JP4300892B2 - ポジション判断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポジション判断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、有段の自動変速機、無段の自動変速機(CVT)、半自動変速機、駆動モータを駆動源とする電動駆動装置、駆動モータ、エンジン及び発電機を駆動源とする電動駆動装置等の車両駆動装置(パワートレイン)を搭載した車両においては、シフトレバーによってレンジが設定されると、車両駆動装置の制御を行う車両駆動制御装置は、選択されたレンジにおける変速ロジックに従ってソレノイド等をオン・オフし、変速制御を行うようになっている。そのために、電子部品搭載装置としてポジション判断装置が配設され、該ポジション判断装置は、ポジションセンサの出力、すなわち、センサ出力を出力信号として受け、該出力信号に基づいてシフトレバーの位置を表すシフト位置を判断し、選択されたレンジを判断する。
【0003】
また、アクセルペダルを踏み込む等してスロットルバルブを開閉し、吸気量を調整するようにした車両においては、電子部品搭載装置としてスロットル開度検出装置が配設され、該スロットル開度検出装置は、スロットル開度センサの出力、すなわち、センサ出力を出力信号として受け、該出力信号に基づいて、スロットルバルブの開度を表すスロットル開度を検出するようにしている。
【0004】
ところで、前記ポジションセンサ、スロットル開度センサ等として非接触型のセンサが提供されている。該センサは、シフトレバー、スロットルバルブ等を回動させて操作したときに、連動して回動させられるシャフトに取り付けられ、シャフトと共に回動させられる磁石、該磁石の回動に伴ってセンサ出力を発生させる電子部品としてのホールIC等を備える(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−174212号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のポジション判断装置、スロットル開度検出装置等においては、ホールICの周囲において発生する磁界がホールICに影響を及ぼし、ホールICのセンサ出力に誤差が発生したり、ホールICの性能が低下したりする。
【0007】
そこで、磁界の影響を受けにくいように、ホールICを金属製の筐(きょう)体から成る磁気シールドで覆うことが考えられるが、ホールICを磁気シールドで覆うとポジション判断装置、スロットル開度検出装置等が大型化するだけでなく、ポジション判断装置、スロットル開度検出装置等のコストが高くなってしまう。
【0008】
本発明は、前記従来の電子部品搭載装置の問題点を解決して、ホールICの出力に誤差が発生したり、ホールICの性能が低下したりすることがなく、小型化することができ、コストを低くすることができるポジション判断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のポジション判断装置においては、エンジンに近接して配設された自動変速機を収容するケースの外側に取り付けられた制御装置ケースと、該制御装置ケース内において回動自在に配設された回転部と、前記制御装置ケース内において前記回転部を中心にして互いに180〔°〕隔てて配設されて第1、第2の検出素子を構成し、磁束が通過する磁束通過面、及び磁束が通過しない非磁束通過面を備えたホールICと、該各ホールICの出力に基づいてシフト操作部材が置かれた位置を判断する自動変速機制御装置と、電流が流れることによって磁界を発生させる電流供給ラインとを有する。
【0010】
そして、該電流供給ラインは、前記二つのホールICに対応させて設定され、ホールICの出力に誤差が発生したり、ホールICの性能が低下したりする影響が及ぶ強磁界発生領域内において、前記磁界が発生することによって形成された磁束が前記磁束通過面を通過するのを抑制するように、該磁束通過面に対してほぼ直角の方向に延在させて配設される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、有段の自動変速機、無段の自動変速機、半自動変速機、駆動モータを駆動源とする電動駆動装置、駆動モータ、エンジン及び発電機を駆動源とする電動駆動装置等の車両駆動装置のうちの有段の自動変速機を搭載した車両について説明する。また、電子部品搭載装置としてのポジション判断装置について説明するが、本発明をスロットル開度検出装置等の電子部品搭載装置に適用することもできる。
【0016】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるポジション判断装置の動作を示す図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるポジション判断装置の要部を示す縦断面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるポジション判断装置の要部を示す横断面図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるポジションセンサの入出力特性を示す図である。なお、図5において、横軸にポジションセンサ角度θを、縦軸に電圧値を採ってある。
【0017】
図に示されるように、11はポジション判断装置、12は図示されない変速機構を収容するケース、13は該ケース12に対して図示されないベアリングによって回転自在に配設された回転部材としてのマニュアルシャフト、16はケース12の外側において、該ケース12に取り付けられた制御装置ケースであり、該制御装置ケース16内に、センサとしてのポジションセンサ14、自動変速機の制御を行うための制御部としての自動変速機制御装置として機能する制御モジュール15、該制御モジュール15と前記自動変速機制御装置による各制御の対象となる複数の被制御装置、例えば、自動変速機(リニアソレノイド、オン・オフソレノイド等のソレノイド)、図示されないエンジン、インジケータ、車両の制御要素等とを接続するためのコネクタ17等を備える。
【0018】
前記ポジションセンサ14と制御モジュール15とは互いに電気的に接続され、ポジションセンサ14及び制御モジュール15によってセンサ一体型の制御装置が構成される。
【0019】
前記マニュアルシャフト13は、ケース12外においてアウタレバー18に接続され、該アウタレバー18及び接続ワイヤとしてのコントロールワイヤ19を介してシフト操作部材(変速操作部材)としてのシフトレバー21と連結され、ケース12内においてディテント31及びマニュアルバルブ32のバルブスプール33と連結される。なお、前記シフトレバー21は、自動変速機のレンジを選択するために配設され、そのために、ガイド22に沿って回動(移動)させられ、パーキングレンジ(Pレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、ドライブレンジ(Dレンジ)、4速レンジ、3速レンジ及び2速レンジの各レンジを選択することができるようになっている。また、前記シフト操作部材として、シフトレバー21に代えて各変速段ごとに押下することができるようにしたシフトスイッチ等を使用することができる。
【0020】
前記ポジションセンサ14は、制御装置ケース16内においてマニュアルシャフト13に取り付けられ、マニュアルシャフト13と共に一体的に回動させられ、被検出部を構成する回転部25、及び前記制御装置ケース16内における回転部25の径方向外方において回転部25を包囲するように、制御装置ケース16に取り付けられ、検出部を構成する固定部26を備える。また、前記回転部25は、筒状の軟質磁性材料から成るロータ28、該ロータ28の軸方向における所定の位置において、外周面に取り付けられた環状の磁石35等を備え、前記固定部26は、センサケース24、該センサケース24内に収容された、電子部品及び第1、第2の検出素子としてのホールIC43、44等を備える。該ホールIC43、44は、互いに180〔°〕隔てて配設され、ホールIC43、44間には、半割りされた扇形の形状を有し、軟質磁性材料から成るコア61、62が配設される。
【0021】
また、前記磁石35においては、第1の磁極部としてのN極部63と第2の磁極部としてのS極部64とがいずれも円周方向において180〔°〕の範囲にわたって形成され、前記N極部63及びホールIC43によって第1のセンサ部が、S極部64及びホールIC44によって第2のセンサ部が構成される。
【0022】
ところで、磁石35によって発生させられた磁束は、N極部63からS極部64に向けてコア61、62内を流れ、かつ、ホールIC43、44を通過するようになっていて、前記ホールIC43、44は、磁電変換機能を有し、通過する磁束の磁束密度を電圧値(ボルトの単位で表されたセンサ電圧)に変換し、出力する。この場合、ホールIC43、44において、磁束は、磁束の流れに対して実質的に直角の方向に形成された面、本実施の形態においては、コア61、62と対向する二つの面S1、S2において出入りするが、コア61、62と対向しない他の二つの面においては、磁束の出入りはない。なお、前記面S1、S2によって、磁束が通過する磁束通過面が、他の二つの面によって、磁束が通過しない非磁束通過面が構成される。
【0023】
ところで、前記ポジションセンサ14は、前記シフトレバー21の操作量を表す前記回転部25の回動角、すなわち、ポジションセンサ角度θ(度の単位で表された回動角)を非接触で検出することによって、シフトレバー21の操作量に対応して変化する連続的な一つのアナログ信号、すなわち、シフトポジション検出信号を、センサ出力、本実施の形態においては、電圧値として発生させ、出力する。
【0024】
その場合、ポジションセンサ14は線形(リニア)の入出力特性を有し、運転者によるシフトレバー21の操作に基づいて、入力側のポジションセンサ角度θの変化(増減移動)に対応して線形に、かつ、連続して変化する電圧値を発生させる。なお、第1のセンサ部においては、図5のラインLN1で示されるように、ポジションセンサ角度θが大きくなるのに従って電圧値が連続的に大きくなり、ポジションセンサ角度θが小さくなるのに従って電圧値が連続的に小さくなる第1の入出力特性を有し、第2のセンサ部においては、図5のラインLN2で示されるように、ポジションセンサ角度θが大きくなるのに従って電圧値が連続的に小さくなり、ポジションセンサ角度θが小さくなるのに従って電圧値が連続的に大きくなる第2の入出力特性を有し、第1、第2の入出力特性に基づいて、ホールIC43、44のフェールを検出することができる。
【0025】
本実施の形態におけるポジション判断装置11が適用された自動変速機においては、前記シフトレバー21を操作することによって、前述されたように、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ、4速レンジ、3速レンジ及び2速レンジの各レンジが設定され、各レンジに対応させてそれぞれ、ポジションセンサ14のポジションセンサ角度θ及び電圧値があらかじめ設定され、各電圧値によって、シフト位置を判断し、レンジを判断するための基準となる判断基準値としての閾(しきい)値が表される。
【0026】
そして、シフトレバー21が操作され、ガイド22に沿って回動させられると、コントロールワイヤ19及びアウタレバー18を介してマニュアルシャフト13が回動させられる。該マニュアルシャフト13の回動によって、ディテント31がマニュアルシャフト13の回動と一体的に回動させられる。また、ディテント31と連結されたバルブスプール33が、マニュアルシャフト13の回動の変位に対応させて切り換えられ、2レンジ圧、3レンジ圧、4レンジ圧、Dレンジ圧及びRレンジ圧等のレンジ圧を発生させる。
【0027】
そして、シフトレバー21が、ガイド22に表示され、各レンジを表す文字P、R、N、D、4、3及び2の位置のいずれか一つの位置に選択的に置かれると、バルブスプール33が前記位置に対応させてあらかじめ設定されたバルブ位置に移動し、マニュアルバルブ32が選択的に設定された油圧発生位置に設定され、自動変速機が前記油圧発生位置に対応するレンジに設定される。そして、レンジが設定されると、マニュアルシャフト13の回動がディテント31によって阻止されて、シフトレバー21が前記シフト位置に保持される。
【0028】
また、マニュアルシャフト13の回動によって、ポジションセンサ14が回動し、ポジションセンサ角度θに対応した電圧値を発生させ、自動変速機制御装置に対して出力する。自動変速機制御装置は、ポジションセンサ14から電圧値を受けると、該電圧値を前記閾値と比較して、選択されたレンジを判断し、判断結果に基づいて制御装置ケース16外の関係する前記各被制御装置に対して制御信号をコネクタ17の対応する端子から出力する。
【0029】
これにより、自動変速機制御装置の指示に基づいて、自動変速機制御、エンジン制御、インジケータ制御等の各種の制御を行うことができる。
【0030】
ところで、駆動源としてのエンジンを始動するためのパワーライン等の電流供給ライン(電動駆動装置においては、駆動源としての駆動モータを駆動するためのバスバー等)に電流が流れると、電流供給ラインの周囲に磁界が発生する。そして、該磁界が前記ホールIC43、44に影響を及ぼすと、該ホールIC43、44の電圧値に誤差が発生したり、ホールIC43、44の性能が低下したりする。
【0031】
特に、前記自動変速機はエンジンに近接して配設されるので、自動変速機に配設されたポジション判断装置11とエンジンを始動するためのスタータモータとが近接することになる。その結果、スタータモータに電流を供給するためのパワーラインによって発生させられた磁界がホールIC43、44に影響を及ぼす可能性が高い。
【0032】
そこで、電流供給ラインの用途によって想定される最大の電流が流れたときに発生させられる磁界の強度に基づいて、ホールIC43、44の電圧値に誤差が発生したり、ホールIC43、44の性能が低下したりする影響がホールIC43、44に及ぶ領域を算出し、該領域を強磁界発生領域として設定するようにしている。
【0033】
図6は本発明の第1の実施の形態における強磁界発生領域を示す第1の図、図7は本発明の第1の実施の形態における強磁界発生領域を示す第2の図である。なお、図6は、図11に示されるように、ホールIC43、44の面S1(図4)、S2と平行に、かつ、各ホールIC43、44の上方に延在する際に形成される強磁界発生領域AR1、及びホールIC43、44の面S1、S2と平行に、かつ、各ホールIC43、44の下方に延在する際に形成される強磁界発生領域AR2を示す。また、図7は、図12に示されるように、ホールIC43、44の面S1、S2に対して直角の方向に、かつ、ホールIC43、44の前方に延在する際に形成される強磁界発生領域AR3、AR4、及びホールIC43、44の面S1、S2に対して直角の方向に、かつ、ホールIC43、44の後方に延在する際に形成される強磁界発生領域AR3、AR4を示す。
【0034】
図において、12はケース、13はマニュアルシャフト、16は制御装置ケース、17はコネクタ、43、44はホールICである。
【0035】
前述されたように、ホールIC43、44の面S1、S2は、磁束の流れに対して実質的に直角の方向に配設された場合に磁束が出入りし、磁界による影響を受ける。したがって、図6に示されるように、垂直方向においてホールIC43、44の上方及び下方に強磁界発生領域AR1、AR2が設定され、図7に示されるように、水平方向においてホールIC43、44の前方(図において下方)に強磁界発生領域AR3、AR4が、水平方向においてホールIC43、44の後方(図において上方)に強磁界発生領域AR5、AR6が設定される。なお、強磁界発生領域AR1〜AR6の半径は、電流供給ラインを流れると想定される最大の電流に対応させて、電流値に比例するように設定される。
【0036】
そして、電流供給ラインは、いずれかの強磁界発生領域AR1〜AR6を通過する場合に、ホールIC43、44に影響が加わらないように、磁束の出入りを抑制するように配設される。
【0037】
図1は本発明の第1の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す平面図、図8は本発明の第1の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す正面図、図9は本発明の第1の実施の形態における電流供給ラインの移動可能範囲を示す平面図、図10は本発明の第1の実施の形態における電流供給ラインの移動可能範囲を示す正面図である。
【0038】
図において、12はケース、13はマニュアルシャフト、16は制御装置ケース、17はコネクタ、24はセンサケース、43、44はホールIC、71は電流供給ラインである。該電流供給ライン71を電流が矢印I方向に流れると、矢印H方向に磁界が発生する。
【0039】
この場合、電流供給ライン71は強磁界発生領域AR1(図6)、AR5(図7)、AR6を通過して配設されるので、磁束の出入りを抑制する措置が電流供給ライン71に施される。すなわち、前記強磁界発生領域AR1、AR5、AR6内において、電流供給ライン71はホールIC43、44の面S1(図4)、S2に対してほぼ直角の方向に延在させられる。したがって、矢印H方向に磁界が発生したことによって形成される磁束は、面S1、S2と平行な方向に流れる。
【0040】
その結果、電流供給ライン71によって発生させられた磁界が、面S1、S2を通過するのが抑制されるので、ホールIC43、44に影響を及ぼすのを抑制することができ、ホールIC43、44の電圧値に誤差が発生したり、ホールIC43、44の性能が低下したりするのを防止することができる。
【0041】
この場合、電流供給ライン71が前記面S1、S2に対してほぼ直角に配設されるようになっているが、本実施の形態において、「ほぼ直角」の語は、実質的に直角であることを表していて、製造誤差、測定誤差等の範囲を含む。なお、磁界の発生に伴ってホールIC43、44に電圧値に発生する誤差が無視することができる範囲内のものである場合に、電流供給ライン71の面S1、S2に対する角度を「ほぼ直角」ということもできる。
【0042】
また、磁界の影響を受けにくいように、ホールIC43、44を金属製の筐体から成る磁気シールドで覆う必要がないので、ポジション判断装置11を小型化することができるだけでなく、ポジション判断装置11のコストを低くすることができる。
【0043】
なお、この場合、水平方向において電流供給ライン71を矢印E方向に移動させたり、垂直方向において電流供給ライン71を矢印F方向に移動させたりしても、電流供給ライン71によって発生させられた磁界がホールIC43、44に影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0044】
ところで、前記強磁界発生領域AR1〜AR6内において、電流供給ライン71がホールIC43、44の面S1、S2に対して平行な方向に延在させられる場合には、磁界が発生したことによって形成される磁束は、面S1、S2に対して直角の方向に流れる。
【0045】
図11は電流供給ラインの配設状態を示す第1の比較図、図12は電流供給ラインの配設状態を示す第2の比較図である。
【0046】
図において、12はケース、13はマニュアルシャフト、16は制御装置ケース、17はコネクタ、24はセンサケース、43、44はホールIC、71は電流供給ラインである。該電流供給ライン71を電流が矢印I方向に流れると、矢印H方向に磁界が発生する。
【0047】
この場合、電流供給ライン71は、図11において強磁界発生領域AR1(図6)、AR3(図7)〜AR6を、図12において強磁界発生領域AR2〜AR4を通過して配設されるので、磁束の出入りを抑制する措置が電流供給ライン71に施す必要がある。ところが、前記強磁界発生領域AR1、AR3〜AR6内において、電流供給ライン71はホールIC43、44の面S1(図4)、S2と平行な方向に延在させられる。したがって、矢印H方向に磁界が発生したことによって形成される磁束は、面S1、S2に対して直角の方向に流れる。その結果、電流供給ライン71によって発生させられた磁界がホールIC43、44に影響を及ぼしてしまう。
【0048】
そこで、電流供給ライン71がホールIC43、44の面S1、S2と平行な方向に延在させられる際に、ホールIC43、44に影響が加わらないようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0049】
図13は本発明の第2の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す平面図、図14は本発明の第2の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す正面図である。
【0050】
この場合、電流供給ライン71は、図13において強磁界発生領域AR1(図6)、AR3(図7)〜AR6を、図14において強磁界発生領域AR2〜AR4を通過して配設されるので、磁束の出入りを抑制する措置を電流供給ライン71に施す必要がある。そこで、前記電流供給ライン71に隣接させて他の電流供給ライン72を配設し、電流供給ライン71に矢印I方向に電流を流すのに対して、電流供給ライン72に逆の方向、すなわち、矢印J方向に電流を流す。その結果、電流供給ライン71、72の周囲に互いに逆の方向に磁界が発生させられ、電流供給ライン71、72によって発生させられる磁界が相殺される。
【0051】
このように、電流供給ライン71、72がホールIC43、44の面S1(図4)、S2と平行な方向に延在させられるが、電流供給ライン71、72によって発生させられた磁界が相殺されるので、磁束が面S1、S2に対して直角の方向に流れることはない。
【0052】
したがって、電流供給ライン71、72によって発生させられた磁界がホールIC43、44に影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0054】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ポジション判断装置においては、エンジンに近接して配設された自動変速機を収容するケースの外側に取り付けられた制御装置ケースと、該制御装置ケース内において回動自在に配設された回転部と、前記制御装置ケース内において前記回転部を中心にして互いに180〔°〕隔てて配設されて第1、第2の検出素子を構成し、磁束が通過する磁束通過面、及び磁束が通過しない非磁束通過面を備えたホールICと、該各ホールICの出力に基づいてシフト操作部材が置かれた位置を判断する自動変速機制御装置と、電流が流れることによって磁界を発生させる電流供給ラインとを有する。
【0055】
そして、該電流供給ラインは、前記二つのホールICに対応させて設定され、ホールICの出力に誤差が発生したり、ホールICの性能が低下したりする影響が及ぶ強磁界発生領域内において、前記磁界が発生することによって形成された磁束が前記磁束通過面を通過するのを抑制するように、該磁束通過面に対してほぼ直角の方向に延在させて配設される。
【0056】
この場合、電流供給ラインは、前記ホールICに対応させて設定され、ホールICの出力に誤差が発生したり、ホールICの性能が低下したりする影響が及ぶ強磁界発生領域内において、前記磁界が発生することによって形成された磁束が前記磁束通過面を通過するのを抑制するように、該磁束通過面に対してほぼ直角の方向に延在させて配設される。
【0057】
したがって、電流供給ラインによって発生させられた磁界がホールICに影響を及ぼすのを抑制することができ、ホールICの出力に誤差が発生したり、ホールICの性能が低下したりするのを防止することができる。
【0058】
また、磁界の影響を受けにくいように、ホールICを金属製の筐体から成る磁気シールドで覆う必要がないので、ポジション判断装置を小型化することができるだけでなく、ポジション判断装置のコストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す平面図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態におけるポジション判断装置の動作を示す図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態におけるポジション判断装置の要部を示す縦断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態におけるポジション判断装置の要部を示す横断面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態におけるポジションセンサの入出力特性を示す図である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態における強磁界発生領域を示す第1の図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態における強磁界発生領域を示す第2の図である。
【図8】 第1の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す正面図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態における電流供給ラインの移動可能範囲を示す平面図である。
【図10】 本発明の第1の実施の形態における電流供給ラインの移動可能範囲を示す正面図である。
【図11】 電流供給ラインの配設状態を示す第1の比較図である。
【図12】 電流供給ラインの配設状態を示す第2の比較図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す平面図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態における電流供給ラインの配設状態を示す正面図である。
【符号の説明】
11 ポジション判断装置
21 シフトレバー
43、44 ホールIC
71、72 電流供給ライン
AR1〜AR6 強磁界発生領域
S1、S2 面

Claims (5)

  1. エンジンに近接して配設された自動変速機を収容するケースの外側に取り付けられた制御装置ケースと、該制御装置ケース内において回動自在に配設された回転部と、前記制御装置ケース内において前記回転部を中心にして互いに180〔°〕隔てて配設されて第1、第2の検出素子を構成し、磁束が通過する磁束通過面、及び磁束が通過しない非磁束通過面を備えたホールICと、該各ホールICの出力に基づいてシフト操作部材が置かれた位置を判断する自動変速機制御装置と、電流が流れることによって磁界を発生させる電流供給ラインとを有するとともに、該電流供給ラインは、前記二つのホールICに対応させて設定され、ホールICの出力に誤差が発生したり、ホールICの性能が低下したりする影響が及ぶ磁界発生領域内において、前記磁界が発生することによって形成された磁束が前記磁束通過面を通過するのを抑制するように、該磁束通過面に対してほぼ直角の方向に延在させて配設されることを特徴とするポジション判断装置。
  2. 前記回転部及びホールICによって構成されたポジションセンサは線形の入出力特性を有し、前記各ホールICは、シフト操作部材の操作に基づいて、前記回転部のポジションセンサ角度が変化したときに、ポジションセンサ角度の変化に対応させて、線形に、かつ、連続して変化する電圧値を発生させるとともに、該電圧値に基づいてシフト操作部材の位置が検出され、前記入出力特性に基づいてホールICのフエールが検出される請求項1に記載のポジション判断装置。
  3. 前記電流供給ラインに隣接させて他の電流供給ラインが配設され、各電流供給ラインに互いに逆の方向に電流が流される請求項1又は2に記載のポジション判断装置
  4. 前記強磁界発生領域は電流供給ラインを流れる電流に対応させて設定される請求項1〜3のいずれか1項に記載のポジション判断装置
  5. 記電流供給ラインには、エンジンを駆動するための電流が流れる請求項1〜4のいずれか1項に記載のポジション判断装置
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