JP4298512B2 - 脱銅剤 - Google Patents

Description

この発明は銃身の内表面から銅堆積物を除去するために有効なあらゆる種類の発射薬への添加剤に関する。特に複合添加剤は発射薬中に混合された微粉砕された脱銅剤を有する。

殆どの銃は発射された弾丸に安定したスピンを与える旋条内腔を有する銃身を持つ。内腔は銃から発射される弾丸の数を増やすように侵食摩耗を最少とするためにクロムのような硬い表面材料で被覆されることができる。

典型的に大きな口径の弾丸は内腔の直径よりわずかに小さな直径を持つ。一つまたはそれ以上の閉塞体、または弾帯が弾丸の周囲を囲む。弾帯では弾丸の直径は銃身の内径よりわずかに大きい。弾丸が発射されるとき、弾帯は弾丸に安定したスピンを与える管の長さ全体を通しての旋条と接触して、旋条により刻み込まれる。ライフル及びピストルのための弾丸は通常弾帯を持たないが、それらは旋条により刻み込まれるトムバック（黄銅の１種）から作られたジャケットを持つことが多い。

銃身は鋼のような材料から製造され、時にはクロム表面のような硬い材料で被覆される。銃身は典型的には銅または銅合金である弾帯またはジャケットより硬い。結果として、弾帯またはジャケットからの銅の一部が銃身の内側の旋条上に堆積する。「銅ファウリング（かす）」と呼ばれるこの銅堆積物は弾丸の弾道に影響し、大きなファウリングは発射前に銃身内に弾丸が適切に挿入され、着座し、配置されるのを妨げる。

銅ファウリングは現在１５５ミリ榴弾砲のような大きな砲火器のための主要な問題であり、また２０ミリ砲のような小口径及び中口径砲でも注目されている。無鉛雷管の使用のためライフルにおいて今日より大きな問題となっている。以前は雷管は鉛を含んでいて、その少量の鉛が脱銅剤として作用した。現在の銅ファウリングに対する解決策は脱銅剤の発射薬中への包含である。脱銅剤は銃身または旋条を損傷することなく銅を除去する。

普通の脱銅剤は発射薬と弾丸との間に置かれた鉛箔のシートである。発射薬装薬の点火により、鉛は蒸発させられ銅中に拡散する。結果として生じた合金はもろく、容易に粉砕される。燃焼発射薬により発生した熱と発射薬ガスの機械的運動の組合せがもろい鉛／銅合金を銃身表面から分離する。破砕された破片は銃口から発射薬ガスと共にはきのけられる。

何故鉛箔が脱銅剤として効果的であるかに関しての第二理論は燃焼発射薬により発生した熱が鉛箔を溶融することである。液体鉛は銅堆積物と接触し、銅を溶解し、銅を含む鉛溶液が液体として発射薬ガスと共に銃口から放出される。

金属鉛及び鉛化合物は効果的な脱銅剤であるが、これらの物質は火器周りで作業する人間に対して有毒である。無鉛脱銅剤に対する要求がある。

提案された無鉛脱銅剤の中にビスマス、次炭酸ビスマス（ＢｉＣＯ．ｓｕｂ．３）、スズ及びスズ合金がある。ビスマス化合物は非常にもろく、金属ビスマスでさえ鉛のように薄い箔に圧延されることができない。ビスマス金属と他の金属との合金は箔に圧延されることができるが、それらの合金は非常に高価で、脱銅剤として効果が少ない。発射薬装薬に添加されるであろう特別に作られたニトロセルロース結合剤中のビスマスのペレットを用いる解決策もある。

従って、効果的に無鉛脱銅剤を発射薬中に導入する方法に対する要求が残っている。脱銅剤を発射薬組成物内に包含させることは特別に作られた脱銅添加物を装薬に添加する必要があるときにそれをより容易にかつより安価にする。

銃身の内腔の旋条から銅を除去するために発射薬中に混入される脱銅剤が提供される。この脱銅剤は本質的に他の発射薬化合物と一緒に混合される無鉛粉状添加物からなる。スズとビスマスの混合物が非常に良好な脱銅剤であることを我々は見出した。特に、スズとビスマス間の比は１０−６２％Ｓｎと９０−３８％Ｂｉである。特に比４２％Ｓｎ／５８％Ｂｉにおいて、この組合せの融点は１３８℃である。それぞれの成分よりかなり低い。それは全ての種類の適当なスズ及びビスマス化合物であることができる。金属ビスマス、ビスマス合金、ビスマス化合物、金属スズ、スズ合金及びスズ化合物からなる群から適当に選ばれる。ビスマス及びスズはいずれも発射薬が点火されるとき蒸発しまたは液化し、いずれも除去を容易とするように銅堆積物をもろくしまたは溶解する。

従って、この発明の目的は発射薬に包含される本質的に無鉛脱銅剤を提供することである。脱銅剤が発射薬の一部であり均質的に分配されていることがこの発明の特徴である。

脱銅剤が銃身に対してかつ銃身を通して発射薬ガスと共に分配されることがこの発明の利点である。脱銅剤が発射薬中に包含されているとき、それはまた火薬ガスが常に同じ量の脱銅剤を含むことを意味する。

この発明の持つ最大の利点は脱銅剤が常にそこにあり、それが装填をより容易にかつより安価にすることである。特別に作られた脱銅のための物質を持つ別個の容器に対する必要がない。

Claims (1)

1. 発射薬のための脱銅剤であって、それが銃身から銅堆積物を効果的に除去するための金属ビスマス、ビスマス合金、ビスマス化合物、金属スズ、スズ合金及びスズ化合物からなる群から選ばれたスズとビスマス化合物との混合物からなる本質的に無鉛粉状添加物を含み、この脱銅剤が燃焼したとき最少量の残留物を発生するあらゆる種類の発射薬中に混合されることができるものにおいて、混合物が４２％Ｓｎと５８％Ｂｉであることを特徴とする脱銅剤。