JP4297027B2 - 複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナの焦点距離調整方法 - Google Patents
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Description
しかし、誘電率異方性を1.00〜1.05の範囲に制御するには、射出成形時の溶融粘度を調整したり、誘電体無機フィラーの組成や含有率を調整しなければならず、製造コストの上昇を招く恐れがある。
また、他の目的は、アンテナのサイズを変えずに、レンズの焦点距離を調整可能なレンズアンテナの焦点距離調整方法を提供することにある。
このように誘電率異方性を有する(誘電率異方性が1より大きい)複合誘電体レンズを用いたレンズアンテナでは、誘電率つまり焦点距離がレンズの軸心を中心とする回転位置によって変化する。焦点距離を最大のアンテナ利得が得られる距離に合わせる必要があるため、本発明では、焦点距離調整機構により複合誘電体レンズをその軸心を中心として角度調整可能とすることにより、レンズを誘電率が目標値となる角度に合わせ、焦点距離を最適値に調整可能としたものである。
この場合は、位置決め穴と軸部材との嵌合によってレンズをアンテナ本体に対して一定角度ごとに位置決めできるので、焦点距離を段階的に調整できる。レンズとアンテナ本体とを位置決め穴と軸部材との嵌合によって位置決めするので、構造が簡単であり、かつ組み立てた後で角度ずれが発生することがない。
軸部材を位置決め穴に嵌合固定する方法としては、圧入固定、接着剤、溶着など任意の方法を用いることができる。
軸部材の本数および位置決め穴の数は任意に選定可能であるが、例えば軸部材が1本であっても、位置決め穴が複数あれば角度調整は可能である。軸部材と位置決め穴との嵌合だけではレンズがアンテナ本体に十分固定されない場合は、レンズの角度を調整した後に、別の箇所で接着剤などの別の手段により、レンズとアンテナ本体とを固定すればよい。
この場合は、ネジをネジ挿通穴を介してネジ穴に螺着することで、レンズの角度調整とレンズの固定とを同時に実施できる。
この場合は、いずれかのネジ挿通穴にネジを挿通し、このネジをネジ穴に螺着することで、請求項2と同様に、レンズの角度調整とレンズの固定とを同時に実施できる。
この場合は、ガイド部とレール部との摺動によってレンズの角度を連続的に調整できるので、焦点距離も無段階に調整できる。ガイド部をレール部に固定する固定手段としては、例えばネジ、クリップ、接着剤、溶着などを用いることができる。
このレンズアンテナ10Aの基本構造は、図1と同様であり、レンズ11と、レンズ11を支持するアンテナ本体(ハウジング)12と、アンテナ本体12の内部に固定された電波を送受信するためのRF部13と、RF部13にレンズ11に向けて固定された一次放射器14などで構成されている。
なお、ネジ穴12bは必ずしも等間隔で設けられていなくてもよい。また、ネジ挿通穴11dの個数は2個に限らず、ネジ15の本数に応じて選定すればよく、1個または3個以上であってもよい。
まずレンズ11の誘電率特性(図2参照)を求める。この誘電率特性は、例えばレンズ本体11aである複合誘電体成形物から円周方向に10点以上サンプルを切り出し、そのサンプルをTE10モードの電界を用いた摂動法によって回転方向の誘電率を測定することで求めることができる。複合誘電体成形物の誘電率異方性は、各サンプルの最大誘電率と最小誘電率との比である誘電率異方性を算出し、各サンプルの誘電率異方性の平均を算出することで求めることができる。
上記のように求めたレンズ11の誘電率特性と焦点距離とによって、レンズ11の取付角度を決定する。すなわち、焦点距離から決定される誘電率εrにより、図2の誘電率特性からレンズ11の角度θを求め、この角度θに合うようにネジ15をネジ穴12bに螺着する。なお、ネジ穴12bは間欠的に設けられているので、角度θに最も近いネジ穴12bにネジ15を螺着すればよい。
試料5については、誘電率異方性が大き過ぎ、レンズ内部の場所による誘電率バラツキが増大し、利得自体が低下するので、実用的でない。
試料6は、誘電率調整範囲として、実用上必要な0.20以上が得られていない。このような狭い調整範囲では、レンズの回転による誘電率調整の効果が小さい。
なお、各試料のεmax およびεmin を知るためには、0°<θ<180°または−90°<θ<90°の角度でレンズを回転させれば十分である。
この実施例のレンズアンテナ10Bは、アンテナ本体12に例えば2個のネジ穴12bを設け、レンズ11のフランジ部11cにレンズ11の軸心Oを中心として周方向に複数のネジ挿通穴11dを形成したものである。この場合には、ネジ15をいずれかのネジ挿通穴11dを介してネジ穴12bに螺着することで、レンズ11を固定できる。
この場合も、ネジ挿通穴11dを選択することにより、レンズ11の角度を調整可能であり、かつネジ15をネジ穴12bに螺着するだけで、レンズ11を簡単に固定できる。
この実施例のレンズアンテナ10Cでは、レンズ11の外周部後面に例えば2本のピン11fを突設するとともに、アンテナ本体12の前面にピン11fが嵌合する複数の位置決め穴12dを形成してある。位置決め穴12dは、レンズ11の軸心Oを中心として周方向に配列されている。
この場合は、ピン11fをいずれかの位置決め穴12dに嵌合させることにより、レンズ11の角度を段階的に調整できる。なお、レンズ11とアンテナ本体12との固定は、ピン11fと位置決め穴12dとの圧入嵌合で固定してもよいし、接着などの他の方法を用いて固定してもよい。
この実施例のレンズアンテナ10Dでは、第3実施例におけるピンと位置決め穴との関係を逆に設定したものである。すなわち、アンテナ本体12の前面には2本のピン12eが突設されており、レンズ11の外周部にはピン12eが嵌合する複数の位置決め穴11dが形成されている。位置決め穴11dは、レンズ11の軸心Oを中心として周方向に配列されている。
この場合も、第3実施例と同様に、ピン12eをいずれかの位置決め穴11dに嵌合させることにより、レンズ11の角度を調整できる。なお、レンズ11とアンテナ本体12との固定方法は、圧入嵌合、接着のほか、ピン12eを熱カシメしてもよい。
この実施例のレンズアンテナ10Eでは、レンズ11の外周部のフランジ部11cに円弧状の2本の長穴(レール部)11eが形成されている。長穴11eは、レンズ11の軸心を中心とする同心円弧状で、約90°の範囲に形成されている。一方、アンテナ本体12の前面には、長穴11eに摺動自在に挿入される2本のネジ軸(ガイド部)12cが前方に向かって突設されている。ネジ軸12cを長穴11eに挿入し、レンズ11のアンテナ本体12に対する取付角度を調整した後、ネジ軸12cの端部にナット(固定手段)16を螺着することにより、レンズ11をアンテナ本体12に対して固定することができる。
この実施例では、レンズ11をアンテナ本体12に対して連続的に角度調整できるので、第1実施例に比べて細かな角度調整を行うことができ、焦点距離に最適な角度位置へ調整できる。つまり、よりアンテナ利得の高いレンズアンテナを実現できる。
なお、長穴をアンテナ本体12に設け、ネジ軸をレンズ11側に設けても、同様の角度調整を行うことができる。
この実施例のレンズアンテナ10Fでは、第5実施例と同様にレンズ11のフランジ部11cに円弧状の2本の長穴(レール部)11eが形成されている。長穴11eはレンズ11の軸心Oを中心とする同心円弧状である。アンテナ本体12の前面には2個のネジ穴12bが形成され、2本のネジ(ガイド部)15が長穴11eを介してネジ穴12bに螺着される。この場合は、ネジ15とネジ穴12bとで固定手段が構成される。
ネジ15を長穴11eを介してネジ穴12bに緩く螺合させた状態で、レンズ11のアンテナ本体12に対する取付角度を調整し、その後でネジ15をネジ穴12bに強く締め付けることにより、レンズ11をアンテナ本体12に対して任意の角度で固定することができる。
この実施例の場合も、レンズ11をアンテナ本体12に対して連続的に角度調整できるので、細かな角度調整を行うことができ、焦点距離に最適な角度位置へ調整できる。
上記実施例では、ネジ手段を用いてレンズ11をアンテナ本体12に固定する例や、レンズまたはアンテナ本体の一方からピンを突設し、このピンを他方のピン穴に嵌合固定する例を示したが、固定方法は任意に選定できる。
11 レンズ
11c フランジ部
11d ネジ挿通穴
12 アンテナ本体
12b ネジ穴
13 RF部
14 一次放射器
15 ネジ
Claims (1)
- 誘電体無機フィラーと有機高分子材料とを含む複合誘電体材料を成形してなり、誘電率異方性を有する複合誘電体レンズと、
アンテナ本体と、
上記アンテナ本体に対して上記複合誘電体レンズの外周部を、当該レンズの軸心を中心として角度調整可能に保持する焦点距離調整機構とを備えたレンズアンテナであって、
上記複合誘電体レンズをその軸心を中心として回転させることにより、焦点距離を調整することを特徴とするレンズアンテナの焦点距離調整方法。
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