JP2006068523A - 検査対象の断層撮影によるスライス画像の作成方法およびコンピュータ断層撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】CT撮影の画質を、発生する画像ノイズまたは時間分解能に関して選択的に最適化することを可能にする。
【解決手段】検査対象7の走査のために、それぞれ1つの焦点Fxから対向する検出器Dxへ向けて扇状に広がり且つ角度のずれた少なくとも2つのビームSxが発生され、これらのビームがシステム軸線9の周りを回転しながら検査対象7を走査し、走査の少なくとも部分的な重ね合わせが行なわれ、検出器要素から出力される検出器出力データが、ビームの空間的方位データと共に測定されて投影データセットに変換され、完全なスライス画像の算出のために完全なスライス画像ごとに少なくとも2つの走査ビームSxの測定データから重なり合う投影間隔14の重複するデータが使用され、時間分解能および画質の変更のためにスライス画像の算出前に、個々のビームSxの使用された投影データ11,12,13の重なり範囲16の大きさが決定される。
【選択図】図5
【解決手段】検査対象7の走査のために、それぞれ1つの焦点Fxから対向する検出器Dxへ向けて扇状に広がり且つ角度のずれた少なくとも2つのビームSxが発生され、これらのビームがシステム軸線9の周りを回転しながら検査対象7を走査し、走査の少なくとも部分的な重ね合わせが行なわれ、検出器要素から出力される検出器出力データが、ビームの空間的方位データと共に測定されて投影データセットに変換され、完全なスライス画像の算出のために完全なスライス画像ごとに少なくとも2つの走査ビームSxの測定データから重なり合う投影間隔14の重複するデータが使用され、時間分解能および画質の変更のためにスライス画像の算出前に、個々のビームSxの使用された投影データ11,12,13の重なり範囲16の大きさが決定される。
【選択図】図5
Description
本発明は、特に少なくとも部分的に周期的に運動する検査範囲を有する検査対象の走査のために、それぞれ1つの焦点から複数の検出器要素を有する対向する1つの検出器へ向けて扇状に広がり且つ角度のずれた少なくとも2つのビームが発生され、これらのビームがシステム軸線の周りを回転しながら検査対象を走査し、場合によってはビームに対して相対的なシステム軸線方向への検査対象の連続的な送りが行なわれ、走査の少なくとも部分的な重ね合わせ(オーバーラップ)が行なわれ、検査対象を透過する際のビームの減弱を表わし検出器要素から出力される検出器出力データが、ビームの間接的または直接的な空間的方位データと共に測定されて投影データセットに変換され、引続いて少なくとも2つの走査ビームの投影データセットによりスライス画像が算出され、完全なスライス画像ごとに、少なくとも2つの走査ビームの測定データから構成され少なくとも180°の投影間隔を有する走査の和から得られたデータが使用される、コンピュータ断層撮影装置により検査対象の断層撮影によるスライス画像を作成する方法に関する。
角度のずれた複数のビームによりスライス画像を作成するためのこのようなコンピュータ断層撮影方法およびコンピュータ断層撮影装置は公知である。これに関しては特に特許文献1および特許文献2を参照されたい。これらの特許文献の開示内容は内容全体について本願明細書に受け継がれる。上記両特許文献は、互いに角度をずらされて一緒に回転する少なくとも2つのビームによって作成される検出器データにより断層撮影によるスライス画像を再構成する方法を開示している。特許文献1においては、2つのビームによって得られた検出器データから完全な180°投影セグメントが形成され、この180°投影セグメントが被走査対象の特定の周期位相に割り付けられ、引続いてスライス画像列に再構成される。特許文献2においては、本発明者が、まず部分画像を小さいサブセグメントから形成することを提案しており、サブセグメントは、時間正しくセグメント画像スタックに統合され、引続いて角度相補的にスライスごとに加算されて全体として180°セグメントから形成された断層撮影スライス画像となる。
両方法は、少なくとも2つのビームによる走査によって得られた検出器データから画像の算出のために全体として少なくとも180°の走査間隔から得られたデータが全部使用され、しかも最適な時間分解能を得るためにその都度角度正しく検出器のデータが合成され使用される点で共通している。最大の時間分解能を達成するためには、90°ずれた2つのビームを有するコンピュータ断層撮影装置において、各ビームから、90°の角度に亘って走査されたデータが使用される。
この種の走査およびこれに続く画像作成によって、例えば、患者の正常に速く拍動する心臓において、例えば冠動脈に関する診断上重要な画像情報を得るに十分な時間分解能を有する心臓画像列を作成することができる。しかしながらこの場合には、最善の時間分解能において、不利な状況のもとで診断を下すには画像に有効な線量が十分でないことがあるという点で問題である。
独国特許出願第10354900.5号明細書(米国特許出願公開第2005−0111623号明細書)
独国特許出願公開第10354214号明細書
本発明の課題は、CT撮影の画質を、発生する画像ノイズまたは時間分解能に関して選択的に最適化することを可能にする方法またはこの方法を実施するためのコンピュータ断層撮影装置を提供することにある。
この課題は独立請求項によって解決される。本発明の有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
本発明者は、特定の前提のもとでは、すなわち十分に低い運動周波数または被検体速度のもとでは、最適な時間分解能の費用で再構成すべき画像を部分的に重複して存在する検出器データによって作成し、それによって画像当たりの使用線量を高め、それにより画質を改善することが、撮影対象の評価にとって有利であることを認識した。従って、本発明によれば、コンピュータ断層撮影装置の使用者に対して、使用者がスライス画像列の再構成時にどの程度まで部分的に重なり合うデータセットを使用するかを指定することができる調整可能性が用立てられる。この場合に逆にスライス画像の時間分解能の低下を余儀なくされる。
この基本思想に従って、本発明者は、特に少なくとも部分的に周期的に運動する検査範囲を有する検査対象の走査のために、それぞれ1つの焦点から複数の検出器要素を有する対向する1つの検出器へ向けて扇状に広がり且つ角度のずれた少なくとも2つのビームが発生され、これらのビームはシステム軸線の周りを回転しながら検査対象を走査し、場合によってはビームに対して相対的なシステム軸線方向への検査対象の連続的な送りが行なわれ、走査の少なくとも部分的な重ね合わせ(オーバーラップ)が行なわれ、検査対象を透過する際のビームの減弱を表わし検出器要素から出力される検出器出力データが、ビームの間接的または直接的な空間的方位データと共に測定されて投影データセットに変換され、引続いて少なくとも2つの走査ビームの投影データセットによりスライス画像が算出され、完全なスライス画像ごとに、少なくとも2つの走査ビームの測定データから構成され少なくとも180°の投影間隔を有する走査の和から得られたデータが使用される、コンピュータ断層撮影装置により検査対象の断層撮影によるスライス画像を作成する公知の方法を改善することを提案する。この方法の改善は、完全なスライス画像の算出のために、完全なスライス画像ごとに、少なくとも2つのビームの測定データから、部分的に重なり合う(オーバーラップする)投影間隔の重複するデータ(重複データ)が使用され、時間分解能および画質の変更のためにスライス画像の算出前に個々のビームの使用された投影データの重なり範囲の大きさが決定されることにある。
角度のずれた少なくとも2つのビームを有するコンピュータ断層撮影装置の使用者に対して、コンピュータ断層撮影画像の算出時にその算出前に、重複して使用されるデータの例えばパーセンテージがどのくらいの大きさであるべきかを指定することできる可能性がもたらされる。従って、再構成されたスライス画像当たりの使用線量が高まり、それによって、画像作成に利用された線量と画質との間の既知の関係に応じて、検査対象の改善された表示を達成することができる。もちろん、この場合に、逆に特に運動不鮮明によりこの改善された画質の効用が水泡に帰せしめられないことが前提である。これに関する評価は方法の利用者に任され、例えば心臓走査において心臓の特定範囲が高められた時間分解能で撮影されるのに対して、場合によってはあまり激しくは動かず且つ必ずしも高い分解能を必要としない他の範囲は画像形成時に高められたビーム線量を利用する再構成方法によって表示されるようにすることができる。
重複する検出器データを使用する際の画像アーチファクトを避けるために、少なくとも2つのビームによる同じ検査範囲の多重測定によって生じる重複が補償されるように、投影データの重なり範囲において重複するデータが重み付け関数により重み付けされることが付加的に提案される。
例えば、重み付け関数は重なり範囲全体においてn個のビームからなる測定値の各成分に1/nの大きさで一様に重み付けすることができる。しかしながら、この方法では重なり範囲と重なりのない範囲との間の移行範囲にアーチファクトが発生することが予想される。
このアーチファクトを避けるために、本発明者は、重み付け関数が重なり範囲の大部分においてのみn個のビームからなる測定値の各成分に1/nで一様に重み付けし、重なりの境界範囲では回転方向においてすぐ次のビームの重み付けの連続的な上昇が行なわれるようにすることを提案する。もちろん重み付けの和は全体的に正規化され、つまり1に保たれている。
上述の方法において、一方では、再構成前に少なくとも180°の投影間隔を有する重み付けされた投影データセットが形成され、この投影データセットから完全なスライス画像が再構成される。これは基本的には先に挙げた特許文献1に記載されているような方法に対応する。他方では、本発明による方法の適用によって、再構成時に、180°よりも少ない投影間隔を有する個々のビームのデータセットから不完全な部分画像が形成され、そのデータセットが完全なスライス画像の作成のために重なりの大きさに応じて重み付けされることも可能である。この方法は、先に挙げた特許文献2に開示された再構成方法に対応する。
使用されたビームに関しては、厳密に2つの互いに角度のずれた、好ましくは互いに直交配置されたビームが使用されるとよい。このようなビームは同じ大きさのファン角を持っていてもよいし、異なるファン角を持っていてもよい。
代替として、厳密に3つの互いに角度のずれた、好ましくは60°または120°ずれたビームを使用することもできる。これらのビームも同じに形成されていてもよいし、あるいは異なるファン角を備えていてもよい。
上述の方法は、2D再構成法に関しても、再構成がボクセルごとに行なわれる3D再構成法に関しても使用可能である。
更に、本発明者は本発明による方法が、種々の重なり大きさの設定入力が個々に操作者によって直接にCT画像の算出前に行なわれ、好ましくは、少なくとも2つのビームによる1つの走査中に測定された同一の検出器出力データを用いて何度も算出が行なわれるとよく、また異なる強さで重なる投影間隔の使用によって異なる複数のスライス画像列が作成されるように構成されていることを提案する。
この方法によって、操作者は、算出された画像列の観察時に、その都度より多く使用された線量による改善された画質を得るために、より高いまたはより低い時間分解能を受入れるか否かを決定することができる。
先に述べた本発明の基本思想に従って、本発明者は、特に周期的に運動する検査対象を走査するために共通なシステム軸線の周りを回転しそれぞれ1つの焦点から扇状に出射する少なくとも2つのビームを発生する手段と、場合によってはシステム軸線に沿って検査対象を移動させる手段と、少なくとも2つのビームによって発生された検出器出力データからスライス画像列を再構成する手段とを少なくとも備え、定められた時間分解能および画質で検査対象のスライス画像列を作成するためのコンピュータ断層撮影装置、特に心臓CTにおいて、さらに改善のために、スライス画像の算出のために少なくとも2つのビームの使用された検出器出力データの所望の重なりを設定するための入力装置が設けられているコンピュータ断層撮影装置も提案する。
この種の入力装置は例えばポテンショメータであり、これは場合によっては回転式ポテンショメータの形でもよいし、又は直線スライド式ポテンショメータの形であってもよく、あるいは、操作者によって所望の重なり度合いが設定できるように、キーボード、マウス、ジョイスティック等の如きいわゆる人間−装置インターフェースを有する画面−プログラムセットとして組み合わされた入力装置であってもよい。
既に述べた方法に従って、このようなコンピュータ断層撮影装置は、厳密に2つの、好ましくは90°ずれたビーム、または厳密に3つの、好ましくは60°または120°ずれたビームを有するとよい。この種のビームは1つのガントリに配置された1つのX線管によって発生されてもよいし、あるいは事前に加速された電子線を相応の偏向によって回転陽極または患者の周りに円状に配置された陽極へ入射させ、それよって相応に成形された複数のビームを得ることもできる。検出器に関しては、焦点に対向しCTのシステム軸線の周りを回転する同じ大きさの検出器もまた異なる大きさの検出器も使用することができる。しかしながら、本発明の枠内において、多数の検出器要素を有する固定の中空円筒状の検出器を使用することもでき、この場合にはビームだけが場合によってはX線管と共に患者の周りを回転する。
以下において本発明を図面を参照して更に詳細に説明する。
図1は心臓CTの概略的な3D表示、
図2は2つの焦点および異なる大きさの2つの検出器を有するガントリの断面、
図3は角度のずれた3つのビームを有するCTの概略例、
図4は角度のずれた2つのビームおよび360°走査の検出器を有するCTの概略例、
図5は角度のずれた2つのビームから得られ画像再構成に使用される部分的に重なるデータ、
図6は図5の再構成間隔に関する重み付け関数の第1の経過例、
図7は図5の再構成間隔に関する重み付け関数の第2の経過例、
図8は角度のずれた3つのビームから得られ画像再構成に使用される部分的に重なるデータ、
図9は図8の再構成間隔に関する重み付け関数の第1の経過例、
図10は図8の再構成間隔に関する重み付け関数の第2の経過例、
図11は不完全な部分画像のセグメント化された再構成の際に同一の重なり境界およびセグメント境界を有する部分的に重なる3つの検出器データから得られたデータの使用例、
図12は不完全な部分画像のセグメント化された再構成の際に等しくない重なり境界およびセグメント境界を有する部分的に重なる3つの検出器データから得られたデータの使用例、を示す。
図1は心臓CTの概略的な3D表示、
図2は2つの焦点および異なる大きさの2つの検出器を有するガントリの断面、
図3は角度のずれた3つのビームを有するCTの概略例、
図4は角度のずれた2つのビームおよび360°走査の検出器を有するCTの概略例、
図5は角度のずれた2つのビームから得られ画像再構成に使用される部分的に重なるデータ、
図6は図5の再構成間隔に関する重み付け関数の第1の経過例、
図7は図5の再構成間隔に関する重み付け関数の第2の経過例、
図8は角度のずれた3つのビームから得られ画像再構成に使用される部分的に重なるデータ、
図9は図8の再構成間隔に関する重み付け関数の第1の経過例、
図10は図8の再構成間隔に関する重み付け関数の第2の経過例、
図11は不完全な部分画像のセグメント化された再構成の際に同一の重なり境界およびセグメント境界を有する部分的に重なる3つの検出器データから得られたデータの使用例、
図12は不完全な部分画像のセグメント化された再構成の際に等しくない重なり境界およびセグメント境界を有する部分的に重なる3つの検出器データから得られたデータの使用例、を示す。
図面においては次の符号および変数が用いられている。1:CT装置、2:第1X線管、3:第1検出器、4:第2X線管、5:第2検出器、6:ハウジング、7:患者、8:寝台、9:システム軸線、10:コンピュータユニット、10.1:ポテンショメータ、11:円弧/第1検出器の投影データ、11.1:第1検出器の重み付け関数、12:円弧/第2検出器の投影データ、12.1:第2検出器の重み付け関数、13:円弧/第3検出器の投影データ、13.1:第3検出器の重み付け関数、14:再構成間隔、14.1〜14.5:投影セグメント、15:重み付け関数の和、16:重なり範囲、17:投影セグメントの境界、18:重なり境界、Dx:検出器、Fx:焦点、Lx:検出器長さ、Prg1〜Prgn:プログラムモジュール、Sx:ファンビーム、βx:ファン角、γ:重み付け関数。
図1には本発明による心臓CT1が3次元の概略図で示されている。CTはハウジング6からなり、ハウジング6内には明確には示されていない回転枠(ガントリ)があり、この回転枠により2つのX線管2,4がそれぞれ対向する多行検出器5,3を含めて患者の回りを回転移動する。患者はシステム軸線9に沿って移動可能な患者用寝台8上にいる。X線管−検出器セットの回転と患者の直線移動との組合せによって、公知のようにして、患者7のスパイラル状の走査が生じる。長手方向に移動可能な寝台8の制御を含めたガントリおよびガントリ上にあるX線管の制御は、コンピュータユニット10によって、予め与えられたプログラムPrg1〜Prgnの実行により行なわれる。走査中に検出器から検出器出力データが供給され、検出器出力データはコンピュータユニット10に伝送され、これと同時にコンピュータユニット10は患者から心電図(ECG)情報も得るので、公知のようにして心臓CT画像列が再構成される。コンピュータユニット10には典型的にはポテンショメータまたはスライド式調整器10.1が存在し、これにより、使用された投影間隔の本発明による部分的重なりを調整することができる。
図2、図3および図4は本発明による方法を実施するのに適した焦点−検出器セットの種々異なる変形を改めて概略的に示す。
図2には2つの異なる多行検出器が横断面図で示されている。検出器D1は、長さL2を有する検出器D2よりも遥かに小さい長さL1を有する。従って、それぞれ焦点F1および検出器D1もしくは焦点F2および検出器D2によって提供されるファンビームS1,S2は異なる大きさのファン角β1,β2で形成される。この場合にビームは破線で示された中心線に関して互いに直交する。
図3は、ガントリ上に配置されているそれぞれ1つの検出器D1〜D3が対向している3つの焦点F1,F2,F3を有する3つの焦点−検出器セットの他の変形を示し、ビームS1〜S3はここには示されていない中心線に関して120°角度をずらして配置されている。
最後に図4はなおも付加的な可能性のある焦点−検出器セットを示す。ここにはリング状に配置された検出器Dが示され、これは図示された両焦点F1,F2と違って回転しない。焦点F1,F2を形成する線源だけが走査時に中心に配置されている検査対象の周りを回転し、それぞれ1つのビームS1,S2を形成する。ファンビームは図2と同様に互いに90°角度がずれており、中空円筒状に配置されている検出器D上に検出器信号を発生させる。この検出器信号により、ビームによって透過された検査対象がビームの吸収値に関して走査される。
可能な構成形態を選択できることのみを示している全ての図示された焦点−検出器の変形において、少なくとも2つのビームが示され、これらのビームはシステム軸線の周りを回転しながら検査対象を走査し、相応の検出器出力データを供給する。本発明によれば、例えば図5に示されているように、操作者によって決定されるべき重なり量を持つこれらの出力データはCTスライス画像の作成に使用される。
図5は全部で2つの角度のずれたビームによる全体で180°の全角度に亘る検査対象の走査を概略的に示す。誤解のないように、示されている図は両ビームの実際に走査された投影角を示そうとするものではなく、むしろ図5ではそれぞれの検出器に由来し後の画像再構成に使用されたデータの重なり領域の大きさが示されているにすぎないことを指摘しておく。検出器D1のデータは円弧11に相当し、検出器D2のデータは円弧12に相当する。重なり領域は円弧16によって示されている。両データを一緒にして相応の重み付けすることによって、最終的に円弧14によって示されるべき180°の投影間隔が形成される。
図6は180°の投影角に亘る両検出器のデータの重み付け関数γを示す。重み付け関数11.1は円弧11に相当する第1検出器D1のデータに割り付けられ、重み付け関数12.1は円弧12に相当する第2検出器D2のデータに割り付けられる。
全体として重み付け関数の和は線15で示されているように180°の投影角範囲全体に亘って常に1である。従って、1つの検出器のデータのみによってカバーされている角度範囲内には1の重み付け関数が生じ、重なり範囲内には両検出器のそれぞれのデータのために0.5の重み付け関数が生じる。
しかしながら、誤解のないように、強制的に常に両検出器の等しい重み付けが必要であるわけではないことを指摘しておく。例えば検出器に関する重み付けの等しくない配分によって検出器の異なる性能良さを考慮することができる。
図7は重み付け関数の他の経過例を示し、この重み付け関数は図6に類似しているが、重なっていない範囲と重なっている範囲との間の移行が滑らかであるので、図6に示されているような急峻な移行によるアーチファクトを回避することができる。
図8は、図5と類似して、改めて180°に亘る再構成間隔14を示す。但し、ここでは全部で3つの検出器のデータが再構成間隔の形成に使用され、ここでも重なり範囲16が生じ、この重なり範囲16では2つの検出器のそれぞれ重複したデータが再構成間隔14の形成のために使用される。この種のデータセットは例えば図3に示されているような焦点−検出器セットに由来する。
図9および図10はここで使用可能な重み付け関数γの経過についての例を示す。両図9,10において、第1検出器の投影データ11のための重み付け関数11.1は、0〜45°の範囲では値1で経過し、45〜90°の範囲では0.5に低下し、90〜180°の範囲では存在しない。第2検出器の投影データ12の重み付け関数12.1は、0〜45°の範囲では値0であり、その後に値0.5に上昇して135°の角度まで続き、引続いて再び0に落ちる。第3検出器のデータの重み付け関数13.1は、90°において値0.5で開始し、135°の後値1に上昇して180°までこの値にとどまる。図9には異なる重み付け値間の跳躍的移行が示されている。
全ての重み付け関数の和は線15で示され、投影間隔全体に亘って1の大きさである。
図10における重み付け関数の経過は基本的には同じであるが、しかしここでも、画像アーチファクトを避けるために、個々の範囲間のソフトな移行が示されている。この場合に注目すべきことは、他の重み付け関数の滑らかな移行を可能にするために、90°の範囲において第2検出器の重み付け関数12.1が短期的に値1まで上昇することである。
この場合にも、重なり範囲における重み付け関数は、重なり合う両検出器のために必ずしも同じ値を有しなければならないわけではないことを指摘しておく。この場合にも性能の良い検出器に性能の悪い検出器よりも高い重み付けを持たせることが可能である。
更に、それぞれ2つの検出器のみが重なるような重なりが示されている図示の変形は例にすぎないことを指摘しておく。3つの検出器の値が重なるような再構成間隔を見いだすことも容易に可能であり、この場合には定められた投影範囲について全部で3つの検出器から得られたデータの重複が相応の重み付け関数の使用によって考慮される。
図5乃至図10に示された投影間隔の作成例は、再構成に全体として180°の投影間隔が使用されるような再構成方法のために使用することができる。しかしながら、まず180°よりも少ない不完全な再構成間隔により部分画像の再構成を行ない、引続いて、再構成された部分画像から全体画像を合成する画像算出方法が用いられる場合、図示の方法はこれらの部分セグメントに転用される。この種の2つの例が図11および図12に示されている。
図11は方法の簡単な変形を示す。この場合には3つの焦点−検出器セットおよび相応の3つのビームを有するシステムから得られたデータが処理され、第1、第2および第3のビームから得られた検出器データがここでも11,12,13で示されている。0〜180°の再構成間隔はここでは5つの等しい投影セグメント14.1〜14.5に区分され、好ましくはセグメント境界が検出器データの重なり境界と一致するので、投影セグメント14.1〜14.5の全長に亘って検出器データの一定の重み付けを行なうことができる。図示の例では投影セグメント14.1は第1のビームに由来する投影データ11のみを有する。投影セグメント14.2は開始から終了まで第1および第2のビームから得られた投影データ11,12のみを有し、これらのデータはそれぞれ半分ずつまたは検出器の性能良さに応じて重み付けられる。中央の投影セグメント14.3は3つの全てのビームつまり検出器D1〜D3から得られた投影データを有し、これらのデータは検出器の性能良さが同じであれば、同じ1/3の重み付け関数γで重み付けられる。更に、投影セグメント14.4においては第2および第3のビームから得られたデータだけが存在するのに対して、最後の投影セグメント14.5は第3のビームの投影データ13だけを含む。これらの再構成間隔14.1〜14.5から、先に挙げた特許文献2に記載されているように、不完全な部分画像が算出され、そして完全なスライス画像に合成される。
図12は投影部分セグメントの発生に関して何らかの困難な状況を示す。というのは、そこに示されている投影セグメント14.1〜14.4はそれらの境界17が個々のビームの投影データの重なり境界18ともはや一致していないからである。しかしながら、この場合に、図5または図8に対応して0〜180°の全投影セグメントに適用されているように、類似の計算規則を利用することができるので、多数のビームの投影データの部分的な重なりが存在するようなセグメントを相応に評価することができる。
もちろん、ここでも画像アーチファクトを避けるために、重なり境界において重み付け関数の滑らかな移行が使用されるとよい。
以上のとおり、本発明によって、時間分解能とスライス画像の算出に使用された線量とを可変調整し、それにより検査対象における個々の構造の認識に最適な画質を調整することを、コンピュータ断層撮影装置の使用者に可能にする断層撮影によるスライス画像の作成方法が提供される。
ここで誤解のないように指摘しておくに、上述の方法は心臓CT検査の分野にもまた運動する任意の検査対象の検査にも適用可能である。心臓CT検査では、多数の周期からなるデータを時間正しく合成できるようにするために、たいてい付加的なECG情報が使用される。同様のことがその他の周期的に運動する検査対象にも当てはまる。もちろん本方法は、画像列による3D表示において種々の時間分解能およびそれに対応して種々の線量が画像作成のために可変的に使用されるべきであるような一般に運動する検査対象にも適用可能である。
更に補足して誤解のないように指摘しておくに、本発明による方法はスパイラル走査にも円状走査にも使用することができる。
本発明の上述の特徴はその都度述べた組合せのみならず、本発明の枠を逸脱することなく他の組合せまたは単独状態で使用可能であることは自明である。
1 CT装置
2 第1X線管
3 第1検出器
4 第2X線管
5 第2検出器
6 ハウジング
7 患者
8 寝台
9 システム軸線
10 コンピュータユニット
10.1 ポテンショメータ
11 円弧/第1検出器の投影データ
11.1 第1検出器の重み付け関数
12 円弧/第2検出器の投影データ
12.1 第2検出器の重み付け関数
13 円弧/第3検出器の投影データ
13.1 第3検出器の重み付け関数
14 再構成間隔
14.1〜14.5 投影セグメント
15 重み付け関数の和
16 重なり範囲
17 投影セグメントの境界
18 重なり境界
Dx 検出器
Fx 焦点
Lx 検出器長さ
Prg1〜Prgn プログラムモジュール
Sx ファンビーム
βx ファン角
γ 重み付け関数
2 第1X線管
3 第1検出器
4 第2X線管
5 第2検出器
6 ハウジング
7 患者
8 寝台
9 システム軸線
10 コンピュータユニット
10.1 ポテンショメータ
11 円弧/第1検出器の投影データ
11.1 第1検出器の重み付け関数
12 円弧/第2検出器の投影データ
12.1 第2検出器の重み付け関数
13 円弧/第3検出器の投影データ
13.1 第3検出器の重み付け関数
14 再構成間隔
14.1〜14.5 投影セグメント
15 重み付け関数の和
16 重なり範囲
17 投影セグメントの境界
18 重なり境界
Dx 検出器
Fx 焦点
Lx 検出器長さ
Prg1〜Prgn プログラムモジュール
Sx ファンビーム
βx ファン角
γ 重み付け関数
Claims (16)
- 特に少なくとも部分的に周期的に運動する検査範囲を有する検査対象(7)の走査のために、それぞれ1つの焦点(Fx)から複数の検出器要素を有する対向する1つの検出器(Dx)へ向けて扇状に広がり且つ角度のずれた少なくとも2つのビーム(Sx)が発生され、これらのビームがシステム軸線(9)の周りを回転しながら検査対象(7)を走査し、
場合によってはビーム(Sx)に対して相対的なシステム軸線方向への検査対象(7)の連続的な送りが行なわれ、
走査の少なくとも部分的な重ね合わせが行なわれ、
検査対象(7)を透過する際のビームの減弱を表わし検出器要素から出力される検出器出力データが、ビームの間接的または直接的な空間的方位データと共に測定されて投影データセット(11,12,13)に変換され、
引続いて少なくとも2つの走査ビーム(Sx)の投影データセットによりスライス画像が算出され、完全なスライス画像ごとに、少なくとも2つの走査ビーム(Sx)の測定データから構成され少なくとも180°の投影間隔(14)を有する走査の和から得られたデータが使用される
コンピュータ断層撮影装置(1)により検査対象の断層撮影によるスライス画像を作成する方法において、
完全なスライス画像の算出のために、完全なスライス画像ごとに、少なくとも2つのビーム(Sx)の測定データから、部分的に重なり合う投影間隔(11,12,13)の重複するデータが使用され、
時間分解能および画質の変更のためにスライス画像の算出前に、個々のビーム(Sx)の使用された投影データ(11,12,13)の重なり範囲(16)の大きさが決定される
ことを特徴とする検査対象の断層撮影によるスライス画像の作成方法。 - 少なくとも2つのビーム(Sx)による同じ検査範囲の多重測定によって生じる重複が補償されるように、投影データの重なり範囲(16)において重複するデータが重み付け関数により重み付けされることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 重み付け関数は重なり範囲全体においてn個のビームからなる測定値の各成分に1/nで一様に重み付けすることを特徴とする請求項2記載の方法。
- 重み付け関数(8)は重なり範囲(16)の大部分においてn個のビームからなる測定値の各成分に1/nで一様に重み付けし、重なりの境界範囲では回転方向においてすぐ次のビームの重み付けの連続的な上昇が行なわれ、重み付けの和が1であることを特徴とする請求項2記載の方法。
- 再構成前に、少なくとも180°の投影間隔(14)を有する重み付けされた投影データセットが作成され、この投影データセットから完全なスライス画像が再構成されることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の方法。
- 再構成時に、180°よりも少ない投影間隔(14.x)を有する個々のビーム(Sx)のデータセットから不完全な部分画像が作成され、そのデータセットが完全なスライス画像の作成のために重なりの大きさに応じて重み付けされることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の方法。
- 2つの互いに角度のずれた、好ましくは互いに直交配置されたビーム(Sx)が使用されることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の方法。
- 3つの互いに角度のずれた、好ましくは60°または120°ずれたビーム(Sx)が使用されることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の方法。
- 再構成はボクセルごとに行なわれることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の方法。
- 種々の重なり大きさの設定入力が操作者によって直接にCT画像の算出前に行なわれることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の方法。
- 少なくとも2つのビーム(Sx)による1つの走査中に測定された同一の検出器出力データを用いて、異なる強さで重なる投影間隔の使用によって異なる複数のスライス画像列が作成されることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の方法。
- 特に周期的に運動する検査対象(7)を走査するために共通なシステム軸線(9)の周りを回転しそれぞれ1つの焦点から扇状に出射する少なくとも2つのビーム(Sx)を発生する手段(2,4)と、
場合によってはシステム軸線(9)に沿って検査対象(7)を移動させる手段(8)と、
少なくとも2つのビーム(Sx)によって発生された検出器出力データからスライス画像列を再構成する手段(10,Prgx)とを備え、
定められた時間分解能および画質で検査対象(7)のスライス画像列を作成するためのコンピュータ断層撮影装置(1)、特に心臓CTにおいて、
スライス画像の算出のために少なくとも2つのビームからの使用された検出器出力データの所望の重なりを設定するための入力装置(10.1)が設けられている
ことを特徴とするコンピュータ断層撮影装置。 - 入力装置(10.1)はポテンショメータであることを特徴とする請求項12記載のコンピュータ断層撮影装置。
- 入力装置は人間−装置インターフェース(例えばキーボード、マウス、ジョイスティック)を有する画面−プログラムセットであり、それによって所望の重なり度合いが設定されることを特徴とする請求項12記載のコンピュータ断層撮影装置。
- 2つの、好ましくは90°ずれたビーム(Sx)が用いられることを特徴とする請求項12乃至14の1つに記載のコンピュータ断層撮影装置。
- 3つの、好ましくは60°または120°ずれたビーム(Sx)が用いられることを特徴とする請求項12乃至14の1つに記載のコンピュータ断層撮影装置。
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