JP4298205B2 - コンピュータトモグラフィのための方法ならびにコンピュータトモグラフィ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータトモグラフィのための方法であって、焦点から発する円錐状の放射束と放射束を検出するためのマトリックス状の検出器アレイとにより対象物を走査するため、焦点が対象物に対してらせん軌道上でシステム軸線の周りを動かされ、その際検出器アレイが受けた放射に相応する出力信号を供給し、それぞれらせんセグメント上の焦点の運動中に供給された出力データから、傾けられた画像平面を有する画像がシステム軸線に関して再構成されるステップを含んでいるコンピュータトモグラフィのための方法に関する。さらに本発明は、コンピュータトモグラフィ(CT)装置であって、放射源を有し、その焦点から円錐状の放射束が発し、放射束を検出するためのマトリックス状の検出器アレイを有し、その際検出器アレイが受信された放射に相応する出力データを供給し、放射源および検出器アレイと対象物との間の相対的な運動を発生させるための手段を有し、さらに出力データが供給される画像計算機を有し、放射束および二次元の検出器アレイにより対象物を走査するため相対的な運動を発生させるための手段がシステム軸線に対する焦点の相対的な運動を、焦点がシステム軸線に対して相対的にシステム軸線と一致する中心軸線を有するらせん軌道上を運動するように生じさせ、画像計算機がそれぞれらせんセグメント上の焦点の運動中に供給された出力データから傾けられた画像平面を有する画像を再構成するコンピュータトモグラフィ(CT)装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような手段はらせんCTと呼ばれ、相応の方法またはCT装置は米国特許第 5 802 134号明細書から知られている。
【0003】
図1に示されている焦点Fのらせん軌道は下式により記述される。
【数13】
または
【数14】
【0004】
その際に、検出器アレイの検出器要素がシステム軸線Zに対して横向きに延びている行およびシステム軸線Zに対して平行に延びている列のなかに配置されている場合に対しては、Sはシステム軸線の方向の検出器行の広がり、またpはピッチであり、p=h/Sが成り立ち、hは焦点Fの1回転あたりのらせん軌道のピッチである。αは投影角度であり、以下では、±αの投影角度範囲にわたって取得されたデータに属する画像平面が考察される。その際に画像平面に属する参照投影はαr =0に位置する、すなわち参照投影範囲±αの中央を表す。αr は以下では参照投影角度と呼ばれる。
【0005】
従来通常のらせんCTの場合にはいわゆる横断断面画像、すなわち符号zを付されているシステム軸線と直交し、従ってx軸およびy軸を含む画像平面に対する画像が再構成される。ここでx軸およびy軸は互いに、またシステム軸線zと直交している。
【0006】
それに対して米国特許第 5 802 134号明細書の場合には、システム軸線zに対してx軸の周りに傾斜角度γだけ傾けられている画像平面に対する画像が再構成される(図2参照)。これにより、傾斜角度γが、適当な誤差規範、たとえば画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz方向に測られた間隔の最小二乗平均値が満足されており、らせん軌道への画像平面の最適な適合が与えられているように選ばれているならば、画像に含まれるアーチファクトが少ないという少なくとも理論的な利点が得られる。
【0007】
その際に米国特許第 5 802 134号明細書の場合には扇状データ、すなわちそれ自体は知られている扇状幾何学的配列で取得された、180°プラス 扇状角度または円錐角度、たとえば240°、の長さのらせんセグメントにわたる焦点の運動の際に取得されたデータが再構成のために使用される。参照投影角度αr =0に関しては画像平面の垂線ベクトルに対して
【数15】
が成り立つ。
【0008】
最適な傾斜角度γは明らかにらせんのピッチ、従ってまたピッチp、に関係する。
【0009】
基本的に、米国特許第 5 802 134号明細書から知られている方法は、ピッチpの任意の値に対して使用され得る。しかし、最大ピッチpmax の下側では、利用可能な検出器面、従ってまた患者に与えられる放射線量、を画像取得のために最適に利用すること(検出器利用度及び従って線量利用度)が不可能である。その理由ば、たとい所与の横断層、すなわちシステム軸線zと直交する対象物の層、が180°プラス 扇状角度または円錐角度よりも長いらせんセグメントにわたって走査されるとしても、米国特許第 5 802 134号明細書から知られている方法では最大ピッチpmax の下側のピッチpの値に対しては、180°プラス 円錐角度よりも長いらせんセグメントの利用は画像平面を十分に良好にらせん軌道に適合させることを不可能にするであろうから、180°プラス 円錐角度の長さのらせんセグメントしか利用され得ないことである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭にあげた形式の方法およびCT装置を、最大ピッチpmax 以下のピッチpの値に対しても最適な検出器利用及び従って線量利用が可能であるように構成することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
方法に関する上述の課題を解決するため、本発明によれば、コンピュータトモグラフィ装置の各部を制御手段が制御してコンピュータトモグラフィを実施する方法であって、
a)放射源を制御して放射源の焦点から発する円錐状の放射束と放射束を検出するためのマトリックス状の検出器アレイとにより対象物を走査するため、焦点が対象物に対してらせん軌道上でシステム軸線の周りを動かされ、検出器アレイが、検出した放射に相応する出力信号を供給し、
b)それぞれらせんセグメント上の焦点の運動中に供給された出力データから、傾けられた画像平面を有する画像が再構成され、画像平面がシステム軸線と直交する第1の軸線の周りに傾斜角度γだけ、また第1の軸線及びシステム軸線と直交する第2の軸線の周りに傾斜角度δだけシステム軸線に関して傾けられ、
前記傾斜角度γおよび傾斜角度δは、らせんセグメント上のすべての点の二乗平均値が最小であるように選ばれる。
【0012】
本発明においては、それぞれらせんセグメント上の焦点の運動中に供給される出力データから、システム軸線と直交する第1の軸線の周りに傾斜角度γだけ、また第1の軸線及びシステム軸線と直交する第2の軸線の周りに傾斜角度δだけシステム軸線に関して傾けられた画像平面を有する画像が再構成される。
【0013】
それにより最大ピッチを下回るピッチの値の際にも少なくとも近似的に完全な検出器利用および線量利用を達成することができる。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、所与のピッチpおよび所与のz位置zima に対して長さ〔−αmax、+αmax 〕の全体セグメントに対する出力データが得られ、その際にαmax =Mπ/pが成り立ち、またMは検出器行の数である。この全体セグメントは複数個nima の互いに重なるらせんセグメントに分割され、それらの各々が180°プラス円錐角度の長さを有する。らせんセグメントの各々に対して個所zima に傾けられた画像平面を有する適当な画像が再構成される。らせんセグメントの各々に対する傾けられた画像平面を有する画像の再構成により、傾斜角度γおよび傾斜角度δの相応の選択によりこれらのらせんセグメントの各々に対する画像の画像平面をらせん軌道の相応のセクションに最適に適合させ、また検出器アレイも線量も理論的に完全にまた実際上ほぼ完全に利用することが可能である。
【0015】
本発明の別の第2の実施形態では、参照投影角度αr=0 に中心を合わされた180°プラス円錐角度の長さのらせんセグメントに対して得られた出力データに基づいて、異なるz位置に対する異なる傾斜をした画像平面を有する複数の画像の再構成により、傾斜角度γおよび傾斜角度δの相応の選択によってこれらのz位置の各々に対する画像の画像平面をらせんセグメントに最適に適合させ、また検出器アレイも線量も理論的に完全にまた実際上ほぼ完全に利用することが可能である。その際に、本発明の好ましい実施形態によれば、複数の傾けられた画像平面はらせんに接して延びている直線内で交わる。
【0016】
可能なかぎり完全な検出器利用率および線量利用率を得るため、本発明の他の構成によれば、らせんセグメントに属する傾けられた画像平面の傾斜角度δの極値+δmax および−δmax に対して
【数16】
ここで
【数17】
によるγ0 は傾斜角度δ=0に対して求められた傾斜角度γの値
が成り立つ。
【0017】
高い画質を得るため、本発明の他の構成例によれば、傾斜角度δの最大値の与えられた絶対値|δmax|に対して傾斜角度γの付属の最適値γmin が、誤差規範、たとえば画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz方向に測られた間隔の最小二乗平均値が満足されているように求められる。
【0018】
焦点がその周りでシステム軸線の周りを回転する回転軸線がシステム軸線と同一ではなく、システム軸線といわゆるガントリ角度ρのもとに交わるときには、選ぶべき傾斜角度γ′に対して
【数18】
が成り立つ。
【0019】
ここでも、傾斜角度δの最大値の与えられた絶対値|δmax |に対して傾斜角度γの付属の最適値γ´ が、誤差規範、たとえば画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz方向に測られた間隔の最小二乗平均値が満足されているように求めることが可能である。
【0020】
可能なかぎり完全な検出器利用率および線量利用率を得るため、さらに本発明の別の構成例によれば、各々のらせんセグメントに対して傾けられた画像平面を有する画像が発生される傾けられた画像平面の数nima に対して
【数19】
が成り立つ。
【0021】
同じく可能なかぎり完全な検出器利用率および線量利用率を得るため、等しい幅の検出器行の仮定のもとに、本発明の別の構成例によれば、傾けられた画像平面の傾斜角度δが
【数20】
に従って求められる。
【0022】
CT装置の利用者に慣れている横断層画像を得るため、本発明の別の構成例によれば、リフォーマッティングが行われる。すなわち、傾けられた画像平面を有する複数の画像が統合されることによって、横断層の横断層画像が別の方法ステップで発生される。その際に統合は、本発明の構成例では、傾けられた画像平面を有する複数の画像が横断層画像に内挿により、または特に重み付けされた平均値形成により統合されることによって行われる。
【0023】
傾けられた画像平面を有する複数の画像を1つの横断層画像に統合する際に、本発明の好ましい変形例によれば、さらに、横断層画像を発生するために統合される傾けられた画像平面を有する画像の数が横断層に示される層のそれぞれ所望の層厚みに相応して選ばれる。その際に、横断層の可能なかぎり高い画質を得るため、画像が最小可能な層厚みを有する傾けられた画像平面により再構成される。
【0024】
横断層画像に表される横断層の所望の層厚みは、本発明の別の好ましい構成例によれば、横断層画像を発生するために統合される傾けられた画像平面を有する画像の数が
【数21】
に従って選ばれることによって、設定され得る。
【0025】
またCT装置に関する上述の課題を解決するため、本発明によれば、
円錐状の放射束を発する焦点を有する放射源と、
この放射源の焦点から発せられた放射束を検出し検出した放射に相応する出力データを供給するマトリックス状の検出器アレイと、
放射源および検出器アレイと対象物との間の相対的な運動を発生させるための手段と、
検出器アレイの出力データが供給される計算機とを備え、
前記相対的な運動を発生させるための手段が、放射束および二次元の検出器アレイにより対象物を走査するために、システム軸線に対する放射源の焦点の相対的な運動を、該焦点がシステム軸線に対して相対的にシステム軸線の周りのらせん軌道上を運動するように生じさせ、
計算機が、それぞれらせんセグメント上の焦点の運動中に供給された出力データから、傾けられた画像平面を有する画像を再構成し、画像平面がシステム軸線と直交する第1の軸線の周りに傾斜角度γだけ、また第1の軸線及びシステム軸線と直交する第2の軸線の周りに零でない傾斜角度δ(δ≠0°)だけシステム軸線に関して傾けられ、
前記傾斜角度γおよび傾斜角度δは、らせんセグメント上のすべての点の二乗平均値が最小であるように選ばれる。
本発明によるCT装置の機能および利点に関しては本発明による方法に関して先に述べたことが参照される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示されている実施例により本発明を一層詳細に説明する。
【0027】
図3および4には本発明による方法を実施するために適した本発明による第3世代の多層CT装置が示されている。その全体として符号1を付されている測定装置は、全体として参照符号2を付されているX線放射源と、その前に配置されている放射源近傍の放射絞り3(図4)と、検出器要素の複数の行および列(それらのうちの1つが図3中に符号4を付されている)の面状のアレイとして構成された検出器アレイ5と、その前に配置されている検出器近傍の放射絞り6(図4)とを有する。放射絞り3を有するX線放射源2と放射絞り6を有する検出器アレイ5とは、図4で明らかなように、以下ではガントリとも呼ばれる回転フレーム7に互いに向かい合って取り付けられ、CT装置の作動中にX線放射源2から発する、設定可能な放射絞り3により絞られたピラミッド状のX線放射束(その縁放射に符号8を付されている)が検出器アレイ5の上に当たるようになっている。放射絞り6は、放射絞り3により設定されたX線放射束の横断面に相応して、検出器アレイ5のX線放射束が直接的に当たり得る範囲のみが露出されているように設定されている。これらは図3および4に示されている作動状態では検出器要素の4つの行である。検出器要素の放射絞り6により覆われている他の行が存在していることは図4中に点線により示されている。
【0028】
X線放射束は、システム軸線と直交する平面に投影されるX線放射束の開き角度である円錐角度φを有する。円錐角度φは、検出器アレイ5の個々の行と共同作用するX線放射束の部分のファン角度に相当する。
【0029】
ガントリ7は図示されていない駆動装置により参照符号Zを付されているシステム軸線の周りを回転することができる。システム軸線Zは図1中に示されている直角座標系のz軸と同一である。ガントリ7の円状の開口は測定フィールドまたは対象物シリンダの半径に相当する半径RM を有する。焦点Fが運動する半径は符号Rf を付されている。
【0030】
検出器アレイ5の列は同じくz軸の方向に延びており、z軸の方向に測られる幅Sがたとえば1mmである行はシステム軸線Zまたはz軸に対して直角に延びている。
【0031】
被検体、たとえば患者、をX線放射束の放射路の中にもたらし得るように、システム軸線Zに対して平行に、すなわちz軸の方向に、移動可能な寝台装置9が設けられている。
【0032】
寝台装置9の上に位置している被検体、たとえば患者、の容積データを取得するため、システム軸線Zの周り測定ユニット1の運動中に種々の投影方向αからの多数の投影が撮像されることによって、検査対象物の走査が行われる。すなわち検出器アレイ5から供給されるデータは各々の能動的な検出器行に対して多数の投影を含んでいる。
【0033】
システム軸線Zの周りの測定ユニット1の連続的な回転の間に、同時に寝台装置9がシステム軸線Zの方向に測定ユニット1に対して相対的に動かされ、その際に、回転フレーム7の1回転あたりの寝台装置9の送りhの値として被検体の問題になる容積の完全な走査を保証する値が選ばれることによって、並進速度対回転速度の比が一定であり、この一定の比が設定可能であるように、回転フレーム7の回転運動と寝台装置9の並進運動との間の同期化が行われている。
【0034】
検出器行の送りhと幅Sとの比は、既に述べたように、ピッチpと呼ばれる。被検体の無間隙の走査をまさになお保証する最大ピッチpmax は、検出器アレイ5のすべての行が等しい幅Sを有するという仮定のもとに生ずる。その際にnは検出器システム5の能動的な行の数である。
【0035】
X線放射源2の焦点Fは被検体から見て図1中に符号Hを付されているらせん状のらせん軌道上をシステム軸線Zの周りを運動し、従って容積データの取得の説明される様式はらせん走査またはらせんスキャンとも呼ばれる。その際に検出器アレイ5の各行の検出器要素から供給される容積データはそれぞれ検出器アレイ5の特定の行およびシステム軸線Zに関する特定の位置に対応付けられている投影を含んでいる容積データであり、これらの容積データは並列に読出され、シーケンサ10で直列化され、画像計算機11に伝達される。
【0036】
画像計算機11の前処理ユニット12において容積データの前処理の後に、その結果としてのデータフローがメモリ14に到達し、そのなかにデータフローに相当する容積データが記憶される。
【0037】
画像計算機11は容積データから画像データをたとえば被検体の所望の層の断層画像の形態で、当業者にそれ自体は知られている方法に従って再構成する再構成ユニット13を含んでいる。再構成ユニット13により再構成された画像データはメモリ14に記憶され、画像計算機11に接続されている表示ユニット16、たとえばビデオモニター、の上に表示され得る。
【0038】
X線放射源2、たとえばX線管、は発生器ユニット17により必要な電圧および電流を供給される。これらをそれぞれ必要な値に設定し得るように、発生器ユニット17にキーボード19およびマウス20を有する制御ユニット18が対応付けられており、それにより必要な設定が行われる。
【0039】
CT装置のその他の操作および制御も制御ユニット18およびキーボード19ならびにマウス20により行われ、このことは制御ユニット18が画像計算機11と接続されていることにより示されている。
【0040】
らせん走査の際の通常の処理の仕方に相当する第1の作動形式では、らせん走査の途中で取得された容積データから横断層画像、すなわちその画像平面がシステム軸線Zに対して直角に延びている断層画像、が、それ自体は知られており、文献中に180LI再構成または360LI再構成として記載されている方法に従って再構成される。
【0041】
しかし第2の作動形式で容積データから、少なくとも中間ステップとして、その画像平面がシステム軸線Zに対して傾けられている断層画像を再構成することも可能である。
【0042】
その際に本発明によれば、米国特許第 5 802 134号明細書から公知の処理の仕方と異なって、画像平面がシステム軸線Zに関して、システム軸線Zと直交する第1の軸線、すなわちx軸、の周りに傾斜角度γだけ、また第1の軸線(x軸)ともシステム軸線Zとも直交する第2の軸線、すなわちy軸、の周りにシステム軸線に関して傾斜角度δだけ傾けられている。このことは図5から明らかである。
【0043】
第2の作動形式の第1のモードでは、所与のピッチpおよび所与のz位置zima に対して長さ〔−αmax、+αmax 〕のらせんセグメントに対する出力データが利用され、その際にαmax =Mπ/pが成り立ち、Mは検出器行の数であり、その際にz位置はz軸上の画像平面の位置を示す。この全体セグメントはnima個 の互いに重なるらせんセグメントに分割され、それらの各々が180°プラス円錐角度の長さを有する。らせんセグメントの各々に対して、傾けられた画像平面を有する固有の画像が個所zima に再構成される。らせんセグメントの各々に対する傾けられた画像平面を有する画像の再構成により、傾斜角度γおよび傾斜角度δの相応の選択によりこれらのらせんセグメントの各々に対する画像の画像平面をらせん軌道の相応のセクションに最適に適合させ、また放射絞り6により露出される検出器アレイ5の領域及びこの領域上に照射する放射線量も理論的に完全に、また実際上ほぼ完全に利用することが可能である。
【0044】
第2の作動形式の別の第2のモードでは、参照投影角度αr =0に中心を合わされている180°プラス円錐角度φの長さのらせんセグメントが関与され、このらせんセグメントに基いて、異なる位置に対する異なる傾斜の画像平面を有するnima個の画像が関与される。このモードにおいても、異なる位置に対する異なる傾斜の画像平面を有する複数の画像の再構成により、また傾斜角度γおよび傾斜角度δの相応の選択によりこれらのらせんセグメントの各々に対する画像の画像平面をらせん軌道の相応のセクションに最適に適合させ、また検出器アレイも線量も理論的に完全にまた実際上ほぼ完全に利用することが可能である。その際に、本発明の好ましい実施形態によれば、複数の傾けられた画像平面はらせんに接して延びている直線で交わる。
【0045】
第2のモードを以下に一層詳細に説明する。
【0046】
説明を簡単にするため、参照投影角度αr =0に中心を合わされている単一のらせんセグメントが考察される。nima の画像の画像平面はx軸に関して傾斜角度γだけ、またy軸に関して傾斜角度δだけ傾けられているので、画像平面の法線ベクトルは
【数22】
により与えられている。
【0047】
らせん軌道上の任意の点(xf、yf、zf )が傾斜角度γおよび傾斜角度δだけ傾けられている画像平面からz方向に有する間隔d(α,δ,γ)は
【数23】
により与えられている。
【0048】
その際に、参照投影角度αr =0に対する焦点Fの位置(−Rr、0、0)が画像平面のなかに位置していることから出発される。
【0049】
傾けられている画像平面の傾斜角度γおよび傾斜角度δは,らせんセグメント上のすべての点の二乗平均値が最小であるように選ばれなければならない。
【0050】
b-tがz軸の周りに角度α−π/2だけ回転された座標系x-yであるとすると、b-tは投影角度αを有する投影に対するローカルな座標系である。
【数24】
【0051】
システム軸線zを含む平面、いわゆる仮想的な検出器平面、のなかの検出器アレイの投影に相当する仮想的な検出器アレイを想定すると、検出器平面に対してt=0が成り立つ。
【0052】
画像平面上の各々の点(x,y,z)は
【数25】
により特徴付けられている。
【0053】
t=0を有する(4)を(5)に代入すると、画像平面との仮想的な検出器平面の交線が得られる。
【数26】
【0054】
仮想的な検出器平面の上のz座標は
【数27】
により与えられている。
【0055】
傾斜角度γは先ず米国特許第 5 802 134号明細書の場合と等しい処理で、すなわち傾斜角度δ=0に対して、最適化される。結果として
【数28】
が得られる。ここでαはらせん軌道が画像平面を突き破る角度である。α=π/3が、このパラメータに対する最適な値とは言わないまでも、1つの望ましい値であることが示されている。
【0056】
α=π/3を有する(8)により得られた傾斜角度γ0 に対して傾斜角度δが最適化される。その際に傾斜角度δに対する最適化規範は、放射により捕捉される被検体の範囲をz方向に後方または前方に境する直線−RFOV≦b≦RFOVに対する(7)によるz座標が能動的な検出器面の内側、すなわち放射絞り6により露出されまた放射を当てられる検出器アレイ5の範囲の内側、に位置していなければならないだけでなく、検出器面を可能なかぎり良く利用しなければならないことである。
【0057】
最大可能な傾斜角度±δmax に対して、(7)によるz座標により与えられるb=±RFOVに対する直線は検出器面のz方向に前端または後端に到達する。このことがらせんセグメントの始端および終端における投影、すなわち最も外側の投影角度αl =±120°、に対する各らせんセグメントに対して生ずるならば、
【数29】
が成り立つ。ここでMは検出器行の数、Sは検出器行のz方向に測られた幅である。
【0058】
α=α1 およびγ=γ0 に対する(6)が(8)に入れられ、またδmax に関して解かれることによって、
【数30】
または
【数31】
が得られる。
【0059】
相応のδmax に対して新しいγmin が再反復により、詳細には(3)による画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz方向に測られた間隔d(α、δmax、γ)の二乗平均値の最小化により、求められる。
【0060】
利用できる傾斜角度の範囲〔−δmax、δmax 〕は、いま再構成すべき、傾けられた画像平面を有する画像の数nima に相応して、好ましくは説明される実施例の場合のように、均等に分割される。すなわち、均等な分割の場合には、各々の画像平面0≦i≦nima −1が傾斜角度γmin(実施例の場合のようにすべての画像平面に対し等しいのが好ましい) および各傾斜角度δ(i)により特徴付けられている。その際に各傾斜角度に対しては
【数32】
が成り立つ。
【0061】
らせんセグメントに対して再構成すべき、傾けられている画像平面を有する画像の数nima は
【数33】
により与えられている。
【0062】
本発明による方法およびCT装置の作用が以下に、p=12のピッチにより作動させられる幅SのM=12の検出器行を有するCT装置を例として説明される。各z位置zima に対してαmax =πを有する長さ〔−αmax、αmax 〕のらせんセグメントが撮像される。
【0063】
図6には、検出器アレイの行の幅Sに関して、種々の傾斜角度γに対して画像平面からのこのらせんセグメントのすべての点のz軸の方向に測られた間隔が、半径Rf を乗算された投影角度αのサインを横軸にとって、詳細には傾斜角度δ=0に対して、示されている。
【0064】
図7は、図6に基づいて、考察されているらせんセグメントがその全体として各画像に寄与するという仮定のもとに、比率γ/γ0 を横軸にとって、検出器行の幅Sに対して相対的な、以下でSMSD(平均二乗距離の平方根)と呼ばれる画像平面からの考察されているらせんセグメントのすべての点のz軸の方向に測られた間隔の二乗平均値の平方根を示す。
【0065】
図7から、SMSDがγの最適化により、全く傾けられていない画像平面、すなわちγ=0、の場合に対する3.5Sから2.2Sに減ずることが明らかになる。それは米国特許第 5 802 134号明細書による方法により達成可能な画質の改善がSMSDのこの減少に帰すべきものであることから出発される。ところで、それに対してSMSDが最小である傾斜角度γの値は、ピッチpの考察されている値に対して、(8)式により求められたγ0 の値からわずかしか相違しない。
【0066】
すべてのらせんセグメントに関して単一の画像が再構成されるのではなく、式(12)により求められた必要な数nima の、傾けられている画像平面を有する画像が再構成されるならば、いまの例に対して選ばれた値M=12およびp=12に対して数nima=2 が生ずる。すなわち長さ2αmax =2π=360°の全セグメントの際には、長さ180°プラス円錐角度、すなわちたとえば長さ240°、120°だけ互いにずらされており従って共通に全セグメントを含んでいる2つのらせんセグメントに対して、傾けられている画像平面を有するそれぞれ2つの画像が再構成される。その際に画像の画像平面は相異なるz位置及び従って(11)式により相異なる傾斜角度δ、すなわち−δmax およびδmax 、を有する。
【0067】
図8には、長さ240°のらせんセグメントの1つに対して、検出器要素の行の幅Sに対して、このらせんセグメントに属する両方の画像の−δmax または+δmax だけ、またそれぞれγmin だけ傾けられた画像平面からのこのらせんセグメントのすべての点のz軸の方向に測られた間隔が、半径Rr を乗算された投影角度αのサインを横軸にとって示されている。その際に先ずδmax およびγ0 が(8)および(10)式に基づいて求められた。次いで最適化の目的で傾斜角度γの再反復がδmax に基づいて実行された。そのためにSMSDが考察されているらせんセグメントの両方の画像平面に対して別々に求められ、次いで全SMSDが別々に求められたSMSDの平方根として形成され、最後に傾斜角度γが再反復された。このことはγmin =1.26・γ0 および全体として0.8SのSMSDに通ずる。
【0068】
これは米国特許第 5 802 134号明細書から公知の方法(δ=0を有する傾斜角度および全セグメントからの単一の画像の再構成)にくらべて3よりも大きい係数だけのSMSDの減少に相当し、また画質における利得を約束する。
【0069】
各240°の両らせんセグメントの1つに属する画像平面が例として図9および10に種々の視角のもとに斜視図で示されている。特に図10から、両方の傾けられている画像平面が前述のようにらせんに対して接線方向に延びている直線で交わることは明らかである。
【0070】
米国特許第 5 802 134号明細書から公知の方法に対する検出器利用及び従って線量利用が、図11にM=12およびp=8に対する仮想的な検出器について示されている。その際に、太い平行四辺形状の線により境されている範囲は、らせんセグメントに属する傾けられている画像平面がらせんセグメントに沿っての焦点の運動の間に投影される仮想的な検出器の範囲を示す。
【0071】
検出器表面の大きい部分が未利用にとどまり、それに応じて線量利用も低いことが明らかになる。理論的に最適な検出器利用および線量利用は最大のピッチpmax =12に対してのみ可能である。ピッチpの減少と共に検出器利用および線量利用は常に悪くなる。
【0072】
本発明に対して検出器利用及び従って線量利用が、図12に同じくM=12およびp=8に対する仮想的な検出器について示されている。その際に、太い平行四辺形状の線により境されている範囲は、らせんセグメントに属する(12)式によりnima=3 の傾けられている画像平面がらせんセグメントに沿っての焦点の運動の間に投影される仮想的な検出器の範囲を示す。
【0073】
本発明の場合には、仮想的な検出器表面の最も大きい部分が利用され(未利用にとどまるのは2つの小さい三角形の範囲のみであり)、また線量利用が相応に高いことが明らかになる。
【0074】
図13は図12に類似して同じく本発明に対してM=12およびp=12に対する状況を示す。それによれば、太い平行四辺形状の線により境されている範囲は再び、らせんセグメントに属する(12)式によりnima=2 の傾けられている画像平面がらせんセグメントに沿っての焦点の運動の間に投影される仮想的な検出器の範囲を示す。
【0075】
図11と図12との比較からわかるように、本発明の場合には実際に、仮想的な検出器表面の2つの小さい利用されない三角形の範囲がピッチpの減少と共に徐々に増大するかぎり、検出器利用および線量利用がピッチpにごくわずかしか関係しない。
【0076】
すなわち米国特許第 5 802 134号明細書から公知の方法と対照的に本発明の場合には、検出器利用、従ってまた線量利用、がピッチpにほぼ無関係であり、またほぼ最適であることが明らかになる。
【0077】
本発明は心臓の検査のためにも有意義である。
【0078】
図14はM=12を有するCT装置に対する(10)式により求められた最大の傾斜角度δmax をピッチpの関数として示す。本発明がp=16、δmax =0に対して 米国特許第 5 802 134号明細書から公知のアルゴリズムに移行することは明らかである。
【0079】
下式
【数34】
の使用のもとに傾斜角度δが相応の画像のzシフトに変換され得る。これは参照投影角度αr のシフト
【数35】
に相当する。
【0080】
それに続いて任意のz位置において〔−Δα,+Δα〕の範囲内に位置している参照投影角度に関して中心を合わされている240°長さのらせんセグメントの画像が計算される。
【0081】
ガントリの1回転が時間Trot 中に行われるならば、この範囲は長さ〔−Δα、Δα〕・Trot /2πの時間間隔に相当する。Trot =0.5sに対して任意のz位置に対して取り除かれた時間間隔が図15にピッチpの関数として示されている。
【0082】
長さ240°のらせんセグメントがその全体としてあらゆる場合に仮想的な検出器面に適合すべきであれば、毎分60拍(60bpm)の脈拍の際の完全な心臓サイクルに相当する1秒の時間間隔を取り除くために、p=3の最大ピッチが利用できる。
【0083】
等しい参照投影角度αrに対して、すなわち等しい心臓サイクルから得られる画像の画像平面が図16に示されている。横断層画像を得るためには、リフォーマッティングが必要である。
【0084】
前述のように、従来通常のCT装置では必要でない横断層画像を得るためにはリフォーマッティングが必要である。
【0085】
現在利用可能な多層CT装置はいくつかの少数の、たとえば4つの行の検出器要素を利用する。この行数に対してはX線放射の斜めの放射経過は無視され得る。従って、このようなCT装置に対しては従来通常のアルゴリズムがらせんデータから横断層画像を再構成するために拡張された。再構成層厚みを決定するための適切な重み付け関数によるらせん重み付けの実行の後に、1行データセットが得られ、それから畳込み‐逆投影‐アルゴリズムにより横断層画像が再構成される。再構成層厚み、すなわち再構成された横断層画像で捕捉される被検体の層の厚みは、らせん重み付けの際に使用される重み付け関数の幅の選択により決定されている。再構成層厚みの変更は、変更された重み付け関数による新たな再構成によってのみ可能である。
【0086】
本発明による処理の仕方は特に、過度に大きくない行数(M≦40)を有するCT装置に対して適している。本発明によれば、既に説明されたように、その傾斜をらせん状の走査ジオメトリに適合された画像平面に対する画像が再構成されることによって、再構成の際にX線放射の斜めの放射経過への適合が行われる。画像平面の傾斜の結果として、横断層画像におけるシステム軸線に関し傾斜した画像平面を有するこれらの画像の以下でリフォーマッティングと呼ばれる換算が必要である。これが行われないならば、特に再構成された画像容積の二次的ビュー(たとえば矢状または冠状)のなかに幾何学的な標識を考慮に入れる必要がある。
【0087】
リフォーマッティングは選択可能な幅の内挿関数を使用して行われ、それによって層感度プロフィルおよび結果として得られる横断層画像のなかの画像ノイズが影響され得る。
【0088】
その際に、所望の再構成層厚みの決定がレトロスペクティブにリフォーマッティングの途中で行われることは有利である。
【0089】
横断層画像を得るためz位置z=zR において実行すべきリフォーマッティングのために必要な傾けられている画像平面を有する画像の数は下記のようにして得られる:
【0090】
(x,y)=(RM cos(Φ),RM sin(Φ))によりパラメータ化された対象物シリンダの縁において、(x,y,ΔzR )が平面式
【数36】
に代入されることによって、法線ベクトル
【数37】
を有し、また点(−Rf 、0、zR )の零点を有する、傾斜角度δおよび傾斜角度γだけ傾けられている画像平面の間隔ΔzR が得られる。
【0091】
次いで下式が得られる。
【数38】
【0092】
zR のなかに画像平面を有する横断層画像のリフォーマッティングのためにはそれに続いて、間隔
【数39】
をおいて再構成された傾けられている画像平面を有するすべての画像が利用可能でなければならない、すなわちメモリ14のなかに記憶される。
【0093】
リフォーマッティングの際に、その長さz* が上記の間隔によりセットされる限界値を超過する内挿関数が使用されるならば、リフォーマッティングのために必要な、再構成された傾けられている画像平面を有する画像の数は内挿フィルタの長さにより決定されている。
【0094】
一般的な場合には、横断層画像のリフォーマッティングのために必要とされる再構成された傾けられている画像平面を有する画像の数NM に対しては
【数40】
が成り立つ。ここでNs は検出器要素の行の幅Sあたり再構成された傾けられている画像平面を有する画像の数である。
【0095】
たとえばp=16のピッチに対する検出器要素の16の行と、傾けられている画像平面を有する幅Sあたり再構成された画像の数Ns =4とを有する検出器アレイに対しては、半値幅Sの三角形状の内挿関数を使用するという仮定のもとに、横断層画像のリフォーマッティングのために必要とされる再構成された傾けられている画像平面を有する画像の数NM としてNM =10が得られる。
【0096】
所望の横断層画像の再構成層厚みがレトロスペクティブに決定されるという事情の結果として、傾けられている画像平面を有する画像の再構成は好ましくは最小可能な再構成層厚みを有するらせん再構成の際の相応に狭い重み付け関数の選択により行われる。これは傾けられている画像平面を有する画像だけでなくリフォーマッティングにより得られる横断層画像のz方向の最も高い鋭さを保証する。
【0097】
この利点とならんで、説明されるリフォーマッティングの別の利点として下記のことがあげられる。
−再構成層厚みが、新たな再構成を必要とせずに、レトロスペクティブに選択可能であり、
−再構成層厚みが自由に選択可能であり、また
−リフォーマッティングのために自由に選択可能な幅の多数の適切な内挿関数が利用可能である。
【0098】
図17に示されている傾けられたガントリ7による作動様式において、焦点Fがシステム軸線Zの周りを回転する回転軸線Z′がシステム軸線Zと同一ではなく、システム軸線Zといわゆるガントリ角度ρで交わるときには、図5による幾何学的配列から、z軸に対しガントリ角度ρだけ傾けられらせん軌道Hの中心軸線に相当するz′軸と、y軸に対し同様にガントリ角度ρだけ傾けられているy′軸と、不変にとどまっているx軸とを有する、図18により傾けられている座標系が生ずる。
【0099】
この座標系のなかでらせん軌道Hに対しては
【数41】
が成り立つ。
【0100】
最大の傾斜角度δmax を決定するための先に説明された処理様式は傾けられているガントリの場合に転用され得る。その際に(7)式の代わりに
【数42】
が成り立ち、このことからb=±RFOVに対して
【数43】
が生ずる。
【0101】
しかしながらいま最大の傾斜角度δmax に対する決定式に、すなわち(10)式に、傾けられているガントリの場合に対する座標系(x,y′,z′)の傾斜角度γ′を代入しなければならない。
【0102】
傾けられているガントリの場合の傾斜角度γ′に対しては
【数44】
または
【数45】
が成り立つ。
【0103】
図19が示すように、傾けられているガントリの場合に対する傾斜角度γ′は参照投影角度αr にほぼ無関係である。その際に図19は行数M=16、ピッチp=16およびρ=30°のガントリ角度に対する状況を示す。
【0104】
最大の傾斜角度δmax も、図20から明らかなように、参照投影角度αr にほぼ無関係であり、その際に図20も行数M=16、ピッチp=16およびガントリ角度ρ=30に対する状況を示す。その際にAは+RFOVおよびρ=30°に対する最大の傾斜角度δmax の経過を示し、Cは−RFOVおよびρ=30°に対する最大の傾斜角度の経過を示す。
【0105】
比較のために図20にはρ=0°のガントリ角度に対する最大の傾斜角度δmax の相応の経過が示されており、その際にBは+RFOVおよびρ=0°に対して当てはまり、Dは−RFOVおよびρ=0°に対して当てはまる。
【0106】
本発明の作用を具象的に説明するため、図21には図19と類似して、米国特許第 5 802 134号明細書から公知の方法に対して同じく数値M=16、ピッチp=16およびガントリ角度ρ=30°に対して参照投影角度の関数としての傾斜角度γの経過が示されている。ここで参照投影角度αr との傾斜角度γの強い関係が存在することが明らかになる。
【0107】
ところで図19ないし21はそれぞれ焦点Fの全回転(360°)を示す。
【0108】
傾けられているガントリの場合にも、たとえば(10)式から(21)式に基づいてらせん軌道Hのピッチから得られる傾斜角度の最大値の所与の絶対値|δmax |に対して、傾斜角度γ´の所属の最適値を、誤差規範、たとえば画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz方向に測られた間隔の最小平均値が満足されているように求めることが可能である。
【0109】
画像計算機11の構成は先の実施例の場合には、前処理ユニット12および再構成ユニット13がハードウェア構成要素であるものとして説明されている。このことは実際にそうであってよい。しかし通常は上記の構成要素は必要なインタフェースを設けられている汎用計算機上で実行されるソフトウェアモジュールにより実現されている。汎用計算機は、図1とは異なり、制御ユニット18の機能をも引き受けることができる。
【0110】
CT装置は、上述の実施例の場合には、z方向に測られた幅が等大であり、たとえば1mmである行を持った検出器アレイ5を有する。それとは異なり、本発明の枠内で、その行が相異なる幅である検出器アレイが設けられていてもよい。すなわち、たとえば2つの内側の行が各1mm幅であり、それらの両側に2mm幅を有する各行が設けられていてもよい。
【0111】
上述の実施例の場合には、測定ユニット1と寝台9との間の相対的な運動が、寝台9がずらされることにより発生される。しかし、本発明の範囲内で、寝台9を位置固定とし、その代わりに測定ユニット1を移動させることも可能である。さらに、本発明の範囲内で、必要な相対的運動を測定ユニット1および寝台9の双方の移動により発生させることも可能である。
【0112】
先に説明された実施例は第3世代のCT装置、すなわちX線放射源および検出器システムが画像発生中に共通にシステム軸線の周りに移動されるCT装置、である。しかし本発明は第4世代のCT装置、すなわちX線放射源のみがシステム軸線の周りに移動され、固定の検出器リングと共同作用するCT装置、と関連しても、検出器アレイにおいて検出器要素の面状のアレイを対象とするかぎり、使用することができる。
【0113】
第5世代のCT装置、すなわちX線放射が1つの焦点からだけではなく、システム軸線の周りに移動され1つ又は複数のX線放射源の複数の焦点から発するCT装置、においても、検出器アレイが検出器要素の面状のアレイを有するかぎり、本発明による方法を使用することができる。
【0114】
先に説明された実施例と関連して使用されるCT装置は、直交マトリックスの形式で配置されている検出器要素を有する検出器アレイを有する。しかし本発明は、検出器アレイが面状のアレイとは異なる様式で配置されている検出器要素を有するCT装置と関連して使用することもできる。
【0115】
先に説明された実施例は本発明による方法の医学用途に関するものであるが、本発明は医学のほかにも、たとえば包装検査や材料検査にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による方法の原理を説明するための構成図である。
【図2】従来技術による方法の原理を説明するための構成図である。
【図3】本発明による方法により動作する本発明によるCT装置の構成配置図である。
【図4】本発明による方法により動作する本発明によるCT装置の構成配置図である。
【図5】本発明による方法の原理を説明するための構成配置図である。
【図6】傾斜角度γと、画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz軸の方向に測られた検出器要素の行の幅に対して相対的な間隔との関係を説明するための線図である。
【図7】画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz軸の方向に測られた間隔の、検出器行の幅Sに対して相対的な二乗平均値の平方根を比γ/γ0 を横軸にとって示す線図である。
【図8】らせんセグメントに属する画像の画像平面からのらせんセグメントのすべての点のz軸の方向に測られた検出器要素の行の幅に対して相対的な間隔を、半径 を乗算した投影角度αのサインを横軸にとって示す線図である。
【図9】種々の視角のもとにらせんセグメントに属する画像平面を示す斜視図である。
【図10】種々の視角のもとにらせんセグメントに属する画像平面を示す斜視図である。
【図11】従来技術によるCT装置に対する検出器利用度及び線量利用度を示す線図である。
【図12】本発明によるCT装置に対する検出器利用度及び線量利用度を示す線図である。
【図13】本発明によるCT装置に対する検出器利用度及び線量利用度を示す線図である。
【図14】ピッチと最大傾斜角度との関係を示す線図である。
【図15】時間間隔とピッチとの関係を示す線図である。
【図16】等しい参照投影角度 に対して得られる画像の画像平面の説明図である。
【図17】システム軸線に対して傾けられたガントリを有する本発明によるCT装置の構成配置図である。
【図18】システム軸線に対して傾けられたガントリを有する本発明によるCT装置の構成配置図である。
【図19】傾けられたガントリにおける傾斜角度と参照投影角度との関係を示す線図である。
【図20】傾けられたガントリにおける最大の傾斜角度と参照投影角度との関係を示す線図である。
【図21】従来技術によるCT装置に対する傾斜角度と参照投影角度との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 測定装置
2 X線放射源
3 放射絞り
4 検出器要素
5 検出器アレイ
6 放射絞り
7 回転フレーム(ガントリ)
8 縁放射
9 寝台装置
10 シーケンサ
11 画像計算機
12 前処理ユニット
13 再構成ユニット
14 メモリ
16 モニター
17 発生器ユニット
18 制御ユニット
19 キーボード
20 マウス
Claims (34)
- コンピュータトモグラフィ装置の各部を制御手段が制御してコンピュータトモグラフィを実施する方法であって、
a)放射源を制御して放射源の焦点から発する円錐状の放射束と放射束を検出するためのマトリックス状の検出器アレイとにより対象物を走査するため、焦点が対象物に対してらせん軌道上でシステム軸線の周りを動かされ、検出器アレイが、検出した放射に相応する出力信号を供給し、
b)それぞれらせんセグメント上の焦点の運動中に供給された出力データから、傾けられた画像平面を有する画像が再構成され、画像平面がシステム軸線と直交する第1の軸線の周りに傾斜角度γだけ、また第1の軸線及びシステム軸線と直交する第2の軸線の周りに傾斜角度δだけシステム軸線に関して傾けられ、
前記傾斜角度γおよび傾斜角度δは、らせんセグメント上のすべての点の二乗平均値が最小であるように選ばれる
ことを特徴とするコンピュータトモグラフィのための方法。 - nima個 の相続くらせんセグメントに対して、傾けられた画像平面を有する画像が再構成され、画像平面が等しいz位置zima を有し、直接相続くらせんセグメントがたかだか180°だけ互いにずらされ、長さ〔−αmax、+αmax 〕の全体セグメントを生じ、αmax =Mπ/p(Mは検出器行の数)であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 各らせんセグメントが180°プラス円錐角度の長さを有し、各らせんセグメントに対してnima個 の傾けられた画像平面に対して傾けられた画像平面を有する画像が再構成され、画像平面が相異なるz位置zima を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 複数の傾けられた画像平面がらせんに対して正接して延びている直線において交わることを特徴とする請求項3記載の方法。
- 焦点がシステム軸線に相当するシステム軸線の周りの回転軸線の周りを回転することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
- 傾斜角度δの最大値の与えられた絶対値|δmax |に対して傾斜角度γの所属する最適値γmin が、誤差規範が満足されるように求められることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載の方法。
- 傾けられた画像平面を有する複数の画像が統合されることによって、システム軸線と直交する横断層の横断層画像が発生されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の方法。
- 横断層画像への傾けられた画像平面を有する複数の画像の統合が内挿により行われることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 横断層画像への傾けられた画像平面を有する複数の画像の統合が平均値形成により行われることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 横断層画像への傾けられた画像平面を有する複数の画像の統合が重み付けされた平均値形成により行われることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 横断層画像を発生するために統合される傾けられた画像平面を有する画像の数が、横断層のそれぞれ所望の層厚みに相応して選ばれることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1つに記載の方法。
- 画像が最小可能な層厚みを有する傾けられた画像平面により再構成されることを特徴とする請求項15記載の方法。
- 円錐状の放射束を発する焦点を有する放射源と、
この放射源の焦点から発せられた放射束を検出し検出した放射に相応する出力データを供給するマトリックス状の検出器アレイと、
放射源および検出器アレイと対象物との間の相対的な運動を発生させるための手段と、
検出器アレイの出力データが供給される計算機とを備え、
前記相対的な運動を発生させるための手段が、放射束および二次元の検出器アレイにより対象物を走査するために、システム軸線に対する放射源の焦点の相対的な運動を、該焦点がシステム軸線に対して相対的にシステム軸線の周りのらせん軌道上を運動するように生じさせ、
計算機が、それぞれらせんセグメント上の焦点の運動中に供給された出力データから、傾けられた画像平面を有する画像を再構成し、画像平面がシステム軸線と直交する第1の軸線の周りに傾斜角度γだけ、また第1の軸線及びシステム軸線と直交する第2の軸線の周りに零でない傾斜角度δ(δ≠0°)だけシステム軸線に関して傾けられ、
前記傾斜角度γおよび傾斜角度δは、らせんセグメント上のすべての点の二乗平均値が最小であるように選ばれる
ことを特徴とするコンピュータトモグラフィ装置。 - 計算機がnima個 の相続くらせんセグメントに対して、傾けられた画像平面を有する画像を再構成し、画像平面が等しいz位置zima を有し、直接相続くらせんセグメントがたかだか180°だけ互いにずらされ、長さ〔−αima、+αima 〕の全体セグメントを生じ、αmax =Mπ/p(Mは検出器行の数)であることを特徴とする請求項18記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 各らせんセグメントが180°プラス円錐角度の長さを有し、各らせんセグメントに対してnima個の傾けられた画像平面に対して傾けられた画像平面を有する画像が再構成され、画像平面が相異なるz位置zima を有することを特徴とする請求項18記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 複数の傾けられた画像平面がらせんに対して接して延びている直線において交わることを特徴とする請求項20記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 焦点がシステム軸線に相当するシステム軸線の周りの回転軸線の周りを回転することを特徴とする請求項18ないし22のいずれか1つに記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 傾斜角度δの最大値の与えられた絶対値|δmax |に対して傾斜角度γの所属する最適値γmin が、誤差規範が満足されるように求められることを特徴とする請求項22ないし24のいずれか1つに記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 計算機が、傾けられた画像平面を有する複数の画像を統合することによって、システム軸線と直交する横断層の横断層画像を発生することを特徴とする請求項18ないし27のいずれか1つに記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 計算機が、横断層画像への傾けられた画像平面を有する複数の画像の統合を内挿により行うことを特徴とする請求項28記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 計算機が、横断層画像への傾けられた画像平面を有する複数の画像の統合を平均値形成により行うことを特徴とする請求項29記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 計算機が、横断層画像への傾けられた画像平面を有する複数の画像の統合を重み付けされた平均値形成により行うことを特徴とする請求項30記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 計算機がさらに、横断層画像を発生させるために統合する傾けられた画像平面を有する画像の数を横断層のそれぞれ重み付けされた層厚みに相応して選ぶことを特徴とする請求項28ないし31のいずれか1つに記載のコンピュータトモグラフィ装置。
- 計算機が画像を最小可能な層厚みを有する傾けられた画像平面により再構成することを特徴とする請求項32記載のコンピュータトモグラフィ装置。
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