化が避けられ、これによる悪影響を防止できる。また、建物の内部もその断熱性によって温度変化が少なく、居住性の増すものとなる。さらに、壁面の装飾効果もあり、景観も向上する。
この緑化プランターには灌水が必要であるが、灌水は、水道水や用水を用いるものであってもよいが、雨水を利用するとすれば、ランニングコストが安くてすむ。この場合、降った雨水をそのまま各々のプランターユニット1の最上段のプランター3に供給してもよいが、貯水槽等を設けて一旦貯留し、これを適宜ポンプで汲み上げて供給するものにすれば、効率的である(図示省略)。なお、ポンプの駆動エネルギーを太陽熱を利用するものにすれば、ランニングコストは更に安くなる。
各下桟12には最下段のプランター3から抜け出した灌水の水が溜まるが、本発明では、これを垂れ流しにするのではなく、樋21で集めて地中又は地面の所定の個所に排水するようにしている。この樋21を設ける個所は、下桟12の一端でも両端でもよいが、このとき、排水をスムーズに行うために下桟12をその方向に僅かに流れ勾配を付けておくことも考えられる。
ところで、この水の量は大したことがないから、下桟12の端を閉じた構造にして自然蒸発させるものであってもよい。要は、灌水の水をポタポタ下に落とさないようにするのである。また、図示は省略するが、上位の下桟13の水を下位のプランターユニット1の最上段のプランター3に排水パイプ等で導き、最下位のプランターユニット1の下桟12の水だけを樋20で集める方式をとってもよい。
本発明の実施例を示すプランターユニットの正面図である。 本発明の実施例を示すプランターユニットの平面図である。 図1のAーA断面図である。 本発明の実施例を示す下桟、上桟の断面図である。 図4のBーB断面図である。 本発明の実施例を示す下桟、上桟の断面図である。 本発明の実施例を示すプランターユニットを壁面に取り付けた状態の正面図である。
1 プランターユニット
2 パネル
3 プランター
4 仕切壁
5 孔
6 パイプ
7 導水構造
8 水切り突条
9 排水構造
10 排水溝
11 排水路
12 下桟
12a外方の下桟
12b内方の下桟
13 上桟
13a外方の上桟
13b内方の上桟
14 収受構造
15 壁面
16 ボルト
17 スリーブ
18 ワッシャ
19 ナット
20 収受構造
21 樋

Claims (5)

  1. 壁面に取付け可能なパネルの表面に半樋状をした発泡樹脂からなるプランターを上下、左右に複数一体的に形成したプランターユニットを構築物の壁面に上下左右に展開する壁面緑化プランターにおいて、プランターユニットにおける上方のプランターの底のパネルとの接合部に孔をあけ、孔と下方のプランターとの間にパイプを通すとともに、最下段のプランターの底上にパネル内に入り込んで下方に延びる排水溝を形成する他、パネルの下面に各排水溝に連通して水平方向に延びる排水路をパネル内に凹成したことを特徴とする壁面緑化プランター。
  2. プランターの側面から底面に至るコーナーをやや過ぎ辺りの表面に長手方向に水切り突条を形成した請求項1の壁面緑化プランター。
  3. 請求項1又は2の壁面緑化プランターを構築物の壁面に横方向に展開する取付方法であり、構築物にプランターユニットの上端と下端を収受する断面がコの字形をした上桟と下桟とをプランターユニットの高さに応じて取り付け、これら上桟と下桟との間に土を入れて植栽したプランターユニットを横から挿入して所定の位置まで滑らせてセットするとともに、上桟及び下桟を内外に分離できるようにし、上桟及び下桟を分離させたとき、プランターユニットを外方に抜出できるようにしたことを特徴とする壁面緑化プランターの取付方法。
  4. 請求項1〜3いずれかの壁面緑化プランターの灌水方法であり、雨水を貯水槽に溜めてこれをポンプで各々のプランターユニットの最上段のプランターに供給することを特徴とする壁面緑化プランターの灌水方法。
  5. 各々のプランターユニットの下桟に溜まった水を樋で地中又は地面の所定の個所に排水する請求項4の壁面緑化プランターの灌水方法。
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