以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の雪検知システム1の電気的構成を示すブロック図である。図1に示すように、雪検知システム1は、主として、メイン装置2と、撮像カメラ3と、レンズ4と、照明装置5,6とを備えており、その他の補助的な検知装置として降雨及び降雪を検知する降水センサ7と、撮像カメラ3により撮像される道路11の設置場所の外気温を計測する気温センサ8と、その道路11の路面の温度を計測する路温センサ9と、各種の文字情報を表示可能に形成される道路情報表示器10を備えている。
メイン装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)で構成されており、CPUなどの演算装置21と、制御プログラム22aその他プログラム、並びに各種の画像及び数値データなどの電子情報を記憶するRAM、ROM、EEPROM及びハードディスクなどから構成されるメモリ装置22と備えている。なお、メイン装置2により行われる後述する各種処理は、メモリ装置22に記憶される各種制御プログラム22aが実行されることにより実現される。なお、本発明における画像差分手段、相乗手段、区画輝度取得手段、高輝度計数手段、輝度計測手段、輝度差分手段、強度算出手段、積雪判断手段、積雪比較判断手段、降雪計数手段、及び降雪判断手段は、制御プログラム22aの一部としてメイン装置2にて実行される。
また、メイン装置2は、上記した各種装置3〜10と接続され且つそれらとアナログ若しくはデジタル信号の送信若しくは受信又は送受信を行う入出力制御装置23と、ディスプレイなどの表示装置24、及び、キーボード若しくはマウス又はその双方などの入力装置25とを備えている。なお、入出力制御装置23は、演算装置21、メモリ装置22、表示装置24及び入力装置25とも相互に接続されている。
撮像カメラ3は、道路11を撮像して路面画像G(図2参照)を取得するための撮像手段の一種であり、路面より上方の略4m程度の高さ位置に設置され、その撮像カメラ3のCCD撮像素子31への入射光線の光軸は路面へ向けられる。また、撮像カメラ3には、あられ等による急激な路面状態の変化に対応可能な計測速度が求められるので、例えば、NTSC方式のカメラならば最短1/30秒で計測結果が得られるものが有効である。
また、撮像カメラ3のCCD撮像素子31は、エリアスキャンアナログ方式のモノクロCCD素子で構成されており、そのため近赤外線領域まで感度が高い撮像をすることができるものである。更に、撮像カメラ3は、例えば、路面画像Gを撮像する場合に1/125秒、1/500秒、1/1000秒、1/2000秒などのシャッタスピードで撮像可能なシャッタ機能を備えている。なお、高速道路での積雪や降雪を検知する場合には、路面上を高速で走行車両の写り込み確実に検知するため、1/2000秒などの高速シャッタスピードで撮像される。
レンズ4は、撮像カメラ3のCCD撮像素子31への光入射部に装着される可動焦点方式の光学レンズであり、その絞り(アイリス)をメイン装置2から入力される制御信号に基づいて制御可能に形成されている。このレンズ4は、その解放F値が比較的小さい方がよく、いわゆる「明るいレンズ」が使用されている。夜間時の低照度下において画像処理可能な路面画像Gを撮像するためである。
また、レンズ4は、近赤外線波長帯の光線にのみ透過性を有するバンドパスフィルタを備えている。よって、照明装置5,6から照射された近赤外線の反射光のみがバンドパスフィルタを透過してレンズ4へ入射するようにされる。従って、可視光線量が大きな昼間に対象路面を撮像した路面画像Gと、可視光線量が小さな夜間に対象路面を撮像した路面画像Gとでは、その他の条件が同じである限り、その両路面画像G同士の全体的な輝度の差異を軽減することができる。
更に、レンズ4は、その前面に装着される偏光フィルタを備えている。この偏光フィルタは、路面上に水分が多くある状態のときに、太陽光が路面で反射した強い反射光がレンズへ入射した場合に生じる乱反射によるフレア現象を低減させるためのものである。フレア現象が生じると、路面画像Gのマーカ境界部分(後述する図2中の車線境界線16)の輝度差がフレアにより低下して、路面上に積雪があるものとして誤判断してしまうからである。
なお、偏光フィルタをレンズ4へ装着することにより、レンズ4へ入射する光量が減少するが、撮像カメラ3からメイン装置2へのビデオ出力信号を、ゲインアンプ(図示せず)により増幅することによって、路面画像全体の輝度低下を防止している。
上記のように構成されるレンズ4は、後述する不要移動体検知処理により路面画像Gに走行車両などの不要な通過物体が写り込んでない場合に、メイン装置2によって絞りが調整される。このとき、絞り調整の輝度基準としては、路面画像Gに写り込む雪片(検知対象)と近似色のマーカ、具体的には路上の区画線(後述する車線境界線16)に相当する画素部分が用いられる。この絞り調整によって、路面画像Gの輝度基準の輝度値は、昼夜の別や天候状態による日照度に関わらず一定化するように制御される。
照明装置5,6は撮像カメラ3による被撮像体である路面にフラッシュ光を照射するものであり、この照明装置5,6の発光部は、近赤外光線のフラッシュ光を発光可能で、長寿命で、かつ、パルス的(間欠的)な発光が可能に形成されるLEDで形成されている。ここで、被撮像体となる路面が高速道路のものである場合、例えば、照明装置5は走行車線部分を、照明装置6は追越し車線部分を、それぞれ照射するものである。
照明装置5,6のLCDは、近赤外線光をフラッシュ光として照射するので、昼夜の別に関係なく、路面画像Gの明るさを画像処理に適した範囲にできる。しかし、照明装置5,6のLEDの連続点灯と共に、撮像カメラ3のシャッタスピードを無限長で、すなわちシャッタを開放状態で撮像した場合、昼間の路面画像Gに比べて、夜間の路面画像Gにおけるマーカ強度(後述する)が低下してしまう。しかも、路面画像Gに写り込んだ降雪と路面との境界が鮮明とならず、路面画像Gから降雪検知をする際の精度低下を来してしまう。
そこで、本実施例の照明装置5,6は、昼夜関係なく、撮像カメラ3の撮像間隔(例えば1/10秒間隔)に同期させてパルス的に点灯するように構成されている。このようにすると、撮像された路面画像Gは、未積雪状態における昼夜間いずれの場合にもマーカ強度の低下は防止されるので、区画線などのマーカとアスファルト舗装面との輝度差を高精度に検知できる。しかも、昼夜間の別を問わず、路面画像G中に写り込む車両の画像の鮮明度を向上でき、結果、路面画像Gへの車両の写り込みを高精度で検知することもできる。更に、路面画像Gに写り込む雪片を鮮明に撮像することが可能となり、降雪の検知精度を向上させることもできる。
また、上記のように構成された照明装置5,6は、後述する不要移動体検知処理により路面画像Gに走行車両などの不要な通過物体が写り込んでない場合に、メイン装置2によって発光量が調整される。この発光量の調整は、LEDの点灯時間や通電電流値の増減によりなされ、上記したレンズ4の絞り調整に用いられる輝度基準の輝度値が一定化するようにレンズ4の絞り調整とともに行われる。
図2は、撮像カメラ3により撮像された路面画像Gを表示装置24に表示させた状態を示す図であり、図2(a)は、走行車両などの不要な移動体がなく、且つ、非降雪時であって非積雪時に撮像された路面画像Gであり、図2(b)は、走行車両などの不要な移動体がなく、且つ、非降雪時であって積雪時に走行車線12及び追越し車線13にそれぞれワダチが2本ずつ4本入った状態を撮像した路面画像Gであり、図2(c)は、走行車両などの不要な移動体がなく、且つ、非降雪時であって積雪時に撮像された路面画像Gである。
なお、図2(b)及び図2(c)では、積雪により覆われた区画線を点線で図示しており、図2(b)に示す路面画像Gでは、ワダチに相当する部分(以下「ワダチ相当部分」という)がほぼ灰色で、積雪に相当する部分(以下「積雪相当部分」という)がほぼ白色で図示されている。
図2(a)に示すように、路面画像Gには、道路11の走行レーンである走行車線12及び追越し車線13と、道路11の幅方向外側の区画線である車道外測線14,15と、道路11の幅方向略中央の区画線である車線境界線16との画像がそれぞれ含まれている。この路面画像Gを撮像するため、雪検知システム1の撮像カメラ3は、例えば、道路11の路側帯に設けられる支柱の上部に設置されており、レンズ4の光軸は道路11の路面へ向けられている。
また、照明装置5,6は、例えば、道路11上方であって道路11の幅方向両端間に架設される支持梁に設置されている。照明装置5のフラッシュ光の照射方向は、走行車線12の略中央へ向けられている。また、照明装置6のフラッシュ光の照射方向は、追越し車線13の略中央に向けられている。よって、路面画像Gに撮像される走行車線12及び追越し車線13の双方をほぼ均一に照らし出すことができる。
路面画像Gは、撮像カメラ3により一定の撮像間隔毎に撮像されると、メイン装置2へ出力されてメモリ装置22の路面画像エリア22bに一時的に記憶される。この路面画像エリア22bに一時的に記憶される路面画像Gは、連続して撮像された3以上の時点分に相当する3以上の画像であり、本実施例では、略1/10秒間隔で連続して撮像された20時点分に相当する20画像を記憶するように設定されている。
つまり、路面画像エリア22bには約2秒間を20分割した路面画像Gが常時保持されている。なお、新たな路面画像Gが撮像されると、その度毎に、路面画像エリア22bに記憶される路面画像Gの中で最も古い時点のものが消去され、それに替えて最新時点の路面画像Gが路面画像エリア22bに書き込まれる。これによって、路面画像エリア22bには、常に最新の20時点分の路面画像Gが更新記憶される。
また、路面画像Gには、2本の直線状の線分である計測線M1,M2が設定されている。計測線M1,M2は、撮像カメラ3により撮像された路面画像Gにメイン装置2によって設定されるものであり、メイン装置2では、路面画像Gを構成する画素のうち、計測線M1,M2上に位置する画素の輝度に基づいて道路11の積雪を検知する。
ここで、計測線M1は、道路11の区画線のうち車線境界線16に交差するように設定されており、計測線M1の両端は車線境界線16の幅方向両端から外方へ延長されている。また、計測線M2は、車線境界線16の切れ目を突っ切って走行車線12および追越し車線13の双方の走行レーンを横断するように設定されている。なお、本実施例では、計測線M1,M2をそれぞれ1本ずつ設定したが、かかる計測線M1,M2の設定本数は必ずしも各1本に限定されるものではなく、必要に応じて本数を増やしても良い。
次に、図3を参照して、メイン装置2における路面画像Gを用いた移動体検知処理について説明する。移動体検知処理は、路面画像Gが撮像される毎に、本実施例ではメイン装置2にて略1/10秒間隔で実行される処理である。なお、図3に示した路面画像Gは、走行車両などの不要な移動体がなく、且つ、降雪時であって非積雪時におけるものである。また、図3(a)〜(c)は、メモリ装置22から読み出された連続する3時点分の路面画像Gである。
図3は、移動体検知処理を説明するための図であり、その中でも、図3(a)は、3時点の中で最先に当たるt1時点(先時点)に撮像された路面画像Gであり、図3(b)は、3時点の中で中間に当たるt2時点(中時点)に撮像された路面画像Gであり、図3(c)は、3時点の中で最後に当たるt3時点(後時点)に撮像された路面画像Gであり、図3(d)は、差分画像ΔG1であり、図3(e)は、差分画像ΔG2であり、図3(f)は、相乗画像XGである。
図3に示すように、メイン装置2による移動体検知処理では、路面画像エリア22bに記憶される20時点分の路面画像Gの内でほぼ中間時点に相当するt1時点(例えば20時点の中の第9時点)、t2時点(例えば第10時点)及びt3時点(例えば第11時点)の路面画像Gを読み出して、まず、t2時点の路面画像Gとt1時点の路面画像Gとの差分画像ΔG1を求める一方で、t3時点の路面画像Gとt2時点の路面画像Gとの差分画像ΔG2も求める。
差分画像ΔG1とは、t2時点の路面画像Gを構成する各画素の輝度値から、その画素に対応するt1時点の路面画像Gにおける画素の輝度値を減算して求められるものである。このようにして求められた差分画像ΔG1には、図3(d)に示すように、t1時点からt2時点にかけて路面画像Gのフレーム内を移動した移動体に相当する部分の画素が、移動体以外の部分の画素に比べて、高輝度で現される。
差分画像ΔG2とは、t3時点の路面画像Gを構成する各画素の輝度値から、その画素に対応するt2時点の路面画像Gにおける画素の輝度値を減算して求められるものである。このようにして求められた差分画像ΔG2には、図3(e)に示すように、t2時点からt3時点にかけて路面画像Gのフレーム内を移動した移動体に相当する画素部分が、移動体以外の部分の画素に比べて、高輝度で現される。
次に、メイン装置2では、差分画像ΔG1と差分画像ΔG2とから相乗画像XGが求められ、メモリ装置22の相乗画像エリア22cに記憶される。この相乗画像XGとは、差分画像ΔG1と差分画像ΔG2との互いに対応する画素同士の輝度値を乗算して求められるものであり、図3(f)に示すように、t1時点からt3時点にかけて移動した移動体に相当する画素部分の輝度が、それ以外の部分に比較して高輝度に現される。これによって、相乗画像XGのフレーム内を移動する移動体のみを抽出することができる。
相乗画像XGが生成されると、メイン装置2では、この相乗画像XGを2以上の小区画に等分割する(図3(f)参照)。具体的には、相乗画像XGは、縦方向に10区画で横方向に12区画の合計120個の小区画に分割される。相乗画像XGが小区画に分割されると、メイン装置2では、小区画内に存在する全画素の輝度を個々に計測して合計し、その合計値を小区画内に存在する全画素数で割った区画輝度平均値を、その各小区画毎に求めてメモリ装置22の区画輝度平均値エリア22dへ記憶する。かかる区画輝度平均値を求めることによって、各小区画内に写り込んだ移動体の大きさを輝度を用いて数値化することが可能となる。
相乗画像XGの全小区画について区画輝度平均値が求まれば、メイン装置2では、不要移動体検知処理が実行される。この不要移動体検知処理は、移動体検知処理の一部を成す処理であって、雪片以外に路面画像Gのフレーム内を通過する移動体を検知するため、メイン装置2で実行される処理である。以下、不要移動体検知処理について説明する。
不要移動体検知処理では、相乗画像XGの各小区画毎の区画輝度平均値とメモリ装置22に記憶されている高輝度レベル値22eとを比較して、区画輝度平均値が高輝度レベル値22e以上となる小区画の数を計数する。ここで、メモリ装置22に記憶される高輝度レベル値22eとは、区画輝度平均値の値から小区画内に高輝度で且つサイズが大きな移動体が路面画像Gに写り込んでいるか否かを判定するための閾値である。
相乗画像XGの全小区画のうちで区画輝度平均値が高輝度レベル値22e以上となるものを計数した結果、その計数値がメモリ装置22に記憶される所定の許容個数22g以上となる場合には、t2時点の路面画像Gに高輝度且つサイズが大きな移動体が広範に写り込んでいる。つまり、このような場合には、単なる雪片に比べて高輝度で撮像される移動体、具体的には、走行車両や歩行者などの不要な移動体が路面画像Gに写り込んでいると予測される。
そこで、メイン装置2では、区画輝度平均値が高輝度レベル値22e以上となる小区画の計数値が所定の許容個数22g以上となる場合に、t2時点の路面画像Gを用いる降雪検知処理および積雪検知処理の実行をスキップして、新たな路面画像Gが撮像されるまで待機し、新たな路面画像Gが撮像されると、再び、移動体検知処理における不要移動体検知処理を実行するように構成されている。このスキップ処理によって、不要な移動体が撮像された路面画像Gを用いた降雪検知処理および積雪検知処理が防止されるので、降雪および積雪の検知精度を向上できる。
一方、相乗画像XGの全小区画のうちで区画輝度平均値が高輝度レベル値22e以上となるものを計数した結果、その計数値が所定の許容個数22g未満となる場合には、t2時点の路面画像Gに走行車両などの不要な通過物体の写り込みはないものと予測される。そこで、このような場合には、t2時点の路面画像Gを用いて降雪検知処理および積雪検知処理(図4及び図5参照)を実行する。
降雪検知処理は、不要移動体検知処理と共に移動体検知処理の一部を成す処理であって、路面画像Gのフレーム内を通過する雪片を検知するため、メイン装置2で実行される処理である。具体的には、降雪検知処理では、上記不要移動体検知処理にて求めた相乗画像XGの各小区画毎の区画輝度平均値とメモリ装置22に記憶されている低輝度レベル値22fとを比較して、区画輝度平均値が低輝度レベル値22f以上となる小区画の数を計数する。ここで、メモリ装置22に記憶される低輝度レベル値22fとは、区画輝度平均値の値から小区画内に背景に比べて高輝度ではあるがサイズが上記した不要な移動体に比べて小さな移動体、即ち、雪片が路面画像Gに写り込んでいるか否かを判断するための閾値である。
相乗画像XGの全小区画のうちで区画輝度平均値が低輝度レベル値22f以上となるものを計数した結果、その計数値が所定の降雪認定個数22h以上である場合には、t2時点の路面画像Gに雪片が広範に写り込んでいると判断して、メイン装置2のメモリ装置22に設けられる降雪フラグ22qをオンする。ここで、降雪フラグ22qとは、降雪検知処理による判断結果を記憶するためのフラグであり、降雪検知処理により降雪が検知される場合にオンされる一方、降雪検知処理により降雪が検知されない場合にオフされる。以上の結果、移動体検知処理における不要移動体検知処理および降雪検知処理が完了する。
次に、図4及び図5を参照して、路面画像Gを用いたメイン装置2による積雪検知処理について説明する。積雪検知処理は、上記した不要移動体検知処理にて使用したt2時点の路面画像Gを用いて道路11に積雪があるか否かをを検知するため、メイン装置2で実行される処理である。この積雪検知処理は、上記した降雪検知処理が実行される場合に、メイン装置2にて実行される。
まず、図4を参照して、路面画像Gの計測線M1を用いたメイン装置2による積雪検知処理について説明する。図4(a)及び図4(b)は、計測線M1上の各画素の輝度値を示すグラフ図であり、図4(c)及び図4(d)は、計測線M1上の各画素の平均化輝度値を示すグラフ図であり、図4(e)及び図4(f)は、平均化輝度変化量を示すグラフ図であり、図4(g)及び図4(h)は、計測線M1上の各画素の平均化輝度変化量のうち変化が微小なものを除去したグラフ図である。
なお、図4(a)〜図4(h)の各グラフ図では、その横軸として、計測線M1の線分一端側から他端側までに順番に点在する画素を示している。また、図4(a)、図4(c)、図4(e)及び図4(g)のグラフ図は、走行車両などの不要な移動体がない非積雪時(図2(a)参照)に撮像された路面画像Gに基づいて得られるものである。また、図4(b)、図4(d)、図4(f)及び図4(h)のグラフ図は、走行車両などの不要な移動体がない積雪時(図2(c)参照)に撮像された路面画像Gに基づいて得られるものである。
まず、計測線M1を用いた積雪検知処理では、メイン装置2によって、計測線M1の線分上に位置する全画素について輝度値を計測して、メモリ装置22の輝度値エリア22iに一時的に記憶する。このとき、道路11に積雪がなければ、図4(a)に示すように、計測線M1の長手方向略中央に相当する略40画素分の輝度値が、その他の画素の輝度値に比べて高輝度となる。これは、図2(a)に示すように、計測線M1の線分上に存在する画素のうち、走行車線12及び追越し車線13の路面は低明度のアスファルト舗装面に相当する部分が低輝度となるのに対して、高明度の白色の車線境界線16と重なる部分が高輝度となるからである。
一方、道路11に積雪があれば、図4(b)に示すように、計測線M1における全画素の輝度値が全体として高輝度となる。これは、図2(c)に示すように、計測線M1の線分上に存在する全画素に車線境界線16の色彩とほぼ近似する白色の積雪により路面が白色化して高明度に写り込むため、走行車線12及び追越し車線13のアスファルト舗装面と車線境界線16との境界部分が不明確となるからである。
計測線M1の線分上の輝度値の計測後は、メイン装置2によって、その計測された計測線M1の線分上に存在する全画素の輝度値について項数5の単純移動平均化を施して平均化輝度値を求めて、メモリ装置22の平均化輝度値エリア22kへ一時的に記憶する。平均化輝度値とは、その平均化輝度値を求めたい画素とそれに隣接する画素とを包含する前記項数と同数の画素の輝度値を合計して前記項数で割ったものであり、本実施例においては平均化輝度値を求めたい画素とその前後に2画素とを包含する5画素の輝度値を合計して項数5で割った値を、当該平均化輝度値を求めたい画素の平均化輝度値としている。
このようにして計測線M1の線分上に存在する全画素の輝度値について平均化輝度値が求められると、図4(c)及び図4(d)に示すように、平均化輝度値は、図4(a)及び図4(b)に示す輝度値に比べて高周波成分の振幅が減少された状態となって、結果、計測線M1の線分上に存在する画素の輝度値の変化特性が平滑化されることとなる。なお、本実施例では移動平均化方式として単純移動平均方式を採用したが、重み関数を用いた移動平均化などその他の移動平均化方式を適用しても良い。
移動平均化後は、メイン装置2によって、計測線M1の線分上に存在する全画素の平均化輝度値について中心差分化を施すことによって平均化輝度変化量を求め、その求められた併記か輝度変化量を全てメモリ装置22の平均化輝度値エリア22kへ一時的に記憶する。中心差分法による平均化輝度変化量とは、その平均化輝度変化量を求めたい画素の前後各1つずつの画素の輝度値の差を2で割った値の絶対値である。このように平均化輝度変化量を求めると、平均化輝度値が急激に変化する部分にある画素については平均化輝度変化量が大きく現れる。
具体的には、非積雪状態の路面画像Gでは、図4(e)に示すように、計測線M1と交差する車線境界線16と走行車線12及び追越し車線13のアスファルト舗装面との境界部分(図4(c)中の第80画素付近及び第120画素付近)の平均化輝度変化量が、他の部分に比べて極めて大きくなる。これに対して、路面画像Gが積雪状態へ移行すると、道路11の路面が雪で覆われて、高明度の車線境界線16と低明度のアスファルト舗装面との輝度値の格差が減少するので、図4(f)に示すように、車線境界線16とアスファルト舗装面との境界部分の平均化輝度変化量も低下するという性質を示す。
平均化輝度変化量を求めた後は、メイン装置2によって、計測線M1の線分上に存在する全画素の平均化輝度変化量とメモリ装置22に記憶されている微小変化除去閾値22l(例えば平均化輝度変化量の値が3未満)とを比較して、平均化輝度変化量が微小変化除去閾値22l以上となる画素のみを抽出する。つまり、平均化輝度変化量から微小変化除去閾値22l未満の値のものが除去されて、局所的に大きな値となる平均化輝度変化量のみが顕在化される。
具体的には、この抽出によれば、道路11に積雪がない場合には、図4(g)に示すように、車線境界線16と走行車線12及び追越し車線13のアスファルト舗装面との境界部分近傍における平均化輝度変化量のみが顕在化される。一方、車線境界線16とアスファルト舗装面との境界部分が不明となる程度にまで道路11に積雪した場合には、計測線M1上の画素全体がほぼ白色となるので、図4(h)に示すように、計測線M1と交差する車線境界線16とアスファルト舗装面との境界部分の平均化輝度変化量も微小変化除去閾値22l以下となって、計測線M1上のほぼ全画素について平均化輝度変化量が「0」となる。
平均化輝度変化量から微少変化が除去された後は、メイン装置2によって、計測線M1の線分上に存在する全画素の平均化輝度変化量のうち、微小変化除去閾値22l以上のものを合計してマーカ強度を求め、このマーカ強度をメモリ装置22のマーカ強度エリア22mへ記憶する。マーカ強度とは積雪の有無を示す判断基準となる数値であり、このマーカ強度がメモリ装置22に記憶されるマーカ判別レベル22n未満となった場合、メイン装置2のメモリ装置22に設けられるマーカ積雪フラグ22rをオンする。ここで、マーカ積雪フラグ22rとは、計測線M1を用いた積雪検知処理による判断結果を記憶するためのフラグであり、計測線M1に基づく積雪検知処理によって、積雪が検知される場合にオンされ、積雪が検知されない場合にオフされる。
次に、図5を参照して、路面画像Gの計測線M2を用いたメイン装置2による積雪検知処理について説明する。図5(a)及び図5(b)は、計測線M2上の各画素の輝度値を示すグラフ図であり、図5(c)及び図5(d)は、計測線M2上の各画素の平均化輝度値を示すグラフ図であり、図5(e)及び図5(f)は、平均化輝度変化量を示すグラフ図であり、図5(g)及び図5(h)は、計測線M2上の各画素の平均化輝度変化量のうち変化が微小なものを除去したグラフ図である。なお、図5(a)〜図5(h)の各グラフ図では、その横軸として、計測線M2の線分一端側から他端側までに順番に点在する画素を示している。
また、図5(a)、図5(c)、図5(e)及び図5(g)のグラフ図は、走行車両などの不要な移動体がない積雪時にワダチが計4本入った状態(図2(b)参照)で撮像された路面画像Gに基づいて得られるものである。図5(b)及び図5(d)のグラフ図は、走行車両などの不要な移動体がない非積雪時(図2(a)参照)に撮像された路面画像Gに基づいて得られるものを実線で、及び積雪時(図2(c)参照)に撮像された路面画像Gに基づいて得られるものを点線で示したものである。そして、図5(f)及び図5(h)のグラフ図は、走行車両などの不要な移動体がない非積雪時(図2(a)参照)及び積雪時(図2(c)参照)に撮像された路面画像Gに基づいて得られるものである。
まず、計測線M2を用いた積雪検知処理では、メイン装置2によって、計測線M2の線分上に位置する全画素について輝度値を計測して、メモリ装置22の輝度値エリア22iに一時的に記憶する。このとき、図2(b)に示すように道路11に積雪があり且つ4本のワダチが入っていれば、図5(a)に示すように、計測線M2とワダチ相当部分とが交差する部分の画素の輝度値が、その他の画素の輝度値に比べて低輝度となる。これは、計測線M2の線分上に存在する画素のうち、ワダチ相当部分からアスファルト舗装面が露出して低輝度となるのに対して、その他の積雪相当部分は積雪のために高輝度となるからである。
一方、道路11に積雪がなければ、図5(b)に実線で示すように、計測線M2における全画素の輝度値が全体として低輝度となる。計測線M2の線分上に存在する全画素がアスファルト舗装面が低明度で写り込むからである。また一方で、道路11が積雪があってもワダチが1本もなければ、図5(b)に点線で示すように、計測線M2における全画素の輝度値が全体として高輝度となる。計測線M2の線分上に存在する全画素に積雪して白色化した路面が高明度に写り込むからである。
計測線M2の線分上の輝度値の計測後は、メイン装置2によって、その計測された全画素の輝度値について、上記した計測線M1の場合と同様に、項数5の単純移動平均化を施して平均化輝度値を求めて、メモリ装置22の平均化輝度値エリア22kへ一時的一時的に記憶する。このように計測線M2の線分上に存在する全画素の輝度値について平均化輝度値を求めると、図5(c)及び図5(d)に示すように、平均化輝度値は、図5(a)及び図5(b)に示す輝度値に比べて高周波成分の振幅が減少されて、結果、計測線M2の線分上に存在する画素の輝度値の変化特性が平滑化される。
移動平均化後は、メイン装置2によって、計測線M2の線分上に存在する全画素の平均化輝度値について、上記した計測線M1の場合と同様に、中心差分化を施して平均化輝度変化量を求めて、メモリ装置22の平均化輝度値エリア22kに一時的に記憶する。具体的にあ、4本のワダチ入りの積雪状態の路面画像Gでは、図5(e)に示すように、計測線M2に交差するワダチ相当部分と積雪相当部分との境界部分の平均化輝度変化量が、他の部分に比べて極めて大きくなる。これに対して、ワダチのない積雪状態又は非積雪状態の路面画像Gでは、計測線M2上に存在する画素が全体として高輝度又は低輝度のいずれかにほぼ一定化するので、図5(f)に示すように、平均化輝度変化量が飛び抜けて極大となる部分もなく、平均化輝度変化量が全体的に低い値となる。
平均化輝度変化量を求めた後は、メイン装置2によって、上記した計測線M1の場合と同様に、計測線M2の線分上に存在する全画素の平均化輝度変化量のうち、上記した微小変化除去閾値22l以上となる画素のみを抽出する。具体的に、この抽出によれば、道路11にワダチ入りの積雪がある場合には、図5(g)に示すように、計測線M2と交差するワダチ相当部分と積雪相当部分との境界部分付近における平均化輝度変化量が顕在化される。
一方、計測線M2と交差するアスファルト舗装面にワダチ相当部分がなければ計測線M2上の画素全体が低明度又は高明度のいずれかにほぼ一定化するので、図5(h)に示すように、計測線M2上にあるほぼ全ての画素の平均化輝度変化量が微小変化除去閾値22l以下となる。従って、微小変化が除去された後は、計測線M2上にあるほぼ全ての画素の平均化輝度変化量が「0」となる。
平均化輝度変化量から微少変化が除去された後は、メイン装置2によって、計測線M2の線分上に存在する全画素の平均化輝度変化量のうち、微小変化除去閾値22l以上のものを合計してワダチ強度を求め、このワダチ強度をメモリ装置22のワダチ強度エリア22oへ記憶する。ワダチ強度とは積雪の有無を示す判断基準となる数値であり、このワダチ強度がメモリ装置22に記憶されるワダチ判別レベル22p未満となった場合、メイン装置2のメモリ装置22に設けられるワダチ積雪フラグ22sをオンする。ここで、ワダチ積雪フラグ22sとは、計測線M2を用いた積雪検知処理による判断結果を記憶するためのフラグであり、計測線M2に基づく積雪検知処理によって、積雪が検知される場合にオンされ、積雪が検知されない場合にオフされる。
以上説明した降雪検知処理および計測線M1,M2を用いた積雪検知処理に基づけば、雪検知システム1は、降雪、積雪、路面凍結または降雨があると判断される場合に、トンネル入口、トンネル内部の途中、又は、トンネル内部の出口側付近などに設置される道路情報表示器10に所定の文字情報を表示して、走行車両の運転者や同乗者に対して注意を喚起することができる。このように雪検知システム1を使用する場合、上記した各機器3〜9は、当該トンネルの出口外側に設置されることとなる。以下、この道路情報表示器10への文字情報表示処理について説明する。
なお、メイン装置2では、上記した不要移動体検知処理によってt2時点の路面画像Gに走行車両などの不要な通過物体の写り込みはないものと予測される毎、即ち、上記した降雪検知処理、及び、計測線M1,M2を用いた積雪検知処理が実行される毎に、道路情報表示器10への文字情報表示処理を実行する。つまり、走行車両などの不要な通過物体の写り込みがなければ、略1/10秒間隔で文字情報表示処理を実行する。もっとも、走行車両などの不要な通過物体の写り込みがある場合には、前回の文字情報表示処理による実行状態がそのまま保持される。
メイン装置2における文字情報表示処理では、その演算装置21が降水センサ7、気温センサ8及び路温センサ9の出力を常時監視しており、外気温センサ8の出力に基づく外気温が略10℃以上であるか否かによって、その処理が大きく2種類に大別される。
具体的には、演算装置21によって外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃以上であると判断される場合には、その後に外気温が略10度未満と判断されるようになるまで、後述する第1から第4の処理パターンのいずれかを実行する。一方、演算装置21によって外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満であると判断される場合には、その後に外気温が略10度以上と判断されるようになるまで、後述する第5から第12の処理パターンのいずれかを実行する。以下に、第1から第12の処理パターンについて説明する。
第1の処理パターンでは、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃以上と判断され、降水センサ7の出力に基づいて降水がないと判断される場合に、更に、路温センサ9の出力に基づいた路面温度が略3℃以上であるか否かを判断し、その結果、路面温度が略3℃以上であれば道路情報表示器10における各種表示を消灯するか、或いは消灯したままの状態を保持する。
第2の処理パターンでは、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃以上と判断され、降水センサ7の出力に基づいて降水がないと判断され、更に、路温センサ9の出力に基づく路面温度が略3℃未満と判断される場合に、道路情報表示器10に「路温低下」及び「スリップ注意」の文字が表示中であればその表示状態を保持するか、或いは、道路情報表示器10に何も表示がなければその状態を保持する。
第3の処理パターンでは、気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃以上と判断され、降水センサ7の出力に基づいて降水があると判断され、路温センサ9の出力に基づく路面温度が略1℃以上と判断される場合に、道路情報表示器10に「出口アメ」及び「走行注意」の文字を表示するか、或いは、既に表示中で有ればその表示状態を保持する。なお、「出口アメ」の表示は、トンネル出口で降雨があることを意味している。
第4の処理パターンでは、気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃以上と判断され、降水センサ7の出力に基づいて降水があると判断され、路温センサ9の出力に基づく路面温度が略1℃未満と判断される場合に、道路情報表示器10に「路温低下」及び「スリップ注意」の文字を表示するか、或いは、既に表示中であればその表示状態を保持する。
第5の処理パターンでは、気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断される場合に、更に、メモリ装置22に記憶されるマーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sを確認してそのいずれか一方のフラグがオンであれば、道路情報表示器10に「出口ユキ」及び「スリップ注意」の文字を表示するか、或いは、既に表示中であればその表示状態を保持する。なお、「出口ユキ」の表示は、トンネル出口で降雪または積雪があることを意味している。
第6の処理パターンでは、気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断され、メモリ装置22に記憶されるマーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sがいずれもオフの場合に、更に、現在時刻から急速低下判定時間(例えば略3分)だけ過去に遡る間に、気温が略30秒間以内に略3℃以上の低下することがあったか否かを判断し、そのような急速な温度低下があれば、道路情報表示器10に「出口ユキ」及び「スリップ注意」の文字を、急速低下判定時間と略等しい時間が経過するまで表示し続ける。
第7の処理パターンでは、気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断され、メモリ装置22に記憶されるマーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sがいずれもオフであって、上記した外気温の急速低下もない場合に、更に、メモリ装置22に記憶される降雪フラグ22qを確認して、その降雪フラグ22qがオンであれば、道路情報表示器10に「出口ユキ」及び「走行注意」の文字を表示するか、或いは、既に表示中であればその表示状態を保持する。
第8の処理パターンでは、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断され、マーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sがいずれもオフであって、上記した外気温の急速低下もなく、降雪フラグ22qがオフである場合に、更に、降水センサ7の出力に基づいて降水の有無を判断して降水があると判断され、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略2℃以上か否かを判断して略2℃未満と判断されれば、道路情報表示器10に「出口ユキ」及び「走行注意」の文字を表示するか、或いは、既に表示中であればその表示状態を保持する。
第9の処理パターンでは、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断され、マーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sがいずれもオフであって、上記した外気温の急速低下もなく、降雪フラグ22qがオフであり、降水センサ7の出力に基づいて降水があると判断され、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略2℃以上と判断される場合に、更に、路温センサ9の出力に基づいて路面温度が略1℃以上か否かを判断して略1℃以上と判断されれば、道路情報表示器10に「出口アメ」及び「走行注意」の文字を表示するか、或いは、既に表示中であればその表示状態を保持する。
第10の処理パターンでは、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断され、マーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sがいずれもオフであって、上記した外気温の急速低下もなく、降雪フラグ22qがオフであり、降水センサ7の出力に基づいて降水があると判断され、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略2℃以上と判断される場合に、更に、路温センサ9の出力に基づいて路面温度が略1℃以上か否かを判断して略1℃未満と判断されれば、道路情報表示器10に「路温低下」及び「スリップ注意」の文字を表示するか、或いは、既に表示中であればその表示状態を保持する。
第11の処理パターンでは、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断され、マーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sがいずれもオフであって、上記した外気温の急速低下もなく、降雪フラグ22qがオフであり、降水センサ7の出力に基づいて降水がないと判断される場合に、更に、路温センサ9の出力に基づいた路面温度が略3℃以上であるか否かを判断して略3℃以上であれば、道路情報表示器10における各種表示を消灯するか、或いは消灯したままの状態を保持する。
第12の処理パターンでは、外気温センサ8の出力に基づいて外気温が略10℃未満と判断され、マーカ積雪フラグ22r及びワダチ積雪フラグ22sがいずれもオフであって、上記した外気温の急速低下もなく、降雪フラグ22qがオフであり、降水センサ7の出力に基づいて降水がないと判断され、路温センサ9の出力に基づいた路面温度が略3℃未満と判断される場合に、道路情報表示器10に「路温低下」及び「スリップ注意」の文字が表示中であればその表示状態を保持するか、或いは、道路情報表示器10に何も表示がなければその状態を保持する。
以上のように本実施例の雪検知システムによれば、撮像カメラ3による降雪検知処理および積雪検知処理によって降雪や積雪が検知されないような場合であっても、その他の降水センサ7、気温センサ8及び路温センサ9の出力結果に基づいて降雪又は積雪が予測される場合には、降雪又は積雪があるものと判断をして、その判断結果を道路情報表示器10の表示状態に反映させることができる。この結果、降雪および積雪の検知精度を向上させることができるのである。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例では、雪検知システム1を、高速自動車道路の降雪及び積雪に応じた表示内容を道路情報表示器10に表示させるために使用した。しかしながら、本実施例の雪検知システム1を一般公道用に適用しても良い。
また、本実施例では、計測線M1が交差されるマーカとして車線境界線16を用いて説明したが、かかるマーカは必ずしも車線境界線16に限定されるものではなく、例えば、車道中央線、車道外側線、歩行者横断指導線、車道幅員の変更、路上障害物の接近、路上駐車場、導流帯などの他の区画線であっても良く、路面上に規制や指示を標示する道路標示であっても良い。
すなわちマーカは道路面と異なる明度をもって路面上に標示されるものであれば良い。従って、マーカの色彩も雪片色と近似する白色系が好適ではあるが、マーカ部分と非マーカ部分との明度差が明確であれば、マーカの色彩として白色系以外のものを採用しても良い。もっとも、白色系以外のマーカの場合は積雪検知の精度が低下する虞がある。
また、本実施例では、道路11として低明度のアスファルト舗装道路を用いて説明したが、雪検知システム1が適用される道路は、必ずしもアスファルト舗装に限定されるものではなく、適切にはマーカ部分と非マーカ部分との明度差が明確となるものであれば他の路面形態であっても良い。