JP4300467B2 - 自動車用ガラスラン - Google Patents

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Description

本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランに関するものである。
図3に示すように、自動車ドア1のドアフレーム2の内周には、ドアガラス5の昇降を案内するガラスラン110が取付けられている。その従来の断面構造を図4に示す。図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。
従来、ガラスラン110は、図3に示すようにドアフレーム2のチャンネル3内に取付けられて、ドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。ガラスラン110は、押出成形により成形された直線状の押出成形部分をドアフレーム2のコーナー部の形状に合わせて形成する型成形部分で接続している。なお、ドア1と車体との間のシールは、ドアパネルとドアフレーム2の外周に取付けられたドアウエザストリップおよび/または車体の開口部のフランジに取付けられたオープニングトリムウエザストリップ(図示せず)によりなされている。
ガラスラン110は、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略U字状のガラスラン本体部を備えている。車外側側壁120の先端付近から車外側シールリップ150がガラスラン本体部の断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。
また、車内側側壁130にも、その先端付近から車内側シールリップ160がガラスラン本体部の断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140は、ドアフレーム2のチャンネル3内に挿入され、それぞれの外面がチャンネル3の内周に当接され、ガラスラン110がドアフレーム2の内周に保持されている。
ドアガラス5は、その昇降時にその端部が、このガラスラン110のガラスラン本体部の断面略U字状の内側を摺動するとともに、上記車外側シールリップ150と車内側シールリップ160によってその端部の両側面がシールされて保持されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、換気等のため、ドアガラス5の昇降をドアフレーム2の途中で止める場合がある。
このとき、ドアガラス5は、ドアフレーム2の上辺で保持されていなく、ドアガラス5が、両側端のガラスラン110のみで保持されているため、横方向(車両の幅方向)に振動することがある。特に、ドアガラス5は自動車が高速走行する場合には車外側に吸い出されて車外方向に変位したり、戻ったりする場合や、悪路走行時の車体の振動によりドアガラス5が振動する場合がある(例えば、特許文献2参照。)。
このとき、この変位や振動を防止するために、車内側シールリップ160と車外側シールリップ150を厚肉にしたり、硬度を高くしたりして、ガラスラン110のドアガラス5の保持力を向上させようとすることが考えられる。ところが、肉厚を上げるとドアガラス5の昇降の抵抗力が大きくなり、ドアガラス5の昇降がうまくいかなくなる場合がある。また、片持ち梁タイプの車内側シールリップ160と車外側シールリップ150だけでは、ドアガラス5の昇降の抵抗力を抑えてドアガラス5を充分強く保持することができない。そこで、先端を薄肉にして、根元部分を厚肉にして、ガラスランの保持を十分にして摺動抵抗を減少させることが行われている。
しかしこの場合には、ドアガラス5の変位量が小さいときは、車内側シールリップ160と車外側シールリップ150の先端部分のみが当接して、ドアガラス5を押えるための反力が小さく、ドアガラス5の保持力が小さくて、ドアガラス5の変位量が大きいと、根元部分の肉厚が大きいため反力が大きくなり、ドアガラス5がいわゆる底着きした状態となり、ドアガラス5の振動を充分吸収することができなかった。
特開2000−25462号公報(第2−3頁、第2図) 特開2002−19473号公報(第5−5頁、第1図(b))
そこで、本発明はドアガラスがガラスラン内のどの位置にいる場合でも、シールリップがドアガラスの変位や振動を防止して、ドアガラスを確実に保持するとともに、ドアガラスとシールリップとの摺動抵抗を減少させて、ドアガラスの昇降をスムースに行うとともに、異音が発生することを防止する自動車用ガラスランを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内し、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とからなる断面略U字状のガラスラン本体部11を備えた自動車用ガラスラン10において、
上記車外側側壁20と車内側側壁30には、それぞれ上記ガラスラン本体部11の断面略U字状の内側に向かって延出する車外側シールリップ50と車内側シールリップ60を設け、該車外側シールリップ50と車内側シールリップ60により上記ガラスラン本体部11の内側に挿入される上記ドアガラスの両側端部の車外側面および車内側面をシールし、
上記車内側シールリップ60は、上記車外側シールリップ50よりも長く形成するとともに、上記車内側側壁30から延設された車内側シールリップ根元部61と、該車内側シールリップ根元部61からその延長方向に延設された車内側シールリップ先端部62とから構成され、上記車内側シールリップ根元部61の肉厚は、車内側シールリップ先端部62の肉厚よりも厚くし、
車内側シールリップ60は、車内側シールリップ根元部61が略一定の肉厚で略平板状であり、車内側シールリップ先端部62は先端に行くにつれて徐々に肉厚が減少し、車内側シールリップ根元部61と車内側シールリップ先端部62の連続部分を車内側シールリップ屈曲部64とし、屈曲点となるように車内側シールリップ屈曲部64の肉厚の変化を他の部分よりも大きくし、車内側シールリップ先端部62は、その先端から車内側側壁30方向に屈曲した車内側シールリップ先端突部63を設け、
車内側シールリップ60は、少なくともドアフレーム2の縦辺部に装着されるガラスラン10に設けられ、車内側シールリップ先端突部63と車内側側壁30の内面に摺動抵抗を減少させる処理をした表面を設けたことを特徴とする自動車用ガラスランである。
請求項1の本発明では、車外側側壁と車内側側壁の先端には、それぞれガラスラン本体部の断面略U字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップが設けられている。そして、車外側シールリップと車内側シールリップによりガラスラン本体部の内側に挿入されるドアガラスの両側端部の車外側面および車内側面をシールするとともに、ドアガラスの端部を保持することができる。そのため、ドアフレームとドアガラスとの間のシールをすることができる。
車外側シールリップを車内側シールリップよりも短く形成したため、ドアガラスを車外側に位置させることができ、ドアとドアガラスとの外面における段差が小さくなり、空気抵抗が減少するとともに、デザイン的にも好ましい。
車内側シールリップは、車内側側壁から延設された車内側シールリップ根元部と、車内側シールリップ根元部からその延長方向に延設された車内側シールリップ先端部とから構成されたため、車内側シールリップの根元側と先端側で肉厚や形状を変化させることができ、ガラスラン内のドアガラスの変位に応じて、ドアガラスに対して適切な保持力とシール力を有することができる。
車内側シールリップ根元部の肉厚は、車内側シールリップ先端部の肉厚よりも厚くしたため、ドアガラスがガラスラン内で変位する量が少ないときは、車内側シールリップ根元部は変形しにくいため、車内側シールリップ根元部が車内側シールリップ先端部を一定位置に保持することができ、安定したシール力と保持力を有することができる。ドアガラスが大きく変位したときは、車内側シールリップ先端部とともに車内側シールリップ根元部が変形して、その変位に対して充分な抗力を有することができる。
車内側シールリップは、車内側シールリップ根元部と、車内側シールリップ根元部からその延長方向に同様にガラスラン本体部の断面U字状の内部方向に向けて延設された車内側シールリップ先端部とから構成されている。このため、車内側シールリップは、車内側シールリップ根元部と車内側シールリップ先端部により、断面形状において、特にドアガラスが当接する外面がスムースな一つの板状あるいは円弧状をなしており、ドアガラスが容易に摺動することができる。
車内側シールリップは、車内側シールリップ根元部が略一定の肉厚で略平板状であるため、車内側シールリップ先端部がドアガラスに押されても、車内側シールリップ根元部が変形し難く、車内側シールリップ先端部を保持することができる。さらに、ドアガラスの変位が大きくなると、車内側シールリップ屈曲部で車内側シールリップが変形した後に、車内側シールリップ根元部が徐々に屈曲して、その屈曲点は、車内側シールリップ根元部の先端から付根方向に徐々に移動していくため、ドアガラスの変位に応じて反力を維持することができる。
車内側シールリップ先端部は先端に行くにつれて徐々に肉厚が減少するため、上述のように車内側シールリップ屈曲部で車内側シールリップが変形するときも、ドアガラスの表面に沿って柔軟に当接することができ、シール性を確保することができるとともに、ドアガラスの振動を吸収することができる。
さらに、車内側シールリップ根元部と車内側シールリップ先端部の連続部分を車内側シールリップ屈曲部とし、屈曲点となるように車内側シールリップ屈曲部の肉厚の変化を他の部分よりも大きくしたため、ガラスランにドアガラスが当接し、ドアガラスが車内側シールリップを押したときに、車内側シールリップは車内側シールリップ屈曲部で確実に屈曲する。このため、ドアガラスの変位が変化しても車内側シールリップ屈曲部の変形により、ドアガラスの変位が小さくともドアガラスに対する所定の押し圧力を与えることができ、ドアガラスを保持することができるとともに、シール力を確保できる。また、急にドアガラスに対する反力が増大することがなく、ドアガラスの摺動抵抗を増大させることがない。また、車内側シールリップ先端部は、車内側シールリップ屈曲部で撓むことができるので、ドアガラスの振動を吸収することができる。
車内側シールリップ先端部は、その先端から車内側側壁方向に屈曲した車内側シールリップ先端突部を設けたため、ドアガラスが大きく変位したときに、車内側シールリップ先端突部が車内側側壁に当接して、車内側シールリップの変形を支えることができ、ドアガラスのそれ以上の変位を防止できるとともに、車内側シールリップが車内側側壁に密着することが無いため、車内側シールリップが車内側側壁との密着から剥がれるときに生ずる異音が発生することが無い。
本発明の構成を有する車内側シールリップを、少なくともドアフレームの縦辺部に装着されるガラスランに設けられたため、ドアガラスの昇降がドアフレームの途中で止まっている場合、即ち半開きの場合でも、ドアガラスの縦辺部を確実に保持することができ、ドアガラスの振動や異音の発生を防止することができる。
車内側シールリップは、車内側シールリップ先端突部と車内側側壁の内面に摺動抵抗を減少させる処理をした表面を設けたため、ドアガラスが、車内側シールリップを車内側側壁方向に押して、車内側シールリップ先端突部が車内側側壁に当接したときに、車内側シールリップ先端突部が摺動しやすいため、車内側側壁と車内側シールリップ先端突部との摺動がより一層スムースと成り、ドアガラスの移動や振動を容易に吸収することができ、車内側シールリップ先端突部と車内側側壁の内面が擦れて異音を発生することがない。
請求項の本発明は、車外側シールリップ及び車内側シールリップは、ドアガラスと当接する部分に摺動抵抗を減少させる処理をした表面を設けた自動車用ガラスランである。
請求項の本発明では、車外側シールリップ及び車内側シールリップは、ドアガラスと当接する部分、即ち両シールリップの外側の面に摺動抵抗を減少させる処理をしたため、ドアガラスの昇降をスムースにすることができ、昇降時にドアガラスと擦れて、異音や振動が発生することがない。
本発明は、ガラスランの車内側シールリップの車内側シールリップ根元部の肉厚は、車内側シールリップ先端部の肉厚よりも厚くし、車内側シールリップ根元部と車内側シールリップ先端部の連続部分を車内側シールリップ屈曲部とし、屈曲点となるように車内側シールリップ屈曲部の肉厚の変化を他の部分よりも大きくしたため、ドアガラスがドアフレームの途中で止まっている場合でも確実にドアガラスを保持することができるとともに、ドアガラスと車内側シールリップの間の摺動抵抗を下げてドアガラスの昇降をスムースにすることができる。
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づき説明する。図3は自動車ドアの側面図である。図3に示すように自動車のドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。すなわち、ドアフレーム2の内周には、チャンネル3が設けられ、チャンネル3にはガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
ガラスラン10は、全体として押出成形で形成された略直線状の押出成形部分と、型成形で形成されて押出成形部分を接続する型成形部分からなる。押出成形部分は、ドアフレーム2の上辺に取付けられる部分と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺に取付けられる部分と、ドアフレーム2のフロント側縦辺に取付けられる部分とからなる。型成形部分はこれらの押出成形部分をドアフレーム2に対応した形状となるように接続しており、ドアフレーム2のコーナー部に装着される部分となる。
まず、第1の実施の形態を図1と図2に基づき説明する。
ドアフレーム2の縦辺に取付けられる押出成形部の断面形状は、図1に示す。図1は、図3のA−A線に沿ったガラスラン10の断面図である。車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とからなるガラスラン本体部11は、断面略U字状に形成されている。押出成形後のドアフレーム2への取り付け前においては、ガラスラン本体部11の断面略U字状の開口は若干開き気味に形成される。図2は、ガラスラン10をドアフレーム2に取付けたときの図3のA−A線に沿った断面図である。
車内側側壁30の先端付近から車内側シールリップ60がガラスラン本体部11の断面略U字状の内側に向けて延設されている。また、車内側カバーリップ31が車内側側壁30の先端で車内方向に延設されている。
車外側側壁20の先端から車外側シールリップ50がガラスラン本体部11の断面略U字状の内側に向けて延設されており、また、車外側カバーリップ21が車外側側壁20の先端で車外方向に延設されている。
図2に示すように、ガラスラン10をドアフレーム2のチャンネル3に取付けると、車内側側壁30の外面と車内側カバーリップ31の内面の間の車内側側壁溝部34にチャンネル3の車内側側壁が挿入され、車外側側壁20の外面と車外側カバーリップ21の内面の間の車外側側壁溝部24にチャンネル3の車外側側壁が挿入され、チャンネル3の先端をカバーするとともにガラスラン10を保持している。そして、ガラスラン10は、チャンネル3に取付けられると車外側側壁20、車内側側壁30、底壁40の各外面がチャンネル3の内面に接して、安定的に保持される。
車内側シールリップ60は、車外側シールリップ50よりも長く形成され、その肉厚も車外側シールリップ50よりも厚く形成されている。このため、図2に示すように、ドアガラス5を車外側に位置させることができ、ドア1とドアガラス5との車外側から見た外面における段差が小さくなり、走行時の風切音と空気抵抗が減少するとともに、デザイン的にも好ましい。
特に、本発明の車内側シールリップ60の形状を、少なくともドアフレーム2の縦辺部に装着されるガラスラン10に設けると、ドアガラス5の昇降がドアフレーム2の途中で止まっている場合、即ち半開きの場合でも、ドアガラス5の縦辺部を保持することができ、ドアガラス5の変位や振動を防止することができる。
車内側シールリップ60は、車内側側壁30からガラスラン本体部11の断面U字状の内部方向に向けて延設された車内側シールリップ根元部61と、車内側シールリップ根元部61からその延長方向に同様にガラスラン本体部11の断面U字状の内部方向に向けて延設された車内側シールリップ先端部62とから構成されている。このため、車内側シールリップ60は、車内側シールリップ根元部61と車内側シールリップ先端部62により、断面形状において、特にドアガラス5当接する外面がスムースな一つの板状あるいは円弧状をなしており、ドアガラス5が容易に摺動することができる。
車内側シールリップ根元部61は、車内側シールリップ60の略半分程度の長さまで形成され、車内側側壁30から略一定の肉厚で略平板状であり、その肉厚は、車内側シールリップ先端部62の肉厚よりも厚く形成されている。このため、車内側シールリップ先端部62がドアガラス5の押されても、車内側シールリップ根元部61が肉厚であるため、変形し難く、後述のように車内側シールリップ屈曲部64で屈曲して、ドアガラス5の変形が小さいときでも所定の反力でドアガラス5を保持することができるとともに、ドアガラス5が若干変位して、車内側シールリップ根元部61が変形しないため、車内側シールリップ先端部62を所定の位置で保持することができる。
さらに、ガラスラン10内で、ドアガラス5の変位が大きくなると、後述のように車内側シールリップ屈曲部64で車内側シールリップ60が変形した後に、車内側シールリップ根元部61が徐々に屈曲して、車内側シールリップ根元部61が略一定の肉厚で略平板状であるため、その屈曲点は、車内側シールリップ根元部61の先端から付根方向に徐々に移動していき、ドアガラス5の変位に応じてドアガラス5を保持する反力を維持することができる。
車内側シールリップ60の車内側シールリップ先端部62は、車内側シールリップ60の略半分程度の長さで形成され、その先端に行くにつれて、徐々に肉厚が減少するように形成されている。そのため、ドアガラス5が車内側シールリップ先端部62に当接して、後述のように、車内側シールリップ屈曲部64で車内側シールリップ60が変形するときも、ドアガラスの表面に沿って柔軟に当接することができ、シール性を確保することができるとともに、ドアガラス5の振動を吸収することができる。
車内側シールリップ60の車内側シールリップ根元部61と車内側シールリップ先端部62の連続部分を、車内側シールリップ屈曲部64とし、ドアガラス5が車内側シールリップ60に当接して、車内側シールリップ60を屈曲させたときに、屈曲点となるように車内側シールリップ屈曲部の肉厚の変化を車内側シールリップ60の他の部分よりも大きく形成した。図1に示すように、車内側シールリップ屈曲部64の内面において、湾曲状に肉厚が減少している。
車内側シールリップ屈曲部64では、急激に、断面が曲線状に減少するため、ガラスラン10にドアガラス5が当接し、ドアガラス5が車内側シールリップ60を押したときに、車内側シールリップ60は車内側シールリップ屈曲部64に応力が集中して、確実に屈曲するため、ドアガラス5の変位が変化しても、ドアガラス5が車内側シールリップ根元部61まで変位するまでは、車内側シールリップ屈曲部64の屈曲によって、ドアガラス5に対する所定の押し圧力を与えることができ、シール力を確保できるとともに、ドアガラス5の摺動抵抗を増大させることが無い。また、車内側シールリップ先端部62は、車内側シールリップ屈曲部64で撓むことができるので、ドアガラス5に密着して、ドアガラス5の振動を吸収することができる。
また、車内側シールリップ根元部61は、断面が略平板上に形成されているか、あるいはドアガラス5に向けて凸状に若干湾曲しているため、ドアガラス5が上昇してドアガラス5の先端が車内側シールリップ根元部61に当ったときに、図2に示すように、弾性的に撓むとともに、車内側シールリップ根元部61の表面を摺動して、ガラスラン本体部11の内部に挿入され、車内側シールリップ60と車外側シールリップ50の間に入ることができる。この車内側シールリップ60と車外側シールリップ50のドアガラス5と当接する部分には後述するように、低摺動部材が塗布等されているため、摺動はスムースになされる。
車外側側壁20の先端から車外側シールリップ50がガラスラン本体部11の断面略U字状の内側に向けて延設されており、また、車外側カバーリップ21が車外側側壁20の先端で車外方向に延設されている。車外側側壁20の外面と車外側カバーリップ21の内面の間の車外側側壁溝部24にチャンネル3の車外側側壁が挿入され、ガラスラン10を保持している。車外側側壁20の先端内面には、車外側シールリップ50が一体的に設けられている。
車外側シールリップ50は略板状あるいは曲率半径の大きな円弧状であり、車内側シールリップ60よりもリップが短く、肉厚も薄い。車外側シールリップ50は、リップも断面の長さが短く、肉厚も薄いため、ガラスラン本体部11の断面U字形の内部でドアガラス5をドアフレーム2の車外側に近づけることができ、ドアガラス5とドアフレーム2との車外側面の段差を少なくして、風切音と空気抵抗を減少させるとともに車体の表面が平滑になり外観上好ましい。
車外側シールリップ50、車内側シールリップ60、車内側シールリップ先端突部63について摺動抵抗を減少させる処理をするが、この処理は、低摺動部材を表面に塗布したり、低摺動部材のフィルムを表面に貼り付けたり、低摺動部材とガラスラン10を同時に押出成形して表面に低摺動部材の薄膜を一体に形成しても良い。低摺動部材は、ドアガラス5との摩擦抵抗の低いものであれば使用することができるが、例えば、硬質熱可塑性オレフィンエラストマー材、フッ素樹脂の不織布、ポリエチレン材、ウレタンコート、シリコンコート等を使用することができる。
次に本発明のガラスラン10の製造方法について説明する。ガラスラン5は、まず押出成形部分を成形する。押出成形は軟質のソリッド材を使用して成形する。押出成形時のガラスラン10の断面形状は、略U字状の開口部分である先端部が少し開いた形状で押出成形される。これによって、チャンネル3への装着時に、チャンネル3へ両方の側壁が押圧力をかけることができる。また、車外側側壁20、車内側側壁30、底壁40、車外側シールリップ50及び車内側シールリップ60へ低摺動部材を塗布する場合には、その作業がしやすくなる。
成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分の製造は完了する。
次に、型成形部分の成形は、上記により製造された押出成形部分の端部を型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用して加硫接着をすることができるため、一体的に固着する。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱で押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
本発明の実施の形態であるガラスランのドアフレーム縦辺部に取付けられる部分のドアフレーム取付け前の状態の断面形状である。 本発明の実施の形態であるガラスランのドアフレームリヤ縦辺部に取付けられる部分のドアフレーム取付け後の状態の断面形状である。 自動車ドアの側面図である。 従来のガラスランの断面形状である。
符号の説明
2 ドアフレーム
5 ドアガラス
10 ガラスラン
11 ガラスラン本体部
20 車外側側壁
30 車内側側壁
40 底壁
50 車外側シールリップ
60 車内側シールリップ
61 車内側シールリップ根元部
62 車内側シールリップ先端部
63 車内側シールリップ先端突部
64 車内側シールリップ屈曲部

Claims (2)

  1. 自動車ドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内し、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とからなる断面略U字状のガラスラン本体部11を備えた自動車用ガラスラン10において、
    上記車外側側壁20と車内側側壁30には、それぞれ上記ガラスラン本体部11の断面略U字状の内側に向かって延出する車外側シールリップ50と車内側シールリップ60を設け、該車外側シールリップ50と車内側シールリップ60により上記ガラスラン本体部11の内側に挿入される上記ドアガラスの両側端部の車外側面および車内側面をシールし、
    上記車内側シールリップ60は、上記車外側シールリップ50よりも長く形成するとともに、上記車内側側壁30から延設された車内側シールリップ根元部61と、該車内側シールリップ根元部61からその延長方向に延設された車内側シールリップ先端部62とから構成され、上記車内側シールリップ根元部61の肉厚は、車内側シールリップ先端部62の肉厚よりも厚くし、
    上記車内側シールリップ60は、上記車内側シールリップ根元部61が略一定の肉厚で略平板状であり、上記車内側シールリップ先端部62は先端に行くにつれて徐々に肉厚が減少し、上記車内側シールリップ根元部61と車内側シールリップ先端部62の連続部分を車内側シールリップ屈曲部64とし、屈曲点となるように該車内側シールリップ屈曲部64の肉厚の変化を他の部分よりも大きくし、上記車内側シールリップ先端部62は、その先端から車内側側壁30方向に屈曲した車内側シールリップ先端突部63を設け、
    上記車内側シールリップ60は、少なくとも上記ドアフレーム2の縦辺部に装着されるガラスラン10に設けられ、上記車内側シールリップ先端突部63と上記車内側側壁30の内面に摺動抵抗を減少させる処理をした表面を設けたことを特徴とする自動車用ガラスラン。
  2. 上記車外側シールリップ50及び上記車内側シールリップ60は、上記ドアガラスと当接する部分に摺動抵抗を減少させる処理をした表面を設けた請求項1に記載の自動車用ガラスラン。
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