JP4298330B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トレッド部の幅方向断面内の強力とくに内層側の強力を高めて、トレッド押込力に対する耐性を高めた、主には、トラック、バス等に用いて好適な重荷重用の空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の重荷重用の空気入りタイヤでは、ベルト層コードのタイヤ周方向に対する角度が10〜30度であって、層間でベルト層コードが相互に交差する複数のベルト層からなる交差ベルトおよび、タイヤ周方向に対する角度が40〜70度のベルト層コードからなる傾斜ベルトを、カーカスのクラウン部の外周側に配設したベルト構造が採用されている。
また、特開平2−208101号公報および特開2000−203215号公報に記載されているように、ベルト層の外層側を補強するベルト強化層が設けられたものもある。
これらの構造により、車両の高速化および負荷増大等の輸送効率の向上に対応して、内圧充填時の径成長を抑制することにより、ベルトの耐久性を向上させ、クラウン部を強化している。
【0003】
しかしながら、市場における故障発生率の低減の要求に対しては、上記のいずれの構造でも十分とはいえず、特に、偏平率が低く、踏面幅が広いタイヤでは、路面走行時にトレッドが石を踏み込む等の突起入力がトレッド踏面に生じた場合に、パンクもしくはバーストのおそれが依然としてあった。
【0004】
汎用サイズのタイヤ(偏平率が70%以上かつ、タイヤ断面幅が300mm未満)では、トレッド踏面に突起入力が生じた場合に、ショルダー部及びサイドウォール部がタイヤ赤道面に向けて共に内傾して変形するために、カーカスは破断しにくく、偏平率の低いタイヤでは、内圧充填時において、トレッド部の周方向の張力に対する幅方向の張力の比率が小さくなり、例えば路面走行時に石を踏むこと等を原因としてトレッド表面に作用する半径方向内側へ向かう力、つまり、突起入力に対して、ショルダー部及びサイドウォール部がタイヤ赤道面に向けて内傾して変形しないため、突起入力をトレッド面の変形のみで請負い、かつ、周方向断面内の曲げ剛性に比べて幅方向断面内の曲げ剛性が相対的に小さいため、周方向での変形よりも幅方向での変形のほうが大きくなる傾向があることが最近明らかになってきた。
【0005】
このような傾向を持つ偏平率の低いタイヤでは、負荷転動中に突起入力を繰り返して受けた場合または非常に大きな突起入力を受けた場合に、幅方向断面内の曲げ剛性の発揮に寄与する、主にはカーカスが、周方向断面内の曲げ剛性の発揮に寄与する、主にはベルトに先行して破断するおそれがあり、カーカスが先に破断すると、ベルトが先に破断する場合に比べ、より簡単にパンクやトレッドバーストに至るという問題点があった。
【0006】
ところで、トレッド部の、幅方向断面内の曲げ剛性を高めるための方策としては、カーカスプライコードの大径化、カーカスプライコードの打ち込み本数の増加等が挙げられるが、これらのいずれによっても、タイヤ全体の重量が増加する他、カーカスの巻上げ端で生じる剛性段差が大きくなって、カーカスの巻上げ端のセパレーション等により、カーカスの耐久性が低下するというデメリットが生じる。
【0007】
トレッド部の、幅方向断面内の曲げ剛性を高める他の方策として、スチールコードを幅方向に引きそろえた幅方向強化層を設けることが、特表2002−514538号公報に記載されており、そこでは、ベルト層より狭幅の幅方向強化層をベルト層間に設ける構造を採用しているため、カーカスプライコードを大径化したり打ち込み本数を増やすことに較べ、重量増加は抑制できる。しかし、突起入力によるカーカスの先行破断を防止する効果は十分ではなかった。幅方向強化層の配置位置と耐突起性能の関係を調べた結果、カーカスへの入力は突起入力に起因する曲げでの引張入力であるため、幅方向強化層は曲げの外側であるカーカスに隣接する位置に配置することが効果的であることがわかった。
【0008】
そこで出願人は先に、カーカスとベルトとの間に幅方向強化層を配設することによって、カーカスプライコードの打ち込み本数の増加やカーカスプライコードの大径化に比して、重量増加を抑制しつつ、突起入力に起因してカーカスに作用する力を、幅方向強化層の曲げ剛性により負担して、カーカスの曲げ変形を抑制し、かつ、カーカスに隣接させることでカーカスへの突起貫入による引張入力を大幅に緩和することにより、突起入力に対するカーカスの耐久性能を向上できることを確認し、特願2002−189092号として提案している。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−208101号公報
【特許文献2】
特開2000−203215号公報
【特許文献3】
特表2002−514538号公報
【特許文献4】
特願2002−189092号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年のタイヤトレッドの更正に対する要求の高まりの中で、しかも複数回の更正を行う場合等の、内圧充填時の拡径変形および負荷走行時の変形の、多数回の繰返しにより、先の提案技術によってなお、カーカスとベルトとの間に配設した幅方向強化層自体の幅方向端にも、トレッド幅方向断面内での剛性段差に起因する歪の集中が生じ、そこからセパレーションが発生するおそれが生じてきた。
【0011】
本発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、タイヤ全体の重量の増加を抑制し、カーカスの耐久性の低下を招くことなく、トレッド部の幅方向の曲げ剛性を効果的に高めて、かつ、カーカスへの引張入力を緩和することにより、カーカスが、ベルトや強化層等の他の補強部材に先行して破断することを防止することができ、かつ、幅方向強化層の幅方向端のセパレーションをも防止できる重荷重用の空気入りタイヤを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る空気入りタイヤは、一枚以上のカーカスプライをトロイダルに配設してなるカーカスのクラウン部の外周側にトレッドゴムを配設し、このトレッドゴムとカーカスとの間に、一層以上のベルト層よりなるベルトを配設し、ベルト層コードをタイヤ周方向に対して傾斜させて延在させてなる空気入りタイヤであって、 カーカスのクラウン部の内周側に隣接する位置に、タイヤ周方向に対する傾き角を90±20度の範囲内で延在させた直状コードにて形成した一層以上の幅方向強化層を配設し、ベルトの内周側、外周側またはベルト層間に、ほぼタイヤ周方向に延在させた補強コードにて形成した一層以上の周方向強化層を配設してなる。
【0013】
このタイヤでは、トレッド部に突起入力があった場合に、カーカスの内周側に隣接させて配設した幅方向強化層の、タイヤ周方向とほぼ直交する方向に延在させた直状コードに、それの張力をもってカーカスとともに突起入力を支持させることにより、トレッド幅方向断面内の曲げ剛性を高めることができ、カーカスの曲げ変形を抑制し、かつ、カーカスへの引張入力を緩和することにより、カーカスが、ベルトや周方向強化層等の他の補強部材に先行して破断することを防止することができる。
【0014】
また、ここでは、幅方向強化層を、カーカスのクラウン部のみに配設することにより、タイヤ全体の重量の増加を抑制し、カーカスの耐久性を低下させずに、より効果的に幅方向断面内の曲げ剛性を高め、かつ、カーカスへの引張入力を緩和することができる。
さらに、幅方向強化層をカーカスの内周側に配置することにより、内圧充填時の拡径変形、負荷走行時の繰り返し変形による幅方向強化層端への歪の集中をカーカスにより遮断することで回避することにより、セパレーションが発生することを防止することができる。
【0015】
幅方向強化層の直状コードの、タイヤ周方向に対してなす傾き角を90±20度の範囲内とする。
これによれば、タイヤ幅方向に±20度の角度を持つ直状コードにより、幅方向断面内の曲げ剛性を高め、かつ、周方向断面内の曲げ剛性を若干もたせて、タイヤ成型時に幅方向強化層に周方向の力が加わって、直状コードの打ち込みの乱れが発生することを防止することができる。
【0016】
すなわち、直状コードとタイヤ周方向とのなす傾き角は、幅方向断面内の曲げ剛性のみを高めることを考えれば90度が適切である。他方、成型時にタイヤ周方向に引っ張り力が働くと、90°に延びる直状コードでは張力負担ができない結果として、コードの配列の乱れが発生しやすく、その配列の乱れを防止するためには90度に対し角度を有することが好ましいが、傾き角が90±20度の範囲を逸脱すると急激に幅方向の曲げ剛性が低下する。このため、これらのことを考慮して適切な傾き角の範囲を90±20度としている。
【0017】
ベルトの内周側、外周側またはベルト層間に、ほぼタイヤ周方向に延在させた補強コードにて形成した一層以上の周方向強化層を配設する。
これによれば、周方向強化層の補強コードによりタイヤ周方向の張力を負担して、ベルトの径成長をより効果的に抑制することができ、ベルトとトレッドゴムとの間のセパレーションを防止することができる。
【0018】
ここで好ましくは、補強コードを、波状もしくはジグザグ状をなす迂曲コードとする。
これによれば、タイヤの加硫成形時において、タイヤ半径方向への必要な変形を確保して、生タイヤをブラダーにより膨径させて、生タイヤの表面をモールドに押付けて、加硫後に製品タイヤの形状とする工程を、より有利なものとすることができる。
【0019】
さらに、ベルト層コードのタイヤ周方向に対する傾き角を10度〜60度とすることが好ましい。
これによれば、タイヤ幅方向および周方向の力をベルト層コードの張力によって負担することができるので、旋回走行に必要な横力および、加速時および制動時の、駆動力および制動力の発生を確保し、なおかつ、トレッド接地面に局所的に受けた衝撃、変形をも同じくベルト層コードの張力により広く分散させることができる。
ベルト層コードのタイヤ周方向に対する傾き角が、10度未満では横力が不足し、60度を越えると駆動力および制動力が不足する。
【0020】
あるいは、ベルトを、層間でベルト層コードが相互に交差する二層以上のベルト層にて構成し、半径方向に隣接するベルト層コードの延在方向をタイヤ周方向に対して相互に逆方向とし、ベルト層コードのタイヤ周方向に対する傾き角を5度〜60度とすることもできる。
これによれば、タイヤ幅方向および周方向の力を、二層以上のベルト層の相互に交差して延びるベルト層コードの張力によって、ベルト層が一層である場合よりもより効果的に負担することができるため、横力、駆動力および、制動力のより大きな発生を確保し、トレッド接地面に局所的に受けた衝撃変形も広く分散することができる。
【0021】
ここで好ましくは、幅方向強化層の幅を、トレッド幅の35%以上かつベルト幅以下としてなる。
この構成によれば、突起入力による強化層の故障発生の確率が高い、タイヤ赤道面を中心とする領域の幅方向断面内の曲げ剛性を、幅方向強化層により効果的に強化し、かつ、カーカスへの引張入力を緩和することができる。
幅方向強化層の幅を、トレッド幅の35%未満とすると、曲げ剛性を強化し、引張入力を緩和する効果が小さくなり、ベルト幅より大きくすると、重量が増加しすぎるというデメリットが生じる。
【0022】
トレッド幅とは、タイヤを適用リムに装着するとともに、規定の空気圧を充填し、そこに最大負荷能力に対応する質量を負荷したときの接地幅をいうものとする。ここで適用リムとは下記の規格に規定されたリムをいい、最大負荷能力とは、下記の規格でタイヤに負荷することが許される最大の質量をいい、規定の空気圧とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいう。
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では”THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.のYEAR BOOK”であり、欧州では”THE EUROPEAN TIRE AND RIM TECHNICAL ORGANIZATIONのSTANDARDS MANUAL”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の”JATMA YEAR BOOK”である。
【0023】
ここで好ましくは、幅方向強化層の直状コードをスチールコードもしくはアラミド繊維コードとする。
これによれば先の場合と同様に、トレッド部に突起入力があった場合に、カーカスの内周側に隣接させて配設した幅方向強化層の、タイヤ周方向とほぼ直交する方向に延在させた直状コードに、それのより高い張力をもってカーカスとともに突起入力を支持させることにより、トレッド幅方向断面内の曲げ剛性を高めることができ、カーカスの曲げ変形を抑制して、カーカスの半径方向への変位を幅方向に向けて積分して得られる変形量を抑制することにより、カーカスが、ベルトや周方向強化層等の他の補強部材に先行して破断することを、より効果的に防止することができる。
幅方向強化層の直状コードをアラミド繊維コードとした場合は、スチールコードに比べて重量軽減をより有利なものとすることができる。
【0024】
ここで好ましくは、偏平率を65%以下とする。
これによれば、本願発明を、周方向断面内の曲げ剛性に比べて幅方向断面内の曲げ剛性が弱い傾向が大きい偏平率65%以下のタイヤに適用し、トレッド部への突起入力があった場合に、カーカスが先行して破断することを防止することができる。
【0025】
さらに好ましくは、タイヤ断面幅を300mm以上とする。
これによれば、本願発明を、周方向断面内の曲げ剛性に比べて幅方向断面内の曲げ剛性が弱い傾向が大きいタイヤ断面幅が300mm以上のタイヤに適用し、トレッド部への突起入力があった場合に、カーカスが先行して破断することを防止することができる。
【0026】
ここで好ましくは、ベルト幅をタイヤ断面幅の50〜95%とする。
これによれば、トレッド端部において、タイヤ半径方向への圧縮変形量が大きくなり、トレッド幅方向にトレッドゴムが押出されて変形し、ベルトの幅方向端部近傍のトレッドゴムがそれにつられてトレッド幅方向外方に引っ張られて、ベルトの幅方向端部とトレッドゴムとの間にセパレーションが発生することを防止することができる。
ベルト幅がタイヤ断面幅の50%未満であると、内圧充填時の拡径変形抑制が不十分となり、かつ、必要な横力、駆動力および制動力を得ることができず、95%を超えると、上記のセパレーションの発生するおそれがある。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態をタイヤの半部について示すトレッド部の幅方向の要部断面図である。図中1はカーカスを、2はカーカスのクラウン部の外周側に配設したトレッドゴムをそれぞれ示す。
ここでは、図示しないビードコア間でトロイダル状に延びるカーカス1とトレッドゴム2との間に、二層のベルト層3、4からなるベルト5を配設するとともに、ベルト5の内周側に隣接させて、二層の周方向強化層6、7を、そして、カーカス1の内周側に隣接させて、幅方向強化層8をそれぞれ配設する。
ここで、幅方向強化層8の幅Lはトレッド幅Wの35%以上かつベルト幅M以下の範囲とすることが好ましい。
【0028】
図2は、図1に示すタイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
幅方向強化層8は、例えばスチールコード、アラミド繊維コードからなる非伸張性の直状コード9が複数本をコーティングゴムによる被覆下で、タイヤ周方向とほぼ直交する方向に延在させてなる。
【0029】
直状コード9は、トレッド部に突起入力があった場合に、それの張力をもってカーカス1とともに突起入力を支持させることにより、トレッド幅方向断面内の曲げ剛性を高めることができ、カーカス1の曲げ変形を抑制し、かつ、カーカス1への引張入力を緩和することにより、カーカス1が、ベルト5や周方向強化層6、7に先行して破断することを防止することができる。
【0030】
また、幅方向断面内の曲げ剛性を高めることが必要なカーカスのクラウン部のみに幅方向強化層8を配設することにより、カーカスプライコードそのものを大径化したり、カーカスプライコードの打ち込み本数を増やすことに比べて、タイヤ全体の重量の増加をなるべく抑制することができ、また、カーカスの巻上げ端において生じる剛性段差が大きくなることによるカーカスの耐久性の低下を招くことを防止して、より効果的に幅方向断面内の曲げ剛性を高めることができる。
【0031】
周方向強化層6、7は、例えばスチール、アラミド繊維からなる非伸張性の迂曲コード10が、タイヤ周方向に対し波状またはジグザグ状に、例えば三角波状、方形波状、正弦波状等に、同一の振幅及び周期で複数本延在させて、それらの周りは被覆ゴムに覆われている。
これによれば、偏平率の低いタイヤにおいて、空気圧を充填した場合に径方向の成長量を抑制することができ、かつ、迂曲コードが波状またはジグザグ状であることにより、製造段階における拡径をも円滑かつ容易に担保することができる。
【0032】
さらに、周方向強化層6、7を重ねて配置することにより、波状もしくはジグザグ状をなす迂曲コード10をタイヤ周方向とほぼ平行に延在させてなる層が重なり、タイヤ半径方向外側から見たときに、各々の層に配設されたそれぞれの迂曲コード10が周方向に位相がずれて重なることにより網目が形成される。
これにより、幅方向断面内の曲げ剛性を高めることができる。
【0033】
ベルト層3は、コーティングを施した複数本のベルト層コード11がタイヤ周方向に対し左上がりに傾斜させて配設され、ベルト層4は、ベルト層コード11がタイヤ周方向に対し、ベルト層3内部のベルト層コード11がタイヤ周方向に対してなす角度と同じ角度で、タイヤ周方向に対し右上がりに傾斜させて延在させる。
【0034】
ここでは、二層のベルト層3、4によりベルト5を形成し、ベルト層コード11のタイヤ周方向に対する傾き角を10度〜60度とする。
また、上記に述べたベルトに替えて、ベルトを一層のベルト層にて構成し、ベルト層コードのタイヤ周方向に対する傾き角を5度〜60度とすることもできる。
【0035】
ここでは、周方向強化層6、7をベルト5の内周側に配設した例を示したが、ベルト5の外周側または層間に配設してもよい。
【0036】
図3〜7は、トレッド部の他の補強構造を示す展開図である。
図3は図2に示す、幅方向強化層8の直状コード9をタイヤ周方向に対して70度の角度で傾斜させたものである。その他の構造は図2と同じであるので説明は省略する。
図4は図2に示す、幅方向強化層8の直状コード9をタイヤ周方向に対して60度の角度で傾斜させたものである。
図5は、ベルト5を一枚のベルト層で構成したものである。
図6は、周方向強化層を一枚として、ベルト層3とベルト層4との間に配設したものである。
図7は、周方向強化層をなくしてベルト層3、4の内周側に、ベルト層12、13を配設したものである。
【0037】
【実施例】
本発明の一実施形態たる、カーカスの外周側に隣接して幅方向強化層が配設され、ベルト層の内周側、外周側もしくは層間に周方向強化層が配設された重荷重用の空気入りタイヤの、突起入力時のカーカス先行破断の防止性能を測定する目的で、以下に示す試験を行った。
サイズが435/45 R22.5および285/60 R22.5の偏平率の低い重荷重用の空気入りタイヤを、それぞれサイズが14.00×22.5および9.00×22.5のリムに装着して、タイヤへの充填空気圧を900kPaとし、直径38mmの半円球状のプランジャーを、トレッド部のタイヤ赤道線上に1分間に50mmの速さで押し付けた後、トレッド部が破壊に至るエネルギー(以下、破壊エネルギーと言う)を測定し、後で述べるそれぞれの実施例タイヤに対応する比較例タイヤの破壊エネルギーをコントロールとして指数評価した。
【0038】
ここで、破壊エネルギーは、前記半円球状のプランジャーの押し込み力の、カーカスの破断に至る押し込み量までの積分により求められる。その結果を表1〜5に示す。破壊エネルギーの指数値は大きいほど、エネルギーが大きく、繰返し突起入力に対する耐久性が高いことを示す。
【0039】
ここで、供試タイヤはこれも表1〜4に示すように、幅方向強化層の有無、配設位置、周方向強化層の層数および配設位置、周方向強化層の幅、ベルト層の層数と、直状コード、補強コードおよびベルト層コードのそれぞれの、タイヤ周方向に対する傾き角との組合せにより、六個の実施例タイヤと、六個の比較例タイヤを用意した。各タイヤのカーカス、ベルト、周方向強化層、幅方向強化層の態様は同じく表1〜4の参照図の欄に示す図2〜13に示している。
図8〜13に示す比較例タイヤのトレッド部の補強構造は、幅方向強化層を配設しないもしくは、幅方向強化層をカーカスの外周側に配設したものである。
【0040】
また、上記のタイヤにおいて幅方向強化層の幅方向端のトレッド幅に対する比による、幅方向強化層の幅方向端におけるセパレーション抑制の効果を評価するため、サイズが435/45 R22.5のタイヤおよび、285/60 R22.5のタイヤについて、酸素を内圧900kPaで充填し、一ヶ月間放置し、最大負荷能力に対応する荷重の150%を負荷し、速度60km/hにてドラム走行試験を行い、幅方向強化層端に亀裂が発生するまでの距離を測定し、それぞれの実施例タイヤに対応する比較例タイヤの亀裂発生距離をコントロールとして指数評価した。その結果を同じく表1〜4に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004298330
【0042】
【表2】
Figure 0004298330
【0043】
【表3】
Figure 0004298330
【0044】
【表4】
Figure 0004298330
【0045】
表1において、比較例タイヤ1と比較例タイヤ2を比較すると、比較例タイヤ2は、幅方向強化層をカーカスの外周側に隣接させて配設することにより、カーカスの破壊エネルギーは高められているが、幅方向強化層の幅方向端の耐久性はかえって低下していることがわかる。
実施例タイヤ1と比較例タイヤ1とを比較すると、実施例タイヤ1は、幅方向強化層をカーカスの内周側に隣接させて配設することにより、カーカスの破壊エネルギーを高めるとともに、幅方向強化層の幅方向端の耐久性をも比較例タイヤ1と同じレベルに保つことができていることがわかる。
【0046】
実施例タイヤ1、2、比較例タイヤ3を比較すると、幅方向強化層の直状コードのタイヤ周方向とのなす角度を小さくすると、カーカスの破壊エネルギーは小さくなり、カーカスを補強する効果が小さくなることがわかる。
【0047】
表2において、比較例タイヤと実施例タイヤとを比較すると、ベルト層が一層の構造のタイヤにおいても、幅方向強化層をカーカスの内周側に配設することにより、カーカスの破壊エネルギーを高めるとともに、幅方向強化層の幅方向端の耐久性をも比較例タイヤと同じレベルに保つことができていることがわかる。
【0048】
表2において、実施例タイヤと比較例タイヤとを比較すると、幅方向強化層をカーカスの内周側に配置した実施例タイヤでは、幅方向強化層を最外周側のベルト層の外周側に配置した比較例タイヤに比べ、破断エネルギーを高められていることがわかる。比較例タイヤと比較例タイヤとを比較すると、方向強化層を最外周側に配置しても、破断エネルギーの向上効果は小さいことが分かる。
【0049】
表3において、比較例タイヤと実施例タイヤとを比較すると、ベルト層が二層で、周方向強化層をその間に挟んだ構造のタイヤにおいても、幅方向強化層をカーカスの内周側に配設することにより、カーカスの破壊エネルギーを高めるとともに、幅方向強化層の幅方向端の耐久性をも比較例タイヤと同じレベルに保つことができていることがわかる。
【0050】
表4において、比較例タイヤ比較例タイヤとを比較すると、ベルト層が四層で、周方向強化層を配設しない構造のタイヤにおいても、幅方向強化層をカーカスの内周側に配設することにより、カーカスの破壊エネルギーを高めるとともに、幅方向強化層の幅方向端の耐久性をも比較例タイヤと同じレベルに保つことができていることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、カーカスの内周側に隣接する位置に幅方向強化層を配設することにより、トレッド部に突起入力があった場合に、カーカスの内周側に隣接させて配設した幅方向強化層の、タイヤ周方向に対する傾き角を90±20度の範囲内で延在させた直状コードに、それの張力をもってカーカスとともに突起入力を支持させることにより、トレッド幅方向断面内の曲げ剛性を高めることができ、カーカスの曲げ変形を抑制して、カーカスの半径方向への変位を幅方向に向けて積分して得られる変形量を抑制することにより、カーカスが、ベルトや周方向強化層等の他の補強部材に先行して破断することを防止することができ、かつ、カーカスが幅方向強化層端への曲げ変形応力の伝達を緩和し、幅方向強化層端において歪が集中して、セパレーションが発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態をタイヤの半部について示すトレッド部の幅方向断面図である。
【図2】 図1に示すタイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図3】 トレッド部の他の補強構造を示す展開図である。
【図4】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図5】 トレッド部の他の補強構造を示す展開図である。
【図6】 トレッド部の他の補強構造を示す展開図である。
【図7】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図8】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図9】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図10】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図11】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図12】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。
【図13】 比較例タイヤの、トレッド部の補強構造を示す展開図である。

Claims (9)

  1. 一枚以上のカーカスプライをトロイダルに配設してなるカーカスのクラウン部の外周側にトレッドゴムを配設し、このトレッドゴムとカーカスとの間に、一層以上のベルト層よりなるベルトを配設し、ベルト層コードをタイヤ周方向に対して傾斜させて延在させてなる空気入りタイヤであって、
    カーカスのクラウン部の内周側に隣接する位置に、タイヤ周方向に対する傾き角を90±20度の範囲内で延在させた直状コードにて形成した一層以上の幅方向強化層を配設し、ベルトの内周側、外周側またはベルト層間に、ほぼタイヤ周方向に延在させた補強コードにて形成した一層以上の周方向強化層を配設してなる空気入りタイヤ。
  2. 補強コードを、波状もしくはジグザグ状をなす迂曲コードとしてなる請求項に記載の空気入りタイヤ。
  3. ベルト層コードのタイヤ周方向に対する傾き角を10度〜60度としてなる請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. ベルトを、層間でベルト層コードが相互に交差する二層以上のベルト層にて構成し、半径方向に隣接するベルト層コードの延在方向をタイヤ周方向に対して相互に逆方向とし、ベルト層コードのタイヤ周方向に対する傾き角を5度〜60度としてなる請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 幅方向強化層の幅を、トレッド幅の35%以上かつベルト幅以下としてなる請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 幅方向強化層の直状コードをスチールコードもしくはアラミド繊維コードとしてなる請求項1〜に記載の空気入りタイヤ。
  7. 偏平率を65%以下としてなる請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. タイヤ断面幅を300mm以上としてなる請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. ベルト幅をタイヤ断面幅の50〜95%としてなる請求項に記載の空気入りタイヤ。
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