JP4298946B2 - 電磁波遮蔽材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波遮蔽材に関する。
【0002】
【従来の技術】
高度情報化社会の発展、マルチメディア社会の到来により、電子機器から発生する電磁波が他の機器に対して、また人体に対して悪影響を及ぼす電磁波障害が、大きな社会問題となりつつある。電磁波環境がますます悪化していく中、電磁波に対する防御手段の1つとして、電磁波遮蔽材が開発されている。
【0003】
従来より、電磁波遮蔽材料として、金属被膜を付与した布帛が使用されている。布帛を形成する糸条としては、ガラス繊維等の無機繊維、ナイロンまたはポリエステル等の有機繊維ともに使用されており、各繊維の長所を生かした電磁波遮蔽材料が提供されている。例えば無機繊維からなる布帛では、寸法安定性に優れているが柔軟性や成型性の点では劣っていることが多く、有機繊維からなる布帛では、耐熱性に劣っていることが多かった。
【0004】
しかしながら、電磁波遮蔽材料は、▲1▼電磁波遮蔽性が優れている、▲2▼耐久性が高い、▲3▼軽量である、▲4▼耐熱性を有する、▲5▼柔軟性や成型性が優れているなどの多数の好ましい性質を全て有していることが望まれており、これら全ての性質において優れている電磁波遮蔽材料の出現が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性、耐久性、柔軟性が従来品よりも改善されており、かつ軽量で、さらに優れた電磁波遮蔽性能を有する電磁波遮蔽材を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、金属でめっきされた高強度有機合成繊維からなる素材が、上記課題を一挙に解決することを見出した。
また、高強度有機合成繊維を金属めっきしてめっき糸を作製し、該めっき糸を好ましくは2〜30mmに切断して、該切断されためっき糸を抄紙して、不織布を作製すれば、より優れた電磁波遮蔽性能を有することを知見した。
さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、[1](1)金属めっきされたパラ系アラミド繊維を含有する素材からなり、(2)該金属めっきされたパラ系アラミド繊維は、パラジウム金属粒子がシランカップリング剤を介して繊維表面に固着したパラ系アラミド繊維が無電解めっき処理されることにより、金、銀、銅、錫、アルミニウムまたはこれらの合金がめっきされており、(3)該素材が、金属めっきされたパラ系アラミド繊維を、メタ系アラミド繊維パルプを含有するバインダーと共に抄紙した布帛であることを特徴とする0.13GHz〜0.2GHzの周波数範囲の電磁波遮蔽材、
[2]パラ系アラミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維であることを特徴とする前記[1]に記載の電磁波遮蔽材、
[3]金属めっきされたパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維パルプとの重量比が90:10であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の電磁波遮蔽材、
[4]金属めっきされたパラ系アラミド繊維のカット長が、2〜30mmであることを特徴とする前記[3]に記載の電磁波遮蔽材、及び
[5]形状が成型板であることを特徴とする前記[1][4]のいずれかに記載の電磁波遮蔽材、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁波遮蔽材は、金属めっきされた引張強度が15cN/dtex以上の高強度有機合成繊維を含有する素材からなることを特長としている。かかる要件さえ満たしていれば、どのような構成であってもかまわない。
【0009】
本発明で用いられる高強度有機合成繊維としては、例えばパラ系アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ヘテロ環高性能繊維または高強度ポリエチレン繊維等が挙げられる。これら高強度有機合成繊維の中でも、パラ系アラミド繊維が好ましく用いられる。
【0010】
本発明に使用されるパラ系アラミド繊維としては、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名ケブラー)およびコポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名テクノーラ)などが挙げられる。パラ系アラミド繊維の中でも、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が特に好ましく使用される。
【0011】
本発明に使用される全芳香族ポリエステル繊維は、ポリアリレート繊維とも呼ばれる。全芳香族ポリエステル繊維としては、例えばパラヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリエステル、テレフタル酸とヒドロキノンからなるポリエステル、またはパラヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなるポリエステル繊維などが挙げられる。
全芳香族ポリエステル繊維は、公知またはそれに準ずる方法で製造でき、また、例えばベクトラン(商品名、株式会社クラレ製)などの市販品を用いることもできる。
【0012】
本発明に使用されるヘテロ環高性能繊維としては、例えばポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(以下、PBOと略す)繊維が挙げられる。上記繊維は、公知またはそれに準ずる方法で製造できる。また、例えば市販の繊維、例えばザイロン(商品名、東洋紡績株式会社製)を用いることもできる。
【0013】
本発明で使用される高強度ポリエチレン繊維としては、公知の方法に従って製造することができる。また例えば市販の繊維、例えばダイニーマ(商品名、東洋紡績株式会社製)等を使用することもできる。
【0014】
本発明で用いられる糸条としては、どのような糸条でもよく、例えばモノフィラメントまたはマルチフィラメントでもよく、製紐糸でもよい。さらに、単繊維を引きそろえて撚った糸でも、単繊維を引きそろえただけの糸でもよい。上述した糸条は、公知またはそれに準ずる方法で製造することができる。
【0015】
高強度有機合成繊維を使用して布帛を作製する。布帛とは、編物、織物および不織布を意味する。本発明にかかる金属めっきされた高強度有機合成繊維を含有する素材としては、布帛形成後に金属めっきした素材または布帛形成前の糸条を金属めっきし、金属めっきされた糸条を使用して作製した素材が考えられる。本発明においては、布帛形成前の糸条を金属めっきし、金属めっきされた糸条を使用して作製した素材である方が好ましい。
【0016】
上述した高強度有機合成繊維をめっき工程に付し、繊維を金属めっきする。金属めっきの方法は、公知の方法で行われてよく、例えば蒸着法、スパッタ法、電解めっき法または無電解めっき法が挙げられる。中でも、無電解めっき法が好ましく用いられる。以下、好ましい実施の態様である無電解めっき法について説明する。
【0017】
無電解めっき法の好ましい実施態様のひとつによれば、金属をその表面に固着してなる高強度有機合成繊維は次のようにして造られる。すなわち、まず第一に、高強度有機合成繊維をエッチング処理する工程を行う、次いでエッチング処理した高強度有機合成繊維にシランカップリング剤を作用させてシランカップリング剤が繊維表面に固着した高強度有機合成繊維を造る、さらに繊維表面に固着したシランカップリング剤をメタライズ処理して金属粒子がシランカップリング剤を介して繊維表面に固着した高強度有機合成繊維を造る、そして、メタライズ処理した高強度有機合成繊維を上記金属よりもイオン化傾向が大であるめっき金属の化合物を用いて無電解めっき処理することによって金属めっきを施された高強度有機合成繊維が提供される。
【0018】
無電解めっき法の他の好ましい実施態様によれば、上記エッチング処理の工程を省略する。例えばすでにミクロボイドのあるポリパラフェニレンテレフタルアミド糸や、例えば紙ヤスリなどを使用する擦過処理、プラズマ処理などにより表面にすでに凹凸がある高強度有機合成繊維の場合にはエッチング処理を省略してもよい。
ここにおいて、処理工程が連続する場合、それぞれの処理工程を終えた後、被処理物を水洗して、付着している薬品を取り除くことは、通常行われているところであり、本発明においても通常に従い適宜行われる。
【0019】
ここにおけるエッチング処理とは繊維の表面積を大きくするために行うものであって、これによって高強度有機合成繊維の表面にポーラスな構造を与える。エッチング処理のために使用される方法はクロム酸硫酸混液を使用し、これに高強度有機合成繊維を浸漬する方法が採られる。使用されるクロム酸硫酸混液は無水クロム酸、重クロム酸カリウムまたは重クロム酸ナトリウム等またはその水溶液と濃硫酸との混合溶液であって、種々の濃度のものが知られているが、特に限定されるものではない。
【0020】
混液1L当たり5gから500gの無水クロム酸またはクロム酸塩と濃硫酸100mLから950mLを含むもの、好ましくは3gから500gの無水クロム酸またはクロム酸塩と濃硫酸150mLから850mLを含むものが使用される。浸漬は40℃から70℃で、時間は2分から25分の間で適宜選択して行われる。
浸漬時間は薬液の濃度、温度等により様々であるが、約1〜30分程度、好ましくは約5〜20分程度である。
浸漬処理された高強度有機合成繊維は、水洗洗浄されて混液を取り除き、さらに付着している六価クロムを無害化するために、亜硫酸ソーダ、亜硫酸水、ロンガリット等の水溶液に浸漬洗浄処理される。これによって六価クロムは還元されて三価のクロムに変わると共に、高強度有機合成繊維から除かれる。
【0021】
ここに得られる高強度有機合成繊維はシランカップリング剤で処理される。用いられるシランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリンシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアジンシラン等のアミノシラン類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロルシラン類、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリルシラン類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類が挙げられる。
ここに挙げられたシランカップリング剤の中でも、本発明に好ましいのは窒素原子を持っているもの、特に二個以上の窒素原子を持っているものが好ましい。
【0022】
ここに用いられるシランカップリング剤は、適宜溶媒にとかして使用される。該溶媒としては、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の低級アルコール、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテルが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用される。
シランカップリング剤の高強度有機合成繊維への固着は、シランカップリング剤を約0.01〜20容量%程度、好ましくは約0.1〜5容量%程度の濃度に溶解した溶液に繊維を浸漬して行なわれる。
こうして得られた繊維の表面にシランカップリング剤を固着した高強度有機合成繊維は、メタライズ処理を施され、当該シランカップリング剤に金属粒子を結合させる。これにより、金属粒子がシランカップリング剤を介して繊維表面に固着した高強度有機合成繊維を得る。金属粒子の金属としては、好ましくは遷移金属である。
【0023】
ここにおいて、メタライズ処理は、塩化パラジウム水溶液を使用して、塩化第一錫、塩酸、水を含む溶液と塩化パラジウム、塩酸、水を含む溶液の順に使用して、さらには塩化パラジウムと塩化錫の混合物、塩酸、水を含む溶液を使用して、シランカップリング剤が繊維表面に固着した高強度有機合成繊維を浸漬することにより行われる。このような処理によりパラジウム金属粒子がシランカップリング剤を介して繊維表面に固着している高強度有機合成繊維が得られる。
高強度有機合成繊維にかかる処理を施すことによって、この後に続く無電解めっき処理において析出するめっき金属の固着性の向上と、むらのないデポジットが期待できる。
【0024】
上述したようにして得られた金属粒子がシランカップリング剤を介して繊維表面に固着した高強度有機合成繊維は無電解めっき処理されることにより、本願発明の金属めっきを施された高強度有機合成繊維が提供される。ここにおいて無電解めっき処理は以下のようにして行われる。
すなわち、無電解めっきは金属化合物の水溶液に還元剤を加えることにより被めっき物の上に金属を析出せしめ、これにより金属被膜を形成するものである。ここで用いられる金属としては上記の金属粒子の金属よりもイオン化傾向がより大きい金属であればどのようなものでもよく、銅、ニッケル、コバルト、錫、銀、金等であり、単独で使用される場合の他、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、硼素、燐等との合金としての被膜形成に使用される。中でも好ましいのは、金、銀、銅、錫、アルミニウムまたはこれらの合金である。
これら金属は塩として水溶液の調製に使用される。例えば、硫酸銅、塩基性炭酸銅、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、塩化コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化第一錫、硝酸銀、青化銀カリウム、塩化金、青化金カリウム等の塩が使用される。
【0025】
次に使用される還元剤としては、ホルムアルデヒド、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン酸付加塩、次亜燐酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、酒石酸またはその塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩)、ブドウ糖等が挙げられる。
また無電解めっきは金属の析出反応の進行につれて、主成分の金属塩や還元剤が不足してくるので、それの補充を行わなければならないことは当然のこと、その他に還元剤が酸化されて起こるめっき浴中のpHの変化や生成物によるめっき浴の老化促進などが起こるので、各種の化合物を添加することが行われる。
添加される化合物としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、クエン酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、エチレンジアミン、ジエチルトリアミン、トリエチレンテトラミン、マロン酸、グルタミン酸、乳酸、ロッセル塩等が挙げられる。
【0026】
ちなみに、無電解めっき浴を例示すれば、次のようなものがある。すなわち、
銅の場合
硫酸銅、炭酸ナトリウム、酒石酸塩、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウムの水溶液、ホルマリン水溶液を混合したもの
ニッケルの場合
硫酸ニッケル、次亜燐酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウムの水溶液混合物
ニッケル−コバルトの場合
塩化ニッケル、塩化コバルト、塩酸ヒドラジン、酒石酸ナトリウム、チオ尿素の水溶液を混合したもの
等々が挙げられる。
またさらに上記のように無電解処理して得られる金属めっき高強度有機合成繊維をさらに常法に従って、よりイオン化傾向の大きい金属で(例えば金めっき、プラチナめっき、パラジウムめっき等)で電解めっきしてもよい。
【0027】
また形成される金属めっき層の厚さは特に限定されないが、約0.3〜10μm程度であることが好ましく、約1.0〜5.0μm程度がより好ましい。
【0028】
本発明にかかる素材としてはすでに記載したように、布帛の形態をとっていることが好ましく、そのような布帛としては例えば、編物、織物または不織布等が挙げられる。
織物の織成方法としては、公知の方法に従ってよい。織成方法(織り方)としては、例えば平織、綾織、斜文織、からみ織、朱子織、三軸織または横縞織等、いかなるものであってもよい。織成は、例えばジェット織機(エアージェット織機、ウォータージェット織機)、スルザー織機またはレピヤー織機等の自体公知の織機を用いる等、自体公知の方法に従って容易に行うことができる。
また、編成方法(編み方)としては、例えば平編み、ゴム編みまたはパール編みなどの横編み、シングルデンビ編、シングルコード編、二目編などの縦編み等が挙げられる。編成は、例えば丸編機等の自体公知の横編機または縦編機を使用してよい。
【0029】
さらに、本発明にかかる素材の形態として、不織布が挙げられる。不織布の作製方法は公知の方法に従ってよい。さらに不織布は、乾式不織布でも湿式不織布のどちらでもかまわないが、湿式不織布の方が好ましい。以下、好ましい不織布の製造方法を説明する。
【0030】
はじめに金属でめっきされた糸条を短く切断する。このとき、糸条を切断する時の長さを本明細書では、「カット長」と記載するが、このカット長は、約2〜30mm程度であることが好ましい。次いで、切断した糸条を水等に分散させて、ここに所望によりバインダーを添加して、抄紙する。このときに添加されるバインダーは、例えばめっきする繊維よりも融点の低い繊維や、繊維の直径が小さく、フィブリル化しやすいパルプ、例えばメタ系アラミド繊維パルプまたはパラ系アラミド繊維パルプなどが挙げられる。また必要によりエポキシ樹脂などの樹脂バインダーを併用してもよい。抄紙後、さらに所望により、ここでエポキシ樹脂等の樹脂バインダーを噴霧してもよい。最後に、抄紙した不織布をカレンダー処理に付す。カレンダー処理に付すことにより、布帛の密度が上がり、不織布強度が向上するため好ましい。
【0031】
上記布帛の密度は、特に限定されないが、電磁波遮蔽性能をより高めるために、約0.8g/cm程度以上であることが好ましい。さらに好ましくは、約1g/cm程度以上である。密度が約1g/cm程度以上である場合、約98%以上、電磁波を遮蔽できる。
【0032】
本発明にかかる電磁波遮蔽材の形状は、成型板であってもよい。つまり、布帛状である素材に樹脂を含浸させた後、熱プレスして成型板にすることも好ましい。そのような樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂等が挙げられる。樹脂を含浸する方法は、例えば加工しやすい濃度に調製した樹脂液中に布帛状物を浸漬し、マングルなどで適度な付着量になるように絞った後乾燥し、所望によりプレス機で熱をかけた状態でプレスして成型し、所望の形状を得る方法等が挙げられる。
また、本発明にかかる布帛は、柔軟性に富んでいるため、自在に形状を変えることもできる。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例を用いて、より詳細に説明する。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0034】
〔実施例1〕
原糸の引張強度が20cN/dTexの1670dTex、1000フィラメントの東レ・デュポン(株)製KEVLER(R)糸を、溶液1L中に無水クロム酸5g、硫酸800mLを含む溶液に60℃で15分間浸漬後水洗し、5%亜硫酸水溶液に25℃で5分間浸漬し水洗した。次に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.3%水溶液に40℃で3分間浸漬後水洗し、さらに溶液1L中に塩化第一錫20g、塩酸40mLを含む水溶液に25℃で5分間浸漬後水洗し、次いで、溶液1L中に塩化パラジウム0.15g、塩酸0.2mLを含む溶液に25℃で5分間浸漬し、水洗した。次に、5%硫酸水溶液に50℃で5分間浸漬し、水洗した。さらに、溶液1L中、硫酸銅7g、ロッセル塩20g、炭酸ナトリウム2g、水酸化ナトリウム5g、ホルマリン25mLを含む水溶液に25℃で30分間浸漬した後、水洗、乾燥し、銅が繊維表面に1μm付着した繊維を得た。
この繊維をギロチンカッターで5mmの長さにカットし、バインダーにデュポン(株)製のノーメックスパルプを用い、めっき糸とパルプの重量比90:10で熊谷理機工業(株)製の抄紙試験機で抄紙した。次に140℃で15秒間乾燥後、由利ロール(株)製のカレンダー機で300℃、4m/分、線圧450kg/Cmでカレンダー加工し、厚さ105μm、目付85g/mの湿式不織布を得た。
【0035】
〔実施例2〕
実施例1で得た不織布をジャパンエポキシレジン(株)製のエポキシ樹脂「エピコート」をメチルエチルケトンで希釈した溶液中に浸漬後、硬質ゴムのマングルでしぼり、乾燥機で150℃で3分間乾燥して、エポキシ樹脂付着率が70%の半硬化樹脂板を得た。この樹脂板を鉄板にはさみ、熱プレス機で200℃、60分間、線圧50kg/Cmでプレスして成型板を得た。成型板の厚さは、120μm、目付は150g/mであった。
【0036】
実施例1で作製した電磁波遮蔽材の電磁波遮蔽性を、日本ヒューレットパッカード(株)製の光コンポーネントアナライザーシステムを用い、KEC(関西電子工業振興センター)法で130MHz〜2.0GHzの周波数範囲の電界波の減衰(dB)を測定した。計測結果を下記表に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004298946
【0038】
上記表より、本発明の電磁波遮蔽材は、0.1〜2.0GHzの領域において、約98%以上、電磁波を遮蔽できることがわかった。
【0039】
実施例1で作製した電磁波遮蔽材の表面抵抗を、三菱ケミカル(株)製のLoresta−GP MCP−T600機で計測した。同時に、金属であるアルミニウム箔と、銅−ニッケルでめっきした織物についても、表面抵抗を計測した。計測結果を下記表に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0004298946
【0041】
上記表より、従来品であるめっき織物に比べて、本発明の電磁波遮蔽材は、表面抵抗に優れていることがわかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の電磁波遮蔽材は、耐熱性、耐久性、柔軟性に優れており、かつ軽量である。さらに、本発明の電磁波遮蔽材は、金属と同等程度の反射特性や表面抵抗を有しており、優れた電磁波遮蔽性能を有している。従って、耐久性や耐熱性が要求され、さらに軽量の電磁波遮蔽材が望まれる分野に多大に貢献できる素材である。

Claims (5)

  1. (1)金属めっきされたパラ系アラミド繊維を含有する素材からなり、(2)該金属めっきされたパラ系アラミド繊維は、パラジウム金属粒子がシランカップリング剤を介して繊維表面に固着したパラ系アラミド繊維が無電解めっき処理されることにより、金、銀、銅、錫、アルミニウムまたはこれらの合金がめっきされており、(3)該素材が、金属めっきされたパラ系アラミド繊維を、メタ系アラミド繊維パルプを含有するバインダーと共に抄紙した布帛であることを特徴とする0.13GHz〜0.2GHzの周波数範囲の電磁波遮蔽材。
  2. パラ系アラミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽材。
  3. 金属めっきされたパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維パルプとの重量比が90:10であることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波遮蔽材。
  4. 金属めっきされたパラ系アラミド繊維のカット長が、2〜30mmであることを特徴とする請求項3に記載の電磁波遮蔽材。
  5. 形状が成型板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波遮蔽材。
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