JP4300566B2 - 多孔質基材用プライマー及び多孔質基材のプライマー処理方法 - Google Patents

多孔質基材用プライマー及び多孔質基材のプライマー処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質基材用プライマー及び多孔質基材のプライマー処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔質基材として、石綿及び無石綿スレート板、硅酸カルシウム板、石膏系無機質板等の無機系基材、木材、紙、不織布、織物、プラスチックフォーム等の有機系基材等、種々のものがある。無機系基材は、多孔質で脆く、表面は粉状に取れ易く、また塩基性物質であるため被塗面にアルカリ物質が溶解、溶出しやすい特性がある。一方、有機系基材は、軟らかく柔軟性があり、釘や接着剤等により容易に接合させることができる反面、機械的強度は弱いという特性がある。
【0003】
これらの多孔質基材にプライマー処理なしで塗装すると、無機系基材の場合は、塗膜が養生テープ除去時や経時での水侵入又は凍結融解で剥がれたり、更には、塗膜表面が基材中のアルカリ物質の溶解、溶出等による白化現象で、塗膜外観を著しく損ったりする。一方、有機系基材の場合は、基材自身が吸湿・乾燥することにより、基材の膨潤・収縮が起こり、このため塗膜が物理変化に追従できずに剥がれることがある。
【0004】
このため、多孔質基材の下地処理としてのプライマーの検討がなされている。例えば、特開平6−92756号公報では、乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマーの水乳化液を無機系多孔質基材の下地処理に用いている。また、特開平11−76929号公報では、低粘度のプライマーを木材に含浸させた後、塗装する技術が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の水に乳化させたポリイソシアネートのポットライフは不十分であり、使用する度に水乳化液を調製する必要があった。また、無溶剤では粘度が高く多孔質基材への含浸性が悪いものであった。一方、有機溶剤で希釈したものは、大気を汚染するばかりでなく、塗装作業者の人体にも悪影響を及ぼし、更には火災の危険性もあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、大気汚染を防止し、作業性の向上を図るとともに有機溶剤を使用することなく十分な含浸性を備えた多孔質基材用プライマー、及び多孔質基材のプライマー処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、脂肪族ジイソシアネートから合成されるアロファネート変性ポリイソシアネートを用いた多孔質基材用プライマーが、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)に示されるものである。
(1) 実質的に有機溶剤及び有機ジイソシアネートを含有せず、25℃の粘度が500mPa・s以下の多孔質基材用プライマーであって、該プライマーが脂肪族ジイソシアネートから、アロファネート化触媒としてカルボン酸ジルコニウム塩を用いて合成されるアロファネート変性ポリイソシアネート(A)、および脂肪族ジイソシアネートから合成される非自己乳化性イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(B)を含有することを特徴とする、前記多孔質基材用プライマー。
【0009】
(2) 実質的に有機溶剤及び有機ジイソシアネートを含有せず、25℃の粘度が500mPa・s以下の多孔質基材用プライマーであって、該プライマーが脂肪族ジイソシアネートから、アロファネート化触媒としてカルボン酸ジルコニウム塩を用いて合成されるアロファネート変性ポリイソシアネート(A)、および脂肪族ジイソシアネートから合成される自己乳化性ポリイソシアネート(C)を含有することを特徴とする、前記多孔質基材用プライマー。
【0010】
(3)脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、前記(1)、(2)の多孔質基材用プライマー。
【0011】
(4)前記(1)〜(3)の多孔質基材用プライマーを多孔質基材に塗布することを特徴とする、多孔質基材のプライマー処理方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のプライマーは、実質的に有機溶剤及び有機ジイソシアネートを含有しないものである。有機溶剤や有機ジイソシアネート(特に脂肪族ジイソシアネート)を実質的に含有する場合は、プライマー処理時において、大気汚染や臭気の問題が起きやすい。なお「実質的に有機溶剤及び有機ジイソシアネートを含有しない」とは、有機溶剤及び有機ジイソシアネートの各々の含有量が1質量%未満であるということが好ましい。
【0015】
本発明のプライマーの25℃の粘度は、500mPa・s以下である。25℃の粘度が500mPa・sを越える場合は、そのままの状態では塗布しにくくなるので、有機溶剤による希釈や、加熱による粘度低下工程が必要になる。また、500mPa・sを超えるプライマーを木材に用いると、プライマーの木材への含浸が少なくなり、ポリウレア被膜剥離時に木材の破壊が起こりやすくなる。
【0016】
本発明のプライマーは、脂肪族ジイソシアネートから合成されるアロファネート変性ポリイソシアネート(A)を含有することを特徴とする。(A)の製造方法は、特に制限はなく、脂肪族ジイソシアネートと水酸基含有化合物を反応させて得られたイソシアネート基末端プレポリマーにアロファネート化触媒の存在下でアロファネート化反応を行い、所定の段階で触媒毒を添加して反応を停止させる。その後、未反応の脂肪族ジイソシアネートを除去して得られる。アロファネート化反応の際、アロファネート化触媒としてカルボン酸ジルコニウム塩を用いると、アロファネート化反応時における副反応(ウレトジオン化反応やイソシアヌレート化反応等)が少なく、得られるポリイソシアネートの粘度が低くなるので好ましい。
【0017】
前記水酸基含有化合物としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等の低分子モノオール類、これらを開始剤として、エチレンオキサイドやプロピレノキサイド等のアルキレンオキサイドやε−カプロラクトンやγ−バレロラクトン等の低分子環状エステルを開環付加させたポリエーテルモノオールやポリエステルモノオール類、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−n−ヘキサデカン−1,2−エチレングリコール、2−n−エイコサン−1,2−エチレングリコール、2−n−オクタコサン−1,2−エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、あるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、前記低分子ポリオール類、後述する低分子ポリアミン類や低分子アミノアルコール類を開始剤として、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等の環状低分子エーテルを付加させて得られるポリエーテルポリオール類、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類や低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε−カプロラクトンやγ−バレロラクトン等の低分子環状エステルを付加させて得られるポリエステルポリオール類、低分子ポリオールとコハク酸、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸との縮重合で得られるポリエステルポリオール類等が挙げられる。本発明では、炭素数1〜5の脂肪族低分子モノオールが、(A)の粘度が低いものとなるので好ましい。
【0018】
本発明のプライマーは、前述の(A)を必須成分として、更に脂肪族ジイソシアネートから合成される非自己乳化性イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(B)、又は脂肪族ジイソシアネートから合成される自己乳化性ポリイソシアネート(C)を含有するもの、すなわち(A)及び(B)の混合物、又は(A)及び(C)の混合物とすると、塗膜の強度・耐候性等の向上や、水性化が達成されるので好ましくなる。なお「自己乳化性」とは、分散剤を用いることなくポリイソシアネート単独でで水に乳化する性能があるということであり、「非自己乳化性」とは、それ単独では水に分散する性能がないということである。
【0019】
(A)の好ましいイソシアネート含量は、10〜25質量%である。また、好ましい粘度は、25℃で300mPa・s以下である。
【0020】
(B)は、公知の方法で得られるものであり、脂肪族ジイソシアネート、又は脂肪族ジイソシアネートと活性水素基含有化合物を反応させて得られたイソシアネート基末端プレポリマーにイソシアヌレート化触媒の存在下でイソシアヌレート化反応を行い、所定の段階で触媒毒を添加して反応を停止させる。その後、未反応の脂肪族ジイソシアネートを除去して得られる。
【0021】
前記活性水素基含有化合物とは、前記の水酸基含有化合物の他、、テトラメチレン字アミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール等が挙げられる。本発明では、側鎖アルキル基を有し、炭素数3〜10の脂肪族ジオール類が好ましい。
【0022】
(B)の好ましいイソシアネート含量は、10〜25質量%である。また、好ましい粘度は、25℃で3,000mPa・s以下である。
【0023】
(C)は、公知の反応で得られるものであり、好ましくは脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートに活性水素基及びノニオン性親水基含有化合物を反応させて得られるであり、特に好ましくは前述の(B)に活性水素基及びノニオン性親水基含有化合物を反応させて得られるものである。なお、「脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート」とは、(B)の他に脂肪族ジイソシアネートのウレタン変性体、ビウレット変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体等を総括する概念である。
【0024】
前記活性水素基及びノニオン性親水基含有化合物を反応させて得られるものとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アニリン、トリメチロールプロパン、グリセリン等を開始剤として、エチレンオキサイドを有するアルキレンオキサイドを付加させて得られるポリエーテル類が挙げられる。本発明では、炭素数1〜5の低分子モノオールを開始剤として、エチレンオキサイドを付加させて得られるポリエーテルモノオールが好ましい。
【0025】
(C)の好ましいイソシアネート含量は、10〜25質量%である。また、好ましい粘度は、25℃で3,000mPa・s以下である。
【0026】
(A)と、(B)又は(C)の混合比は、質量比で(A):(B)又は(C)=2/8〜10/0が好ましく、特に3/7〜9/1が好ましい。
【0027】
(A)〜(C)における脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等が挙げられる。本発明で好ましい脂肪族ジイソシアネートはHDIである。
【0028】
本発明の多孔質基材のプライマー処理方法は、多孔質基材をプライマー処理するに際し、前述の多孔質用プライマーを多孔質基材に塗布することを特徴とするものである。
【0029】
本発明に用いられる多孔質基材用プライマーは、前述に記載されたものである。このプライマーは、実質的に有機溶剤を含まないにもかかわらず、粘度が25℃で500mPa・s以下と従来のものよりかなり低いものである。このため、大気汚染等の問題が少ない。また、自己乳化性ポリイソシアネート(C)を用いる場合は、水中に乳化して使用してもよい。この場合において、粘度が低いので乳化工程が容易であり、かつ乳化前より粘度が更に低くなるので、細かい孔まで目止めできる。
【0030】
アロファネート変性ポリイソシアネート(A)及び自己乳化性ポリイソシアネート(C)の混合物(AC混合物と略称する)の水乳化液を用いる場合、AC混合物に対して0.5〜7倍の量(質量比)の水で乳化することが好ましく、特に1〜5倍が好ましい。乳化後は、水とイソシアネート基が反応して、イソシアネート基が消失するので、乳化してから12時間以内に使い切るのがが好ましい。なお、(C)単独では、水乳化後の可使時間は通常5〜7時間程度であるが、AC混合物の水乳化後の可使時間は、10〜15時間と大幅に延びることが判明した。
【0031】
また、AC混合物と、アロファネート変性ポリイソシアネート(A)及び非自己乳化性ポリイソシアネート(B)の混合物(AB混合物と略称する)をそのままプライマー処理に用いた場合、AC混合物のほうが速く硬化するので好ましい。これは、AC混合物には親水基が導入されているので、大気中の水分を素早く取り込めるためと考えられる。
【0032】
プライマーの塗布方法は、刷毛塗り、スプレー塗り、スポンジロールコーター塗り等、通常塗料を塗布する方法が可能である。また、希釈や乳化しないで塗布する場合は、カーテンフローコーターによる塗布も適用できる。
【0033】
プライマーの塗布量は固形分換算で、1m2 当り10〜200g程度が好ましい。この塗布量が、1m2 当り10g未満では強化の効果がなく、逆に200gを越えると、プライマーが流れたり含浸、浸透できずに表面に残り、硬化が遅くなり中塗り塗料や上塗り塗料の塗装に支障を来たすことになることがある。
【0034】
塗布後のプライマーの乾燥方法は、多孔質基材を塗布する前に、基材をプレヒートしてから塗布してもよく、基材を塗布後、加熱乾燥してもよい。又、その両方でもよく、常温のまま乾燥してもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、大気汚染を防止し、作業性の向上を図るとともに塗膜の密着性等に優れた多孔質基材用のプライマー、及び多孔質基材のプライマー処理方法を提供することが可能となった。特に、本発明のプライマーは、有機系の多孔質基材にも適用可能である。
【0036】
【実施例】
本発明について、実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例において「%」は「質量%」を意味する。
【0037】
〔アロファネート変性ポリイソシアネートの製造〕
製造例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:2,000mlの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート975gとメタノール25gを90℃で2時間反応させた。次いで、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム0.2gを加えて110℃で3時間反応させた。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は42.1%であった。この反応生成物を130℃×0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、ポリイソシアネートP−1を得た。結果を表1に示す。P−1をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は確認されず、アロファネート基が確認された。
【0038】
製造例2、3
表1に示す原料を用いる以外は、製造例1と同様にしてポリイソシアネートP−2を得た。結果を表1に示す。P−2をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は確認されず、アロファネート基が確認された。
【0039】
〔非自己乳化性イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの製造〕
製造例4
製造例1と同様な装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート999gと1,3−ブタンジオール1gを90℃で2時間反応させた。次いで、カプリン酸カリウムを0.2g加えて50℃で3時間反応させた。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は43.5%であった。この反応生成物を130℃×0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、ポリイソシアネートP−3を得た。結果を表1に示す。P−3をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基、イソシアヌレート基が確認された。
【0040】
製造例5
表1に示す原料を用いる以外は、製造例3と同様にしてポリイソシアネートP−4を得た。結果を表1に示す。P−4をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基、イソシアヌレート基が確認された。
【0041】
【表1】
Figure 0004300566
【0042】
〔自己乳化性イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの製造〕
製造例6〜8
製造例1と同様な装置に、表2に示す原料を仕込み、90℃で3時間ウレタン化反応させて、ポリイソシアネートP−6〜8を得た。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0004300566
【0044】
表1、2において
HDI :ヘキサメチレンジイソシアネート
Me−PEG:メタノールにエチレンオキサイドを付加させたポリエーテルモノオール
数平均分子量=400
【0045】
〔多孔質基材用プライマーの配合〕
実施例1〜14、比較例1〜4
表3〜5に示す割合でポリイソシアネートを混合又はそのまま用いて、多孔質基材用プライマーを調製した。
【0046】
【表3】
Figure 0004300566
【0047】
【表4】
Figure 0004300566
【0048】
【表5】
Figure 0004300566
【0049】
〔木材への適用評価〕
実施例15〜28、比較例7〜12
ラワン板の表面に、前述の調製した多孔質基材用プライマーを塗布量:20g/m2 (ドライ)になるように刷毛塗りし、常温で30分放置した。その後、バーノック13−438(大日本インキ化学工業製アルキド樹脂)とコロネートL(日本ポリウレタン工業製芳香族系ポリイソシアネート)をイソシアネート基と水酸基との比が当量になるように混合して、固形分50%になるように酢酸ブチルで希釈して、塗布量:100g/m2 (ウエット)になるように刷毛塗りし、常温で7日間静置して、塗装サンプルを得た。結果を表6〜8に示す。
【0050】
〔ケイ酸カルシウム板への適用評価〕
実施例29〜35、比較例13〜15
プライマーを水に、プライマー/水=1/4(質量比)の割合で配合・乳化させてから、塗布量:100g/m2 (ウエット)になるように刷毛塗りし、常温で30分放置してから熱風乾燥機にて60℃で10分間乾燥させた。その後、アクリディックA−801(大日本インキ化学工業製アクリルポリオール)とコロネートHX(日本ポリウレタン工業製脂肪族系ポリイソシアネート)をイソシアネート基と水酸基との比が当量になるように混合して、固形分45%になるように酢酸ブチルで希釈して、塗布量:100g/m2 (ウエット)になるように刷毛塗りし、常温で7日間静置して、塗装サンプルを得た。結果を表9〜10に示す。
※バーノック :大日本インキ化学工業株式会社の登録商標
※アクリディック:大日本インキ化学工業株式会社の登録商標
※コロネート :日本ポリウレタン工業株式会社の登録商標
【0051】
評価項目及び評価は以下の通り。
Figure 0004300566
【0052】
【表6】
Figure 0004300566
【0053】
【表7】
Figure 0004300566
【0054】
【表8】
Figure 0004300566
【0055】
【表9】
Figure 0004300566
【0056】
【表10】
Figure 0004300566
【0057】
表6〜8に示されるように、本発明のプライマーは、優れた性能を示した。一方、有機溶剤を用いた比較例は、塗膜性能は良好であったが、臭気があり大気汚染や作業環境の問題があるものであった。また、その他の比較例は、粘度が高すぎるため、基材への含浸が不十分となり、十分な塗膜性能を発揮できなかった。
【0058】
また、表9〜10に示されるように、本発明のプライマーを水に乳化させても従来のものと変わらず良好な性能を示し、なおかつポットライフも非常に長いものであった。

Claims (4)

  1. 実質的に有機溶剤及び有機ジイソシアネートを含有せず、25℃の粘度が500mPa・s以下の多孔質基材用プライマーであって、該プライマーが脂肪族ジイソシアネートから、アロファネート化触媒としてカルボン酸ジルコニウム塩を用いて合成されるアロファネート変性ポリイソシアネート(A)、および脂肪族ジイソシアネートから合成される非自己乳化性イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(B)を含有することを特徴とする、前記多孔質基材用プライマー。
  2. 実質的に有機溶剤及び有機ジイソシアネートを含有せず、25℃の粘度が500mPa・s以下の多孔質基材用プライマーであって、該プライマーが脂肪族ジイソシアネートから、アロファネート化触媒としてカルボン酸ジルコニウム塩を用いて合成されるアロファネート変性ポリイソシアネート(A)、および脂肪族ジイソシアネートから合成される自己乳化性ポリイソシアネート(C)を含有することを特徴とする、前記多孔質基材用プライマー。
  3. 脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多孔質基材用プライマー。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の多孔質基材用プライマーを多孔質基材に塗布することを特徴とする、多孔質基材のプライマー処理方法。
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