JP4300743B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素を利用したグルコースの酸化反応により電子を取り出し、電気エネルギーを得る燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
グルコースを燃料とした燃料電池としては以下のような構成が公知である。
【0003】
New J. Chem., pp481-487 (1999) では、E. Katzらにより補酵素のフラビンアデニンジヌクレオチドりん酸(FAD)を用いた方法が開示されている。グルコースを酸化するアノード電極は金電極であり、金電極表面にアミノチオールを介してピロロキノリンキノン(PQQ)が修飾されており、更にFADが修飾されている。FADにはアポグルコースオキシダーゼが取り囲んでおり、このアポグルコースオキシダーゼによりグルコースが酸化される。この時放出された電子はFAD,PQQを介して金電極に達し、系外に取り出される。公知例p.485に記載のTable1によればグルコースを燃料とした場合の回路電圧は0.31V であり、ショート状態での電流密度は114μA/cm2 である。尚、この際の酸化剤は過酸化水素であり、カソード,アノード間はガラスフリットで分割されている。
【0004】
更にE. Katz らは、酸化剤であるカソード電極での反応物質に、前述の過酸化水素に代わり酸素を用いた場合の燃料電池を、Journal of Electroanalytical Chemistry, 479, pp.64-68, (1999)で開示している。この場合、先の公知例と同様に燃料はグルコースである。アノード電極に固定化して、グルコースを酸化する酵素はグルコースオキシダーゼであり、グルコースオキシダーゼと金電極との間にはFAD,PQQが介在している。カソード電極は金電極であり、その表面にチトクロムC、およびチトクロムオキシダーゼが修飾されている。チトクロムオキシダーゼ上で電解質溶液中の溶存酸素が還元されるが、その電子は金電極よりチトクロムcを介してチトクロムオキシダーゼに供給される。本公知例ではグルコースと、電解質溶液中の溶存酸素を電極反応させて電気エネルギーを取り出す燃料電池である。
【0005】
A. HellerらはJ. Am. Chem. Soc.,123, pp.8630-8631(2001)で、グルコースを燃料にした燃料電池を開示している。グルコース酸化反応には酵素のグルコースオキシダーゼを用い、グルコースオキシダーゼとカーボンファイバー電極に間に電子授受のメディエーターとしてオスミウム錯体を用いている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のグルコースを燃料とした燃料電池技術としては、上記従来技術に示した技術があるが、上記技術の電池で得られる電圧は0.4V 以下であり、非常に低い電圧しか得られない。一般に、電流密度は電極の表面積を大きくしたり、燃料の濃度を高めたりすることで、見かけの面積に対する電流密度を大きくすることが可能であり、実効的な取り出し可能な電流値は大きくすることが可能である。しかし、電圧はアノード,カソードで起こる反応で決まる値であり、熱力学的に決定されてしまう値である。燃料のグルコース酸化反応により取り出された電子が金やカーボン等の電極に伝えられるまでの経路での電圧降下ロスを小さくすることが、電池電圧を大きくする上で非常に重要である。これまでの公知の燃料電池では、グルコースから電極にいたる電子の経路が適正ではなく、電圧のロスが大きいという問題があった。
【0007】
グルコースを酸化するのは酵素であるが、その酵素から電極に電子を伝えるためのメディエーターにも問題があった。電池を長時間使用していると、酵素からメディエーターへの電子授受の効率が低下してくるという問題があった。すなわち、電池としてみると、初期の状態に比べ、長時間使用した電池では発電電力が低下してくるという問題である。
【0008】
カソード反応として電解質溶液中の溶存酸素の還元反応を起こさせる場合、電解質溶液中には適正な濃度の溶存酸素が必要である。しかし、この溶存酸素がアノード電極に作用した場合、アノード電極の電位を上昇させる(プラス側にシフトさせる)という問題があった。アノード電極の電位が上昇すると、電池の電圧が降下することになる。しかし、カソード反応では溶存酸素が必要であるため、電解質中の溶存酸素濃度を低くすることができず、ジレンマとなっていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の手段は以下の通りである。
【0010】
先ず、本発明の第1の手段は、グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、アノード電極,カソード電極および電解質溶液を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ,ジアフォラーゼがアノード電極表面に固定化されており、電解質溶液中にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、およびジアフォラーゼと電極との間の電子授受媒体となる電気化学メディエーターを、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池である。
【0011】
更に、第2の手段はグルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、アノード電極,カソード電極および電解質溶液を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ,ジアフォラーゼがアノード電極表面に固定化されており、電解質溶液中にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、およびアントラキノンまたはその誘導体を、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池である。
【0012】
また、本発明の第3の手段はグルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、アノード電極,カソード電極および電解質溶液を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ,ジアフォラーゼがアノード電極表面に固定化されており、電解質溶液中にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,アントラキノンまたはその誘導体を、少なくとも含み、アノード電極表面あるいは電解質溶液中にグルコースオキシダーゼまたはアスコルビン酸オキシダーゼを配したことを特徴とした燃料電池である。
【0013】
本発明第4の手段は、グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、グルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ、およびアントラキノンまたはその誘導体を少なくとも含み、前記アントラキノンまたはその誘導体の少なくとも一部が、高分子ビーズ表面に固定化された状態で燃料電池電解質水溶液中に分散されていることを特徴とした燃料電池である。
【0014】
本発明第5の手段はグルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、グルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ、およびアントラキノンまたはその誘導体を少なくとも含み、前記アントラキノンまたはその誘導体の少なくとも一部が、金属粒子表面に固定化された状態で燃料電池電解質水溶液中に分散されていることを特徴とした燃料電池である。
【0015】
本発明第6の手段は、グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、アノード電極,カソード電極および電解質溶液を有し、電解質溶液中にグルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ、および当該ジアフォラーゼと電極との間の電子授受媒体となる電気化学メディエーターを、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池である。
【0016】
本発明第7の手段はグルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、グルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼがアノード電極表面に固定化されており、更に電解質溶液中にアントラキノンまたはその誘導体を、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施する場合の形態について、具体例を示して説明する。
【0018】
我々が高い電池電圧を確保するために、グルコースと電極との間の電子授受を行う系の最適化を行った一例を、代表図として図1に示した。
【0019】
本発明の燃料電池は、アノード電極ではグルコースの酸化反応,カソード電極では酸素の還元反応が進行する電池である。この場合、アノード電極にはグルコースの酸化に必要な酵素,補酵素,電気化学メディーエーターが有効に作用し、グルコース酸化反応により放出された電子を系外に取り出す。カソードでは、酸素の還元反応に有効な白金等の貴金属電極、あるいは白金等の触媒能を有する微粒子を表面に担持したグラファイトのような導電性電極を用いる。
【0020】
先ず、アノード反応について記述する。
【0021】
グルコース酸化酵素としては、従来公知例にあるグルコースオキシダーゼではなく、グルコースデヒドロゲナーゼを用いた。更に、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを用い、更にジアフォラーゼを介して電気化学メディエーターのアントラキノンスルホン酸との酸化還元サイクルを構築した。
【0022】
上述のジアフォラーゼ,グルコースデヒドロゲザーゼはアノード電極表面に固定化されている。固定化の方法は、酵素を電極表面に固定化する一般的な公知の方法を用いて行う。例えば、電極基体に金電極を用い、金電極表面にアミノエタンチオールを単分子吸着させ、アミノ基修飾を施しておく。ビーカー内でジアフォラーゼ,グルコースデヒドロゲナーゼ,アルブミンを混合し、そこにグルタルアルデヒドを混合して前記酵素をグルタルアルデヒドで架橋させ、金基体電極表面に塗布することで行う。
【0023】
図1に示したように、グルコースから放出された電子の受け渡しに必要なニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,アントラキノンスルホン酸は前記酵素固定化膜内に浸透して機能する。
【0024】
次にカソード反応について記述する。
【0025】
白金のような触媒活性の高い電極表面上では、電解質溶液中の酸素は容易に還元され水になる反応が進行する。しかし、電解質溶液中に溶解してあるアントラキノンスルホン酸もまたカソード電極上で反応するため、反応電位の低下を招く。従って、アントラキノンスルホン酸がカソード電極表面に作用しないように工夫することが望ましい。例えば、酸素を選択的に透過するような膜をカソード電極表面に形成しておくと良い。図2では、その例としてポリジメチルシロキサンを用いた場合を図示した。
【0026】
電極材料としては白金だけではなく、例えば、白金微粒子を担持させたグラファイト電極を用いることもできる。
【0027】
次に電解質溶液について記述する。
【0028】
電解質溶液は中性の水溶液を用いる。pHの変動を小さくできる中性のバッファー水溶液が良い。例えば33mmol/Lりん酸バッファーに0.1mol/L硝酸カリウムを添加した、pH=7.0 のバッファーを用いる。この電解質水溶液中に燃料のグルコースと、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドと、電気化学メディーエーターのアントラキノンスルホン酸を添加して用いる。
【0029】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドとアントラキノンスルホン酸は、前述のように電解質溶液中に溶解させても良いが高分子ビーズのような基体に吸着させ、電解質溶液中に分散しても良い。
【0030】
酸素がアノード電極上に作用した場合、電圧の低下を招く。酸素がアノード基体の金電極表面に到達しないように、酸素を消費する酵素を電解質中に溶解させておくことで電圧の低下を回避することができる。酸素を消費する酵素としてはグルコースオキシダーゼ,アスコルビン酸オキシダーゼ等の酵素が適用できる。いわゆるオキシダーゼと称せられる酵素が適用可能である。グルコースオキシダーゼを用いた場合には、グルコースオキシダーゼでは燃料のグルコースを酸化し、その際、酸素を還元して消費する。アスコルビン酸オキシダーゼを用いる場合には、前記電解質溶液中に、更にアスコルビン酸を添加する。アスコルビン酸はアスコルビン酸オキシダーゼ上で酸化され、その際、酸素を還元して消費する。これらオキシダーゼ酵素の働きにより、電解質溶液中の酸素濃度を低下させ、アノード電位の上昇すなわち電池電圧の低下を回避することができる。
【0031】
しかし、酸素はカソード反応物資であるため、カソード電極表面では高濃度に存在してほしい。従って、上記オキシダーゼによる酸素消費反応は、アノード近傍でのみ進行していることが望ましく、その際にはオキシダーゼをアノード表面に固定化すると有効である。
【0032】
尚、アノード表面に固定化された酵素あるいは補酵素のグルコースデヒドロゲナーゼ,ジアフォラーゼ、さらにオキシダーゼ類が電解質中に溶出してくる可能性がある。電解質中にこれら酵素あるいは補酵素が含まれている場合もある。
【0033】
以上が本発明の燃料電池の構成の概要である。
【0034】
以下、本発明を実施する具体的実施例について記述する。
(実施例)
〔実施例1〕
ここでは、図1に示した電池を構築し、発電した。
【0035】
電池の構成をアノード電極,カソード電極,電解質の順に説明する。
【0036】
[アノード電極]
アノード電極としては金基体電極表面に、ジアフォラーゼとグルコースデヒドロゲナーゼを固定化した電極を用いた。電極表面へのこれら酵素・補酵素の固定化方法は以下の通りである。10wt%のアルブミン(BSA:Bovine Serum Albumin, CAS NUMBER =9048−46−8)と、10wt%のジアフォラーゼと、2.5vol%のグルコースデヒドロゲナーゼ溶液を3μLずつ採取し、混合した。その混合溶液中に更に2.5vol%グルタルアルデヒド溶液を3μL添加し、混合した。基体となる金板表面にはアミノエタンチオールを単分子吸着させ、金板表面をアミノ修飾しておく。前記混合溶液を、アミノ修飾した金板上に塗布する。混合溶液はゲル化してアミノ修飾した金板上に固定化される。このように、ジアフォラーゼとグルコースデヒドロゲナーゼを固定化した金板をアノード電極として用いた。
【0037】
[カソード電極]
カソード電極には白金板を用いた。
【0038】
[電解質]
電解質溶液は、33mmol/Lりん酸バッファーに0.1mol/L硝酸カリウムを添加した、pH=7.0のバッファーを用いた。この電解質水溶液中に5.0mmol/Lのグルコースと、1.0mmol/L のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドと、0.5mmol/Lのアントラキノンスルホン酸を添加した。
【0039】
[動作条件]
電池の温度は37℃とした。電極面積は、アノード電極の基体となる金板およびカソード電極の白金板、共に0.4cm2とした。雰囲気は大気解放で用いた。電解質容量は10mLとした。
【0040】
この条件での発電状態は、電圧0.48Vで、電流密度25μA/cm2という大きい電流を取り出すことができた。開路状態でのアノードとカソード間の電位差は0.80V と高く、公知例に比べ高い電圧が得られている。
【0041】
以上より、アノード電極反応にグルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ,アントラキノンスルホン酸の電子受け渡し経路を作用させ、グルコースから電子を取り出すという本実施例1の効果が確認できた。
【0042】
〔実施例2〕
本実施例では、カソード電極表面を酸素透過性のポリジメチルシロキサンで覆い、カソード表面へのアントラキノンスルホン酸の影響を低減させた場合についてその効果を確認した。
【0043】
電池構成で、アノード電極,電解質は実施例と同様である。
【0044】
[カソード電極]
カソード電極には、白金表面をポリジメチルシロキサンで覆った電極を用いた。
【0045】
また、動作条件も実施例1と同様である。
【0046】
この条件での発電状態は、電圧0.50Vで、電流密度25μA/cm2という、実施例1に比べて高い電圧で同じ電流を取り出すことが可能であった。
【0047】
以上より、アノード電極反応にグルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ,アントラキノンスルホン酸の電子受け渡し経路を作用させ、更に、カソード電極表面を酸素透過性の膜で覆い、カソードへのアントラキノン誘導体の作用を低減させ、グルコースから電子を取り出すという本実施例2の効果が確認できた。
【0048】
〔実施例3〕
実施例3では、アノード電極反応で、ジアフォラーゼと金電極の間の電子授受を媒介する電気化学メディエーターを、実施例1のアントラキノンスルホン酸から、メチルビオロゲンに変えた場合の実施例を示す。
【0049】
電池構成で、アノード電極とカソード電極は実施例1と同様である。
【0050】
[電解質]
電解質溶液は、33mmol/Lりん酸バッファーに0.1mol/L硝酸カリウムを添加した、pH=7.0のバッファーを用いた。この電解質水溶液中に5.0mmol/Lのグルコースと、1.0mmol/L のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドと、0.5mmol/Lのメチルビオロゲンを添加した。
【0051】
動作条件は実施例1と同様である。その結果、実施例1よりも低い電流値であったが発電は成功した。
【0052】
以上より、アノード電極反応にグルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ,メチルビオロゲンの電子受け渡し経路を作用させ、グルコースから電子を取り出すという本実施例3の効果が確認できた。
【0053】
〔実施例4〕
ここでは、アノード電極への酸素の作用を低減するため、酸素を消費させる酵素としてアスコルビン酸オキシダーゼを用いた例を説明する。
【0054】
[アノード電極]
アノード電極としては金基体電極表面に、ジアフォラーゼとグルコースデヒドロゲナーゼ、およびアスコルビン酸オキシダーゼを固定化した電極を用いた。電極表面へのこれら酵素・補酵素の固定化方法は基本的に実施例1と同様である。これら酵素・補酵素はグルタルアルデヒドと混合した際のゲル化反応を利用して固定している。基体としては、金板電極を用いた。
【0055】
カソード電極,電解質,作動条件は実施例1と同様である。
【0056】
以上の電池構成で、実施例1で示した電圧より高い電圧で発電できることがわかった。
【0057】
以上より、アノード電極反応にグルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ,アントラキノンスルホン酸の電子受け渡し経路を作用させ、更に、アノード電極への酸素の作用を低減させるためにオキシダーゼ酵素を添加した電池で、グルコースから電子を取り出すという本実施例4の効果が確認できた。
【0058】
〔実施例5〕
ここでは、電気化学メディーエーターのアントラキノンスルホン酸を高分子ビーズ表面に固定化した場合の実施例について説明する。
【0059】
アノード電極,カソード電極は実施例1と同様である。
【0060】
[電解質]
電解質溶液は、33mmol/Lりん酸バッファーに0.1mol/L硝酸カリウムを添加した、pH=7.0のバッファーを用いた。この電解質水溶液中に5.0mmol/Lのグルコースと、1.0mmol/L のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを溶解させた。更に、アントラキノンスルホン酸を高分子ビーズ表面に固定化した状態で、濃度として、アントラキノンスルホン酸が2mmol/Lになるように、電解質中に添加した。高分子ビーズの大きさとしては、約直径10nmであった。
【0061】
以上の電池構成で、実施例1で示した電池と同様な発電を達成できた。また、本実施例では、電子授受繰り返しに伴い失活したアントラキノンスルホン酸の交換を、高分子ビーズを用いることで簡便に行えるような効果を期待したものである。
【0062】
電解質溶液とビーズを電池より抜き取り、高分子ビーズのみを超遠心分離で取り除き、新たにアントラキノンスルホン酸を固定化したビーズと交換した。交換前、発電電流値が初期に比べ約10%低下していた。高分子ビーズを交換した結果、電池特性は回復した。
【0063】
以上より、アントラキノンスルホン酸を高分子ビーズに固定化し、交換することで、電解質中の高価なニコチンアミドアデニンジヌクレオチドはそのままで、アントラキノンスルホン酸のみを更新でき、電池寿命の長寿命化が達成できることがわかり、本実施例5の効果が確認できた。
【0064】
〔実施例6〕
ここでは、実施例5に示した、アントラキノンスルホン酸を固定化するビーズを高分子ビーズから金属微粒子に変えた場合の実施例を示す。
【0065】
直径10nmの高分子ビーズを、直径10nmの金微粒子に変えた以外は、全て実施例5と同様な系とした。その結果、実施例1で示した電池と同様な発電を達成できた。また、本実施例では、電子授受繰り返しに伴い失活したアントラキノンスルホン酸の交換を、金属微粒子を用いることで簡便に行えるような効果を期待したものである。
【0066】
電解質溶液と金微粒子を電池より抜き取り、金微粒子のみを超遠心分離で取り除き、新たにアントラキノンスルホン酸を固定化した金微粒子交換した。交換前、発電電流値が初期に比べ約10%低下していた。金微粒子を交換した結果、電池特性は回復した。
【0067】
以上より、アントラキノンスルホン酸を金属微粒子に固定化し、交換することで、電解質中の高価なニコチンアミドアデニンジヌクレオチドはそのままで、アントラキノンスルホン酸のみを更新でき、電池寿命の長寿命化が達成できることがわかり、本実施例6の効果が確認できた。
【0068】
〔実施例7〕
ここでは、グルコースデヒドロゲナーゼ,ジアフォラーゼをアノード電極表面に固定せず、電解質中に溶解させた場合について実施した実施例である。
【0069】
[アノード電極]
アノード電極は金板電極とした。
【0070】
[カソード電極]
カソード電極は白金板電極とした。
【0071】
[電解質]
電解質溶液は、33mmol/Lりん酸バッファーに0.1mol/L硝酸カリウムを添加した、pH=7.0のバッファーを用いた。この電解質水溶液中に5.0mmol/Lのグルコースと、1.0mmol/L のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドと、0.5mmol/Lのアントラキノンスルホン酸を添加した。更に、0.5mmol/Lのジアフォラーゼと0.5mmol/L のグルコースデヒドロゲナーゼを溶解させた。
【0072】
[動作条件]
電池の温度は37℃とした。電極面積は、アノード電極の基体となる金板およびカソード電極の白金板、共に0.4cm2とした。雰囲気は大気解放で用いた。電解質容量は10mLとした。
【0073】
以上の電池構成で発電は可能であった。しかし、実施例1に比べ電圧,電流共に小さく、また電池寿命も短いものであった。
【0074】
以上より、電解質中に以下の酵素・補酵素を溶解させた系においても、アノード電極反応にグルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ,アントラキノンスルホン酸の電子受け渡し経路を作用させ、グルコースから電子を取り出すという本実施例7の効果が確認できた。
【0075】
【発明の効果】
高い電圧で、大きな発電容量を示す電池を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な一実施例を示す電池の構成模式図である。
【図2】本発明の代表的な一実施例を示す電池の構成模式図である。

Claims (7)

  1. グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、アノード電極,カソード電極および電解質溶液を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ,ジアフォラーゼがアノード電極表面に固定化されており、電解質溶液中にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および当該ジアフォラーゼと電極との間の電子授受媒体となる電気化学メディエーターを、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池。
  2. グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、アノード電極,カソード電極および電解質溶液を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ,ジアフォラーゼがアノード電極表面に固定化されており、電解質溶液中にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、およびアントラキノンまたはその誘導体を、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池。
  3. 請求項2に記載の燃料電池において、アノード電極表面あるいは電解質溶液中にグルコースオキシダーゼまたはアスコルビン酸オキシダーゼを配したこと特徴とした燃料電池。
  4. グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、グルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ、およびアントラキノンまたはその誘導体を少なくとも含み、前記アントラキノンまたはその誘導体の少なくとも一部が、高分子ビーズ表面に固定化された状態で燃料電池電解質水溶液中に分散されていることを特徴とした燃料電池。
  5. グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、グルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ、およびアントラキノンまたはその誘導体を少なくとも含み、前記アントラキノンまたはその誘導体の少なくとも一部が、金属粒子表面に固定化された状態で燃料電池電解質水溶液中に分散されていることを特徴とした燃料電池。
  6. グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、アノード電極,カソード電極および電解質溶液を有し、電解質溶液中にグルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼ、および当該ジアフォラーゼと電極との間の電子授受媒体となる電気化学メディエーターを、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池。
  7. グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池において、グルコースデヒドロゲナーゼ,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド,ジアフォラーゼがアノード電極表面に固定化されており、更に電解質溶液中にアントラキノンまたはその誘導体を、少なくとも含むことを特徴とした燃料電池。
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