JP4301257B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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Description

本発明は、水槽内に配設した回転ドラムを回転駆動することにより、回転ドラム内に収容した洗濯物を洗浄するドラム式洗濯機に関するものである。
従来、この種のドラム式洗濯機は、回転ドラムがその回転軸方向が水平方向となるように配置されているので、洗濯物を出し入れする際に腰を屈める必要があり、洗面所などの狭い場所に設置されたような場合に、洗濯物の出し入れが困難になる場合が多く、狭い住環境には適応しがたい課題があった。このドラム式洗濯機の基本的課題を解決すべく本願発明者らは回転ドラム及びそれを収容した水槽の開口部側が上向き方向になるように所定角度に傾斜配置し、大人から子供、更には車椅子使用者など体格、姿勢が異なる全ての人に使用しやすくした斜めドラム形式のドラム式洗濯機を提案している(例えば、特許文献1参照)。
更に、回転ドラムに対して洗濯物を出し入れするための動作をより容易にすると共に、洗濯機筐体の正面に設けられた扉体から回転ドラム内を死角が生じないように見ることができるようにして洗濯物の出し忘れなどが生じないようにするため、図3の従来例に示すように、回転ドラム30を収容する水槽蓋体31の扉体32に通じる円状の開口部である洗濯物出入口33の中心Cを回転ドラム30の回転中心軸Rとを一致させている。
また、洗濯機筐体34は固定しており、前記水槽蓋体31は、洗濯機筐体34より揺動自在に防振支持されている。
回転ドラム30は、脱水時及び洗濯時に回転するので、水槽蓋体31は上下左右に揺動するが、その洗濯機筐体34と水槽蓋体31及び回転ドラム30の振動部との連結を、防振ゴム35にて連結している。
また、回転ドラム30は高速回転するため、非回転部分の水槽蓋体31との間には環状の隙間41を設けねばならないが、この隙間に衣類等が挟まったり、小物衣類が流出する事を防止する為、防振ゴム35から略環状のリブ部35aを延出させている(例えば、特許文献2参照)。
上記リブ部35aの回転ドラム30側の先端部35bは衣類の流出を防止する為、回転ドラム30の開口縁部30aに近接して構成するのが一般的である。
特開2005−137641号公報 特開平10−211382号公報
しかしながら、上記従来の構成では、その防振ゴム35のリブ部35aは回転ドラム30が回転するときに水槽蓋体31の開口縁部30aに当たって音を発生したり、また、その防振ゴム35のリブ部35aが変形して隙間が大きくなったり、長期間使用後には衣類との接触により磨耗し、その隙間に衣類が挟まり、衣類が破れたり、またそのリブ部35aが破れる等の課題があった。
また、そのリブ部35aを構成するため、防振ゴム35の製作用金型が複雑になったり、成型時間がかかるため、生産性が悪いという問題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、防振ゴムからリブを構成するのではなく、防振ゴムは簡易的な構造にし、上記リブに代わって、その部分をSUS(ステンレス)材等の別部品で構成することにより、従来の不具合を解消させたドラム式洗濯機を提供す
ることを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機は、その洗濯機筐体と振動部との連結の防振ゴムに構成する従来例にあったような略環状のリブをなくし、その部分をSUS(ステンレス)材等の別部品で構成したものである。
これによって、衣類が防振ゴムのリブにすれて防振ゴムが破れたり、防振ゴムのリブが変形し隙間が不均一になったり、その隙間に衣類が挟まった状態で脱水行程が始まった場合、衣類と防振ゴムとがこすれ、衣類が破れたり、また防振ゴムが磨り減ったりするのを防止することができる。また、防振ゴムの金型の構成が簡易になり、成型時間も短縮できるため、生産性が向上できる。
本発明のドラム式洗濯機は、衣類が投入しやすく、また、衣類が、水槽と回転ドラムの間に挟まるのを防ぎ、また、脱水時および洗濯時に衣類が、防振ゴムに触れて、衣類が破れるのを、また、防振ゴムが破れるのを防ぐことができる。
第1の発明は、前方に円状の衣類投入口を有し水平または前方から後方に向かって下向きに傾斜した回転中心軸を有する回転ドラムと、樹脂成形部材によって形成され前記回転中心軸の略延長線上に中心を有する円状の水槽開口部を有し前記回転ドラムを回転自在に収容する水槽と、前記回転中心軸の略延長線上に中心を有する円状の筐体開口部を有し前記水槽を遥動自在に収容する洗濯機筐体と、前記洗濯機筐体に取り付けられ前記筐体開口部を開閉自在に覆う扉体と、前記水槽開口部と前記筐体開口部との間を連結した略円筒状の防振ゴムとを備え、前記防振ゴムは、前記筐体開口部から前記水槽開口部に至る途中を部分的に前方かつ外方に折り返すことにより外周側に膨出した膨出部を形成し、前記水槽開口部を有する前記水槽の前面の内面には、環状の覆い部材が取り付け固定され、前記環状の覆い部材は、ステンレス等の金属部材で構成し、前記水槽開口部の全周にわたって、前記衣類投入口の外径部を外方から覆うとともに、前記水槽開口部の周縁部を覆うことで、前記衣類投入口と前記水槽開口部との隙間の一部、および前記防振ゴムの膨出部の少なくとも一部を覆うように構成したことにより、水槽開口部と衣類投入口の内周部との空隙を実質的に小さくして、小物衣類等の流出を防止するとともに、防振ゴムの保護が確実となることと、洗濯物の出し入れを容易にすることを両立させることができる。
また、環状の覆い部材を、ステンレス等の金属部材で構成したことにより、比熱容量が高いため発熱量も低く、熱伝導率も高いため発生した摩擦熱の放散も早くなされるので、衣類が熱により、溶けたり破れたりすることはない。
また、はみ出した衣類が樹脂成型部材にて構成された水槽の開口部に接触する事も防止できる。
の発明は、特に第1の発明において、回転ドラムの衣類投入口の外径部と環状の覆い部材の内面との径方向の最も小さい隙間は、前記回転ドラムの外径部と水槽の内面との径方向の最も小さい隙間より小さく構成したことにより、回転ドラムが脱水行程時に衣類の片寄り分布による変荷重で大きく傾いた場合でも、回転ドラムが先に環状の覆い部材に接触する為、防振ゴムや、樹脂成形部材で構成された水槽などに接触して損傷を与える事を防止できる。
の発明は、特に第1または2の発明の環状の覆い部材を、内径寸法を回転ドラムの
衣類投入口の内径と略同等もしくは径大としたことにより、衣類の出し入れ操作性を確実なものとする。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるドラム式洗濯機の断面図を示すもの、図2は同ドラム式洗濯機の要部断面図である。
図1において、前方に円状の衣類投入口25を有する回転ドラム5と、それを収容する水槽3とを水平方向から上向き方向に角度θで傾斜させて洗濯機筐体2内に配設し、洗濯機筐体2の正面を傾斜させた傾斜面に設けられた扉体8から回転ドラム5内への洗濯物の出し入れを容易にした斜めドラム形式のドラム式洗濯機を構成している。
前記回転ドラム5は、有底円筒形の開口部側を洗濯機筐体2の正面側に、底面側を洗濯機筐体2の背面側にして、回転軸心Rが正面側から背面側に向けて角度θで下向き傾斜となるようにして水槽3内に配置され、その回転軸15は水槽3の背面に設けられた軸受16で軸支されている。
回転軸15には従動プーリ18が装着され、水槽3の下面に取り付けられたドラム駆動モータ4の回転駆動軸に装着された駆動プーリ17との間に駆動ベルト19が架設されたベルト駆動構造に構成され、ドラム駆動モータ4によって回転ドラム5は回転駆動される。回転ドラム5の周面には多数の透孔20が形成されて水槽3内との間で水の流通ができるように構成され、回転ドラム5の回転により洗濯物13を上方に持ち上げ、上方から落下させる叩き洗いの作用がなされるように構成されている。
また、前記水槽3は、軸受16を設けた水槽本体3aと扉体8側の水槽蓋体3bとを連結した構造に形成され、軽量化を図ると同時に様々な構成要素の構築及び接続が容易に行えるように樹脂成形部材等によって形成されている。
有底円筒形に構成された水槽3の正面側の水槽蓋体3bには、洗濯物出入口としての水槽開口部14を設け、その中心Cは、回転ドラム5の衣類投入口25の中心(回転軸心Rと一致)を同軸とし、扉体8の中心も水槽開口部14の中心線上に略一致させるとともに、衣類投入口25の内径も可能な限り大きく設定して衣類の出し入れ操作をしやする構成としている。
このように、水槽開口部14及び扉体8をその中心位置Cが回転ドラム5の回転軸心Rとを同軸とし、さらに、斜め上方に傾斜させている為、円形に形成される扉体8の直径や水槽開口部14の開口径が制約を受ける状態にあっても扉体8を開き、水槽開口部14を通して回転ドラム5の内部を覗いたときに死角となる部位が少なくなる。
従って、回転ドラム5内に収容した洗濯物13が広範囲にわたって見えるので、洗濯物の取り出し忘れなどが生じ難くなる。特に、本実施形態に係るドラム式洗濯機のように回転ドラム5を傾斜配置し、回転ドラム5の傾斜角度に対応させた洗濯機筐体2の傾斜面に扉体8を設けた構成においては、より広範囲に回転ドラム5の内部を見渡すことができる。
また、洗濯機筐体2と水槽3の振動部との連結を、柔軟な弾性体によって構成された防振ゴム12にて水密的に連結し、かつ回転ドラム5の前端部と水槽蓋体3bの前端部の隙間にはSUS(ステンレス)材等の環状覆い部材11で覆うように構成している。
図2の部分断面図において、防振ゴム12はゴム等の柔軟な弾性体により略筒状に形成
され、一端を水槽蓋体3bの水槽開口部14に近接したフランジ6に、締結バンド28にて固定し、他端を洗濯機筐体2の筐体開口部1近傍に固着した取付板10に嵌着せしめて保持されている。
上記防振ゴム12は、筐体開口部1近傍で、扉体8の内方に固着したガラス材等で構成された内蓋9の傾斜面9aに凸状の接触部29を水密的に当接せしめる。また、防振ゴム12は、取付板10から水槽のフランジ6に至る途中の断面形状を、略水平部分と部分的に前方かつ外方におりかえして、断面を略S字に形成し、屈曲性を良くするために膨出部21を形成し、水槽3の振動を吸収するようにしている。
環状覆い部材11は、SUS(ステンレス)材などで略ドーナツ状に構成し、その外周部でねじ23にて水槽蓋体3bに設けたボス部24に固定する。この環状覆い部材11の中央開口部22は、水槽蓋体3bの水槽開口部14と、回転ドラム5の衣類投入口25の内周縁26との略中間に位置させ、水槽開口部14と衣類投入口25の内周縁26との空隙を実質的に小さくしている。
回転ドラム5内に投入された洗濯物13が、回転ドラム5の衣類投入口25より扉体8側にはみ出した場合には、防振ゴム12ではなく環状覆い部材11の中央開口部22に接触し、防振ゴム12や、水槽開口部14に接触しない構成となっている。
また、回転ドラム5の衣類投入口25の外径と最も近接する環状覆い部材11との隙間をBとし、回転ドラム5の外径と水槽3と内径との隙間をAとした時、A>Bという寸法に設定し、回転ドラム5が変形した場合、衣類投入口25の外径部分が環状覆い部材11に接触し、回転ドラム5の外径部が水槽3の内壁に接触しないような構成としている。
また、環状覆い部材11の内径をDとし、回転ドラム5の衣類投入口25内径をEとした時、D≧Eという寸法に設定し、衣類の出し入れ操作性を損なわないようにするとともに、環状覆い部材11の中央開口部22の先端部27は、水槽開口部14より防振ゴム12側に突出せしめて、防振ゴム12の膨出部21への衣類侵入を防止している。
以上のように構成されたドラム式洗濯機について、以下その動作作用を説明する。
回転ドラム5の洗濯物13が回転ドラム5の衣類投入口25よりはみ出して、環状覆い部材11に接触した場合でも、SUS(ステンレス)材等で環状覆い部材11を構成したため、SUS材等金属は比熱容量が高いため発熱量も低く、熱伝導率も高いため発生した摩擦熱の放散も早くなされるので、洗濯物13が熱により、溶けたり破れたりすることはない。
また、衣類投入口25の内周部26と環状覆い部材11の中央開口部22との隙間も小さく設定できるので、小物衣類が隙間から流入することも防止できる。
以上のように本実施の形態においては、SUS材にて環状覆い部材11を構成したので、衣類が衣類投入口25よりはみ出し場合でも、衣類の損傷を少なくする事が出来るとともに、回転ドラムが脱水行程時に衣類の片寄り分布による変荷重で大きく傾いた場合でも、従来例のように、回転ドラムが防振ゴムや、樹脂成形部材で構成された水槽などに接触して損傷を与える事を防止できる。
また、防振ゴムの形状が、従来例において構成されていたリブを無くした簡略化した形状であるため、製作用金型の構成が簡易になり、成型時間も短縮できるため、生産性が向上できる。
以上説明した実施形態の構成は、回転ドラムを傾斜配置した斜めドラム形式のドラム式洗濯機に適用した例を示したが、回転ドラムを水平方向に配置した一般的な構成においても同様に適用することができる。
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯機は、洗濯機筐体と振動部との連結をする防振ゴムからリブをなくし、その部分をSUS(ステンレス)等の別部品で構成することにより、衣類が、防振ゴムにすれて、防振ゴムが破れたり、防振ゴムのリブが変形や磨耗することにより、水槽と回転ドラムの隙間が大きくなり、その部分から、衣類が落ち込んだりするのを防止することができる。また、防振ゴムの製作用金型が簡易になり、成型時間も短縮できるため、生産性が向上できる。
本発明の実施形態1におけるドラム式洗濯機の断面図 同ドラム式洗濯機の要部断面図 従来のドラム式洗濯機の断面図
符号の説明
2 洗濯機筐体
3 水槽
5 回転ドラム
7 筐体開口部
8 扉体
11 環状覆い部材
12 防振ゴム
14 水槽開口部
21 膨出部
25 衣類投入口

Claims (3)

  1. 前方に円状の衣類投入口を有し水平または前方から後方に向かって下向きに傾斜した回転中心軸を有する回転ドラムと、樹脂成形部材によって形成され前記回転中心軸の略延長線上に中心を有する円状の水槽開口部を有し前記回転ドラムを回転自在に収容する水槽と、前記回転中心軸の略延長線上に中心を有する円状の筐体開口部を有し前記水槽を遥動自在に収容する洗濯機筐体と、前記洗濯機筐体に取り付けられ前記筐体開口部を開閉自在に覆う扉体と、前記水槽開口部と前記筐体開口部との間を連結した略円筒状の防振ゴムとを備え、前記防振ゴムは、前記筐体開口部から前記水槽開口部に至る途中を部分的に前方かつ外方に折り返すことにより外周側に膨出した膨出部を形成し、前記水槽開口部を有する前記水槽の前面の内面には、環状の覆い部材が取り付け固定され、前記環状の覆い部材は、ステンレス等の金属部材で構成し、前記水槽開口部の全周にわたって、前記衣類投入口の外径部を外方から覆うとともに、前記水槽開口部の周縁部を覆うことで、前記衣類投入口と前記水槽開口部との隙間の一部、および前記防振ゴムの膨出部の少なくとも一部を覆うように構成したドラム式洗濯機。
  2. 回転ドラムの衣類投入口の外径部と環状の覆い部材の内面との径方向の最も小さい隙間は、前記回転ドラムの外径部と水槽の内面との径方向の最も小さい隙間より小さく構成した請求項記載のドラム式洗濯機。
  3. 環状の覆い部材は、内径寸法を回転ドラムの衣類投入口の内径と略同等もしくは径大とした請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
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