JP4299985B2 - 2光子重合性組成物及びその光重合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は2光子吸収を利用して2光子重合反応を効率よく誘起する2光子重合性組成物に関し、2光子吸収の高い空間分解能に由来して、3次元超微細構造を光重合により作製することができる2光子超微細光造形に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、物質は励起エネルギーに相当するエネルギーの1光子を吸収して励起され、このエネルギーに満たないエネルギーの光子は吸収されない。しかし光の強度が非常に強い場合には、光子エネルギーの和が励起エネルギーに相当する2光子が同時に吸収されることがある(非共鳴2光子吸収)。この性質を利用すると光をレンズで絞り込んだ焦点付近のみで光反応を起こすことができ、空間の任意の位置を選択して励起状態を作って利用することができる。
【0003】
非共鳴2光子吸収により生成した励起状態を利用する応用例としては、3次元光記録や2光子造影、光治療(フォトダイナミックセラピー:PDT)、および2光子超微細光造形が知られている。特に、2光子超微細光造形では、非共鳴2光子吸収の空間分解能が非常に高いという利点を充分に利用して、非常に微小な空間で重合反応を起こさせることで、微細な3次元構造を作製することが可能である。
【0004】
しかしながら、非共鳴2光子吸収は非常に起こりにくい。2光子吸収の起こり易さを示す2光子吸収断面積は、通常非常に小さく1GM(ただし1GM=1×10-50 cm4 s molecule-1 photon-1)程度である。したがって、非共鳴2光子吸収を利用した種々の応用においても、いずれも感度は極めて低く、高パワーのレーザー光源が必要になるが、このことが非共鳴2光子吸収を応用する上で大きな障害となっている。
【0005】
近年、非共鳴2光子吸収断面積の比較的大きな化合物が報告されおり、それらの化合物を用いた2光子超微細光造形の例は、例えば以下の文献に記載されている。(すなわち、B.H.Cumpstonら、Nature,1999,398,51、K.D.Belfieldら、J.Phys.Org.Chem.,2000,13,837。)
【0006】
しかしこれらの例では、用いることが可能なレーザー光源の波長が730〜800nmと狭い範囲であり、この波長範囲に適合する極めて限られた2光子吸収化合物でしか効率的な2光子重合を行うことができないのが現状である。また、これらの文献に示された化合物の多くは、合成が難しく、また化合物の安定性も良くない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、幅広い波長範囲のレーザー光が使用できるように、使用するレーザー光の波長に合わせて2光子吸収波長を調整可能な2光子吸収化合物を含有し、2光子重合の感度が良く、合成が容易で安定性にも優れた2光子重合組成物及びその光重合方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らの鋭意検討の結果、2光子吸収波長の調整が容易に可能で、2光子吸収断面積が大きい化合物が重要であることに着目し、本発明が下記(1)及び(2)によって解決されることを見出した。
【0009】
(1) 少なくとも2光子吸収材料と重合性モノマーもしくは重合性オリゴマーとを含有し、2光子吸収により光重合可能な光重合性組成物であって、2光子吸収材料が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする2光子重合性組成物。
一般式(1)
X2−(−CR4=CR3−)m−C(=O)−(−CR1=CR2−)n−X1
(式中、X1 およびX2 は炭素数1〜16の鎖状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアミノ基、ハロゲン原子、炭素数2〜17のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアミド基、及び炭素原子数2〜10のヘテロ環基から選ばれた置換基によって置換されたアリール基もしくは無置換のアリール基、または炭素数1〜16の鎖状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアミノ基、ハロゲン原子、炭素数2〜17のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアミド基、及び炭素原子数2〜10のヘテロ環基から選ばれた置換基によって置換されたヘテロ環基もしくは無置換のヘテロ環基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の鎖状もしくは環状のアルキル基を表し、R1 とR 3 が互いに結合して5員、6員もしくは7員環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、複数個のR1 、R2 、R3 およびR4 は同一でもそれぞれ異なってもよく、nおよびmはそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
【0010】
(2) 上記の重合性組成物に、一般式(1)の化合物が有する線形吸収帯より長波長で、かつ、線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して誘起された2光子以上の多光子吸収を利用して重合反応を起こさせることを特徴とする光重合方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の2光子重合性組成物の態様を詳しく述べる。
本発明の2光子重合組成物は、少なくとも2光子吸収材料と重合性モノマーもしくは重合性オリゴマーとを含有し、2光子吸収により光重合可能な光重合性組成物であって、2光子吸収材料が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする。
【0012】
一般式(1)
X2−(−CR4=CR3−)m−C(=O)−(−CR1=CR2−)n−X1
(式中、X1 およびX2 は置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表し、R1 、R2 、R3 およびR4 のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、複数個のR1 、R2 、R3 およびR4 は同一でもそれぞれ異なってもよく、nおよびmはそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
【0013】
以下に一般式(1)で表される化合物について詳しく述べる。
一般式(1)において、X1 およびX2 はそれぞれ、好ましくは炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、または炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。
【0014】
一般式(1)のX1 およびX2 で表されるアリール基としては、好ましくは炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基であり、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、またはフェナンスレニル等を挙げることができ、フェニルまたはナフチルが好ましく、特にフェニルが好ましい。
【0015】
一般式(1)のX1 およびX2 で表されるヘテロ環基としては、好ましくは炭素数1〜10のヘテロ環基であり、更に好ましくは炭素数2〜9のヘテロ環基であり、ヘテロ原子として好ましいものは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子である。
ヘテロ環基の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、セレノフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ベンゾインドレニン、カルバゾール、ジベンゾフラン、および窒素原子が環を構成する場合には、その窒素原子が4級化された4級オニウムカチオン等が挙げられる。ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、キノリン、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾインドレニンおよび窒素原子が環を構成する場合にその窒素原子が4級化された4級オニウムカチオン等であり、より好ましくはピリジン、チオフェン、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾインドレニンおよび窒素原子が環を構成する場合にその窒素原子が4級化された4級オニウムカチオン等である。
【0016】
一般式(1)のX1 およびX2 は更に置換基を有しても良く、該置換基の例としては、例えば以下に記載のものを挙げることができる。炭素原子数1〜20の鎖状または環状アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル)、炭素数6〜18の置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル、クロロフェニル、アニシル、トルイル、1−ナフチル)、炭素原子数2〜20のアルケニル基(例えばビニル、2−メチルビニル)、炭素原子数2〜20のアルキニル基(例えば、エチニル、2−メチルエチニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、炭素数2〜20のアミノ基(例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ)、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素原子数2〜10のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、炭素原子数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基(例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、炭素原子数1〜20のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、炭素原子数6〜18のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、炭素原子数1〜10のカルバモイル基、炭素原子数1〜10のアミド基、炭素原子数2〜12のイミド基、炭素原子数2〜10のアシルオキシ基、炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜10のヘテロ環基(例えばピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリルなどの芳香族ヘテロ環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、ジオキサン環、ジチオラン環などの脂肪族ヘテロ環)。
【0017】
一般式(1)において、X1 およびX2 の置換基として好ましいものは、炭素数1〜16の鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアミノ基、ハロゲン原子、炭素数2〜17のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアミド基、炭素原子数2〜10のヘテロ環基であり、中でも好ましいものは、炭素数1〜10の鎖状または環状のアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数2〜10のアミノ基、塩素原子、臭素原子、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のカルバモイル基、炭素数1〜8のアミド基である。
【0018】
一般式(1)において、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表し、R1 、R2 、R3 およびR4 のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよい。
それらにより形成される環構造として好ましいのは、R1 とR3 がエチレン、プロピレンあるいはブチレン基を形成して5員環、6員環あるいは7員環を形成する場合であり、より好ましくは員環または6員環を形成する場合である。
【0019】
一般式(1)においてR1 、R2 、R3 及びR4 で表される置換基としては、上述のX1 およびX2 で表される基の置換基として挙げた基を挙げることができる。
【0020】
一般式(1)においてR1 、R2 、R3 およびR4 で挙げた置換基のうちの任意の2つ互いに結合して環を形成してもよい。
【0021】
一般式(1)において、nおよびmが2以上の場合、複数個のR1 、R2 、R3 およびR4 は同一でもそれぞれ異なってもよい。
【0022】
一般式(1)において、nおよびmはそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、その中でも1〜3が好ましく、1〜2が最も好ましい。
本発明の2光子吸収材料化合物は、ケトン化合物とアルデヒド化合物のアルドール縮合反応により合成した。
【0023】
以下に、本発明に用いられる一般式(1)で示される2光子吸収材料の具体例を挙げるが、本発明の範囲はこれらのみに限定されるものではない。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】
2光子吸収材料化合物の具体的合成例を示す。
【0035】
合成例1 化合物(1)の合成
p−(ジメチルアミノ)けい皮アルデヒド(17.5g、0.1mol)とシクロペンタノン(4.2g、0.05mol)をイソプロピルアルコール(2.4L)に溶解させ、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(1ml)を加え、40℃で1時間攪拌した。反応が進行するにともなって析出した結晶をろ過し、ろ別した結晶をクロロホルムに溶解させた後、メタノールを加え、析出した結晶をろ過した。濃赤色結晶11.0g(収率55%)。得られた化合物は1H NMRにより構造を確認した。
1H NMR(CDCl3−d1)
δ=2.86(s、4H、シクロペンタン環)、3.01(s、12H、ジメチルアミノ基)、6.67(d、4H、ベンゼン環)、7.39(d、4H、ベンゼン環)、6.76(t、2H、メチン鎖)、6.90(d、2H、メチン鎖)、7.24(d、2H、メチン鎖)
【0036】
合成例2 化合物(15)の合成
合成例1に示したシクロペンタノンの替わりにアセトン(2.9g、0.05mol)を用いる以外は合成例1と同様にして化合物(15)を合成した。濃赤色結晶3.8g(収率20%)。得られた化合物は1H NMRにより構造を確認した。
1H NMR(CDCl3−d1)
δ=3.01(s、12H、ジメチルアミノ基)、6.67(d、4H、ベンゼン環)、7.38(d、4H、ベンゼン環)、6.46(d、2H、メチン鎖)、6.76(m、2H、メチン鎖)、6.90(d、2H、メチン鎖)、7.48(m、2H、メチン鎖)
【0037】
合成例3 化合物(29)の合成
合成例1に示したシクロペンタノンの替わりに、シクロヘキサノン(4.9g、0.05mol)を用いる以外は合成例1と同様にして化合物(29)を合成した。濃赤色結晶7.2g(収率35%)。得られた化合物は1H NMRにより構造を確認した。
1H NMR(DMSO−d6)
δ=1.85(m、2H、シクロヘキサン環)、2.75(t、4H、シクロヘキサン環)、3.00(s、12H、ジメチルアミノ基)、6.66(d、4H、ベンゼン環)、7.39(d、4H、ベンゼン環)、6.89(m、4H、メチン鎖)、7.50(d、2H、メチン鎖)
本発明に用いられる重合性モノマーもしくは重合性オリゴマーとしては、例えばアクリル酸エステル類およびアクリロニトリル系化合物などのラジカル重合性化合物やビニルエーテル類、メチレンジオキソラン類、エポキシド類などのカチオン重合性化合物などが挙げられる。特に、光造形用液状光硬化性樹脂としては比較的体積収縮の小さい点でエポキシ系化合物が好ましく、熱特性と機械特性の点でウレタンアクリレート系が好ましい。
【0038】
光硬化性樹脂の具体例としては、旭電化工業製、HS−681,DMS−SOMOS社製、SOMOS8100、日本合成ゴム製、SCR−8100シリーズ、Vantico製、SL−7540などのエポキシ系樹脂、ディーメック社製、SCR−701および帝人(株)製、TSR−1938などのウレタンアクリレート系が挙げられる。
【0039】
本発明の組成物は、更に所望により結合剤、溶剤を含有していても良い。溶剤の例としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチススルホキシドなどのスルホキシド類、スルホランなどのスルホン類、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン、などのエーテル類;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール・ジアセトンアルコールなどのアルコール類;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフツ素系溶剤; エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレンングリコールモノエチルエーテル、プロピレンングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する化合物の溶解性を考慮して単独または二種以上組み合わせて用いることができる。本発明の組成物中にはさらに重合開始剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤などの各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0040】
高分子結合剤の例としては、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ボリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
本発明の組成物は用途に応じて、液状であっても、固体状であっても良い。
【0041】
次に、本発明の2光子重合方法について述べる。用いるレーザー光源としては、一般式(1)の化合物が有する線形吸収帯より長波長で、かつ、線形吸収の存在しない波長のレーザー光を用いる。具体的には、中心波長1000nm付近に発振波長を有する固体レーザー、780nm付近の発振波長を有する半導体レーザーや固体レーザー、620〜680nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザーや固体レーザーなどを用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明を具体的例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はそれらに限定されるものではない。
実施例1(1053nmのレーザー光を用いた2光子重合の例)
重合液組成
2光子吸収材料(表1) 0.1質量部
紫外線硬化樹脂 ディーメック社SCR-701 100質量部
【0043】
比較例
重合液組成
紫外線硬化樹脂 ディーメック社SCR-701を、2光子吸収材料を加えずに用いた。
【0044】
性能評価
波長1053nm、平均パワー250mW、尖頭パワー1kW、パルス幅3ps、繰り返し周波数82Hzのレーザービームをf=300mmのレンズを通して約100μmに集光して照射した。目視にて硬化の有無を判断した。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例2(780nmのレーザー光を用いた2光子重合の例)
重合液組成
2光子吸収材料(表2) 0.1質量部
紫外線硬化樹脂 ディーメック社SCR-701 100質量部
【0047】
性能評価
波長780nm、平均パワー40mW、尖頭パワー7kW、パルス幅100fs、繰り返し周波数48MHzのレーザービームをf=300mmのレンズを通して約100μmに集光して照射した。目視にて硬化の有無を判断した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】
以上の評価結果から、用いるレーザー光の種々の波長に対応可能で、2光子重合効率の良い2光子重合組成物を提供することができる。
Claims (2)
- 少なくとも2光子吸収材料と重合性モノマーもしくは重合性オリゴマーとを含有し、2光子吸収により光重合可能な光重合性組成物であって、2光子吸収材料が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする2光子重合性組成物。
一般式(1)
X2−(−CR4=CR3−)m−C(=O)−(−CR1=CR2−)n−X1
(式中、X1 およびX2 は炭素数1〜16の鎖状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアミノ基、ハロゲン原子、炭素数2〜17のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアミド基、及び炭素原子数2〜10のヘテロ環基から選ばれた置換基によって置換されたアリール基もしくは無置換のアリール基、または炭素数1〜16の鎖状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアミノ基、ハロゲン原子、炭素数2〜17のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアミド基、及び炭素原子数2〜10のヘテロ環基から選ばれた置換基によって置換されたヘテロ環基もしくは無置換のヘテロ環基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の鎖状もしくは環状のアルキル基を表し、R1 とR 3 が互いに結合して5員、6員もしくは7員環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、複数個のR1 、R2 、R3 およびR4 は同一でもそれぞれ異なってもよく、nおよびmはそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。) - 請求項1の重合性組成物に、一般式(1)の化合物が有する線形吸収帯より長波長で、かつ、線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して誘起された2光子以上の多光子吸収を利用して重合反応を起こさせることを特徴とする光重合方法。
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